JP3906526B2 - カラー陰極線管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受信やコンピュータ端末ディスプレイ等に用いられ、シャドーマスクを内蔵し映像表示域を有するパネルガラス部と偏向ヨークコイルを装着し電子銃を格納するファンネルガラス部とが、低融点ガラスを主成分とする組成物を用いて封着されたカラー陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー陰極線管は、映像表示部であるパネルガラス部および後方のファンネルガラス部によってその外囲器が構成されている。前記パネルガラス部は色選別のためのシャドーマスクを支持し、前記ファンネルガラス部は電子ビームを形成し走査する機能を付与する構造を支持する。
【0003】
カラー陰極線管の組み立てにおいては、排気工程等の後工程において高温熱処理における熱衝撃に耐えかつ良好な気密性を維持するために、たとえば結晶性で酸化鉛の含有量が高いPbO−B2O3−ZnO系の低融点ガラスを用い、440℃程度の高温で熱処理を行いパネルガラス部とファンネルガラス部とを封着している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、環境上の問題から工業製品中のPbOの含有を極力避けようという動きがある。この動きはカラー陰極線管の封着用組成物についても例外ではない。ところが、PbOはガラスフリットの低融点化のための必須成分で、この含有量を減らすと低温で流動するため、陰極線管の封着に使用することは困難である。
【0005】
一方、封着後の検査時において蛍光面などに欠点が検出された場合、その欠点部分を修正後、外囲器を構成するパネルガラスやファンネルガラスを再利用するためには、破損を防ぎながらパネルガラス部とファンネルガラス部に分割する必要がある。従来、ガラスバルブの少なくとも封着部を5〜12%程度の硝酸に浸漬し、パネルガラスやファンネルガラスより酸に対する溶解性が高い半田ガラスの一部を選択的に溶かし、1mm程度の窪みを封着部の全周に形成し、その後、かかる領域にヒートサイクルを加えて熱衝撃により分割する方法が用いられている(以下、これをサルベージともいう)。
環境上の問題を少なくするためには、このような陰極線管の再利用をしやすくすることも重要である。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するカラー陰極線管の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化鉛を主成分とする低融点ガラスを含む組成物によりパネルガラス部とファンネルガラス部とが封着されたカラー陰極線管であって、前記パネルガラス部とファンネルガラス部との封着部は、90℃の水に20時間浸漬した後の単位表面積あたりの重量減少量が1mg/cm2以下であり、かつ40℃の10%硝酸溶液に20分間浸漬した後の単位表面積あたりの重量減少量が80〜700mg/cm2であることを特徴とするカラー陰極線管を提供する。
【0008】
前記カラー陰極線管の封着部を構成する組成物は、実質的に低融点ガラス粉末80〜99.9重量%と熱膨張係数が70×10 −7 /℃以下である低膨脹セラミックフィラー粉末0.1〜20重量%とからなり、該低融点ガラスが、PbO、Bi2O3、B2O3およびZnOを含有し重量比ZnO/B2O3>1および重量比Bi2O3/B2O3>1である。
【0009】
また、前記低融点ガラスは、実質的に重量%で以下の成分を含有し、
PbO 50〜70、
Bi2O3 5〜40、
B2O3 5〜15、
ZnO 5〜30、
SiO2 0〜10、
BaO 0〜 5、
SrO 0〜 5、
CaO 0〜 5、
V2O5 0〜 0.5、
かつ、重量比PbO/B2O3≦9、重量比ZnO/B2O3>1、重量比Bi2O3/B2O3>1、重量比PbO/Bi2O3≦8、および重量比PbO/ZnO≦8である。
【0010】
すなわち、多くの場合、環境上の問題は製品が屋外に放置されて含有される鉛が雨などの水分に溶出することによって生じるものであるから、水に対する鉛の溶出量を抑制することが重要であること、一方で酸に対する溶出量をある範囲にすればパネルガラス部とファンネルガラス部との分割を容易にできるため、陰極線管の再利用を容易に図れること、の2つの知見を発明者らが得たことによって本発明はなされたものである。
【0011】
すなわち、本発明はパネルガラス部とファンネルガラス部との封着部からの水に対する鉛の溶出量を抑制するとともに、破損なしに再分割できるよう封着部の酸に対する浸蝕性を適度に確保し、それらの両立により従来技術が有する欠点を解消するものである。
【0012】
ところで、PbO−B2O3−ZnO系のガラスは、通常、安定なガラス化を図るため、B2O3をある程度含有する必要がある。しかし発明者らの得た知見によると、B2O3の含有量を増やすとガラスの耐水性が低下し、水に対する鉛の溶出量が増大する。
【0013】
したがって、鉛含有ガラスを安定して得ることと、鉛の溶出を抑制することとは結果的に相反することであり、これらの両立を図ることは困難である。しかも、B2O3の添加には鉛含有ガラスの熱膨張を小さくし、パネルガラスやファンネルガラスとの熱膨張係数マッチングを取るために添加する低膨張耐火物フィラー粉末の含有量を少なくさせる効果がある。添加される耐火物フィラー粉末の量が少なければ封着時の組成物の流動性を高くできるので、強度の高い封着体が容易に得られる。
【0014】
また発明者は、このガラスにBi2O3を添加し、各成分を適切にバランスさせることにより、ZnOの存在とあいまって飛躍的にガラスの耐水性が向上しかつ酸への溶解性も低下しない鉛含有ガラスが得られることを見出した。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明では、まずカラー陰極線管の封着部が90℃の水に20時間浸漬した後の単位表面積あたりの重量減少量が1mg/cm2以下であることを特徴とする。
【0016】
カラー陰極線管に用いるパネルガラスは画像表示部を担うため、X線ブラウニングによる画質低下を招く酸化鉛を全く含有せず、主成分のシリカや酸化ストロンチウムや酸化バリウム等によりその組成が構成されている。またファンネルガラスはX線ブラウニング等を考慮する必要がないため、酸化鉛を21〜24%程度を含有させX線吸収能を高めている。しかしファンネルガラスは化学的安定性が高いため、その耐水性は0〜0.1mg/cm2程度で良好である。ここで耐水性とは、ファンネルガラスや封着用組成物の焼成体を90℃のイオン交換水に20時間浸漬したときの単位表面積あたりの重量減少量をいう。
【0017】
一方、通常、封着部を構成する低融点ガラスにおける鉛酸化物の含有量は、低融点化のために高くなる。したがって、雨曝しの保管や廃棄処理等において鉛溶出による環境問題の発生を防止するには耐水性を充分にする必要がある。封着部の耐水性が1mg/cm2を超えた場合、有害物質を含む産業廃棄物に関する鉛の溶出規制値を超えるおそれがある。好ましくは0.5mg/cm2以下となることである。
【0018】
前述のように、環境を考えた場合にはパネルガラスおよびファンネルガラスの再利用も重要である。本発明では、カラー陰極線管の封着部の40℃の10%硝酸溶液に20分間浸漬した後の単位表面積あたりの重量減少量が80〜700mg/cm2であることをも特徴とする。
【0019】
パネルガラス部とファンネルガラス部とへの再分割では、硝酸濃度が5〜12%程度、液温が20〜50℃の硝酸槽内で10分以上封着部を浸漬しデフリットを行い封着部の全周にほぼ一様に窪みを形成する。デフリット量のコントロールは、液温制御やエアバブリングを用いて行う。デフリットによる窪みの深さは、0.5〜1.5mm程度を目安にする。
【0020】
次に、2〜5分間程度このガラスバルブの外面を40〜70℃程度の湯水で温浴または散水を行いガラスバルブ全体を昇温させる。さらに、温度差30〜45℃程度の冷水を散水し応力集中を受ける窪みからクラックを発生させる。その後、再び湯水を使って熱衝撃によりクラックを進展させ分割する。
【0021】
したがって、封着部のデフリットを行い選択的に封着部に窪みを形成するためには、封着部の溶酸性はパネルガラスやファンネルガラスが有する0〜0.1mg/cm2程度の溶酸性より充分大きいことを要する。ここで溶酸性とは、パネルガラス、ファンネルガラスまたは封着部焼成体を40℃の10%硝酸に20分間浸漬したときの単位表面積あたりの重量減少量をいう。
【0022】
かかる再分割工程において、封着部の溶酸性が80mg/cm2未満であると充分な深さの窪みが形成されにくい。この結果、冷水の散水で応力集中を受ける窪みから有効なクラックが入らず、2度目の昇温による熱衝撃時にパネルガラスやファンネルガラスの封着部近傍に欠けが生じやすい。好ましくは110mg/cm2以上である。
【0023】
一方、封着部の溶酸性が700mg/cm2を超えると、エッチング速度が早すぎて窪みの形成が一様でなくなる。この場合、最初の温水加熱時にクラックが生じ、次の冷水による熱衝撃時にクラックの進展が生じ、しかも進展方向の制御が困難なため、パネルガラスやファンネルガラスの破損を生じやすい。好ましくは400mg/cm2以下である。
【0024】
以上のように、鉛酸化物を主成分とする封着部の溶酸性を80〜700mg/cm2の範囲にしかつ封着部の耐水性を1mg/cm2以下とすることにより、封着後の欠点発生時にパネルガラス部とファンネルガラス部への再分割を容易にして再利用を可能にするとともに、耐水性を高めて鉛溶出による環境問題を抑止できる。
【0025】
また本発明のカラー陰極線管に用いる封着用組成物は実質的に低融点ガラスの粉末80〜99.9重量%と低膨脹セラミックフィラー粉末0.1〜20重量%とからなる。
【0026】
低融点ガラスの粉末の含有量が99.9%超では低膨脹セラミックフィラー粉末が少ないため熱膨張係数が大きくなりすぎ、パネルガラスやファンネルガラスと膨脹率の整合性が失われバルブ強度が保証できなくなるおそれがある。また、含有量が80%未満ではガラス分が少なく流動性が悪くなり、封着部の気密性が損なわれるおそれがある。
【0027】
本発明における低融点ガラスとは、軟化点が500℃以下のガラスをいい、低膨脹セラミックフィラーとは熱膨張係数が70×10−7/℃以下のセラミックスフィラーをいう。本発明の封着用組成物で使用する低膨脹セラミックフィラーとしては、ジルコン、コーディエライト、アルミナ、ムライト、チタン酸鉛、シリカ、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、β−石英固溶体が取り扱いの面で好ましく、これらのうちの一種を単独で使用するか、または2種以上を併用する。低膨脹セラミックフィラーとしてジルコンを用いると、接着強度が高くなるので特に好ましい。
【0028】
また、前記低融点ガラスは、PbO、Bi2O3、B2O3およびZnOを含有するとともに、重量比ZnO/B2O3>1および重量比Bi2O3/B2O3>1である。重量比ZnO/B2O3≦1または重量比Bi2O3/B2O3≦1であると耐水性が悪くなる。ZnOとBi2O3とが一定量以上存在すると、これらがあいまって耐水性を向上させる。この観点から、重量比ZnO/B2O3≧1.2であることがより好ましい。また、同様の観点から重量比Bi2O3/B2O3≧1.2であることがより好ましい。
【0029】
本発明においては、比較的低温の400〜480℃でかつ比較的短時間の5〜45分で充分に流動する、PbO、Bi2O3、B2O3およびZnOを含有する低融点ガラスを用いて、通常のカラー陰極線管組み立て工程でパネルガラス部とファンネルガラス部とを封着できるようにすることが好ましい。
【0030】
次に、本発明の封着体を構成する低融点ガラスの成分を詳細に説明する。以下、特に断らないかぎり%は重量%を示す。本発明では低融点ガラスは以下のような成分とする。
【0031】
すなわち、低融点ガラスが、実質的に重量%で以下の成分を含有して、
PbO 50〜70、
Bi2O3 5〜40、
B2O3 5〜15、
ZnO 5〜30、
SiO2 0〜10、
BaO 0〜 5、
SrO 0〜 5、
CaO 0〜 5、
V2O5 0〜 0.5、
かつ、重量比PbO/B2O3≦9、重量比ZnO/B2O3>1、重量比Bi2O3/B2O3>1、重量比PbO/Bi2O3≦8、および重量比PbO/ZnO≦8である。
【0032】
PbOの含有量が50%未満では、軟化点が高くなりすぎ、加熱時の流動性が良いという鉛含有ガラスの利点が得られないため、封着部の強度、気密性が損なわれるおそれがある。特に好ましくは55%以上である。その含有量が70%超では、軟化点が低くなりすぎ、耐熱性が悪くなる傾向がある。また、鉛の水に対する溶出量が増大する傾向がある。特に好ましくは68%以下である。
【0033】
Bi2O3の含有量が5%未満では、耐水性向上の効果が不充分なる傾向がある。充分な耐水性を得るためには、8%以上であると特に好ましい。Bi2O3の含有量が40%超では、軟化点が高くなりすぎて加熱時の流動性が悪くなるおそれがある。特に好ましくは30%以下である。
【0034】
B2O3はガラス形成酸化物であり、その含有量が5%未満ではガラス化が困難になる傾向がある。特に好ましくは6%以上である。また、15%超では耐水性が悪くなるおそれがある。特に好ましくは14%以下である。
【0035】
ZnOの含有量が5%未満では耐水性の高い低融点ガラスが得られにくい。また、熱膨張率が低くなる傾向がある。特に好ましくは7%以上である。また30%超では、ガラスの溶融中に失透が生成しやすくなる。特に好ましくは25%以下である。
【0036】
本発明のカラー陰極線管のための封着用組成物に使用される低融点ガラスにおいてSiO2は必須ではないが、ガラスの耐熱性向上のために含有できる。この場合特に好ましくは0.5%以上含有させることにより、封着部の耐熱性を向上できる。前記SiO2は、1%以上含有させると最も好ましい。ただし、10%超では軟化点が高くなりすぎ、流動性が悪くなるおそれがある。好ましくは5%以下、特に好ましくは4%以下である。
【0037】
BaO、CaO、SrOは必須ではないが、それぞれガラスの溶解性を向上するために含有させられる。ただし、各々5%超では耐水性が低下するおそれがある。好ましくは各々4%以下である。
【0038】
本発明の封着用組成物に使用される低融点ガラスでは、V2O5の含有量は0.5%以下とし、実質的に含有しないことが特に好ましい。V2O5は耐水性を低下させる傾向がある。同様に、GeO2も含有しないことが好ましい。
【0039】
低融点ガラスの組成において、重量比PbO/B2O3≦9、重量比ZnO/B2O3>1、重量比Bi2O3/B2O3>1、重量比PbO/Bi2O3≦8、および重量比PbO/ZnO≦8とする。
【0040】
重量比PbO/B2O3>9では、ガラスが安定しにくくなるうえに耐熱性が低下する傾向がある。この点で、重量比PbO/B2O3≦8がより好ましい。さらに、重量比PbO/B2O3≧5であることがより好ましい。重量比PbO/B2O3<5では軟化点があがり流動性が不足する傾向が生じる。
【0041】
また、前述のように重量比ZnO/B2O3≦1または重量比Bi2O3/B2O3≦1であると耐水性が悪くなる傾向がある。本発明は、ZnOとBi2O3とがあいまって耐水性を向上させる。この点で重量比ZnO/B2O3≧1.2であることがより好ましい。また、重量比Bi2O3/B2O3≧1.2であることがより好ましい。
【0042】
さらに、重量比ZnO/B2O3≦8であることがより好ましい。重量比ZnO/B2O3>8であるとガラスフリットの加熱時の流動性が悪くなる傾向が生じる。この観点では、重量比ZnO/B2O3≦6であることが特に好ましい。
【0043】
また、重量比Bi2O3/B2O3≦8であることがより好ましい。重量比Bi2O3/B2O3>8であると、やはりガラスフリットの加熱時の流動性が悪くなる傾向が生じる。この観点では、重量比Bi2O3/B2O3≦6であることが特に好ましい。
【0044】
重量比PbO/Bi2O3>8または重量比PbO/ZnO>8であると、耐水性が悪くなる傾向がある。この点で、重量比PbO/Bi2O3≦7であることがより好ましい。また、重量比PbO/ZnO≦7であることがより好ましい。
【0045】
さらに、重量比PbO/Bi2O3≧1.5であることがより好ましい。重量比PbO/Bi2O3<1.5の場合は軟化点が高くなり、加熱時の流動性が低くなる傾向が生じる。また、重量比PbO/ZnO≧1.5であることがより好ましい。重量比PbO/ZnO<1.5の場合はやはり軟化点が高くなり、加熱時の流動性が低くなる傾向が生じるからである。
【0046】
その他の元素については、本発明の効果を損なわないかぎり含有できるが、Teなど極端に高価な元素は、低価格が求められる用途の場合含有させないことが好ましい場合がある。
【0047】
この低融点ガラスは400℃以下のガラス転移点を有するガラスであるため、400℃以上の温度に保持することにより封着が可能である。しかもその耐水性については、90℃の水に20時間の浸漬した後の単位表面積あたりの重量減少量が1mg/cm2以下である。また、40℃の10%硝酸溶液に20分間浸漬した後の単位表面積あたりの重量減少量が80〜700mg/cm2である。
【0048】
上記の封着用組成物は、焼成後の室温〜300℃の平均熱膨脹係数が80×10−7〜110×10−7/℃となるようにすることが好ましい。室温〜300℃における焼成後の封着用組成物の平均熱膨脹係数が上記範囲外になると、封着後のパネルガラス、ファンネルガラスまたは封着部に引張応力が働き、封着後のブラウン管の強度が低下する。
【0049】
【実施例】
本発明のカラー陰極線管は表に示すような封着用組成物を用い、以下のように作成した。すなわち、封着用組成物とビークルとを重量比で約12:1となるような量で混練、脱泡後、25インチ型のファンネルガラスのシール面に塗布し、乾燥後、パネルガラスをセットし、表に示す焼成条件で焼成、封着し、バルブを作成した。バルブについては後述する方法で、耐水圧強度試験とサルベージを実施した。結果を表に記載した。例1〜4は実施例、例5〜8は比較例である。
【0050】
封着用組成物については、常法にしたがって原料を調合、混合し、1000〜1200℃で溶融し、ガラス化した。次いでこれを水砕またはローラーを通すことによりフレーク状とした。これをボールミルにて所定時間粉砕し、表のガラス組成欄(単位:重量%)に示す低融点ガラス粉末を製造した。次いでこの低融点ガラス粉末と低膨脹セラミックスフィラー粉末とを表の構成欄(単位:重量%)に示す割合で混合し、封着用組成物を調製した。封着部の評価として、この封着用組成物の焼成体について、耐水性、溶酸性を測定し、結果を表に示した。それぞれの測定方法は以下の通りである。
【0051】
耐水圧強度:耐水圧槽の中で、バルブの内面を大気圧に保ち、外面側より水による圧力を連続的に加圧していき、破壊するときの圧力差を測定した(5個の平均値)。バルブとしての強度を保証するために、通常この耐水圧強度は3.5kg/cm2以上が望ましい。
【0052】
サルベージ:バルブを10%硝酸溶液中に30分間浸漬し、封着部の全周にほぼ一様に窪み(深さ1〜1.5mm)を形成し、その後、5分間程度このバルブの外面を70℃程度の湯水で温浴を行い、さらに35℃の冷水中に浸漬し、応力集中を受ける窪みからクラックを発生させる。その後再び湯水を使って熱衝撃によりクラックを進展させ分割する。クラックがガラスに進展していないものを良とし、ガラスに進展したものを不良とした。
【0053】
耐水性:封着用組成物の試料粉末を加圧成形し、これを表に示す焼成条件で焼成後に長さ30mm、直径5mmの円柱状に成形し、サンプルを調製した。これを90℃のイオン交換水に20時間浸漬し、単位表面積あたりの重量減少量を測定した。
【0054】
溶酸性:封着用組成物の試料粉末を加圧成形し、これを表に示す焼成条件で焼成後に長さ30mm、直径5mmの円柱状に成形し、サンプルを調製した。これを40℃の10%硝酸溶液に20分間浸漬し、単位表面積あたりの重量減少量を測定した。
【0055】
表から、本発明のカラー陰極線管は耐水性が大幅に向上しながら、耐水性と溶酸性とが両立しており、ガラス部品などの再利用が可能なものであることがわかる。なお、例5は耐水性を満足させながら、溶酸性が不充分なためサルベージができない例、例6、8は耐水性が満足できない例、例7は鉛を含まないという点で環境上問題にはならないが溶酸性が不充分なためサルベージができない例である。
【0056】
【表1】
【0057】
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、陰極線管用ガラスの封着部について酸に対する浸蝕性を適度に確保し、かつ水に対する鉛の溶出量の抑制を両立させることで、破損なしに再分割が可能でかつ鉛溶出による環境問題の発生を防止したカラー陰極線管を提供できる。
Claims (1)
- 低融点ガラスを含む組成物によりパネルガラス部とファンネルガラス部とが封着されたカラー陰極線管であって、
前記パネルガラス部とファンネルガラス部との封着部は、90℃の水に20時間浸漬した後の単位表面積あたりの重量減少量が1mg/cm2以下であり、かつ40℃の10%硝酸溶液に20分間浸漬した後の単位表面積あたりの重量減少量が80〜700mg/cm2であり、
前記封着部を構成する組成物が、実質的に低融点ガラスの粉末80〜99.9重量%と、熱膨張係数が70×10 −7 /℃以下である低膨脹セラミックフィラー粉末0.1〜20重量%とからなり、
前記低融点ガラスが、PbO、Bi 2 O 3 、B 2 O 3 およびZnOを含有し、それぞれの重量比がZnO/B 2 O 3 >1、Bi 2 O 3 /B 2 O 3 >1、PbO/B 2 O 3 ≦9、PbO/Bi 2 O 3 ≦8、およびPbO/ZnO≦8であり、
前記低融点ガラスが、実質的に重量%で以下の成分を含有することを特徴とするカラー陰極線管。
PbO 50〜70、
Bi 2 O 3 5〜40、
B 2 O 3 5〜15、
ZnO 5〜30、
SiO 2 0〜10、
BaO 0〜 5、
SrO 0〜 5、
CaO 0〜 5、
V 2 O 5 0〜 0.5
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