JP3905491B2 - 道路舗装用混合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路舗装等に使用する加熱アスファルト用の添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
石油から得られるアスファルトは道路舗装材料、ルーフィング材料、防水材料等に使用されるがその中でも特に道路舗装材料への需要が大きい。加熱アスファルト道路舗装は骨材とアスファルトを加熱混合し施工するが、アスファルトは無極性で疎水性であるため、親水性の骨材への付着が充分でなく、降雨や地下水などの水の介入作用によってアスファルトが骨材から剥離するという欠点を潜在的にもっており、従来から舗装体に使用する場合は、水が浸透しない様に空隙率をできるだけ小さくするよう施工時に留意している。
【0003】
しかし最近は舗装表層部に空隙の大きいアスファルト混合物を使用し、表面に滞留する雨水を舗装体内に流下させ、排水あるいは地中に浸透させる排水性舗装及び透水性舗装の需要が大きくなっている。
【0004】
排水性舗装の機能として、雨天時のハイドロプレーニング現象防止、スモーキング、ライト反射、水はね抑制及びタイヤ走行による騒音の減少等、交通安全、環境対策、サービスレベルの向上に直結するものであり、その機能は大きく受け入れられている。
【0005】
このように排水性舗装及び透水性舗装工法においては、積極的に空隙を利用し、舗装内部に水を浸透させるものであり、骨材とアスファルトとの付着性がより低下する傾向にあり、付着性を向上する材料が強く求められている。
【0006】
一般的に市販されている排水性舗装用アスファルトは高粘度改質アスファルトと呼ばれ、アスファルトにゴム及び/又は熱可塑性エラストマーが混入され、骨材飛散,空隙つぶれおよび流動化現象が発生し難く、バインダーとして高耐久性を維持できるように設計されている。しかし、排水性舗装および透水性舗装用混合物は、水浸状態に置かれやすいため、骨材との界面の接着性が低下し、剥離が発生しやすい状態となることは避けられない。
【0007】
また車両の大型化、重量化、交通量の増大に伴い、アスファルト舗装は、わだち掘れや流動化現象が発生し、交通の円滑化と走行性を損なっている。その対策としてこの用途においてもアスファルトにゴム及び/又は熱可塑性エラストマーを混入する方法が採用されているが、橋面舗装や地下水位の高い箇所の舗装等のように、雨水などが舗装体中に滞留しやすい箇所のアスファルト舗装にあっては、交通車両の繰返し載荷により、排水性舗装や透水性舗装と同様に剥離の問題が生じている。
【0008】
このようにアスファルトと骨材の付着性の改善は、加熱アスファルト舗装の性能向上のため極めて重要な問題であり、その解決のため従来種々の方法が考案されている。
【0009】
たとえば、特許文献1によれば、この対策として高級脂肪族ポリアルキレンポリアミンとカルボキシル基を有する変性ポリオレフィン樹脂の塩とを用いている。しかし、この技術では、加熱アスファルトへ添加した初期の付着性は改良されるが、高温でこのアスファルトを保存しておくと4〜7日で剥離防止する効果が低減するといった問題がある。
【0010】
また、特許文献2等では、上記問題点を解決する方法として、特定の酸性有機リン化合物が効果的であるとしているが、上述の従来提案されてきた他の添加剤に比較し付着性、剥離効果は向上しているものの、市場が要求する即効性という点で改善の余地を残している。
【0011】
近年では、アスファルトや骨材の品質低下が懸念される一方、資源の有効利用の観点から、舗装廃材を利用する再生工法も提案されているが、この場合には品質の低下したアスファルトを使用するので、強固な付着が期待できない。
【0012】
また、特許文献3には、没食子酸及び/又は没食子酸誘導体を含有するアスファルト乳剤が記載されているが、これはアスファルト乳剤系に関する技術であり、水を含有しない加熱アスファルトを用いた系についてのものではない。
【0013】
【特許文献1】
特開2001-2928号公報
【特許文献2】
特開昭60-188462号公報
【特許文献3】
特開平9-157530号公報
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(I)及び/又は(II)を含有する加熱アスファルト用添加剤に関する。なお、本発明の加熱アスファルトには、骨材等の混合時に加熱して用いられるアスファルトを含む。
(I)下記一般式(1)で表される化合物
【0015】
【化3】
【0016】
(II)下記一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物
【0017】
【化4】
【0018】
また、本発明は、上記本発明の添加剤を100〜300℃に加熱されたアスファルトに配合してなる加熱アスファルト組成物に関する。
【0019】
また、本発明は、上記本発明の添加剤と100〜300℃に加熱されたアスファルトとを配合してなる加熱アスファルト組成物であって、前記添加剤をアスファルトに対して0.005〜3重量%含有する加熱アスファルト組成物に関する。
【0020】
また、本発明は、上記本発明の添加剤とアスファルトと骨材とを混合し、アスファルトと骨材の剥離を防止する方法であって、前記添加剤が水を含有しない、アスファルトと骨材の剥離防止方法に関する。
【0021】
また、本発明は、上記本発明の添加剤を、100〜300℃に加熱されたアスファルトに対して0.005〜3重量%添加するアスファルトの剥離防止方法に関する。
【0022】
また、本発明は、上記本発明の添加剤を、100〜300℃に加熱されたアスファルトに対して0.005〜3重量%添加する加熱アスファルト組成物の製造方法に関する。
【0023】
更に本発明は、上記本発明の加熱アスファルト組成物と、骨材とを含有する道路舗装用混合物、並びに該道路舗装用混合物を用いた舗装に関する。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の加熱アスファルト用添加剤に用いられる一般式(1)の化合物は、ベンゼン環に置換する−OH基を有する。本発明では、一般式(1)の化合物は単独で用いてもよく、又2種以上を併用することもできる。
【0025】
また、本発明のアスファルト用添加剤に用いられる一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物は、それぞれ別途用意されたものを併用することもできる。
【0026】
一般式(1)中のR1又は一般式(3)中のR3は、それぞれ炭素数8〜22の炭化水素基であり、飽和又は不飽和、分岐鎖又は直鎖のいずれでもよく、環を含んでもよい。好ましくは炭素数10〜20の炭化水素基、さらに好ましくは、炭素数10〜18の直鎖炭化水素基である。このような炭化水素基としては、例えば、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ステアリル、ラウリル、ミリスチル、ニエチルヘキシル、等のアルキル基があり、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、トリデシルフェニル、テトラデシルフェニル等のアルキルフェニル基がある。R1及びR3は炭素数8〜22のアルキル基が好ましく、炭素数10〜18の直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0027】
また、一般式(2)中のR2は、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、加熱アスファルト中で一般式(3)の化合物とエステル化反応又はエステル交換反応を生じるものであればよい。一般式(2)中のR2の炭化水素基は、飽和又は不飽和、分岐鎖又は直鎖のいずれでもよく、環を含んでもよい。好ましくは炭素数10〜20の炭化水素基、さらに好ましくは、炭素数10〜18の直鎖炭化水素基である。このような炭化水素基としては、例えば、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ステアリル、ラウリル、ミリスチル、ニエチルヘキシル、等のアルキル基があり、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、トリデシルフェニル、テトラデシルフェニル等のアルキルフェニル基がある。R2は炭素数8〜22のアルキル基が好ましく、炭素数10〜18の直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0028】
一般式(1)又は(3)に用いる脂肪族アミンとしては、牛脂モノアミンに代表される高級脂肪族ポリアミンである。牛脂、トール油、椰子油等を原料として得られたアミンを用いることができる。脂肪族アミンとして、n又はmが5以下のポリアミンを用いることができる。一般式(1)中のn又は一般式(3)中のmは、それぞれ0〜5であり、3以下が好ましく、
【0029】
【化5】
【0030】
の場合は1以上が好ましい。
【0031】
一般式(1)の化合物の製造方法は特に限定されるものではないが、炭素数が8〜22のアルキルアミンとアルカリ及び強酸触媒の存在下、加水分解可能なタンニン物質に含有されている没食子酸を、100℃以上の高温下で反応させる方法が挙げられる。反応性の観点から、炭素数1〜22の飽和又は不飽和、分岐鎖又は直鎖のアルコールと没食子酸を強酸存在下、100℃以上の高温下でエステル化反応を行い、更に150℃以上の高温下でアルキルアミンを滴下してアンモノリシス反応を行うことで容易に没食子酸アルキルアミド化物を得る事が出来る。低級アルコールを使用した場合、アンモノリシス反応が進むと揮発してくるため、これを回収する事でより高い純度の没食子酸アルキルアミド化物を得る事が出来る。
【0032】
触媒を使用しないでも製造する事は可能であるが、反応時間を短縮する観点から反応触媒の使用が好ましい。反応触媒として使用する強酸としてはなるべく無水の形の例えば硫酸、塩化水素、p−トルエンスルホン酸が適する。アルカリ触媒としては、例えばソジウムメチラートが適する。
【0033】
一般式(1)で表される化合物を含有する本発明の加熱アスファルト組成物が付着性と剥離防止効果を速やかに発現する理由は、必ずしも明確ではないが、一般式(1)で表される化合物中の-OH基と骨材表面のSi基とが水素結合することによるものと考えられる。また、一般式(1)で表される化合物は、アスファルトとの混合性が良好であるため、骨材とアスファルトの結合が強固になると考えられる。また、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を併用した場合も、一般式(2)の化合物と一般式(3)の化合物が加熱アスファルト中でアミド化反応又はエステル結合がアミド結合にアンモノリシス反応で、一般式(1)の化合物を生成し、効果を発揮するものと考えられる。また、アスファルト組成物が長期間加熱された場合には、一般式(2)の化合物のラジカルが生成し、アスファルトと反応して一般式(1)の化合物と類似の構造を形成し、長期間加熱しても付着性と剥離防止効果が維持され、耐性が発現するものと考えられる。
【0034】
なお、一般式(2)の化合物と一般式(3)の化合物を併用する場合、両者の重量比は、(2)/(3)=90/10〜10/90、更に70/30〜30/70、特に60/40〜40/60が好ましい。
【0035】
本発明の添加剤はゴム及び/又は熱可塑性エラストマーを含有するアスファルトに用いることができる。ゴム及び/又は熱可塑性エラストマーは、ゴム類として天然ゴムやスチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエンブロック共重合物、スチレン−イソプレンブロック共重合物、エチレン−酢酸ビニル共重合物、エチレン−エチルアクリレートの共重合物、あるいは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンの単独重合物あるいはこれらを組み合わせた共重合物等が挙げられる。特に、スチレン−ブタジエンブロック共重合物、スチレン−イソプレンブロック共重合物が、耐摩耗性、耐流動性及び耐久性の向上の点で好ましい。
【0036】
また、本発明に用いられるゴム及び/又は熱可塑性エラストマーは、合計でアスファルト100重量部に対して好ましくは1〜25重量部、より好ましくは3〜23重量部、特に好ましくは6〜20重量部の比率で添加することが、耐摩耗性、耐流動性及び耐久性を向上させる点で望ましい。ゴム及び/又は熱可塑性エラストマーが1重量部未満では、耐摩耗性、耐流動性及び耐久性が不十分であり、25重量部を超えると、耐摩耗性、耐流動性及び耐久性は十分でも経済的ではなく、均質な改質アスファルトの製造も困難となる。
【0037】
本発明の添加剤中の下記一般式(1)で表される化合物及び/又は下記一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物の含有量は、50〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましく、85〜100重量%が特に好ましい。
本発明の添加剤は、アスファルト100重量部に対して好ましくは0.01〜3重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、さらに好ましくは0.03〜1.5重量部の添加量で使用される。
【0038】
なお、本発明の添加剤においては、一般式(1)で表される化合物、及び/又は一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物の合計の比率がアスファルトに対して0.005〜3重量%、更に0.01〜2重量%、特に0.03〜1.5重量%であることが好ましい。この範囲でアスファルトと骨材との剥離防止が顕著となる。
【0039】
本発明に使用するアスファルトとしては、レーキアスファルト等の天然アスファルト、カットバックアスファアルト、石油タール、ピッチ、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト(例えば、プロパン脱瀝アスファルト)等の石油アスファルトが挙げられ、これらのアスファルトは単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。そのほかに人工アスファルトを任意の割合でブレンドしたものも、原料アスファルトとして使用できる。本発明で使用する人工アスファルトの一例としては、例えば石油系配合油と粘着付与剤樹脂類とを、重量百分率で、石油系配合油:粘着付与剤樹脂類=(0〜100重量%):(100〜0重量%)の割合で配合したものである。
【0040】
本発明で使用する石油系配合油とは、プロセスオイルとも呼ばれ、芳香族炭素数が全炭素数の35重量%以上である芳香族系、ナフテン環炭素数が全炭素数の30〜45重量%であるナフテン系、及び、パラフィン側鎖炭素数が全炭素数の50重量%以上であるパラフィン系などがあり、本発明においては、これらのうちの1種若しくは2種以上が適宜使用される。石油系配合油の代わりに潤滑油を使用しても良く、また、両者を併用しても良い。両者を併用する場合は、その合計量が所定の量であれば良い。潤滑油としては、石油系潤滑油、合成潤滑油、脂肪油などが挙げられ、これらはそのうちの1種又は2種以上が適宜使用できるが、合成潤滑油を用いるのが最も好ましい。石油系潤滑油とは、原油の常圧蒸留の蒸留残油として得られる沸点およそ30℃以上の重油を、真空蒸留によって各種流出油に分け、それぞれに、例えば、脱ロウ、硫酸処理、溶剤抽出、脱アスファルト、白土処理などの適当な精製処理を行い、最終製品に仕上げたものである。合成潤滑油とは有機合成法によって製造される潤滑油で、一般に用途によって区分けされ、例えば、スピンドル油、コンプレッサ油、ダイナモ油、タービン油、マシン油、エンジン油、ジェットエンジン油、作動油などが挙げられる。脂肪油とは、主として石油系潤滑油に混合し、混成油として油性あるいは乳化性を必要とする用途に使用されるものである。
【0041】
本発明で使用する粘着付与剤樹脂類としては、天然系樹脂及び合成系樹脂のいずれをも使用することができるが、天然系樹脂ではテルペン樹脂を、また、合成系樹脂では石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂などの重合系樹脂を使用するのが良い。石油樹脂としては、ナフサ分解生成物の蒸留により分離される沸点が20〜60℃の留分(C5留分)を主成分とする脂肪族系(C5系)石油樹脂、同じくナフサ分解生成物の蒸留により分離される沸点が160〜260℃の留分(C9留分)を主成分とする芳香族系(C9系)石油樹脂、これらC5系及びC9系石油樹脂を共重合させた脂肪族/芳香族共重合系(C5/C9系)石油樹脂、及び、主としてナフサ分解生成物の蒸留により分離される高純度のジシクロペンタジエンを主成分とする脂環族系(DCPD系)石油樹脂テルペン類とフェノール類を共重合させたテルペンフェノール樹脂などがあり、そのほかに天然ワックス、合成ワックス、配合ワックスなどの石油系、石炭系およびポリマ系の各種のワックス類も同様に使用することができる。これらには、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、スラックワックス、フィシャートロプッシュワックス、カスターワックス、水素化ワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどがあり、本発明においてはこれらのうちの1種若しくは2種以上が併用して使用される。
【0042】
本発明の添加剤のアスファルトへの添加方法は、特に限定されるものではないが、100〜300℃、好ましくは120〜280℃、更に好ましくは150〜250℃に加熱溶融したアスファルトに撹拌下、所定量添加すればよい。また、本発明の添加剤はアスファルトへの溶解性、親和性が良く、熱対流あるいは運搬時の振動程度で充分均一混合されるため、撹拌はなくても良いが、即効性を要求されるときは撹拌して混合することが好ましい。更にゴム及び/又は熱可塑性エラストマーを添加する場合は、本発明の添加剤とゴム及び/又は熱可塑性エラストマーを加熱したアスファルトに同時に添加しても、別々に添加しても良い。別々に添加する場合、その添加順序は特に限定されるものではない。
【0043】
本発明の加熱アスファルト組成物と混合する骨材として、砕石、砂、及びフィラーはアスファルト舗装要綱、舗装設計施工指針、舗装施工便覧(いずれも(社)日本道路協会編)に準ずるものに適用できることはいうまでもないが、それ以外の各種低品位骨材や再生骨材など材質などに関わりなく本発明に供することができる。砕石、砂、フィラーからなる骨材の配合割合は、本発明の加熱アスファルト組成物1〜15重量部、骨材99〜85重量部が好ましい。
【0044】
本発明の添加剤を含有する道路舗装用混合物は、本発明の加熱アスファルト組成物を100〜300℃に加熱し、予め100〜300℃に加熱した砕石、砂、及びフィラー等の骨材と混練りすることにより製造する。予め加熱したアスファルトに本発明の(I)及び/又は(II)の化合物とゴム及び/又は熱可塑性エラストマーを添加するすることにより、アスファルト中に均一に分散した加熱アスファルト組成物が得られる。この加熱アスファルト組成物と骨材とを混練りすることにより、均質な道路舗装用混合物が得られる点で好ましい。本発明の(I)及び/又は(II)の化合物とゴム及び/又は熱可塑性エラストマーを予め砕石、砂、フィラー等に混ぜると、局在化して不均質になりやすい。
【0045】
本発明の添加剤以外に、各種脂肪族アミンを併用することもできる。これらは分子中に窒素原子を有することにより、初期のアスファルトの骨材への濡れ性をさらに向上させる目的で使用される。アミン類に特に制限はないが、脂肪族アミンとしては、牛脂プロピレンジアミンに代表される高級脂肪族ポリアミン及びその誘導体、アルキルヒドロキシアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルキロールアミンなどがある。
【0046】
本発明の添加剤を含有する加熱アスファルト組成物にはそれぞれの目的に応じて、炭酸カルシウム、消石灰、セメント、活性炭などの無機充填材及び有機充填材、石油樹脂、低分子ポリエチレンなどの石油系軟化剤、オレイン酸などの植物油系軟化剤、各種の可塑剤及びイオウなどを添加することができる。
【0047】
また、本発明の添加剤を含有する加熱アスファルト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲である1重量%以下の水を含有していてもよいが、加熱したアスファルト系であるという観点から、水の含有量は、好ましくは0.2重量%、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0重量%で使用される。
【0048】
また、本発明の添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲であれば水をごく少量含有していてもよいが、加熱したアスファルトに添加するという観点から、好ましくは水を含有しない状態で使用されることである。
【0049】
本発明の添加剤を含有する加熱アスファルト組成物は、道路舗装材料、ルーフィング材料、防水材料等に使用できるが、剥離防止性能が優れることから、その中でも特に本発明の道路舗装用混合物を用いた舗装、更に好ましくは高空隙率の排水性舗装及び透水性舗装や、重交通道路舗装に好適である。
【0050】
本発明の添加剤をアスファルトに添加することで、アスファルトの剥離防止方法が提供されるが、その場合、該添加剤は水を含有しないことが好ましい。また、本発明の添加剤を、100〜300℃に加熱されたアスファルトに対して0.005〜3重量%添加することで、アスファルトの剥離防止が達成される。
【0051】
【実施例】
実施例1
(加熱アスファルト組成物の製造法)
180℃に加熱溶融したアスファルトと表1に記載の化合物を所定量加え、180℃でタービン型攪拌羽根を用いて、均一になるまで1〜3分間混合することにより、加熱アスファルト組成物を得た。得られた加熱アスファルト組成物について、下の剥離試験を行い、その結果を表1に示した。
【0052】
(剥離試験法)
アスファルト舗装要綱(日本道路協会発行)に記載のアスファルト皮膜の剥離試験に準じて、以下に示す方法でアスファルトと骨材の剥離性ついて試験した。
【0053】
宝塚産の骨材(石英斑岩)と葛生産の骨材(石灰岩)のうち、13mmフルイを通過し5mmフルイに止まる粒度のものを各々100gをとり、よく洗浄し次に300mlの金属製容器に入れて乾燥させる。これを予め150℃の温度に保ってある恒温乾燥機に入れて1時間加熱する。一方、アスファルト組成物を180℃の恒温乾燥機中で所定時間(2時間又は48時間)加熱した後、その5.5gを上記の骨材に加える。これをアスファルトが完全に砕石表面を被覆するように2〜3分ヘラで良く攪拌する。次にこれをガラス板上に広げ1時間放置し室温まで冷却してアスファルトを硬化させる。上記の被覆骨材を、80℃に保った恒温水槽の温水中に60分間浸漬し30分後に冷却した後、室温で乾燥し、上方より被覆骨材の状態を肉眼で観察し、試験開始時におけるアスファルト組成物皮膜の面積を基準として剥離したアスファルト組成物皮膜の面積百分率を求めた。これを剥離率として表す。
【0054】
【表1】
【0055】
【化6】
【0056】
表1に示すように、本発明品の加熱アスファルト用添加剤を含有する加熱アスファルト組成物は、酸性岩及び塩基性岩のいずれの骨材に対しても強固な付着性を示し、長時間の加熱条件を受けても効果を失うことがない。また、アスファルトとの混合時間を非常に短くしても付着性、剥離防止効果は従来使用されていたものよりもよく、即効性が充分発揮されていることがわかる。アルキル基R1又はR2に環構造を有する化合物、例えばトール油モノアミン没食子酸アミド等、を用いても同様の効果が得られる。
【0057】
更に本発明品では、アスファルトに対する添加量が0.03重量%でも比較品を0.5重量%添加した場合と同等以上の効果が得られることがわかる。
【0058】
【発明の効果】
本発明の加熱アスファルト用添加剤は、加熱アスファルトと骨材の付着を強固にする。その結果、加熱アスファルト舗装で極めて優れた剥離防止効果を発現させることが可能となる。
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