JP3905237B2 - バランスシリンダの制御方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支点回りのモーメントを打ち消す補佐力を発揮するバランスシリンダの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らによれば、水平軸が形成された揺動部材上で移動する軸部材の先端に工具を保持させ、軸部材の進退移動や揺動部材の揺動を用いて工具を位置決めする工作機が提案される。こうした工作機では、水平軸に連結されるサーボモータの働きによって揺動部材の揺動量は制御される。
【0003】
こうした揺動量の制御では、工具が保持された軸部材の重心が水平軸上に位置すれば、サーボモータの駆動力を最小限に留めることができる。反対に、軸部材の重心が水平軸から離れていれば、軸部材にはモーメントが働き、サーボモータはモーメントを打ち消す駆動力を発揮しなければならない。こうした場合には、サーボモータ以外の駆動源から補佐力を加え、この補佐力によってモーメントを打ち消すことによってサーボモータの駆動力を最小限に留めることができる。駆動源には例えば一定の補佐力を発揮する加圧シリンダすなわちバランスシリンダが用いられることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、工具に代えて軸部材の先端にパレットを装着させ、軸部材の進退移動や揺動部材の揺動を用いてパレット上のワークを搬送する工作機を提案する。こうした工作機によれば、工作機とは別にワーク搬送装置を用意する必要がなくなり、設備コストの低減に寄与することができる。
【0005】
このような工作機では、軸部材にワークの重量が作用するときと、ワークの重量から軸部材が解放されるときとで、水平軸回りに生み出されるモーメントは大きく変動する。したがって、こうしたモーメントの変動にバランスシリンダの補佐力が追随しなければ、モーメントの釣り合いは崩され、サーボモータに余分な負荷が作用してしまう。その結果、サーボモータは、揺動部材の揺動量を正確に制御することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、搬送物の重量に起因して支点回りのモーメントが大きく変動してもバランスシリンダの適切な補佐力を確保し続けることができるバランスシリンダの制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1発明によれば、水平軸が形成された揺動部材上で移動する軸部材の先端に搬送物が支持される際に、搬送物の重量に起因して移動する軸部材の重心位置を特定する工程と、特定された重心位置を基準に、水平軸回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの補佐力を算出する工程とを備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法が提供される。
【0008】
揺動部材に対してバランスシリンダの補佐力を作用させ、重心の偏倚に起因して生み出されるモーメントを打ち消せば、最小限の駆動力で揺動部材の姿勢は制御されることができる。揺動部材上で軸部材が移動する場合でも、その重心位置を基準に補佐力が調整されれば、軸部材の移動に伴って変化するモーメントは打ち消され続けることができる。その一方で、こうした軸部材の先端に搬送物が支持されると、搬送物の重量に起因してモーメントは大きく変動する。このとき、搬送物の重量に起因して軸部材の重心は移動する。したがって、こうして移動した重心を基準にバランスシリンダの補佐力を算出すれば、変動するモーメントにバランスシリンダの補佐力を追随させることができる。その結果、搬送物が支持された際でもモーメントの釣り合いは保持され、揺動部材の姿勢を制御する制御モータにはバランスシリンダから余分な負荷は作用しない。制御モータは、揺動部材の揺動量を正確に制御し続けることができる。
【0009】
こうしたバランスシリンダの制御方法は、前記搬送物の重量から解放された軸部材の基準重心位置を特定する工程と、特定された基準重心位置を基準に、水平軸回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの解放時補佐力を算出する工程とをさらに備えてもよい。こうした制御方法によれば、軸部材が搬送物の重量から解放された際でも、特定された基準重心位置を基準に補佐力が調整されれば、重心の偏倚に起因して生み出されるモーメントは打ち消され続けることができる。その結果、モーメントの釣り合いは保持され、揺動部材の姿勢を制御する制御モータにはバランスシリンダから余分な負荷は作用しない。制御モータは、揺動部材の揺動量を正確に制御し続けることができる。
【0010】
バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材に沿って前記水平軸の軸心から前記基準重心位置までの距離を示す変位量を取得する工程と、この変位量に足し合わされて、搬送物の重量に応じ軸部材に沿って軸部材の前記重心位置を規定する変数値を取得する工程とをさらに備えてもよい。こうした制御方法によれば、軸部材に搬送物の重量が作用するときと、軸部材が搬送物の重量から解放されたときとで、バランスシリンダの補佐力を瞬時に切り替えることができる。しかも、搬送時の重心位置を基準に規定されるバランスシリンダの補佐力は、基準重心位置を基準に規定される補佐力を応用して設定されることができる。
【0011】
バランスシリンダの補佐力を算出するにあたって、バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材の先端の位置を取得する工程と、取得された位置に基づき、軸部材の移動に起因する前記モーメントの変動に前記補佐力を追随させる工程とを備えてもよい。揺動部材上で軸部材が移動すると、軸部材の移動に伴って軸部材の重心位置は移動する。この移動に起因して水平軸回りに生み出されるモーメントは変動する。したがって、モーメントの変動に追随してバランスシリンダの補佐力を変化させれば、軸部材の移動に拘わらずモーメントの発生を抑制し続けることができる。その結果、揺動部材の姿勢を制御する制御モータは、最小限の駆動力を発揮すれば済むこととなる。
【0012】
前記補佐力を追随させるにあたって、バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材に沿って前記水平軸の軸心から前記重心位置までの距離を示す変位量を取得すればよい。モーメントの変動は、軸部材の重心と水平軸の軸心との距離に依存する。したがって、取得された変位量を用いれば、モーメントの変動具合を特定することができる。こうした変位量に基づきバランスシリンダの補佐力が算出されれば、モーメントの変動に追随して補佐力を変化させることができることとなる。このとき、軸部材では、軸方向に沿って均一に重量が分布すればよい。
【0013】
前記変位量を取得するにあたって、前記水平軸の軸心上で前記重心位置が規定される際に確立される軸部材先端のゼロ位置と、前記軸部材の移動に伴う軸部材先端の位置との差分が求められてもよい。こうしてゼロ位置が特定されれば、軸部材先端の位置に基づき簡単に変位量を導き出すことができる。
【0014】
また、バランスシリンダの制御方法は、前記補佐力を算出するにあたって、単位変位量当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインを取得してもよい。軸方向に沿って軸部材の重量分布が均一であれば、モーメントの変動と変位量との間に比例関係が確立される。したがって、こうした比例関係を規定するシリンダ出力ゲインを用いれば、簡単にバランスシリンダの補佐力を導き出すことができる。こうした補佐力を算出するにあたっては、シリンダ出力ゲインと変位量との積が求められればよい。
【0015】
以上のようなバランスシリンダの制御方法は、水平軸回りで前記揺動部材が揺動する際に水平軸回りの角加速度を取得する工程と、取得された角加速度を生成するバランスシリンダの加減速補佐力を算出する工程と、前記補佐力および加減速補佐力に基づいてシリンダ出力値を算出する工程とをさらに備えてもよい。水平軸回りに揺動部材を揺動させる場合、揺動開始時には水平軸回りの角加速度が必要とされる。反対に、揺動停止時には水平軸回りの角減速度が必要とされる。算出された加減速補佐力を用いれば、バランスシリンダの働きによって、揺動に必要とされる角加速度や角減速度を生み出すことができる。したがって、揺動部材の姿勢を制御する制御モータは余分な駆動力を発揮する必要はなくなる。
【0016】
こうしたバランスシリンダの制御方法は、前記加減速補佐力を算出するにあたって、単位加速度当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインを取得してもよい。一般に、揺動に必要とされる角加速度や角減速度の大きさと加減速補佐力との間には比例関係が確立される。したがって、こうした比例関係を規定するシリンダ出力ゲインを用いれば、簡単にバランスシリンダの加減速補佐力を導き出すことができる。こうした加減速補佐力を算出するにあたっては、シリンダ出力ゲインと角加速度や角減速度との積が求められればよい。
【0017】
また、第2発明によれば、支点回りで揺動する軸部材の先端に搬送物が支持される際に、搬送物の重量に起因して移動する軸部材の重心位置を特定する工程と、特定された重心位置を基準に、支点回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの補佐力を算出する工程とを備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法が提供される。
【0018】
揺動部材に対してバランスシリンダの補佐力を作用させ、重心の偏倚に起因して生み出されるモーメントを打ち消せば、最小限の駆動力で揺動部材の姿勢は制御されることができる。その一方で、こうした軸部材の先端に搬送物が支持されると、搬送物の重量に起因してモーメントは大きく変動する。このとき、搬送物の重量に起因して軸部材の重心は移動する。したがって、こうして移動した重心を基準にバランスシリンダの補佐力を算出すれば、変動するモーメントにバランスシリンダの補佐力を追随させることができる。その結果、搬送物が支持された際でもモーメントの釣り合いは保持され、揺動部材の姿勢を制御する制御モータにはバランスシリンダから余分な負荷は作用しない。制御モータは、揺動部材の揺動量を正確に制御し続けることができる。
【0019】
こうしたバランスシリンダの制御方法は、前記搬送物の重量から解放された軸部材の基準重心位置を特定する工程と、特定された基準重心位置を基準に、支点回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの解放時補佐力を算出する工程とをさらに備えてもよい。こうした制御方法によれば、前述と同様に、軸部材が搬送物の重量から解放された際でも、重心の偏倚に起因して生み出されるモーメントは打ち消され続けることができる。その結果、モーメントの釣り合いは保持され、揺動部材の姿勢を制御する制御モータにはバランスシリンダから余分や負荷は作用しない。
【0020】
バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材に沿って前記水平軸の軸心から前記基準重心位置までの距離を示す変位量を取得する工程と、この変位量に足し合わされて、搬送物の重量に応じ軸部材に沿って軸部材の前記重心位置を規定する変数値を取得する工程とをさらに備えてもよい。こうした制御方法によれば、前述と同様に、軸部材に搬送物の重量が作用するときと、軸部材が搬送物の重量から解放されたときとで、バランスシリンダの補佐力を瞬時に切り替えることができる。
【0021】
バランスシリンダの補佐力を算出するにあたって、バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材に沿って前記搬送物の位置を取得する工程と、取得された位置ごとに特定される前記モーメントの大きさに応じて前記補佐力を変化させる工程とを備えてもよい。かかる制御方法によれば、前述と同様に、軸部材の進退移動に拘わらずモーメントの発生を抑制し続けることができる。
【0022】
前記補佐力を変化させるにあたって、バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材に沿って前記支点から前記重心位置までの距離を示す変位量を取得すればよい。かかる制御方法によれば、前述と同様に、簡単にモーメントの変動具合を特定することができる。しかも、前述と同様に、前記補佐力を算出するにあたっては、前述と同様に、単位変位量当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインが取得されればよい。
【0023】
第2発明に係るバランスシリンダの制御方法は、第1発明と同様に、支点回りで前記軸部材が揺動する際に支点回りの角加速度を取得する工程と、取得された角加速度を生成するバランスシリンダの加減速補佐力を算出する工程と、前記補佐力および加減速補佐力に基づいてシリンダ出力値を算出する工程とをさらに備えてもよい。しかも、前記加減速補佐力を算出するにあたっては、前述と同様に、単位加速度当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインが取得されればよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0025】
図1は、バランスシリンダ10を備える工作機11を概略的に示す。この工作機11は、工具12が装着される軸部材としてのスピンドル13と、スピンドル13に装着された工具12に対してワークを向かい合わせに保持するワーク台14とを備える。ワーク台14に保持されるワークを加工するにあたって、スピンドル13は、軸心回りに高速で工具12を回転させることができる。
【0026】
スピンドル13には、工具12に代えて、ワークを搬送するパレット(図示せず)が装着されることができる。パレットは、ワーク台14にワークを受け渡したり、ワーク台14からワークを受け取ったりすることができる。
【0027】
スピンドル13は、揺動部材としてのクイル15に進退自在に支持される。クイル15には、スピンドル13に平行に延びるねじ軸16が支持される。スピンドル13の後端には、ねじ軸16に噛み合うナット部材17が固定される。駆動モータ18の働きを通じてねじ軸16が軸心回りに回転すると、ねじ軸16上をナット部材17が移動し、その結果、スピンドル13の進退移動が実現される。この進退移動によって、スピンドル13先端に装着された工具12やパレットはワーク台14に向かって前進したりワーク台14から後退したりする。スピンドル13の進退移動量は、周知のとおり、駆動モータ18の回転量に基づいて決定される。
【0028】
クイル15には水平軸20が形成される。この水平軸20には制御モータ21(例えばサーボモータ)が連結される。制御モータ21の働きを通じて、クイル15は、水平軸20回りで揺動することができる。このクイル15の揺動に基づき、ワーク台14に対する工具12やパレットの姿勢は決定される。クイル15の揺動量は、制御モータ21の回転量によって特定されることができる。
【0029】
水平軸20には、水平軸20回りで揺動する腕部材22を介してバランスシリンダ10の駆動軸23が連結される。このバランスシリンダ10は、腕部材22に作用して水平軸20回りのモーメントを生む補佐力を発揮する。この補佐力の働きによって、後述するように、スピンドル13の進退移動に起因する水平軸20回りのモーメントは打ち消される。その結果、クイル15の揺動量を制御する制御モータ21の駆動力は最小限に留められることができる。こうした駆動力の最小化は、制御モータ21の小型化や調達コストの低減に寄与することができる。
【0030】
しかも、このバランスシリンダ10は、水平軸20回りでクイル15が揺動する際に、水平軸20回りの角加速度を生成する加減速補佐力を発揮することができる。こうした加減速補佐力によれば、クイル15の揺動開始時に必要とされる加速や、クイル15の揺動終了時に揺動の慣性力に逆らう減速を生むことができる。その結果、制御モータ21の駆動力を増大させずに、クイル15の姿勢すなわち工具12やパレットの姿勢を高速で制御することが可能となる。
【0031】
図2に示されるように、バランスシリンダ10には、駆動軸23が形成されるピストン24を挟んで第1および第2圧力室25、26が形成される。第1および第2圧力室25、26の圧力は、ポンプといった圧力源27から圧力を導く第1および第2バルブ28、29によって調整される。第1および第2バルブ28、29は、空気といった圧力媒体の流通路を間欠的に開閉し、第1および第2圧力室25、26内の圧力を一定に保つことができる。バランスシリンダ10の補佐力は、第1および第2圧力室25、26内の圧力と、その圧力が作用するピストン24の面積とに基づいて特定される。
【0032】
図3に示されるように、駆動モータ18の回転や制御モータ21の回転、第1および第2バルブ28、29の開閉頻度はコントローラ30によって制御される。コントローラ30は、スピンドル13先端の位置を取得する工具位置取得回路31を備える。スピンドル13先端の位置は、例えばスピンドル13の進退移動量と、クイル15の揺動角度とによって特定されることができる。
【0033】
第1制御量算出回路32は、特定された進退移動量に基づき駆動モータ18の回転量を算出する。一方、第2制御量算出回路33は、特定された揺動角度に基づき制御モータ21の回転量を算出する。算出された回転量で駆動モータ18が回転すると同時に、算出された回転量で制御モータ21が回転すると、スピンドル13の先端に保持される工具12やパレットは指定された位置まで移動することができる。
【0034】
変位量算出回路34は、エンコーダ35で検出される駆動モータ18の回転量に基づき、スピンドル13の重心と水平軸20の軸心との距離を示す変位量を算出する。こうした変位量は、水平軸20の軸心上でスピンドル13の重心が規定される際に特定されるスピンドル13先端の位置すなわちゼロ位置を基準に、スピンドル13先端の変位によって特定されることができる。
【0035】
メモリ36には、スピンドル13の軸方向に沿って、ワークの重量から解放されたスピンドル13の基準重心位置を規定する基準座標値と、同じくスピンドル13の軸方向に沿って、スピンドル13先端のパレットにワークが積載された際にワークおよびパレットの重量に起因して移動するスピンドル13の重心位置を規定する変数値とが記憶される。基準座標値によれば、水平軸20の軸心上で基準重心位置が規定される際に確立されるスピンドル13先端の位置すなわちゼロ位置が特定される。基準座標値に変数値が足し合わされると、ワーク搬送時に水平軸20の軸心上で重心位置が規定される際に確立されるゼロ位置が特定されることができる。
【0036】
補佐力算出回路37は、算出された変位量に基づき、スピンドル13の進退移動に伴う重心の偏倚に起因する水平軸回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダ10の補佐力を算出する。この算出にあたって、補佐力算出回路37は、単位変位量当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインKpをメモリ36から取得する。このシリンダ出力ゲインKpに変位量が掛け合わされると、バランスシリンダ10の補佐力は算出される。シリンダ出力ゲインKpには、工具12や搬送ワークの重量に応じて異なる出力増減値が設定される。
【0037】
角加速度算出回路38は、エンコーダ39で検出される制御モータ21の回転量に基づき、水平軸回りのクイル15の角加速度を算出する。加減速補佐力算出回路40は、算出された角加速度を生成するバランスシリンダ10の加減速補佐力を算出する。この算出にあたって、加減速補佐力算出回路40は、単位加速度当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインKdをメモリ36から取得する。このシリンダ出力ゲインKdに角加速度が掛け合わされると、バランスシリンダ10の加減速補佐力は算出される。シリンダ出力ゲインKdには、工具12や搬送ワークの重量に応じて異なる出力増減値が設定される。
【0038】
シリンダ出力設定回路41は、算出された補佐力および加減速補佐力に基づきバランスシリンダ10の出力値を算出する。第1および第2バルブ制御回路42、43は、算出された出力値を実現する第1および第2バルブ28、29の開閉頻度を示す制御信号を生成する。生成された制御信号は第1および第2バルブ28、29に各々供給される。
【0039】
次にバランスシリンダ10の制御方法を説明する。いま、スピンドル13に装着された工具12を用いて、ワーク台14に設置されたワークに加工を施す場面を想定する。コントローラ30には、単位時刻(例えば1msおき)ごとに工具12の位置を特定するNCプログラムが入力される。第1制御量算出回路32は、単位時刻ごとにスピンドル13の進退移動量を特定し、駆動モータ18の回転速度を算出する。算出された回転速度に基づき、駆動モータ18に供給される指令信号は作成される。
【0040】
駆動モータ18の回転に応じて工具12が移動すると、変位量算出回路34は、単位時刻ごとにゼロ位置からの工具12の変位量を算出する。この算出にあたって、変位量算出回路34はメモリ36から基準座標値を取り込む。この基準座標値によって、水平軸20の軸心上で基準重心位置が規定される際に確立されるスピンドル13先端のゼロ位置が特定される。このゼロ位置によって、ワークの重量から解放されたスピンドル13の基準重心位置は特定される。変位量算出回路34は、スピンドル13の進退移動に伴うスピンドル13先端の位置とゼロ位置との差分を算出する。
【0041】
算出された変位量に基づき、補佐力算出回路37は、バランスシリンダ10の解放時補佐力F1を算出する。シリンダ出力設定回路41は、算出された解放時補佐力F1を発揮するバランスシリンダ10の出力値を算出する。第1および第2バルブ制御回路42、43は、算出された出力値を実現する第1および第2バルブ28、29の開閉頻度を示す制御信号を第1および第2バルブ28、29に供給する。
【0042】
例えば、工具12がゼロ位置に位置すれば、工具12が装着されたスピンドル13の重心は水平軸20の軸心上で規定される。このとき、水平軸20回りにモーメントは発生しない。したがって、最小限の拘束力でクイル15の揺動を拘束することができる。制御モータ21は、水平軸20に対して大きな駆動力を作用させずに済む。
【0043】
その一方で、例えば図4に示されるように、変位量Dvarでゼロ位置から工具12が前進すると、コントローラ30は、第2バルブ制御回路43で生成される制御信号に基づき第2バルブ29を作動させ、第2圧力室26に圧力を導入する。この圧力によって、バランスシリンダ10は、工具12を上昇させる方向に腕部材22を揺動させる。この揺動によって、水平軸20には、補佐力算出回路37で算出される解放時補佐力F1と、腕部材22の長さD1、すなわち、水平軸20の軸心から駆動軸23の作用点までの距離との積によって特定されるモーメントが強制的に作用する。このモーメントは、工具12の前進に応じて工具12の下降方向に生み出されるモーメントを打ち消す。こうしてモーメントが打ち消される結果、クイル15の揺動は最小限の拘束力で拘束されることができる。制御モータ21は水平軸20に対して大きな駆動力を作用させずに済む。
【0044】
このとき、バランスシリンダ10の出力値すなわち解放時補佐力F1は、例えば図5に示されるように、ゼロ位置から工具12が前進するに従って変位量Dvarに比例して増加すればよい。言い換えれば、変位量Dvarの増加に比例させて、第2圧力室26に生じる圧力を増加させればよい。その結果、工具12の前進に伴い工具12の下降方向にモーメントが増大すると、工具12を上昇させる方向にバランスシリンダ10の解放時補佐力F1も増大する。解放時補佐力F1は、変位量Dvarの変動に拘わらずモーメントの発生を抑制し続けることができる。補佐力算出回路37に取り込まれるシリンダ出力ゲインKpは、図5から明らかなように、解放時補佐力F1と変位量Dvarとの間に特定される比例定数によって規定される。ここで、スピンドル13の重量は、少なくとも水平軸20の軸心上を移動する領域で軸方向に沿って均一に分布する。
【0045】
反対に、図6に示されるように、変位量Dvarでゼロ位置から工具12が後退すると、コントローラ30は、第1バルブ制御回路42で生成される制御信号に基づき第1バルブ28を作動させる。その結果、第1圧力室25に作用する圧力によって、バランスシリンダ10は、工具12を下降させる方向に腕部材22を揺動させる。この揺動によって、工具12の後退に応じて工具12の上昇方向に生み出されるモーメントは打ち消される。したがって、前述と同様に、制御モータ21は水平軸20に対して大きな駆動力を作用させずに済む。
【0046】
このとき、バランスシリンダ10の出力値すなわち解放時補佐力F1は、例えば図5に示されるように、ゼロ位置から工具12が後退するに従って変位量Dvarに比例して増加すればよい。言い換えれば、変位量Dvarの増加に比例させて、第1圧力室26に生じる圧力を増加させればよい。その結果、工具12の後退に伴い工具12の上昇方向にモーメントが増大すると、工具12を下降させる方向にバランスシリンダ10の解放時補佐力F1も増大する。解放時補佐力F1は、変位量Dvarの変動に拘わらずモーメントの発生を抑制し続けることができる。前述と同様に、補佐力算出回路37に取り込まれるシリンダ出力ゲインKpは、図5から明らかなように、解放時補佐力F1と変位量Dvarとの間に特定される比例定数によって規定される。
【0047】
いま、スピンドル13の進退移動を拘束しながらクイル15を揺動させる場面を想定する。単位時刻ごとに工具12の位置を特定するNCプログラムが入力されると、第2制御量算出回路33は、単位時刻ごとにクイル15の揺動角度を特定し、制御モータ21の回転速度を算出する。算出された回転速度に基づき、制御モータ21に供給される指令信号は作成される。
【0048】
制御モータ21の回転に応じてクイル15が揺動すると、角加速度算出回路38は、水平軸20回りのクイル15の角加速度を算出する。算出された角加速度に基づき、加減速補佐力算出回路40は、バランスシリンダ10の加減速補佐力F2を算出する。シリンダ出力設定回路41は、前述の解放時補佐力F1および加減速補佐力F2に基づいてバランスシリンダ10の出力値を算出する。第1および第2バルブ制御回路42、43は、算出された出力値を実現する第1および第2バルブ28、29の開閉頻度を示す制御信号を第1および第2バルブ28、29に供給する。
【0049】
ここで、クイル15を揺動させるにあたってゼロ位置に工具12を保持する場合を考える。このとき、工具12が装着されたスピンドル13の重心は水平軸20の軸心に重なり、水平軸20回りにモーメントは生じない。一定の角速度でクイル15を揺動させる場合には、クイル15の揺動に加減速は生じない。したがって、角速度の慣性力を利用すれば、最小限のトルクでクイル15を揺動させることができる。制御モータ21は水平軸20に対して大きな駆動力を作用させる必要はない。
【0050】
その一方で、例えば図7に示されるように、工具12を上昇させる方向にクイル15を揺動させ始める場合には、水平軸20回りの角速度が一定速度に達するまでに水平軸20回りに角加速度αが必要とされる。すると、コントローラ30は、第2バルブ制御回路43で生成される制御信号に基づき第2バルブ29を作動させ、第2圧力室26に圧力を導入する。この圧力によって、バランスシリンダ10は、工具12を上昇させる方向に腕部材22を揺動させる。この揺動によって、水平軸20には、加減速補佐力算出回路40で算出される加減速補佐力F2と腕部材22の長さD1との積によって特定されるモーメントが強制的に作用する。このモーメントは、揺動の加速に必要とされる角加速度αを生み出す。その結果、制御モータ21には、角加速度αを生み出すトルクすなわち駆動力は必要とされない。制御モータ21は、小さな駆動力でクイル15の姿勢すなわち工具12の姿勢を制御することができる。
【0051】
このとき、バランスシリンダ10の出力値すなわち加減速補佐力F2は、例えば図8に示されるように、角加速度αの増加に比例して増加すればよい。言い換えれば、角加速度αの増加に比例させて、第2圧力室26に生じる圧力を増加させればよい。その結果、必要とされる角加速度αが大きくなると、工具12を上昇させる方向にバランスシリンダ10の加減速補佐力F2も大きくなる。加減速補佐力算出回路40に取り込まれるシリンダ出力ゲインKdは、加減速補佐力F2と角加速度αとの間に特定される比例定数によって規定される。
【0052】
また、図7に示されるように、クイル15の揺動を停止させるには、水平軸20回りに角減速度βを生み出し、角速度によって引き起こされる慣性力を制止しなければならない。すると、コントローラ30は、第1バルブ制御回路42で生成される制御信号に基づき第1バルブ28を作動させる。その結果、第1圧力室25に作用する圧力によって、バランスシリンダ10は、工具12を下降させる方向に腕部材22を揺動させる。この揺動によって、水平軸20には、加減速補佐力算出回路40で算出される加減速補佐力F2と腕部材22の長さD1との積によって特定されるモーメントが強制的に作用する。このモーメントは揺動の減速に必要とされる角減速度βを生み出す。その結果、制御モータ21には、角減速度βを生み出すトルクすなわち駆動力は必要とされない。
【0053】
このとき、バランスシリンダ10の出力値すなわち加減速補佐力F2は、例えば図8に示されるように、角減速度βの増加に比例して増加すればよい。言い換えれば、角減速度βの増加に比例させて、第1圧力室25に生じる圧力を増加させればよい。その結果、必要とされる角減速度βが大きくなると、工具12を下降させる方向にバランスシリンダ10の加減速補佐力F2も大きくなる。加減速補佐力算出回路40に取り込まれるシリンダ出力ゲインKdは、加減速補佐力F2と角減速度βとの間に特定される比例定数によって規定される。
【0054】
図9に示されるように、工具12を下降させる方向にクイル15を揺動させる場合には、前述した場合とは反対に、クイル15を揺動し始める際に第1圧力室25に圧力を導入させればよく、クイル15の揺動を停止させる際に第2圧力室26に圧力を導入させればよい。この場合には、第1圧力室25に導入される圧力によって角加速度αが生み出され、第2圧力室26に導入される圧力によって角減速度βが生み出される。
【0055】
次に、クイル15を揺動させるにあたってゼロ位置から工具12が変位量Dvarで変位する場合を考える。前述したように、変位量Dvarに応じてバランスシリンダ10の解放時補佐力F1が発揮されれば、水平軸20回りにモーメントは生じない。したがって、一定の角速度でクイル15を揺動させる場合には、角速度の慣性力を利用することによって最小限のトルクでクイル15を揺動させることができる。制御モータ21は水平軸20に対して大きな駆動力を作用させる必要はない。
【0056】
その一方で、クイル15の揺動に加減速が必要とされると、コントローラ30は、前述したように加減速補佐力F2を算出する。シリンダ出力設定回路41では、算出された加減速補佐力F2が解放時補佐力F1に足し合わされ、足し合わされた結果に基づきバランスシリンダ10の出力値が設定される。バランスシリンダ10の出力値は、例えば図10に示されるように、解放時補佐力F1を基準に、角加速度αが大きくなるに従ってシリンダ出力ゲインKdで増加し、角減速度βが大きくなるに従ってシリンダ出力ゲインKdで減少する。シリンダ出力のゼロ値を基準に、圧力が導入される第1および第2圧力室25、26は切り替えられる。
【0057】
加工に先立ってワーク台14にワークを取り付ける場合や、加工終了後にダーク台14からワークを取り外す場合には、工具12に代えてパレットがスピンドル13の先端に装着される。例えば図11に示されるように、パレットにワークWが搭載されると、ワークWの重量に起因してスピンドル13の重心は前述の基準重心位置P1から新たな重心位置P2に移行する。
【0058】
ここで、スピンドル13の進退移動を通じてパレット上のワークWを搬送させる場合を想定する。パレットすなわちワークWの位置が特定されると、変位量算出回路34は、単位時刻ごとにゼロ位置からのワークWの変位量Evarを算出する。この算出にあたって、変位量算出回路34はメモリ36から基準座標値および変数値Varを取り込む。前述したように基準重心位置P1に対する変位量Dvarが特定されれば、変位量Dvarに変数値Varが足し合わされることによって変位量Evarは簡単に算出される。こうした算出された変位量Evarによれば、水平軸20の軸心上で重心位置P2が規定される際に確立されるスピンドル13先端のゼロ位置と、スピンドル13の移動に伴うスピンドル13先端の位置との差分が特定される。
【0059】
算出された変位量Evarに基づき、補佐力算出回路37は、バランスシリンダ10の補佐力F3を算出する。したがって、補佐力算出回路37では、特定された重心位置P2を基準に、水平軸20回りのモーメントを打ち消す補佐力F3が算出されることとなる。シリンダ出力設定回路41は、算出された補佐力F3を発揮するバランスシリンダ10の出力値を算出する。第1および第2バルブ制御回路42、43は、算出された出力値を実現する第1および第2バルブ28、29の開閉頻度を示す制御信号を第1および第2バルブ28、29に供給する。
【0060】
例えば変位量算出回路34で変位量Evar=0が算出されれば、ワークWの重量が作用するスピンドル13の重心は水平軸20の軸心上で規定される。このとき、水平軸20回りにモーメントは発生しない。したがって、最小限の拘束力でクイル15の揺動は拘束されることができる。制御モータ21は、水平軸20に対して大きな駆動力を作用させずに済む。
【0061】
その一方で、例えばワークWが前進すると、変位量算出回路34で算出される変位量Evarは増加する。すると、バランスシリンダ10の出力値すなわち補佐力F3は、前述の図5に示されるように、変位量Evarの増加量に応じて増加する。反対に、ワークWが後退すると、変位量算出回路34で算出される変位量Evarは減少する。すると、バランスシリンダ10の出力値F3は、同様に、変位量Evarの減少量に応じて減少する。こうしてスピンドル13の進退移動に起因するモーメントの変動に補佐力F3は追随する。したがって、クイル15上でスピンドル13が移動しても、モーメントの釣り合いは維持され続け、その結果、制御モータ21に余分な負荷は作用しない。制御モータ21は、小さな駆動力で、ワークが搭載されたパレットを確実に位置決めすることができる。
【0062】
スピンドル13の進退移動を拘束しながらクイル15を揺動させ、ワークWを位置決めするにあたっては、前述したように、必要とされる角加速度αや角減速度βに応じて第1および第2バルブ28、29が制御されればよい。このとき、シリンダ出力は、加減速が必要とされないときに、解放時補佐力F1に代えて補佐力F3を発揮していればよい。
【0063】
パレットからワークが下ろされると、変位量算出回路34では、再び変数値Varを用いずに変位量Dvarが算出される。したがって、補佐力算出回路37では、特定される基準重心位置を基準に、水平軸20回りのモーメントを打ち消す解放時補佐力F1が算出されることとなる。以後、前述したようにバランスシリンダ10の出力値は制御される。
【0064】
本発明に係るバランスシリンダ10の制御方法は、前述のようにクイル15上をスピンドル13が進退移動する工作機に適用されることができるだけでなく、水平軸20が形成されたスピンドル13上でワークWを搬送する工作機に適用されることができる。この場合には、ワークWの位置に応じてスピンドル13の重心が移動することから、ワークWの位置のみを考慮して補佐力F3が算出されればよい。
【0065】
以上のようなバランスシリンダ10の制御方法では、スピンドル13や工具12の進退移動に伴ってスピンドル13の重心が水平軸20の軸心を通過しない場合には、ピストン24の片方側に単一の圧力室を確保するだけでもよい。また、前述のコントローラ30は、中央演算処理装置(CPU)とメモリとによって構成されてもよい。バランスシリンダ10の制御方法は、メモリから取り込まれるソフトウェアプログラムに基づき中央演算処理装置の演算処理によって実現されればよい。
【0066】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、搬送物の重量に起因して支点回りのモーメントが大きく変動してもバランスシリンダの適切な補佐力を確保し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バランスシリンダを備える工作機の全体構成を概略的に示す正面図である。
【図2】 バランスシリンダの構造を概略的に示す断面図である。
【図3】 コントローラの構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】 クイルを揺動させずに工具を前進させた際にバランスシリンダの働きを示す模式図である。
【図5】 工具の変位量とバランスシリンダの補佐力との関係を示すグラフである。
【図6】 クイルを揺動させずに工具を後退させた際にバランスシリンダの働きを示す模式図である。
【図7】 工具をゼロ位置に保持したまま、工具を上昇させる方向にクイルを揺動させた際にバランスシリンダの働きを示す模式図である。
【図8】 角加速度および角減速度とバランスシリンダの補佐力との関係を示すグラフである。
【図9】 工具をゼロ位置に保持したまま、工具を下降させる方向にクイルを揺動させた際にバランスシリンダの働きを示す模式図である。
【図10】 クイルを揺動させるにあたってゼロ位置から工具を前進させた際に、角加速度および角減速度とバランスシリンダの補佐力との関係を示すグラフである。
【図11】 ワークが搭載された際に移行する重心の様子を示す図である。
【符号の説明】
10 バランスシリンダ、12 荷重としての工具、13 軸部材としてのスピンドル、15 揺動部材としてのクイル、20 支点を規定する水平軸。
【発明の属する技術分野】
本発明は、支点回りのモーメントを打ち消す補佐力を発揮するバランスシリンダの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らによれば、水平軸が形成された揺動部材上で移動する軸部材の先端に工具を保持させ、軸部材の進退移動や揺動部材の揺動を用いて工具を位置決めする工作機が提案される。こうした工作機では、水平軸に連結されるサーボモータの働きによって揺動部材の揺動量は制御される。
【0003】
こうした揺動量の制御では、工具が保持された軸部材の重心が水平軸上に位置すれば、サーボモータの駆動力を最小限に留めることができる。反対に、軸部材の重心が水平軸から離れていれば、軸部材にはモーメントが働き、サーボモータはモーメントを打ち消す駆動力を発揮しなければならない。こうした場合には、サーボモータ以外の駆動源から補佐力を加え、この補佐力によってモーメントを打ち消すことによってサーボモータの駆動力を最小限に留めることができる。駆動源には例えば一定の補佐力を発揮する加圧シリンダすなわちバランスシリンダが用いられることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、工具に代えて軸部材の先端にパレットを装着させ、軸部材の進退移動や揺動部材の揺動を用いてパレット上のワークを搬送する工作機を提案する。こうした工作機によれば、工作機とは別にワーク搬送装置を用意する必要がなくなり、設備コストの低減に寄与することができる。
【0005】
このような工作機では、軸部材にワークの重量が作用するときと、ワークの重量から軸部材が解放されるときとで、水平軸回りに生み出されるモーメントは大きく変動する。したがって、こうしたモーメントの変動にバランスシリンダの補佐力が追随しなければ、モーメントの釣り合いは崩され、サーボモータに余分な負荷が作用してしまう。その結果、サーボモータは、揺動部材の揺動量を正確に制御することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、搬送物の重量に起因して支点回りのモーメントが大きく変動してもバランスシリンダの適切な補佐力を確保し続けることができるバランスシリンダの制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1発明によれば、水平軸が形成された揺動部材上で移動する軸部材の先端に搬送物が支持される際に、搬送物の重量に起因して移動する軸部材の重心位置を特定する工程と、特定された重心位置を基準に、水平軸回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの補佐力を算出する工程とを備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法が提供される。
【0008】
揺動部材に対してバランスシリンダの補佐力を作用させ、重心の偏倚に起因して生み出されるモーメントを打ち消せば、最小限の駆動力で揺動部材の姿勢は制御されることができる。揺動部材上で軸部材が移動する場合でも、その重心位置を基準に補佐力が調整されれば、軸部材の移動に伴って変化するモーメントは打ち消され続けることができる。その一方で、こうした軸部材の先端に搬送物が支持されると、搬送物の重量に起因してモーメントは大きく変動する。このとき、搬送物の重量に起因して軸部材の重心は移動する。したがって、こうして移動した重心を基準にバランスシリンダの補佐力を算出すれば、変動するモーメントにバランスシリンダの補佐力を追随させることができる。その結果、搬送物が支持された際でもモーメントの釣り合いは保持され、揺動部材の姿勢を制御する制御モータにはバランスシリンダから余分な負荷は作用しない。制御モータは、揺動部材の揺動量を正確に制御し続けることができる。
【0009】
こうしたバランスシリンダの制御方法は、前記搬送物の重量から解放された軸部材の基準重心位置を特定する工程と、特定された基準重心位置を基準に、水平軸回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの解放時補佐力を算出する工程とをさらに備えてもよい。こうした制御方法によれば、軸部材が搬送物の重量から解放された際でも、特定された基準重心位置を基準に補佐力が調整されれば、重心の偏倚に起因して生み出されるモーメントは打ち消され続けることができる。その結果、モーメントの釣り合いは保持され、揺動部材の姿勢を制御する制御モータにはバランスシリンダから余分な負荷は作用しない。制御モータは、揺動部材の揺動量を正確に制御し続けることができる。
【0010】
バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材に沿って前記水平軸の軸心から前記基準重心位置までの距離を示す変位量を取得する工程と、この変位量に足し合わされて、搬送物の重量に応じ軸部材に沿って軸部材の前記重心位置を規定する変数値を取得する工程とをさらに備えてもよい。こうした制御方法によれば、軸部材に搬送物の重量が作用するときと、軸部材が搬送物の重量から解放されたときとで、バランスシリンダの補佐力を瞬時に切り替えることができる。しかも、搬送時の重心位置を基準に規定されるバランスシリンダの補佐力は、基準重心位置を基準に規定される補佐力を応用して設定されることができる。
【0011】
バランスシリンダの補佐力を算出するにあたって、バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材の先端の位置を取得する工程と、取得された位置に基づき、軸部材の移動に起因する前記モーメントの変動に前記補佐力を追随させる工程とを備えてもよい。揺動部材上で軸部材が移動すると、軸部材の移動に伴って軸部材の重心位置は移動する。この移動に起因して水平軸回りに生み出されるモーメントは変動する。したがって、モーメントの変動に追随してバランスシリンダの補佐力を変化させれば、軸部材の移動に拘わらずモーメントの発生を抑制し続けることができる。その結果、揺動部材の姿勢を制御する制御モータは、最小限の駆動力を発揮すれば済むこととなる。
【0012】
前記補佐力を追随させるにあたって、バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材に沿って前記水平軸の軸心から前記重心位置までの距離を示す変位量を取得すればよい。モーメントの変動は、軸部材の重心と水平軸の軸心との距離に依存する。したがって、取得された変位量を用いれば、モーメントの変動具合を特定することができる。こうした変位量に基づきバランスシリンダの補佐力が算出されれば、モーメントの変動に追随して補佐力を変化させることができることとなる。このとき、軸部材では、軸方向に沿って均一に重量が分布すればよい。
【0013】
前記変位量を取得するにあたって、前記水平軸の軸心上で前記重心位置が規定される際に確立される軸部材先端のゼロ位置と、前記軸部材の移動に伴う軸部材先端の位置との差分が求められてもよい。こうしてゼロ位置が特定されれば、軸部材先端の位置に基づき簡単に変位量を導き出すことができる。
【0014】
また、バランスシリンダの制御方法は、前記補佐力を算出するにあたって、単位変位量当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインを取得してもよい。軸方向に沿って軸部材の重量分布が均一であれば、モーメントの変動と変位量との間に比例関係が確立される。したがって、こうした比例関係を規定するシリンダ出力ゲインを用いれば、簡単にバランスシリンダの補佐力を導き出すことができる。こうした補佐力を算出するにあたっては、シリンダ出力ゲインと変位量との積が求められればよい。
【0015】
以上のようなバランスシリンダの制御方法は、水平軸回りで前記揺動部材が揺動する際に水平軸回りの角加速度を取得する工程と、取得された角加速度を生成するバランスシリンダの加減速補佐力を算出する工程と、前記補佐力および加減速補佐力に基づいてシリンダ出力値を算出する工程とをさらに備えてもよい。水平軸回りに揺動部材を揺動させる場合、揺動開始時には水平軸回りの角加速度が必要とされる。反対に、揺動停止時には水平軸回りの角減速度が必要とされる。算出された加減速補佐力を用いれば、バランスシリンダの働きによって、揺動に必要とされる角加速度や角減速度を生み出すことができる。したがって、揺動部材の姿勢を制御する制御モータは余分な駆動力を発揮する必要はなくなる。
【0016】
こうしたバランスシリンダの制御方法は、前記加減速補佐力を算出するにあたって、単位加速度当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインを取得してもよい。一般に、揺動に必要とされる角加速度や角減速度の大きさと加減速補佐力との間には比例関係が確立される。したがって、こうした比例関係を規定するシリンダ出力ゲインを用いれば、簡単にバランスシリンダの加減速補佐力を導き出すことができる。こうした加減速補佐力を算出するにあたっては、シリンダ出力ゲインと角加速度や角減速度との積が求められればよい。
【0017】
また、第2発明によれば、支点回りで揺動する軸部材の先端に搬送物が支持される際に、搬送物の重量に起因して移動する軸部材の重心位置を特定する工程と、特定された重心位置を基準に、支点回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの補佐力を算出する工程とを備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法が提供される。
【0018】
揺動部材に対してバランスシリンダの補佐力を作用させ、重心の偏倚に起因して生み出されるモーメントを打ち消せば、最小限の駆動力で揺動部材の姿勢は制御されることができる。その一方で、こうした軸部材の先端に搬送物が支持されると、搬送物の重量に起因してモーメントは大きく変動する。このとき、搬送物の重量に起因して軸部材の重心は移動する。したがって、こうして移動した重心を基準にバランスシリンダの補佐力を算出すれば、変動するモーメントにバランスシリンダの補佐力を追随させることができる。その結果、搬送物が支持された際でもモーメントの釣り合いは保持され、揺動部材の姿勢を制御する制御モータにはバランスシリンダから余分な負荷は作用しない。制御モータは、揺動部材の揺動量を正確に制御し続けることができる。
【0019】
こうしたバランスシリンダの制御方法は、前記搬送物の重量から解放された軸部材の基準重心位置を特定する工程と、特定された基準重心位置を基準に、支点回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの解放時補佐力を算出する工程とをさらに備えてもよい。こうした制御方法によれば、前述と同様に、軸部材が搬送物の重量から解放された際でも、重心の偏倚に起因して生み出されるモーメントは打ち消され続けることができる。その結果、モーメントの釣り合いは保持され、揺動部材の姿勢を制御する制御モータにはバランスシリンダから余分や負荷は作用しない。
【0020】
バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材に沿って前記水平軸の軸心から前記基準重心位置までの距離を示す変位量を取得する工程と、この変位量に足し合わされて、搬送物の重量に応じ軸部材に沿って軸部材の前記重心位置を規定する変数値を取得する工程とをさらに備えてもよい。こうした制御方法によれば、前述と同様に、軸部材に搬送物の重量が作用するときと、軸部材が搬送物の重量から解放されたときとで、バランスシリンダの補佐力を瞬時に切り替えることができる。
【0021】
バランスシリンダの補佐力を算出するにあたって、バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材に沿って前記搬送物の位置を取得する工程と、取得された位置ごとに特定される前記モーメントの大きさに応じて前記補佐力を変化させる工程とを備えてもよい。かかる制御方法によれば、前述と同様に、軸部材の進退移動に拘わらずモーメントの発生を抑制し続けることができる。
【0022】
前記補佐力を変化させるにあたって、バランスシリンダの制御方法は、前記軸部材に沿って前記支点から前記重心位置までの距離を示す変位量を取得すればよい。かかる制御方法によれば、前述と同様に、簡単にモーメントの変動具合を特定することができる。しかも、前述と同様に、前記補佐力を算出するにあたっては、前述と同様に、単位変位量当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインが取得されればよい。
【0023】
第2発明に係るバランスシリンダの制御方法は、第1発明と同様に、支点回りで前記軸部材が揺動する際に支点回りの角加速度を取得する工程と、取得された角加速度を生成するバランスシリンダの加減速補佐力を算出する工程と、前記補佐力および加減速補佐力に基づいてシリンダ出力値を算出する工程とをさらに備えてもよい。しかも、前記加減速補佐力を算出するにあたっては、前述と同様に、単位加速度当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインが取得されればよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0025】
図1は、バランスシリンダ10を備える工作機11を概略的に示す。この工作機11は、工具12が装着される軸部材としてのスピンドル13と、スピンドル13に装着された工具12に対してワークを向かい合わせに保持するワーク台14とを備える。ワーク台14に保持されるワークを加工するにあたって、スピンドル13は、軸心回りに高速で工具12を回転させることができる。
【0026】
スピンドル13には、工具12に代えて、ワークを搬送するパレット(図示せず)が装着されることができる。パレットは、ワーク台14にワークを受け渡したり、ワーク台14からワークを受け取ったりすることができる。
【0027】
スピンドル13は、揺動部材としてのクイル15に進退自在に支持される。クイル15には、スピンドル13に平行に延びるねじ軸16が支持される。スピンドル13の後端には、ねじ軸16に噛み合うナット部材17が固定される。駆動モータ18の働きを通じてねじ軸16が軸心回りに回転すると、ねじ軸16上をナット部材17が移動し、その結果、スピンドル13の進退移動が実現される。この進退移動によって、スピンドル13先端に装着された工具12やパレットはワーク台14に向かって前進したりワーク台14から後退したりする。スピンドル13の進退移動量は、周知のとおり、駆動モータ18の回転量に基づいて決定される。
【0028】
クイル15には水平軸20が形成される。この水平軸20には制御モータ21(例えばサーボモータ)が連結される。制御モータ21の働きを通じて、クイル15は、水平軸20回りで揺動することができる。このクイル15の揺動に基づき、ワーク台14に対する工具12やパレットの姿勢は決定される。クイル15の揺動量は、制御モータ21の回転量によって特定されることができる。
【0029】
水平軸20には、水平軸20回りで揺動する腕部材22を介してバランスシリンダ10の駆動軸23が連結される。このバランスシリンダ10は、腕部材22に作用して水平軸20回りのモーメントを生む補佐力を発揮する。この補佐力の働きによって、後述するように、スピンドル13の進退移動に起因する水平軸20回りのモーメントは打ち消される。その結果、クイル15の揺動量を制御する制御モータ21の駆動力は最小限に留められることができる。こうした駆動力の最小化は、制御モータ21の小型化や調達コストの低減に寄与することができる。
【0030】
しかも、このバランスシリンダ10は、水平軸20回りでクイル15が揺動する際に、水平軸20回りの角加速度を生成する加減速補佐力を発揮することができる。こうした加減速補佐力によれば、クイル15の揺動開始時に必要とされる加速や、クイル15の揺動終了時に揺動の慣性力に逆らう減速を生むことができる。その結果、制御モータ21の駆動力を増大させずに、クイル15の姿勢すなわち工具12やパレットの姿勢を高速で制御することが可能となる。
【0031】
図2に示されるように、バランスシリンダ10には、駆動軸23が形成されるピストン24を挟んで第1および第2圧力室25、26が形成される。第1および第2圧力室25、26の圧力は、ポンプといった圧力源27から圧力を導く第1および第2バルブ28、29によって調整される。第1および第2バルブ28、29は、空気といった圧力媒体の流通路を間欠的に開閉し、第1および第2圧力室25、26内の圧力を一定に保つことができる。バランスシリンダ10の補佐力は、第1および第2圧力室25、26内の圧力と、その圧力が作用するピストン24の面積とに基づいて特定される。
【0032】
図3に示されるように、駆動モータ18の回転や制御モータ21の回転、第1および第2バルブ28、29の開閉頻度はコントローラ30によって制御される。コントローラ30は、スピンドル13先端の位置を取得する工具位置取得回路31を備える。スピンドル13先端の位置は、例えばスピンドル13の進退移動量と、クイル15の揺動角度とによって特定されることができる。
【0033】
第1制御量算出回路32は、特定された進退移動量に基づき駆動モータ18の回転量を算出する。一方、第2制御量算出回路33は、特定された揺動角度に基づき制御モータ21の回転量を算出する。算出された回転量で駆動モータ18が回転すると同時に、算出された回転量で制御モータ21が回転すると、スピンドル13の先端に保持される工具12やパレットは指定された位置まで移動することができる。
【0034】
変位量算出回路34は、エンコーダ35で検出される駆動モータ18の回転量に基づき、スピンドル13の重心と水平軸20の軸心との距離を示す変位量を算出する。こうした変位量は、水平軸20の軸心上でスピンドル13の重心が規定される際に特定されるスピンドル13先端の位置すなわちゼロ位置を基準に、スピンドル13先端の変位によって特定されることができる。
【0035】
メモリ36には、スピンドル13の軸方向に沿って、ワークの重量から解放されたスピンドル13の基準重心位置を規定する基準座標値と、同じくスピンドル13の軸方向に沿って、スピンドル13先端のパレットにワークが積載された際にワークおよびパレットの重量に起因して移動するスピンドル13の重心位置を規定する変数値とが記憶される。基準座標値によれば、水平軸20の軸心上で基準重心位置が規定される際に確立されるスピンドル13先端の位置すなわちゼロ位置が特定される。基準座標値に変数値が足し合わされると、ワーク搬送時に水平軸20の軸心上で重心位置が規定される際に確立されるゼロ位置が特定されることができる。
【0036】
補佐力算出回路37は、算出された変位量に基づき、スピンドル13の進退移動に伴う重心の偏倚に起因する水平軸回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダ10の補佐力を算出する。この算出にあたって、補佐力算出回路37は、単位変位量当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインKpをメモリ36から取得する。このシリンダ出力ゲインKpに変位量が掛け合わされると、バランスシリンダ10の補佐力は算出される。シリンダ出力ゲインKpには、工具12や搬送ワークの重量に応じて異なる出力増減値が設定される。
【0037】
角加速度算出回路38は、エンコーダ39で検出される制御モータ21の回転量に基づき、水平軸回りのクイル15の角加速度を算出する。加減速補佐力算出回路40は、算出された角加速度を生成するバランスシリンダ10の加減速補佐力を算出する。この算出にあたって、加減速補佐力算出回路40は、単位加速度当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインKdをメモリ36から取得する。このシリンダ出力ゲインKdに角加速度が掛け合わされると、バランスシリンダ10の加減速補佐力は算出される。シリンダ出力ゲインKdには、工具12や搬送ワークの重量に応じて異なる出力増減値が設定される。
【0038】
シリンダ出力設定回路41は、算出された補佐力および加減速補佐力に基づきバランスシリンダ10の出力値を算出する。第1および第2バルブ制御回路42、43は、算出された出力値を実現する第1および第2バルブ28、29の開閉頻度を示す制御信号を生成する。生成された制御信号は第1および第2バルブ28、29に各々供給される。
【0039】
次にバランスシリンダ10の制御方法を説明する。いま、スピンドル13に装着された工具12を用いて、ワーク台14に設置されたワークに加工を施す場面を想定する。コントローラ30には、単位時刻(例えば1msおき)ごとに工具12の位置を特定するNCプログラムが入力される。第1制御量算出回路32は、単位時刻ごとにスピンドル13の進退移動量を特定し、駆動モータ18の回転速度を算出する。算出された回転速度に基づき、駆動モータ18に供給される指令信号は作成される。
【0040】
駆動モータ18の回転に応じて工具12が移動すると、変位量算出回路34は、単位時刻ごとにゼロ位置からの工具12の変位量を算出する。この算出にあたって、変位量算出回路34はメモリ36から基準座標値を取り込む。この基準座標値によって、水平軸20の軸心上で基準重心位置が規定される際に確立されるスピンドル13先端のゼロ位置が特定される。このゼロ位置によって、ワークの重量から解放されたスピンドル13の基準重心位置は特定される。変位量算出回路34は、スピンドル13の進退移動に伴うスピンドル13先端の位置とゼロ位置との差分を算出する。
【0041】
算出された変位量に基づき、補佐力算出回路37は、バランスシリンダ10の解放時補佐力F1を算出する。シリンダ出力設定回路41は、算出された解放時補佐力F1を発揮するバランスシリンダ10の出力値を算出する。第1および第2バルブ制御回路42、43は、算出された出力値を実現する第1および第2バルブ28、29の開閉頻度を示す制御信号を第1および第2バルブ28、29に供給する。
【0042】
例えば、工具12がゼロ位置に位置すれば、工具12が装着されたスピンドル13の重心は水平軸20の軸心上で規定される。このとき、水平軸20回りにモーメントは発生しない。したがって、最小限の拘束力でクイル15の揺動を拘束することができる。制御モータ21は、水平軸20に対して大きな駆動力を作用させずに済む。
【0043】
その一方で、例えば図4に示されるように、変位量Dvarでゼロ位置から工具12が前進すると、コントローラ30は、第2バルブ制御回路43で生成される制御信号に基づき第2バルブ29を作動させ、第2圧力室26に圧力を導入する。この圧力によって、バランスシリンダ10は、工具12を上昇させる方向に腕部材22を揺動させる。この揺動によって、水平軸20には、補佐力算出回路37で算出される解放時補佐力F1と、腕部材22の長さD1、すなわち、水平軸20の軸心から駆動軸23の作用点までの距離との積によって特定されるモーメントが強制的に作用する。このモーメントは、工具12の前進に応じて工具12の下降方向に生み出されるモーメントを打ち消す。こうしてモーメントが打ち消される結果、クイル15の揺動は最小限の拘束力で拘束されることができる。制御モータ21は水平軸20に対して大きな駆動力を作用させずに済む。
【0044】
このとき、バランスシリンダ10の出力値すなわち解放時補佐力F1は、例えば図5に示されるように、ゼロ位置から工具12が前進するに従って変位量Dvarに比例して増加すればよい。言い換えれば、変位量Dvarの増加に比例させて、第2圧力室26に生じる圧力を増加させればよい。その結果、工具12の前進に伴い工具12の下降方向にモーメントが増大すると、工具12を上昇させる方向にバランスシリンダ10の解放時補佐力F1も増大する。解放時補佐力F1は、変位量Dvarの変動に拘わらずモーメントの発生を抑制し続けることができる。補佐力算出回路37に取り込まれるシリンダ出力ゲインKpは、図5から明らかなように、解放時補佐力F1と変位量Dvarとの間に特定される比例定数によって規定される。ここで、スピンドル13の重量は、少なくとも水平軸20の軸心上を移動する領域で軸方向に沿って均一に分布する。
【0045】
反対に、図6に示されるように、変位量Dvarでゼロ位置から工具12が後退すると、コントローラ30は、第1バルブ制御回路42で生成される制御信号に基づき第1バルブ28を作動させる。その結果、第1圧力室25に作用する圧力によって、バランスシリンダ10は、工具12を下降させる方向に腕部材22を揺動させる。この揺動によって、工具12の後退に応じて工具12の上昇方向に生み出されるモーメントは打ち消される。したがって、前述と同様に、制御モータ21は水平軸20に対して大きな駆動力を作用させずに済む。
【0046】
このとき、バランスシリンダ10の出力値すなわち解放時補佐力F1は、例えば図5に示されるように、ゼロ位置から工具12が後退するに従って変位量Dvarに比例して増加すればよい。言い換えれば、変位量Dvarの増加に比例させて、第1圧力室26に生じる圧力を増加させればよい。その結果、工具12の後退に伴い工具12の上昇方向にモーメントが増大すると、工具12を下降させる方向にバランスシリンダ10の解放時補佐力F1も増大する。解放時補佐力F1は、変位量Dvarの変動に拘わらずモーメントの発生を抑制し続けることができる。前述と同様に、補佐力算出回路37に取り込まれるシリンダ出力ゲインKpは、図5から明らかなように、解放時補佐力F1と変位量Dvarとの間に特定される比例定数によって規定される。
【0047】
いま、スピンドル13の進退移動を拘束しながらクイル15を揺動させる場面を想定する。単位時刻ごとに工具12の位置を特定するNCプログラムが入力されると、第2制御量算出回路33は、単位時刻ごとにクイル15の揺動角度を特定し、制御モータ21の回転速度を算出する。算出された回転速度に基づき、制御モータ21に供給される指令信号は作成される。
【0048】
制御モータ21の回転に応じてクイル15が揺動すると、角加速度算出回路38は、水平軸20回りのクイル15の角加速度を算出する。算出された角加速度に基づき、加減速補佐力算出回路40は、バランスシリンダ10の加減速補佐力F2を算出する。シリンダ出力設定回路41は、前述の解放時補佐力F1および加減速補佐力F2に基づいてバランスシリンダ10の出力値を算出する。第1および第2バルブ制御回路42、43は、算出された出力値を実現する第1および第2バルブ28、29の開閉頻度を示す制御信号を第1および第2バルブ28、29に供給する。
【0049】
ここで、クイル15を揺動させるにあたってゼロ位置に工具12を保持する場合を考える。このとき、工具12が装着されたスピンドル13の重心は水平軸20の軸心に重なり、水平軸20回りにモーメントは生じない。一定の角速度でクイル15を揺動させる場合には、クイル15の揺動に加減速は生じない。したがって、角速度の慣性力を利用すれば、最小限のトルクでクイル15を揺動させることができる。制御モータ21は水平軸20に対して大きな駆動力を作用させる必要はない。
【0050】
その一方で、例えば図7に示されるように、工具12を上昇させる方向にクイル15を揺動させ始める場合には、水平軸20回りの角速度が一定速度に達するまでに水平軸20回りに角加速度αが必要とされる。すると、コントローラ30は、第2バルブ制御回路43で生成される制御信号に基づき第2バルブ29を作動させ、第2圧力室26に圧力を導入する。この圧力によって、バランスシリンダ10は、工具12を上昇させる方向に腕部材22を揺動させる。この揺動によって、水平軸20には、加減速補佐力算出回路40で算出される加減速補佐力F2と腕部材22の長さD1との積によって特定されるモーメントが強制的に作用する。このモーメントは、揺動の加速に必要とされる角加速度αを生み出す。その結果、制御モータ21には、角加速度αを生み出すトルクすなわち駆動力は必要とされない。制御モータ21は、小さな駆動力でクイル15の姿勢すなわち工具12の姿勢を制御することができる。
【0051】
このとき、バランスシリンダ10の出力値すなわち加減速補佐力F2は、例えば図8に示されるように、角加速度αの増加に比例して増加すればよい。言い換えれば、角加速度αの増加に比例させて、第2圧力室26に生じる圧力を増加させればよい。その結果、必要とされる角加速度αが大きくなると、工具12を上昇させる方向にバランスシリンダ10の加減速補佐力F2も大きくなる。加減速補佐力算出回路40に取り込まれるシリンダ出力ゲインKdは、加減速補佐力F2と角加速度αとの間に特定される比例定数によって規定される。
【0052】
また、図7に示されるように、クイル15の揺動を停止させるには、水平軸20回りに角減速度βを生み出し、角速度によって引き起こされる慣性力を制止しなければならない。すると、コントローラ30は、第1バルブ制御回路42で生成される制御信号に基づき第1バルブ28を作動させる。その結果、第1圧力室25に作用する圧力によって、バランスシリンダ10は、工具12を下降させる方向に腕部材22を揺動させる。この揺動によって、水平軸20には、加減速補佐力算出回路40で算出される加減速補佐力F2と腕部材22の長さD1との積によって特定されるモーメントが強制的に作用する。このモーメントは揺動の減速に必要とされる角減速度βを生み出す。その結果、制御モータ21には、角減速度βを生み出すトルクすなわち駆動力は必要とされない。
【0053】
このとき、バランスシリンダ10の出力値すなわち加減速補佐力F2は、例えば図8に示されるように、角減速度βの増加に比例して増加すればよい。言い換えれば、角減速度βの増加に比例させて、第1圧力室25に生じる圧力を増加させればよい。その結果、必要とされる角減速度βが大きくなると、工具12を下降させる方向にバランスシリンダ10の加減速補佐力F2も大きくなる。加減速補佐力算出回路40に取り込まれるシリンダ出力ゲインKdは、加減速補佐力F2と角減速度βとの間に特定される比例定数によって規定される。
【0054】
図9に示されるように、工具12を下降させる方向にクイル15を揺動させる場合には、前述した場合とは反対に、クイル15を揺動し始める際に第1圧力室25に圧力を導入させればよく、クイル15の揺動を停止させる際に第2圧力室26に圧力を導入させればよい。この場合には、第1圧力室25に導入される圧力によって角加速度αが生み出され、第2圧力室26に導入される圧力によって角減速度βが生み出される。
【0055】
次に、クイル15を揺動させるにあたってゼロ位置から工具12が変位量Dvarで変位する場合を考える。前述したように、変位量Dvarに応じてバランスシリンダ10の解放時補佐力F1が発揮されれば、水平軸20回りにモーメントは生じない。したがって、一定の角速度でクイル15を揺動させる場合には、角速度の慣性力を利用することによって最小限のトルクでクイル15を揺動させることができる。制御モータ21は水平軸20に対して大きな駆動力を作用させる必要はない。
【0056】
その一方で、クイル15の揺動に加減速が必要とされると、コントローラ30は、前述したように加減速補佐力F2を算出する。シリンダ出力設定回路41では、算出された加減速補佐力F2が解放時補佐力F1に足し合わされ、足し合わされた結果に基づきバランスシリンダ10の出力値が設定される。バランスシリンダ10の出力値は、例えば図10に示されるように、解放時補佐力F1を基準に、角加速度αが大きくなるに従ってシリンダ出力ゲインKdで増加し、角減速度βが大きくなるに従ってシリンダ出力ゲインKdで減少する。シリンダ出力のゼロ値を基準に、圧力が導入される第1および第2圧力室25、26は切り替えられる。
【0057】
加工に先立ってワーク台14にワークを取り付ける場合や、加工終了後にダーク台14からワークを取り外す場合には、工具12に代えてパレットがスピンドル13の先端に装着される。例えば図11に示されるように、パレットにワークWが搭載されると、ワークWの重量に起因してスピンドル13の重心は前述の基準重心位置P1から新たな重心位置P2に移行する。
【0058】
ここで、スピンドル13の進退移動を通じてパレット上のワークWを搬送させる場合を想定する。パレットすなわちワークWの位置が特定されると、変位量算出回路34は、単位時刻ごとにゼロ位置からのワークWの変位量Evarを算出する。この算出にあたって、変位量算出回路34はメモリ36から基準座標値および変数値Varを取り込む。前述したように基準重心位置P1に対する変位量Dvarが特定されれば、変位量Dvarに変数値Varが足し合わされることによって変位量Evarは簡単に算出される。こうした算出された変位量Evarによれば、水平軸20の軸心上で重心位置P2が規定される際に確立されるスピンドル13先端のゼロ位置と、スピンドル13の移動に伴うスピンドル13先端の位置との差分が特定される。
【0059】
算出された変位量Evarに基づき、補佐力算出回路37は、バランスシリンダ10の補佐力F3を算出する。したがって、補佐力算出回路37では、特定された重心位置P2を基準に、水平軸20回りのモーメントを打ち消す補佐力F3が算出されることとなる。シリンダ出力設定回路41は、算出された補佐力F3を発揮するバランスシリンダ10の出力値を算出する。第1および第2バルブ制御回路42、43は、算出された出力値を実現する第1および第2バルブ28、29の開閉頻度を示す制御信号を第1および第2バルブ28、29に供給する。
【0060】
例えば変位量算出回路34で変位量Evar=0が算出されれば、ワークWの重量が作用するスピンドル13の重心は水平軸20の軸心上で規定される。このとき、水平軸20回りにモーメントは発生しない。したがって、最小限の拘束力でクイル15の揺動は拘束されることができる。制御モータ21は、水平軸20に対して大きな駆動力を作用させずに済む。
【0061】
その一方で、例えばワークWが前進すると、変位量算出回路34で算出される変位量Evarは増加する。すると、バランスシリンダ10の出力値すなわち補佐力F3は、前述の図5に示されるように、変位量Evarの増加量に応じて増加する。反対に、ワークWが後退すると、変位量算出回路34で算出される変位量Evarは減少する。すると、バランスシリンダ10の出力値F3は、同様に、変位量Evarの減少量に応じて減少する。こうしてスピンドル13の進退移動に起因するモーメントの変動に補佐力F3は追随する。したがって、クイル15上でスピンドル13が移動しても、モーメントの釣り合いは維持され続け、その結果、制御モータ21に余分な負荷は作用しない。制御モータ21は、小さな駆動力で、ワークが搭載されたパレットを確実に位置決めすることができる。
【0062】
スピンドル13の進退移動を拘束しながらクイル15を揺動させ、ワークWを位置決めするにあたっては、前述したように、必要とされる角加速度αや角減速度βに応じて第1および第2バルブ28、29が制御されればよい。このとき、シリンダ出力は、加減速が必要とされないときに、解放時補佐力F1に代えて補佐力F3を発揮していればよい。
【0063】
パレットからワークが下ろされると、変位量算出回路34では、再び変数値Varを用いずに変位量Dvarが算出される。したがって、補佐力算出回路37では、特定される基準重心位置を基準に、水平軸20回りのモーメントを打ち消す解放時補佐力F1が算出されることとなる。以後、前述したようにバランスシリンダ10の出力値は制御される。
【0064】
本発明に係るバランスシリンダ10の制御方法は、前述のようにクイル15上をスピンドル13が進退移動する工作機に適用されることができるだけでなく、水平軸20が形成されたスピンドル13上でワークWを搬送する工作機に適用されることができる。この場合には、ワークWの位置に応じてスピンドル13の重心が移動することから、ワークWの位置のみを考慮して補佐力F3が算出されればよい。
【0065】
以上のようなバランスシリンダ10の制御方法では、スピンドル13や工具12の進退移動に伴ってスピンドル13の重心が水平軸20の軸心を通過しない場合には、ピストン24の片方側に単一の圧力室を確保するだけでもよい。また、前述のコントローラ30は、中央演算処理装置(CPU)とメモリとによって構成されてもよい。バランスシリンダ10の制御方法は、メモリから取り込まれるソフトウェアプログラムに基づき中央演算処理装置の演算処理によって実現されればよい。
【0066】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、搬送物の重量に起因して支点回りのモーメントが大きく変動してもバランスシリンダの適切な補佐力を確保し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バランスシリンダを備える工作機の全体構成を概略的に示す正面図である。
【図2】 バランスシリンダの構造を概略的に示す断面図である。
【図3】 コントローラの構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】 クイルを揺動させずに工具を前進させた際にバランスシリンダの働きを示す模式図である。
【図5】 工具の変位量とバランスシリンダの補佐力との関係を示すグラフである。
【図6】 クイルを揺動させずに工具を後退させた際にバランスシリンダの働きを示す模式図である。
【図7】 工具をゼロ位置に保持したまま、工具を上昇させる方向にクイルを揺動させた際にバランスシリンダの働きを示す模式図である。
【図8】 角加速度および角減速度とバランスシリンダの補佐力との関係を示すグラフである。
【図9】 工具をゼロ位置に保持したまま、工具を下降させる方向にクイルを揺動させた際にバランスシリンダの働きを示す模式図である。
【図10】 クイルを揺動させるにあたってゼロ位置から工具を前進させた際に、角加速度および角減速度とバランスシリンダの補佐力との関係を示すグラフである。
【図11】 ワークが搭載された際に移行する重心の様子を示す図である。
【符号の説明】
10 バランスシリンダ、12 荷重としての工具、13 軸部材としてのスピンドル、15 揺動部材としてのクイル、20 支点を規定する水平軸。
Claims (17)
- 水平軸が形成された揺動部材上で移動する軸部材の先端に搬送物が支持される際に、搬送物の重量に起因して移動する軸部材の重心位置を特定する工程と、特定された重心位置を基準に、水平軸回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの補佐力を算出する工程とを備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項1に記載のバランスシリンダの制御方法において、前記軸部材の先端の位置を取得する工程と、取得された位置に基づき、軸部材の移動に起因する前記モーメントの変動に前記補佐力を追随させる工程とをさらに備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項2に記載のバランスシリンダの制御方法において、前記補佐力を追随させるにあたって、前記軸部材に沿って前記水平軸の軸心から前記重心位置までの距離を示す変位量を取得することを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項3に記載のバランスシリンダの制御方法において、前記変位量を取得するにあたって、前記水平軸の軸心上で前記重心位置が規定される際に確立される軸部材先端のゼロ位置と、前記軸部材の移動に伴う軸部材先端の位置との差分が求められることを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項4に記載のバランスシリンダの制御方法において、前記補佐力を算出するにあたって、単位変位量当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインを取得することを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のバランスシリンダの制御方法において、水平軸回りで前記揺動部材が揺動する際に水平軸回りの角加速度を取得する工程と、取得された角加速度を生成するバランスシリンダの加減速補佐力を算出する工程と、前記補佐力および加減速補佐力に基づいてシリンダ出力値を算出する工程とをさらに備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項6に記載のバランスシリンダの制御方法において、前記加減速補佐力を算出するにあたって、単位加速度当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインを取得することを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のバランスシリンダの制御方法において、前記搬送物の重量から解放された軸部材の基準重心位置を特定する工程と、特定された基準重心位置を基準に、水平軸回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの解放時補佐力を算出する工程とをさらに備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項8に記載のバランスシリンダの制御方法において、前記軸部材に沿って前記水平軸の軸心から前記基準重心位置までの距離を示す変位量を取得する工程と、この変位量に足し合わされて、搬送物の重量に応じ軸部材に沿って軸部材の前記重心位置を規定する変数値を取得する工程とをさらに備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 支点回りで揺動する軸部材の先端に搬送物が支持される際に、搬送物の重量に起因して移動する軸部材の重心位置を特定する工程と、特定された重心位置を基準に、支点回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの補佐力を算出する工程とを備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項10に記載のバランスシリンダの制御方法において、前記軸部材に沿って前記搬送物の位置を取得する工程と、取得された位置ごとに特定される前記モーメントの大きさに応じて前記補佐力を変化させる工程とをさらに備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項11に記載のバランスシリンダの制御方法において、前記補佐力を変化させるにあたって、前記軸部材に沿って前記支点から前記重心位置までの距離を示す変位量を取得することを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項12に記載のバランスシリンダの制御方法において、前記補佐力を算出するにあたって、単位変位量当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインを取得することを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項10〜13のいずれかに記載のバランスシリンダの制御方法において、支点回りで前記軸部材が揺動する際に支点回りの角加速度を取得する工程と、取得された角加速度を生成するバランスシリンダの加減速補佐力を算出する工程と、前記補佐力および加減速補佐力に基づいてシリンダ出力値を算出する工程とをさらに備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項14に記載のバランスシリンダの制御方法において、前記加減速補佐力を算出するにあたって、単位加速度当たりの出力増減値を示すシリンダ出力ゲインを取得することを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項10〜15のいずれかに記載のバランスシリンダの制御方法において、前記搬送物の重量から解放された軸部材の基準重心位置を特定する工程と、特定された基準重心位置を基準に、支点回りのモーメントを打ち消すバランスシリンダの解放時補佐力を算出する工程とをさらに備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
- 請求項16に記載のバランスシリンダの制御方法において、前記軸部材に沿って前記水平軸の軸心から前記基準重心位置までの距離を示す変位量を取得する工程と、この変位量に足し合わされて、搬送物の重量に応じ軸部材に沿って軸部材の前記重心位置を規定する変数値を取得する工程とをさらに備えることを特徴とするバランスシリンダの制御方法。
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