JP3904774B2 - 放射性排水ろ過装置の逆洗方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力施設から発生する洗濯排水または濃縮廃液を含む放射性排水のろ過に用いられる放射性排水ろ過装置の逆洗方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所等の原子力施設で作業員が着用した作業服や靴下等の衣類には、汗や脂等の有機物や砂粒等の無機物の他に、微量の放射性核種が付着している可能性がある。このためこれらの衣類を洗濯した排水は、放射性排水ろ過装置により浄化する必要がある。また原子力施設の冷却水や雑用水を蒸発缶で濃縮した濃縮廃液にも微量の放射性核種が含まれている可能性があるため、放射性排水ろ過装置により浄化する必要がある。この放射性排水ろ過装置には、孔径が0.1 μm 以下のセラミックフィルタを用いることが好ましい。
【0003】
図3は従来から用いられている放射性排水ろ過装置の概念図であり、循環タンク1に貯留された放射性排水は循環ポンプ2により汲み上げられてセラミックフィルタ3に循環される。セラミックフィルタ3は好ましくは多数の貫通孔4を持つモノリス型のフィルタであり、原水である放射性排水はこれらの貫通孔4内を循環する間に貫通孔4の周囲のろ過面でろ過され、ろ過水はセラミックフィルタ3の側面からろ過水タンク5に取り出される。また濃縮された放射性排水は、原水循環経路6を経由して循環タンク1に戻される。
【0004】
ところが、このセラミックフィルタ3は孔径が小さいうえに、放射性排水中には様々な有機物や無機物が含まれているため、ろ過面に次第に堆積物が付着して目詰まりを生ずる。そこで従来、セラミックフィルタ3が目詰まりした際には、循環ポンプ2を停止して原水側の圧力を開放するとともに、図4に示すように逆洗ポンプ8により加圧したろ過水又は清水を、セラミックフィルタ3のろ過水側から原水側に流す逆洗を行っていた。この逆洗によりろ過面に付着している堆積物は剥離されるため、目詰まりを解消することができる。
【0005】
しかし図4に示すように、ろ過面の堆積物7は均一に付着しているのではなく、必ずムラがある。このため、従来法による逆洗では堆積物7が少なく水の通りやすい部分に逆洗水が集中して流れる傾向が強く、ろ過面全体を均等に洗浄することができないという問題があった。また、ろ過面の堆積物7を逆洗水の水流により押し流す方法であるため、固く付着した堆積物7はろ過面から剥離せずに残留することがあった。このため、ろ過面の差圧(ろ過抵抗)を逆洗によって十分に回復させることができず、頻繁に逆洗を行う必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決して、ろ過面全体を均等に逆洗することができ、固く付着した堆積物をも除去することができる放射性排水ろ過装置の逆洗方法を提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の放射性排水ろ過装置の逆洗方法は、洗濯排水または濃縮廃液を含む放射性排水をクロスフローでろ過するセラミックフィルタが目詰まりした際、セラミックフィルタからの原水循環経路に設けられたバルブを閉止し、かつ循環ポンプの運転を継続してセラミックフィルタの原水側の圧力を高めると同時に、逆洗ポンプにより透過水側に原水側の圧力より高い圧力を加えて、セラミックフィルタのろ過面全体を挟んで原水側と透過水側の双方から圧力を加え、その後に、前記原水循環経路のバルブを急激に開いて原水側の圧力を急激に抜くとともに原水循環を再開することにより、ろ過面全体に瞬時に大きな圧力差を形成し、ろ過面に付着している堆積物を衝撃的に原水側に剥離させるとともに、剥離した堆積物を原水の循環流に乗せて外部に排出することを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、ろ過面全体に急激な圧力差を与えて堆積物を衝撃的に原水側に剥離させることができるため、従来法よりもろ過面全体を均等に逆洗することができ、固く付着した堆積物も衝撃により除去することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1において、1は洗濯排水や濃縮廃液等の放射性排水が貯留されている循環タンク、2は循環ポンプ、3は多数の貫通孔4を持つモノリス型のセラミックフィルタである。従来と同様に原水である放射性排水はこれらの貫通孔4内を循環する間に周囲のろ過面でクロスフローろ過され、ろ過水はろ過水タンク5に取り出される。また濃縮された放射性排水は、原水循環経路6を経由して循環タンク1に戻される。なお、8は逆洗ポンプ、9は原水循環経路6に設けられたバルブである。
【0010】
次に、このセラミックフィルタ3が目詰りした際の逆洗方法を、図2により説明する。まず通常のろ過時には、図2の上段に示すように貫通孔4内に原水の循環流が形成されており、原水中の汚濁物質がろ過面に堆積物7として付着して行く。逆洗時には、原水循環経路6に設けられたバルブ9を閉じて貫通孔4内の循環流を停止するが、循環ポンプ2の運転は継続してろ過面の原水側に圧力を加える。一方、逆洗ポンプ8によりろ過面の透過水側にもろ過水又は清水による圧力を加え、図2の中段に示した状態とする。
【0011】
このように、セラミックフィルタ3のろ過面を挟んで原水側と透過水側の双方から圧力を加えるが、その際に透過水側の圧力をやや高くしておくことが好ましい。その圧力差はほぼろ過抵抗に相当する大きさとすればよく、例えば原水側を25〜45N/cm2 、透過水側を30〜50N/cm2 とする。これにより、ろ過面を挟んで両側の圧力がほぼバランスした状態となる。なお圧力の制御は制御装置10により行われる。
【0012】
次に、制御装置10からの指令によって原水循環経路6に設けられたバルブ9が急激に開放され、原水側の圧力を急激に抜く。この際、ろ過面全体に瞬時に大きい圧力差が形成されるため、図2の下段に示すようにろ過面に付着していた堆積物7は衝撃的に原水側に剥離される。またバルブ9の開放により貫通孔4内に原水の循環流が形成されるため、剥離された堆積物7はこの循環流に乗ってセラミックフィルタ3の外部に排出される。
【0013】
この逆洗方法によれば、ろ過面を挟んで原水側と透過水側の双方から圧力を加えたうえ、原水側の圧力を急激に抜くことにより、ろ過面に直接に衝撃力を作用させることができる。しかもこの衝撃力は堆積物7の厚みに関係なく、ろ過面全体に均等に作用する。このため、本発明によればろ過面全体を均等に逆洗することができ、固く付着した堆積物7をも衝撃的に除去することができるようになる。
【0014】
例えば、図1に示した放射性排水ろ過装置のセラミックフィルタ3の差圧が初期状態で6N/cm2であるとき、目詰りした後に従来方法により逆洗を行っても差圧を9N/cm2にまでしか回復させることができなかったのに対し、本発明の逆洗方法によると差圧を7N/cm2にまで回復させることができた。
【0015】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の逆洗方法によれば放射性排水ろ過装置のセラミックフィルタが目詰りした際に、ろ過面全体を均等に逆洗することができ、固く付着した堆積物をも除去することができる。このため従来に比較して逆洗の頻度を低下させることができ、設備の稼働率を向上させることができる利点がある。またセラミックフィルタの使用寿命を大幅に延長させることができるので、二次廃棄物である放射能で汚染されたセラミックフィルタの発生量を抑制できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す配管系統図である。
【図2】本発明の逆洗原理を示す説明図である。
【図3】従来例を示す配管系統図である。
【図4】従来の逆洗原理を示す説明図である。
【符号の説明】
1 循環タンク、2 循環ポンプ、3 セラミックフィルタ、4 貫通孔、5ろ過水タンク、6 原水循環経路、7 堆積物、8 逆洗ポンプ、9 バルブ、10 制御装置

Claims (1)

  1. 洗濯排水または濃縮廃液を含む放射性排水をクロスフローでろ過するセラミックフィルタが目詰まりした際、セラミックフィルタからの原水循環経路に設けられたバルブを閉止し、かつ循環ポンプの運転を継続してセラミックフィルタの原水側の圧力を高めると同時に、逆洗ポンプにより透過水側に原水側の圧力より高い圧力を加えて、セラミックフィルタのろ過面全体を挟んで原水側と透過水側の双方から圧力を加え、その後に、前記原水循環経路のバルブを急激に開いて原水側の圧力を急激に抜くとともに原水循環を再開することにより、ろ過面全体に瞬時に大きな圧力差を形成し、ろ過面に付着している堆積物を衝撃的に原水側に剥離させるとともに、剥離した堆積物を原水の循環流に乗せて外部に排出することを特徴とする放射性排水ろ過装置の逆洗方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018223137A1 (en) * 2017-06-03 2018-12-06 Water Recovery Systems, Llc Method and apparatus for treating commercial and industrial laundry wastewater

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