JP3904468B2 - 水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置。 - Google Patents

水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置。 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
太陽熱を利用する温水器には水道直結型と称されるものがある。これは、温水タンクへの給水及び温水タンクからの給湯を水道圧によっているものであり、水道から温水タンクを経て温水取出口までの循環系統に水道水を充満させているものである。このため、消費された温水は、その分だけ水道水がその圧力によって自動的に補充されるから、面倒な給水操作や温水量管理等を必要とせず、構造及び操作が簡単になる利点がある。一方で、太陽熱利用温水器の性能は、太陽熱を受光する温水タンクの集熱効率にかかっている。この中でも、特許第1691331号等に見られる、所謂、魔法瓶方式のものは、集熱効率が高いことで知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、我が国で太陽熱利用温水器を使用するには、冬季における凍結の問題を考慮しておかなければならない。温水タンクは、通常、屋根等の高位置に設置されるが、温水タンク自身は上記のように保温機能を有していて凍結の心配はない。しかし、これへ冷水を供給する冷水供給管やこれから温水を取り出す温水取出管の一部は外気に曝されている。従って、気温が氷点下になると、これらの管の中の水は凍結する。管の中の水が凍結すると、水道水の供給もできないし、温水の取出しもできず、このシステムを利用できない。寒冷地の厳寒期では、この状態が一日中続くこともあり、稼働率を落としている。
【0004】
このため、冷水供給管や温水取出管をヒーター等で温めて凍結を防止するものが見られるが、この加温のためのエネルギーは少なくはなく、非常に大きなランニングコストを要していた。地方によっては、太陽熱で得られるエネルギーよりも加温に消費されるエネルギーの方が大きい場合もあり、何のためにこの設備を設置しているのかわからないほどである。本発明は、このような課題を解決したものであり、水道直結型太陽熱利用温水器にエネルギー消費の少ない凍結防止装置を組み込んだものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、水道水を室内側冷水供給管から冷水供給管を通して太陽熱で加温される温水タンクにその入口から出口に向けて連続的に送り、温水タンク内で加温された温水を温水取出管から室内側温水取出管を通して温水取出口から取り出し、取り出した分だけ水道水をその圧力で温水タンクに補充する水道直結型太陽熱利用温水器において、冷水供給管と室内側冷水供給管との接続部分と温水取出管と室内側温水取出管との接続部分に、冷水供給管と温水取出管とが室内側冷水供給管と室内側温水取出管との連通を遮断して外気に通ずる排水管との連通に択一的に切り換える切換弁Aと切換弁Cとを設ける一方、温水タンクの入口に、切換弁Aが冷水供給管と排水管とを遮断しているときには開き、連通すると閉じる逆止弁を、冷水供給管に、冷水供給管と排水管とを遮断しているときには閉じ、連通すると開く外気に通ずる空気流入弁を設けるとともに、温水取出管の温水タンクの温水面より高位置に、切換弁Cが温水取出管と排水管とを遮断しているときには閉じ、連通すると開く外気に通ずる空気導入弁を設けたことを特徴とする水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置を提供する。
【0006】
請求項1の発明は、凍結予想時に凍結のおそれのある冷水供給管の冷水と温水取出管の温水を抜いて凍結を防止するのであるが、この太陽熱利用温水器(以下、温水器)が水道直結型であることから、それ特有の問題がある。まず、冷水供給管については、切換弁Aによって水道水が冷水供給管に流れないようにする他(水道圧がかからないようにする)、冷水供給管を排水管に連通させ、逆止弁を閉じて温水タンクの温水が冷水供給管に逆流するのを阻止するとともに、空気流入弁を開いてこの中に空気を流入させ、冷水供給管の冷水が排水管から排水できるようにその負圧を除いている。一方、温水取出管については、切換弁Cによって温水取出管の温水が温水取出口に流れるのを阻止する他、温水取出管と排水管を連通させ、空気導入弁を開いてこの中に空気を導入し、同じく負圧を除いて温水取出管の温水を排水管から排水できるようにしている。このとき、空気導入弁は、温水タンクの温水面よりも高位置に設けられているから、ここに空気が導入されると、温水タンクの温水は大気圧に遮られて温水取出管に至らず、外部に排出されることはない。
【0007】
又、本発明は、請求項2に記載した、水道水を室内側冷水供給管から冷水供給管を通して太陽熱で加温される温水タンクにその入口から出口に向けて連続的に送り、温水タンク内で加温された温水を温水取出管から室内側温水取出管を通して温水取出口から取り出し、取り出した分だけ水道水をその圧力で温水タンクに補充する水道直結型太陽熱利用温水器において、冷水供給管と室内側冷水供給管との接続部分と温水取出管と室内側温水取出管との接続部分に、冷水供給管と温水取出管とが室内側冷水供給管と室内側温水取出管との連通を遮断して外気に通ずる排水管との連通に択一的に切り換える切換弁Aと切換弁Cとを設ける一方、冷水供給管の温水タンクの温水面より高位置に、切換弁Aが冷水供給管と排水管とを遮断しているときには閉じ、連通すると開く外気に通ずる空気流入弁を設けるとともに、温水取出管の温水タンクの温水面より高位置に、切換弁Cが温水取出管と排水管とを遮断しているときには閉じ、連通すると開く外気に通ずる空気導入弁を設けたことを特徴とする水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置を提供する。
【0008】
請求項2の発明は、上記した逆止弁を廃して空気流入弁のみによったものであるが、この空気流入弁を空気導入弁と同様に冷水供給管の温水タンクの温水面より高位置に設けることで、このことを可能にしている。切換弁Aが冷水供給管と排水管とを連通させると、空気流入弁が開いて外気を冷水供給管に流入させてこの中の冷水を排水可能にするのであるが、空気が流入される位置が温水タンクの温水面より高位置に設けられてあるから、ここに空気が流入されると、温水タンクの温水は冷水供給管に逆流することはない。逆止弁を使用しないから、部材を省略できるとともに、作動のトラブルを発生させない。
【0009】
上記二発明における空気流入弁には、請求項3に記載した、冷水供給管と排水管とが遮断しているときに外気に通ずる空気流入孔をスプリングで付勢してボールで塞ぐ機械式の逆止弁が考えられる。冷水供給管と外気に通ずる排水管が連通すると、冷水が排水しようとして冷水供給管には負圧がかかるから、この負圧によってボールはスプリングに抗して空気流入孔から離反して外気の流入を許容するものである。この逆止弁によると、構造が簡単でコストが安くなる利点がある。又、請求項4の外気に通ずる空気流入孔を遠隔制御される開閉体で開閉する遠隔制御式の開閉弁によってもよい。この場合、開閉体は強制的に動かされるから、作動時期を正確に制御できて動作が確実になる利点がある。一方、より高感度で制御されることが必要な空気導入弁に関しては、請求項5の外気に通ずる空気導入孔を遠隔制御される開閉体で開閉する遠隔制御式の開閉弁によるものが動作が確実であって好ましい。
【0010】
この場合において、請求項6に記載の外気の温度を検出する外気温度センサを設け、外気温度センサが凍結予想温度を検出すると、切換弁Aが冷水供給管と排水管とを連通させ、切換弁Cが温水取出管と排水管とを連通させる手段によれば、これら凍結防止措置が自動的にできるし、請求項7に記載の手動で操作するタイマースイッチを設け、タイマースイッチを入れると、その設定時間だけ、切換弁Aが室内側冷水供給管と冷水供給管を連通させ、切換弁Cが温水取出管と室内側温水取出管を連通させ、設定時間が経過すると、切換弁Aが冷水供給管と排水管とを連通させ、切換弁Cが温水取出管と排水管とを連通させる手段によれば、冷水供給管の冷水や温水取出管の温水を流通させることができるから、凍結のおそれはない。従って、凍結予想時であっても、温水が利用でき、温水タンクの温水を有効利用できる。
【0011】
更に、本発明は、以上の温水器において、請求項8に記載した、切換弁A、Cと共に、切換弁Aが室内側冷水供給管と排水管とを連通させ、切換弁Cが温水取出管と排水管とを連通させているときには、水道水が供給される第二室内側冷水供給管と室内側温水取出管とを連通させ、切換弁Aが室内側冷水供給管と冷水供給管とを連通させ、切換弁Cが温水取出管と室内側温水取出管とを連通させているときには遮断する切換弁Bを設けてこれら切換弁A〜Cで回路切換装置を構成した手段によれば、切換弁Bが存在することで、凍結予想時に温水取出口から水が取り出せないことを解消できるし、このとき、請求項9に記載した、温水取出管と温水取出口との間に温水取出管の温水を所望の温度に加温できる補助加温器を挿設すれば、ボイラー等の温水器として使用できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一例を示す室内側に設けられる室内設備1の説明図、図2は屋外の高位置に設けられる温水タンク2の説明図であるが、水道水源に通ずる水道水供給口3から、逆止弁付きストレーナ4、減圧弁5、逆止弁6の各機器を経て室内側冷水供給管7によって回路切換装置8の切換弁Aの接続口まで延びている。尚、ストレーナ4から逆止弁6までの経路は、ストレーナ4の底から減圧弁5の裏面に入り、表面を折り返して逆止弁6に入るようになっていて非常にコンパクトな構造になっている。切換弁Aの他の接続口からは冷水供給管9が延びて温水タンク2の入口に繋がれている。
【0013】
温水タンク2の出口からは温水取出管10が延びて同じく回路切換装置8の切換弁Cの接続口に至っている。切換弁Cの他の接続口からは室内側温水取出管11が延びて温水取出口12に至っている。尚、室内側温水取出管11と温水取出口12との間にはボイラーや電気温水器等の補助加熱器13を設置し、温水タンク2の温水を所望の温度に加熱できるようになっている。この他、逆止弁6からは第二室内側冷水供給管14が延びて同じく回路切換装置8の切換弁Bの接続口に至っている。切換弁Bの他の接続口からは短絡通路15が延びており、室内側温水取出管11に合流している。
【0014】
本例の温水タンク2は、魔法瓶方式のもので、ステンレス等の内管16と外管17とからなる二重筒の外周をガラス管18で覆ったものを一つの集熱ユニットとしている。この場合、内管16の先端は開口しており、内管16内と内管16と外管17との間は連通している。又、外管17とガラス管18との間は真空層に形成されている。以上の集熱ユニットは、複数個が並列に配されており、各々の内管16の基端を分岐させる基内管19がそれぞれの内管16に交錯する形で閉塞して設けられている。基内管19の外周には基外管20が閉塞された状態で設けられており、基内管19と基外管20との間及び各内管16と外管17との間は連通している。
【0015】
前記した冷水供給管9は、この基内管19の上流側に接続されており、この接続個所に逆止弁21が挿設されている。図3はこの逆止弁21の断面図であるが、スプリング22で付勢されて基内管19に設けられる弁口59を閉塞する弁体23を主体とするものである。冷水供給管9の水に圧力があると、スプリング22は押されて弁体23が弁口59から離れ、水を下流側に通すが、圧力が失われると、スプリング22の作用で弁体23は押されて弁口59を塞いで基内管19を閉塞する。冷水供給管9には空気流入弁24も設けられている。本例の空気流入弁24は、構造が簡単な機械式の逆止弁であって、管壁に外気に通ずる空気流入孔25を形成し、この空気流入孔25をスプリング26で押して塞ぐボール27を設けたものであり、冷水供給管9の水の圧力が失われて負圧になると、ボール27はスプリング26を押して空気流入孔25から離れ、冷水供給管9に空気が流入するのを許容する。
【0016】
基外管20の下流側からは、最高位が温水タンク2の温水面よりも高位置にある上昇管28が延びており、この高位部分に空気導入弁29が設けられている。図4は空気導入弁29の説明図であるが、本例の空気導入弁29は遠隔制御式の開閉弁を用いており、管壁に形成された外気に通ずる空気導入孔30をソレノイド31で昇降させられるスプール等に取り付けられる開閉体32で開閉するものである。この場合のソレノイド31は、後述するマイクロスイッチM3が閉じると一定時間起動するタイマーT1で励磁され、ソレノイド31が励磁されると、開閉体32を引き上げて空気導入孔30の閉塞を解除し、上昇管28に空気が導入されるのを許容する。温水タンク2の温水面よりも高位置にある上昇管28に空気が導入されると、温水タンク2の温水は温水取出管10には流出しない。この他、上昇管28には、圧力弁である逃がし弁34で制御される逃がし管35も設けられている。
【0017】
図5は、本発明の他の例を示す機器配置図であるが、本例のものは、上記した逆止弁21を廃して空気流入弁24のみによったものであるが、この空気流入弁24を空気導入弁29と同様に温水タンク2の温水面より高位置に設けたものである。即ち、基外管20の上流側に最高位が温水タンク2の温水面よりも高位置にある上昇管50を延ばし、ここに空気流入孔51、ボール52及びスプリング53からなる機械式の逆止弁54を組み込んだものである。切換弁Aが冷水供給管9と後述する排水管37とを連通させると、冷水供給管9の冷水が排水しようとして冷水供給管9に負圧がかかるから、この負圧によってスプリング53に抗してボール52が動くのであるが、このスプリング43の強さは温水タンク2の温水が上昇管50を昇る圧力よりも弱くしてあり、温水タンク2の温水が冷水供給管9に逆流することはない。この点で、上昇管50の上昇量は高いほど好ましいといえる。
【0018】
図6も、本発明の他の例を示す機器配置図であるが、本例のものは、空気流入弁24として遠隔制御式の開閉弁55を用いたものである。即ち、空気導入弁29と同様に上昇管50に設けた空気流入孔56をソレノイド57及び開閉体58で開閉するようにしたものである。この場合、ソレノイド57は空気導入弁29のソレノイド31と同じタイミングで作動すればよいから、両者を並列に接続しておけばよい。開閉体58はソレノイド57で強制的に作動させられるものであるから、その動作を高精度に制御できる。
【0019】
前記した回路切換装置8の切換弁Aと切換弁Cには、排水口(大気)36に通ずる排水管37に連絡される接続口も設けられている。図7はこの回路切換装置8の断面図であるが、本例の切換弁A〜Cは、いずれも連動式のボールバルブで構成されている。即ち、弁箱38の中に切換弁Aを構成するボール39と切換弁Bを構成するボール40と切換弁Cを構成するボール41が共通の弁軸42で連結されて回転可能に収容されている(図1ではボール39〜41を弁軸42方向から見たものに並べ替えてある)。このうち、切換弁Aのボール39と切換弁Cのボール41には90°に折曲する弁路43、44が形成されており、図1の(イ)状態では、この弁路43は、室内側冷水供給管7と冷水供給管9とを連通させ、弁路44は、温水取出管10と室内側温水取出管11とを連通させている。一方、切換弁Bの弁路45は、180°の真直に形成されており、(イ)状態では、第二室内側冷水供給管14と短絡通路15との連通を遮断している。
【0020】
弁軸42はモータMによって90°の範囲で回転させられるものであり、この回転させられた状態が図1の(ロ)状態である。この状態になると、切換弁Aは冷水供給管9と排水管37とを連通させ、又、切換弁Cは温水取出管10と排水管37とを連通させ、更に、切換弁Bは第二室内側冷水供給管14と短絡通路15とを連通させる。図8はモータMの駆動回路図であるが、弁軸42は、モータMの動力を減速機構46で減速して駆動されるが、このモータMは、外気に曝されて設けられた外気温度センサS1が凍結予想温度を検出すると、自動的に起動する。弁軸42の90°の範囲の停止位置の検出は、二つのマイクロスイッチM1、M2で行われる。具体的には、弁軸42にカム47が取り付けられており、このカム47が90°に亘って配設された二つのマイクロスイッチM1、M2に来たときを停止位置とする。即ち、カム47がマイクロスイッチM1を押している(a)の位置にあるときが回路切換装置8が(イ)状態であり、マイクロスイッチM2を押している(b)の位置に来たときが(ロ)状態である。
【0021】
次に、以上の構成からなる温水器の作動について説明すると、凍結が予想されない非凍結予想時には、回路切換装置8は(イ)状態で、カム47は(a)位置にあり、水道水は、減圧弁5で適宜減圧されて(水道水の圧力では強すぎるから)室内側冷水供給管7から切換弁Aを経由して冷水供給管9を通って温水タンク2の基内管19に至る。基内管19に流入した水は、その圧力で逆止弁21の弁体23を押して弁口59を開いて下流側に流れ、内管16、内管16と外管17との間、基内管19と基外管20との間、上昇管28、温水取出管10、室内側温水取出管11すべてに充満する。
【0022】
この間、温水タンク2は太陽熱で加温されるから、中に充満している水は内管16から内管16と外管17との間に至る間に加温され、特に、基内管19と基外管20との間の部分に存在する水は十分に加温されている(太陽熱が注がなくなっても、内管16とガラス管18との間は真空の断熱層になっているから、内管16と外管17との間の温水は冷め難いし、勿論、凍結のおそれはない)。尚、内管16と外管17とからなる集熱ユニットの数は、必要とする温水の量に応じて決定される。
【0023】
この場合、加温が過ぎて圧力が一定以上高まると、逃がし弁34が作動して温水の一部を逃がし管35から逃がし、機器の破損を防止する。太陽熱で温められた温水が必要な場合、蛇口等が設けられる温水取出口12から必要量だけ取り出して使用すればよいのであり、消費された分は、水道水が水道水供給口3から自動的に補充される。このとき、温水の温度は室内側温水取出管11に取り付けられた湯温センサS2で計測できるから、この温度が低いときには、補助加熱器13を作動させて必要な温度にすることも可能である。又、温か過ぎる場合は、温水取出口12にワンレバー水栓等を取り付けておけば、必要な温度に下げて取り出すこともできる。
【0024】
以上の状態のときのモータMの動きを図8の回路図で説明すると、ここで用いられる外気温度センサS1は、その閉接点を使っており、凍結温度を検出しないときには内部の回路を導通状態にするもので、リレーRYのコイルRに電流が流れている。従って、リレーRYの接点rは黒塗り端子側に切り換わっており、マイクロスイッチM1を通るモータMへの回路に電流が流れることになる。しかし、この回線はマイクロスイッチM1のCOM端子とNC端子に繋がっていることから、カム47が(a)位置にあってマイクロスイッチM1のアクチュエータを押している限り、モータMには電流が流れず、回転することはない。
【0025】
これに対して外気温度センサS1が凍結予想温度(例えば1℃)を検出すると、リレーRYのコイルRの回路に電流が流れなくなり、接点rは白塗り端子側に切り換わる。すると、マイクロスイッチM2を通るモータMへの回路に電流が流れ、このとき、マイクロスイッチM2のアクチュエータは押されておらず、しかも、この回線はCOM端子とNC端子に繋がっていることから、結局、この回路に電流が流れ、モータMを起動してカム47を(b)位置まで回転させる。カム47が(b)位置まで回転すると、そのアクチュエータが押され、電流の流れが止んでモータMはこの(b)位置で停止する。この動きに連動して回路切換装置8も(ロ)状態に切り換わる。この間、モータMの起動時間は数秒間でよく、その消費電力はきわめて少ない。
【0026】
一方、外気温度が上がって凍結予想温度を脱すると、外気温度センサS1は再び導通状態となり、リレーRYの接点rを再度黒塗り端子側に切り換える。このとき、カム47はマイクロスイッチM1を押していないから、そのCOM端子とNC端子間には電流が流れ、モータM(コンデンサCを並列に入れて回転方向が毎回正逆になるリバーシブルモータを用いている)を回転させ、カム47は(b)の位置から(a)の位置に戻り、これに伴って回路切換装置は、(ロ)状態から(イ)状態に切り換わる。
【0027】
回路切換装置8が(ロ)状態になると、冷水供給管9と排水管37が連通するとともに、温水取出管10と排水管37も連通し、冷水供給管9の冷水及び温水取出管10の温水はそれぞれ排水管47を通って排出口36から排出される。このとき、冷水供給管9の空気流入弁24は、ボール27が空気流入孔25から離れて空気の流入を許容するから、速やかな排水が可能になる。一方、このとき、逆止弁21の弁体23は、スプリング22の力で弁口59を塞ぐことになるから、温水タンク2の温水が冷水供給管9に逆流することはない。
【0028】
尚、以上は、逆止弁21と空気流入弁24を併設した場合であるが、逆止弁21を廃して機械式の逆止弁54からなる空気流入弁24のみを温水タンク2の温水面より高位置に設けた場合も同様な作用をする。即ち、冷水供給管9の冷水が排水しようとしてこれに負圧がかかると、即座にボール52がスプリング53を押して空気流入孔51を開放するから、ここに外気を流入させ、温水タンク2の温水が冷水供給管9に逆流しようとするのを規制する。更に、空気流入弁24を遠隔制御式の開閉弁55にしたときも同様であり、回路切換装置8が(ロ)状態になって冷水供給管9と排水管37とが連通すると、以下に述べる空気導入弁29と同様にそのソレノイド57が励磁されて開閉体58を引き上げ、空気流入孔56を開放してここに外気が流入するのを許容する。
【0029】
回路切換装置8が(ロ)状態になると、これと並行して上昇管28の空気導入弁29のソレノイド31は励磁されて開閉体32を引き上げるから、空気導入孔30は開放され、温水取出管10の温水は排水管37を通して排出口37から速やかに排出される。図9はソレノイド31を励磁する回路であるが、マイクロスイッチM2に並べてマイクロスイッチM3が設けており、このマイクロスイッチM3のCOM端子とNO端子を上記した空気導入弁29のソレノイド31(開閉弁55を採用するときにはそのソレノイド57も)を励磁させるタイマーT1の回路に挿入している。従って、回路切換装置8が(ロ)状態になると、温水取出管10に空気が導入されることになる。
【0030】
このとき、空気導入弁29は、温水タンク2の温水面よりも高い位置に設定され、しかも、水道圧は切換弁Aで遮断されているから、温水タンク2の温水が温水取出管10に流れ込むことはない。尚、タイマーT1の設定時間が来ると(この間に温水取出管10の温水は排水されてしまっている)、ソレノイド31の励磁は止んで開閉体32は降下して空気導入孔30を塞ぐ。このように、ソレノイド31、51はわずかな時間だけ励磁させればよく、消費電力は非常に少ない。
【0031】
ところで、以上の凍結予想時、即ち、回路切換装置8が(ロ)状態のときにも、温水取出口10から水を取り出す必要があることがある。この場合は、切換弁Bが第二室内側冷水供給管14と短絡通路15及び室内側温水取出管11を連通しているから、水道水はこの経路を通って温水取出口12から取り出せる。このとき、補助加熱器13を通せば、所望の温度に加温できる。
【0032】
尚、回路切換装置8は、外気温度センサS1等に並列に配したスイッチ(図示省略)によって手動でも切り換えることができるようにしておくのが適する。凍結予想時であっても、炊事や風呂への給湯といった温水タンク2の温水を利用する機会が多いときは、このスイッチを操作して回路切換装置8を(ロ)から(イ)状態に切換え、温水タンク2の温水が取り出せるようにして太陽熱の有効利用を図ったものである。このとき、冷水供給管9や温水取出管10は、その中を冷水や温水が流れることになるから、凍結は起こらない。そして、このスイッチを設定時間だけ働くタイマースイッチにしておけば、回路切換装置8は(ロ)状態に自動的に復帰するから、この操作のし忘れがない。
【0033】
以上は、回路切換装置8を機械式のボールバルブで構成したものであるが、これを採用する利点は、凍結予想温度になったときに(イ)状態から(ロ)状態に切り換えるとき、或いは凍結予想温度を脱したときに(ロ)状態から(イ)状態に切り換えるとき、モータMの駆動時間がほんの数秒間でよく、後は電力の消費を必要としない点である。この点で、非常に省エネ的といえる。但し、外気温度センサS1の閉接点を使用していることから、
(イ)状態のときにはリレーRYのコイルRに常に電流が流れており、この点では、僅か(1W以下)ではあるが、電力を消費していることになる。そこで、この回路に、例えば、8℃以下でオン、以上でオフとなる省エネセンサS3を入れておけば、8℃以上の気温となる一年の大半は消費エネルギーを零とすることができる。尚、スナップスイッチSSを切断すれば、いつでもモータMを起動して(ロ)状態とすることができる。更に、外気温度センサS1の開接点を使用しても、同様の制御をすることも可能であるから、この場合は、更に省エネになる。
【0034】
図8は、回路切換装置8を電磁弁で構成した回路図であるが、切換弁A〜Cに代えて電磁弁A〜Cにしてもよい。これによると、上記(イ)状態に相当する給水、給湯状態のときにはソレノイドに電流は流れないものの、(ロ)状態に相当する排水状態のときには、その間中、電流は流れていることになる。しかし、この場合でも、ヒータ等の電力消費に比べればはるかに少なくて済し、加えて、この電磁弁方式によれば、モータやマイクロスイッチといった関連部品が不要になる利点がある。
【0035】
【発明の効果】
以上、本発明は、凍結予想時に冷水供給管の冷水と温水取出管の温水を抜いてこの中を空にするものであるから、これらの管の中が凍結して温水器を使用できなくなる事態はない。この場合において、回路切換装置や空気流入(導入)弁といった制御機器はわずかな電力で作動できるし、その作動時間もきわめて短時間であるから、消費電力はきわめて少なく、省エネ効果が非常に高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す室内設備の説明図である。
【図2】本発明の一例を示す温水タンクの説明図である。
【図3】本発明の一例を示す逆止弁と空気流入弁の説明図である。
【図4】本発明の一例を示す空気導入弁の説明図である。
【図5】本発明の他の一例を示す空気流入弁等の機器配置図である。
【図6】本発明の他の一例を示す空気流入弁等の機器配置図である。
【図7】本発明の一例を示す回路切換装置の断面図である。
【図8】本発明の一例を示すモータの駆動回路図である。
【図9】本発明の一例を示すソレノイドの回路図である。
【図10】本発明の他の一例を示す回路切換装置の回路図である。
【符号の説明】
2 温水タンク
7 室内側冷水供給管
8 回路切換装置
9 冷水供給管
10 温水取出管
11 室内側温水取出管
12 温水取出口
13 補助加熱装置
14 第二室内側冷水供給管
21 逆止弁
24 空気流入弁
29 空気導入弁
37 排水管
S1 外気温度センサ

Claims (9)

  1. 水道水を室内側冷水供給管から冷水供給管を通して太陽熱で加温される温水タンクにその入口から出口に向けて連続的に送り、温水タンク内で加温された温水を温水取出管から室内側温水取出管を通して温水取出口から取り出し、取り出した分だけ水道水をその圧力で温水タンクに補充する水道直結型太陽熱利用温水器において、冷水供給管と室内側冷水供給管との接続部分と温水取出管と室内側温水取出管との接続部分に、冷水供給管と温水取出管とが室内側冷水供給管と室内側温水取出管との連通を遮断して外気に通ずる排水管との連通に択一的に切り換える切換弁Aと切換弁Cとを設ける一方、温水タンクの入口に、切換弁Aが冷水供給管と排水管とを遮断しているときには開き、連通すると閉じる逆止弁を、冷水供給管に、冷水供給管と排水管とを遮断しているときには閉じ、連通すると開く外気に通ずる空気流入弁を設けるとともに、温水取出管の温水タンクの温水面より高位置に、切換弁Cが温水取出管と排水管とを遮断しているときには閉じ、連通すると開く外気に通ずる空気導入弁を設けたことを特徴とする水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置。
  2. 水道水を室内側冷水供給管から冷水供給管を通して太陽熱で加温される温水タンクにその入口から出口に向けて連続的に送り、温水タンク内で加温された温水を温水取出管から室内側温水取出管を通して温水取出口から取り出し、取り出した分だけ水道水をその圧力で温水タンクに補充する水道直結型太陽熱利用温水器において、冷水供給管と室内側冷水供給管との接続部分と温水取出管と室内側温水取出管との接続部分に、冷水供給管と温水取出管とが室内側冷水供給管と室内側温水取出管との連通を遮断して外気に通ずる排水管との連通に択一的に切り換える切換弁Aと切換弁Cとを設ける一方、冷水供給管の温水タンクの温水面より高位置に、切換弁Aが冷水供給管と排水管とを遮断しているときには閉じ、連通すると開く外気に通ずる空気流入弁を設けるとともに、温水取出管の温水タンクの温水面より高位置に、切換弁Cが温水取出管と排水管とを遮断しているときには閉じ、連通すると開く外気に通ずる空気導入弁を設けたことを特徴とする水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置。
  3. 空気流入弁が、冷水供給管と排水管とが遮断しているときに外気に通ずる空気流入孔をスプリングで付勢してボールで塞ぐ機械式の逆止弁である請求項1又は2の水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置。
  4. 空気流入弁が、外気に通ずる空気流入孔を遠隔制御される開閉体で開閉する遠隔制御式の開閉弁である請求項1又は2の水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置。
  5. 空気導入弁が外気に通ずる空気導入孔を遠隔制御される開閉体で開閉する遠隔制御式の開閉弁である請求項1〜4いずれかの水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置。
  6. 外気の温度を検出する外気温度センサを設け、外気温度センサが凍結予想温度を検出すると、切換弁Aが冷水供給管と排水管とを連通させ、切換弁Cが温水取出管と排水管とを連通させる請求項1〜5いずれかの水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置。
  7. 手動で操作するタイマースイッチを設け、タイマースイッチを入れると、その設定時間だけ、切換弁Aが室内側冷水供給管と冷水供給管を連通させ、切換弁Cが温水取出管と室内側温水取出管を連通させ、設定時間が経過すると、切換弁Aが冷水供給管と排水管とを連通させ、切換弁Cが温水取出管と排水管とを連通させる請求項1〜6いずれかの水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置。
  8. 切換弁A、Cと共に、切換弁Aが室内側冷水供給管と排水管とを連通させ、切換弁Cが温水取出管と排水管とを連通させているときには、水道水が供給される第二室内側冷水供給管と室内側温水取出管とを連通させ、切換弁Aが室内側冷水供給管と冷水供給管とを連通させ、切換弁Cが温水取出管と室内側温水取出管とを連通させているときには遮断する切換弁Bを設けてこれら切換弁A〜Cで回路切換装置を構成した請求項1〜7いずれかの水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置。
  9. 温水取出管と温水取出口との間に温水取出管の温水を所望の温度に加温できる補助加温器を挿設した請求項1〜8いずれかの水道直結型太陽熱利用温水器の凍結防止装置。
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