JP3904360B2 - 複リードウォームの加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォームホイールと組み合わせて使用する複リードウォームの加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の複リードウォームは、自動車のステアリング装置などにおいて、これと組み合わされるウォームホイールとの間のバックラッシュを調整するのに使用される(例えば特開平7−309244号公報参照)。図6及び図7に示すように、このような複リードウォーム10は、所定のリードT0 と圧力角αa を有する第1歯面12とこれよりも大きい値の所定のリードT1 と圧力角αb を有する第2歯面13を有しており、標準的なホブで加工したウォームホイール7と組み合わせて使用される。第1歯面12はウォームホイール7の一方の歯面9aと正常に噛合し、それらの間のかみ合いピッチ線はそれぞれ符号11及び8に示す通りである。第2歯面13はウォームホイール7の他方の歯面9bと噛合し、それらの間のかみ合いピッチ線は、ピッチ線11,8よりもウォームホイール7側にずれている(図示省略)。第2歯面13と歯面9bは、図7の断面で見る限りは正常に噛合するはずであるが、当たり面が歯すじ方向にずれたものとなる。図に示す複リードウォーム10では、右に進むにつれて歯厚Wは増大し、歯溝幅Gは減少する。従って複リードウォーム10とウォームホイール7の間のバックラッシュは、複リードウォーム10をウォームホイール7に対し右に移動すれば増大し、左に移動すれば減少し、これによりバックラッシュが適当な値となるように調整することができる。なお図示の例では、複リードウォーム10の軸部15の外周面はピッチ線11より距離iだけ内側に位置しており、歯底14と同一径以下である。
【0003】
このような複リードウォーム10の加工は、従来は第1歯面12と第2歯面13を別々に加工していた。すなわち、図6に示すように、先ず圧力角αa と関連する角度の円錐状の加工面2を有し軸3回りに回転する円盤状の第1工具1を回転駆動した状態で、その外周面がピッチ線11より距離h0 (=i)だけ内側となる位置まで半径方向から複リードウォーム10に接近させ、複リードウォーム10の中心軸線Oと平行で複リードウォーム10の1回転当たりリードT0 となるトラバース送りF1 を与えて第1歯面12を加工する。なお第1工具1の軸3は、これと直交する回転中心面が加工位置付近における第1歯面12のリード線への接線と平行となるように、複リードウォーム10の中心軸線Oに対し立体的に交差するように配置されている。次いで、圧力角αb と関連する角度の同様な加工面5を有し軸6回りに回転する円盤状の第2工具4を同様に複リードウォーム10に接近させ、同様にリードT1 と対応するトラバース送りF2 を与えて第2歯面13を加工する。これにより、リードT0 と圧力角αa を有する第1歯面12とリードT1 と圧力角αb を有する第2歯面13を有する複リードウォーム10が得られる。図示の各工具1,4はフライスカッタまたは砥石車であるが、加工面2,5に対応する切刃をそれぞれ有する2本のバイトを工具として第1歯面12及び第2歯面13を加工してもよい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の加工方法では、第1歯面12と第2歯面13を別々に加工しているので、加工時間が増大し、また両歯面の間の相対的位置関係の精度が低下して歯厚のばらつきが増大するという問題がある。本発明はこのような各問題を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このために、請求項1の発明による複リードウォームの加工方法は、所定のリード及び圧力角を有する第1歯面とこれとは異なる所定のリード及び圧力角を有する第2歯面を有する複リードウォームの加工方法において、第1歯面を加工する第1加工部と、この第1加工部による第1歯面の加工と同時に第2歯面を加工し得る第2加工部を備えた単一の工具を用い、この工具は円盤状の回転工具として、第1及び第2加工部は工具の回転軸線と直交する回転中心面に対する傾斜角が第1及び第2歯面の各圧力角と関連する値である各母線を回転軸線回りに回転することにより工具の外周部に形成された円錐状の第1及び第2加工面とし、工具は複リードウォームの中心軸線及び回転中心面の中心点を含む平面に対する同回転中心面の交差線が中心軸線と直交するようにしてなり、工具を複リードウォームの回転と連動して同複リードウォームの中心軸線と平行な方向及びこれと直交する方向に送ることを特徴とするものである。第1歯面を加工する第1加工部と第2歯面を加工する第2加工部を備えた工具は複リードウォームの中心軸線と平行な方向及びこれと直交する方向に送られるので、加工されるウォームの第1歯面及び第2歯面は同時に加工され、またその歯厚は軸線方向に進むにつれて変化する。
【0007】
また請求項2の発明による複リードウォームの加工方法は、所定のリード及び圧力角を有する第1歯面とこれとは異なる所定のリード及び圧力角を有する第2歯面を有する複リードウォームの加工方法において、第1歯面を加工する第1加工部と、この第1加工部による第1歯面の加工と同時に第2歯面を加工し得る第2加工部を備えた単一の工具を用い、この工具は円盤状の回転工具として、第1及び第2加工部は工具の回転軸線と直交する回転中心面に対し対称的に配置されてそれらの間の交差角が第1及び第2歯面の各圧力角と関連する各値の和である各母線を回転軸線回りに回転することにより工具の外周部に形成された円錐状の第1及び第2加工面とし、工具は複リードウォームの中心軸線及び回転中心面の中心点を含む平面に対する第1及び第2歯面の各交差線の二等分線が回転中心面上で同回転中心面の中心点を通る線となるようにしてなり、工具を複リードウォームの回転と連動して同複リードウォームの中心軸線と平行な方向及びこれと直交する方向に送ることを特徴とするものである。このようにしても、請求項1の発明と同様、加工されるウォームの第1歯面及び第2歯面は同時に加工され、またその歯厚は軸線方向に進むにつれて変化する。
【0008】
また請求項3の発明による複リードウォームの加工方法は、所定のリード及び圧力角を有する第1歯面とこれとは異なる所定のリード及び圧力角を有する第2歯面を有する複リードウォームの加工方法において、第1歯面を加工する第1加工部と、この第1加工部による第1歯面の加工と同時に第2歯面を加工し得る第2加工部を備えた単一の工具を用い、この工具はエンドミル形の回転工具として、第1及び第2加工部は工具の先端に形成されて頂角が第1及び第2歯面の各圧力角と関連する各値の和である円錐状の加工面とし、工具はその回転軸線が複リードウォームの中心軸線を含む平面に対する第1及び第2歯面の各交差線の二等分線と一致するようにしてなり、工具を複リードウォームの回転と連動して同複リードウォームの中心軸線と平行な方向及びこれと直交する方向に送ることを特徴とするものである。このようにしても、請求項1及び請求項2の発明と同様、加工されるウォームの第1歯面及び第2歯面は同時に加工され、またその歯厚は軸線方向に進むにつれて変化する。またこの場合は、前各項の発明に比して回転軸構成上から軸剛性を高めることができる。
【0009】
【発明の効果】
上述のように、請求項1の発明によれば、加工されるウォームの歯厚は軸線方向に進むにつれて変化するので、第1歯面のリード及び圧力角と第2歯面のリード及び圧力角とが異なった複リードウォームを1回の加工で得ることができる。加工されるウォームの第1歯面及び第2歯面は同時に加工されるので、加工時間を減少させて製造コストを低下させることができ、また第1及び第2歯面の間の相対的位置関係の精度を向上させて歯厚のばらつきを減少させることができる。
【0010】
請求項2の発明でも、加工されるウォームの第1歯面及び第2歯面は同時に加工され、またその歯厚は軸線方向に進むにつれて変化するので、請求項1の発明と同様、製造コストを低下させ、また歯厚のばらつきを減少させることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、請求項1及び請求項2の発明と同様、製造コストを低下させ、また歯厚のばらつきを減少させることができるのに加え、前各項の発明に比して回転軸構成上から軸剛性を高めることができるので、得られる複リードウォームの歯形が正確になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面により、本発明による複リードウォームの加工方法の実施の形態の説明をする。先ず図1〜図3により第1の実施の形態の説明をする。角度等は、ウォーム軸中心に対して軸直角で考える。この複リードウォーム10は、図6及び図7に示す従来技術の複リードウォームに対し歯底17が異なるだけであって、その他の寸法形状、すなわち第1歯面12のリードT0 及び圧力角αa 、第2歯面13のリードT1 及び圧力角αb 、ピッチ線11からの歯末の高さc、軸部15の径などは全く同一である。なお、複リードウォーム10と噛合するウォームホイール7は工具圧力角がαa の標準ホブで切削したものであるので、T0 、T1 、αa 、αb の間の関係は
T0・cosαa =T1・cosαb
である。
【0013】
この第1の実施の形態の工具20はフライスカッタや砥石車などの回転軸25を備えた円盤状の回転工具であり、外周部の両側に第1歯面12を加工する第1加工面(第1加工部)21と第2歯面13を加工する第2加工面(第2加工部)22が形成された単一の工具である。この工具20は、軸25の回転軸線25aと直交する回転中心面26とこの回転中心面26の中心点P1 及び複リードウォーム10の中心軸線Oを含む平面である図1の紙面との交差線I1 が中心軸線Oと直交し(図1参照)、かつ回転中心面26が、加工位置付近における第1歯面12のリード線への接線と平行となるように配置されている。従って軸25の回転軸線25aは複リードウォーム10の中心軸線Oに対し立体的に交差し、それらの間の交差角は第1歯面12のリード角γであり、また図1の紙面に対する回転中心面26の交差角は直角からリード角γだけ傾いている(図2参照)。
【0014】
第1加工面21は軸25の回転軸線25aと直交する回転中心面26に対して傾斜した母線を回転軸線25a回りに回転することにより形成された円錐面である。回転中心面26に対するこの母線の傾斜角は、次に述べるように、第1歯面12の圧力角αa と関連する値、すなわち圧力角αa をリード角γにより補正した値である。この補正の内容を、図1において第1加工面21により加工される第1歯面12を上方から見た部分拡大図である図2により説明する。第1歯面12と第1加工面21は、図1における第1歯面12とピッチ線11の交差点Qにおいて互いに接している。しかし上述のように回転中心面26は図1の紙面に対し直角ではないので、第1歯面12に対する第1加工面21の接触線(加工線)すなわち第1加工面21の母線は、交差点Qと中心軸線Oを含む面(図1の紙面)上にはなく、中心軸線Oに対しリード角γだけ立体的に交差した回転軸線25aと交差点Qを含む面S上にある(図2参照)。従って回転中心面26に対する第1加工面21の母線の傾斜角(=歯直角圧力角)は、図1及び図2より明らかなように
但し、c、d、eは図1及び図2参照
となる。
【0015】
同様に、第2加工面22は回転中心面26に対して傾斜した母線を回転軸線25a回りに回転することにより形成された円錐面であり、回転中心面26に対する第2加工面22の母線の傾斜角は
第2加工面22の母線の傾斜角=tan-1(tanαb・cosγ)
となる。第1及び第2加工面21,22の各母線の回転中心面26に対する傾斜角と、第1及び第2歯面12,13の各圧力角αa ,αb の間の関係は、以上の通りである。なお母線の傾斜角の補正に使用するリード角γは、上述の例では交差点Qを通るものを使用したが、リード角γは第1歯面12の歯元側と歯末側とでは異なっており、どのリード角γを使用して上記補正を行っても事実上差し支えない。
【0016】
工具20の外周には、複リードウォーム10の歯底17を加工する先端加工面23が形成され、その幅V1 は図6及び図7に示す従来技術の複リードウォームの歯底14の幅の最小値よりやや小とすればよい。また後述するように、この第1の実施の形態により加工される複リードウォーム10の各歯面12,13の半径方向の長さは長手方向に移動するにつれて変化するが、各加工面21,22の半径方向の長さは、各歯面12,13の半径方向の長さの最大値よりも大とする。
【0017】
このような工具20を、軸25により回転駆動した状態で、複リードウォーム10の中心軸線Oと平行でウォーム1回転当たりリードT0 となるトラバース送りだけを与えた場合に形成されるウォームの形状は図3の実線に示すとおりであり、第1及び第2歯面12,13のリードは何れもT0 である。上述したトラバース送りに加えてトラバース方向と直交する方向にウォーム1回転当たりyの送りを与えれば、図3に示すように2番目の歯溝の形状は破線に示すとおりとなり、第1歯面12は距離Ca(=y・tanαa)だけ後退し、第2歯面13は距離Cb(=y・tanαb)だけ前進する。これにより2番目の歯溝幅は1番目の歯溝幅よりも
Ca +Cb =y(tanαa +tanαb )
だけ減少し、第1歯面12のリードはこの減少量だけ第2歯面13のリードよりも減少して、複リードウォームが形成される。しかしこれだけでは第1歯面12のリードも距離Ca だけ減少するので所定のリードT0 とはならない。
【0018】
そこでこの実施の形態では、図1の工具20に与えるトラバース送りFT を第1歯面12のリードT0 に距離Caを加えたものとし、またウォーム1回転当たりの送りyは、Ca +Cb が第1及び第2歯面12,13のリードの差(=T1 −T0 )となるようにしている。すなわち
となる。このようにすれば、工具20により加工される複リードウォーム10は、第1歯面12のリード及び圧力角がT0 及びαa となり、第2歯面13のリード及び圧力角はT1 及びαb となる。なお、トラバース送りFT を第2歯面13のリードT1 から距離Cb を引くようにしてもよい。すなわち、
となる。またトラバース送りFT は両リードT0 ,T1 の中間値であってもよい。
【0019】
次に、以上の説明をまとめてこの実施の形態による複リードウォームの加工方法を説明する。複リードウォーム10に対し前述のように配置した工具20を軸線方向で最も左側の加工開始位置とし、回転軸線35a回りに回転駆動して複リードウォーム10に接近させ、先ずその先端加工面23が加工開始位置における歯底17の位置まで切り込む。そして複リードウォーム10を回転駆動すると同時に工具20に前述したとおりのトラバース送りFT とこれと直交する送りyを与えてそれらの合成方向であるF方向に工具20を移動させ、第1及び第2加工面21,22と先端加工面23により、複リードウォーム10の第1及び第2歯面12,13と歯底17を同時に加工する。工具20が軸線方向で最も左側の加工終了位置に達したところで複リードウォーム10の回転とトラバース送りFT とこれと直交する送りyを停止し、工具20を後退させる。
【0020】
これにより、リード及び圧力角がT0 及びαa である第1歯面12並びにリード及び圧力角がT1 及びαb である第2歯面13を備えた複リードウォーム10が形成される。ピッチ線11から歯底17までの深さは加工開始位置から加工終了位置に向かって次第に浅くなるが、軸部15の外周面の外側に達することはない。このように歯底17までの深さが変化するので、歯末部分を含む各歯面12,13の半径方向の長さも長手方向に移動するにつれて変化する。また第1歯面12及び第2歯面13は単一の工具20の第1加工面21及び第2加工面22により同時に加工される。従って、加工時間が短縮されるので製造コストは低下され、また第1及び第2歯面12,13の間の相対的位置関係の精度も向上するので歯厚のばらつきも減少する。
【0021】
次に図4に示す第2の実施の形態の説明をする。上述した第1の実施の形態では、第1加工面21及び第2加工面22を形成する各円錐面の母線は工具20の回転中心面26に対して互いに異なる角度で傾斜し、図1の紙面と回転中心面26の交差線I1 が中心軸線Oと直交しているが、第2の実施の形態では、第1加工面31及び第2加工面32を形成する各円錐面の母線は工具30の回転中心面36に対して同一角度で傾斜しており、その代わり図4の紙面と回転中心面36の交差線I2 は中心軸線Oと直交する線から角度(αb −αa )/2だけずれている点が第1の実施の形態と相違している。その他の構成は第1の実施の形態と同一であるので、主としてこの相違点につき説明する。
【0022】
この第2の実施の形態の工具30もフライスカッタや砥石車などの円盤状の回転工具であり、その外周部には第1加工面31と第2加工面32が形成されている。この工具30は、軸35の回転軸線35aと直交する回転中心面36と複リードウォーム10の中心軸線O及び回転中心面36の中心点P2 を含む平面である図4の紙面との交差線I2 が、同紙面に対する第1及び第2歯面12,13の各交差線の二等分線、すなわち中心軸線Oと直交する線から角度(αb −αa )/2だけずれた線と一致し(図4参照)、かつ回転中心面36が、加工位置付近における各歯面12,13のリード線への接線と平行となるように配置されている。
【0023】
上述のように、この第2の実施の形態でも、回転中心面36は加工位置付近における第1歯面12のリード線への接線と平行であるので、回転中心面36に対し対称に配置された第1及び第2加工面31,32の母線の間の交差角αc は、第1の実施の形態における第1及び第2加工面21,22の各母線の傾斜角の和、すなわち
tan-1(tanαa・cosγ)+tan-1(tanαb・cosγ)
となる。工具30の各加工面31,32の半径方向の長さ及び外周の先端加工面33の幅V2 は、第1の実施の形態のものと実質的に同じである。
【0024】
このような工具30により複リードウォーム10を加工する場合の、複リードウォーム10の1回転当たりのトラバース送りFT とこれ直交する方向の送りyは第1の実施の形態の場合と同じである。加工に際しては、第1の実施の形態の場合と同様、複リードウォーム10に対し前述のように配置した工具30を軸線方向で加工開始位置とし、回転駆動して複リードウォーム10に接近させ、先ずその先端加工面33を所定位置まで切り込み、複リードウォーム10を回転駆動すると同時に工具30に前述したとおりのトラバース送りFT とこれと直交する送りyを与えて、複リードウォーム10を加工する。加工が終了すれば複リードウォーム10の回転とトラバース送りFT とこれと直交する送りyを停止して工具30を後退させる。
【0025】
これにより加工された複リードウォーム10は、歯底18が中心軸線Oに対し角度(αb −αa )/2だけ傾斜している点を除き、第1の実施の形態により得られたものと同一である。第1の実施の形態の場合と同様、第1歯面12及び第2歯面13は単一の工具30の第1加工面31及び第2加工面32により同時に加工されるので、加工時間が短縮されて製造コストは低下され、また第1及び第2歯面12,13の間の相対的位置関係の精度も向上するので歯厚のばらつきも減少する。なお歯底18の傾斜は、先端加工面33を半頂角が(αb −αa )/2である円錐面の一部とすればなくすこともできる。
【0026】
次に図5に示す第3の実施の形態の説明をする。上述した第1及び第2の実施の形態では、円盤状の回転工具20,30を使用しているが、この第3の実施の形態ではエンドミル形の回転工具40を使用し、これに伴い複リードウォーム10に対する工具40の配置も多少相違している。その他の構成は第2の実施の形態と同一であるので、主としてこの相違点につき説明する。
【0027】
この第3の実施の形態の工具40はエンドミルや小型の砥石車などのエンドミル形の回転工具であり、その先端部には第1及び第2歯面12,13を加工する円錐形状の加工面41が形成されている。この工具40は、その軸45の回転軸線45aが、複リードウォーム10の中心軸線Oを含む平面である図5の紙面に対する第1及び第2歯面12,13の各交差線の二等分線と一致するように配置されている(図5参照)。この工具40の円錐形の加工面41の頂角αd は
tan-1(tanαa・cosγ)+tan-1(tanαb・cosγ)
であり、第2の実施の形態の第1及び第2加工面31,32の母線の間の交差角αc と同一である。工具40の加工面41の軸線方向の長さ及び先端加工面43の径V3 は、第2の実施の形態の工具30の各加工面31,32の半径方向の長さ及び先端加工面33の幅V2 と実質的に同じである。
【0028】
このような工具40により複リードウォーム10を加工する場合の、複リードウォーム10の1回転当たりのトラバース送りFT とこれ直交する方向の送りyは前述の各実施の形態の場合と同じである。加工に際しては、前述の各実施の形態の場合と同様、複リードウォーム10に対し前述のように配置した工具40を軸線方向で加工開始位置とし、高速回転駆動して複リードウォーム10に接近させ、先ずその先端加工面43を所定位置まで切り込み、複リードウォーム10を回転駆動すると同時に工具40に前述したとおりのトラバース送りFT とこれと直交する送りyを与えて、複リードウォーム10を加工する。加工が終了すれば複リードウォーム10の回転とトラバース送りFT とこれと直交する送りyを停止して工具40を後退させる。
【0029】
これにより加工された複リードウォーム10は、第2の実施の形態と同様、歯底19が中心軸線Oに対し角度(αb −αa )/2だけ傾斜している点を除き、第1の実施の形態により得られたものと同一である。上述の各実施の形態の場合と同様、第1歯面12及び第2歯面13は単一の工具40の加工面41により同時に加工されるので、加工時間が短縮されて製造コストは低下され、また第1及び第2歯面12,13の間の相対的位置関係の精度も向上するので歯厚のばらつきも減少する。
【0030】
なお、第1の実施の形態のように、円盤状の回転工具20を使用する場合には、複リードウォーム10のリード線に沿った工具の長さが大となるが、図2の投影面では工具の回転中心面26が直線であるのに対しリード線は正弦曲線の一部となるので、ピッチ線11と第1歯面12の交差点Qからリード線方向に移動した位置で工具20の回転中心面26がリード線と一致しなくなる。このため、工具20が各歯面12,13の本来は加工すべきでない部分を加工することになるので、各歯面12,13の形状に狂いを生じる。同様の狂いは第2の実施の形態の場合にも生じる。しかしこの第3の実施の形態では、エンドミル状の回転工具40を使用しているのでリード線に沿った工具40の外径が小さくなり、線接触加工となり、交差点Qからリード線方向に移動した位置では工具40は速やかに各歯面12,13から離れて各歯面12,13を加工することはない。従って各歯面12,13の形状に狂いを生じることはなく、得られる複リードウォームの歯形は軸剛性が上がることと合わせて正確になる。
【0031】
上述した各実施の形態では、何れも回転工具を使用しているが、本発明は第1加工面、第2加工面及び先端加工面に対応する切刃を先端部両側及び先端に形成したバイトを工具として実施することもできる。また上述した各実施の形態では、1条の複リードウォームについてのみ説明したが、本発明は2条または多条の複リードウォームにも適用可能である。なおトラバース送りの向きは、上述した各実施の形態のように歯底が深い方から浅い方に移動する場合に限らず、歯底が浅い方から深い方に移動してもよい。
【0032】
上述した各実施の形態では、トラバース方向と直交する送りyを、複リードウォームの中心軸線Oから離れる方向に送っているが、中心軸線Oに近づく方向に送るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による複リードウォームの加工方法の第1の実施形態の説明図である。
【図2】 図1に示す実施形態において工具の第1加工面により加工される第1歯面を上方から見た部分拡大図である。
【図3】 工具をウオームの軸線方向と直交する方向に送った場合の歯溝幅の変化を説明する図である。
【図4】 本発明による複リードウォームの加工方法の第2の実施形態の説明図である。
【図5】 本発明による複リードウォームの加工方法の第3の実施形態の説明図である。
【図6】 従来技術による複リードウォームの加工方法の1例を示す図である。
【図7】 ウォームホイールと組み合わせた複リードウォームを示す図である。
【符号の説明】
10…複リードウォーム、12…第1歯面、13…第2歯面、20,30,40…工具、21,31…第1加工部(第1加工面)、22,32…第2加工部(第2加工面)、25a,35a,45a…回転軸線、26,36…回転中心面、41…加工面、I1 ,I2 …交差線、O…中心軸線、P1 ,P2 …中心点。
Claims (3)
- 所定のリード及び圧力角を有する第1歯面とこれとは異なる所定のリード及び圧力角を有する第2歯面を有する複リードウォームの加工方法において、前記第1歯面を加工する第1加工部と、この第1加工部による前記第1歯面の加工と同時に前記第2歯面を加工し得る第2加工部を備えた単一の工具を用い、この工具は円盤状の回転工具として、前記第1及び第2加工部は前記工具の回転軸線と直交する回転中心面に対する傾斜角が前記第1及び第2歯面の各圧力角と関連する値である各母線を前記回転軸線回りに回転することにより前記工具の外周部に形成された円錐状の第1及び第2加工面とし、前記工具は前記複リードウォームの中心軸線及び前記回転中心面の中心点を含む平面に対する同回転中心面の交差線が前記中心軸線と直交するようにしてなり、前記工具を前記複リードウォームの回転と連動して同複リードウォームの中心軸線と平行な方向及びこれと直交する方向に送ることを特徴とする複リードウォームの加工方法。
- 所定のリード及び圧力角を有する第1歯面とこれとは異なる所定のリード及び圧力角を有する第2歯面を有する複リードウォームの加工方法において、前記第1歯面を加工する第1加工部と、この第1加工部による前記第1歯面の加工と同時に前記第2歯面を加工し得る第2加工部を備えた単一の工具を用い、この工具は円盤状の回転工具として、前記第1及び第2加工部は前記工具の回転軸線と直交する回転中心面に対し対称的に配置されてそれらの間の交差角が前記第1及び第2歯面の各圧力角と関連する各値の和である各母線を前記回転軸線回りに回転することにより前記工具の外周部に形成された円錐状の第1及び第2加工面とし、前記工具は前記複リードウォームの中心軸線及び前記回転中心面の中心点を含む平面に対する前記第1及び第2歯面の各交差線の二等分線が前記回転中心面上で同回転中心面の中心点を通る線となるようにしてなり、前記工具を前記複リードウォームの回転と連動して同複リードウォームの中心軸線と平行な方向及びこれと直交する方向に送ることを特徴とする複リードウォームの加工方法。
- 所定のリード及び圧力角を有する第1歯面とこれとは異なる所定のリード及び圧力角を有する第2歯面を有する複リードウォームの加工方法において、前記第1歯面を加工する第1加工部と、この第1加工部による前記第1歯面の加工と同時に前記第2歯面を加工し得る第2加工部を備えた単一の工具を用い、この工具はエンドミル形の回転工具として、前記第1及び第2加工部は前記工具の先端に形成されて頂角が前記第1及び第2歯面の各圧力角と関連する各値の和である円錐状の加工面とし、前記工具はその回転軸線が前記複リードウォームの中心軸線を含む平面に対する前記第1及び第2歯面の各交差線の二等分線と一致するようにしてなり、前記工具を前記複リードウォームの回転と連動して同複リードウォームの中心軸線と平行な方向及びこれと直交する方向に送ることを特徴とする複リードウォームの加工方法。
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