JP3717052B2 - 曲線歯筋歯車をホブ切りする方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯筋が歯筋方向に平行な単純な直線でない曲線歯筋歯車をホブ切りする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯筋曲線が円弧である曲線円弧歯筋歯車は公知であるが、円弧以外の曲線歯筋歯車は知られていない。
この円弧歯筋歯車の歯は、曲げ強度が高く、かつ軸方向の推力を発生しないので、構造の単純な軸受により支承できると言う長所がある。
然しながら、従来、円弧歯筋歯車を歯切りする場合、グリーソン式リング状カッタを用いて、一歯ずつ創成していた。この方法は加工効率が低く、かつ、汎用機械を用いてこの方式で歯切りすることは困難であるためこの種歯車の実用化は進んでいない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためなされたものであって、その目的とするところは、円弧その他の曲線歯筋歯車を、汎用のホブ盤を用いて、効率よく、安価にホブ切りする方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決する手段】
上記課題は、ワークをホブ盤のワークテーブルのアーバーに取付け、ホブ切りするに当たって、ワークとホブに、噛み合い運動条件を保持しつつ、ワークの回転に補正回転を与えて曲線歯筋歯車をホブ切りすることによって達成される。
【0005】
一般の平歯車をホブ切りする場合、ワークをホブ盤のワークアーバーに、ホブをホブヘッドに取り付け、創成される歯車のピッチ円筒とホブのピッチ円筒が一点Kで接触し、ホブの弦巻線の接線がそのK点において歯車の歯筋と平行になるようにホブヘッドを角度φだけ傾け、ホブと創成される歯車が互いに噛み合い条件を満たすよう、ホブとワークをそれぞれ一定の回転速度ωH及びωで回転させると共に、ホブヘッドの旋回角を調整しつつ、更にホブを創成される歯車の歯筋方向、即ちZ軸方向に平行移動させ、歯車を創成するものである。
【0006】
而して、本発明方法においては、ワークの回転速度ωとホブヘッドの旋回角度φを、Zの函数として変化させることにより、歯筋を所望の曲線形状とした歯車を得る。
【0007】
更に具体的に言えば、ワークアーバの中心軸Z'と直交し ワークとラムの相対的ラジアル送り方向に向かうX軸と、X軸と直交しホブシフト方向に向かうY軸と、X軸及びY軸と直交し、ワークアーバの中心軸Z'と平行なZ軸からなる座標系において、
ワークをワークアーバに取り付け、
ホブのピッチ円筒と、創成すべき歯車のピッチ円筒をXZ平面上で接触せしめると共に、ホブと創成される歯車が互いに噛み合い運動するように、ワークとホブとを同期して回転せしめつつ、ホブにZ軸方向の移動運動を与え、歯車をホブ切りするに当たって、
ワークの回転速度に補正回転運動を与え、ワークの回転速度ωを、
ω=ω0+ω(Z)
により変化させると共に、
ホブヘッドの旋回角φを、
φ=φ(Z)
により変化させ、
創成された歯車のピッチ円筒の展開面において、ピッチ円筒の一円周の展開された方向にy軸を、それに直交する方向にz軸を採ったとき、歯筋曲線、
y=y(z)
が、少なくとも部分的に非直線部分を有する曲線歯筋歯車をホブ切りする方法によって達成される。
【0008】
更に、本発明の目的は、
歯筋曲線が円弧である曲線歯筋歯車をホブ切りする方法であって、
kを定数、
Γをホブの進み角とし、
βを歯筋曲線上の任意の点におけるねじれ角としたとき、
ω=ω0 + kZ
φ=β + Γ
とし、円弧歯筋歯車を創成することを特徴とする曲線歯筋歯車をホブ切りする方法によって達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の例について具体的に説明する。
図1は、本発明方法により、曲線歯筋歯車をホブ切りする際のワークとホブの関係運動を示す斜視図、
図2は、図1に示したワークとホブの関係位置をX軸方向(水平方向)から見た状態を示す説明図、
図3は、図1に示したワークとホブの関係位置をZ軸方向(鉛直方向)から見た状態を示す説明図、
図4は、円弧歯筋歯車の一例を示す説明図、
図5は、歯筋曲線が、ダブルヘリカルギヤの両側の直線歯筋を滑らかに円弧で繋いで成る複合曲線である、歯筋歯車の一例を示す説明図、
図6は、両端の円弧部分とそれらを繋ぐ直線とから成る複合曲線歯筋歯車の一例を示す説明図、、
図7は、双曲線弧歯筋歯車の一例を示す説明図
図8は、余弦曲線歯筋歯車の一例を示す説明図、
図9は、余弦波歯筋歯車の一例を示す説明図である。
【0010】
而して図1において、10はワーク、20はホブ、30は図示されていない5軸制御フライス盤に取り付けられたワークテーブル、32はワークアーバーである。
図1には、ワークアーバの中心軸Z’と直交し ワークとラムの相対的ラジアル送り方向に向かうX軸と、X軸と直交しホブシフト方向に向かうY軸と、X軸及びY軸と直交し、ワークアーバの中心軸Z’と平行なZ軸からなる座標系が示されている。
ワーク10は、ワークアーバーに取り付けられ、その中心軸の周りを回転する。その回転速度はωである。
ホブ20は、図示されていないホブヘッドに取り付けられており、その中心軸は、YZ平面上にあり、ホブヘッドの旋回により、Y軸に対しφだけ傾けられている。このφは、ホブヘッドの旋回角である。
【0011】
一般の平歯車をホブ切りにより創成する場合には、ホブのピッチ円筒と創成すべき歯車のピッチ円筒をZX平面で接触させ、かつ、ホブと創成される歯車が互いに噛み合い運動するように、ワークをホブと同期して回転させると共に、ホブにZ軸方向の移動運動を与え、歯車をホブ切りするものである。
【0012】
而して、本発明方法により、曲線歯筋歯車を創成する場合には、ワークの回転速度に補正回転運動を与え、ワークの回転速度ωを、
ω=ω0+ω(Z)
により変化させると共に、
ホブヘッドの旋回角φを、
φ=φ(Z)
により変化させるものである。
而して、上記のω(Z)及びφ(Z)を適切に定めることにより、創成された歯車のピッチ円筒の展開面において、ピッチ円筒の一円周の展開された方向にy軸を、それに直交する方向にz軸を採ったとき、歯筋曲線が、
y=y(z)
但し
dy/dz ≠0
で表わされる曲線歯筋となるようにする。
【0013】
本発明方法によれば、様々な曲線歯筋歯車が得られる
例えば、図4には、円弧歯筋歯車が示されている。
図5に示されたものは、その歯筋曲線が、ダブルヘリカルギヤの両側の直線歯筋を円弧で滑らかに繋いで成る複合曲線弧であり、図6に示したものは、その歯筋曲線が、両端部の二次曲線を直線で滑らかに繋いで成る複合曲線弧である。
図7には、双曲線弧歯筋歯車が示されており、図8及び9には余弦曲線弧歯筋歯車が示されている。
図には示されていないが、歯筋曲線が放物線弧であるものや、楕円弧その他の任意の曲線歯筋歯車をホブ切りすることができる。
又上記には左右対称の歯筋曲線を有するもののみを例示したが、左右不対称のもの、例えば正接曲線弧歯筋を有するものなども製作が可能である。
【0014】
最も望ましい実施例の一つは、円弧歯筋歯車である。
而して、この円弧歯筋歯車をホブ切りする場合は、
kを定数、
Γをホブの進み角とし、
βを歯筋曲線上の任意の点におけるねじれ角としたとき、
ω=ω0 +k Z
φ=−β+Γ
とし、円弧歯筋歯車を創成する。
【0015】
【発明の効果】
本発明方法によれば、通常の平歯車と同様にホブにより曲線歯筋歯車を創成し得るので、極めて高い生産性をもって、任意の歯筋曲線を有する歯車を安価に提供し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法により、曲線歯筋歯車をホブ切りする際のワークとホブの関係運動を示す斜視図である。
【図2】 図1に示したワークとホブの関係位置をX軸方向(水平方向)から見た状態を示す説明図である。
【図3】 図1に示したワークとホブの関係位置をZ軸方向(鉛直方向)から見た状態を示す説明図である。
【図4】 円弧歯筋歯車の一例を示す説明図である。
【図5】 歯筋曲線が、ダブルヘリカルギヤの両側の直線歯筋を滑らかに円弧で繋いで成る複合曲線である、歯筋歯車の一例を示す説明図である。
【図6】 両端の円弧部分とそれらを繋ぐ直線とから成る複合曲線歯筋歯車の一例を示す説明図である。
【図7】 双曲線弧歯筋歯車の一例を示す説明図である。
【図8】 余弦曲線歯筋歯車の一例を示す説明図である。
【図9】 余弦波歯筋歯車の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 ワーク
20 ホブ
30 ワークテーブル
32 ワークアーバー

Claims (8)

  1. ワークアーバの中心軸Z'と直交し ワークとラムの相対的ラジアル送り方向に向かうX軸と、X軸と直交しホブシフト方向に向かうY軸と、X軸及びY軸と直交し、ワークアーバの中心軸Z'と平行なZ軸からなる座標系において、
    ワークをワークアーバ(32)に取り付け、
    ホブのピッチ円筒と、創成すべき歯車のピッチ円筒をXZ平面上で接触せしめると共に、ホブと創成される歯車が互いに噛み合い運動するように、ワークとホブとを同期して回転せしめつつ、ホブにZ軸方向の移動運動を与え、歯車をホブ切りするに当たって、
    ワークの回転速度に補正回転運動を与え、ワークの回転速度ωを、
    ω=ω0+ω(Z)
    により変化させると共に、
    ホブヘッドの旋回角φを、
    φ=φ(Z)
    により変化させ、
    創成された歯車のピッチ円筒の展開面において、ピッチ円筒の一円周の展開された方向にy軸を、それに直交する方向にz軸を採ったとき、歯筋曲線
    y= y (z)
    が、少なくとも部分的に非直線部分を有する曲線歯筋歯車をホブ切りする方法。
  2. 歯筋曲線が円弧である曲線歯筋歯車をホブ切りする方法であって、
    kを定数、
    Γをホブの進み角とし、
    βを歯筋曲線上の任意の点におけるねじれ角としたとき、
    ω=ω0 + kZ
    φ=β + Γ
    とし、円弧歯筋歯車を創成することを特徴とする請求項1に記載の曲線歯筋歯車をホブ切りする方法。
  3. 歯筋曲線が楕円弧である曲線歯筋歯車をホブ切りする請求項1に記載の方法。
  4. 歯筋曲線が、ダブルヘリカルギヤの両側の直線歯筋を円弧で滑らかに繋いで成る複合曲線弧である曲線歯筋歯車をホブ切りする請求項1に記載の方法。
  5. 歯筋曲線が、両端部の二次曲線を直線で滑らかに繋いで成る複合曲線弧である曲線歯筋歯車をホブ切りする請求項1に記載の方法。
  6. 歯筋曲線が双曲線弧である曲線歯筋歯車をホブ切りする請求項1に記載の方法。
  7. 歯筋曲線が放物線弧である曲線歯筋歯車をホブ切りする請求項1に記載の方法。
  8. 歯筋曲線が余弦曲線弧である曲線歯筋歯車をホブ切りする請求項1に記載の方法。
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