JP3904260B2 - ウイルムス腫瘍遺伝子(wt1)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を含んで成る白血病細胞増殖阻害剤 - Google Patents

ウイルムス腫瘍遺伝子(wt1)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を含んで成る白血病細胞増殖阻害剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を含んで成る、白血病細胞増殖阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウイルムス(Wilms) 腫瘍は、染色体11p13に位置するウイルムス腫瘍遺伝子(WT1)の両対立遺伝子の不活性化により生ずる小児腎腫瘍である(Call KM et al., Cell 60:509, 1990)。WT1の非コード上流配列 (C.E.Camphellら、Oncogene 9:583-595, 1994)及びイントロンを含むコード領域(D.A.Haberら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 88:9618-9622, (1991))はすでに報告されており、腫瘍等の増殖及び分化に関与することが予想される(D.A.Haberら、前掲)。
しかしながら、WT1が白血病細胞の増殖に関与しており、WT1に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体が白血病細胞の増殖を抑制・阻害することは知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、ウイルムス(Wilms) 腫瘍遺伝子(WT1)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を含んで成る白血病細胞の増殖阻害剤を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、WT1に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を含んで成る白血病細胞増殖阻害剤を提供する。本発明で使用するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、例えば、WT1の転写キャッピング部位に対するもの、翻訳開始領域に対するもの、エクソンに対するものまたはイントロンに対するものなどのWT1に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体である。
【0005】
例えばWT1の転写キャッピング部位を含む領域のセンスDNA鎖の塩基配列は配列番号:9で表わされ、またWT1のコード領域のエクソン1〜10のセンスDNA鎖の塩基配列は配列番号:10〜19で表わされるが、本発明はこのようなWT1のセンスDNA鎖の塩基配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を用いる。このアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、通常WT1のアンチセンスDNA鎖またはRNA鎖の連続した5〜50個、好ましくは、9〜30個の塩基またはWT1のDNA鎖またはRNA鎖に結合することができるものであれば、断続的または部分的に相補的な5〜70個、好ましくは、9〜50個の塩基から成るアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体である。
【0006】
転写キャッピング部位に対するものとしては、例えば次の塩基配列:5′-AGGGTCGAATGCGGTGGG -3′(配列番号:2)及び5′-TCAAATAAGAGGGGCCGG-3′(配列番号:4)などのものが挙げられる。また、翻訳開始領域に対するものとしては、翻訳開始コドンATG並びにその上流及び/又は下流を含む領域に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体が挙げられ、例えば次の塩基配列:5′-GTCGGAGCCCATTTGCTG-3′(配列番号:6)などが挙げられる。
【0007】
また、WT1のコード領域には10個のエクソンが含まれており、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、これらのエクソンのいずれかに含まれる配列に対するもの、又はスプライシング後に連続するいずれか2個のエクソンにわたる配列に対するものあるいは、連続するイントロンとエクソンにわたる配列に対するもの、全てのイントロン及び3′,5′側非コード領域の配列に対するものである。1例として、第6エクソンに対するものであり、次の塩基配列:5′-CGTTGTGTGGTTATCGCT-3′(配列番号:8)に対するものが挙げられる。
さらに、WT1のDNA鎖またはRNA鎖と断続的または部分的に相補的な塩基配列を有する本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は対応する領域については特に問わないが、これらの中には、WT1のDNA鎖またはRNA鎖を切断する機能を有するリボザイムのようなものも含まれる。
【0008】
本発明において使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体の構造は、化1に示したとおりであるが、Xは独立して酸素(O)、イオウ(S)、低級アルキル基あるいは一級アミンまたは二級アミンのいずれでもよい。Yは独立して酸素(O)あるいはイオウ(S)のいずれでもよい。Zは水素または水酸基である。BはZが水素のときアデニン、グアニン、チミン、あるいはシトシンのいずれかから選ばれ、Zが水酸基のときアデニン、グアニン、ウラシルあるいはシトシンのいずれかから選ばれ、主としてWT1をコードするDNA又はmRNAの相補的オリゴヌクレオチドである。Rは独立して水素またはジメトキシトリチル基あるいは低級アルキル基である。nは7−28である。
【0009】
【化1】
Figure 0003904260
【0010】
好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体としては修飾されていないアンチセンスオリゴヌクレオチドだけでなく、修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドでもよい。この様な修飾体として、例えば前述のメチルホスホネート型又はエチルホスホネート型のような低級アルキルホスホネート修飾体、その他ホスホロチオエート修飾体あるいはホスホロアミデート修飾体等が挙げられる(化2参照)。
【0011】
【化2】
Figure 0003904260
【0012】
これらのアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は次のとおり常法によって得ることができる。
化1のX及びYがO、Zが水素又は水酸基であるアンチセンスオリゴヌクレオチドは市販のDNA合成装置(例えばApplied Biosystems社製など)によって容易に合成される。
【0013】
Zが水素であるアンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチドの合成法はホスホロアミダイトを用いた固相合成法、ハイドロジェンホスホネートを用いた固相合成法などで得ることができる。
例えば、 T.Atkinson, M.Smith, in Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach, ed.M.J.Gait, IRL Press, 35-81 (1984); M.H.Caruthers, Science, 230, 281 (1985); A.Kume, M.Fujii, M.Sekine, M.Hata, J.Org.Chem., 49, 2139 (1984);B.C.Froehler, M.Matteucci, Tetrahedron Lett., 27, 469 (1986); P.J.Garegg, I.Lindh, T.Regberg, J.Stawinski, R.Stromberg, C.Henrichson, ibid, 27, 4051 (1986);
B.S.Sproat, M.J.Gait, in Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, ed.M.J.Gait, IRL Press, 83-115 (1984); S.L.Beaucage and M.H.Caruthers, Tetrahedron Lett., 22, 1859-1862 (1981);M.D.Matteucci and M.H.Caruthers, Tetrahedron Lett., 21, 719-722 (1980);M.D.Matteucci and M.H.Caruthers, J.Am.Chem.Soc., 103, 3185-3191 (1981)を参照のこと。
【0014】
Xが低級アルコキシ基であるリン酸トリエステル修飾体は、常法、例えば化学合成で得られたオリゴヌクレオチドをトシルクロリドのDMF/メタノール/2,6−ルチジン溶液で処理することにより得ることができる(Moody H.M., et al., Nucleic Acids Res., 17, 4769-4782 (1989)) 。
Xがアルキル基であるアルキルホスホネート修飾体は、常法、例えばホスホアミダイトを用いて得ることができる(M.A.Dorman, et.al., Tetrahedron, 40, 95-102 (1984);K.L.Agarwal and F.Riftina, Nucleic Acids Res., 6, 3009-3024 (1979)) 。
【0015】
XがSであるホスホロチオエート修飾体は、常法、例えばイオウを用いた固相合成法(C.A.Stein, et.al., Nucleic Acids Res., 16, 3209-3221 (1988)) あるいはテトラエチルチウラム ジスルフィドを用いて、固相合成法により得ることができる(H.Vu and B.L.Hirschbein, Tetrahedron Letters, 32, 3005-3008 (1991)) 。
X, YがともにSであるホスホロジチオエート修飾体は、例えばビスアミダイトをチオアミダイトに変換しイオウを作用させることにより固相合成法により得ることができる(W.K.-D.Brill, et.al., J.Am.Chem.Soc., 111, 2321-2322 (1989))。
【0016】
Xが一級アミンあるいは二級アミンであるホスホロアミデート修飾体は、例えばハイドロジェンホスホネートを一級あるいは二級アミンで処理することにより固相合成法で得ることができる(B.Froehler, et.al. Nucleic Acids Res., 16, 4831-4839 (1988))。あるいは、アミダイトをtert−ブチルハイドロパーオキサイドで酸化しても得ることができる(H.Ozaki, et.al., Tetrahedron Lett., 30, 5899-5902 (1989)) 。
【0017】
Zが水酸基であるアンチセンスオリゴリボヌクレオチドの合成法は、アンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチドに比べて、リボース(糖)に2′−水酸基があるためその保護を行わなければならない点できわめて複雑ではあるが、保護基およびリン酸化方法を適宜選択することによって合成することができる(微生物学基礎講座 8巻、遺伝子工学、大塚栄子、三浦一伸共著、安藤忠彦、坂口健二編、1987年10月10日、共立出版株式会社発行参照)。
【0018】
精製および純度確認は、高速液体クロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で行うことができる。分子量の確認は、 Electrospray Ionization Mass Spectrometry又は Fast Atom Bonbardment-Mass Spectrometryで行うことができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、genomic DNA からmatureなmRNAに至るいかなる段階においても作用し、その発現を抑制することによって白血病細胞の増殖を阻害すると考えられる。従って、本願発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは白血病の治療のために有効であると期待される。
【0019】
さらに本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、後述するとおり、正常な骨髄細胞の増殖を阻害することなく、特異的に白血病細胞の増殖を阻害すると考えられる。したがって、白血病患者の細胞、例えば骨髄細胞または末梢血を体外へ取り出し、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体でin vitro処理して白血病細胞の増殖を阻害しておいて、正常な骨髄細胞だけを再び体内に戻すというような「自家骨髄移植」「自家末梢血幹細胞移植」への応用も可能である。
【0020】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、それらに対して不活性な適当な基剤と混和して塗布剤、パップ剤などの外用剤とすることができる。
また、必要に応じて、賦形剤、等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、無痛化剤等を加えて錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、リポソームカプセル剤、注射剤、液剤、点鼻剤など、さらに凍結乾燥剤とすることができる。これらは常法に従って調製することができる。
【0021】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は患者の患部に直接適用するか、または血管内に投与するなどして結果的に患部に到達し得るように患者に適応させる。さらに持続性、膜透過性を高めるアンチセンス封入素材を用いることもできる。例えば、リポゾーム、ポリ−L−リジン、リピッド、コレステロール、リポフェクチン又はこれらの誘導体が挙げられる。
【0022】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体の投与量は、患者の状態、年齢、性別、体重などに応じて適宜調整し好ましい量を用いることができる。また、その投与方法は、患者の状態、薬剤形態などに応じ、経口投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮内投与、皮下投与、静脈内投与、動脈内投与、直腸投与などの種々の投与方法から適宜好ましい方法を用いることができる。
以下本発明を実施例において詳しく説明する。
【0023】
【実施例】
合成例1
以下に使用するオリゴデオキシリボヌクレオチド(配列番号:1〜8)を、自動合成装置(Applied Biosystems) を用いて合成し、高速液体クロマトグラフィーにより精製し、エタノール沈澱を3回行い、そしてリン酸緩衝液に懸濁した。
合成したオリゴヌクレオチドは次の通りである。
配列番号:1 転写キャッピング部位のセンス配列(SE1)
配列番号:2 転写キャッピング部位のアンチセンス配列(AS1)
配列番号:3 転写キャッピング領域のセンス配列(SE2)
配列番号:4 転写キャッピング領域のアンチセンス配列(AS2)
配列番号:5 翻訳開始領域のセンス配列(SE3)
配列番号:6 翻訳開始領域のアンチセンス配列(AS3)
配列番号:7 エクソン6のセンス配列(SE4)
配列番号:8 エクソン6のアンチセンス配列(AS4)
【0024】
実施例1
WT1発現陽性の白血病細胞株K562を5×104 個/ml、100μl/ウエルの量で、平底96−ウエルプレート内の、ウシ胎児血清(FCS)を含有しないRPMI1640培地に接種した。各オリゴヌクレオチドを、3連のウエルに、最終濃度が200μg/mlとなるように添加した。2時間のインキュベーションの後、各ウエルに最終濃度が10%となるようにFCSを添加した。24時間毎に、前記の量の半分のオリゴヌクレオチドを培養物に添加した。
【0025】
96時間培養した後、色素排除法により生存細胞を計数した。対照培養物として、ヌクレオチドを含有しない同じ体積のPBSを添加し、そしてこの対照培養物の細胞数を100%とした。
この結果を図1に示す。この図から明らかな通り、いずれのアンチセンスオリゴヌクレオチドも、対応するセンスオリゴヌクレオチドに比べて強く細胞の増殖を阻害した。
【0026】
実施例2
実施例1と同様の実験を行ったが、オリゴヌクレオチドSE3及びAS3を種々の濃度で添加した。図2から明らかな通り、センスオリゴヌクレオチド(SE3)は細胞の増殖をほとんど阻害しなかったが、アンチセンスオリゴヌクレオチド(AS3)は濃度依存的に細胞の増殖を阻害した。
【0027】
実施例3
実施例1と同様の実験を行ったが、オリゴヌクレオチドSE4及びAS4を種々の濃度で添加した。図3から明らかな通り、センスオリゴヌクレオチド(SE4)は細胞の増殖をほとんど阻害しなかったが、アンチセンスオリゴヌクレオチド(AS4)は濃度依存的に細胞の増殖を阻害した。
【0028】
実施例4
実施例1と同様の実験を行った。但し、細胞を、平底24−ウエルプレート中で2.5×104 個/ml、1ml/ウエルの量で培養した。オリゴヌクレオチドSE3及びAS3を添加し、2〜5日間に毎日生存細胞数を計数した。結果を図4に示す。図から明らかな通り、センスオリゴヌクレオチドを添加した場合、対照の場合と同様に細胞の増殖が見られたが、アンチセンスオリゴヌクレオチドを添加した場合、細胞の増殖は抑制された。
【0029】
実施例5
実施例1と同様の実験を行った。但し、オリゴヌクレオチドとして、SE3及びAS3、並びにミエロパーオキシダーゼ(MPO)遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド5′-AGAGAAGAAGGGAACCCC-3′(配列番号:20)(MPO−AS)及び血液凝固因子V(FV)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド5′-GCGTGGGCAGCCTGGGAA-3′(配列番号:21)(FV−AS)を用いた。図5から明らかなように、AS3を用いた場合のみ細胞の増殖が阻害された。
【0030】
実施例6
実施例1と同様の実験を行ったが、実験細胞として、WT1発現陽性細胞株HEL及びTHP−1、並びにWT1発現陰性細胞株U937を用いた。オリゴヌクレオチドとしては、実施例1の場合と同じ8種類を用いた。WT1発現陽性細胞系HEL(図6)又はTHP−1(図7)を用いた場合には、アンチセンスオリゴヌクレオチドにより細胞の増殖は阻害された。これに対して、WT1発現陰性細胞株U937(図8)を用いた場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドを添加しても細胞の増殖は阻害されなかった。
【0031】
実施例7
白血病患者及び健康な志願者からの骨髄細胞をヘパリン処理し、RPMI1640培地に懸濁し、そしてFicoll-Hypaque密度勾配遠心により骨髄単核球細胞を得た。GM−CSF(100ng/ml)及びIL−3(100ユニット/ml)を含むα−MEMを入れた平底96−ウエルプレートに、上記の単核細胞を1.5×106 個/ml、100μl/ウエルの量でプレートした。オリゴヌクレオチド(SE3及びAS3)による処理は実施例1と同様にした。
96時間後、細胞を集め、そしてメチルセルロース培地〔1.2%メチルセルロースα−MEM、20%FCS、GM−CSF(100ng/ml)、G−CSF(100ng/ml)、IL−3(100ユニット/ml)及びSCF(10ng/ml)〕にプレートした。培養は3連で行った。14日目に白血病細胞コロニー(CFU−L)及び顆粒球−マクロファージコロニー(CFU−GM)を計数した。
【0032】
図9に白血病患者4名(急性骨髄性白血病(AML)2名、慢性骨髄性白血病(CML)2名)からのサンプルでの白血病コロニーの形成を示す。アンチセンスオリゴヌクレオチドによりコロニーの出現が阻害されたことがわかる。図10には、健康な志願者からのサンプルでの顆粒球マクロファージコロニーの出現を示す。アンチセンスオリゴヌクレオチドによってもコロニーの形成は阻害されなかった。
【0033】
実施例8
24−ウエルプレート中で、5×104 細胞/ウエルのK562細胞(A)又はAMLを有する患者からの新鮮な白血病細胞(B)に、ランダムオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドAS1、オリゴヌクレオチドAS2又はオリゴヌクレオチドAS3を200μg/mlの濃度で添加し、さらに24時間毎に100μg/mlの濃度で添加した。オリゴヌクレオチドによる最初の処理から4日後に細胞を収得し、PBSにより洗浄し、そしてLaemliのサンプル緩衝液により細胞溶解した。
【0034】
2×104 個の細胞からの各細胞溶解物を5分間煮沸し、そして次に7.5%ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル中の各レーンに適用した。電気泳動の後、蛋白質をインモビロン(Immobilon) ポリビニリデンジフルオリド・フィルター(Millipore Corp. MA、米国)に移行させた。このフィルターを、合成ポリペプチド(アミノ酸位置177−192;Lys His Glu Asp Pro Met Gly Gln Gln Gly Ser Leu Gly Glu Gln Gln (配列番号:22)に対する抗−WT1ポリクローナル抗体によりプローブし、そして次にホースラディッシュパーオキシダーゼ−結合抗−免疫グロブリン抗体(Amersham, Little Chalfont 、英国)により処理した。洗浄後、フィルターを検出試薬(Amersham, Little Chalfont 、英国)に1時間浸漬し、そして1〜5分間オートラジオグラフ処理した。
【0035】
TBST(0.05% Tween 20 を含有するTris−緩衝液)により2回洗浄した後、フィルターを抗−アクチンモノクローナル抗体(Oncogene Science Inc., NY 、米国)によりプローブし、そして上記のようにしてオートラジオグラフ処理した。
WT1蛋白質及びアクチンに対応するバンドの密度をデンシトメーターCS−9000(シミズ、京都)により測定し、そしてWT1/アクチン比を計算した。
【0036】
結果を図11のA及びBに示す。この図において、レーン1はランダムオリゴヌクレオチドを添加した場合、レーン2はオリゴヌクレオチドAS3を添加した場合、レーン3はオリゴヌクレオチドAS1を添加した場合、そしてレーン4はオリゴヌクレオチドAS2を添加した場合の結果を示す。この図のAはK562細胞を用いた場合、そしてBはAMLを有する患者からの新鮮な白血病細胞を用いた場合の結果を示す。
【0037】
Aから明らかなように、K562細胞の培地にWT1オリゴヌクレオチドを添加した場合、WT1蛋白質のレベルが有意に低下した。他方、対照としてのランダムオリゴヌクレオチドはWT1蛋白質レベルに影響を与えなかった。また、Bから明らかなように、WT1オリゴヌクレオチドをAMLを有する患者から新たに単離した白血病細胞の培地に添加した場合、WT1蛋白質レベルが有意に低下した。これらの結果は、WT1アンチセンスオリゴヌクレオチドが、WT1蛋白質レベルの低下を介して白血病細胞の増殖を特異的に阻害したことを明瞭に示している。
以上の通り、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは白血病細胞の増殖の阻害のために有効であり、従って新規な白血病治療剤として期待される。
【0038】
【配列表】
Figure 0003904260
【0039】
Figure 0003904260
【0040】
Figure 0003904260
【0041】
Figure 0003904260
【0042】
Figure 0003904260
【0043】
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【0044】
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【0045】
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【0046】
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【0047】
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【0048】
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【0049】
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【0050】
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【0051】
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【0052】
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【0053】
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【0054】
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【0055】
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【0056】
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【0057】
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【0058】
Figure 0003904260
【0059】
Figure 0003904260

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、白血病細胞株K562の増殖に対するオリゴヌクレオチドの阻害効果を示すグラフである。
【図2】図2は、オリゴヌクレオチドSE3及びAS3の濃度と、白血病細胞株K562の増殖との関連を示すグラフである。
【図3】図3は、オリゴヌクレオチドSE4及びAS4の濃度と、白血病細胞株K562の増殖との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、オリゴヌクレオチドSE3及びAS3が白血病細胞株K562の増殖に及ぼす効果を経時的に示すグラフである。
【図5】図5は、種々のオリゴヌクレオチドが白血病細胞株K562の増殖に及ぼす影響を示すグラフである。
【図6】図6は、WT1発現陽性の白血病細胞株HELの増殖に対する種々のオリゴヌクレオチドの阻害効果を示すグラフである。
【図7】図7は、WT1発現陽性の白血病細胞株THP−1の増殖に対する種々のオリゴヌクレオチドの阻害効果を示すグラフである。
【図8】図8は、WT1発現陰性の悪性リンパ腫細胞株U937の増殖に対する種々のオリゴヌクレオチドの阻害効果を示すグラフである。
【図9】図9は、白血病患者由来の骨髄単核球細胞からの白血病細胞コロニーの形成に対するオリゴヌクレオチドSE3及びAS3の効果を示すグラフである。
【図10】図10は、健康な志願者由来の骨髄単核球細胞からの顆粒球マクロファージコロニーの形成に対するオリゴヌクレオチドSE3及びAS3の効果を示すグラフである。
【図11】図11において、AはK562細胞の培養液に種々のWT1アンチセンスオリゴヌクレオチドを添加した場合に細胞中のWT1蛋白質のレベルが低下したことを示す電気泳動図の図面代用写真であり、BはAMLを有する患者からの新鮮な白血病細胞にWT1アンチセンスオリゴヌクレオチドを添加した場合に細胞中のWT1蛋白質のレベルが低下したことを示す電気泳動図の図面に代る写真である。

Claims (4)

  1. Wilms'腫瘍遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体であって、下記のヌクレオチド配列:
    5'-AGGGTCGAATGCGGTGGG-3' (配列番号:2)
    5'-TCAAATAAGAGGGGCCGG-3' (配列番号:4)
    5'-GTCGGAGCCCATTTGCTG-3' (配列番号:6)又は
    5'-CGTTGTGTGGTTATCGCT-3' (配列番号:8)
    において少なくとも9個の連続するヌクレオチドを含んでなり且つ9〜30ヌクレオチドの長さを有するオリゴヌクレオチド誘導体を含んでなる、白血病細胞に対する増殖阻害剤。
  2. 前記オリゴヌクレオチド誘導体が、下記のヌクレオチド配列:
    5'-AGGGTCGAATGCGGTGGG-3' (配列番号:2)
    5'-TCAAATAAGAGGGGCCGG-3' (配列番号:4)
    を有する、請求項1に記載の白血病細胞に対する増殖阻害剤。
  3. 前記オリゴヌクレオチド誘導体が、下記のヌクレオチド配列:
    5'-GTCGGAGCCCATTTGCTG-3' (配列番号:6)
    を有する、請求項1に記載の白血病細胞に対する増殖阻害剤。
  4. 前記オリゴヌクレオチド誘導体が、下記のヌクレオチド配列:
    5'-CGTTGTGTGGTTATCGCT-3' (配列番号:8)
    を有する、請求項1に記載の白血病細胞に対する増殖阻害剤。
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