JP3904201B2 - クリープ強度に優れるマグネシウム合金 - Google Patents

クリープ強度に優れるマグネシウム合金 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリープ強度に優れるマグネシウム合金に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境の観点から、例えば車輌の燃費向上を目的として、エンジン、フレーム等を構成する強度部材にマグネシウムが適用されている。
マグネシウムは、構造材として使用する場合、実用的に最も軽い金属であり(例えばアルミニウムの約2/3、鉄の約1/4の比重)、比強度、比剛性が鉄やアルミニウムよりも優れており、実用金属中最大の振動吸収性(減衰能)を有しており、耐くぼみ性が優れており、温度や時間が変化しても寸法変化が少なく、しかもリサイクルが容易である。
このことから、マグネシウムは、車輌用構造材や携帯用端末の筐体として注目されている。
【0003】
しかし、マグネシウムを、高温環境下で使用される車輌等の構造材として使用する場合、特にエンジンを構成する部材として使用する場合には、高温(〜150℃)に曝されるために、例えばボルト締結部のボルト軸力の低下が問題とされている。
ボルト軸力の低下は、締結座面やメネジの変形により発生し、材料のクリープ強度がボルト軸力の低下に影響を及ぼすものと考えられている。
【0004】
そのため、マグネシウム合金におけるボルト軸力の低下を防止するためにクリープ強度を向上した種々の合金が開発されてきた。
例えば、所定量のアルミニウムや亜鉛等を含有するマグネシウム合金にケイ素、希土類金属、カルシウムを添加した耐熱マグネシウム合金が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の耐熱マグネシウム合金では、効果的なクリープ強度の向上が得られないため、ボルト軸力の低下が発生してしまうという問題があった。
【0006】
したがって、本発明の課題は、例えば車輌のエンジン周辺における構造材等の150℃程度の高温下で使用しても、ボルト軸力の低下を抑えることができるクリープ強度に優れるマグネシウム合金を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、マグネシウムは、例えば150℃程度の高温下に曝されると、まず所定期間内にクリープ強度の変化が見られ(初期クリープ)、その後、徐々にクリープ強度が低下する(定常クリープ)ことを見出した。そして、セリウムとスズとを所定量で併用してマグネシウムに添加すると、定常クリープを抑制できることを見出して本発明を創作するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のクリープ強度に優れるマグネシウム合金は、セリウム2.0〜10.0質量%、スズ1.4〜7.0質量%および残部がマグネシウムおよび不可避不純物から構成されることを特徴とするものである。
このようにセリウムとスズとを所定量で併用してマグネシウムに添加することによって、150℃程度の高温下で使用しても、マグネシウム合金における定常クリープを効果的に抑制することが可能となる。
【0009】
本発明のクリープ強度に優れるマグネシウム合金において、セリウムとスズとの質量比(セリウム/スズ)が0.6〜1.4である。
このようにセリウムとスズとの質量比(セリウム/スズ)を所定範囲内とすることによって、定常クリープを安定して抑制することが可能となる。
【0010】
さらに、本発明のクリープ強度に優れるマグネシウム合金において、ジルコニウム、ストロンチウムおよびマンガンからなる群から選択された少なくとも一種の元素を1.0質量%未満の量で含有することが好ましい。
このように構成することによって、マグネシウム合金の結晶粒の粒径が微細になり、初期クリープを効果的に抑制することが可能となる。その結果、クリープ強度がさらに優れたマグネシウム合金が提供される。
なお、本発明において使用される用語1.0質量%未満とは、任意成分の微量(痕跡量)の添加を下限とすることを意味している。
【0011】
このような、本発明のクリープ強度に優れるマグネシウム合金は、エンジン周辺部材等の車輌用構造材として好適に使用することが可能となる。
このように本発明のクリープ強度に優れるマグネシウム合金を、例えばエンジン周辺部材等の車輌用構造材として用いることによって、車輌の軽量化を図ることが可能となると共に、150℃程度の高温に曝されてもボルト軸力の低下が少ない優れた構造材として使用することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
本発明にかかるクリープ強度に優れるマグネシウム合金は、マグネシウムを主成分として所定量のセリウム(Ce)とスズ(Sn)とを含むマグネシウム合金である。
【0014】
(a)マグネシウム
本発明にかかるクリープ強度に優れるマグネシウム合金において主成分としてマグネシウムを使用するが、以下、マグネシウムを構造材として使用する場合の特徴について説明する。なお、以下の記載で、構造材としてのマグネシウムの一般的性質を述べるときには、用語「マグネシウム材料」を用いるものとする。
マグネシウム材料は、実用的に最も軽い金属であり(例えばアルミニウムの約2/3、鉄の約1/4の比重)、比強度、比剛性が鉄やアルミニウムよりも優れており、実用金属中最大の振動吸収性(減衰能)を有しており、耐くぼみ性が優れており、温度や時間が変化しても寸法変化が少なく、そしてリサイクルが容易である。
【0015】
しかし、マグネシウム材料を150℃等の高温環境下に曝すと、マグネシウム材料に変形が生じてしまう場合がある。したがって、例えばマグネシウム材料を用いたボルト締結部材ではマグネシウム材料に変形が生じ、ボルト軸力の低下が起こる。
ここで、マグネシウム材料で構成されたボルト締結部材(図1)を高温環境下に曝した場合のボルト軸力の挙動をボルト軸力と時間の関係のグラフ(図2)を用いて説明する。
このボルト締結部材を高温環境下に曝すと、短時間にボルト軸力の急激な上昇と低下が起こり、その後さらに緩やかな低下が進行するという現象が起こる。これらの現象は下記の原因で起こると考えられる。
【0016】
ボルトをマグネシウム材料製の部材に締結した直後は、マグネシウム材料の座面、およびメネジに加わる応力は耐力以下であり、マグネシウム材料に変形は生じないことからボルト軸力は十分に保たれる(図2における(a))。
【0017】
このマグネシウム材料締結部材を高温に曝した場合、マグネシウム材料の座面およびメネジに加わる応力が上昇する一方、温度上昇によるマグネシウム材料の強度低下も起こる。
高温に曝した直後は、マグネシウム材料とボルト材料の(図1では鉄鋼)の熱膨張量の差による「熱応力」によりボルト軸力は上昇する(図2におけるbの範囲)。
【0018】
その後、マグネシウム材料の座面及びメネジに加わる応力がマグネシウム材料の強度を上回った時点で、マグネシウム材料に永久変形が発生し、ボルト軸力が低下する(図2におけるcの範囲)。
この低下は、マグネシウム材料に付加される応力が、その温度におけるマグネシウム材料の強度、特に耐力値に到達するまで進行する。
この時点で、急激なボルト軸力の低下はなくなるが、その後低応力下で発生する定常クリープ変形により緩やかなボルト軸力の低下が進行する(図2におけるdの範囲)。
【0019】
次に、マグネシウム材料の高温下におけるクリープ伸びと時間との関係を示すグラフ(図3)を用いて、マグネシウム材料のクリープ変形挙動を説明する。
マグネシウム材料に一定の応力を加え、高温下に曝すと、短時間の間に変形(伸び)が発生する(図3におけるaの範囲)。これを初期クリープ変形と呼ぶことにする。その後時間の経過と共に緩やかに変形(伸び)が進行する(図3におけるbの範囲)。これを定常クリープ変形と呼ぶことにする。
【0020】
つづいて、引張り試験やクリープ試験による変形がどのような仕組みで発生するかを説明する。
金属マグネシウムはマグネシウムの結晶粒が複数集まって構成されている多結晶体である。また、各結晶粒の間には境界面、つまり粒界が存在する。
引張り試験や、クリープ試験の短時間領域では、マグネシウムの結晶粒が変形していることから、耐力と初期クリープ変形は、結晶粒内の強度に支配されていると考えられる。
一方、クリープ試験の長時間領域では、マグネシウムの粒界が変形し、微小な空孔も存在することから、定常クリープ変形は粒界の強度に支配されていると考えられる。
結晶粒内は、マグネシウム原子が規則正しく三次元的に配列している。このマグネシウム原子の規則正しい配列は外力によって容易に変形する。この変形の主な原理は、原子がずれることにより生じる。
一方、粒界は製造時(鋳造時)に最後に形成される部分であり、成分中に含まれるマグネシウム以外の元素や化合物が分布しやすい。この粒界には、マグネシウム原子およびマグネシウム以外の元素により配列が構成されているが、所々に原子が欠落した格子欠陥が存在している。高温に曝されると、熱振動の増加により原子同士の結合力が低下する。その結果、粒界内で原子が近傍の格子欠陥に移動する頻度が多くなる。これを拡散という。この拡散が進行すると粒界の変形となる。
以上のことから、マグネシウム材料締結部材におけるボルト軸力低下の原因を説明すると、高温に曝した直後のボルト軸力の急激な低下については耐力と初期クリープ変形、つまり、結晶粒内の強度に支配され、また、それ以降の緩やかなボルト軸力の低下については、定常クリープ変形、つまり、粒界の強度で支配されると考えられる。
【0021】
(第一成分:Ce+Sn)
本発明のクリープ強度に優れたマグネシウム合金は、定常クリープを抑制するために主成分であるマグネシウムに加えてセリウム(Ce)を2.0〜10.0質量%、好ましくは4.0〜6.0質量%、スズ(Sn)を1.4〜7.0質量%、好ましくは3.5〜6.5質量%含有している(以下、第1成分という)。
すなわち、本発明は、前記所定量のセリウム(Ce)とスズ(Sn)との両者の添加の相乗効果により目的とするマグネシウム合金における定常クリープの抑制を行なうものである。
【0022】
ここで、マグネシウムにセリウムとスズとを添加すると、マグネシウムとセリウムとスズとの三元系で針状の共晶化合物が形成される。そして、この共晶化合物が、マグネシウムを形成する各結晶粒同士の境目領域、すなわち粒界に分散する。その結果、高温環境下で生じる拡散が、高温で安定な共晶化合物により阻害されることと、針状の化合物による杭止め効果により、結晶粒同士のすべり現象が抑えられるため、マグネシウム合金のクリープによる変形が抑制される。
【0023】
なお、セリウム(Ce)の添加量が2.0質量%未満の場合、あるいはスズ(Sn)の添加量が1.4質量%未満の場合には、共晶化合物の形成される量が少なくなるために、定常クリープの変形を十分に抑制できない。
逆に、セリウム(Ce)の添加量が10.0質量%を超える場合、あるいはスズ(Sn)の添加量が7.0質量%を超える場合には、共晶化合物の生成量が多くなりすぎて、マグネシウム合金の伸びが著しく低下する。
よって、マグネシウムに添加されるセリウム(Ce)およびスズ(Sn)の量が前記範囲を外れることは、得られるマグネシウム合金に十分なクリープ強度を持たせることができないので好ましくない。
【0024】
また、セリウム(Ce)とスズ(Sn)との添加割合は、質量比(セリウム/スズ(Ce/Sn)比)で0.6〜1.4であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.2の範囲である。
【0025】
ここで、質量比(セリウム/スズ(Ce/Sn))が0.6未満の場合、マグネシウムとセリウムとスズとの三元系の共晶化合物の他に、Mg−Sn系化合物や単相のスズ(Sn)が粒界内に形成される割合が増加する。
この中で特に単相のスズ(Sn)は低融点であるために、この単相のスズ(Sn)が粒界内に含まれる割合の増加と共に、マグネシウム合金のクリープ強度が低下する傾向がある。
【0026】
また、質量比(セリウム/スズ(Ce/Sn))が1.4以上の場合、マグネシウムとセリウムとスズとの三元系の共晶化合物の他に、Mg−Ce化合物が粒界内に形成される割合が増加する。
このMg−Ce化合物は、150℃以上の領域で、Mg−Ce−Sn系三元化合物よりも安定性が低いので、このMg−Ce化合物が粒界内に含まれる割合の増加と共に、マグネシウム合金のクリープ強度が低下する傾向がある。
【0027】
したがって、セリウム(Ce)とスズ(Sn)との添加割合は、前記範囲内にあることが好ましい。
【0028】
(第2成分)
また、本発明のクリープ強度に優れるマグネシウム合金において、前記第1成分に加えて、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)およびマンガン(Mn)からなる群から選択された少なくとも一種の元素(以下、第2成分とよぶ)を1質量%未満さらに含有することができる。
【0029】
前記に列挙した元素は、マグネシウム合金への少量の添加により、マグネシウムの結晶の粒径を微細化する。
マグネシウム合金の各結晶粒径は一般的に凝固速度が大きく依存し、また、結晶粒径が微細なほど耐力は高くなる傾向がある。
厚肉部は凝固速度が遅く、そのため、結晶粒径が大きくなり、強度が低くなる傾向がある。
この第2成分により、凝固速度が遅い部位でも結晶粒径が微細になり、凝固速度の速い薄肉な部位に近い結晶粒径が得られ、また粒界の化合物の分散も均一になることから、各部位における高温強度のバラツキを小さくすることができる。
第2成分としてジルコニウム(Zr)を添加した場合のジルコニウム(Zr)の含有量と結晶粒径の関係を図4に示す。すなわちこの図はジルコニウム(Zr)を本発明の金属に0.0〜1.2質量%の範囲で添加した場合の粒径の変化を示すものである。図4に示す通り、ジルコニウム(Zr)の添加量を増加するにつれて結晶粒径が小さくなる。そして0.8質量%を超えると、ジルコニウム(Zr)の添加の効果は飽和することがわかる。
【0030】
ここで、第2成分添加量が1質量%以上となると、比較的に脆い化合物が結晶粒内や粒界に多数生ずることになる。したがって、この脆い化合物が起点となり得るのでマグネシウム合金の伸びが著しく低下したり、強度の低下を引き起こす原因となる。なお、第2成分の添加効果は、ストロンチウム(Sr)、マンガン(Mn)についても同様な効果が得られると推察される。
よって、本発明において第2成分を添加する場合の添加量は、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.5〜0.8質量%の範囲内である。
【0031】
したがって、マグネシウムに第1成分および第2成分を含んでなるマグネシウム合金では、共晶化合物による定常クリープの抑制に加えて、結晶粒の微細化による初期クリープの抑制がもたらされるので、高温環境下におけるマグネシウム合金の抗張力および耐力を効果的に向上させることができる。
【0032】
以上説明した通り、本発明にかかるクリープ強度に優れるマグネシウム合金は、高温下において高いクリープ強度を示すので、高温下で使用される構造材、例えば、車輌用構造材、特にシリンダブロック、シリンダヘッド、インテークマニーホールド、ヘッドカバー、チェーンケース、オイルパン、トランスミッションケース、ECUケースといった車輌用のエンジン周辺部の構造部材として好適に使用することが可能となる。
【0033】
【実施例】
先ず、表1に示す組成となるように、純マグネシウムをアルゴンと六フッ化硫黄の混合ガス雰囲気下で電気溶解炉にて溶解し、第1成分及び第2成分をそれぞれ所定量づつ装入、攪拌、沈静し得られた溶湯を高さ30mm、幅25mm、長さ200mmの金属鋳型に鋳込んで、鋳造素材を得た。
なお、溶解には内面をアルマー処理したボイラー鋼板製のルツボを用い、元素の装入は、純マグネシウムの温度が700℃の時点で行った。
【0034】
この鋳造素材を150℃の雰囲気で100Hrの熱履歴を与えた後、引張試験片及びクリープ試験片を切り出し、引張りおよびクリープ試験を実施した(試験片形状はJIS4号試験片)。
なお、引張り試験は、5トンオートグラフ試験機により150℃の雰囲気にて引張り速度0.5mm/分で実施した。クリープ試験は、150℃にて荷重を50MPa付加し、100Hrまで試験したときの全伸び量を測定した。
【0035】
【表1】
Figure 0003904201
【0036】
その結果、作製したマグネシウム合金における、セリウム(Ce)とスズ(Sn)との添加量がそれぞれ所定範囲内であって、かつセリウム(Ce)とスズ(Sn)との添加割合が質量比(セリウム/スズ(Ce/Sn)比)で0.6〜1.4の範囲内にある場合(実施例1〜実施例7)は、従来の組成の合金(比較例5〜比較例12)等と比べ、全クリープ伸び(%)が小さく抑えられることが確認された。
【0037】
また、セリウム(Ce)とスズ(Sn)との添加量が共に下限値(それぞれ、2質量%、10質量%)よりも少ない場合(比較例1)や、セリウム(Ce)の添加量のみが下限値(2質量%)よりも少ない場合(比較例2)は、マグネシウム合金がクリープ試験の途中で破断した。これは、共晶化合物の形成量が少なすぎて、マグネシウム合金の変形を抑制できなかったためと考えられる。
また、セリウム(Ce)とスズ(Sn)との添加量がそれぞれ所定範囲内であって、セリウム(Ce)とスズ(Sn)との添加割合が質量比(セリウム/スズ(Ce/Sn)比)で0.6〜1.4の範囲外にある場合(実施例3)は、従来の組成の合金(比較例5〜比較例12)とほぼ同等もしくは良好な全クリープ伸び(%)となった。
【0038】
したがって、セリウム(Ce)とスズ(Sn)との添加量が、所定の範囲内であるマグネシウム合金の全クリープ伸び(%)は、従来の組成のマグネシウム合金よりも良好な結果を示し、さらに、セリウム(Ce)とスズ(Sn)との質量比(セリウム/スズ(Ce/Sn)比)が0.6〜1.4の範囲内にあるという条件が加わると、より好適な結果となることが確認された。
よって、本発明のクリープ強度に優れるマグネシウム合金の有用性が裏付けられた。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、150℃以上におけるクリープ強度に優れるマグネシウム合金を提供することができる。
これにより、例えばボルト締結部の軸力低下が最小限に抑えられ、車輌用エンジン等高温に曝される強度部材へのマグネシウムの適用が可能となり、大幅な軽量化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マグネシウム材料で構成されるボルト締結部材を説明する図である。
【図2】マグネシウム材料で構成されるボルト締結部材を高温環境下に暴露した際のボルト軸力と時間との関係を示すグラフである。
【図3】マグネシウムを高温環境下に曝露した際のクリープ伸びと時間との関係を示すグラフである。
【図4】ジルコニウム含有量とマグネシウム結晶粒径の関係を示す表およびグラフである。

Claims (2)

  1. セリウム2.0〜10.0質量%、スズ1.4〜7.0質量%および残部がマグネシウムおよび不可避不純物から構成されるマグネシウム合金であって、
    セリウムとスズとの質量比(セリウム/スズ)が0.6〜1.4であることを特徴とするクリープ強度に優れるマグネシウム合金。
  2. 請求項1に記載のクリープ強度に優れるマグネシウム合金から構成される車輌用構造材。
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