JP3904045B2 - 光記録方法、光記録装置、光読取り方法、光読取り装置 - Google Patents

光記録方法、光記録装置、光読取り方法、光読取り装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、データを暗号化してホログラムとして光記録媒体に記録する方法および装置、および暗号化されてホログラムとして光記録媒体に記録されたデータを光記録媒体から読み出して復号化する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
大容量記録および高速転送が可能な次世代のコンピュータファイルメモリとして、3次元的記録領域に由来する大容量性と2次元一括記録再生方式に由来する高速性とを兼ね備えたホログラムメモリが注目されている。
【0003】
ホログラムメモリでは、同一体積内に多重させて複数のデータページを記録することができ、かつ各ページごとにデータを一括して読み出すことができる。アナログ画像ではなく、二値のデジタルデータ「0,1」を「明、暗」としてデジタル画像化し、ホログラムとして記録再生することによって、デジタルデータの記録再生も可能となる。最近では、このデジタルホログラムメモリシステムの具体的な光学系や、体積多重記録方式に基づくSN比やビット誤り率の評価、または2次元符号化についての提案がなされ、光学系の収差の影響など、より光学的な観点からの研究も進展している。
【0004】
図11に、文献「D.Psaltis,M.Levene,A.Pu,G.Barbastathis and K.Curtis;Opt.Lett.20(1995)782」に示された、体積多重記録方式の一例であるシフト多重記録方式を示す。
【0005】
この文献に示されたシフト多重記録方式では、ホログラム記録媒体91をディスク形状とし、空間光変調器92を介して得られた物体光93を、レンズ94によってフーリエ変換して、ホログラム記録媒体91に照射すると同時に、対物レンズ95を介して得られた球面波の参照光96を、ホログラム記録媒体91に照射して、ホログラム記録媒体91の回転によって同じ領域に複数のホログラムを重ね書きする。例えば、ビーム径を1.5mmφとすると、ホログラム記録媒体91を数十μm移動させるだけで、ほぼ同じ領域に別のホログラムを、クロストークを生じることなく記録することができる。これは、参照光96が球面波であるため、ホログラム記録媒体91の移動によって参照光96の角度が変化したのと等価になることを利用したものである。この方法によれば、CDの100倍以上の記録容量を期待することができる。
【0006】
ところで、現状のCDやDVDなどのディスクパッケージメディアは、ディスクに記録されている情報が全てディスク所有者に開示されているので、ディスク所有者はディスクを入手した時点で、ディスクに記録されている全ての情報を利用することができる。そのため、悪意を持ったディスク所有者による不正使用や不正コピー(いわゆる海賊版の作製)が可能である。
【0007】
この問題を回避し、不正使用や不正コピーを防止する方法として、データの暗号化が有効である。例えば、特開平10−149619号には、DVDなどの光ディスクの不正使用や不正コピーを防止する暗号鍵生成方法や光ディスク再生方法が示されている。今後、ディスクの記録容量が増加し、一枚のディスクの価値が上がると、暗号化による不正防止が益々必要となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したホログラムメモリが普及した際にも、当然、不正使用や不正コピーの問題が生じる。特に、次世代の大容量メモリとして期待されているホログラムメモリは、その記録容量に比例して一枚のディスクの単価が高くなるため、海賊版が横行しやすく、暗号化によるデータの保護が不可欠となる。
【0009】
しかしながら、上記の特開平10−149619号の方法を含めて、現在、DVDなどに対して提案されている暗号化方法は、電気的な逐次処理を行うため、これをホログラムメモリに適用すると、ホログラムメモリの特長の一つである高速転送が不可能になる。したがって、ホログラムメモリに適した高速の暗号化および復号化の方法が必須である。
【0010】
また、ホログラムメモリに複数の情報を、それぞれ暗号化して記録することによって、正しい秘密鍵が入力された情報の再生のみを許可することができるようになる。したがって、デジタル情報の「所有」ではなく、「利用」に対して対価を支払う「超流通システム」用途の記録メディアとして、ホログラムメモリを利用することが可能となる。この場合、利用者は、莫大な情報が記録されたホログラムメモリを非常に安価に入手することができ、必要な情報のみを対価を支払って再生することができるようになる。
【0011】
そこで、この発明は、データを暗号化してホログラムとして光記録媒体に記録する場合、および暗号化されてホログラムとして光記録媒体に記録されたデータを光記録媒体から読み出して復号化する場合に、ホログラムメモリの高速転送という特長を損なうことなく、データを高速に暗号化、復号化することができるようにしたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の光記録方法では、
暗号化する伝送データおよび暗号化のための秘密鍵データの、いずれか一方を第1のデータ、他方を第2のデータとするとき、直線偏光の光を、画素ごとに偏光変調可能な第1の空間光変調器によって、第1のデータに応じて偏光変調して、偏光方向が異なる画素部分が空間的に分布した情報光を生成し、この情報光を、画素ごとに偏光変調可能な第2の空間光変調器によって、第2のデータに応じて偏光変調して、偏光方向が異なる画素部分が空間的に分布した暗号化された物体光を生成し、その物体光と参照光を同時に光記録媒体に照射することによって、その光記録媒体中に前記物体光の空間偏光分布をホログラムとして記録する。
【0013】
この発明の光読取り方法では、
秘密鍵データによって暗号化された伝送データのデータ情報を偏光方向が異なる画素部分の空間的な分布により保持する物体光が、参照光によりホログラムとして記録されている光記録媒体に読み出し光を照射して、前記ホログラムから暗号化された回折光を得、その暗号化された回折光を、画素ごとに偏光変調可能な空間光変調器によって、前記秘密鍵データに応じて偏光変調して復号化し、その復号化された回折光の空間偏光分布から、暗号化前の伝送データを読取る。
【0014】
【作用】
上記の方法による、この発明の光記録方法では、2つの空間光変調器により、一方では伝送データに応じて、他方では秘密鍵データに応じて、それぞれを通過する光を偏光変調することによって、物体光の生成と暗号化を光の進む速さで行うことができ、伝送データを並列に暗号化することができる。したがって、ホログラムメモリの高速転送という特長を損なうことなく、伝送データを高速に暗号化して記録することができる。
【0015】
上記の方法による、この発明の光読取り方法では、ホログラムから読み出された、暗号化された空間偏光分布を有する回折光を、空間光変調器により秘密鍵データに応じて偏光変調することによって、光の進む速さで伝送データを復号化することができ、伝送データを並列に復号化することができる。したがって、ホログラムメモリの高速転送という特長を損なうことなく、伝送データを高速に復号化して読取ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
出願人は先に、特願平10−32834号(整理番号FN97−00693)によって、データに応じた空間的な偏光分布をホログラムとして記録再生する方法を提案した。この発明は、この先願の方法を利用したものである。
【0017】
〔光記録方法の実施形態〕
図1は、この発明の光記録方法の一例を示し、最初に、第1の空間光変調器21によって、暗号化前の伝送データ(平文データ)に応じた偏光分布7aを有する物体光7を生成し、次に、第2の空間光変調器22によって、この暗号化前の物体光7を暗号化のための秘密鍵データに応じて偏光変調して、暗号化された偏光分布1aを有する物体光1を生成する場合である。
【0018】
空間光変調器21および22は、それぞれ偏光変調可能な、多数の画素を2次元に形成したものとする。空間光変調器21に入力する暗号化前の伝送データ、および空間光変調器22に入力する暗号化のための秘密鍵データは、それぞれ多数ビットの2次元の2値デジタルデータとする。ただし、図では便宜上、2×2画素ないし2×2ビットとして示す。
【0019】
このような空間光変調器21,22としては、図2に示すように、液晶などの電気光学変換部材25の両面に電極26,27を形成した、透過型の液晶パネルなどを用いる。ただし、プロジェクタ用の液晶パネルは、電極26,27の外側に偏光板が配されるが、空間光変調器21,22としては、同図に示すように、偏光板が除かれたものを用いる。
【0020】
これによって、空間光変調器21,22は、それぞれ、各画素ごとに入射光の偏光を任意に回転させることができる1/2波長板として機能させることができる。
【0021】
そして、図1に示すように、まず、平行光としたレーザ光などのコヒーレント光5を、偏光板(または1/2波長板)33に透過させて、所定方向(以下では、その方向を0°とする)の直線偏光とし、その直線偏光を、暗号化前の伝送データが入力される空間光変調器21に入射させる。
【0022】
この場合、空間光変調器21のデータ“0”が入力された画素は、図3(A)に示すように、その1/2波長板の方位が入射偏光に対して平行となり、その画素を透過する光の偏光は回転しない。これに対して、空間光変調器21のデータ“1”が入力された画素は、図3(B)に示すように、その1/2波長板の方位が入射偏光に対して45°傾き、その画素を透過する光の偏光は90°回転する。
【0023】
したがって、図1に示すように、空間光変調器21を透過した光として、暗号化前の伝送データに応じた偏光分布7aを有する物体光7が得られる。すなわち、物体光7は、暗号化前の伝送データが“0”の画素では0°(入射偏光の方向)の偏光角を有し、暗号化前の伝送データが“1”の画素では90°の偏光角を有するものとなる。
【0024】
次に、この空間光変調器21からの暗号化前の物体光7を、暗号化のための秘密鍵データが入力される空間光変調器22に入射させる。
【0025】
秘密鍵データは、セキュリティを高めるために、複雑な暗号生成論理(アルゴリズム)に基づいて生成する。暗号化は、DES(Data Encryption Standard),FEAL(Fast Data Encipherment Algorithm),RSA(Rivest−Shamir−Adleman)などの公知の暗号化方法でもよく、任意の暗号化方法を用いることができる。
【0026】
空間光変調器21と同様に、空間光変調器22のデータ“0”が入力された画素は、その1/2波長板の方位が入射偏光に対して平行または垂直となり、その画素を透過する光の偏光は回転しない。これに対して、空間光変調器22のデータ“1”が入力された画素は、その1/2波長板の方位が入射偏光に対して45°傾き、その画素を透過する光の偏光は90°回転する。
【0027】
したがって、空間光変調器22を透過した光として、空間光変調器21からの暗号化前の物体光7が秘密鍵データに応じて偏光変調された物体光、すなわち秘密鍵データによって暗号化された偏光分布1aを有する物体光1が得られる。
【0028】
そして、図4に示すように、この空間光変調器22からの暗号化された物体光1を、光記録媒体10に照射すると同時に、参照光2を、光記録媒体10の物体光1が照射される領域に照射して、光記録媒体10中に物体光1の偏光分布をホログラムとして記録する。
【0029】
図1の例とは逆に、第1の空間光変調器21に暗号化のための秘密鍵データを入力し、第2の空間光変調器22に暗号化前の伝送データ(平文データ)を入力してもよい。この場合でも、図1の例と同様に、空間光変調器22を透過した光として、秘密鍵データによって暗号化された偏光分布1aを有する物体光1が得られる。
【0030】
以上のように、この発明の光記録方法では、物体光の生成と暗号化を光の進む速さで行うことができ、伝送データを並列に暗号化することができる。したがって、ホログラムメモリの高速転送という特長を損なうことなく、伝送データを高速に暗号化して記録することができる。例えば、空間光変調器21および22を、それぞれ1000×1000画素からなるものとすれば、一度に106ビットのデータにつき物体光の生成および暗号化を行うことができる。
【0031】
〔光読取り方法の実施形態〕
上記のように記録された暗号化された物体光1を、光記録媒体10から読み出し、復号化して、暗号化前の伝送データを読取るには、まず、図5に示すように、光記録媒体10のホログラムが記録されている領域に読み出し光12を照射する。読み出し光12としては、同図のように記録時の参照光2と同じ光か、または参照光2と波面が同じで進行方向が逆の光を用いる。
【0032】
読み出し光12の偏光を参照光2のそれと同じにすることによって、図5に示すように、光記録媒体10に記録されているホログラムから、図1および図4に示した暗号化された物体光1と同じ偏光分布を有する回折光11が得られる。光記録媒体10の異方性や光学素子の偏光特性によって回折光11の偏光方向が物体光1のそれと完全に一致しない場合には、偏光子や波長板により回折光11の偏光方向を補正することによって、偏光方向が物体光1のそれと一致した回折光を得ることができる。
【0033】
次に、図6に示すように、この暗号化された回折光11を、秘密鍵データが入力される空間光変調器23に入射させる。空間光変調器23は、記録時の空間光変調器21,22と同様に、図2に示したような、偏光変調可能な、多数の画素を2次元に形成したものとする。これに入力する秘密鍵データは、記録時の暗号化に用いたものと同じデータである。
【0034】
空間光変調器21,22と同様に、空間光変調器23のデータ“0”が入力された画素は、その1/2波長板の方位が入射偏光に対して平行または垂直となり、その画素を透過する光の偏光は回転しない。これに対して、空間光変調器23のデータ“1”が入力された画素は、その1/2波長板の方位が入射偏光に対して45°傾き、その画素を透過する光の偏光は90°回転する。
【0035】
したがって、暗号化された回折光11が秘密鍵データに応じて偏光変調され、秘密鍵データによって復号化されて、空間光変調器23を透過した光として、記録時の図1に示した暗号化前の物体光7と同じ偏光分布13aを有する回折光13が得られる。
【0036】
記録時の暗号化に用いた秘密鍵データと異なるデータを空間光変調器23に入力した場合には、このような復号化された回折光13は得られない。すなわち、記録時の暗号化に用いた秘密鍵データと同じデータを空間光変調器23に入力した場合にのみ、暗号化前の物体光7と同じ偏光分布13aを有する回折光13が得られる。
【0037】
そして、この空間光変調器23からの復号化された回折光13を、偏光板(または1/2波長板)42に透過させて、0°または90°の偏光角の偏光成分のみを、復号化されたデータ画像14として取り出し、図では省略した光検出器によって検出する。したがって、記録時の暗号化に用いた秘密鍵データと同じデータを空間光変調器23に入力した場合にのみ、暗号化前の伝送データを読取ることができる。
【0038】
以上のように、この発明の光読取り方法では、光の進む速さで伝送データを復号化することができ、伝送データを並列に復号化することができる。したがって、ホログラムメモリの高速転送という特長を損なうことなく、伝送データを高速に復号化して読取ることができる。
【0039】
〔光記録媒体の一例〕
光記録媒体10としては、物体光1の偏光分布をホログラムとして記録できるものであれば、どのようなものでもよいが、例えば、図7に示す化学式で表される、側鎖にシアノアゾベンゼンを有するポリエステルを用いることができる。
【0040】
この材料は、特願平10−32834号に詳細に記載されているように、側鎖のシアノアゾベンゼンの光異性化による光誘起異方性によって、物体光の偏光分布をホログラムとして記録することができる。ホログラム読み出し光の偏光方向を参照光のそれと等しくすれば、物体光と同じ偏光分布を有する回折光を得ることができる。また、記録されたホログラムは、室温自然光のもとで半永久的に記録が保持される。
【0041】
〔光記録装置の実施形態〕
図8は、この発明の光記録装置の一例を示し、光記録媒体10をディスク形状とした場合である。
【0042】
空間光変調器21および22には、例えば、一画素の大きさが42μm×42μmで640×480画素のプロジェクタ用液晶パネル1.3型を用いる。ただし、上述したように偏光板を除いたものを用いる。
【0043】
光源30としては、光記録媒体10に感度のあるコヒーレント光を発するものであれば、どのようなものでもよいが、光記録媒体10として、上記の側鎖にシアノアゾベンゼンを有するポリエステルを用いる場合には、例えば、アルゴンイオンレーザの発振線515nmを用いる。
【0044】
この光源30からの光は、ビームスプリッタ31によって2光束に分割する。この例は、光記録装置を後述する光読取り装置と共通化して記録再生装置とする場合で、その場合には、記録時、シャッタ32を開けて、ビームスプリッタ31を透過した光をシャッタ32を通じて取り出す。
【0045】
このビームスプリッタ31を透過した光は、偏光板(または1/2波長板)33によって偏光方向を調整し、レンズ34および35によって口径の広い平行光にして、空間光変調器21に入射させる。
【0046】
空間光変調器21には、コンピュータ51から、暗号化前の伝送データを入力し、これによって、図1に示して上述したように、空間光変調器21を透過した光として、暗号化前の伝送データに応じた偏光分布7aを有する物体光7を得る。
【0047】
この空間光変調器21からの暗号化前の物体光7は、さらに空間光変調器22に入射させる。空間光変調器22には、コンピュータ52から、暗号化のための秘密鍵データを入力し、これによって、図1に示して上述したように、空間光変調器22を透過した光として、秘密鍵データによって暗号化された偏光分布1aを有する物体光1を得る。
【0048】
そして、この空間光変調器22からの暗号化された物体光1を、レンズ37によってフーリエ変換して、光記録媒体10に照射する。
【0049】
同時に、ビームスプリッタ31で反射した光を、ミラー38および39で反射させて、参照光2として、光記録媒体10の物体光1が照射される領域に照射する。これによって、光記録媒体10中に物体光1の偏光分布がホログラムとして記録される。
【0050】
この場合、図では省略した駆動モータにより光記録媒体10を回転させることによって、光記録媒体10の周方向に場所を変えて複数のホログラムを記録することができる。このとき、参照光2として球面波を用いることによって、シフト多重記録を行うことができる。さらに、図9の矢印71で示すように、光記録ヘッド70を光記録媒体10の径方向に移動させることによって、同図に示すように、光記録媒体10中に同心円状の記録トラックを形成するようにホログラムを記録することができる。
【0051】
以上のように、この発明の光記録装置では、物体光の生成と暗号化を光の進む速さで行うことができ、伝送データを並列に暗号化することができる。したがって、ホログラムメモリの高速転送という特長を損なうことなく、伝送データを高速に暗号化して記録することができる。上記の例では、640×480ビットのデータを一度に暗号化して記録することができるが、空間光変調器21,22の画素数をさらに増やすことによって、さらに高速化することができる。
【0052】
〔光読取り装置の実施形態〕
図10は、この発明の光読取り装置の一例を示す。この例の光読取り装置は、図8の光記録装置に、逆フーリエ変換のためのレンズ41、復号化のための空間光変調器23、偏光板(または1/2波長板)42、および復号化されたデータ画像を読取るための光検出器43を追加したもので、空間光変調器23としては、空間光変調器21,22と同様に、例えば、一画素の大きさが42μm×42μmで640×480画素のプロジェクタ用液晶パネル1.3型を用いる。
【0053】
読取り時には、シャッタ32を閉じて物体光1を遮断し、記録時の参照光と同じ光を、読み出し光12として光記録媒体10に入射させる。これによって、光記録媒体10に記録されているホログラムから、暗号化された物体光1の再生画像が、回折光11として得られる。読み出し光12の偏光を記録時の参照光のそれと同じにすれば、図5に示したように、回折光11として、暗号化された物体光1と同じ偏光分布を有するものが得られる。
【0054】
この暗号化された回折光11は、レンズ41によって逆フーリエ変換して、空間光変調器23に入射させる。空間光変調器23には、コンピュータ53から、記録時の暗号化に用いた秘密鍵データを入力する。これによって、図6に示して上述したように、空間光変調器23を透過した光として、記録時の図1に示した暗号化前の物体光7と同じ偏光分布13aを有する回折光13が得られる。
【0055】
そして、この空間光変調器23からの復号化された回折光13を、偏光板(または1/2波長板)42に透過させて、所定偏光角の偏光成分のみを、復号化されたデータ画像14として取り出し、光検出器43によって検出する。
【0056】
以上のように、この発明の光読取り装置では、光の進む速さで伝送データを復号化することができ、伝送データを並列に復号化することができる。したがって、ホログラムメモリの高速転送という特長を損なうことなく、伝送データを高速に復号化して読取ることができる。上記の例では、640×480ビットのデータを一度に復号化して読取ることができるが、空間光変調器21〜23の画素数をさらに増やすことによって、さらに高速化することができる。
【0057】
【発明の効果】
上述したように、この発明によれば、ホログラムメモリの高速転送という特長を損なうことなく、データを高速に暗号化して記録することができるとともに、暗号化されたデータを高速に復号化して読取ることができる。そして、データが暗号化されて記録されるため、大容量記録および高速転送が可能なメモリとして、ホログラムメモリが世の中に広く普及した際にも、不正使用や不正コピーを防止することができる。また、暗号化により、読み出せるデータを制限することによって、デジタル情報の「所有」ではなく、「利用」に対して対価を支払う「超流通システム」用途の記録メディアとして、ホログラムメモリを利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光記録方法の一例を示す図である。
【図2】この発明で用いる空間光変調器の一例を示す図である。
【図3】空間光変調器の画素の機能を説明するための図である。
【図4】暗号化された物体光がホログラム記録される状態を示す図である。
【図5】暗号化された回折光が読み出される状態を示す図である。
【図6】この発明の光読取り方法の一例を示す図である。
【図7】この発明で用いる光記録媒体の材料の一例の化学式を示す図である。
【図8】この発明の光記録装置の一例を示す図である。
【図9】ディスク形状の光記録媒体中に同心円状の記録トラックを形成してホログラム記録する場合を示す図である。
【図10】この発明の光読取り装置の一例を示す図である。
【図11】文献に示されたシフト多重記録方式を示す図である。
【符号の説明】
1…暗号化された物体光
2…参照光
7…暗号化前の物体光
10…光記録媒体
11…暗号化された回折光
12…読み出し光
13…復号化された回折光
14…復号化されたデータ画像
21,22,23…空間光変調器
30…光源
31…ビームスプリッタ
33,42…偏光板(1/2波長板)
37…フーリエ変換用レンズ
41…逆フーリエ変換用レンズ
43…光検出器
51,52,53…コンピュータ
70…光記録ヘッド
80…光読取りヘッド

Claims (19)

  1. 暗号化する伝送データおよび暗号化のための秘密鍵データの、いずれか一方を第1のデータ、他方を第2のデータとするとき、直線偏光の光を、画素ごとに偏光変調可能な第1の空間光変調器によって、第1のデータに応じて偏光変調して、偏光方向が異なる画素部分が空間的に分布した情報光を生成し、この情報光を、画素ごとに偏光変調可能な第2の空間光変調器によって、第2のデータに応じて偏光変調して、偏光方向が異なる画素部分が空間的に分布した暗号化された物体光を生成し、その物体光と参照光を同時に光記録媒体に照射することによって、その光記録媒体中に前記物体光の空間偏光分布をホログラムとして記録する光記録方法。
  2. 請求項1の光記録方法において、
    前記伝送データおよび秘密鍵データが、2値のデジタルデータであることを特徴とする光記録方法。
  3. 請求項1または2の光記録方法において、
    前記物体光をフーリエ変換して前記光記録媒体に照射することを特徴とする光記録方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの光記録方法において、
    前記光記録媒体がディスク形状であり、その光記録媒体を回転させるとともに、前記第1および第2の空間光変調器を含む光記録ヘッドを前記光記録媒体の径方向に移動させることを特徴とする光記録方法。
  5. コヒーレント光が得られる光源部と、
    暗号化する伝送データおよび暗号化のための秘密鍵データの、いずれか一方を第1のデータ、他方を第2のデータとするとき、画素ごとに前記光源部からの直線偏光の光を第1のデータに応じて偏光変調して、偏光方向が異なる画素部分が空間的に分布した情報光を生成する第1の空間光変調器と、
    画素ごとに前記情報光を第2のデータに応じて偏光変調して、偏光方向が異なる画素部分が空間的に分布した暗号化された物体光を生成する第2の空間光変調器と、
    その物体光を光記録媒体に照射する結像光学系と、
    前記光源部で得られる光から参照光を生成して、前記光記録媒体に照射する参照光光学系とを備え
    前記物体光と前記参照光を前記光記録媒体に同時に照射して、前記光記録媒体中に前記物体光の空間偏光分布をホログラムとして記録する光記録装置。
  6. 請求項5の光記録装置において、
    前記結像光学系は、前記物体光をフーリエ変換して前記光記録媒体に照射するレンズを有することを特徴とする光記録装置。
  7. 請求項5または6の光記録装置において、
    前記光記録媒体がディスク形状であり、当該光記録装置が、前記光記録媒体を回転させる媒体駆動機構と、前記光源、第1および第2の空間光変調器、結像光学系および参照光光学系を含む光記録ヘッドを前記光記録媒体の径方向に移動させるヘッド移動機構とを備えることを特徴とする光記録装置。
  8. 秘密鍵データによって暗号化された伝送データのデータ情報を偏光方向が異なる画素部分の空間的な分布により保持する物体光が、参照光によりホログラムとして記録されている光記録媒体に読み出し光を照射して、前記ホログラムから暗号化された回折光を得、その暗号化された回折光を、画素ごとに偏光変調可能な空間光変調器によって、前記秘密鍵データに応じて偏光変調して復号化し、その復号化された回折光の空間偏光分布から、暗号化前の伝送データを読取る光読取り方法。
  9. 請求項8の光読取り方法において、
    前記読み出し光の偏光方向を、前記参照光の偏光方向と同一にすることを特徴とする光読取り方法。
  10. 請求項9の光読取り方法において、
    前記読み出し光を、前記参照光の入射方向と同一の方向または対向する方向から前記光記録媒体に入射させることを特徴とする光読取り方法。
  11. 請求項8〜10のいずれかの光読取り方法において、
    偏光子または波長板により、前記暗号化された回折光の偏光方向を補正することによって、各画素部分の偏光方向が前記物体光の各画素部分の偏光方向と一致した回折光を得ることを特徴とする光読取り方法。
  12. 請求項8〜11のいずれかの光読取り方法において、
    前記秘密鍵データおよび伝送データが、2値のデジタルデータであることを特徴とする光読取り方法。
  13. 請求項8〜12のいずれかの光読取り方法において、
    前記物体光はフーリエ変換されたものであり、前記暗号化された回折光を逆フーリエ変換して読み出すことを特徴とする光読取り方法。
  14. 請求項8〜13のいずれかの光読取り方法において、
    前記光記録媒体がディスク形状であり、その光記録媒体を回転させるとともに、前記空間光変調器を含む光読取りヘッドを前記光記録媒体の径方向に移動させることを特徴とする光読取り方法。
  15. 秘密鍵データによって暗号化された伝送データのデータ情報を偏光方向が異なる画素部分の空間的な分布により保持する物体光が、参照光によりホログラムとして記録されている光記録媒体に読み出し光を照射して、前記ホログラムから暗号化された回折光を得る読み出し光光学系と、
    その暗号化された回折光を、その画素部分ごとに前記秘密鍵データに応じて偏光変調して復号化する空間光変調器と、
    その復号化された回折光の空間偏光分布から、暗号化前の伝送データを読取る光検出器と、
    を備える光読取り装置。
  16. 請求項15の光読取り装置において、
    前記読み出し光光学系は、前記読み出し光の偏光方向を前記参照光の偏光方向と同一にすることを特徴とする光読取り装置。
  17. 請求項16の光読取り装置において、
    前記読み出し光光学系は、前記読み出し光を前記参照光の入射方向と同一の方向または対向する方向から前記光記録媒体に入射させることを特徴とする光読取り装置。
  18. 請求項15〜17のいずれかの光読取り装置において、
    前記物体光はフーリエ変換されたものであり、当該光読取り装置は前記暗号化された回折光を逆フーリエ変換して読み出すレンズを備えることを特徴とする光読取り装置。
  19. 請求項15〜18のいずれかの光読取り装置において、
    前記光記録媒体がディスク形状であり、当該光読取り装置が、前記光記録媒体を回転させる媒体駆動機構と、前記読み出し光光学系、空間光変調器および光検出器を含む光読取りヘッドを前記光記録媒体の径方向に移動させるヘッド移動機構とを備えることを特徴とする光読取り装置。
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