JP3903353B2 - 人工芝滑走場 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は橇遊びやスキー、スキージャンプあるいはウォーターシュート等を行うことができる人工芝滑走場に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、人工芝滑走場は、コンクリートや木製の土台上に接着された発泡ポリエチレン樹脂製の緩衝材に、プラスチック製の芝生葉を植設した人工芝生を接着するか、プラスチック製の芝生葉を無数に植設した人工芝生をコンクリートや木製の土台に直接接着するのを普通としていた。このようなプラスチック製の人工芝生は弱くスキーや橇等の滑走により摩耗して長期間使用できないうえに、摩擦抵抗が大きく遊戯者が転倒すると火傷を負うおそれがあった。しかも、静電気が発生しやすいという問題があり、使用の際には、人工芝に潤滑用の水を散水し、且つ橇やスキー板にシリコンオイル等の潤滑剤を塗布する必要があった。このため、潤滑に大量の水を消費してランニングコストを上昇させるという問題があるうえに、潤滑水の散水によりスキーや橇遊びをする遊戯者に散水がかかって衣服を濡らすことがあり、冬季には利用することは難しかった。さらに、大量の水を散水するため、人工芝は水浸しとなり、橇やスキーの滑走により潤滑剤や砂埃等のより汚れた水が飛散して遊戯者の衣服を汚すという問題もあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、衣服を濡らしたり汚すことがなく、四季を通じて使用することができる人工芝滑走場を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するため本発明の人工芝滑走場は、人口芝が貼り付けられた滑走斜面の頂部に、この滑走斜面の頂部両側に対向して立設した多数の噴霧ノズルを通じ滑走斜面の中央に向け滑走者に触れても衣服を濡らすことのない煙状のミストを供給噴霧する人工芝湿潤用のミスト発生装置を設けるとともに、前記した噴霧ノズルより噴霧されて空気中を浮遊するミストが滑走斜面の上方から下方に流れるように空気流を制御して、噴霧ノズルより噴霧されて人工芝に降り注がれるミストにより滑走斜面の全表面を湿潤させて薄い水膜を形成しスキー板との摩擦抵抗を低減させるようにしたことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
1は丘陵地等に構築される滑走斜面であり、該滑走斜面1の表面には人工芝2が貼り付けられている。3は前記人工芝2を湿潤させるミスト発生装置であり、該ミスト発生装置3は超音波振動子を用いて貯留水に振動を与えて煙状のミストを発生させたうえ、滑走斜面1の頂部両側に対向して立設される多数の噴霧ノズル4よりミストを噴霧するもので、該噴霧ノズル4より噴霧されるミストは滑走斜面1の中央に向かいつつ斜面に沿って下方に流れてゆき、滑走斜面1の全表面を湿潤させるものである。また、滑走斜面1はベース5と人工芝2とよりなるもので、ベース5はコンクリートあるいは木製の土台に貼り付けられた厚さ約20mmの発泡ポリスチレン樹脂の緩衝材6と、緩衝材6の上面に取り付けられたポロプロピレン樹脂製のネット7とから形成される。そして、緩衝材6とネット7は土台にボルト止めされる金属帯8により固定される。
【0006】
前記人工芝2は無数のプラスチック細線10を束ねたブラシ状滑面11と、該ブラシ状滑面11の下面に敷設されるプラスチック板12とよりなるスライドユニット13を多数個連結して形成したものである。ブラシ状滑面11は線径約2mmのポリプロピレン樹脂製のプラスチック細線10を束ねて、その上端をポリプロピレン樹脂製の抱持具14にインサート成形したものである。また、前記プラスチック細線10は直線状ではなく、波状として橇やスキー板との接触面積を減らして摩擦抵抗が低減されるようにしている。さらに、プラスチック板12はポリプロピレン樹脂製で、ブラシ状滑面11の上下長より短い上下長とし、人工芝2の表面はプラスチック細線10により覆われるものである。さらに、プラスチック板12の裏面に縦に形成される多数条の補強リブ15は、プラスチック板12より短く、且つ下側が高くなる傾斜形をしているため、プラスチック板12は下側が膨出し、その膨出裏面の空間に隣り合って連結されるブラシ状滑面11の抱持具14が介在されるようになっている。このため、人工芝2の表面は凹凸の少ない滑らかなものとなる。
【0007】
また、ブラシ状滑面11とプラスチック板12とよりなるスライドユニット13は横990mm、上下幅510mmの大きさである。16はブラシ状滑面11とプラスチック板12よりなるスライドユニット13をネット7に取り付けるプラスチック製の留め具であり、該留め具16は、のこぎり歯状のベルト16a と、のこぎり歯状のベルト16aに係止できる爪付きのバックル16bとからなる。17、18は抱持具14とプラスチック板12に透設されたベルト16a挿通用の孔である。19は滑走斜面1の両側に設けられる防風壁であり、該防風壁19はミストが風で人工芝2以外の場所に流れないようにしている。
【0008】
このように構成されたものは、先ず、滑走斜面1の頂部両側に取り付けられているミスト発生装置3を作動させる。該ミスト発生装置3の作動により噴霧ノズル4からミストは噴霧され、噴霧されたミストは両側を防風壁19に囲われた滑走斜面1の中央部に向かって流れ、傾斜斜面1頂部付近の人工芝2に降り注いで湿潤させるとともに、滑走斜面1に沿って下方に流れて行き、人工芝2の下方部を順次湿潤させ、やがて人工芝2の全面を湿潤させる。このようにして湿潤された傾斜斜面1でスキーや橇遊びをすれば、人工芝2は波状のプラスチック細線10に覆われたスライドユニット13を連結したものであるから、摩擦抵抗は少ないうえに、ミストにより人工芝2が湿潤されることにより人工芝2は一層摩擦抵抗を低減するので、スキー板や橇にシリコンオイルのような潤滑剤を塗布しなくとも滑走を楽しむことができる。
【0009】
しかも、噴霧されるミストは微粒子であり、空気中を浮遊して流れるミストが遊戯者の衣服を濡らすことはない。さらに、人工芝2は表面をミストにより湿潤されるだけであり、人工芝2に付着した水膜は薄いので、人工芝2表面が水浸しになることはなく、スキーや橇による滑走によって水が飛散して遊戯者自身や周囲の遊戯者の衣服を汚すこともない。なお、好ましい実施の形態では、滑走斜面1は屋外に構築し、防風壁19を立設したものとしているが、図4に示されるように、傾斜斜面1全体を凹部に構築して両側の壁面を防風壁19としてもよい。また、傾斜斜面1を屋内に構築すれば、防風壁19は不要となるうえに、滑走斜面1の上方から下方にミストが流れるように空気流を制御して確実にミストを人工芝2に付着させることができる。
【0010】
【発明の効果】
本発明は前記説明によって明らかなように、ミスト発生装置により噴霧されたミストにより、傾斜斜面の人工芝を湿潤するようにしたから、水の使用量は少なくて済み、維持管理費を低減することができる。しかも、ミストとして噴霧するから水を散水する場合のように衣服を濡らすことはなく、冬季もスキーや橇による滑走ができ、年中営業することができる。また、ミスト発生装置の噴霧ノズルを滑走斜面の頂部上方に配置させてミストの重みにより下方に流すようにしたから、ミストの拡散にエネルギーを必要とず、維持費を低減できることとなる。また、頂部両側に噴霧ノズルを対向して配置することにより、ミスト発生装置の設置が簡単で施工費を低減できることとなる。さらに、滑走斜面の両側に防風壁を設けることにより、風による影響を低減して人工芝へのミストの付着を高めることができる。さらに、人工芝を無数のプラスチック細線を束ねたスライドユニットとすることにより、人工芝自体の摩擦抵抗を小さいものにでき、スキー板や橇にシリコンオイル等の潤滑剤を用いなくても滑走を行うことができる等種々の利点を有するものである。
従って、本発明は従来の問題点を解消した人工芝滑走場として遊戯施設業界の発展に寄与するとことろ大なものでる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の好ましい実施の形態に用いられる人工芝を示す一部切欠斜視図である。
【図3】本発明の好ましい実施の形態に用いられる人工芝を示す断面図である。
【図4】本発明の他の好ましい実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 滑走斜面
2 人工芝
3 ミスト発生装置
4 噴霧ノズル
10 プラスチック細線
11 ブラシ状滑面
12 プラスチック板
13 スライドユニット
19 防風壁
Claims (3)
- 人口芝(2) が貼り付けられた滑走斜面(1) の頂部に、この滑走斜面 (1) の頂部両側に対向して配置立設した多数の噴霧ノズル (4) を通じ滑走斜面 (1) の中央に向け滑走者に触れても衣服を濡らすことのない煙状のミストを供給噴霧する人工芝湿潤用のミスト発生装置 (3) を設けるとともに、前記した噴霧ノズル (4) より噴霧されて空気中を浮遊するミストが滑走斜面 (1) の上方から下方に流れるように空気流を制御して、噴霧ノズル (4) より噴霧されて人工芝 (2) に降り注がれるミストにより滑走斜面 (1) の全表面を湿潤させて薄い水膜を形成しスキー板との摩擦抵抗を低減させるようにしたことを特徴とする人工芝滑走場。
- 滑走斜面 (1) の両側が防風壁 (19) により覆われている請求項1に記載の無雪式の人工芝滑走場。
- 人口芝 (2) が、無数のプラスチック細線 (10) を束ねたブラシ状滑面 (11) の下面にプラスチック板( 12 )を敷設したスライドユニット (13) の多数枚を連結したものである請求項1または2に記載の人工芝滑走場。
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