JP3903245B2 - 有害汚染発生に対する模擬訓練システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自衛隊や警察等の種々の演習に使用される模擬訓練システムに関し、特に化学剤や放射線等の有害汚染発生に対する訓練のために、汚染地域の発生とその拡散を模擬し、該汚染に対する警報の発令、防護マスク装着や空気浄化装置の作動を含む防護処置、汚染種類の検知、除染行動等、より実践的な訓練を可能にする有害汚染発生に対する模擬訓練システムに関する。
【0002】
模擬訓練は危険を伴わずにより少数の補助員の援助によって実施できることが望ましい。また、汚染発生による損耗(訓練員の擬似的な死傷等の損失)の判定に際し、訓練効果を精度良く評価するために、訓練員の現場での状況や気象条件等を含めた実環境により近い状態での正確な判定が求められている。
【0003】
化学剤や神経剤或いは放射能等による汚染は、人間の五感で感知することができない。特に化学剤は比較的安価で容易に入手される大量殺傷兵器であり、また、無色、無臭であるため感知され難いが、事前に防護処置を行うことにより被害を完全に防止することができる。化学防護の基本は、まず、汚染の状況を正しく見極め、速やかに防護マスク装着等の防護処置を行うことである。このようなことから化学防護に対する訓練は重要な必須の訓練とされ、より実践的な模擬訓練システムが求められている。
【0004】
【従来の技術】
図45に従来の模擬訓練システムの全体を示す。従来の演習訓練システムは、中央局10と、各訓練員が携行する訓練員用無線機20と、各補助員が携行する補助員用無線機90とを備え、中央局10と攻撃側訓練員用無線機20Aとの間で、位置データ、攻撃諸元データ等を送受し、中央局10と補助員用無線機90との間で、位置データ、補助入力要求データ、防御側状況データ等を送受し、中央局10と防御側訓練員用無線機20Bとの間で、位置データ、損耗指示データ、非損耗データ等を送受する。
【0005】
図46に従来の訓練員用無線機の構成を示す。訓練員用無線機20は、位置標定機能を有する位置標定器201、データの送受信機能を有する無線送受信器202、識別番号を設定する識別番号設定器203、個別番号を設定する個別番号設定器204、損耗状況をブザー又は発光ダイオード等により表示する現示器205、攻撃の際に攻撃諸元データを入力するデータ入力器206、入力内容を確認するデータ表示器207、これらの制御及びデータの記録を行う制御器208を備える。
【0006】
図47に従来の補助員用無線機の構成を示す。補助員用無線機90は、位置標定器201、無線送受信器202、識別番号設定器203、個別番号設定器204、データ入力器206、データ表示器207、制御器208を備え、それらの構成要素は前述の訓練員用無線機20のものと同様であるので重複した説明は省略する。
【0007】
図48及び図49に従来の模擬訓練システムにおけるデータ送受のシーケンスを示し、従来の模擬攻撃から損耗現示迄の流れを以下に説明する。訓練員は訓練員用無線機20により、補助員は補助員用無線機90により、定期的に中央局10へ自機の位置データを送信する(4801,4802)。中央局10は送られてきた位置データを受信して、訓練員及び補助員の位置を記録する。
【0008】
攻撃側は攻撃を行う際、訓練員用無線機20Aを使用して攻撃諸元データ(攻撃目標位置、弾種、門数)を入力する(4803)。入力内容は訓練員用無線機20Aを通して攻撃諸元データとして中央局10へ送信される(4804)。中央局10は攻撃諸元データを受信すると、そのデータ内容から攻撃対象地域を算出する(4805)。記録されている各補助員の位置情報と算出した攻撃対象地域とを基に、攻撃対象地域付近にいる補助員を検索する(4806)。
【0009】
該当した補助員に防御側状態の入力を要求し、該補助員の携行する補助員用無線機90に対して補助入力要求データを送信する(4901)。補助員が携行する補助員用無線機90は、中央局10から補助入力要求データを受信するとその旨を表示する。補助員はその表示を確認し、防御側の状態(訓練員の姿勢、隊形、分散度等)を目視で確認し、それらの防御側状態を示すデータを補助員用無線機90に入力し、そのデータは中央局10に送信される(4902)。
【0010】
一方、中央局10は記録されている各訓練員の位置情報と算出した攻撃対象地域とを基に、攻撃対象地域に滞在する訓練員を選出する(4903)。そして中央局10は防御側状況データを受信すると、そのデータ内容を参照して攻撃対象地域に滞在する訓練員毎に損耗判定を行う(4904)。該判定により損耗有りと判定した訓練員の携行する訓練員用無線機20に対して損耗指示データを送信する(4905)。該訓練員の携行する訓練員用無線機20Bが損耗指示データを受信すると損耗の現示を行う(4906)。またそれと同時に、損耗を被ったことを中央局10に知らせる被損耗データを中央局10に送信する(4907)。
【0011】
化学攻撃のような弾道が大きな放物線カーブを描く曲射火器を用いた攻撃の模擬訓練を行う訓練システムが特開平7−146096号公報に開示されている。しかし、この模擬訓練システムは、模擬的な汚染による警報の発令や化学汚染区域の拡散性・持続性を想定したより実環境に近い状態で損耗判定を行うものではなく、警報の発令から防護マスクの装着の有無等に応じた損耗判定という一連の流れを通した訓練を行うことができなかった。また、汚染を除去する除染行動を行った場合に汚染地域を解除し、除染行動の結果を反映させて損耗判定を行う等訓練を行うことができないものであった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の汚染地域発生に対する模擬訓練システムは次のような問題があった。
(1)模擬的な汚染の発生を検知して警報を発令する警報装置を備えていなかった。
(2)中央局10は汚染地域の風向・風速等の気象情報を基に汚染地域拡散の模擬を行うことができなかった。
(3)汚染発生の際に各訓練員が空気浄化装置作動中の車両又はテント内に滞在しているかを判断して損耗判定を行うことができなかった。
(4)模擬的な汚染の種類を検知する検知器を備えていなかったため、汚染の種類を特定して除染行動を行う訓練ができなかった。
(5)除染車等による除染行動訓練を行った際、その結果を模擬的な汚染地域の解除に反映させることができなかった。
【0013】
本発明は補助員の介入無しに、汚染地域の発生とその拡散を模擬し、該汚染に対する警報の発令、防護マスク装着や空気浄化装置の作動を含む防護処置、汚染種類の検知、除染行動等の一連の訓練を通し、より実践的な訓練が可能な模擬訓練システムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の有害汚染発生に対する模擬訓練システムは、(1)各訓練員が携行する訓練員用無線機と、該訓練員用無線機からその位置データを受信し、訓練員の損耗判定を行い、損耗指示データ送信する中央局とを備えた模擬訓練システムにおいて、前記中央局は、模擬的な有害汚染攻撃の射撃目標位置及び弾種を基に汚染地域を算出する手段と、該汚染地域に存在する警報装置を選出し、該警報装置に対して警報発令を指示する手段と、該汚染地域に存在する訓練員用無線機を選出し、該訓練員用無線機に損耗指示データを送信する手段を有し、前記訓練員用無線機は、防護マスク装着の有無を判断し、前記損耗指示データを受信したときに防護マスク装着の有無に応じて損耗判定を行い、該損耗及び汚染種類を表示する手段を有することを特徴とする。
【0015】
また、(2)前記中央局は、汚染地域における汚染種類、風向及び風速データを取得し、該データを基に、汚染発生から所定時間経過毎の汚染拡散範囲を算出する手段を有し、該汚染拡散範囲を前記汚染地域とすることを特徴とする。
【0016】
また、(3)空気浄化装置を具備した車両、テント又は建造物の位置データを取得する手段と、該車両、テント又は建造物の位置データを基に、該車両、テント又は建造物内に存在する訓練員用無線機を選出する手段と、該車両、テント又は建造物の空気浄化装置作動の有無を確認する手段を備え、該空気浄化装置の作動している車両、テント又は建造物内に存在する該訓練員用無線機に対しては、汚染地域内であっても損耗指示データ送信しないことを特徴とする。
【0017】
また、(4)汚染を除去する除染車を備え、前記中央局は、除染行動中の除染車の位置データを基に、除染車が移動した範囲を汚染解除地域として算出する手段を有し、該汚染解除地域内に存在する訓練員用無線機に対して損耗指示データ送信しないことを特徴とする。
【0018】
また、(5)訓練員が携行する汚染種類検知装置を備え、前記中央局は、該汚染種類検知装置からその位置データを受信し、その位置が汚染地域内に存在するかどうか判定し、汚染地域内に存在する汚染種類検知装置に対して汚染種類表示を指示する手段を有することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の模擬訓練システムの全体を示す。本発明の模擬訓練システムは、中央局10、訓練員用無線機20、警報装置30、気象測定装置40、車両用無線機50、汚染種類検知装置60、除染車用無線機70を備え、中央局10は攻撃側訓練員が訓練員用無線機20Aから送信した攻撃諸元データを受信し、化学攻撃を確認すると、攻撃諸元データに含まれる弾種、発射門数及び攻撃目標位置から汚染地域及び汚染有効時間を算出する。また、中央局10で直接化学攻撃を設定する場合には、攻撃諸元データとして弾種、発射門数及び攻撃目標位置を直接入力し、該諸元データを基に汚染地域及び汚染有効時間を算出する。
【0020】
図2に本発明の訓練員用無線機20の構成を示す。各訓練員によって携行される訓練員用無線機20は、従来と同様に位置標定機能を有する位置標定器201、データの送受信機能を有する無線送受信器202、識別番号を設定する識別番号設定器203、個別番号を設定する個別番号設定器204、損耗状況をブザー又は発光ダイオード等により表示する現示器205、攻撃の際に攻撃諸元データを入力するデータ入力器206、入力内容を確認するデータ表示器207、これらの制御及びデータの記録を行う制御器208を備えるほかに、外部より防護マスク装着の有無を示す信号を受信する受信器209及び時計210を備える。
【0021】
図3に本発明の警報装置30の構成を示す。警報装置30は訓練員用無線機20と同様に、位置標定器201、無線送受信器202、識別番号設定器203、個別番号設定器204、制御器208、時計210を備えるほか、中央局10の指示に応じて警報を発令する警報発令器301、警報音等の警報表示を停止させるリセット操作器302、汚染検知種類を切替えるための検知種類切替器303を備える。
【0022】
図4に本発明の気象測定装置40の構成を示す。気象測定装置40は訓練員用無線機20と同様に、位置標定器201、無線送受信器202、識別番号設定器203、個別番号設定器204、制御器208を備えるほか、風向・風速を測定する風向・風速計401を備え、該装置の位置データとその地点における風向・風速データとを中央局10に送信する。
【0023】
図5に本発明の車両用無線機50の構成を示す。車両用無線機50は訓練員用無線機20と同様に、位置標定器201、無線送受信器202、識別番号設定器203、個別番号設定器204、制御器208を備えるほか、空気浄化装置作動有無の情報を抽出する空気浄化装置とのインターフェース部501を備え、車両、テント又は建造物内に具備された空気浄化装置の作動の有無を制御器208内に記録し、自機の位置データと共に空気浄化装置の作動の有無情報を中央局10に送信する。
【0024】
図6に本発明の汚染種類検知装置60の構成を示し、同図(a)は機能ブロックを、同図(b)は外形構造を示す。汚染種類検知装置60は訓練員用無線機20と同様に、位置標定器201、無線送受信器202、識別番号設定器203、個別番号設定器204、制御器208、時計210を備えるほか、検知動作を確認する検知動作確認器601、汚染種類を表示する表示器602を備え、検知動作確認器601のレバーが引かれると汚染種類の検知動作を開始し、中央局10の指示により汚染種類を表示器602に表示する。
【0025】
図7に本発明の除染車用無線機70の構成を示す。除染車用無線機70は訓練員用無線機20と同様に、位置標定器201、無線送受信器202、識別番号設定器203、個別番号設定器204、制御器208を備えるほか、除染行動の有無を判定する除染行動判定器701を備え、自機の位置データと共に汚染行動の有無を中央局10に送信する。
【0026】
図8及び図9に中央局10と警報装置30との間のデータ伝送シーケンスを示す。警報装置30は定期的に警報装置データを送信する(801)。警報装置データには、位置標定器201より得られる自装置の位置データ、検知種類切替器303より得られる検知種類、識別番号設定器203より得られる識別番号、個別番号設定器204より得られる個別番号が含まれる。中央局10は、警報装置30から送信された警報装置データを受信し、識別番号及び個別番号を基に、各警報装置30の位置データ及び検知種類を記録する(802)。
【0027】
攻撃側訓練員用無線機20Aから攻撃諸元データが入力(803)されると、中央局10は、記録されている各訓練員の位置データと、射撃目標位置及び弾種より算出(804)した汚染地域とを比較し、該汚染地域内に存在する警報装置30を選定する(805)。攻撃に使用された汚染の種類と該警報装置30の検知種類とが合致すれば、該警報装置30に警報発令の指示を行う(806)。警報発令の指示は、警報装置30に対して警報指示データ(発令)を送信することにより行う(807)。
【0028】
中央局10は警報発令を指示した後の警報装置30に対しても、引き続き警報装置データより得られる位置データ、検知種類を記録する(901)。そして以降の汚染地域の拡散、消滅等による汚染地域の変化、又は警報装置30の移動によって、警報装置30が汚染地域から離脱した場合は、当該警報装置30に対して警報停止の指示を行う(902)。また、検知種類が攻撃に用いられた汚染種類以外のものに切り替えられた場合も該警報装置30に対して警報停止の指示を行う。
【0029】
警報停止の指示は、該警報装置30に対して警報指示データ(停止)を送信することにより行う。中央局10より警報装置30に対して警報発令又は停止の指示を行う警報指示データには、指示を行う警報装置30の個別番号、警報の発令又は停止の何れかを示す開始/ 停止識別情報、汚染種類、警報発令時刻又は警報停止時刻を含む。
【0030】
警報装置30は警報指示データを受信すると、該データに含まれる開始/ 停止識別情報より、警報の発令指示か停止指示かを判定する。警報の発令指示の場合は、警報発令時刻と自装置の時計より得られる時刻情報を比較して、警報発令時刻にて警報の発令を行う(903)。警報の発令は、警報装置30の検知種類切替器303の設定に応じてブザー音又は発光ダイオードの点灯等により行う。
【0031】
警報の停止指示の場合は、まず警報停止時刻を記録する。その後、警報装置30のリセット操作器によりリセット動作を確認(904)して警報発令を停止する(905)。一定時間待機後、現在時刻と警報停止時刻とを比較し、現在時刻が警報停止時刻よりも後であれば引続き警報を停止し、前であれば再び警報を発令する(906)。
【0032】
図10に中央局10と訓練員用無線機20、気象測定装置40、車両用無線機50間のデータ伝送シーケンスを示す。気象測定装置40は定期的に気象データを送信する(1001)。気象データには位置標定器201より得られる自装置の位置データ、風向・風速計より得られる風向・風速情報、識別番号設定器203より得られる識別番号、個別番号設定器204より得られる個別番号が含まれる。中央局10は、気象測定装置40から送信された気象データを受信し、識別番号と個別番号を基に各気象測定装置40設置点の風向・風速情報を記録する(1002)。
【0033】
車両用無線機50は、定期的に車両データを送信する(1003)。車両データには位置標定器201より得られる自機の位置データ、空気浄化装置より得られる空気浄化装置作動有無の情報、識別番号設定器203より得られる識別番号、個別番号設定器204より得られる個別番号が含まれる。中央局10は、車両用無線機50から送信された車両データを受信し、識別番号と個別番号を基に該車両用無線機50が設置された各車両又はテント等の建造物の位置データと、空気浄化装置作動有無の情報を記録する(1004)。
【0034】
訓練員用無線機20は定期的に訓練員データを送信する(1005)。訓練員データには位置標定器201より得られる自機の位置データ、識別番号設定器203より得られる識別番号、個別番号設定器204より得られる個別番号が含まれる。中央局10は、訓練員用無線機20からの訓練員データを受信し、識別番号と個別番号を基に各訓練員の位置データを記録する(1006)。
【0035】
中央局10は、記録された車両又はテント等の建造物と訓練員の位置関係を比較し、ほぼ同位置であれば訓練員が車両又はテント内に滞在していると判定し、それを記録する。定期的に車両又はテント等の建造物と訓練員の位置を比較し、同位置でなくなった場合に、訓練員が車両又はテント等から外へ出たと判定し、該訓練員が車両又はテント等内に滞在しているという記録を解除する(1007)。
【0036】
図11に汚染発生の場合の中央局10と訓練員用無線機20とのデータ伝送シーケンスを示す。中央局10は、汚染地域が発生した際、射撃目標位置と弾種とにより汚染地域を算出し、該汚染地域と各気象測定装置40の位置データとを比較し、汚染地域内に存在する気象測定装置40を選出する。選出された気象測定装置40より得られる風向・風速情報と汚染種類に応じて汚染の拡散範囲を算出する。以降、一定の間隔で拡散範囲の算出を繰り返し、汚染拡散状況の模擬した汚染地域を算出する(1101)。
【0037】
中央局10は、汚染地域と各訓練員の位置データとを比較し、汚染地域内に滞在する訓練員を選出する(1102)。該当する訓練員のうち、空気浄化装置作動中の車両やテント等の内側に居る訓練員を削除し(1103)、残りの訓練員に対して損耗指示を行う。損耗指示は訓練員用無線機20に対して損耗指示データを送信することにより行う(1104)。
【0038】
損耗指示データには、指示を行う訓練員用無線機20の個別番号、汚染種類、損耗時刻を含む。訓練員用無線機20は損耗指示データを受信(1105)すると、該データに含まれる損耗時刻に従って損耗判定を行う。また、訓練員用無線機20は防護マスク装着の有無を判定し(1106)、中央局10より損耗指示データを受信した際、制御器内に防護マスク装着有りの状態が記録されていれば損耗無し、防護マスク装着無しの状態が記録されていれば、損耗有りと判定する(1107)。また、損耗有りの場合はその表示(現示)を行い (1108)、また損耗有りの旨を中央局10に対して被損耗データとして送信する(1109)。
【0039】
図12に中央局10と汚染種類検知装置60間のデータ伝送シーケンスを示す。訓練員が汚染種類検知装置60に対して所定の検知動作を行うと、汚染種類検知装置60はその動作を検知動作確認器601により確認し(1201)、汚染指示要求データを中央局10に送信する(1202)。汚染指示要求データには位置標定器201より得られる自装置の位置データ、識別番号設定器203より得られる識別番号、個別番号設定器204より得られる個別番号が含まれる。
【0040】
中央局10は汚染指示要求データを受信すると、その要求データに含まれる汚染種類検知装置60の位置データより、該汚染種類検知装置60が汚染地域内に存在するか、また汚染地域に存する場合にその汚染種類は何かを判定する(1203)。該汚染種類検知装置60が汚染地域内に存在する場合、汚染種類指示データを送信する(1204)。汚染種類指示データには指示を行う汚染種類検知装置60の個別番号と汚染種類と表示時刻とを含む。汚染種類検知装置60は汚染種類指示データを受信すると、汚染種類指示データに含まれる表示時刻に、汚染種類毎に異なる表示を行う(1205)。
【0041】
図13に中央局10と除染車用無線機70間のデータ伝送シーケンスを示す。除染車用無線機70は、定期的に除染車データを送信する(1301)。除染車データには、位置標定器201より得られる自機の位置データ、除染行動判定器701より得られる除染行動の有無、識別番号設定器203より得られる識別番号、個別番号設定器204より得られる個別番号が含まれる。
【0042】
中央局10は、除染車用無線機70から送信された除染車データを受信し、識別番号と個別番号を基に、各除染車の位置データと共に除染行動の有無を記録する(1302)。除染行動有りの場合は、定期的に送信される除染車データに含まれる除染車の位置データより除染車の移動軌跡を求める(1303)。そして、求めた移動軌跡が汚染地域内を通過していれば、その移動軌跡周辺を一定時間後に汚染解除地域とし(1304)、汚染解除地域に滞在する訓練員に対しては損耗の指示を行わない。
【0043】
【実施例】
次に本発明の模擬訓練システムの具体的な実施例について説明する。中央局10は攻撃側より化学攻撃の指示を受信した際、又は中央局10にて化学攻撃を設定した際に、攻撃諸元データに含まれる汚染種類、発射門数、攻撃目標位置から汚染地域を算出するが、汚染地域算出方法の第一の形態を以下に説明する。この第一の汚染地域算出方法において、攻撃目標位置は3次元の一点座標(Xm,Ym,Zm)として与えられる。
【0044】
図14に第一の汚染地域算出フローを示す。中央局10はステップ1401により、攻撃諸元データの受信又は中央局10での化学攻撃の設定が有るかを監視し、それを検出するとステップ1402以降の汚染地域算出のフローに遷移する。ステップ1403において、攻撃諸元データに含まれる攻撃目標位置を、汚染地域の中心座標(Xm,Ym,Zm)とする。
【0045】
ステップ1404において攻撃諸元データに含まれる弾種・発射門数より、汚染範囲半径Rを選定する。ステップ1405において攻撃諸元データに含まれる弾種より、汚染有効時間Tを選定する。汚染範囲半径Rと汚染有効時間Tは予め弾種・発射門数毎に設定してある汚染有効時間・汚染範囲テーブルより選定する。ステップ1406において汚染地域の中心座標(Xm,Ym,Zm)と汚染範囲半径Rより汚染地域の座標位置(X,Y,Z)を算出する。汚染地域は、汚染中心座標(Xm,Ym,Zm)から半径Rの球内の区域となる。ステップ1407により汚染地域発生時の処理を終了する。図15に汚染有効時間・汚染範囲テーブルを示す。弾種・発射門数に応じて汚染有効時間T、汚染範囲半径Rの異なる値が設定可能である。
【0046】
次に、中央局10における汚染地域算出の第二の形態を以下に説明する。第二の汚染地域算出方法において、攻撃目標位置は、攻撃範囲を示す4点の2次元座標(X1,Y1), (X2,Y2),(X3,Y3),(X4,Y4)として与えられる。図16に第二の汚染地域算出のフローを示す。中央局10は第一の算出フローと同様に、ステップ1401により攻撃諸元データの受信又は中央局10での化学攻撃の設定が有るかを監視し、それを検出するとステップ1402以降の汚染地域算出のフローに遷移する。
【0047】
ステップ1601において、攻撃諸元データに含まれる攻撃範囲を示す4点の2次元座標(X1,Y1),(X2,Y2),(X3,Y3),(X4,Y4)を獲得する。該4点の2次元座標は、一番北東の点を(X1,Y1)とし、以降反時計周りに(X2,Y2), (X3,Y3),(X4,Y4)とする。ステップ1602おいて、上記4点の座標より汚染地域の座標(x,y)を算出する。
【0048】
汚染地域は図17に示すように、(X1,Y1),(X2,Y2)を通る直線l1と、 (X2,Y2),(X3,Y3)を通る直線l2と、(X3,Y3),(X4,Y4)を通る直線l3と、(X4,Y4),(X1,Y1)を通る直線l4に囲まれる範囲として算出する。
【0049】
ステップ1405において攻撃諸元データに含まれる弾種より、汚染有効時間Tを選定する。汚染有効時間Tは予め弾種・門数毎に設定してある汚染有効時間・汚染範囲テーブルより選定する。ステップ1407において汚染地域発生時の処理を終了する。
【0050】
次に訓練員用無線機20、警報装置30、気象測定装置40、車両用無線機50、汚染種類検知装置60、除染車用無線機70について、より具体的に説明する。訓練員用無線機20等の装置に搭載されている位置標定器201にはGPS受信器を用いることができる。GPS受信器は一定間隔で位置標定を行い、その結果を制御器208に送る。制御器208は送られたデータを自機の位置データとして記録する。
【0051】
識別番号設定器203にはロータリーコードスイッチ又はディップスイッチを用いることができる。該スイッチの切り替えにより256通り程度設定可能とする。個別番号設定器204もロータリーコードスイッチ又はディップスイッチを用いることができる。該スイッチの切り替えにより4096通り程度設定可能とする。
【0052】
訓練員用無線機20の現示器205にはブザーと数種類の発光ダイオードを用いることができる。損耗を受けた際に、ブザー音と発光ダイオードの発光により表示を行う。時計210は秒単位迄出力可能とし、中央局10からの制御信号により同期化することが可能である。時計210から得られる時刻情報は、損耗指示データに含まれる損耗時刻を参照して損耗判定を行う際に使用する。
【0053】
データ入力器206にはキーボード等を用い、攻撃諸元データを入力する際に使用される。データ表示器207にはディスプレイ等を用い、攻撃諸元データの入力の確認等に使用する。受信器209は外部から防護マスク装着有無の信号を受信する。訓練員用無線機20は、定期的に訓練員データを送信する。中央局10は訓練員用無線機20から送信された訓練員データを受信し、識別番号と個別番号を基に各訓練員用の位置データを記録する。
【0054】
図18に訓練員データのフォーマット例を示す。同図(a)に示すように訓練員データにはデータ識別、個別番号、識別番号、位置データを含む。データ識別はデータ内容が訓練員データであることを示し、他の無線データとの区別に用いる。個別番号は訓練員用無線機20毎の区別を示し、個別番号設定器204で設定された番号が書込まれる。
【0055】
識別番号には同図(b)に示すように当該機材の種類を示し、訓練員用無線機20であれば、番号“0”が識別番号設置器203で設定され、該番号“0”が書込まれる。位置データには制御器208に記録された最新の位置データが書込まれる。位置データとして、X方向成分を示すX座標と、Y方向成分を示すY座標と、高度方向を示す高度座標が書込まれる。
【0056】
次に、中央局10による損耗指示について具体的に説明する。汚染地域が発生すると、前述の第一又は第二の方法により算出した汚染地域と、記録されている各訓練員の位置データとを比較し、汚染地域内に居る訓練員に対して損耗の指示を行う。中央局10における第一の汚染地域算出方法による損耗判定を以下に示す。
【0057】
図19に第一の汚染地域算出による損耗判定のフローを示す。第一の汚染地域算出方法により、汚染地域は中心座標(Xm,Ym,Zm)から半径Rの球内として与えられる。中央局10において以下に示す損耗指示の処理を行う。汚染地域が発生した際、ステップ1901により個別番号毎に訓練員の最新の位置データJn(Xjn,Yjn,Zjn)を取得する。
【0058】
次にステップ1902に進み、訓練員が汚染地域内にいるかどうかを判定する。汚染の中心座標(Xm00,Ym00,Zm00)と訓練員の位置Jn(Xjn,Yjn,Zjn)との距離を算出し、その距離が汚染範囲半径R以内であれば汚染地域内、汚染範囲半径R以上であれば汚染地域外であると判定する。
【0059】
汚染範囲が拡散している場合、上記の判定に続けて訓練員が汚染拡散範囲内に居るかどうかを判定する。この場合も拡散による汚染の中心座標(Xmpn,Ympn,Zm00)と訓練員の位置Jn(Xjn,Yjn,Zjn)の距離を算出し、その距離が汚染範囲Dn以内であれば汚染地域内、汚染範囲Dn以上であれば汚染地域外であると判定する。拡散範囲が複数存在する場合も同様の処理を続けて行う。
【0060】
訓練員が汚染地域内に居ると判定された場合は、ステップ1903に進み、汚染地域外に居ると判定された場合はステップ1906に進む。ステップ1903において汚染地域内の訓練員が空気浄化装置作動有りの車両又はテント等内に居るかを判定する。これは図10に示す中央局10による車両内外判定の処理により、訓練員毎に予め記録されているデータを参照することにより行う。車両又はテント等内に居ればステップ1906に進み、車両又はテント等の外に居ればステップ1904に進む。
【0061】
ステップ1904において汚染解除地域は有るかを判定する。これは図13に示す中央局10による汚染解除地域算出の処理によって予め記録されている汚染解除地域を参照して行う。汚染解除地域が有る場合は、図44の汚染解除地域と損耗判定のフローに進み、汚染解除地域が無い場合は、ステップ1905に進む。ステップ1905により該訓練員の個別番号を付与して損耗指示データを送信する。
【0062】
ステップ1906において全訓練員について判定済かどうかを調べ、判定済であればステップ1907に進み、損耗指示の処理を終了する。全訓練員について判定が未済であれば、ステップ1901に戻り、次訓練員の判定に進む。汚染の拡散、消滅による汚染地域の変化、訓練員の移動を考慮して損耗指示を行うために、ステップ1901からステップ1907までの処理を15秒に1回の程度で繰り返し行う。
【0063】
次に第二の汚染地域算出による損耗判定について説明する。第二の汚染地域算出では、汚染地域が(X1,Y1),(X2,Y2)を通る直線l1と、(X2,Y2),(X3,Y3)を通る直線l2と、(X3,Y3),(X4,Y4)を通る直線l3と、(X4,Y4),(X1,Y1)を通る直線l4に囲まれる範囲として与える。
【0064】
図20に第二の汚染地域算出による損耗判定のフローを示す。中央局10は以下に示す損耗指示の処理を行う。汚染地域が発生した際、ステップ1901において個別番号毎に訓練員の最新の位置データJn(Xjn,Yjn,Zjn)を取得する。次にステップ2001に進み、訓練員が汚染地域内に居るかどうかを判定する。
【0065】
訓練員の位置Jn(Xjn,Yjn,Zjn)が直線l1と直線l2と直線l3と直線l4とに囲まれる範囲内に存在すれば汚染地域内と判定し、範囲外であれば汚染地域外であると判定する。訓練員が汚染地域内に居る場合は、ステップ1903に進み、汚染地域外である場合はステップ1906に進む。以降のステップは図19に示した第一の汚染地域算出による損耗判定のフローと同様である。
【0066】
次に中央局10からの損耗指示データについて説明する。図21及び図22に損耗指示データのフォーマット例を示す。損耗指示データは図21(a)に示すように、データ識別、汚染種類、個別番号、損耗時刻を含む。データ識別はデータ内容が損耗指示データであることを示し、他の無線データとの区別に用いる。汚染種類は図21(b)に示すように放射線、マスタードガス等の汚染種類を示す。
【0067】
個別番号は損耗指示を行う訓練員の個別番号を示し、個別番号設定器204にて設定した番号に対応する訓練員用無線機20のみに損耗指示が有効となる。図21に示すように1伝文データに10機分の個別番号を含ませることにより、同時に10人の訓練員に損耗指示を行うことが可能となる。損耗時刻は訓練員用無線機20が実際に損耗判定を行う時刻を示し、例えば図22に示すように日時分秒で定義する。
【0068】
次に訓練員用無線機20による損耗判定について説明する。図23に訓練員用無線機20の損耗判定フローを示す。訓練員用無線機20において以下に示す損耗判定の処理を行う。ステップ2301で損耗指示データを受信するとステップ2302以降の損耗判定の処理を行う。ステップ2302において損耗指示データより損耗判定を行う損耗時刻と汚染種類とを取得する。ステップ2303により損耗時刻になるまで待機する。
【0069】
損耗時刻になるとステップ2304により汚染種類が放射線かどうかを判定する。汚染種類が放射線であればステップ2306に進み、損耗の表示を行う。放射線以外であればステップ2305に進み、防護マスク装着有無の判定を行う。防護マスクを装着有りであれば、ステップ2301に戻り、損耗指示データ待ち受け状態となる。防護マスクを装着無しであれば、ステップ2306に進み、損耗の表示(現示)を行う。
【0070】
次に警報装置30について具体的に説明する。図3に示した警報装置30の位置標定器201、無線送受信機202、識別番号設定器203、個別番号設定器204、制御器208、時計210は、訓練員用無線機20のものと同様のものを用いることができる。
【0071】
警報発令部器301はブザーと2種類の発光ダイオードを用いて構成することができる。化学剤を検知したときと、放射線を検知したときとで警報の種類を異なるようにする。例えば、化学剤を検知したときはブザー音と黄色発光ダイオードにより警報表示を行う。放射線を検知した時はブザー音と赤色発光ダイオードにより警報表示を行う。
【0072】
リセット操作器302は押しボタンを用いて構成することができる。該押しボタンを押下することによりリセット動作を行う。制御器208でリセット動作を確認すると、その90秒後程度にリセット完了として、中央局10からの警報指示データ受信待ち状態にする。これは、実際の警報機がリセット動作を行った後に警報機内部をクリーニングして、再度検知を行う迄に90秒程度掛かることを模擬するためである。時計210から得られる時刻情報により、警報指示データに含まれる警報開始/終了時刻を参照して警報の発令及び停止を行う。
【0073】
検知種類切替器303には切替えスイッチを用い、実際の警報機と同様に、検知無し、化学剤検知状態、放射線検知状態、化学剤及び放射線検知状態の4種類の状態に切り替え可能とする。切替えスイッチの設定を制御器208により読み込み、その設定を記録する。
【0074】
次に警報装置データについて説明する。警報装置30は定期的に警報装置データを送信する。中央局10は警報装置30から送信された警報装置データを受信し、識別番号と個別番号を基に各警報装置30の位置データ及び検知種類を記録する。
【0075】
図24に警報装置データのフォーマット例を示す。警報装置データにはデータ識別、個別番号、識別番号、検知種類、位置データを含む。データ識別はデータ内容が警報指示データであることを示し、他の無線データとの区別に用いる。個別番号、識別番号は図18に示したものと同様であり、警報装置であることを示す識別番号“1”が書込まれる。
【0076】
検知種類にはスイッチの設定より得られ、同図(b)に示すように、検知無し、化学剤検知状態、放射線検知状態、化学剤及び放射線検知状態の情報が書込まれる。位置データには制御器208に記録された最新の位置データが書込まれる。位置データとして、X方向成分を示すX座標と、Y方向成分を示すY座標と、高度方向を示す高度座標が書込まれる。
【0077】
次に中央局10による警報指示について説明する。汚染地域が発生すると、射撃目標位置と弾種より算出した汚染地域と、記録されている各警報装置30の位置データとを比較し、汚染地域内に存在する警報装置30を選定する。中央局10における第一の汚染地域算出による警報指示を以下に説明する。
【0078】
図25に第一の汚染地域算出による警報指示(発令)のフローを示す。中央局10において以下に示す警報指示の処理を行う。汚染地域が発生すると、ステップ2501において個別番号毎に警報装置30の最新の位置データ(Xkn,Ykn,Zkn)及び検知種類を取得する。
【0079】
ステップ2502において警報装置30に既に警報指示データ(発令)が送信済かどうか判定する。送信済であれば図26のステップ2601以降の警報指示(停止)のフローへ進む。未送信であればステップ2503以降の警報指示(発令)のフローへ進む。
【0080】
ステップ2503において汚染種類と警報装置30の検知種類が一致しているかどうかを判定する。一致していなければステップ2506に進む。汚染種類と検知種類とが一致していればステップ2504に進み、警報装置30が汚染地域内に存在するかどうかを判定する。汚染の中心座標(Xm00,Ym00,Zm00)と警報装置30の位置K(Xkn,Ykn,Zkn)の距離を算出し、その距離が汚染範囲の半径R以内であれば汚染地域内、半径R以上であれば汚染地域外であると判定する。
【0081】
汚染が拡散している場合は、同様に続けて警報装置30が汚染の拡散範囲内に存在するかどうかを判定する。この場合も拡散による汚染の中心座標(Xmpn,Ympn,Zmpn)と訓練員の位置(Xkn,Ykn,Zkn)の距離を算出し、その距離が汚染範囲の半径Dn以内であれば汚染地域内、半径Dn以上であれば汚染地域外であると判定する。
【0082】
警報装置30が汚染地域内に存在する場合は、ステップ2505に進み、該警報装置30の個別番号を付与し、発令/停止識別を発令として警報指示データ(発令)を送信する。警報装置30が汚染地域外に存在する場合は、ステップ2506に進み、全警報装置30について判定済であるかどうか調べ、判定済であれば、ステップ2507に進み警報指示の処理を終了する。全警報装置30についての判定が未済であればステップ2501に戻り、次警報装置30の判定に進む。
【0083】
図26に第一の汚染地域算出による警報指示(停止)のフローを示す。ステップ2502の判定において警報指示(発令)データが送信済であると判定されると、ステップ2601以降の警報指示(停止)フローへ進む。ステップ2601において汚染種類と警報装置30の検知種類が一致しているかどうかを判定する。一致していなければステップ2603に進み、一致していればステップ2602に進む。
【0084】
ステップ2602において警報装置30が汚染地域内に存在するかどうかを判定する。汚染の中心座標(Xm00,Ym00,Zm00)と警報装置30の位置K(Xkn,Ykn,Zkn)との距離を算出し、その距離が汚染範囲半径R以内であれば汚染地域内、半径R以上であれば汚染地域外であると判定する。
【0085】
汚染が拡散している場合は、続けて同様に警報装置30が汚染の拡散範囲内に存在するかどうかを判定する。この際も拡散による汚染の中心座標(Xmpn,Ympn,Zmpn)と訓練員の位置(Xkn,Ykn,Zkn)との距離を算出し、その距離が汚染範囲半径Dn以内であれば汚染地域内、半径Dn以上であれば汚染地域外であると判定する。
【0086】
警報装置30が汚染地域内に存在しない場合はステップ2603に進み、該警報装置30の個別番号を付与し、発令/停止識別を停止として警報指示(停止)データを送信する。警報装置30が汚染地域内に存在する場合はステップ2604に進み、全警報装置30について判定済かどうかを調べ、判定済であればステップ2507に進み警報指示の処理を終了する。全警報装置30についての判定が未済であれば、ステップ2501に戻り、次警報装置30の判定に進む。
【0087】
次に第二の汚染地域算出による警報指示について説明する。第二の汚染地域算出は、汚染地域を(X1,Y1),(X2,Y2)を通る直線l1と、(X2,Y2),(X3,Y3)を通る直線l2と、(X3,Y3),(X4,Y4)を通る直線l3と、(X4,Y4),(X1,Y1)を通る直線l4とに囲まれる範囲として与えられる。
【0088】
第二の汚染地域算出による警報指示(発令・停止)は、図25及び図26に示した第一の汚染地域算出による警報指示(発令・停止)のフローにおけるステップ2504及びステップ2602による警報装置30が汚染地域内に存在するかどうかの判定を、4直線に囲まれる範囲内かどうかで判定する。
【0089】
警報装置30の位置K(Xkn,Ykn,Zkn)が直線l1と直線l2と直線l3と直線l4に囲まれる範囲内であれば汚染地域内と判定し、範囲外であれば汚染地域外であると判定する。汚染の拡散、消滅による汚染地域の変化、警報装置30の移動を考慮して警報指示を行うために、ステップ2501からステップ2507まで及び2601から2607までの処理を15秒に1回程度行う。
【0090】
次に警報指示データについて説明する。図27に警報指示データのフォーマット例を示す。警報指示データには同図(a)に示すようにデータ識別、個別番号、発令/停止識別、発令/停止時刻を含む。データ識別はデータ内容が警報指示データである事を示し、他の無線データとの区別に用いる。
【0091】
個別番号は警報指示を行う警報装置30の個別番号を示し、個別番号設定器204により設定した番号に対応する警報装置30のみに対して警報指示が有効となる。発令/停止識別は同図(b)に示すように警報の指示内容を示す。発令/停止時刻は警報の発令又は停止時刻を示し、例えば、図22に示したように日時分秒で定義する。
【0092】
次に図28に警報装置30の警報発令及び停止の動作フローを示す。警報装置30はステップ2801において警報指示データを受信すると、ステップ2802以降の警報発令又は停止の処理を行う。ステップ2802において警報指示データに含まれる発令/停止識別より、警報発令指示か停止指示かを判定する。警報発令の指示であればステップ2803以降の警報発令の処理へ進む。警報停止の指示であればステップ2806以降の警報停止の処理へ進む。
【0093】
警報発令指示の場合、ステップ2803において警報指示データに含まれる発令/停止時刻より警報発令時刻を得る。次にステップ2804において発令時刻になるまで待機した後、ステップ2805において警報装置30の検知種類に応じた警報の発令を行う。例えば、化学剤を検知した時はブザー音と黄色発光ダイオードなどによる警報表示を行う。放射線を検知した時はブザー音と赤色発光ダイオードなどによる警報表示を行う。
【0094】
警報停止指示の場合、ステップ2806において警報指示データに含まれる発令/停止時刻より警報停止時刻を得る。次にステップ2807においてリセット動作有りかどうかを判定する。リセット動作が有った時点でステップ2808により警報を停止する。
【0095】
ステップ2809において再検知までの警報装置30のクリーニング時間を模擬するために90秒待機した後、ステップ2810においてその時点での時刻が停止時刻より後かを判定する。後であればステップ2812において警報停止の処理を終了する。前であればステップ2811により再び警報を発令し、ステップ2807のリセット動作有無の判定に戻る。
【0096】
次に気象測定装置40について具体的に説明する。図4に示した気象測定装置40の位置標定器201、無線送受信機202、識別番号設定器203、個別番号設定器204、制御器208は、訓練員用無線機20のものと同様のものを用いることができる。風向・風速計401にはデジタルデータにより風速・風向情報を出力する一般の計測器を使用することができる。風向・風速情報は制御器208に記録される。
【0097】
次に気象データについて説明する。気象測定装置40は、定期的に気象データを送信する。中央局10は気象測定装置40から送信された気象データを受信し、識別番号及び個別番号を基に各気象測定装置40の位置データ及び風向・風速情報を記録する。
【0098】
図29に気象データのフォーマット例を示す。気象データには同図(a)に示すようにデータ識別、個別番号、識別番号、風向情報、風速情報、位置データを含む。データ識別はデータ内容が気象データである事を示し、他の無線データとの区別に用いる。個別番号は気象測定装置40毎の区別を示し、個別番号設定器204にて設定した番号が書込まれる。識別番号は装置が気象測定装置40であることを示し、識別番号設置器で設定した番号が書込まれる。
【0099】
風向情報、風速情報には風向・風速計より得られる情報が書込まれる。風向情報は、同図(b)に示すように方位0〜359[°]まで1[°]毎に規定する。風速情報は同図(c)に示すように風速[m/s]を1[m/s]単位で規定する。位置データには制御器208に記録された最新の位置データが書込まれる。位置データとして、X方向成分を示すX座標と、Y方向成分を示すY座標と、高度方向を示す高度座標が書き込まれる。
【0100】
次に中央局10における汚染の拡散範囲算出について説明する。先ず、前述の第一の汚染地域算出を用いた場合の第一の汚染拡散範囲算出について説明する。第一の汚染拡散範囲算出は、汚染地域発生時に算出された汚染地域が、中心座標(Xm,Ym,Zm)から半径Rの球内として与えられる。
【0101】
図30及び図31に第一の汚染拡散範囲算出のフローを示す。中央局10は以下に示す汚染拡散範囲算出の処理を行う。汚染地域発生時に図14のステップ1401〜1407による汚染範囲算出処理の終了後、ステップ3001において一定時間Ts待機する。この待機時間Tsは拡散範囲算出の周期とし、任意に設定可能とする。次にステップ3002において汚染地域内に存在する気象測定装置40を選定する。ステップ3003において該気象測定装置40より最新の風向・風速情報を得る。
【0102】
次にステップ3004においてその風向・風速情報を基に、汚染地域の拡散距離Dnを算出する。拡散距離Dnは風速Vwと拡散範囲算出周期Tsとから、
Dn=Vw×Ts
の式によって算出する。次にステップ3005において拡散距離Dn及び風向Θより新たな汚染地域の中心Pp+1n+1の座標を算出する。算出式は図31のステップ3005に示す。
【0103】
次ステップ3006において、拡散距離Dnと新たな汚染地域の中心Pp+1n+1の座標より、新たな汚染地域を算出する。算出式は図31のステップ3006に示すとおりである。ステップ3007において、全ての汚染地域の中心座標について算出済かどうかを判定し、算出済であればステップ3001に進む。未算出であればステップ3004に進み、次の汚染拡散範囲の算出を行う。このように、周期Ts毎に汚染拡散範囲を算出する。
【0104】
次に図32に第一の汚染拡散範囲算出による汚染拡散範囲の様子を示す。ここで一定周期Ts毎に汚染拡散範囲の算出を行うこととし、同図に示すように汚染地域の中心座標に対して、拡散距離Dnと新たな汚染地域の中心Pp+1n+1の座標を求めて、汚染の拡散範囲を算出する。汚染地域の各中心座標に対してそれぞれ新たな汚染範囲を算出する。このため、3回目(t+3Ts時)の算出では、同図(c)に示すように8つの球で囲まれる範囲が汚染地域となる。汚染地域は汚染発生から汚染有効時間T後に一斉に消滅することとする。
【0105】
次に第二の汚染地域算出を用いた場合の第二の汚染拡散範囲算出について説明する。第二の汚染拡散範囲算出は、汚染地域発生時に算出された汚染地域が、(X1,Y1),(X2,Y2)を通る直線l1と、(X2,Y2),(X3,Y3)を通る直線l2と、(X3,Y3),(X4,Y4)を通る直線l3と、(X4,Y4),(X1,Y1)を通る直線l4とに囲まれる範囲として与えられる。
【0106】
図33及び図34に第二の汚染拡散範囲算出のフローを示す。中央局10は以下に示す汚染拡散範囲算出の処理を行う。なお、同図においてステップ1401〜1407及びステップ3001〜3004の処理は、それぞれ図14及び図30の同一符号を付した処理フローと同様である。ステップ3004において風向・風速情報を基に汚染地域の拡散距離Dnを算出した後、ステップ3301において拡散距離Dnを風向ΘよりX成分とY成分とに分解する(算出式については図34のステップ3301参照)。
【0107】
次にステップ3302において、拡散距離DnのX成分とY成分の符号より、直線l1〜l4のうちどの2直線を平行移動するかを決定する(決定方法については図34のステップ3302参照)。次にステップ3303において、ステップ3302で決定した2直線を平行移動し、平行移動した2直線を含む4直線に囲まれる範囲を汚染地域とする。該算出が終了するとステップ3001に戻る。このように、周期Ts毎に汚染拡散範囲を算出する。
【0108】
図35に第二の汚染拡散範囲算出による汚染拡散範囲の様子を示す。同図(a)に汚染発生時の範囲を示し、周期Ts後の汚染拡散範囲を同図(b)に示している。風向に応じて該当する2直線を平行移動し、平行移動した2直線を含む4直線に囲まれる範囲を汚染地域とする。平行移動する量は、風速と汚染拡散範囲の算出を行う周期Tsにより決定する。
【0109】
次に車両用無線機50機能の具体的構成について説明する。図5に示した車両用無線機50の位置標定器201、無線送受信機202、識別番号設定器203、個別番号設定器204、制御器208は、訓練員用無線機20のものと同様のものを用いることができる。車両用無線機50は空気浄化装置とのインターフェース501を有し、空気浄化装置のスイッチが入ったときに電気信号により空気浄化装置作動有りの信号が入力される。
【0110】
次に車両データについて説明する。車両用無線機50は、定期的に車両データを送信する。中央局10は車両用無線機50から送信された車両データを受信し、識別番号と個別番号を基に、各車両用無線機50の位置データ及び空気浄化装置作動の有無を記録する。図36に車両データのフォーマット例を示す。車両データにはデータ識別、個別番号、識別番号、空気浄化装置の状態、位置データを含む。
【0111】
データ識別はデータ内容が車両データであることを示し、他の無線データとの区別に用いる。個別番号は車両用無線機50毎の区別を示し、個別番号設定器204にて設定した番号が書き込まれる。識別番号は機材が車両用無線機50であることを示し、識別番号設置器で設定した番号が書き込まれる。空気浄化装置の状態には、同図の(b)に示す空気浄化装置作動の有無が書き込まれる。位置データには制御器208に記録された最新の位置データが書き込まれる。位置データとして、X方向成分を示すX座標、Y方向成分を示すY座標、高度方向を示す高度座標が書き込まれる。
【0112】
次に中央局10による車両内外の判定について説明する。中央局10は車両用無線機50から送信された車両データを受信し、識別番号と個別番号を基に、各車両用無線機50の位置データ及び空気浄化装置作動の有無を記録する。同時に、訓練員用無線機20から送信された訓練員データを受信し、識別番号と個別番号を基に、各訓練員の位置データを記録する。
【0113】
図37、図38に中央局10による車両内外判定のフローを示す。中央局10は以下に示す車両内外判定の処理を行う。ステップ3701において、個別番号毎に車両及びテント等の最新の位置データC(Xcn,Ycn,Xcn)と空気浄化装置作動の有無を得る。ステップ3702において空気浄化装置作動有りの車両又はテント等が有るかを判定する。空気浄化装置作動有りの車両又はテント等が有ればステップ3703に進む。空気浄化装置作動有りの車両又はテント等が無ければ図38のステップ3806に進む。
【0114】
ステップ3703において訓練員の最新の位置データJ(Xjn,Yjn,Zjn)を得る。ステップ3704において該訓練員の最新の位置データが有るかを判定する。位置データが有ればステップ3705に進み、車両の位置Cと訓練員の位置Jとの距離を算出し、その距離が予め設定した基準値Dcjより小さければ訓練員は車両又はテント内とし、大きければ車両又はテント外と判定する。
【0115】
車両又はテント外と判定された場合は、図38のステップ3803に進み、ステップ3803において該訓練員が車両又はテント内と記録されていればその状態を解除する。車両又はテント内と判定された場合は、図38のステップ3802に進み、該訓練員が車両又はテント内にいることを記録する。
【0116】
ステップ3704の判定において最新の位置データが無ければステップ3706に進む。これは、訓練員用無線機20の位置標定器201としてGPS受信器を使用した場合、車両内又はテント内に入った際に、衛星からの電波を受信することができなくなるため位置標定が行えなくなることに対応するものである。
【0117】
ステップ3706において該訓練員の最後に更新された際の位置データJo(Xjo,Yjo,Zjo)とその時刻Toを得る。これは、訓練員用無線機20の位置標定器201が最後に位置標定を行った際の位置データである。同様に時刻Toにおける車両又はテントの位置Co(Xco,Yco,Zco)を得、図38のステップ3801に進む。
【0118】
図38のステップ3801においてその位置Coと訓練員の位置Joとの距離を算出し訓練員が車両又はテント内に居るかどうかを判定する。該距離が予め設定した基準値Dcjより小さければ訓練員は車両又はテント内とし、大きければ車両又はテント外と判定する。車両又はテント外と判定された場合は、ステップ3803に進み、ステップ3803において該訓練員が車両又はテント内と記録されていればその状態を解除する。車両又はテント内と判定された場合はステップ3802に進み、該訓練員が車両又はテント内に居ることを記録する。
【0119】
次にステップ3804に進み、全ての訓練員について判定済であるかどうかを調べ、判定済であればステップ3805に進む。全訓練員について判定が未済であれば図37のステップ3703に進み、次の訓練員の判定に移る。ステップ3805において、全ての車両及びテントについて判定済であるかどうかを調べ、判定済みであればステップ3806に進み車両内外の判定を終了する。
【0120】
全車両又はテントについての判定が未済であれば図37のステップ3701に進み、次の車両又はテントの判定に移る。空気浄化装置作動有りの車両又はテント内にいる訓練員については、その位置が汚染地域内であっても、損耗の指示を行わない。この処理は図19のステップ1903にて行う。
【0121】
次に汚染種類検知装置60について具体的に説明する。図6に示した汚染種類検知装置60の検知動作確認器601はレバー部とそのレバーを引くことで押下される押しボタン部とから成る。レバー部を引くことで押しボタンが押下され、所定の検知動作が行われたことを確認する。表示器602は数種類の発光ダイオードからなる。中央局10からの汚染種類指示データに含まれる汚染種類に応じて、発光ダイオードの発光色を変える。時計210から得られる時刻情報と汚染種類指示データに含まれる表示時刻とを参照して汚染種類の表示を行う。
【0122】
図39に汚染種類検知装置60による汚染種類表示のフローを示す。汚染種類検知装置60は以下に示す汚染種類表示の処理を行う。ステップ3901において検知動作を確認すると、ステップ3902以降の処理へ進む。ステップ3902において汚染指示要求データを送信する。ステップ3903において汚染種類指示データを受信すると、ステップ3904以降の処理へ進む。ステップ3904において汚染種類指示データより表示時刻を得る。ステップ3905において表示時刻まで待機した後、ステップ3906において汚染種類指示データより汚染種類を得、ステップ3907において汚染種類に応じた表示を行う。
【0123】
次に中央局10による汚染種類指示について説明する。先ず、中央局10における第一の汚染地域算出による第一の汚染種類指示について説明する。第一の汚染地域算出は、汚染地域が中心座標(Xm,Ym,Zm)から半径Rの球内として与える。図40に第一の汚染種類指示のフローを示す。中央局10は以下に示す汚染種類指示の処理を行う。
【0124】
ステップ4001において汚染指示要求データを受信すると、ステップ4002以降の処理へ進む。ステップ4002において汚染指示要求データより、汚染種類検知装置60の位置データS(Xs,Ys,Zs)を得る。以降のステップ4003からステップ4004は複数の汚染種類が存在する場合、それぞれの汚染種類について行う。
【0125】
ステップ4003において、汚染種類検知装置60が汚染地域内にあるかどうかを判定する。汚染の中心座標(Xm00,Ym00,Zm00)と汚染種類検知装置60の位置S (Xs,Ys,Zs)との距離を算出し、その距離が汚染範囲半径R以内であれば汚染地域内、半径R以上であれば汚染地域外であると判定する。
【0126】
汚染の拡散範囲が存在する場合は、続けて、汚染種類検知装置60が汚染の拡散範囲内に在るかどうかを判定する。この際も拡散による汚染の中心座標(Xmpn,Ympn,Zm00)と汚染種類検知装置60の位置S(Xs,Ys,Zs)との距離を算出し、その距離が汚染範囲半径Dn以内であれば汚染地域内、Dn以上であれば汚染地域外であると判定する。
【0127】
汚染種類検知装置60が汚染地域内に在る場合は、ステップ4004に進み、対応する汚染種類と該汚染種類検知装置60の個別番号を付与して汚染種類指示データを送信する。汚染種類検知装置60が汚染地域外に在る場合はステップ4005に進み、全汚染種類について判定済かどうかを調べ、判定済であればステップ4006に進み汚染種類指示の処理を終了する。全汚染種類についての判定が未済であればステップ4003に戻り、次の汚染種類の判定に進む。
【0128】
次に中央局10における第二の汚染地域算出による第二の汚染種類指示について説明する。この第二の汚染地域算出は、汚染地域が(X1,Y1),(X2,Y2)を通る直線l1と、(X2,Y2),(X3,Y3)を通る直線l2と、(X3,Y3),(X4,Y4)を通る直線l3と、(X4,Y4),(X1,Y1)を通る直線l4とに囲まれる範囲として与える。
【0129】
第二の汚染種類指示においては、図40のステップ4003における汚染種類検知装置60が汚染地域内にあるかの判定を、4直線に囲まれる範囲内かで判定する。汚染種類検知装置60の位置S(Xsn,Ysn,Zsn)が直線l1と直線l2と直線l3と直線l4とに囲まれる範囲内であれば汚染地域内と判定し、範囲外であれば汚染地域外であると判定する。その他は第一の汚染種類指示のフローと同様である。
【0130】
次に汚染指示要求データについて説明する。汚染種類検知装置60は、検知動作確認器601により検知動作を確認すると、汚染指示要求データを送信する。中央局10は汚染種類検知装置60から送信された汚染指示要求データを受信すると、汚染種類指示の処理に移る。図41(a)に汚染指示要求データのフォーマット例を示す。汚染指示要求データにはデータ識別、個別番号、識別番号、位置データを含む。データ識別はデータ内容が汚染指示要求データであることを示し、他の無線データとの区別に用いる。個別番号は汚染種類検知装置60毎の区別を示し、個別番号設定器204にて設定した番号が書き込まれる。識別番号は該装置が汚染種類検知装置60であることを示し、識別番号設置器で設定した番号が図18(b)に示すコードにより書き込まれる。位置データには制御器に記録された最新の位置データが書き込まれる。位置データとして、X方向成分を示すX座標と、Y方向成分を示すY座標と、高度方向を示す高度座標が書き込まれる。
【0131】
次に汚染種類指示データについて説明する。図41(b)に汚染種類指示データのフォーマット例を示す。汚染種類指示データにはデータ識別、個別番号、汚染種類、表示時刻を含む。データ識別はデータ内容が汚染種類指示データである事を示し、他の無線データとの区別に用いる。個別番号は汚染種類指示を行いたい汚染種類検知装置60の個別番号を示し、個別番号設定器204にて設定した番号に対応する汚染種類検知装置60のみに汚染種類指示が有効となる。汚染種類は模擬的な汚染の種類を図21(b)に示すコードにより示す。汚染種類検知装置60はこのデータに応じて汚染種類の表示を行う。表示時刻は警報の発令又は停止時刻を示す。例えば、表示時刻は日時分秒で図22に示すフォーマットにより定義する。
【0132】
次に除染車用無線機70について具体的に説明する。図7に示す除染車用無線機70の除染行動判定器701はスイッチを有し、そのスイッチの設定により除染行動の有無を判定する。スイッチの設定値には、除染行動有りと、除染行動無しの2種類があり、除染行動に従事する訓練員が実際の行動に合わせて設定する。
【0133】
除染車用無線機70は、定期的に除染車データを送信する。中央局10は除染車用無線機70から送信された除染車データを受信し、識別番号と個別番号を基に、各除染車用無線機70の位置データと、除染行動の有無を記録する。図42に除染車データのフォーマット例を示す。除染車データにはデータ識別、個別番号、識別番号、除染行動の有無、位置データを含む。データ識別はデータ内容が除染車データであることを示し、他の無線データとの区別に用いる。個別番号は除染車用無線機70毎の区別を示し、個別番号設定器204にて設定した番号が入る。識別番号は機材が除染車用無線機70であることを図18(b)のコードにより示し、識別番号設置器で設定した番号が書込まれる。除染行動の有無には、除染行動の有り無しが図42(b)に示すコードにより書込まれる。位置データには制御器に記録された最新の位置データが書込まれる。位置データとして、X方向成分を示すX座標と、Y方向成分を示すY座標と、高度方向を示す高度座標が書込まれる。
【0134】
次に中央局10における汚染解除地域算出について説明する。図43に中央局10における汚染解除地域算出のフローを示す。中央局10は以下に示す汚染解除地域算出の処理を行う。ステップ4301において除染行動有りの除染車があった場合、ステップ4302以降の汚染解除地域算出の処理に進む。ステップ4302において除染行動有りの除染車の位置データEn(Xn,Yn)を得る。ステップ4303において除染車の移動軌跡を求めるために、一定時間Te待機する。待機時間Teは、移動軌跡をどの程度正確に求めるかに応じて予め設定して置く。Teを長く設定すると、汚染解除地域の算出精度は荒くなり、短く設定すると、細かくなる。
【0135】
除染車の除染中の移動速度を考慮して、待機時間Teを決定する必要がある。ステップ4304において引き続き該除染車の除染行動有りかを判定する。除染行動無であれば、ステップ4301に戻り汚染解除地域の算出は行わない。除染行動有りの場合はステップ4305に進み、その時点での除染車の位置データEn+1(Xn+1,Yn+1)を得る。ステップ4306において2点E,Enを結ぶ直線ELを求める。ステップ4307において一定時間Tr後に直線ELから距離Deの範囲を汚染解除地域とする。Trは汚染種類に応じて予め設定しておく。
【0136】
図44に汚染解除地域を参照した損耗判定のフローを示す。図19又は図20の第一又は第二の汚染地域算出による損耗判定のステップ1904において、汚染解除地域有りと判定された際は、図44のステップ4401に進む。ステップ4401において該訓練員の位置Jn(Xjn,Yjn)と除染車の移動軌跡ELnとの距離が汚染解除範囲De以内であれば、訓練員は汚染解除地域内に居るとし、図19又は図20のステップ1906に進む。訓練員の位置Jnと除染車の移動軌跡ELnとが汚染解除範囲De以上離れていれば、訓練員は汚染解除地域外として、図19又は図20のステップ1905に進む。除染車の移動軌跡が複数ある場合は、その移動軌跡毎に判定を行う。
【0137】
(付記1)各訓練員が携行する訓練員用無線機と、該訓練員用無線機からその位置データを受信し、訓練員の損耗判定を行い、損耗指示データ送信する中央局とを備えた模擬訓練システムにおいて、前記中央局は、模擬的な有害汚染攻撃の射撃目標位置及び弾種を基に汚染地域を算出する手段と、該汚染地域に存在する警報装置を選出し、該警報装置に対して警報発令を指示する手段と、該汚染地域に存在する訓練員用無線機を選出し、該訓練員用無線機に損耗指示データを送信する手段を有し、前記訓練員用無線機は、防護マスク装着の有無を判断し、前記損耗指示データを受信したときに防護マスク装着の有無に応じて損耗判定を行い、該損耗及び汚染種類を表示する手段を有することを特徴とする有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
(付記2)前記中央局は、汚染地域における汚染種類、風向及び風速データを取得し、該データを基に、汚染発生から所定時間経過毎の汚染拡散範囲を算出する手段を有し、該汚染拡散範囲を前記汚染地域とすることを特徴とする付記1記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
(付記3)空気浄化装置を具備した車両、テント又は建造物の位置データを取得する手段と、該車両、テント又は建造物の位置データを基に、該車両、テント又は建造物内に存在する訓練員用無線機を選出する手段と、該車両、テント又は建造物の空気浄化装置作動の有無を確認する手段を備え、該空気浄化装置の作動している車両、テント又は建造物内に存在する該訓練員用無線機に対しては、汚染地域内であっても損耗指示データ送信しないことを特徴とする付記1又は2記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
(付記4)汚染を除去する除染車を備え、前記中央局は、除染行動中の除染車の位置データを基に、除染車が移動した範囲を汚染解除地域として算出する手段を有し、該汚染解除地域内に存在する訓練員用無線機に対して損耗指示データ送信しないことを特徴とする付記1、2又は3記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
(付記5)訓練員が携行する汚染種類検知装置を備え、前記中央局は、該汚染種類検知装置からその位置データを受信し、その位置が汚染地域内に存在するかどうか判定し、汚染地域内に存在する汚染種類検知装置に対して汚染種類表示を指示する手段を有することを特徴とする付記1乃至4の何れかに記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
(付記6)訓練員用無線機に対する前記損耗指示データには、汚染種類、損耗時刻の情報を含み、該訓練員用無線機は該損耗時刻に損耗判定を行い、汚染種類毎に異なる表示を行う手段を備えたことを特徴とする付記1乃至5の何れかに記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
(付記7)前記警報装置は、位置標定機能、データ送受信機能、検知種類の切替機能を有し、該位置データ、検知種類情報を中央局に送信する手段と、中央局から受信した警報指示のデータに含まれる警報発令時刻又は警報停止時刻に応じて警報の発令及び停止を行う手段と、警報停止の指示を受けたときにリセット動作が行われたことを判定して警報の停止を行う手段とを備えたことを特徴とする付記1乃至6の何れかに記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
(付記8)位置標定機能、データ送受信機能、風向・風速測定機能を有する気象測定装置を備え、前記中央局は該気象測定装置から送信される位置データ及び風向・風速データを基に汚染拡散範囲を算出することを特徴とする付記2乃至7の何れかに記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
(付記9)模擬的な空気浄化装置作を具備した車両、テント又は建造物内に設置され、位置標定機能、データ送受信機能、空気浄化装置作動の有無を判定する機能を有する無線機を備え、該無線機は位置データ及び空気浄化装置作動の有無を中央局に送信することを特徴とする付記3乃至8の何れかに記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
(付記10)位置標定機能、データ送受信機能、除染行動の有無を判定する機能を有する除染車用無線機を備え、該除染車用無線機から位置データ及び除染行動の有無を中央局に送信することを特徴とする付記4乃至9の何れかに記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
(付記11)前記汚染種類検知装置は、前記中央局からの表示指示のデータに含まれる汚染種類及び表示時刻を受信し、該表示時刻に汚染種類毎に異なる表示を行う手段を備えたことを特徴とする付記5乃至10の何れかに記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
【0138】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、模擬的な有害汚染攻撃の射撃目標位置及び弾種を基に汚染地域を算出し、該汚染地域に存在する警報装置を選出して警報発令を指示し、また、該汚染地域に存在する訓練員用無線機を選出し、該訓練員用無線機に損耗指示データを送信し、該訓練員用無線機は、防護マスク装着の有無を判断して防護マスク装着の有無に応じて損耗判定を行うことにより、補助員の介入無しに、汚染地域の発生及び拡散、警報の発令、防護マスク装着等の防護処置を反映したより実践的な防護訓練を行うことが可能となる。
【0139】
また、汚染地域発生時に警報の発令を行う警報装置について、中央局で算出した模擬的な汚染地域に応じて、中央局からの指示により警報の発令及び停止を行うことができ、その際、警報装置の検知状態に応じた警報の発令が可能である。
【0140】
また、訓練地域に気象測定装置を設置することにより、汚染地域が発生した際の現地の気象条件を含めて、汚染拡散範囲の模擬計算を行うことが可能である。また、訓練員が空気浄化装置作動中の車両又はテント等の建造物内に居ることを中央局10において判定し、記録することにより、空気浄化装置を使用した防護処置を含めた訓練員の損耗判定を行うことが可能である。
【0141】
また、汚染種類検知装置により模擬的な汚染の種類を特定し、汚染種類に対応した除染行動の訓練を行うことが可能である。また、除染車用無線機を使用することにより、除染行動を模擬的な汚染地域の解除に反映させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の模擬訓練システムの全体を示す図である。
【図2】訓練員用無線機の構成を示す図である。
【図3】警報装置の構成を示す図である。
【図4】気象測定装置の構成を示す図である。
【図5】車両用無線機の構成を示す図である。
【図6】汚染種類検知装置の構成を示す図である。
【図7】除染車用無線機の構成を示す図である。
【図8】中央局と警報装置との間のデータ伝送シーケンスを示す図である。
【図9】中央局と警報装置との間のデータ伝送シーケンスを示す図である。
【図10】中央局と訓練員用無線機、気象測定装置、車両用無線機間のデータ伝送シーケンスを示す図である。
【図11】汚染発生の場合の中央局と訓練員用無線機とのデータ伝送シーケンスを示す図である。
【図12】中央局と汚染種類検知装置間のデータ伝送シーケンスを示す図である。
【図13】中央局と除染車用無線機間のデータ伝送シーケンスを示す図である。
【図14】第一の汚染地域算出フローを示す図である。
【図15】汚染有効時間・汚染範囲テーブルを示す図である。
【図16】第二の汚染地域算出のフローを示す図である。
【図17】第二の汚染地域算出による汚染地域を示す図である。
【図18】訓練員データのフォーマット例を示す図である。
【図19】第一の汚染地域算出による損耗判定のフローを示す図である。
【図20】第二の汚染地域算出による損耗判定のフローを示す図である。
【図21】損耗指示データのフォーマット例を示す図である。
【図22】損耗指示データのフォーマット例を示す図である。
【図23】訓練員用無線機20の損耗判定フローを示す図である。
【図24】警報装置データのフォーマット例を示す図である。
【図25】第一の汚染地域算出による警報指示(発令)のフローを示す図である。
【図26】第一の汚染地域算出による警報指示(停止)のフローを示す図である。
【図27】警報指示データのフォーマット例を示す図である。
【図28】警報装置30の警報発令及び停止の動作フローを示す図である。
【図29】気象データのフォーマット例を示す図である。
【図30】第一の汚染拡散範囲算出のフローを示す図である。
【図31】第一の汚染拡散範囲算出のフローを示す図である。
【図32】第一の汚染拡散範囲算出による汚染拡散範囲の様子を示す図である。
【図33】第二の汚染拡散範囲算出のフローを示す図である。
【図34】第二の汚染拡散範囲算出のフローを示す図である。
【図35】第二の汚染拡散範囲算出による汚染拡散範囲の様子を示す図である。
【図36】車両データのフォーマット例を示す図である。
【図37】中央局による車両内外判定のフローを示す図である。
【図38】中央局による車両内外判定のフローを示す図である。
【図39】汚染種類検知装置による汚染種類表示のフローを示す図である。
【図40】第一の汚染種類指示のフローを示す図である。
【図41】汚染指示要求データのフォーマット例及び汚染種類指示データのフォーマット例を示す図である。
【図42】除染車データのフォーマット例を示す図である。
【図43】中央局における汚染解除地域算出のフローを示す図である。
【図44】汚染解除地域を参照した損耗判定のフローを示す図である。
【図45】従来の模擬訓練システムの全体を示す図である。
【図46】従来の訓練員用無線機の構成を示す図である。
【図47】従来の補助員用無線機の構成を示す図である。
【図48】従来の模擬訓練システムにおけるデータ送受のシーケンスを示す図である。
【図49】従来の模擬訓練システムにおけるデータ送受のシーケンスを示す図である。
【符号の説明】
10 中央局
20A 攻撃側訓練員用無線機
20B 防御側訓練員用無線機
30 警報装置
40 気象測定装置
50 車両用無線機
60 汚染種類検知装置
70 除染車用無線機
Claims (5)
- 各訓練員が携行する訓練員用無線機と、該訓練員用無線機からその位置データを受信し、訓練員の損耗判定を行い、損耗指示データ送信する中央局とを備えた模擬訓練システムにおいて、
前記中央局は、模擬的な有害汚染攻撃の射撃目標位置及び弾種を基に汚染地域を算出する手段と、該汚染地域に存在する警報装置を選出し、該警報装置に対して警報発令を指示する手段と、該汚染地域に存在する訓練員用無線機を選出し、該訓練員用無線機に損耗指示データを送信する手段を有し、
前記訓練員用無線機は、防護マスク装着の有無を判断し、前記損耗指示データを受信したときに防護マスク装着の有無に応じて損耗判定を行い、該損耗及び汚染種類を表示する手段を有することを特徴とする有害汚染発生に対する模擬訓練システム。 - 前記中央局は、汚染地域における汚染種類、風向及び風速データを取得し、該データを基に、汚染発生から所定時間経過毎の汚染拡散範囲を算出する手段を有し、該汚染拡散範囲を前記汚染地域とすることを特徴とする請求項1記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
- 空気浄化装置を具備した車両、テント又は建造物の位置データを取得する手段と、該車両、テント又は建造物の位置データを基に、該車両、テント又は建造物内に存在する訓練員用無線機を選出する手段と、該車両、テント又は建造物の空気浄化装置作動の有無を確認する手段を備え、該空気浄化装置の作動している車両、テント又は建造物内に存在する該訓練員用無線機に対しては、汚染地域内であっても損耗指示データ送信しないことを特徴とする請求項1又は2記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
- 汚染を除去する除染車を備え、前記中央局は、除染行動中の除染車の位置データを基に、除染車が移動した範囲を汚染解除地域として算出する手段を有し、該汚染解除地域内に存在する訓練員用無線機に対して損耗指示データ送信しないことを特徴とする請求項1、2又は3記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
- 訓練員が携行する汚染種類検知装置を備え、前記中央局は、該汚染種類検知装置からその位置データを受信し、その位置が汚染地域内に存在するかどうか判定し、汚染地域内に存在する汚染種類検知装置に対して汚染種類表示を指示する手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の有害汚染発生に対する模擬訓練システム。
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