JP3902514B2 - 二段床のロック機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,昇降床を所定の位置に,固定,支持するためのロック装置に関し,特に荷箱内で昇降可能な二段床を,所定の位置に,固定,支持するためのロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の荷物を運搬するために,トラックなどの車両が利用されるが,このようなトラックは荷物を搬入,搬出する荷箱を有している。
【0003】
荷物は一般に種々の大きさ,重量を有しているが,荷箱内を有効に使用するために,さらには荷物の搬入,搬出を容易にするために,荷箱内にもう一つの床を設け,これを二段床として,ワイヤーなどで吊り下げ,昇降可能としている。
【0004】
この二段床を荷箱に設けた車両の斜示図が図1に示されている。図示の車両1の荷箱2は,その両側がウイング式に開閉でき,後方が観音扉式に開閉できる。
【0005】
荷箱2は,四隅にフレーム3を有し,これがウイング式扉,観音扉を取り付けるための骨格となる。
【0006】
この荷箱2の四隅には,さらに,案内枠材4が設けられ,その案内枠材4内で昇降可能なスライドブロック6(図2を参照)を介して二段床5が設けられている。そして,このスライドブロックに連結されたワイヤーを巻き上げ,または巻き戻すことで,スライドブロックと共に二段床も昇降する。
【0007】
図2,図3に示されているように,二段床5を所定の位置で,固定,支持するために,従来からロック機構50が設置されている。ロック機構50は,案内枠材4に隣接,またはその近傍に配置される。ロック機構50を構成するフレーム51が案内枠材4に連結され,その上下に設けられた取り付け部材52,53の間にパイプ54が固定され,そのパイプ上の所定の位置で,回転自在に取り付けられた支持片55が取り付けられている。支持片55は通常,二段床5が固定,支持すべく位置に複数個(図3では二個)配置されている。支持片55の先端には上向きに支持ピン56が取り付けられている。
【0008】
支持片55は,図2に示されているように,通常は,二段床5と荷台の側壁との間に位置しているが,二段床5を所定の位置に,固定,支持するときは,支持片55を荷台内側へと回転させ(図3),その上に二段床5が配置される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし,従来のロック機構は,案内枠材に隣接して設けられ,そして支持片が二段床の昇降を邪魔しないように,二段床と荷台の側壁との間に位置しているため,たとえば,図1のようなウイング式の屋根のばあい,側方開口部を狭くし,荷物の搬入,搬出を邪魔することになる。
【0010】
また,支持片は,回転自在ではあるが,ロック機構のパイプの所定の位置に固定されているために,任意の位置に二段床を,固定,支持できない。もちろん,支持片の数を多くすることにより,任意の位置近くでの固定,支持は可能になるが,上記したように,荷物の搬入,搬出の邪魔になる。
【0011】
さらに,従来のロック機構は,支持片を回転するための機構も必要となっているが,これの構成のための要素も必要となり,さらに,もし回転機構が故障すると,二段床を固定,支持できなくなる。
【0012】
そこで,本発明は,かかる課題を解決するためになされたものであり,昇降床を任意の位置に固定,支持できるロック装置を提供することを目的とする。
【0013】
本発明の他の目的は,ロック操作が容易に行えるロック装置を提供することである。
【0014】
さらに,本発明の目的は,ロック装置を,たとえば車両の荷箱に適用したとき,荷箱の空間を狭することのないロック装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の,昇降床を所定の位置に固定,支持するロック装置は,昇降床の側面に隣接して配置される枠材と,昇降床を所定の位置に配置するための,枠材に取り付けられるストッパ部とを含む。
【0016】
ここで,ストッパ部は,背面部と,該背面部の上端から水平に伸びる頂部と,背面部の下端から頂部にそって伸びる底部とを含み,背面部は,少なくとも片側から突き出る突き出し部を有する。枠材は,枠材背面壁と,間にストッパ部の頂部および底部を配置できる両側壁と,該側壁の先端から突き出し部と接触可能な張り出し部とを有する。所定の位置に,昇降床を下から支えるために,枠材背面壁には,ストッパ部の頂部および底部の先端部のそれぞれを挿入できる穴部が形成され,張り出し部に,ストッパ部の突き出し部を下から支持するストップ片が固定される。
【0017】
枠材背面壁の穴部は貫通穴で,ストッパ部の頂部および底部の先端が下方に曲がっていることが望ましい。さらに,ストッパ部の頂部と底部との間に補助片が設けられることが望ましい。
【0018】
ストッパ部の突き出し部は好適に,ストッパ部の背面部の両側から突き出ている。このとき,ストップ片は両方の突き出し部を下から支持するために,二つが一組になって,枠材の両側壁の張り出し部にそれぞれ設けられる。
【0019】
ストッパ部の頂部および底部の先端が,枠材背面壁の貫通穴挿入されたとき,頂部および底部の,曲がった先端と枠材背面壁の背面との間に位置する補助突起部が枠材の背面に設けられることが望ましい。
【0020】
本発明のロック装置は,二段床が昇降移動可能に収納される荷箱であって,二段床を昇降移動に案内する複数の案内枠材と,二段床固定され,案内枠材内で移動可能なスライドブロックと,二段床を昇降するために,スライドブロックに連結される駆動機構とを有する,荷箱に適用できる。
【0021】
ロック装置を構成する枠材は案内枠材を兼ねてもよく,(こときは,スライドブロックがロック装置を構成する枠材内で移動可能となる),また併置されてもよい。
【0022】
【発明の実施の態様】
図4に本発明のロック装置の拡大斜視図が,図5が本発明のロック装置を構成するストッパ部の斜視図が,図6が本発明のロック装置を構成する枠材の斜視図が示されている。
【0023】
図5(A)はストッパ部の背面からの斜視図,図5(B)はストッパ部の正面からの斜視図を示す。図5に示されているように,ストッパ部20は全体として矩形形状をもつが,その背面部21と,その上端から水平に伸びる頂部22と,さらに,背面部21の下端から,頂部22にそって伸びる底部23を有する。背面部21の両側から,それぞれ突き出る突き出し部24および25を有する。頂部22および底部23のそれぞれの先端は下方に湾曲している。さらに,頂部22と底部23との間に,二枚の補助片26および27が固着されている。この補助片は,ストッパ部20の剛性を高めるだけではなく,以下で説明するように,ストッパ部が緩むことなく確実に枠材に取り付けられるようにするが,本発明において,必須の要件ではない。
【0024】
図6(A)は枠材の正面からの斜視図,図6(B)は枠材の背面からの斜視図を示す。
【0025】
前記したように,車両の荷箱の組み込まれる二段床は,図2および図3に示されているように,二段床に固定されてスライドブロックが移動可能な案内枠材により昇降可能に案内されるが,この昇降のための枠材と,本発明のロック装置の枠材を兼用した例が,図6に示されている。
【0026】
枠材30は,ロック装置の枠材30aと,昇降のための枠材30bとの側面が接合して構成されている。枠材30a(枠材30bも同様)は,枠材背面壁31と,間にストッパ部の頂部22および底部23を配置できる両側面32,33を有し,さらに,その側面から内側に張り出す張り出し部32’および33’を有する。この実施例では,張り出し部はそれぞれ内側に張り出すことから,張り出し部の間は,ストッパ部の頂部22と底部23の幅にほぼ等しくなる。
【0027】
枠材背面壁31には,ストッパ部の頂部22および底部23の下方に湾曲した先端が,ストッパ部を水平にした状態で,通ることができる各貫通穴34,35が,二つ一組で,二段床を所望の位置に位置付けする位置にあけられている(図6(B))。
【0028】
ストッパ部の頂部22および底部23の先端は湾曲していることから,図7にも示されているように,ストッパ部を枠材に取り付けたとき,その先端と枠材の背面壁の間に間隙が生じないように,補助突起部36,37が枠材の背面壁の背面の固着されている。したがって,補助突起は各穴の下方に設けられる。
【0029】
さらに,図4により詳細に示されているように,ストッパ部を枠材に取り付けて,頂部22および底部23の下面を穴の下縁に接しさせたと,ストッパ部の突き出し部24,25は,枠材の張り出し部32’,33’と接するが,このとき,突き出し部24,25を下から支えるための,ストップ片41,42が張り出し部32’,33’のそれぞれに設けられている。
【0030】
本発明のロック装置のロック操作を,図を参照して説明する。
図7(A)に示されているように,二段床5を所定の位置のやや上方に位置させ,図4に示されているように,ストッパ部20を,枠材30に接近させ,図7(A)に示されているように,両側壁の間に入れる。続いて,図7(B)に示されているように,ストッパ部20の頂部22および底部23の湾曲した先端を,枠材の貫通穴34,35にそれぞれ挿入して,補助片26,27の端面が枠材の背面部31の表面に接するようにする。さらに,その状態で,ストッパ部20を下降させる。
【0031】
図7(C)に示されているように,ストッパ部20が下降し,頂部22および底部23の下面が,貫通穴34,35の下縁と接するとき,頂部22および底部23の先端の下側は補助突起36,37と接し,ストッパ部20の突き出し部24,25は,ストップ片32’,33’に接して,ストップ片41,42により下から支持される。
【0032】
この状態で,二段床5が下降し,ストッパ部20の頂部22に接することで,二段床は下から支持され,したがって,任意の位置で,固定,支持される。上記説明は一つの枠材についてストッパ部の取り付けについてであるが,他の枠材への取り付けも同様である。ストッパ部の取り外しは,上記取り付け操作を逆にすることで容易に取り外すことができる。
【0033】
本発明のロック装置によりロック操作を,荷台に設けられた二段床に関連して説明してきたが,床に限らず,プレート状のものを固定,支持するためのロック装置として本発明を利用することができ,したがって,ここで使用する用語の「床」は,任意の位置に固定,支持するプレート状のものと広く解されるべきである。
【0034】
図4,図6において図示した枠材は,本発明のロック装置を構成する枠材と,二段床を昇降するための,スライドブロックが収納される案内枠材を兼用したものであるが,両枠材は併置してもよく,また別個に車両の荷箱に設けてもよい。
【0035】
ストッパ部の突き出し部は,背面部の両端から突き出しているが,二段床の重量,大きさなどによっては,一方のみでも機能する。このとき,ストップ片もこれに対応して一つとなる。
【0036】
上記したように,枠材30を別個に設けたとき,枠材の張り出し部32’,33’は,内側でなく外側に張り出してもよい。
【0037】
図示のストッパ部の頂部22および底部23の先端は,湾曲を描いて下方に曲がっているが,ほぼ直角に曲がるときは,先端の内側は,枠材背面壁の背面に,間隔があくことなく接することができることから,補助突起は不要となる。
【0038】
【効果】
上記説明したように,本発明にしたがって,ストッパ部と枠材とから構成されるロック装置により,昇降床を任意の位置に固定,支持できる。さらに,ストッパ部を枠材の穴に差し込むことで,昇降床を下から支持することができることから,ロック操作は極めて容易となる。
【0039】
本発明のロック装置を荷台の二段床に適用し,作業場所としては不適当な荷箱内であっても,容易にロック操作を行うことができる。さらに,本装置は,荷箱内において実質的な空間を占めないことから,荷箱内の空間を有効にし,さらに,荷物の搬入,搬出のための開口部を狭くすることがない。
【0040】
また,本発明のロック装置の枠材は,荷箱内の二段床を昇降可能に案内する案内枠材と兼用できることから,より荷箱内の空間を有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は,本発明のロック装置が組み込まれる,ウイング式屋根を有する荷箱をもつ車両の斜視図である。
【図2】図2は,荷箱に取り付けられた二段床を固定,支持するための従来のロック装置が組み込まれた荷箱の部分横断面図である。
【図3】図3は,図2の従来のロック装置の拡大斜視図である。
【図4】図4(A)は本発明のロック装置のストッパ部の斜視図,図4(B)は図4(A)のストッパ部を,本発明のロック装置の枠材に取り付けた状態の斜視図である。
【図5】図5(A)は本発明のロック装置のストッパ部の後方斜視図,図5(B)は本発明のロック装置のストッパ部の前方斜視図である。
【図6】図6(A)は本発明のロック装置の枠材の前方斜視図,図5(B)は本発明のロック装置の枠材の後方斜視図である。
【図7】図7,本発明のロック装置の取り付け操作を示す。
【符号の説明】
20 ロック装置のストッパ部
21 背面部
22 頂部
23 底部
24 突き出し部
25 突き出し部
26 補助片
27 補助片
30 枠材
30a ロック装置の枠材
30b 二段床の昇降のための案内枠材
31 背面壁
32 側壁
32’ 張り出し部
33 側壁
33’ 張り出し部
34 貫通穴
35 貫通穴
36 補助突起
37 補助突起
41 ストップ片
42 ストップ片

Claims (8)

  1. 昇降床を所定の位置に固定,支持するロック装置であって,
    前記昇降床の側面に隣接して配置される枠材と,前記昇降床を所定の位置に配置するための,前記枠材に取り付けられストッパ部とを含み,
    前記ストッパ部は,背面部と,該背面部の上端から水平に伸びる頂部と,前記背面部の下端から前記頂部にそって伸びる底部とを含み,
    前記背面部は,少なくとも片側から突き出る突き出し部を有し,
    前記枠材は,枠材背面壁と,間に前記ストッパ部の前記頂部および前記底部を配置できる両側壁と,該側壁の先端から前記ストッパ部の前記突き出し部と接触可能な張り出し部とを有し,
    前記所定の位置に,前記昇降床を下から支えるために,前記枠材背面壁には,前記ストッパ部の前記頂部および前記底部の先端部のそれぞれを挿入できる穴部が形成され,前記張り出し部に,前記ストッパ部の前記突き出し部を下から支持するストップ片が固定される,
    ところのロック装置。
  2. 前記枠材背面壁の前記穴部は貫通穴であり,前記ストッパ部の前記頂部および前記底部の先端が下方に曲がっている,請求項1に記載のロック装置。
  3. 前記ストッパ部の前記頂部と前記底部との間に補助片が設けられる,請求項1または2に記載のロック装置。
  4. 前記ストッパ部の前記突き出し部は,前記ストッパ部の前記背面部の両側から突き出ている,請求項1に記載のロック装置。
  5. 前記ストッパ部の前記頂部および前記底部の先端が,前記枠材背面壁の貫通穴に挿入されたとき,前記頂部および前記底部の,曲がった先端と前記枠材背面壁の背面との間に位置する補助突起部が前記枠材の背面に設けられる,請求項2に記載のロック装置。
  6. 二段床が昇降移動可能に収納される荷箱であって,
    前記二段床を昇降移動に案内する複数の案内枠材と,
    前記二段床に固定され,前記案内枠材内で移動可能なスライドブロックと
    前記二段床を昇降するために,前記スライドブロックに連結される駆動機構と,
    前記二段床を,所定の位置に固定,支持する請求項1に記載のロック装置と,を含む,荷箱。
  7. 前記ロック装置を構成する枠材が,前記案内枠材を兼ね,前記スライドブロックは,前記ロック装置を構成する枠材内で移動可能である,請求項6に記載の荷箱。
  8. 前記ロック装置を構成する枠材と,前記案内枠材とは併置される,請求項6に記載の荷箱。
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