JP3902216B1 - 昆虫寄生菌の子実体の生産方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】昆虫寄生菌の子実体を速やかに、かつ安定して生産することができる昆虫寄生菌の子実体の生産方法を提供する。
【解決手段】昆虫寄生菌の子実体の生産方法は、昆虫の表皮に傷を付け、そこに昆虫寄生菌を接種し、昆虫の体内で昆虫寄生菌を増殖させ、昆虫寄生菌の子実体を形成する方法である。昆虫寄生菌としては例えば冬虫夏草菌類が用いられ、昆虫としてはハスモンヨトウ等の鱗翅目の昆虫が用いられる。前記昆虫寄生菌を寒天培地又は穀物培地上で培養し、該培地上に昆虫寄生菌の菌糸を形成させた状態で、その上に表皮に傷の付いた昆虫を置いて昆虫寄生菌を接種することが好ましい。さらに、昆虫寄生菌が昆虫の体内で繁殖して昆虫が硬化し、その表皮に子実体原基が形成されたものを種菌として子実体を形成することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、健康食品、医薬品、化粧品等として利用される冬虫夏草菌類等の昆虫寄生菌の子実体(キノコ)を速やかに、かつ安定して生産するための昆虫寄生菌の子実体の生産方法に関するものである。
昆虫寄生菌の子実体は、例えば冬虫夏草菌類等のように漢方薬の原材料や高級食材として利用されている。通常、冬虫夏草菌類のような子実体は天然に生息しているものを採取するためその数が少なく、また大きさが揃わず、品質も一定していないことが多い。さらに、昆虫寄生菌は例えばサナギタケのような同一の属種であっても、生育速度、菌子の生育、病原性等に差が現れる場合が多かった。このため、優良な昆虫寄生菌の探索や人工培養法が検討されてきた。
具体的には、冬虫夏草菌類を寄主昆虫に人工的に接種し、発育しない程度の低温で温度管理しつつ飼育し、子実体を生産する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この方法では、冬虫夏草菌類の子嚢胞子の懸濁液に蛹を浸漬する方法により接種が行われている。また、蚕の蛹の組成成分(水抽出物)を主成分とする培地を作製し、その培地を用いて子実体を形成させ、子嚢胞子を利用する方法も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この方法によれば、蚕の蛹を培地として利用することにより、冬虫夏草の継続的な培養を行うことができる。
これらの方法に加え、冬虫夏草菌類等の昆虫病原菌類のハイファルボディ(hyphal body)を含む接種剤を作製し、それを昆虫に接種して、この昆虫を昆虫菌床として子実体を形成させる方法が知られている(例えば、特許文献3を参照)。この方法によれば、接種してから子実体形成までの時間を短縮することができ、昆虫病原菌類の子実体を簡便に、短期間で効率良く大量生産することができる。
特開平8−75号公報(第2頁及び第3頁) 特開平10−42691号公報(第2頁及び第7頁) 再公表特許WO01/022801号公報(第2頁、第12頁及び第16頁)
ところが、特許文献1に記載の方法においては、常温では寄主昆虫の殆どが羽化してしまうか、或いは細菌の発生が著しい。懸濁液による接種感染方法では感染個体にむらを生じ、感染までの時間が著しく長い。一方、低温で管理すると子嚢胞子に由来する子実体を形成するまでに1〜3ヶ月という著しく長い期間を要していた。
また、特許文献2及び3に記載の方法においても、子嚢胞子を形成させることは難しく、接種源として安定的に確保することが難しい。すなわち、冬虫夏草菌類等の昆虫寄生菌は子実体の発生が少なく、乾燥年には野外でも殆ど認められず、安定した確保と生産が困難であるという問題があった。また、野外で子実体を採取しても同質の安定した、かつ細菌に汚染されていない子嚢胞子を得ることは困難であった。例えば、これらの自然発生の子嚢胞子を懸濁液として昆虫、例えば幼虫又は蛹に注射して感染させたとしても、細菌により腐敗する個体が著しく多く、歩留まりが低くなり、子実体を安定して生産することができないという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、昆虫寄生菌の子実体を速やかに、かつ安定して生産することができる昆虫寄生菌の子実体の生産方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の昆虫寄生菌の子実体の生産方法は、昆虫の表皮に傷を付け、そこに昆虫寄生菌を接種し、昆虫の体内で昆虫寄生菌を増殖させ、昆虫寄生菌の子実体を形成する昆虫寄生菌の子実体の生産方法であって、前記昆虫寄生菌を寒天培地又は穀物培地上で培養し、該培地上に昆虫寄生菌の菌糸を形成させた状態で、その上に表皮に傷の付いた昆虫を置いて昆虫寄生菌を接種することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明の昆虫寄生菌の子実体の生産方法は、請求項1に係る発明において、前記昆虫寄生菌は冬虫夏草菌類であることを特徴とするものである
請求項に記載の発明の昆虫寄生菌の子実体の生産方法は、請求項1又は請求項に係る発明において、前記昆虫寄生菌が昆虫の体内で繁殖して昆虫が硬化し、その表皮に子実体原基が形成されたものを種菌として子実体を形成することを特徴とするものである。
請求項に記載の発明の昆虫寄生菌の子実体の生産方法は、請求項係る発明において、前記種菌を苔上に配置し、子実体を形成することを特徴とするものである。
請求項に記載の発明の昆虫寄生菌の子実体の生産方法は、請求項係る発明において前記種菌をpH2〜4の酸性培地上に配置し、子実体を形成することを特徴とするものである。
請求項に記載の発明の昆虫寄生菌の子実体の生産方法は、請求項から請求項のいずれか一項に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法で得られた子実体を、培地を収容する容器内の上部に貼付し、子実体から落下した子嚢胞子を種菌として子実体を形成することを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法では、昆虫の表皮に傷を付け、そこに昆虫寄生菌を接種し、昆虫の体内で昆虫寄生菌を増殖させ、昆虫寄生菌の子実体を形成する昆虫寄生菌の子実体の生産方法であって、前記昆虫寄生菌を寒天培地又は穀物培地上で培養し、該培地上に昆虫寄生菌の菌糸を形成させた状態で、その上に表皮に傷の付いた昆虫を置いて昆虫寄生菌を接種するものである。昆虫の表皮に傷を付けることで、昆虫が本来保持している細菌等の影響を排除し、昆虫寄生菌の感染速度が著しく高くなり、昆虫の体内で昆虫寄生菌の増殖が早期かつ容易に行われ、子実体が形成される。従って、昆虫寄生菌の子実体を速やかに、かつ安定して生産することができる。また、昆虫の体内に生存する細菌類が体外に漏れて増加することを抑制することができるとともに、昆虫寄生菌の活性の低下を抑制することができる。
請求項2に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法では、昆虫寄生菌は冬虫夏草菌類であることから、冬虫夏草菌類について請求項1に係る発明の効果を有効に発揮させることができ、利用価値を高めることができる。
請求項に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法では、昆虫寄生菌が昆虫の体内で繁殖して昆虫が硬化し、その表皮に子実体原基が形成されたものを種菌として子実体を形成するものである。従って、請求項1又は請求項に係る発明の効果に加えて、昆虫体内で昆虫寄生菌が繁殖して昆虫は菌糸体となり、昆虫の表皮に子実体原基が形成され、それを種菌として子実体を形成することができる。
請求項に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法では、昆虫が硬化し、その昆虫を種菌とし、該種菌を苔上に配置し、子実体を形成するものである。このため、請求項に係る発明の効果に加えて、苔による適度な湿度と温度の下で子実体の形成を容易に行うことができる。
請求項に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法では、昆虫が硬化し、その昆虫を種菌とし、該種菌をpH2〜4の酸性培地上に配置し、子実体を形成するものである。従って、請求項に係る発明の効果に加えて、雑細菌の増殖を抑制、さらには子実体の汚染、蛹の腐敗や容器内の汚染を抑制することができるとともに、抗生物質、抗菌剤等の使用を避けることができる。
請求項に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法では、得られた子実体を、培地を収容する容器内の上部に貼付し、子実体から落下した子嚢胞子(完全世代)を種菌として子実体を形成するものである。このため、請求項から請求項のいずれかに係る発明の効果に加えて、子嚢胞子の種菌を次世代の生産の種菌とすることができるとともに、昆虫寄生菌の病原性の低下や繁殖力の低下を抑えて子実体の継続的な生産を行うことができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における昆虫寄生菌(昆虫病原菌)の子実体(キノコ)の生産方法は、昆虫の表皮に傷を付け(付傷させ)、そこに昆虫寄生菌を接種し、昆虫の体内で昆虫寄生菌を増殖させ、昆虫寄生菌の子実体を形成するものである。子実体は、主に棒状で、その頭部や先端近くに子嚢胞子を抱えた袋状の器官である子嚢果の集まりで、結実部がある。子実体の形態には、こん棒型、タンポ型、耳掻き型等のタイプがある。子実体の長さは、数mmから数cmのものが多いが、十数cmのものもある。子実体の色は、オレンジ色、白色、黄色、茶色等が挙げられる。
対象となる昆虫寄生菌は、宿主(寄主、ホスト)昆虫に接種されてその子実体が形成される寄生菌である。そのような昆虫寄生菌としては、アカントケミス属、ギベルラ属、コルディセプス属、スティルペラ属、ティラクリディウム属、トリポクラディウム属、トルビエラ属、ノムラエア属、パライサリア属、ヒメノスティルベ属、ヒルステラ属、ペキロマイセス属、ボーベリア属、メタリジウム属等に属する菌類が挙げられる。ここで、冬虫夏草菌類は、子嚢菌門、麦角(バッカク)菌目、麦角(バッカク)菌科の一属(冬虫夏草属)に該当する菌類である。冬虫夏草菌類として具体的には、麦角菌科のコルディセプス属、ギルベラ属、トルビエラ属及びヒルステラ属に属する菌類である。また、冬虫夏草菌類のうち、例えばコルディセプス属のサナギタケ(Cordyceps militaris)、ウスキサナギタケ等が挙げられる。
前記昆虫は特に制限されないが、鱗翅目の昆虫、甲虫目の昆虫等が用いられる。鱗翅目の昆虫としては、ハスモンヨトウ、タバコガ、カイコガ、コナガ、ネキリムシ、コウモリガ等が挙げられる。甲虫目の昆虫としては、コガネムシ、カミキリムシ、コメツキムシ等が挙げられる。ここで、昆虫とは幼虫、蛹、成虫等の成長過程におけるいずれの形態(生態)をも含む概念である。
昆虫の表皮に傷を付ける方法としては、針、金属片、ガラス、セラミック等の硬い鋭利な刃物又はレーザー光を利用して行うことができる。昆虫の傷付けられた部分(以下、付傷部という)に昆虫寄生菌が接種されることで、昆虫寄生菌の感染が促進され、昆虫の体内で寄生菌の増殖が容易に行われ、子実体が形成される。この場合、付傷は、昆虫の表皮を傷付けるもので、その傷が昆虫の体内に到らないようにする。すなわち、昆虫の表皮は破裂するほど傷付ける必要はなく、体液が溢れ出ない程度にすることが好ましく、勿論昆虫が死亡しない程度に行われる。
昆虫に傷を付ける場合には、具体的には針で孔をあける方法(孔傷を付す方法)、刃物で切る方法又はレーザーを照射する方法等が採用される。但し、熱したコテで火傷させても、その部分からは感染を促進することはできない。例えば、昆虫寄生菌のサナギタケを用い、22℃の条件でPDA培地上にサナギタケを純粋培養して蔓延させ、非休眠のハスモンヨトウ蛹に先端が鋭利なピンセットで傷を付けた100個体を静置した。この結果、7日後には全ての蛹の動きが止まり、12日後に90個体が硬化した。
通常、昆虫の皮膚には、寄生菌に対する防御機構があるため寄生菌が感染しにくいが、昆虫の表皮に軽度の付傷部を形成し、そこに昆虫寄生菌を接種すると感染速度が著しく高まり、昆虫の体内で寄生菌の増殖を早期かつ容易に行うことが可能となる。昆虫は前蛹から蛹に脱皮する時期に表皮が薄くなり、土繭の中で昆虫寄生菌が著しく感染しやすい時期がある。また、脱皮直後の白蛹の皮膚は、通常の蛹に比較して昆虫寄生菌が感染しやすい。しかし、脱皮直後の白蛹のみを多量に採取することは困難であり、また柔らかいため取り扱いが難しい。本実施形態では、通常の蛹に傷を付けて昆虫寄生菌を接種することで、寄生菌の増殖を好適に行うことができる。また、昆虫寄生菌を昆虫に感染させる場合には、休眠蛹を用いることが好ましいとされていたが、本実施形態では昆虫に傷を付けて昆虫寄生菌を接種して感染させるため、感染が速やかに起こり、非休眠蛹の方が適し、子実体を大量生産することができる。
次に、昆虫寄生菌を寒天培地又は穀物培地上で培養し、該培地上に昆虫寄生菌の菌糸を形成させた状態で、その上に表皮に傷の付いた昆虫を置いて昆虫寄生菌を接種することができる。この場合、昆虫寄生菌を培養器いっぱいに培養しておき、この中に蛹を並べて静置する。この培地を定温器内に入れて数日間保存し、感染させる。寒天培地としては、PDA培地(Potato Dextrose Agar、馬鈴薯砂糖寒天培地)等が挙げられる。穀物培地としては、籾米、小麦、大麦等を使用した培地が挙げられる。
このように、上記培地上に昆虫寄生菌の菌糸(菌叢)が形成された状態、特に菌糸が蔓延した状態で昆虫を置いて接種することにより、昆虫が本来保持している細菌等の影響を排除し、昆虫寄生菌の速やかな感染を得ることが可能である。この結果、昆虫寄生菌の感染確率も高く、歩留まりの向上が可能である。全面に昆虫寄生菌を蔓延させた寒天培地又は穀物培地を使用する目的は、昆虫の体内に生存する細菌類が体外に漏れて増加することを抑制するとともに、昆虫寄生菌の活性の低下を防止するためである。但し、培地上に昆虫を配置する場合、昆虫の体表面は殺菌剤により洗浄することが好ましい。
また、昆虫寄生菌が昆虫の体内で繁殖して昆虫が硬化し、その表皮に子実体原基が形成されたものを種菌として子実体を形成することができる。子実体原基とは、子実体の元になる粒状の部分(芽)を指す。付傷させた昆虫の付傷部に寄生菌を接種すると、昆虫の体内で繁殖し昆虫は菌糸体となり、昆虫の表皮に子実体原基が形成される。この方法では例えば10日後に50%、12日後に90%の個体が硬化し、さらに14日後には92%が硬化した。その後5日間で蛹の表面にオレンジ色の有性世代原基が形成された。この子実体原基は1蛹から1〜5本発生し、この表皮に形成されたものを種菌として利用することができる。なお、このとき形成される子実体は子嚢胞子を形成する有性世代であり、白色の分生胞子を形成する無性世代ではない。さらに、保湿培地にこれを移植することにより、昆虫寄生菌の大量培養を安定化させることができる。また、隔離して保管すればナメクジやコナダニ等食菌性動物から、種菌を保護することが可能となる。
さらに、昆虫の特に蛹が硬化し、その蛹を種菌とし、該種菌を苔上に配置し、子実体を形成することができる。すなわち、付傷させた昆虫の付傷部に昆虫寄生菌を接種し、菌類が昆虫体内で蔓延後、硬化した種菌を苔(苔体)上、好ましくは生きている苔上、又はハイゴケ上に配置し、20〜25℃で管理し、昆虫寄生菌の子実体の生産を行う。特に、ハイゴケはその形状が種菌を埋設保持するために適している。
ハイゴケのみでなく適度な湿度と温度を保持するならば多種類の培地を利用することができる。ハイゴケ上では、例えば子実体原基の形成後22℃、20日間で2〜4cmに成長した子実体が90%以上の個体で形成された。この結果から、子実体の形成と生育、すなわち生産が可能である。この場合、種菌から子実体が発生する環境として湿度は90%以上、温度は16〜25℃が良好な条件であった。温度が25℃であると子実体の形成期間は短くなるが、やや軟弱気味となるため、品質を重視するならば16〜20℃で管理することが望ましい。なお、26℃以上で管理すると腐敗率が高くなる。
また、昆虫の特に蛹が硬化し、その蛹を種菌とし、該種菌をpH2〜4の酸性培地上に配置し、子実体を形成することができる。このときに用いられる培地として、好ましくはバーミキュライト、ピートモス、ミズゴケ等が挙げられる。この培地のpHを2〜4の酸性にするために、クエン酸等が用いられる。培地を酸性化することにより、栽培環境内で細菌の増殖を抑制し、子実体の汚染を抑制し、さらには蛹、種菌の腐敗を促進する雑細菌の繁殖を抑制することができるとともに、抗生物質、合成抗菌剤等の殺菌剤等の使用を避けることができる。
加えて、得られた子実体を、培地を収容する容器内の上部に貼付し、子実体から落下した子嚢胞子を種菌として子実体を形成することができる。例えば、種菌又は子実体を培地が収容される容器の上蓋内面に貼り付け、落下した子嚢胞子を取り出し、次世代の種菌(接種源)にすることができる。この方法によれば、子実体上に完全世代である子嚢胞子を形成させることができる。さらに、子実体から形成した子嚢胞子を培地上に落下させ、切り取って再分離し、これを培養して多数増加させ、次世代の子実体の生産を行う種菌にすることができる。また、この方法により従来問題とされていた昆虫寄生菌の病原性の低下や繁殖力の低下を抑え、子実体を継続的に生産することができる。
上記のようにして得られる昆虫寄生菌(種菌)は、前記子実体から得られた子嚢胞子を、寄主である蛹を磨砕して添加した半合成培地上に落下させて繁殖させた後、冷凍、凍結又は冷蔵して長期間保存することができる。この場合、長期間に渡って病原性の低下を防止することができるとともに、無菌的に昆虫寄生菌を確保することができる。さらに、最新の菌株との比較も容易にでき、選抜のための手法として利用することも可能になる。例えば、上記の半合成培地を作製し、これを入れた培養器の蓋内面に子実体を貼り付けて数日間静置すると培地上に多数の子嚢胞子由来のコロニーが形成される。これらの中で生育が良く、細菌に汚染されていない純粋なコロニーを選択して再分離し、さらに同上の培地上で増殖させて凍結又は冷蔵して長期間保存する。この手法を種菌に用いて優良な形質の昆虫寄生菌を継代培養して保管する。培地全体を低温で管理することもできる。また、菌糸又は子実体を滅菌した溶媒中で低温管理することも可能である。
また、昆虫の表皮に子実体原基ができた種菌をそのまま乾燥させて室内等の常温、好ましくは20〜25℃で、さらにその中にシリカゲル等の乾燥剤を入れて相対湿度10〜20%の乾燥室に長期間保存することができる。例えば、昆虫の表皮に子実体原基ができた蛹を種菌として、それを温度20〜25℃、相対湿度10〜20%の容器内に60日間管理して保管し、さらにそれらの種菌を湿度90%、温度22℃の容器に入れ替えることにより、子実体を形成することができる。以上のように、自然界で採取した冬虫夏草菌類等の昆虫寄生菌の子実体から子嚢胞子を分離、培養して病原性や生育を落とすことなく継代培養する。一方で昆虫に付傷させ、その付傷部に昆虫寄生菌を接種して昆虫寄生菌を昆虫に感染させて子実体原基を形成させ、これを移植して子実体を一貫して生産することができる。
さて、本実施形態の作用について説明すると、昆虫の表皮特に蛹の表皮にナイフ等で傷を付け、その付傷部に昆虫寄生菌を接種する。昆虫の表皮に傷を付けることで、昆虫が本来保持している細菌等の影響を回避することができ、昆虫に対する昆虫寄生菌の感染速度を高めることができる。そのため、昆虫寄生菌が昆虫の体内で増殖を繰り返し、昆虫の表皮に昆虫寄生菌の子実体原基が形成され、さらにその子実体原基から子実体が形成される。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 本実施形態における昆虫寄生菌の子実体の生産方法では、昆虫の表皮に傷を付け、その付傷部に昆虫寄生菌を接種し、昆虫の体内で昆虫寄生菌を増殖させ、昆虫寄生菌の子実体を形成するものである。このため、昆虫の表皮に傷を付け、その付傷部に昆虫寄生菌を接種するという簡単な操作により、昆虫の体内で昆虫寄生菌の増殖が早期かつ容易に行われ、子実体が形成される。従って、昆虫寄生菌の子実体を速やかに、かつ安定して生産することができ、生産性を格段に向上させることができる。
・ 昆虫寄生菌が冬虫夏草菌類であることにより、冬虫夏草菌類について上記の効果を有効に発揮させることができ、利用価値を高めることができる。
・ また、昆虫寄生菌を寒天培地又は穀物培地上で培養し、該培地上に昆虫寄生菌の菌糸を形成させた状態で、その上に表皮に傷の付いた昆虫を置いて昆虫寄生菌を接種することにより、昆虫の体内に生存する細菌類が体外に漏れて増加することを抑制することができるとともに、昆虫寄生菌の活性の低下を抑制することができる。
・ さらに、昆虫寄生菌が昆虫の体内で繁殖して昆虫が硬化し、その表皮に子実体原基が形成されたものを種菌として子実体を形成することで、昆虫体内で昆虫寄生菌が繁殖して昆虫は菌糸体となり、昆虫の表皮に子実体原基が形成され、それを種菌として子実体を形成することができる。
・ また、昆虫が硬化し、その昆虫を種菌とし、該種菌を苔上に配置し、子実体を形成することによって、苔による適度な湿度と温度の下で子実体の形成を容易に行うことができる。
・ 加えて、昆虫が硬化し、その昆虫を種菌とし、該種菌をpH2〜4の酸性培地上に配置し、子実体を形成することにより、雑細菌の増殖を抑制、さらには子実体の汚染、蛹の腐敗や容器内の汚染を抑制することができるとともに、抗生物質、抗菌剤等の使用を避けることができる。
・ また、得られた子実体を、培地を収容する容器内の上部に貼付し、子実体から落下した子嚢胞子を種菌として子実体を形成することで、子嚢胞子の種菌を次世代の生産の種菌とすることができるとともに、昆虫寄生菌の病原性の低下や繁殖力の低下を抑えて子実体の継続的な生産を行うことができる。
・ 生産された昆虫寄生菌の子実体は、免疫作用、鎮静作用、滋養強壮作用等の作用を有し、医薬品、健康食品、化粧品等の分野で好適に利用することができる。
以下、参考例及び試験例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(参考例1、昆虫の世代の比較)
PDA培地内に昆虫寄生菌を25℃で10日間繁殖させて蔓延させ、ハスモンヨトウ幼虫の3令(齢)、4令、5令、前蛹及び蛹を各々10頭を2日間静置し、サナギタケを接種した。接種後35日間飼育管理し、サナギタケの感染の有無、死亡虫の個数及び子実体の形成の有無を調べた。上記の処理を行わなかった場合についても試験を行った(無処理)。それらの結果を表1に示した。
Figure 0003902216
表1に示す結果より、前蛹では9頭の感染が、3齢幼虫は2頭及び4齢幼虫は1頭の感染が認められた。このように前蛹と幼虫の一部には感染が認められたが、その他の世代では蛹であっても感染は10%以下であった。また、これらの個体では感染しても菌糸の発育のみで子実体の形成はなかった。これらの結果から、前蛹に対して接種する方法が最も合理的であることが判明した。しかし、この時期にそろえて蛹を大量に得ることは難しい。羽化を防止し、安定した生産を行うためには蛹時代に付傷接種すべきであることが分かった。
(試験例1、接種方法による比較)
サナギタケをPDA培地で培養後の菌糸懸濁液を作製して、濃度10個/mlの菌糸濃度とし、ハスモンヨトウ蛹に噴霧接種した(寄生菌噴霧接種)。また、培養菌糸液を注射器を用いてハスモンヨトウ蛹の体内に0.2mlを背面から注射し接種した(寄生菌菌糸液注射)。次に、PDA培地で培養したサナギタケ上にハスモンヨトウ蛹を2日間静置し接種した(無傷静置)。また、このハスモンヨトウ蛹の一部に鋭いナイフで小さな傷を付けた後、この培養菌糸内に2日間静置し、付傷部に接種した(付傷静置1)。次に、蛹に対する付傷程度を変えて、体液が溢出する程度の傷を付けて同様に静置し、付傷部に接種した(付傷静置2)。接種後これらの蛹を採取して50日間22℃で管理した。なお、供試蛹数は各々150頭とした。また、上記の処理をしないハスモンヨトウ蛹の場合についても同様に試験を行った(無処理)。そして、サナギタケの感染の有無、子実体形成までの日数、子実体の個数、作業性、多量接種(サナギタケがハスモンヨトウの蛹全体につくような接種)について測定し、それらの結果を表2に示した。
Figure 0003902216
表2に示した結果より、サナギタケの菌糸液を噴霧接種した蛹は全てが羽化して成虫に変態し、感染は成立しなかった。サナギタケを注射した蛹は3日後動きを停止し、10日後には硬化し、30日後に全体に無性世代の白色の菌糸束の形成が認められた。しかし、この注射法は注射に要する時間、労力を必要とすること、感染が短時間で蛹に対する病原性が強い菌株の場合には、蛹の死亡が早くなり過ぎ、生育を揃える等の実用性を得るには濃度の調整が必要であった。また、PDA培地内に2日間静置したハスモンヨトウ蛹は全てが成虫になった。さらに、無処理の場合(ハスモンヨトウ蛹そのまま)では、当然ながら昆虫寄生菌の感染は見られなかった。
一方、蛹の一部を付傷させて2日間菌子の中に静置すると、4〜7日間で蛹の動きが止まり、羽化することなく死亡が認められて感染が成立した。この蛹を25℃の恒温室内に静置しておくと昆虫の表皮に17日後に子実体の形成が認められ、35日後に全体にオレンジ色の子実体の形成が認められた。蛹に対する付傷程度を変え、体液が溢出する程度にした場合には全ての個体が容易に寄生菌に感染したが、早期に死亡し菌糸が蔓延する個体、又は腐敗する個体が目立った。また、培地内に漏れた体液に細菌が繁殖し寄生菌の繁殖に影響が発生する培地もあった。
これらの結果から、培養器内で昆虫寄生菌を培養し、その中に体表皮を削り付傷させた蛹を静置して感染させる方法が、大量の蛹に感染させて管理するには最も適当な方法であることが判明した。この方法で形成された子実体は全てが有性世代であった。
(試験例2、培養日数の比較)
PDA培地内にサナギタケを25℃で2日間、4日間、6日間、8日間及び10日間繁殖させ、その上にハスモンヨトウ蛹を各々10頭4日間22℃に静置して接種した。接種後35日間飼育管理し、サナギタケの感染の有無、子実体の形成の日数及び雑菌の繁殖の有無について調べた。なお、蛹は全て体表皮に付傷させた。また、上記の処理を行わなかった場合についても試験を行った(無処理)。それらの結果を表3に示した。
Figure 0003902216
表3の結果から、サナギタケを10日間培養した培地で最も感染率が高く、子実体の形成も多かった。また、2日及び4日間培養した培地では、感染率は低く、羽化した個体も発生した。さらに、子実体の生成日数も長くなった。これらの結果から、培地に菌糸を十分蔓延させて接種すると雑菌の繁殖もなくなり、感染も速く、子実体の形成が速いことが判明した。
(試験例3、培地の比較)
試験例3で子実体の原基が形成された蛹をさらに保湿状態に静置して子実体を形成させた。通常の室内では子実体は形成されないため、形成を促すためにハイゴケ、山間地の沢の土中、保湿器に入れ、これらの保湿材としてバーミキュライト、ピートモス、ミズゴケを用いた。また、後3者には細菌の発生を抑制するためクエン酸を添加してpHを3.0に低下させた。1リットルの容器(タッパーウェア(株)製のタッパーウェア)内に上記の材0.7リットルを入れて蒸留水0.1リットルを添加して保湿し、子実体原基を形成した蛹を20頭ずつ埋設した。そして、20日後に子実体の形成率(%)及び腐敗個数を調べた。それらの結果を表4に示した。
Figure 0003902216
表4の結果より、いずれの培地中でも子実体の形成が認められた。特に、ハイゴケ中では形成率が高かった。また、山中の土壌中に埋設した場合でも同様に形成が認められた。保湿器中では形成されるものの、暗く管理するための遮光処理が必要であった。なお、子実体の色はオレンジであった。また、バーミキュライト、ピートモス及びミズゴケを用いた場合には、そのまま使用すると細菌が繁殖して腐敗する個体が発生した。このため、pHを3に矯正したところ、細菌による汚染や腐敗はなくなった。また、子実体の形成率も90%前後で高かった。
(試験例4、継体培養について)
子実体をPDA培地が収容されたシャーレの蓋内面に貼付けて静置しておくと、培地上に昆虫寄生菌の子嚢胞子が落下し、新鮮な子嚢胞子を再分離することが可能となる。この方法を応用して次の試験を行った。
培地はPDA培地及びハスモンヨトウ蛹磨砕液添加PDA培地を用いた。子実体を形成した蛹をテープで培養器の蓋内面に貼付け、25℃の恒温室に3日間放置した。培地表面に形成された菌糸コロニーを、他の培地に移植して再分離して10日間培養し、蛹に付傷して接種し、子実体形成日数、病原性の低下の有無及び凍結又は冷蔵保存性について調べた。病原性の低下の有無は子実体形成日数で判断した。なお、子実体の形成の有無は顕微鏡により観察した。保存性については、1ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、12ヶ月及び24ヶ月後の菌の生育速度を調べた。それらの結果を表5に示した。
Figure 0003902216
表5の結果から、サナギタケをPDA培地を用いて培養し蛹に接種すると、19日間で子実体が形成され、凍結保存で12ヶ月、冷蔵保存で4ヶ月間保存しても培地上で著しい子実体の生育が認められた。4回継代培養すると保存性は変わらないが、子実体形成日数が26日で、病原性の低下が認められた。蛹磨砕液を添加したPDA培地の場合には、子実体形成日数は17日で、病原性の低下は見られなかった。また、蛹磨砕液を添加したPDA培地で菌糸を採取して培養し、付傷した蛹に接種すると、形成される子実体は有性世代子実体となり、初めての子嚢胞子の形成に成功し、子嚢胞子の継体培養由来による子実体の形成を確認することができた。病原性の低下を懸念する場合には、子実体から分離した昆虫寄生菌を蛹磨砕液添加半合成培地で培養して保存する方法が安定している。
(試験例5、乾燥保存法について)
子実体原基を形成する前の硬化した蛹を数日間乾燥し、さらに密閉できる500mlのガラス容器内に20〜25℃で保存した。ガラス容器内には乾燥剤としてシリカゲル200gを入れ、内部を乾燥状態にした(乾燥処理区)。一方、比較として同様のガラス容器内に湿らせた綿を入れ、湿度を高めて上記と同様の蛹を保存した(保湿処理区)。また、対照として乾燥や加湿しないガラス容器にも同様の蛹を保存した(無処理区)。そして、子実体の形成について調べ、次の基準で評価し、その結果を表6に示した。
◎:子実体が高い形成率で形成された。○:子実体が低い形成率で形成された。×:子実体の形成が認められなかった。
Figure 0003902216
表6に示した結果より、乾燥したガラス瓶内で保存した硬化蛹は、2ヶ月保存後でも加湿状態にすると子実体を形成したが、保湿処理区及び無処理区では蛹上の菌糸の生育が促進されて過繁茂状態となり、子実体の形成は認められなかった。乾燥処理区では処理3ヶ月後には子実体の形成率はやや低下し、5ヶ月後には子実体の形成が認められなくなった。このことから、一度、寄生菌を感染させた後に子実体を形成させずに保存する場合、乾燥条件下に置く方法がよいことが判明した。このことは、子実体形成蛹の生産調節が可能であることを示している。低温にすればさらに長期保存ができることは明らかである。
(試験例6〜8、昆虫の種類と昆虫寄生菌の種類による相違)
昆虫としてタバコガ蛹(試験例6)及びカイコガ蛹(試験例7)を用いて実施した。昆虫寄生菌としてサナギタケを用い、そのサナギタケをPDA培地及び穀物(籾米)培地を用いて10日間、25℃で培養し、菌子が蔓延した培養容器内にタバコガ蛹を20頭付傷させて静置し、サナギタケを接種するとともに、その後取り出して22℃に保ったバーミキュライト培地中に保持した。続いて、サナギタケをPDA培地及び穀物(米)培地を用いて10日間、25℃で培養し、菌子が蔓延した培養容器内にカイコガ蛹を20頭、付傷させて静置し、サナギタケを接種するとともに、その後取り出して22℃に保ったバーミキュライト培地中に保持した。
このような状態にして子実体原基形成時期、子実体形成時期及び腐敗蛹頭数を調べた。それらの結果を表7及び表8に示した。また、同様の方法で形成させた子実体原基を形成した種菌(硬化して子実体原基を形成した蛹)30固体を、湿度10〜20%に乾燥させたシリカゲル入りの容器に5日間静置した後、酸性にしたピートモス培地中に入れて子実体形成の有無を調べた(試験例8)。その結果を表9に示した。
Figure 0003902216
Figure 0003902216
Figure 0003902216
表7に示した結果より、タバコガではPDA培地で13日後、穀物培地で10日後から子実体原基の形成が認められた。また、子実体は各々20日及び19日後から形成が認められた。さらに、腐敗した蛹頭数はPDA培地より穀物培地で少なかった。さらに、表8の結果より、カイコガでも同様の傾向であった。これらの結果から、PDA培地に比較して穀物培地を用いた方が菌糸の生育が良いため、サナギタケ菌の生育が良く、感染が促進され、子実体の形成が速く、効率的であることが判明した。
加えて、表9に示した結果から、乾燥処理したものでは腐敗もなく、子実体が高率で形成された。これらの結果から、本発明における昆虫寄生菌の子実体の生産方法にタバコガ及びカイコガの蛹を利用できることが判明した。
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 昆虫の表皮に形成される付傷部を複数にし、それらの付傷部に昆虫寄生菌を接種することも可能である。
・ 昆虫寄生菌の子実体の生産に当たり、10〜20℃の温度範囲で温度調節をして昆虫寄生菌の増殖を調整することができる。
・ 培地にミネラル類、ビタミン類、アミノ酸類等の栄養分を添加することもできる。
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記昆虫の表皮の傷は、昆虫の体液が溢れ出ない程度に行われるものであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法。この生産方法によれば、請求項1から請求項7のいずれかに係る発明の効果に加えて、昆虫の体内で昆虫寄生菌の感染を促進させることができる。
・ 前記昆虫は蛹の形態であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法。この生産方法によれば、昆虫を最も容易かつ確実に付傷させることができ、請求項1から請求項7のいずれかに係る発明の効果を向上させることができる。
・ 前記昆虫寄生菌の菌糸は、培地上に全体に渡って形成されていることを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法。この生産方法によれば、請求項3から請求項7のいずれかに係る発明の効果に加えて、昆虫寄生菌の感染率を高めることができる。

Claims (6)

  1. 昆虫の表皮に傷を付け、そこに昆虫寄生菌を接種し、昆虫の体内で昆虫寄生菌を増殖させ、昆虫寄生菌の子実体を形成する昆虫寄生菌の子実体の生産方法であって、前記昆虫寄生菌を寒天培地又は穀物培地上で培養し、該培地上に昆虫寄生菌の菌糸を形成させた状態で、その上に表皮に傷の付いた昆虫を置いて昆虫寄生菌を接種することを特徴とする昆虫寄生菌の子実体の生産方法
  2. 前記昆虫寄生菌は冬虫夏草菌類であることを特徴とする請求項1に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法。
  3. 前記昆虫寄生菌が昆虫の体内で繁殖して昆虫が硬化し、その表皮に子実体原基が形成されたものを種菌として子実体を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法。
  4. 前記種菌を苔上に配置し、子実体を形成することを特徴とする請求項に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法。
  5. 前記種菌をpH2〜4の酸性培地上に配置し、子実体を形成することを特徴とする請求項3に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法。
  6. 請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の昆虫寄生菌の子実体の生産方法で得られた子実体を、培地を収容する容器内の上部に貼付し、子実体から落下した子嚢胞子を種菌として子実体を形成することを特徴とする昆虫寄生菌の子実体の生産方法。
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