JP3901809B2 - リミテッドスリップデフ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリミテッドスリップデフに係り、特に、速度および入力トルクに応じて差動制御を行なうことを可能としたリミテッドスリップデフに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等の車両においては、エンジン等の駆動機関からトランスミッションを介して出力される駆動力をタイヤ等の車輪側に適正に伝達するためのデファレンシャルが用いられている。
【0003】
図4はこのような従来のデファレンシャルを示したもので、このデファレンシャル30は、図示しないトランスミッションのケーシング31の内部に配設されたデフケース32を有しており、このデフケース32は、軸受33により回転自在に支持されている。このデフケース32の外周部には、トランスミッションの出力ギアに噛合されるリングギア34が一体に固着されており、前記デフケース32には、一対の車輪駆動軸35,35の一端がその回転軸がデフケース32の回転軸と一致するように取付けられている。
【0004】
また、デフケース32の内部には、前記各車輪駆動軸35の端部にそれぞれ取付けられたサイドギア36およびこれら各サイドギア36に噛合される一対のピニオン37からなるデファレンシャル機構38が配設されており、前記各ピニオン37は、デフケース32の内部に前記車輪駆動軸35の回転軸と直交する方向に位置決めされたピニオンシャフト39の両端部に取付けられるようになっている。
【0005】
さらに、前記デフケース32の外周には、検出用ギア40が一体に配設されており、この検出用ギア40には、スピードメータギア41が噛合されるようになっている。
【0006】
このような従来のデファレンシャル30においては、エンジン等の駆動機関からトランスミッションに伝達された駆動力は、トランスミッションの出力ギアからデファレンシャル30のリングギア34に伝達され、これにより、リングギア34とデフケース32とが回転軸を中心として一体に回転し、デフケース32の内部に配設されたデファレンシャル機構38を介して車輪駆動軸35を駆動するようになっている。
【0007】
ところで、前記デファレンシャルにおいては、雪道、ぬかるみ等極端に滑りやすい路面において、走行中に片側の車輪が空転すると、車体の走行安定性を欠いたり、停止時においては、片側の車輪が空転すると、発進することができなくなってしまう。
【0008】
このような不都合を回避するため、従来から、リミテッドスリップデフが用いられており、このリミテッドスリップデフは、前記デファレンシャル機構の内部に別個の機構として設けられるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来のリミテッドスリップデフにおいては、デファレンシャルと別個の機構として設けるものであるため、部品数の増加を招き、装置の大型化を招いてしまうという問題を有している。しかも、通常のデファレンシャルを用いるものであるため、ギアの噛み合いによるノイズが発生したり、摩耗粉が発生してしまうという不都合を有している。また、速度および入力トルクに応じて差動制御を行なうためには、複雑な制御が必要となり、幅広いセッティングを行なうことができないという問題を有している。
【0010】
本発明は前記した点に鑑みてなされたもので、ギアの噛み合いを利用することなく、速度および入力トルクに応じた適正な差動制御を行なうことができ、しかも、装置の小型軽量化を図ることのできるリミテッドスリップデフを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の発明に係るリミテッドスリップデフは、トランスミッションの出力回転により回転駆動されるデフケースの内部に、一対の車輪駆動軸の端部がそれぞれ接続されるドライブカムをその外側面が前記デフケースの内部端面に接するように配設するとともに、これら各ドライブカムの内側面に周方向に連続する凹凸面を形成し、前記各ドライブカムの間に環状のピストンキャリアを前記デフケースと一体に回転駆動するように配設し、前記ピストンキャリアに前記車輪駆動軸の軸方向と平行な複数の保持孔を周方向に所定間隔をもって形成し、これら各保持孔の内部に先端部に前記各ドライブカムの凹凸面に当接するボールカムを配設してなる一対のピストンをそれぞれ配設し、これら各ピストンの間にわずかな間隙をもって各ピストン側に往来自在となるようにオイルを充填したことを特徴とするものである。
【0012】
この請求項1に記載の発明によれば、トランスミッションの出力回転によりデフケースが回転駆動されると、ピストンキャリアも一体に回転され、この回転力をボールカムを介してドライブカムに伝達することにより、車輪駆動軸を駆動するようになっている。
【0013】
そして、一方の車輪駆動軸に負荷がかかると、この車輪駆動軸に取付けられたドライブカムに負荷がかかり、このドライブカムの凹凸面により、ボールカムを押圧する力が加わるため、ボールカムを介してピストンを移動させようとするが、前記間隙によるオリフィス効果により、保持孔の内部に速度に応じたオイルの油圧が発生し、この油圧により、ピストン軸の移動が制限され、速度に感応した差動制御を行なうことができる。
【0014】
また、デフケースに回転力が付与されると、ピストンキャリアがボールカムとともに回転され、このボールカムの回転力によりボールカムが各ドライブカムの凹凸面の斜面に押圧力が加わり、この押圧力の分力により、各ドライブカムに入力トルクに応じた外側に向かう力が加わり、前記ドライブカムとデフケースの内面との摩擦により入力トルクに感応した差動制御を行なうことができるものである。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記各保持孔の内部ほぼ中央に、内径が小径とされた保持フランジを形成するとともに、この保持フランジに両端部に前記各ピストンが取付けられるピストン軸を保持孔の軸方向に沿って移動自在に保持し、前記保持フランジとピストン軸との間にわずかな間隙を形成し、この間隙により、前記オイルが前記各ピストン側に往来できるようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
この請求項2に記載の発明によれば、保持フランジとピストン軸との間にわずかな間隙を形成し、この間隙により、前記オイルが前記各ピストン側に往来できるようにしているので、前記間隙により適正にオリフィス効果を得ることができ、油圧による適正な差動制御を行なうことができるものである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記1つの保持孔における各ピストンを、前記ピストンキャリアの周方向に互い違いにオフセットして配設するようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
この請求項3に記載の発明によれば、1つの保持孔における各ピストンを、前記ピストンキャリアの周方向に互い違いにオフセットして配設するようにしているので、前記各ドライブカムの位相がずれた場合でも、ドライブカムの凹凸面の斜面に対して常時複数のボールカムを当接させることができ、適正なトルク伝達を行なうことができるものである。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記各保持孔のうち同一のオフセットを有するとともに、前記ドライブカムの凹凸面の同一傾斜面に当接するボールカムが装着された各保持孔同士を連通させるための連通孔を形成したことを特徴とするものである。
【0020】
この請求項4に記載の発明によれば、各保持孔のうち同一のオフセットを有するとともに、ドライブカムの凹凸面の同一傾斜面に当接するボールカムが装着された各保持孔同士を連通させるための連通孔を形成するようにしているので、ボールカム、ピストン等の組立時における高さ位置調整等を行なうことなく、各保持孔の内部のオイルの圧力を等しくすることができ、差動制御時に均一なトルク伝達を行なうことができるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1から図3を参照して説明する。
【0022】
図1および図2は本発明に係るリミテッドスリップデフの実施の一形態を示したもので、本実施形態のリミテッドスリップデフ1は、図示しないトランスミッションのケーシングの内部に配設されたデフケース2を有しており、このデフケース2は、テーパ軸受3により回転自在に支持されている。このデフケース2の外周部には、トランスミッションの出力ギア(図示せず)に噛合されるリングギア4がデフケース2の回転軸と平行な方向に締付けられるボルト5により一体に固着されており、前記デフケース2には、一対の車輪駆動軸6,6の一端がその回転軸がデフケース2の回転軸と一致するように配設されている。
【0023】
また、デフケース2の内部であって前記各車輪駆動軸6の端部には、それぞれ環状のドライブカム7,7がその外側面が前記デフケース2の内部端面に接するように取付けられており、これら各ドライブカム7の内側面には、周方向に連続する凹凸面8が形成されている。また、前記デフケース2の内部の前記各ドライブカム7の間には、環状のピストンキャリア9が配設されており、このピストンキャリア9は、その一部が前記デフケース2の内面に係合されて前記デフケース2と一体に回転駆動されるようになされている。このピストンキャリア9には、前記車輪駆動軸6の軸方向と平行に延在する複数の保持孔10が周方向に所定間隔をもって形成されており、この保持孔10の内部中央には、内径が小径とされた保持フランジ11が形成されている。さらに、この保持フランジ11には、ピストン軸12が保持孔10の軸方向に沿って移動自在に保持されており、このピストン軸12の両端部には、外周面が前記保持孔10の内面に摺接する一対のピストン13がそれぞれ取付けられている。これら各ピストン13の先端部には、前記ドライブカム7の凹凸面8にころがり接触するように当接される球状のボールカム14が配設されている。
【0024】
また、図3に示すように、前記各ピストン13は、ピストン軸12に対してピストンキャリア9の周方向に互い違いにオフセットされており、本実施形態においては、一方向にオフセットされたピストン13と他方向にオフセットされたピストン13とをそれぞれ周方向に2つずつ交互に配置するようになっている。ボールカム14は、ドライブカム7の凹凸面8の斜面に当接することにより、適正なトルク伝達を行なうことができるものであるが、本実施形態のようにピストン軸12に対して各ピストン13をオフセットして取付けることにより、前記各ドライブカム7の位相がずれた場合でも、ドライブカム7の凹凸面8の斜面に対して常時複数のボールカム14を当接させることができるものである。なお、本実施形態においては、上記ピストン13は、オフセット方向の異なるピストン13を周方向に2つずつ交互に配置するようにしたが、この配置に限定されるものではなく、ドライブカム7の凹凸面8の凹凸の数、傾斜角度等の要素に応じて、1つずつあるいは3つ以上毎に交互に配置するようにしてもよい。
【0025】
また、前記保持孔10の内部であって前記保持フランジ11を挟んでピストン13の間部分には、オイル15が充填されており、本実施形態においては、前記保持フランジ11とピストン軸12との間には、わずかな間隙16が形成されており、この間隙16により、前記オイル15は、前記保持フランジ11の両側に往来できるようになされている。さらに、本実施形態においては、前記各保持孔10のうち同一のオフセットを有するとともに、ドライブカム7の凹凸面8の同一傾斜面に当接するボールカム14が装着された各保持孔10同士を連通させるための連通孔17が形成されており、この連通孔17により、各保持孔10の内部のオイル15の圧力を等しくするようになっている。
【0026】
さらに、本実施形態においては、前記デフケース2の外周には、速度検出用ギア18が形成されており、この速度検出用ギア18には、デフケース2の回転数を取出すスピードメータギア19が噛合されるようになっている。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0028】
本実施形態においては、エンジン等の駆動機関からトランスミッションに伝達された駆動力は、トランスミッションの出力ギアからリミテッドスリップデフ1のリングギア4に伝達され、これにより、リングギア4とデフケース2とが回転軸を中心として一体に回転する。このデフケース2の回転により、ピストンキャリア9も一体に回転され、この回転力をボールカム14を介してドライブカム7に伝達することにより、車輪駆動軸6を駆動するようになっている。
【0029】
そして、一方の車輪駆動軸6に負荷がかかると、この車輪駆動軸6に取付けられたドライブカム7に負荷がかかり、このドライブカム7の凹凸面8により、ボールカム14を押圧する力が加わる。そのため、ボールカム14を介してピストン13およびピストン軸12を移動させようとするが、前記オイル15の油圧により、ピストン軸12の移動が制限されることになる。
【0030】
すなわち、車輪駆動軸6の回転速度が速いと、ドライブカム7の凹凸面8を介してボールカム14に大きい力が加わるため、ピストン軸12が移動しようとした場合に、前記保持フランジ11に形成された間隙16によるオリフィス効果により、保持孔10の前記力が加わったボールカム14側の内部に大きい油圧が発生し、これにより、ピストン軸12の移動が大きく制限されることになる。一方、車輪駆動軸6の回転速度が遅いと、ドライブカム7の凹凸面8を介してボールカム14に加わる力が小さいため、オリフィス効果も小さく、保持孔10の内部の油圧も小さくなり、これにより、ピストン軸12の移動の制限も小さくなる。このように本実施形態においては、車輪駆動軸6の回転速度に応じてピストン軸12の移動の制限を変化させることができるので、速度に感応した差動制御を行なうことができる。
【0031】
この場合に、本実施形態においては、連通孔17を設けるようにしているので、ボールカム14、ピストン13、ピストン軸12の組立時における高さ位置調整等を行なうことなく、各保持孔10の内部のオイル15の圧力を等しくすることができ、差動制御時に均一なトルク伝達を行なうことができる。
【0032】
また、デフケース2に回転力が付与されると、ピストンキャリア9がボールカム14とともに回転され、このボールカム14の回転力によりボールカム14が各ドライブカム7の凹凸面8の斜面に押圧力が加わり、この押圧力の分力により、各ドライブカム7に入力トルクに応じた外側に向かう力が加わり、前記ドライブカム7とデフケース2の内面との摩擦により入力トルクに感応した差動制御を行なうことができる。このとき、リングギア4を介してデフケース2に入力される入力トルクが大きい場合は、ドライブカム7に加わる分力が大きいため、前記ドライブカム7とデフケース2の内面との摩擦力が大きくなる。逆に、入力トルクが小さいと、ドライブカム7に加わる分力が小さいことから、前記ドライブカム7とデフケース2の内面との摩擦力が小さくなる。
【0033】
この場合に、例えば、粘性等オイル15の特性を変化させたり、前記保持フランジ11の間隙16の寸法を変化させることにより、速度に応じた差動制御特性を変化させることが可能である。
【0034】
さらに、ドライブカム7のカム面の傾斜角度を変化させることにより、トルクバイアスレシオを変更することができ、また、前記ドライブカム7の外側面あるいは前記デフケース2の内部端面の表面粗さを変化させて、ドライブカム7とデフケース2とが接触する場合の摩擦力を変化させることにより、トルクバイアスレシオを変更することができる。さらに、前記ドライブカム7の外側面あるいは前記デフケース2の内部端面の研磨目等の形状に方向性を持たせることにより、左右旋回時や加減速時におけるトルクバイアスレシオを変更することができる。
【0035】
したがって、本実施形態においては、車輪駆動軸6の回転速度に応じてピストン軸12の移動の制限を変化させることができるので、速度に感応した差動制御を行なうことができるとともに、ドライブカム7に加わる分力により、前記ドライブカム7とデフケース2の内面との摩擦力を変化させることができるので、入力トルクに感応した差動制御を行なうことができる。その結果、極端に滑りやすい路面において片車輪がスリップした場合等のように、入力トルクがわずかしか伝達できない場合でも、発進性および走行安定性を高めることができ、さらに、高速時の直進安定性、コーナリング時における姿勢コントロール性を高めることができる。
【0036】
また、ボールカム14を用いてドライブカム7に対するころがり接触によりトルク伝達を行なうようにしているので、常にフリクションが発生し、バックラッシュを除去してノイズの発生を著しく低減させることができ、しかも、機構の動作時に摩耗粉の発生が少ないので、例えば、異物を嫌うオートマチックトランスミッションにも内蔵することが可能となる。
【0037】
さらに、オイル15の特性、保持フランジ11とピストン軸12との間隙16の寸法、ドライブカム7の凹凸面8の傾斜角度、ドライブカム7とデフケース2との摩擦力等を変更することにより、幅広いセッティングが可能である。
【0038】
しかも、従来のように、デファレンシャルとリミテッドスリップデフ1とを別個の機構として設けるものでないため、構造が簡単であり、製造が容易で、しかも、装置の小型軽量化を図ることができる。
【0039】
なお、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1に記載の発明に係るリミテッドスリップデフは、速度および入力トルクに感応した差動制御を行なうことができるので、極端に滑りやすい路面においても、発進性および走行安定性を高めることができ、さらに、高速時の直進安定性、コーナリング時における姿勢コントロール性を高めることができる。また、ボールカムを用いてドライブカムに対するころがり接触によりトルク伝達を行なうようにしているので、ノイズの発生を著しく低減させることができ、しかも、機構の動作時に摩耗粉の発生が少なくすることができる。さらに、オイルの特性、間隙寸法、ドライブカムの凹凸面の傾斜角度、ドライブカムとデフケースとの摩擦力等を変更することにより、幅広いセッティングが可能である。しかも、従来のように、デファレンシャルとリミテッドスリップデフとを別個の機構として設けるものでないため、構造が簡単であり、製造が容易で、しかも、装置の小型軽量化を図ることができる。
【0041】
請求項2に記載の発明は、保持フランジとピストン軸との間にわずかな間隙を形成し、この間隙により、前記オイルが前記各ピストン側に往来できるようにしているので、前記間隙により適正にオリフィス効果を得ることができ、油圧による適正な差動制御を行なうことができる。
【0042】
請求項3に記載の発明は、各ピストンを互い違いにオフセットして配設するようにしているので、各ドライブカムの位相がずれた場合でも、ドライブカムの凹凸面の斜面に対して常時複数のボールカムを当接させることができ、適正なトルク伝達を行なうことができる。
【0043】
請求項4に記載の発明は、連通孔により、ボールカム、ピストン等の組立時における高さ位置調整等を行なうことなく、各保持孔の内部のオイルの圧力を等しくすることができ、差動制御時に均一なトルク伝達を行なうことができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るリミテッドスリップデフの実施の一形態を示す断面図
【図2】 図1に示すリミテッドスリップデフの側面図
【図3】 本発明のリミテッドスリップデフのドライブカムと各ボールカムとの関係を示す説明図
【図4】 従来のデファレンシャルを示す断面図
【符号の説明】
1 リミテッドスリップデフ
2 デフケース
6 車輪駆動軸
7 ドライブカム
8 凹凸面
9 ピストンキャリア
10 保持孔
11 保持フランジ
12 ピストン軸
13 ピストン
14 ボールカム
15 オイル
16 間隙
17 連通孔
【発明の属する技術分野】
本発明はリミテッドスリップデフに係り、特に、速度および入力トルクに応じて差動制御を行なうことを可能としたリミテッドスリップデフに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等の車両においては、エンジン等の駆動機関からトランスミッションを介して出力される駆動力をタイヤ等の車輪側に適正に伝達するためのデファレンシャルが用いられている。
【0003】
図4はこのような従来のデファレンシャルを示したもので、このデファレンシャル30は、図示しないトランスミッションのケーシング31の内部に配設されたデフケース32を有しており、このデフケース32は、軸受33により回転自在に支持されている。このデフケース32の外周部には、トランスミッションの出力ギアに噛合されるリングギア34が一体に固着されており、前記デフケース32には、一対の車輪駆動軸35,35の一端がその回転軸がデフケース32の回転軸と一致するように取付けられている。
【0004】
また、デフケース32の内部には、前記各車輪駆動軸35の端部にそれぞれ取付けられたサイドギア36およびこれら各サイドギア36に噛合される一対のピニオン37からなるデファレンシャル機構38が配設されており、前記各ピニオン37は、デフケース32の内部に前記車輪駆動軸35の回転軸と直交する方向に位置決めされたピニオンシャフト39の両端部に取付けられるようになっている。
【0005】
さらに、前記デフケース32の外周には、検出用ギア40が一体に配設されており、この検出用ギア40には、スピードメータギア41が噛合されるようになっている。
【0006】
このような従来のデファレンシャル30においては、エンジン等の駆動機関からトランスミッションに伝達された駆動力は、トランスミッションの出力ギアからデファレンシャル30のリングギア34に伝達され、これにより、リングギア34とデフケース32とが回転軸を中心として一体に回転し、デフケース32の内部に配設されたデファレンシャル機構38を介して車輪駆動軸35を駆動するようになっている。
【0007】
ところで、前記デファレンシャルにおいては、雪道、ぬかるみ等極端に滑りやすい路面において、走行中に片側の車輪が空転すると、車体の走行安定性を欠いたり、停止時においては、片側の車輪が空転すると、発進することができなくなってしまう。
【0008】
このような不都合を回避するため、従来から、リミテッドスリップデフが用いられており、このリミテッドスリップデフは、前記デファレンシャル機構の内部に別個の機構として設けられるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来のリミテッドスリップデフにおいては、デファレンシャルと別個の機構として設けるものであるため、部品数の増加を招き、装置の大型化を招いてしまうという問題を有している。しかも、通常のデファレンシャルを用いるものであるため、ギアの噛み合いによるノイズが発生したり、摩耗粉が発生してしまうという不都合を有している。また、速度および入力トルクに応じて差動制御を行なうためには、複雑な制御が必要となり、幅広いセッティングを行なうことができないという問題を有している。
【0010】
本発明は前記した点に鑑みてなされたもので、ギアの噛み合いを利用することなく、速度および入力トルクに応じた適正な差動制御を行なうことができ、しかも、装置の小型軽量化を図ることのできるリミテッドスリップデフを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の発明に係るリミテッドスリップデフは、トランスミッションの出力回転により回転駆動されるデフケースの内部に、一対の車輪駆動軸の端部がそれぞれ接続されるドライブカムをその外側面が前記デフケースの内部端面に接するように配設するとともに、これら各ドライブカムの内側面に周方向に連続する凹凸面を形成し、前記各ドライブカムの間に環状のピストンキャリアを前記デフケースと一体に回転駆動するように配設し、前記ピストンキャリアに前記車輪駆動軸の軸方向と平行な複数の保持孔を周方向に所定間隔をもって形成し、これら各保持孔の内部に先端部に前記各ドライブカムの凹凸面に当接するボールカムを配設してなる一対のピストンをそれぞれ配設し、これら各ピストンの間にわずかな間隙をもって各ピストン側に往来自在となるようにオイルを充填したことを特徴とするものである。
【0012】
この請求項1に記載の発明によれば、トランスミッションの出力回転によりデフケースが回転駆動されると、ピストンキャリアも一体に回転され、この回転力をボールカムを介してドライブカムに伝達することにより、車輪駆動軸を駆動するようになっている。
【0013】
そして、一方の車輪駆動軸に負荷がかかると、この車輪駆動軸に取付けられたドライブカムに負荷がかかり、このドライブカムの凹凸面により、ボールカムを押圧する力が加わるため、ボールカムを介してピストンを移動させようとするが、前記間隙によるオリフィス効果により、保持孔の内部に速度に応じたオイルの油圧が発生し、この油圧により、ピストン軸の移動が制限され、速度に感応した差動制御を行なうことができる。
【0014】
また、デフケースに回転力が付与されると、ピストンキャリアがボールカムとともに回転され、このボールカムの回転力によりボールカムが各ドライブカムの凹凸面の斜面に押圧力が加わり、この押圧力の分力により、各ドライブカムに入力トルクに応じた外側に向かう力が加わり、前記ドライブカムとデフケースの内面との摩擦により入力トルクに感応した差動制御を行なうことができるものである。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記各保持孔の内部ほぼ中央に、内径が小径とされた保持フランジを形成するとともに、この保持フランジに両端部に前記各ピストンが取付けられるピストン軸を保持孔の軸方向に沿って移動自在に保持し、前記保持フランジとピストン軸との間にわずかな間隙を形成し、この間隙により、前記オイルが前記各ピストン側に往来できるようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
この請求項2に記載の発明によれば、保持フランジとピストン軸との間にわずかな間隙を形成し、この間隙により、前記オイルが前記各ピストン側に往来できるようにしているので、前記間隙により適正にオリフィス効果を得ることができ、油圧による適正な差動制御を行なうことができるものである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記1つの保持孔における各ピストンを、前記ピストンキャリアの周方向に互い違いにオフセットして配設するようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
この請求項3に記載の発明によれば、1つの保持孔における各ピストンを、前記ピストンキャリアの周方向に互い違いにオフセットして配設するようにしているので、前記各ドライブカムの位相がずれた場合でも、ドライブカムの凹凸面の斜面に対して常時複数のボールカムを当接させることができ、適正なトルク伝達を行なうことができるものである。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記各保持孔のうち同一のオフセットを有するとともに、前記ドライブカムの凹凸面の同一傾斜面に当接するボールカムが装着された各保持孔同士を連通させるための連通孔を形成したことを特徴とするものである。
【0020】
この請求項4に記載の発明によれば、各保持孔のうち同一のオフセットを有するとともに、ドライブカムの凹凸面の同一傾斜面に当接するボールカムが装着された各保持孔同士を連通させるための連通孔を形成するようにしているので、ボールカム、ピストン等の組立時における高さ位置調整等を行なうことなく、各保持孔の内部のオイルの圧力を等しくすることができ、差動制御時に均一なトルク伝達を行なうことができるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1から図3を参照して説明する。
【0022】
図1および図2は本発明に係るリミテッドスリップデフの実施の一形態を示したもので、本実施形態のリミテッドスリップデフ1は、図示しないトランスミッションのケーシングの内部に配設されたデフケース2を有しており、このデフケース2は、テーパ軸受3により回転自在に支持されている。このデフケース2の外周部には、トランスミッションの出力ギア(図示せず)に噛合されるリングギア4がデフケース2の回転軸と平行な方向に締付けられるボルト5により一体に固着されており、前記デフケース2には、一対の車輪駆動軸6,6の一端がその回転軸がデフケース2の回転軸と一致するように配設されている。
【0023】
また、デフケース2の内部であって前記各車輪駆動軸6の端部には、それぞれ環状のドライブカム7,7がその外側面が前記デフケース2の内部端面に接するように取付けられており、これら各ドライブカム7の内側面には、周方向に連続する凹凸面8が形成されている。また、前記デフケース2の内部の前記各ドライブカム7の間には、環状のピストンキャリア9が配設されており、このピストンキャリア9は、その一部が前記デフケース2の内面に係合されて前記デフケース2と一体に回転駆動されるようになされている。このピストンキャリア9には、前記車輪駆動軸6の軸方向と平行に延在する複数の保持孔10が周方向に所定間隔をもって形成されており、この保持孔10の内部中央には、内径が小径とされた保持フランジ11が形成されている。さらに、この保持フランジ11には、ピストン軸12が保持孔10の軸方向に沿って移動自在に保持されており、このピストン軸12の両端部には、外周面が前記保持孔10の内面に摺接する一対のピストン13がそれぞれ取付けられている。これら各ピストン13の先端部には、前記ドライブカム7の凹凸面8にころがり接触するように当接される球状のボールカム14が配設されている。
【0024】
また、図3に示すように、前記各ピストン13は、ピストン軸12に対してピストンキャリア9の周方向に互い違いにオフセットされており、本実施形態においては、一方向にオフセットされたピストン13と他方向にオフセットされたピストン13とをそれぞれ周方向に2つずつ交互に配置するようになっている。ボールカム14は、ドライブカム7の凹凸面8の斜面に当接することにより、適正なトルク伝達を行なうことができるものであるが、本実施形態のようにピストン軸12に対して各ピストン13をオフセットして取付けることにより、前記各ドライブカム7の位相がずれた場合でも、ドライブカム7の凹凸面8の斜面に対して常時複数のボールカム14を当接させることができるものである。なお、本実施形態においては、上記ピストン13は、オフセット方向の異なるピストン13を周方向に2つずつ交互に配置するようにしたが、この配置に限定されるものではなく、ドライブカム7の凹凸面8の凹凸の数、傾斜角度等の要素に応じて、1つずつあるいは3つ以上毎に交互に配置するようにしてもよい。
【0025】
また、前記保持孔10の内部であって前記保持フランジ11を挟んでピストン13の間部分には、オイル15が充填されており、本実施形態においては、前記保持フランジ11とピストン軸12との間には、わずかな間隙16が形成されており、この間隙16により、前記オイル15は、前記保持フランジ11の両側に往来できるようになされている。さらに、本実施形態においては、前記各保持孔10のうち同一のオフセットを有するとともに、ドライブカム7の凹凸面8の同一傾斜面に当接するボールカム14が装着された各保持孔10同士を連通させるための連通孔17が形成されており、この連通孔17により、各保持孔10の内部のオイル15の圧力を等しくするようになっている。
【0026】
さらに、本実施形態においては、前記デフケース2の外周には、速度検出用ギア18が形成されており、この速度検出用ギア18には、デフケース2の回転数を取出すスピードメータギア19が噛合されるようになっている。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0028】
本実施形態においては、エンジン等の駆動機関からトランスミッションに伝達された駆動力は、トランスミッションの出力ギアからリミテッドスリップデフ1のリングギア4に伝達され、これにより、リングギア4とデフケース2とが回転軸を中心として一体に回転する。このデフケース2の回転により、ピストンキャリア9も一体に回転され、この回転力をボールカム14を介してドライブカム7に伝達することにより、車輪駆動軸6を駆動するようになっている。
【0029】
そして、一方の車輪駆動軸6に負荷がかかると、この車輪駆動軸6に取付けられたドライブカム7に負荷がかかり、このドライブカム7の凹凸面8により、ボールカム14を押圧する力が加わる。そのため、ボールカム14を介してピストン13およびピストン軸12を移動させようとするが、前記オイル15の油圧により、ピストン軸12の移動が制限されることになる。
【0030】
すなわち、車輪駆動軸6の回転速度が速いと、ドライブカム7の凹凸面8を介してボールカム14に大きい力が加わるため、ピストン軸12が移動しようとした場合に、前記保持フランジ11に形成された間隙16によるオリフィス効果により、保持孔10の前記力が加わったボールカム14側の内部に大きい油圧が発生し、これにより、ピストン軸12の移動が大きく制限されることになる。一方、車輪駆動軸6の回転速度が遅いと、ドライブカム7の凹凸面8を介してボールカム14に加わる力が小さいため、オリフィス効果も小さく、保持孔10の内部の油圧も小さくなり、これにより、ピストン軸12の移動の制限も小さくなる。このように本実施形態においては、車輪駆動軸6の回転速度に応じてピストン軸12の移動の制限を変化させることができるので、速度に感応した差動制御を行なうことができる。
【0031】
この場合に、本実施形態においては、連通孔17を設けるようにしているので、ボールカム14、ピストン13、ピストン軸12の組立時における高さ位置調整等を行なうことなく、各保持孔10の内部のオイル15の圧力を等しくすることができ、差動制御時に均一なトルク伝達を行なうことができる。
【0032】
また、デフケース2に回転力が付与されると、ピストンキャリア9がボールカム14とともに回転され、このボールカム14の回転力によりボールカム14が各ドライブカム7の凹凸面8の斜面に押圧力が加わり、この押圧力の分力により、各ドライブカム7に入力トルクに応じた外側に向かう力が加わり、前記ドライブカム7とデフケース2の内面との摩擦により入力トルクに感応した差動制御を行なうことができる。このとき、リングギア4を介してデフケース2に入力される入力トルクが大きい場合は、ドライブカム7に加わる分力が大きいため、前記ドライブカム7とデフケース2の内面との摩擦力が大きくなる。逆に、入力トルクが小さいと、ドライブカム7に加わる分力が小さいことから、前記ドライブカム7とデフケース2の内面との摩擦力が小さくなる。
【0033】
この場合に、例えば、粘性等オイル15の特性を変化させたり、前記保持フランジ11の間隙16の寸法を変化させることにより、速度に応じた差動制御特性を変化させることが可能である。
【0034】
さらに、ドライブカム7のカム面の傾斜角度を変化させることにより、トルクバイアスレシオを変更することができ、また、前記ドライブカム7の外側面あるいは前記デフケース2の内部端面の表面粗さを変化させて、ドライブカム7とデフケース2とが接触する場合の摩擦力を変化させることにより、トルクバイアスレシオを変更することができる。さらに、前記ドライブカム7の外側面あるいは前記デフケース2の内部端面の研磨目等の形状に方向性を持たせることにより、左右旋回時や加減速時におけるトルクバイアスレシオを変更することができる。
【0035】
したがって、本実施形態においては、車輪駆動軸6の回転速度に応じてピストン軸12の移動の制限を変化させることができるので、速度に感応した差動制御を行なうことができるとともに、ドライブカム7に加わる分力により、前記ドライブカム7とデフケース2の内面との摩擦力を変化させることができるので、入力トルクに感応した差動制御を行なうことができる。その結果、極端に滑りやすい路面において片車輪がスリップした場合等のように、入力トルクがわずかしか伝達できない場合でも、発進性および走行安定性を高めることができ、さらに、高速時の直進安定性、コーナリング時における姿勢コントロール性を高めることができる。
【0036】
また、ボールカム14を用いてドライブカム7に対するころがり接触によりトルク伝達を行なうようにしているので、常にフリクションが発生し、バックラッシュを除去してノイズの発生を著しく低減させることができ、しかも、機構の動作時に摩耗粉の発生が少ないので、例えば、異物を嫌うオートマチックトランスミッションにも内蔵することが可能となる。
【0037】
さらに、オイル15の特性、保持フランジ11とピストン軸12との間隙16の寸法、ドライブカム7の凹凸面8の傾斜角度、ドライブカム7とデフケース2との摩擦力等を変更することにより、幅広いセッティングが可能である。
【0038】
しかも、従来のように、デファレンシャルとリミテッドスリップデフ1とを別個の機構として設けるものでないため、構造が簡単であり、製造が容易で、しかも、装置の小型軽量化を図ることができる。
【0039】
なお、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1に記載の発明に係るリミテッドスリップデフは、速度および入力トルクに感応した差動制御を行なうことができるので、極端に滑りやすい路面においても、発進性および走行安定性を高めることができ、さらに、高速時の直進安定性、コーナリング時における姿勢コントロール性を高めることができる。また、ボールカムを用いてドライブカムに対するころがり接触によりトルク伝達を行なうようにしているので、ノイズの発生を著しく低減させることができ、しかも、機構の動作時に摩耗粉の発生が少なくすることができる。さらに、オイルの特性、間隙寸法、ドライブカムの凹凸面の傾斜角度、ドライブカムとデフケースとの摩擦力等を変更することにより、幅広いセッティングが可能である。しかも、従来のように、デファレンシャルとリミテッドスリップデフとを別個の機構として設けるものでないため、構造が簡単であり、製造が容易で、しかも、装置の小型軽量化を図ることができる。
【0041】
請求項2に記載の発明は、保持フランジとピストン軸との間にわずかな間隙を形成し、この間隙により、前記オイルが前記各ピストン側に往来できるようにしているので、前記間隙により適正にオリフィス効果を得ることができ、油圧による適正な差動制御を行なうことができる。
【0042】
請求項3に記載の発明は、各ピストンを互い違いにオフセットして配設するようにしているので、各ドライブカムの位相がずれた場合でも、ドライブカムの凹凸面の斜面に対して常時複数のボールカムを当接させることができ、適正なトルク伝達を行なうことができる。
【0043】
請求項4に記載の発明は、連通孔により、ボールカム、ピストン等の組立時における高さ位置調整等を行なうことなく、各保持孔の内部のオイルの圧力を等しくすることができ、差動制御時に均一なトルク伝達を行なうことができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るリミテッドスリップデフの実施の一形態を示す断面図
【図2】 図1に示すリミテッドスリップデフの側面図
【図3】 本発明のリミテッドスリップデフのドライブカムと各ボールカムとの関係を示す説明図
【図4】 従来のデファレンシャルを示す断面図
【符号の説明】
1 リミテッドスリップデフ
2 デフケース
6 車輪駆動軸
7 ドライブカム
8 凹凸面
9 ピストンキャリア
10 保持孔
11 保持フランジ
12 ピストン軸
13 ピストン
14 ボールカム
15 オイル
16 間隙
17 連通孔
Claims (4)
- トランスミッションの出力回転により回転駆動されるデフケースの内部に、一対の車輪駆動軸の端部がそれぞれ接続されるドライブカムをその外側面が前記デフケースの内部端面に接するように配設するとともに、これら各ドライブカムの内側面に周方向に連続する凹凸面を形成し、前記各ドライブカムの間に環状のピストンキャリアを前記デフケースと一体に回転駆動するように配設し、前記ピストンキャリアに前記車輪駆動軸の軸方向と平行な複数の保持孔を周方向に所定間隔をもって形成し、これら各保持孔の内部に先端部に前記各ドライブカムの凹凸面に当接するボールカムを配設してなる一対のピストンをそれぞれ配設し、これら各ピストンの間にわずかな間隙をもって各ピストン側に往来自在となるようにオイルを充填したことを特徴とするリミテッドスリップデフ。
- 前記各保持孔の内部ほぼ中央に、内径が小径とされた保持フランジを形成するとともに、この保持フランジに両端部に前記各ピストンが取付けられるピストン軸を保持孔の軸方向に沿って移動自在に保持し、前記保持フランジとピストン軸との間にわずかな間隙を形成し、この間隙により、前記オイルが前記各ピストン側に往来できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のリミテッドスリップデフ。
- 前記1つの保持孔における各ピストンを、前記ピストンキャリアの周方向に互い違いにオフセットして配設するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリミテッドスリップデフ。
- 前記各保持孔のうち同一のオフセットを有するとともに、前記ドライブカムの凹凸面の同一傾斜面に当接するボールカムが装着された各保持孔同士を連通させるための連通孔を形成したことを特徴とする請求項3に記載のリミテッドスリップデフ。
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