JP3901103B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒の流動制御に好適な絞り装置を備え、二相冷媒の流動制御に好適な冷凍サイクル装置、さらには冷房あるいは暖房運転時の温度および湿度の制御性を向上させるとともに、冷媒流動音を低減し、室内温湿度および騒音に対する快適性を向上させた空気調和装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の空気調和装置では、空調負荷の変動に対応するためにインバーターなどの容量可変型圧縮機が用いられ、空調負荷の大小に応じて圧縮機の回転周波数が制御されている。ところが冷房運転時に圧縮機回転が小さくなると蒸発温度も上昇し、蒸発器での除湿能力が低下したり、あるいは蒸発温度が室内の露点温度以上に上昇し、除湿できなくなったりする問題点があった。
【0003】
この冷房低容量運転時の除湿能力を向上させる手段としては次のような空気調和装置が考案されている。図14は例えば特開平11-51514号公報に示された従来の空気調和装置の冷媒回路図を、図15は図14に備えられた一般的な絞り弁の断面図を示す。図において1は圧縮機、2は四方弁、3は室外熱交換器、4は第1流量制御装置、5は第1室内熱交換器、6は第2流量制御装置、7は第2室内熱交換器であり、これらは配管で順次接続され冷凍サイクルを構成している。
次に従来の空気調和装置の動作について説明する。冷房運転では、圧縮機1を出た冷媒は四方弁2を通過して、室外熱交換器3で凝縮液化し、第1流量制御装置4の二方弁12は閉じられているため、絞り装置11で減圧され室内熱交換器5において蒸発気化し再び四方弁2を介して圧縮機1に戻る。また、暖房運転では圧縮機1を出た冷媒は冷房運転とは逆に四方弁2を通過して、室内熱交換器5で凝縮液化し、第1流量制御装置4の二方弁12は閉じられているため主絞り装置11で減圧され室外熱交換器3において蒸発気化し再び四方弁2を介して圧縮機1に戻る。
【0004】
一方、除湿運転時には、第1流量制御装置4の主絞り装置11は閉じられ、二方弁12を開け第2流量制御弁6で冷媒流量を制御することにより、第1室内熱交換器5が凝縮器すなわち再熱器、第2室内熱交換器7が蒸発器として動作し、室内空気は第1室内熱交換器5で加熱されるため、室温の低下が小さい除湿運転が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の空気調和装置では、室内ユニット内に設置する第2流量制御弁として、通常、オリフィスを有する流量制御弁を用いているため、このオリフィスを冷媒が通過する時に発生する冷媒流動音が大きく、室内環境を悪化させる要因となっていた。特に除湿運転時には第2流量制御弁の入口が気液二相冷媒となり、冷媒流動音が大きくなるという問題があった。
【0006】
この除湿運転時の第2流量制御弁の冷媒流動音低減策としては、特開平11−51514号公報に示された流量制御弁内に複数の切り込み溝と弁体からなるオリフィス状の絞り流路を設けたものがある。ところがこの冷媒流動音低減策では絞り部が複数のオリフィス形状の流路で気液二相冷媒を連続的に流すように工夫したものであるが、加工上配置し得る流路数が有限であるため効果的ではなく冷媒流動音が大きくなるといった問題があった。その結果、第2流量制御装置の周囲に遮音材や制振材を設けるなどの追加の対策を必要とし、コスト増加や設置性の悪化およびリサイクル性の悪化などの問題もあった。
【0007】
これに対し、特開平7−146032号公報に示された空気調和装置で用いられている流量制御装置では、図16の断面図に示すように冷媒流動音を低減するために絞りの上流および下流側にフィルタとして多孔体32を設けてある。しかしながら、多孔体32と絞り部の距離が離れているため、気液二相冷媒を連続的に絞り部に効果的に供給することはできず、冷媒流動音が大きくなるといった問題があった。
【0008】
また、特開平10−131681号公報に示された空気調和機で用いられている流量制御装置の構成断面図を図17に示す。冷媒流動音を低減するために絞りの上流および下流側に両端間を連通する穴を複数個有する消音手段のハニカムパイプ37を設けてある。前記ハニカムパイプの断面図を図18に示す。配管内に設置された複数個の穴では冷媒の通過面積が小さく、冷凍サイクル内を流れる異物により閉塞されやすく、冷媒流量の低下により性能が低下するといった問題点や絞り部にバイパス流路が無いため、圧力損失なしに冷媒を流すことができないといった問題点があった。
【0009】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、冷媒流動音を大幅に低減でき、サイクル内の異物により閉塞することが無い絞り装置を用いた冷凍サイクル装置および空気調和装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に関わる空気調和装置は、圧縮機、室外熱交換器、第1流量制御装置、第1室内熱交換器、第2流量制御装置、第2室内熱交換器を接続した冷凍サイクルを備えた空気調和機において、前記第2流量制御装置は、冷媒の流れ方向に連通する多孔質透過材を絞り部の上流および下流に有するとともに、前記絞り部と多孔質透過材との間に空間を設け、空気調和装置起動時に、前記温度偏差および湿度偏差がともに所定値よりも大きい場合、第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させないように制御するとともに、設定温度と現在の室内空気温度との温度偏差または設定湿度と現在の室内空気湿度との湿度偏差が所定値以内となるように制御するものである。
【0011】
本発明の請求項2に関わる空気調和装置は、前記温度偏差および湿度偏差が所定値以内となっている場合に現在の運転を継続するように制御したものである。
【0012】
本発明の請求項3に関わる空気調和装置は、前記温度偏差が所定値以内の時、前記湿度偏差が所定値より大きくなっている場合に、前記第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させるように制御したものである。
【0013】
本発明の請求項4に関わる空気調和装置は、前記室外熱交換器に付設された室外ファンの回転数または前記第1流量制御装置の弁開度を調整して前記第1室内熱交換器の加熱量を制御するとともに、前記圧縮機の回転周波数と前記室内ファンの回転数を調整して前記第2室内熱交換器の冷却除湿量を制御するものである。
【0014】
本発明の請求項5に関わる空気調和装置は、暖房運転起動時、前記第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させるように制御したものである。
【0015】
本発明の請求項6に関わる空気調和装置は、前記第1室内熱交換器の冷却除湿能力がゼロとなるように、前記室外ファンの回転数および前記第1流量制御装置の弁開度を調整して、前記第1室内熱交換器の蒸発温度が室内空気温度と等しくなるように制御したものである。
【0016】
本発明の請求項7に関わる空気調和装置は、暖房運転起動から所定時間が経過すると、前記第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させないように制御するものである。
【0017】
本発明の請求項8に関わる空気調和装置は、前記温度偏差が所定値以内となるように、前記圧縮機の回転数、前記室内ファンの回転数および前記室外ファンの回転数を調整したものである。
【0018】
本発明の請求項9に関わる空気調和装置は、前記湿度偏差が所定値以上の場合、前記第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させるように制御したものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態の一例を示す空気調和装置の冷媒回路図で、従来装置と同様の部分は同一符号で表している。図において、1は圧縮機、2は冷房運転および暖房運転の冷媒の流れを切換える流路切換え手段で例えば四方弁、3は室外熱交換器、4は第1流量制御装置、5は第1室内熱交換器、6は第2流量制御装置、7は第2室内熱交換器であり、これらは配管によって順次接続され冷凍サイクルを構成している。また、室外ユニット33には室外熱交換器3に付設された室外ファン40が、室内ユニット34には2つの室内熱交換器に付設された室内ファン41がそれぞれ内蔵されている。この冷凍サイクルの冷媒には、R32とR125の混合冷媒であるR410Aが用いられ、冷凍機油としてはアルキルベンゼン系油が用いられている。
【0020】
図2は図1に示した空気調和装置の第2流量制御装置の構成を示す図であり、図において、8は第1室内熱交換器5と第2流量制御装置6を接続する配管、11は絞り部、12は二方弁、15は第2流量制御装置6と第2室内熱交換器を接続する配管、9は配管8と絞り部11を接続する配管、10は配管8と二方弁12を接続する配管、13は絞り部11と配管15を接続する配管、14は二方弁12と配管15を接続する配管である。第2流量制御装置6は二方弁12と絞り部11を配管で並列に接続し、構成したものである。また、図3は図2に示した第2流量制御装置6の動作を表す構成断面図であり、(a)は冷房運転もしくは暖房運転時の第2流量制御装置6の動作状態を、(b)は再熱除湿運転時の第2流量制御装置6の動作状態をそれぞれ示す。図において、16は電磁コイル、17は弁体、18は弁座である。
【0021】
図4は第2流量制御装置6の絞り部11の拡大断面図であり、19は入口消音空間、20は入口側に設置された発泡金属、21は入口側発泡金属に設けられたバイパス流路(貫通穴)、23は絞りであるオリフィス、22は入口側発泡金属20とオリフィス23の間の空間、25は出口側発泡金属、24はオリフィス23と出口側発泡金属25との間の空間、26は出口側発泡金属25に設けられたバイパス流路(貫通穴)、27は出口側消音空間である。オリフィス23の出入口に設置された発泡金属20および発泡金属25の形状は同様であり、それらの流れ方向断面図を図5に示す。発泡金属は全体が多孔質透過材であり、通気孔(流体が透過できる多孔質体表面及び内部の気孔)の気孔径が100マイクロメートル以上あれば流動音の低減効果が得られ、本実施例では目詰りの影響を考慮してその気孔径が500マイクロメートルで、空隙率が92±6%としてある。発泡金属20(25)に設けられたバイパス流路21(26)はオリフィス23と重ならない場所に1ヶ所、そして直径は気孔径の最小の100μm以上の貫通穴であればバイパスとしての作用が得られ、発泡金属の目詰まり発生を防止して信頼性の向上が図れる。本実施例では直径2ミリメートルの貫通穴が設けられている。発泡金属は、ウレタンフォームに金属粉末あるいは合金粉末を塗布後、熱処理してウレタンフォームを焼失させ金属を3次元の格子状に成形したものであり、材料はNi(ニッケル)である。強度を上げるために、Cr(クロム)をメッキ処理したものでも構わない。
【0022】
図7にはこの空気調和機に組み込まれた制御装置全体のブロック構成図を示している。この制御装置42はマイクロプロセッサ等で構成されており、例えば居住者の手元のリモートコントローラ43から空調機の運転状態を設定する運転モード信号、目標温度信号、目標湿度信号、風量切換信号、運転開始/停止信号等が与えられると、室内温度検知手段50や室内湿度検知手段51の出力を監視しながら、圧縮機1、四方弁2、室外ファン40、室内ファン41、第1流量制御装置4、第2流量制御装置6を制御する。
【0023】
次に本実施の形態による空気調和装置の冷凍サイクルの動作について説明する。図1では冷房時の冷媒の流れを実線矢印で示している。冷房運転は、起動時や夏季時など部屋の空調顕熱負荷と潜熱負荷がともに大きい場合に対応する通常冷房運転と中間期や梅雨時期のように空調顕熱負荷は小さいが、潜熱負荷が大きな場合に対応する除湿運転に分けられる。通常冷房運転は、第2流量制御装置6の二方弁は制御装置42より指令を受け、開状態になっており、第1室内熱交換器と第2室内熱交換器を冷媒がほとんど圧力損失なしに接続する。
【0024】
この時、空調負荷に応じた回転数で運転されている圧縮機1を出た高温高圧の蒸気冷媒は四方弁2を通過して、室外熱交換器3で凝縮液化し、第1流量制御装置4で減圧され低圧二相冷媒となって第1室内熱交換器5に流入し蒸発気化し、第2流量制御装置6を大きな圧力損失なしに通過し再び第2室内熱交換器7で蒸発気化し、低圧蒸気冷媒となって再び四方弁2を介して圧縮機1に戻る。
【0025】
第1流量制御装置4は、例えば圧縮機1の吸入部分で冷媒の過熱度が10℃となるように制御されている。このような冷凍サイクルでは室内熱交換器5で冷媒が蒸発することにより室内から熱を奪い、室外熱交換器3で冷媒が凝縮することによって室内で奪った熱を室外で放出することによって室内を冷房する。
【0026】
次に除湿運転時の動作について、図6に示す圧力-エンタルピー線図を用いて説明する。なお、図6に示した英文字は、図1に示した英文字と対応している。この除湿運転時は、制御装置42の指令により第2流量制御装置6の二方弁12は閉状態となる。
【0027】
この時、空調負荷に応じた回転数で運転されている圧縮機1を出た高温高圧の蒸気冷媒(A点)は四方弁2を通過して、室外熱交換器3で外気と熱交換して凝縮し気液二相冷媒となる(B点)。この高圧二相冷媒は第1流量制御装置4で若干減圧され、中間圧の気液二相冷媒となって第1室内熱交換器5に流入する(C点)。第1室内熱交換器5に流入した中間圧の気液二相冷媒は、室内空気と熱交換を行いさらに凝縮する(D点)。第1室内熱交換器を流出した気液二相冷媒は第2流量制御装置6に流入する。
【0028】
第2流量制御装置6では二方弁12が閉状態であるため、冷媒は第2流量制御装置の入口配管8から接続配管9を介し絞り部11に流れ込む。絞り部11では
接続配管9から入口側消音空間19、入口側発泡金属20、入口側発泡金属20とオリフィス23の間の空間22を介し、オリフィス23で減圧され低圧気液二相冷媒となって、オリフィス23と出口側発泡金属25との間の空間24、出口側発泡金属25、出口側消音空間27、接続配管13を順に通過して第2室内熱交換器7に流入する(E点)。このオリフィスの出入口に設置された発泡金属の冷媒流れ方向の厚さは、流動音の低減効果とその加工容易性から1ミリメートル以上あれば良く、本実施例では3ミリメートル程度としてある。また、オリフィスの内径は1ミリメートルで、厚さは3ミリメートル程度である。第2室内熱交換器7に流入した冷媒は、室内空気の顕熱および潜熱を奪って蒸発する。第2室内熱交換器を出た低圧蒸気冷媒は再び四方弁2を介して圧縮機1に戻る。室内空気は、第1室内熱交換器5で加熱され、第2室内熱交換器7で冷却除湿されるため、部屋の室温低下を防ぎながら除湿を行うことができる。
【0029】
なお、この除湿運転では、圧縮機1の回転周波数や室外熱交換器3の室外ファン40の回転数を調整して、室外熱交換器3の熱交換量を制御し、第1室内熱交換器5による室内空気の加熱量を制御して吹出し温度を広範囲に制御できる。また、第1流量制御装置4の開度や室内ファン41の回転数を制御して第1室内熱交換器の凝縮温度を制御し、第1室内熱交換器5による室内空気の加熱量を制御することもできる。また、第2流量制御装置6は例えば圧縮機吸入冷媒の過熱度が10℃となるように制御される。
【0030】
この実施の形態1では絞り部11において、絞り過程をオリフィス23としている。オリフィス23の入口側と出口側に多孔質透過材である発泡金属を設置し、入口側発泡金属20の上流および出口側発泡金属25の下流にそれぞれ消音効果が得られる空間19および27を設置したため気液二相冷媒が通過する際に発生する冷媒流動音を大幅に低減できる。
【0031】
通常のオリフィスタイプの流量制御装置に気液二相冷媒が通過する際には、大きな冷媒流動音が絞り部前後で発生する。特に気液二相冷媒の流動様式がスラグ流となる場合に大きな冷媒流動音が絞り部上流で発生する。この原因は気液二相冷媒の流動様式がスラグ流の場合は、図6に示すように流れ方向に対して蒸気冷媒が断続的に流れ、絞り部流路より大きな蒸気スラグもしくは蒸気気泡が絞り部流路を通過する際に絞り部流路上流の蒸気スラグもしくは蒸気気泡が崩壊することにより、それらが振動することや、絞り部を蒸気冷媒と液冷媒が交互に通過するため、冷媒の速度は蒸気冷媒が通過する際は速く、液冷媒が通過する際は遅くなるため、それに伴って絞り部上流の圧力も変動するからである。また、従来の第2流量制御装置6出口においては出口流路が1ヶ所〜4ヵ所であるため冷媒流速が速く、出口部分では高速気液二相流となり、壁面に冷媒が衝突するため、絞り部本体や出口流路が常に振動し騒音が発生する。また、出口部分の高速気液二相噴流による乱れや渦の発生により、噴流騒音も大きくなっている。
【0032】
図4に示した第2流量制御装置6の絞り部11に流れ込む気液二相冷媒や液冷媒は入口側発泡金属20の微細で無数の通気孔を通過し流れが整流される。そのため、気液が断続して流れるスラグ流等の蒸気スラグ(大気泡)は小さな気泡になり冷媒の流動状態が均質気液二相流(蒸気冷媒と液冷媒がよく混合された状態)となるため、蒸気冷媒と液冷媒が同時にオリフィス23を通過するため冷媒の速度変動が生じず、圧力も変動しない。また、入口側発泡金属20のような多孔質透過材は内部の流路が複雑に構成され、この内部では圧力変動が繰り返され一部熱エネルギに変換しながら圧力変動を一定にする効果があるため、オリフィス23で圧力変動が発生してもこれを吸収する効果があり、それより上流にその影響を伝えにくい。また、オリフィス23の下流の高速気液二相噴流は出口側発泡金属25により、その内部で冷媒の流速が十分に減速され、速度分布も一様化されるため、高速気液二相噴流が壁面に衝突することもなく、流れに大きな渦が発生することもないので噴流騒音も小さくなる。
【0033】
さらに、絞り部11の入口側には入口消音空間19が設けてあるので、入口側発泡金属20で抑えることができない低い周波数の圧力変動を低減することが可能である。同様に絞り部11の出口側にも出口消音空間27が設けてあるので、出口側発泡金属20で抑えることができない低い周波数の圧力変動を低減することが可能である。
【0034】
このため、従来装置で必要であった、遮音材や制振材を絞り装置6の周囲に巻きつけるなどの対策も不要でコスト低減となり、さらに空気調和装置のリサイクル性も向上する。なお、上述した気液二相冷媒に起因する冷媒流動音の課題に関しては空気調和器に限定されることなく、冷蔵庫などの冷凍サイクル一般についての課題であり、本実施の形態の絞り装置はこのような冷凍サイクル一般に広く適用することで、同様の効果が得られる。
【0035】
冷房除湿運転時の第2流量制御装置6の流量特性(冷媒流量と圧力損失の関係)はオリフィス23の径や冷媒が通過する流路長さおよびオリフィスの数を調整することによって調整することができる。
即ち、ある冷媒流量を小さな圧力損失で流す場合はオリフィスの直径を大きくしたり、流路長さを短くしたり、オリフィスを複数個用いれば良い。また、逆にある冷媒流量を大きな圧力損失で流す場合はオリフィス23の直径を小さくしたり、流路長さを長くしたり、オリフィスを1個用いれば良い。このような絞り部に用いられるオリフィスの直径や流路長さなどの形状は、機器設計時に最適に設計される。
【0036】
なお、絞り部入口側および出口側に用いる多孔質透過材の素子は、本実施例では発泡金属の場合について説明したが、セラミック、焼結金属、発泡樹脂および金網などを用いても同様の効果が得られる。
【0037】
また、入口側発泡金属20および出口側発泡金属25にそれぞれバイパス流路(貫通穴)21、26をオリフィス23とは重ならない位置に設けているため、入口側発泡金属20および出口側発泡金属25が冷凍サイクル内の異物により目詰まりを起こしたとしても、目詰まりによる性能低下を防止することが出来る。さらに、入口側発泡金属20とオリフィス23の間の空間22およびオリフィス23と出口側発泡金属25との間の空間24を設けているため発泡金属の大部分が冷媒流路になるため、絞り装置としての機能を保つことができ、絞り装置としての信頼性を十分に持っているため、空気調和装置としても十分な信頼性を持ったものを提供することが出来る。本実施例ではバイパス流路形状を円筒状のもの1箇所で説明したが、これに限るものではなく図12や図13に示す、切り欠き形状や複数個の円筒状バイパス流路であっても同様の効果を得ることができる。
【0038】
図9に従来の絞り装置により発生している騒音の周波数特性と本実施例の絞り装置の騒音の周波数特性を測定した結果を示す。図において横軸は周波数[Hz]、縦軸は音圧(SPL)[dBA]である。また、点線は本実施例の第2流量制御装置、2点鎖線は従来の第2流量制御装置を示す。本実施例は従来に比べ、全周波数範囲において、音圧レベルが低減されていることがわかる。特に、人間の耳に良く聞こえる2000Hzから7000Hzの範囲では大幅な低減効果が得られていることがわかる。
【0039】
次に、この実施の形態の空気調和装置の運転制御法について説明する。空気調和装置には、部屋内に居る居住者の好みの温湿度環境を設定するために、例えば設定温度と設定湿度が空調装置運転時に設定される。なおこの設定温度と設定湿度は、居住者がそれぞれの設定値を室内ユニットのリモートコントローラ43から直接入力してもよく、また暑がりの人用、寒がりの人用や子供用、老人用など室内ユニットのリモコンに対象とする居住者別に定めた温度および湿度の最適値テーブルを記憶させ、対象居住者のみを直接入力するようにしてもよい。また室内ユニット33には、室内の温度および湿度を検知するために、室内ユニットの吸い込み空気の温度および湿度を検出するセンサーがそれぞれ設けられている。
【0040】
空気調和装置が起動されると、設定温度と現在の室内吸込み空気温度との差を温度偏差、設定湿度と現在の室内吸込み空気湿度との差を湿度偏差として演算し、最終的にこれらの偏差がゼロあるいは所定の値以内となるように空気調和装置の圧縮機1の回転周波数、室外ファンの回転数、室内ファンの回転数、第1流量制御弁4の絞り開度、および第2流量制御弁6の開閉を制御する。この時、温度および湿度偏差をゼロあるいは所定の値以内に制御する際には、温度偏差を湿度偏差よりも優先して空気調和装置の制御を行なう。
【0041】
すなわち、空気調和装置起動時に、温度偏差および湿度偏差がともに大きい場合は、第2流量制1御弁6を図3(a)に示すように二方弁12の弁体17が開の位置となるよう制御部が指示する。この第2流量制御装置を通過する冷媒はほとんど圧力損失がないため冷房能力や効率低下などは起こらない。このように第2流量制御弁6を開状態とし、まず通常冷房運転で、室内の温度偏差を優先的にゼロまたは所定の値以内となるように運転する。空気調和装置の冷房能力が部屋の熱負荷と一致し、温度偏差がゼロまたは所定の値以内となった場合に、湿度偏差を検出し、この時、湿度偏差がゼロまたは所定の値以内となっている場合は、現在の運転を続行する。
【0042】
温度偏差がゼロまたは所定の値以内となり、この時の湿度偏差がまだ大きな値となっている場合は、第2流量制御弁6を図3(b)に示すように弁体17を弁座18と密着する位置にする。このように第2流量制御弁6を絞り、冷房除湿運転に切換える。この冷房除湿運転では、室内の温度偏差がゼロまたは所定の値以内を維持できるように、第1室内熱交換器5の加熱量を制御するとともに、湿度偏差がゼロまたは所定の値以内に入るように、第2室内熱交換器7の冷却除湿量を制御する。第1室内熱交換器5の加熱量の制御には、室外熱交換器3の室外ファンの回転数や第1流量制御弁4の開度などによって調整する。また第2室内熱交換器7の冷却除湿量の制御には、圧縮機1の回転周波数や室内ユニット34の室内ファンの回転数などによって制御する。
【0043】
このようにこの実施の形態では、冷房運転時の部屋の負荷に応じて、冷媒回路を通常冷房運転と冷房除湿運転に切換えることにより、部屋内の温湿度環境を、居住者の好みに応じて最適な状態に制御することができる。また、冷房、除湿、暖房などのモードの変化や空調負荷の変化により絞り装置を通過する冷媒の相状態や気液の混在比が変化しても絞り部11を冷媒が低騒音で安定的に流れることができる。
【0044】
本実施例では冷凍機油は冷媒に溶け難い、アルキルベンゼン系油を用いているが、冷凍サイクル内には冷媒に溶けない異物と冷凍機油に溶ける異物が存在しており、前記異物が多孔質透過材である発泡金属に付着した場合、冷媒に溶け難い冷凍機油が発泡金属を通過する際に、前記異物を洗浄する効果があるため、絞り部の詰まりに対する信頼性が向上する。
【0045】
また、冷媒に溶け易い冷凍機油を用いると、発泡金属に冷凍機油が付着したまま、圧縮機が停止ていたとしても次回圧縮機が起動した際に、冷媒により付着した冷凍機油を洗浄することが可能であるため、信頼性を向上させることができる。
【0046】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2による空気調和装置について説明する。本実施の形態は、暖房運転に関するもので、空気調和機を構成する冷媒回路は、例えば実施の形態1での図1と同様であり、第2流量制御弁6の構成は図3と同様であり、絞り部11の詳細な構造は図4と同様である。本実施の形態による空気調和装置の暖房時の動作について説明する。図1では暖房時の冷媒の流れを破線矢印で示している。通常の暖房運転は、第2流量制御弁6を図3(a)に示すように二方弁12の弁体17が開の位置となるよう制御部が指示する。
【0047】
このとき圧縮機1を出た高温高圧の冷媒蒸気は、四方弁2を通って第2室内熱交換器7および第1室内熱交換器5に流入し、室内空気と熱交換して凝縮、液化する。なお第2流量制御弁6は、図3(a)に示すように配管8と配管15とが大きな開口面積で接続されているので、この弁を通過する際の冷媒圧力損失はほとんどなく、圧力損失による暖房能力や効率面での低下もない。第1室内熱交換器5を出た高圧の液冷媒は、第1流量制御弁4で低圧に減圧され、気液二相冷媒となって室外熱交換器3で室外空気と熱交換して蒸発する。室外熱交換器3を出た低圧の蒸気冷媒は、四方弁2を通って再び圧縮機1に戻る。この通常暖房運転時の第1流量制御弁4の開度は、例えば室外熱交換器3の出口冷媒の過熱度が5℃となるように制御されている。
【0048】
次に暖房除湿運転時の動作について、図1に示した英文字と対応させて説明する。この暖房除湿運転時は、第2流量制御弁6を図3(b)に示すように二方弁12の弁体17が弁座18に密着する位置となるよう制御部が指示する。この時、圧縮機1を出た高温高圧の冷媒蒸気(A点)は、四方弁2を通って第2室内熱交換器7流入し、室内空気と熱交換して凝縮する(E点)。この高圧の液冷媒あるいは気液二相冷媒は、第2流量制御弁6に流入する。
【0049】
第2流量制御弁6では図3(b)に示すように二方弁12の弁体17が弁座18に密着しているため、配管13を介して絞り部11に流入しオリフィスにて減圧膨張し、低圧気液二相冷媒となって配管9、配管8を通って第1室内熱交換器5に流入する(D点)。この第1室内熱交換器5に流入した冷媒の飽和温度は室内空気の露点温度以下であり、室内空気の顕熱および潜熱を奪って蒸発する(C点)。第1室内熱交換器5を出た低圧の気液二相冷媒は、第1流量制御弁4に流入し、さらに減圧され室外熱交換器3に流入し、室外空気と熱交換して蒸発する。室内外熱交換器4を出た低圧の蒸気冷媒は、四方弁2を通って再び圧縮機1に戻る。
【0050】
この暖房除湿運転では、室内空気は、第2室内熱交換器7で加熱されるとともに、第1室内熱交換器5で冷却除湿されるため、部屋を暖房しながら除湿を行うことができる。また暖房除湿運転では、圧縮機1の回転周波数や室外熱交換器3のファン回転数を調整して、室外熱交換器3の熱交換量を制御し、第1室内熱交換器5による室内空気の加熱量を制御して吹出し温度を広範囲に制御できる。また第1流量制御弁4の開度や室内ファン回転数を調整して、第1室内熱交換器5の蒸発温度を制御し、第1室内熱交換器5による室内空気の除湿量を制御することもできる。また第2流量制御弁6の開度は、例えば第2室内熱交換器7の出口冷媒の過冷却度が10℃となるように制御されている。
【0051】
このように本実施の形態では、絞り部11をオリフィス23を発泡金属ではさみこんだ構造とした第2流量制御弁を用いているため、暖房時の除湿運転が可能となるとともに、この暖房除湿運転時の冷媒流動音の発生を防止でき、温湿度環境および騒音面でも快適な空間が実現できる。
【0052】
次に、この実施の形態の空気調和装置の具体的な暖房運転制御法の一例について説明する。この空気調和装置には、実施の形態1で説明したように、設定温度と設定湿度および吸込み空気温度と湿度が入力されている。この空気調和装置は、暖房起動時に高温吹出し運転運転を所定の時間、たとえば5分間行ない、その後通常暖房運転に移行する。この後、部屋の温度偏差および湿度偏差に応じて、通常暖房運転と暖房除湿運転を切換制御される。
【0053】
暖房運転起動時は、第2流量制御弁6を図3(b)に示すように二方弁12の弁体17が弁座18に密着させた絞り状態とし、圧縮機1を起動する。この時、第1室内熱交換器5での冷却除湿能力がゼロとなるように、室外熱交換器3のファン回転数や第1流量制御弁4の弁開度などを調整して、第1室内熱交換器5の蒸発温度が、吸込み空気温度と等しくなるように制御する。圧縮機起動から所定の時間である5分間が経過すると、第2流量制御弁6を図3(a)に示すような開状態とし、通常暖房運転に移行する。
【0054】
この時、温度偏差がゼロまたは所定の値以内となるように、圧縮機1の回転周波数や、室内ファンの回転数、室外ファンの回転数を調整する。この暖房通常運転により温度偏差がゼロまたは所定の値以内となった場合は、湿度偏差を検出し、この湿度偏差がゼロまたは所定の値以内の場合、および湿度偏差が所定の値以上であっても、加湿を必要とする場合には、通常暖房運転を継続する。一方、湿度偏差がゼロまたは所定の値以上であり、除湿を必要とする場合には、第2流量制御弁6を図3(b)に示すような絞り状態とし、暖房除湿運転を行なう。
【0055】
この暖房除湿運転では、室内の温度偏差がゼロまたは所定の値以内を維持できるように、第2室内熱交換器7の加熱量を制御するとともに、湿度偏差がゼロまたは所定の値以内に入るように、第1室内熱交換器5の冷却除湿量を制御する。第2室内熱交換器7の加熱量の制御には、圧縮機1の回転周波数や室内ユニット22のファン回転数などによって制御する。また第1室内熱交換器5の冷却除湿量の制御には、室外熱交換器3のファン回転数や第1流量制御弁4の開度などによって調整する。
【0056】
このようにこの実施の形態では、暖房運転時の運転時間や部屋の負荷に応じて、冷媒回路を暖房高温吹出し運転や通常暖房運転、暖房除湿運転に切換えることにより、部屋内の温湿度環境を、居住者の好みに応じて最適な状態に制御することができる。
【0057】
実施の形態3.
図10はこの発明の実施の形態の他の例を示す空気調和装置の第2流量制御装置6の絞り部11の断面詳細図であり、図4に示したものと同一または同様の構成部品には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。この実施の形態では、入口消音空間19内部の周囲に凸状ブロック28を設けている。
【0058】
図4に示した実施の形態のように入口消音空間19のように成形するよりも、本実施の形態で示したように凸状ブロック28を入口消音空間に形成する方が冷媒の流れによどみ部分が凸状ブロック28の前後に形成され、冷凍サイクル内を流動している異物が前記よどみ部分に停留させることができ、入口側発泡金属20に付着することを防止することが可能となり、空気調和装置の信頼性をより向上させることができる。本実施の形態ではよどみ部を形成するために凸状ブロックの場合について説明したがこれに限ることなく、例えば凹状の溝などであっても良く、流れによどみを形成させるものであれば良い。
【0059】
実施の形態4.
図11はこの発明の実施の形態の他の例を示す空気調和装置の第2流量制御装置6の絞り部11の断面詳細図であり、図4に示したものと同一または同様の構成部品には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。この実施の形態では、入口消音空間19と出口消音空間27内部の金網で形成されるストレーナー29を設置している。ストレーナの平均気孔径は入口側発泡金属20と出口側発泡金属25の平均気孔径500マイクロメートルよりも小さいものを設置している。
【0060】
図10に示した実施の形態3のように入口消音空間に凸状ブロック28を設けるよりも、本実施の形態で示したように入口消音空間に金網のストレーナ29を設置する方がより確実に冷媒サイクル内異物の入口側発泡金属20への付着を防止することができるため、信頼性がさらに向上した第2流量制御装置を得ることができ、信頼性が高い空気調和装置が実現される。
【0061】
また、実施の形態1から形態4では、空気調和装置の冷媒としてR410Aを用いた場合について説明した。R410AはHFC系冷媒であり、オゾン層を破壊しない地球環境保全に適した冷媒であるとともに、従来冷媒として用いられてきたR22に比べて、冷媒蒸気密度が大きく冷媒の流速が遅くなるため圧力損失が小さく、第2流量制御装置6の絞り部に用いる多孔体の通気孔の径を小さくでき、より一層冷媒流動音低減効果を得ることができる冷媒である。
【0062】
さらに、この空気調和装置の冷媒としては、R410Aに限ることはなく、HFC系冷媒であるR407CやR404A、R507Aであっても良い。また、地球温暖化防止の観点から、地球温暖化系数の小さなHFC系冷媒であるR32単独、R152a単独あるいはR32/R134aなどの混合冷媒であっても良い。
また、プロパンやブタン、イソブタンなどのHC系冷媒やアンモニア、二酸化炭素、エーテルなどの自然系冷媒およびそれらの混合冷媒であっても良い。特に、プロパンやブタン、イソブタンおよびそれらの混合冷媒はR410Aに比べ動作圧力が小さく、凝縮圧力と蒸発圧力の圧力差が小さいため、オリフィスの内径を大きくすることが可能であり、詰まりに対する信頼性がさらに向上させることができる。
【0063】
なお、上記は第2流量制御装置を構成する絞り部と二方弁の組合せで説明をしてきたが、二方弁に限定することはなく、多方弁の例えば三方弁を使用した第2流量制御装置でも良く、同様の効果を得ることができる。この場合の三方弁の使用方法として、前記絞り部と並列に接続する流路以外に分流した流路が第2室内熱交換器の出口側配管へ接続された冷媒回路を持ち、空調負荷条件により除湿能力を低減する手段として冷媒をバイパスさせることも可能となる。
【0064】
【発明の効果】
本発明の空気調和装置は、圧縮機、室外熱交換器、第1流量制御装置、第1室内熱交換器、第2流量制御装置、第2室内熱交換器を接続した冷凍サイクルを備えた空気調和機において、前記第2流量制御装置は、冷媒の流れ方向に連通する多孔質透過材を絞り部の上流および下流に有するとともに、前記絞り部と多孔質透過材との間に空間を設け、空気調和装置起動時に、前記温度偏差および湿度偏差がともに所定値よりも大きい場合、第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させないように制御するとともに、設定温度と現在の室内空気温度との温度偏差または設定湿度と現在の室内空気湿度との湿度偏差が所定値以内となるように制御するので、冷媒流動音を効果的に低減しながら快適な室内空間の温湿度調整ができ、かつ、室内空間の速冷性を高めた快適な冷房ができる効果がある。
【0065】
また、温度偏差および湿度偏差が所定値以内となっている場合に現在の運転を継続するように制御したので、快適な室内空間を維持することができる効果がある。
【0066】
また、温度偏差が所定値以内の時、湿度偏差が所定値より大きくなっている場合に、第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させるように制御したので、室内空間の温度を維持し、湿度のみ調整することができる効果がある。
【0067】
また、室外熱交換器に付設された室外ファンの回転数または第1流量制御装置の弁開度を調整して第1室内熱交換器の加熱量を制御するとともに、圧縮機の回転周波数と室内ファンの回転数を調整して第2室内熱交換器の冷却除湿量を制御するので、冷房運転時に温湿度好適に制御することができる効果がある。
【0068】
また、暖房運転起動時、第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させるように制御したので、低騒音で暖房しながら除湿ができる効果が得られる。
【0069】
また、第1室内熱交換器の冷却除湿能力がゼロとなるように、室外ファンの回転数および第1流量制御装置の弁開度を調整して、第1室内熱交換器の蒸発温度が室内空気温度と等しくなるように制御したので、吹出温度を高温にして速暖感を高めた快適な暖房ができる効果が得られる。
【0070】
また、圧縮機起動から所定時間が経過すると、第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させないように制御するので、空気調和装置が安定して暖房能力を発揮できるため、快適な暖房ができる効果がある。
【0071】
また、温度偏差が所定値以内となるように、圧縮機の回転数、室内ファンの回転数および室外ファンの回転数を調整するので、短時間で快適な暖房空間を得ることができる効果がある。
【0072】
また、湿度偏差が所定値以上の場合、第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させるように制御するので、暖房運転中に除湿運転ができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による空気調和装置の冷媒回路図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係わる絞り装置の構成図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係わる絞り装置の動作を表す構成断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態1に係わる絞り部の拡大詳細図である。
【図5】 本発明の実施の形態1に係わる多孔質透過材の拡大図である。
【図6】 本発明の実施の形態1に係わり冷房除湿運転時の動作状態を表す圧力―エンタルピー線図である。
【図7】 本発明の実施の形態1に係わり空気調和機に組み込まれた制御装置全体のブロック構成図である。
【図8】 本発明の実施の形態1に係わり絞り部入口の冷媒の流動様式図である。
【図9】 本発明の実施の形態1に係わる絞り装置の騒音特性を示す図である。
【図10】 本発明の実施の形態3に係わり絞り装置のその他の形態を表す拡大詳細図である。
【図11】 本発明の実施の形態4に係わり絞り装置のその他の形態を表す拡大詳細図である。
【図12】 本発明の実施の形態1に係わり絞り装置のその他の形態を表す多孔質透過材の拡大図である。
【図13】 本発明の実施の形態1に係わり絞り装置のその他の形態を表す多孔質透過材の拡大図である。
【図14】 従来の空気調和装置を示す冷媒回路図である。
【図15】 従来の絞り装置の構成断面図である。
【図16】 従来の絞り装置のその他の例を示す構成断面図である。
【図17】 従来の絞り装置のその他の例を示す構成断面図である。
【図18】 図17の絞り装置の消音部断面図である。
【符号の説明】
1 圧縮機、2 四方弁、3 室外熱交換器、4 第1流量制御装置、5 第1室内熱交換器、6 第2流量制御装置、7 第2室内熱交換器、8,9,10 配管、11 絞り部、12 二方弁、13,14,15 配管、16 電磁コイル、17 弁体、18 弁座、19 入口消音空間、20 入口側発泡金属、21 入口側発泡金属に設けられたバイパス流路 22 入口側発泡金属とオリフィスの間の空間、23 オリフィス、24 出口側発泡金属とオリフィスの間の空間、25 出口側発泡金属、26 出口側発泡金属に設けられたバイパス流路、27 出口消音空間、28 凸状ブロック、29 金網、30 ステッピングモータ 31 溝状の切り込み、32 多孔体、33 室外ユニット、34 室内ユニット、36 消音器、37 ハニカムパイプ、38a,38b 円筒管、39 細径管、40 室外ファン、41 室内ファン、42 制御装置、43 コントローラ。
Claims (9)
- 圧縮機、室外熱交換器、第1流量制御装置、第1室内熱交換器、第2流量制御装置、第2室内熱交換器を接続した冷凍サイクルを備えた空気調和機において、 前記第2流量制御装置は、冷媒の流れ方向に連通する多孔質透過材を絞り部の上流および下流に有するとともに、前記絞り部と多孔質透過材との間に空間を設け、
空気調和装置起動時に、前記温度偏差および湿度偏差がともに所定値よりも大きい場合、第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させないように制御するとともに、
設定温度と現在の室内空気温度との温度偏差または設定湿度と現在の室内空気湿度との湿度偏差が所定値以内となるように制御することを特徴とする空気調和機。 - 前記温度偏差および湿度偏差が所定値以内となっている場合に現在の運転を継続するように制御したことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
- 前記温度偏差が所定値以内の時、前記湿度偏差が所定値より大きくなっている場合に、前記第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させるように制御したことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
- 前記室外熱交換器に付設された室外ファンの回転数または前記第1流量制御装置の弁開度を調整して前記第1室内熱交換器の加熱量を制御するとともに、前記圧縮機の回転周波数と前記室内ファンの回転数を調整して前記第2室内熱交換器の冷却除湿量を制御することを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
- 暖房運転起動時、前記第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させるように制御したことを特徴とする請求項1に記載の空位調和装置。
- 前記第1室内熱交換器の冷却除湿能力がゼロとなるように、前記室外ファンの回転数および前記第1流量制御装置の弁開度を調整して、前記第1室内熱交換器の蒸発温度が室内空気温度と等しくなるように制御したことを特徴とする請求項5記載の空気調和装置。
- 暖房運転起動から所定時間が経過すると、前記第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させないように制御することを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
- 前記温度偏差が所定値以内となるように、前記圧縮機の回転数、前記室内ファンの回転数および前記室外ファンの回転数を調整したことを特徴とする請求項6または請求項7記載の空気調和装置。
- 前記湿度偏差が所定値以上の場合、前記第2流量制御装置の絞り部へ冷媒を流通させるように制御したことを特徴とする請求項7記載の空気調和装置。
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