JP3900314B2 - 電極の接続方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば液晶パネルや半導体チップ等の実装法に関し、回路基板と電子部品や、回路基板同士とを接着固定すると共に、両者の電極同士を電気的に接続する電極の接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子部品の小型薄型化に伴い、これらに用いる回路は高密度、高精細化している。このような電子部品と微細電極の接続は、従来のハンダやゴムコネクタ等では対応が困難なことから、最近では分解能に優れた接着剤や膜状物(以下接続部材)が多用されている。
この接続部材としては、加圧により厚み方向のみに導電性の得られる程度の導電粒子を含有してなる異方導電性の接着剤を用いて、両電極間に導電粒子を介在させる導電粒子等の導電性材料を所定量含有した接着剤からなるもの(例えば特開昭55−104007号公報)や、絶縁性の接着剤を用いて、両電極の直接接触により導電性を得るもの(例えば特開昭60−262430号公報)が知られており、フィルム状やペースト状として実用化されている。
これら接続部材の使用法は、接続部材を電子部品と電極や回路との間に介在させ、加圧または加熱加圧手段を構じることによって、両者の電極同士が電気的に接続されると共に、電極に隣接して形成されている電極同士には絶縁性を付与して、電子部品と回路とが接着固定されるものである。このような微細電極の接続レベルは、最近では回路ピッチが50μm以下も検討されており、接続装置の位置合わせ精度も3μm以下が実用化の域にある。
上記接続部材の中で、接着剤が熱硬化型の場合には耐熱性が良く接続信頼性が向上する。しかしながら、接着剤の熱硬化反応を促進しかつ生産性を考慮すると接続条件は、例えば30秒以内で150℃以上が必要なレベルである。最近の電極の微細化により接続時の接続温度による周辺部材の熱影響が大きく、影響低減のために接続温度の低下が要求されている。これは接続温度が高いと基板の熱膨張率の差が大きな場合、回路の位置ずれが発生し、また偏光膜等の周辺部材の劣化や焼損が発生するためである。また、生産性を上げてコストダウンを図るため、接続の短時間化も求められている。これらの対策の一つとして、紫外線等のエネルギー線を用いた低温短時間硬化が試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
エネルギー線の代表である光硬化反応を用いる場合、光源ランプが特有な波長分布を有することに加え、接着剤の材料もまた固有な波長による吸収分布を示し、さらに接着剤は、数種以上の原料を混合して用いることが多い。したがって、光源ランプの波長分布に合うように接着剤の配合処方を検討することが一般的であり、あるいは接着剤の種類毎に最適な光源ランプを選択する等、使用法が複雑であった。特に本発明の用途である微小電極の接続においては、低温短時間硬化で優れた長期信頼性を得るために、接着剤の配合処方もかなり限定せざるを得ない状況であり、さらに光源ランプの制約が加わり、開発の隘路となっていた。また、このような接続においては、基板や加圧部にガラス等を介在する場合が多く、エネルギー線がこれらを透過するのに損失があることから、低温短時間硬化の妨げの一つとなっていた。本発明は、上記欠点に鑑みなされたもので、光源ランプの波長分布を広く適用可能な電極の接続方法に関する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回路基板に設けられた相対峙する電極間に光硬化性成分を含有する接続部材を介在させ、加圧または加熱加圧手段により両電極の接続を得る方法において、接続時にエネルギー線の波長特性の異なる2種類以上の光源を用いることを特徴とする電極の接続方法に関する。また、この実施態様として光源が、ハロゲン、キセノン、メタルハライド、高圧水銀、可視光、マイクロ放電および誘電体バリアより選ばれてなることを特徴とする電極の接続方法に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
光のエネルギーは、波長が短いほどエネルギーが高く、電磁波のうち紫外線は100〜400nmの波長とされ、400〜800nmの可視光域も合わせてエネルギー線として利用されている。
本発明に好適な光源ランプの分光分布特性を主波長と共に示すと、ハロゲン(300〜1400nm)、キセノン(300〜1100nm)、メタルハライド(250〜450nm)、高圧水銀(254、313、365、405、436、546、577nm)、可視光(350〜800nm)である。ここに好ましく適用できる(超)高圧水銀とメタルハライドを比較すると、メタルハライドは各波長に比較的広く分布しているが、長波長側での強度が相対的に低い特徴がある。また、本発明に好適な他の光源として、誘電体バリアやマイクロ放電によりエキシマ発光するものも適用可能であり、ランプ内に充填されたガスにより特有な単波長スペクトルを発生する。例示すると、Xe2(172nm)、KrCl(222nm)、XeCl(308nm)等がある。
これらのエネルギー線は、コンベア、ボックス、ハンドランプ、ファイバ等の形態で使用できる。本発明においてはレンズにより集光したり、必要に応じて照射部を走査するようにしてもよい。また、エネルギー線と併用して、電熱等の他の加熱手段を使用できる。この場合エネルギー線と併用することで、従来の熱単独に比べ低温処理が可能である。
【0006】
図1〜2は、本発明の一実施例を示す接続装置の断面模試図である。
図1において、ヘッド1と受け台5よりなる加圧部の間に、接続する基板2、4を接続部材3を介在させて電極(図略)の位置合わせを行い載置する。受け台5はガラス、石英等の光透過性であることが好適である。加圧部に照射可能なエネルギー線照射装置は、ランプA、Bのようにエネルギー線の波長特性の異なる2つ以上の光源よりなる。図2は、加圧部をロールA、Bで構成した場合であり、連続生産に好適である。図1〜2においてエネルギー線照射装置は、接続部の上下でも片側だけでも適用可能である。
接続すべき電極は、これを保持する基板に形成されてなるものが一般的である。基板としては、ポリイミドやポリエステル等のプラスチックフィルム、ガラスエポキシ等の複合体、シリコーン等の半導体、ガラスやセラミックス等の無機物等を例示できる。電極としては、各種回路類や端子類があり、半導体チップのような電子部品のバンプやパッド類を含む。これらは、それぞれ任意に組み合わせて適用できる。本発明においては、少なくともエネルギー線照射側の基板は光透過性であることが好適である。さらに、電極も光透過性であることがより好ましい。
【0007】
接続部材は、絶縁性接着剤のみでも、導電材料と絶縁性接着剤とよりなる加圧方向に導電性を有する異方導電性接着剤でもよい。また、絶縁性接着剤と異方導電性接着剤を積層した機能分離構成でもよい。異方導電性接着剤は含有する導電材料により、電極の凹凸や高さのばらつきに対応し易く好ましい。これらは、フィルム状であると、一定厚みの連続状で得られることから好ましい。
本発明の接続部材料の接着剤は、光硬化性と熱反応性の両特性を持つものが好ましく適用できる。エネルギー線として最も一般的な光硬化性の場合は、熱反応性も合わせて有するが、その主な構成材料は、光硬化性樹脂、光開始剤、および樹脂類の混合物やその他の添加剤よりなるものが代表的である。
【0008】
光硬化性樹脂としては、エポキシアクリレートオリゴマ等の光重合性オリゴマ類や、トリメチロールプロパントリアクリレート等の光重合性多官能アクリレートモノマ類等に代表される光重合性の樹脂類がある。
光開始剤としては、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール類、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン類や、これらの誘電体、チオキサントン類、ビイミダゾール類等があり、これらの光開始剤に必要に応じてアミン類、イオウ化合物、リン化合物等の増感剤を任意の割合で添加できる。この際、用いる光源の波長や所望の硬化特性等に応じて選択する。硬化に用いる光は、紫外線の場合、水銀ランプ、メタルハライドランプ等で発生することができる。
また樹脂類としては、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいはフェノキシ樹脂やエラストマ等と混合して用いることができる。さらに、光硬化性に加えて熱反応性硬化剤を加える場合は、芳香族ポリアミン類やマイクロカプセル等の潜在性硬化剤類を混合することも可能である。これらの樹脂類は、フィルム形成剤や耐熱性、弾性率、流動性等の調整に有効である。添加剤としては、カップリング剤等の界面強化剤や老化防止材等や安定化材等がある。
【0009】
接続部材の導電性材料としては、加圧または加熱加圧の手段を構じることで、接着剤の厚み減少によって導電性を得る、すなわち接着剤の厚み以下の小粒径のものが接着剤により保持されるので取扱時に導電性材料の脱落防止が可能で好ましい。これはまた、接着剤の厚みに対して単層で存在すると、仮接着といった比較的ゆるい接続条件下でも導電性が得やすいので好ましい。接着剤に対する導電材料の割合は、20体積%以下が、導電異方性が得やすく好ましい。また、厚み方向の導電性を得易くするため、接続部材の厚さは、膜形成の可能な範囲で薄い方が好ましく、30μm以下より好ましくは20μm以下である。導電材料である導電粒子としては、Au、Ag、Pt、Ni、Cu、W、Sb、Sn、はんだ等の金属粒子やカーボン等があり、またこれら導電粒子を核材とするか、あるいは非導電性のガラス、セラミックス、プラスチック等の高分子等からなる核材に、前記したような材質からなる導電層を被覆形成したものでもよい。さらに、導電性材料を絶縁層で被覆してなる絶縁被覆粒子や、導電粒子と絶縁粒子の併用等も適用可能である。粒径の上限は、微小な電極上に1個以上、好ましくは5個以上と多くの粒子数を確保するには小粒径粒子が好適であり、15μm以下、より好ましくは8μm以下である。粒径の上限は、粒子の凝集性や、電極面の凹凸に対応可能とするために、0.5μm以上、好ましくは1μm以上である。
【0010】
これら導電粒子の中では、はんだ等の熱溶融性金属や、プラスチック等の高分子核材に導電層を形成したものが、加熱加圧もしくは加圧により変形性を有し、積層時に回路との接触面積が増加し、信頼性が向上するので好ましい。特に高分子類を核とした場合、はんだのように融点を示さないので軟化の状態を接続温度で広く制御でき、電極の厚みや平坦性のばらつきに対応し易い接続部材が得られるので特に好ましい。
また、例えばNiやW等の硬質金属粒子や、表面に多数の突起を有する粒子の場合、導電粒子が電極や配線パターンに突き刺さるので、酸化膜や汚染層の存在する場合にも、低い接続抵抗が得られ、信頼性が向上するので好ましい。
【0011】
これら導電粒子は、粒径の分布が少ない均一粒径の球径粒子が好ましい。粒径の分布が少ないと、電極接続時の加圧により電極間で保持されて流出が少ない。粒径の分布幅としては、電極表面の凹凸を考慮して、最大粒径の1/2以下とすることが好ましい。例えば、高分子核材に導電層を被覆形成した変形性粒子の場合、中心径±0.2μm以内といった高精度の粒子もあり、特に好ましく適用できる。また、硬質金属粒子の場合、電極に食い込むので粒径の分布幅は、最大粒径の1/2以下と比較的広くてもよい。導電粒子と併用して絶縁粒子の使用も可能である。絶縁粒子を併用した場合、隣接電極との絶縁性の向上や、接続電極のギャップ調節の作用がある。ギャップ調節の場合、好ましくは、絶縁粒子の粒径を変形性の導電粒子より小さくし、導電粒子に比べ硬質とすると良好な結果が期待できる。絶縁粒子としては、ガラス、シリカ、セラミックス等の無機物や、ポリスチレン、エポキシ、ベンゾグアナミン等の有機物があり、これらはまた、球状、繊維状等の形状でもよく、更に単独または複合して用いることができる。
【0012】
本発明によれば、接続時にエネルギー線の波長特性の異なる2つ以上の光源を用いるので、光源ランプの波長分布を広く適用できる。すなわち、光源ランプの選択や接着剤の配合処方における自由度が増加する。加えて、波長分布を広く適用できることや、波長特性の相乗効果およびエネルギー線の絶対量の増加により、接着剤の反応性が向上し低温短時間硬化が可能となる。また、本発明によれば、光硬化材料を微細電極の接続に適用できるので、接続温度の低温化や短時間化が可能となる。そのため、電極のずれがなく高精度の位置合わせが可能である。
【0013】
【実施例】
以下実施例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
実施例1
(1)接続部材
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHA)40gをトルエン/酢酸エチル=1/1の混合溶媒に溶解して、40重量%溶液を得た。光硬化樹脂は、エポキシアクリルオリゴマおよびアクリレートモノマを3/1の重量比で用い、光開始剤はベンゾフェノン、増感剤ミヒラーケトンを5/1の重量比で用いた。固形分重量比でフェノキシ樹脂50、光硬化樹脂50、光開始剤5、増感剤1、ビニルシランカップリング剤5のトルエン/酢酸エチルの70%溶液を得た。この溶液に、粒径5±0.2μmのポリスチレン系粒子にNi/Auの厚さ0.2/0.02μmの金属被覆を形成した導電性粒子を3体積%添加し、混合分散した。この分散液をセパレータ(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、70℃、20分乾燥し厚み15μmの異方導電性のフィルム状接続部材を得た。
(2)接続回路
ポリイミドフィルム上に、高さ18μmの銅の回路を有する2層FPC回路板(回路ピッチは70μm、電極幅30μmの平行回路の電極)と、ガラス1.1mm上に酸化インジウム厚み0.2μm(ITO、表面抵抗20Ω/□)の薄膜回路を有する平面電極との接続を行った。まず、ITO電極側に前記接続部材を1.5mm幅で載置し、貼り付けた。この後セパレータを剥離し、FPCと上下回路を位置合わせし、接続部材料の有する粘着性により仮固定した。
【0014】
(3)接続
ガラス製受け台と押し型よりなる図1例示のような接続装置(加熱ヘッド幅1.0mm)により、70℃、20kgf/mm2 、30秒で加圧しながら、エネルギー線をガラス製受け台下部より照射(1.5J/cm2 )した。接続部の温度は100℃以下であった。エネルギー線の光源ランプは超高圧水銀灯とメタルハライド灯を併用した。
(4)評価
両電極を顕微鏡下で透視し、電極間の最大ずれ量を測定したところ、5μm以下であり殆どずれがなかった。相対峙する電極間を接続抵抗、隣接する電極間を絶縁抵抗として評価したところ、接続抵抗は2Ω以下、絶縁抵抗は108 Ω以上であり、これらは85℃、85%RH1000時間処理後の耐湿信頼性も変化が殆どなく、良好な長期信頼性を示した。 本実施例では、受け台と基板の2枚のガラスを経由して紫外線を照射したにも拘らず、接続工程を100℃以下で接続できた。評価結果も従来の熱硬化型の場合と同様に高信頼性であった。低温硬化が可能なため電極のずれがなく、高精度の位置合わせが可能で、さらに接続部に気泡を含み難いことから長期接続信頼性に優れた接続が可能であった。
【0015】
比較例1
実施例1と同様であるが、高圧水銀ランプ単独で行ったところ、硬化が不十分であり接続抵抗は10Ω以上と高く、その後の長期信頼性評価で接続オープンが発生した。
【0016】
実施例2
実施例1と同様であるが、メタルハライドと誘電体バリアランプ(中心波長308nm)を併用し、接続時間を20秒とした。
この場合も良好な接続特性が見られた。
【0017】
実施例3
実施例1と同様であるが接続装置を図2相当のロールコンベア方式にした。炉長さ2mの中に高圧水銀灯とメタルハライド灯2灯ずつ上下に交互配置し、2m/分で走行させた。ロールは金属の表面にシリコンゴムが被覆され、ロール間圧力5kgf/mm2 とした。炉内温度は70℃である。この場合も良好な接続特性が得られた。
【0018】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、接続時にエネルギー線の波長特性の異なる2つ以上の光源を用いるので、光源ランプの波長分布を広く適用できる。すなわち、光源ランプ選択や接着剤の配合処方における自由度が増加する。加えて、波長分布を広く適用できることや、波長特性の相乗硬化により、接着剤の反応性が向上し、低温短時間硬化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す接続装置に断面模試図である。
【図2】 本発明の一実施例を示す接続装置に断面模試図である。
【符号の説明】
1 ヘッド 2 基板A
3 接続部材 4 基板B
5 受け台 6 ランプA
7 ランプB 8 ロールA
9 ロールB
Claims (2)
- 回路基板に設けられた相対峙する電極間に光硬化性成分を含有する接続部材を介在させ、加圧または加熱加圧手段により両電極の接続を得る方法において、接続時にエネルギー線の波長特性の異なる2種以上の光源を用いることを特徴とする電極の接続方法。
- 請求項1において光源が、ハロゲン、キセノン、メタルハライド、高圧水銀、可視光、マイクロ放電および誘電体バリアより選ばれたものである電極の接続方法。
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