JP3900285B2 - 建造物における基礎構造及びその構築方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤上に建造物を造ることによる地盤沈下対策及び不同沈下対策として施工することのできる建造物における基礎構造の構築工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のものとして地盤上に設けられる建造物の基礎の下部に前記地盤の密度より小さい浮力用基盤を埋設した建造物における基礎構造であって、前記建造物の基礎の全域において、前記基盤の単位面積当りの浮力を、前記建造物及び前記基礎の単位面積当りの荷重から単位面積当りの地盤強度を引いた値にほぼ等しくして、前記建造物の基礎の全域において基盤を調節して建造物を均一に支持することができる建造物における基礎構造及びその構築工法が公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−13460号公報(段落0005〜0006)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術においては、浮力用基盤を埋設するものであるが、その作業は浮力用基盤の容積が大きいので大掛かりで煩雑な工事であるという問題があった。また、浮力用基盤の配置において強度が不均一な箇所があると、該箇所における地盤沈下対策を正確に行うことができなくなるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、地盤上に設けられる建造物の基礎の下部に前記地盤の密度より小さい浮力用基盤を埋設した建造物における基礎構造及びその構築工法において、前記浮力用基盤の設置を容易に行うことができると共に、強度も均一に行うことができるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、地盤強度を予め計測、調査した後に、地盤を掘削して土砂を排除し、次いで、土砂を排除して形成された穴に地盤より密度の小さい物からなる浮力用基盤を載置した後、該浮力用基盤の上に建造物の基礎を設けた建造物における基礎構造の構築工法であって、前記浮力用基盤は平面的には前記基礎に沿って該基礎に対向するように複数のブロックを連続して配置し、前記ブロックは直方体形状に形成されて、その平面は長軸方向と該長軸方向に直交する短軸方向を備え、隣接する前記ブロックのうち一方の前記ブロックの前記長軸方向に対して他方の前記ブロックの前記長軸方向が交差するように配置して、前記地盤に前記ブロックを埋設し、該ブロック上に前記基礎、前記建造物を設け、 前記基礎、前記建造物の荷重を、前記地盤を掘削した排土砂の荷重とバランスさせることを特徴とする建造物における基礎構造の構築工法である。
【0007】
この請求項1の構成によれば、複数の分割された浮力用基盤ブロックを連続して配置することによって浮力用基盤を形成することができる。また、浮力用基盤ブロックは上面が平な直方体形状となる。さらに、隣接する浮力用基盤ブロックは相互間で長軸方向は互いに直交するように配置される。
【0008】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を添付図を参照して一実施形態を説明する。2階建ての建造物1を設置する場所の地盤2に、1階箇所を支持するコンクリートからなる基礎3が設けられており、この基礎はフーチングなどと称せられる幅広な下部4上に幅狭な立上り部5を設けたもので、この立上り部5の上面に土台(図示せず)が載置される。そして、基礎3は 図2に示すように建造物1の間取りなどに応じて一側(図1において下側)に配置される一側外枠部6、他側(図1において上側)に配置される他側外枠部7、一側及び他側を結ぶ仮想線に直交する一方及び他方(図1において左側及び右側)に配置される一方外枠部8及び他方外枠部9、該外枠部6,7,8,9の内側に例えば十字状に配置される一側から他側への横断部10及び該横断部10の両側に直交する交差部11、さらに一側外枠部6と横断部10の内側に配置される小仕切り部12等が配置されている。
【0009】
地盤沈下対策及び不同沈下対策として施工する浮力用基盤14は、前記基礎1の下部に前記地盤2の密度より小さい基盤を埋設して形成するものである。該浮力用基盤14は、地盤強度を予め計測、調査し、そして地盤2を掘削して穴15を形成し、次に穴15に地盤の密度より小さい浮力用基盤14を埋設する。浮力用基盤14としては、軽量で、必要な圧縮強度を有するものであればよく、プラスチック発泡体もしくは土より密度が小さい発泡体等の物よりなるものを挙げることができる.この浮力用基盤14は、環境に配慮した材料であることが好ましい。また、浮力用基盤14の強度は、建造物1の構造により異なるが一般的には10〜200KN/平方メートルである。また、その密度は土より密度が小さい材料である。そして、浮力用基盤14上にプラスチックシート等の防水布16を敷設後に、その上面に捨てコンクリート17を設け、さらに捨てコンクリート17上に形枠(図示せず)を設置した後に、該形枠にコンクリートを流し込んで基礎1を形成するものである。
【0010】
前記浮力用基盤14は、平面的には前記基礎1に沿って前記基礎1に対向するように配置されている。そして、浮力用基盤14は、前記一側外枠部6、他側外枠部7、一方外枠部8、他方外枠部9、横断部10、交差部11、小仕切り部12にそれぞれ対応して、一側外枠対応部18、他側外枠対応部19、一方外枠対応部20、他方外枠対応部21、横断対応部22、交差対応部23、小仕切り対応部24が形成されている。これら一側外枠対応部18、他側外枠対応部19、一方外枠対応部20、他方外枠対応部21、横断対応部22、交差対応部23、小仕切り対応部24の浮力用基盤14は、複数の分割された図5に示すような浮力用基盤ブロック25を連続配置して形成されている。前記浮力用基盤ブロック25は直方体形状であって、その平面は長軸方向Xと該長軸方向Xに直交する短軸方向Yを備えるようになっており、長軸方向Xの長さは短軸方向Yの長さに対して、例えば2倍、3倍等のように整数倍に形成されている。例えば長軸方向Xの長さLを2m、短軸方向Yの長さMを1m、厚みNを0.1〜0.5mに形成されている(L>M)。尚、浮力用基盤ブロック25は例えば厚みが0.1mのものと、厚みが0.5mのものを2枚積み重ねるように複数積み重ねるようにしてもよい。
【0011】
そして、平面的にみて横断対応部22においては、一側(図1においては下側)より、長軸方向Xを一側から他側(図1においては上側)に向けて左右一対の1段目の浮力用基盤ブロック22Aを配置する。この1段目の浮力用基盤ブロック22Aの一側に連続して直線的に配置される2段目の浮力用基盤ブロック22Bの長軸方向Xは、1段目の浮力用基盤ブロック22Aの長軸方向Xに対して直交する。さらに、2段目の浮力用基盤ブロック22Bの一側に連続して直線的に配置される左右一対の3段目の浮力用基盤ブロック22Cの長軸方向Xは、2段目の浮力用基盤ブロック22Bの長軸方向Xに対して直交する。すなわち、3段目の浮力用基盤ブロック22Cの長軸方向Xは、1段目の浮力用基盤ブロック22Aの長軸方向Xと同じ方向となる。同様に、3段目の浮力用基盤ブロック22Cの一側に連続して直線的に配置される4段目の浮力用基盤ブロック22Dの長軸方向Xは、3段目の浮力用基盤ブロック22Cの長軸方向Xに対して直交し、さらに4段目の浮力用基盤ブロックの一側に連続して直線的に配置される5段目の左右一対の浮力用基盤ブロック22Eの長軸方向Xは、4段目の浮力用基盤ブロック22Dの長軸方向Xに対して直交するようになっている。
【0012】
さらに、左右一対に設けられる交差対応部23に位置する浮力用基盤ブロック23A,23Bの長軸方向Xは、3段目の浮力用基盤ブロック22Cの長軸方向Xに対して直交するようになっている。また、一側外枠対応部18、他側外枠対応部19に位置する浮力用基盤ブロック18A,19Aの長軸方向Xは、1、5段目の浮力用基盤ブロック22A,22Eの長軸方向Xに対して直交するようになっている。さらに、長軸方向Xを一致させて複数直線に配置した一方外枠対応部20に位置する浮力用基盤ブロック20A〜20Dの長軸方向Xは、浮力用基盤ブロック23Aの長軸方向Xに対して直交するようになっている。また、長軸方向Xを一致させて複数直線に配置した他方外枠対応部21に位置する浮力用基盤ブロック21A〜21Dの長軸方向Xは、それぞれ浮力用基盤ブロック18A、浮力用基盤ブロック23A、浮力用基盤ブロック19Aの長軸方向Xに対して直交するようになっている。
【0013】
次に前記構成についてその作用を説明する。地盤2に浮力用基盤ブロック25を埋設し、該浮力用基盤ブロック25上に基礎3、建造物1を設け、基礎2、建造物1の荷重を、地盤2を掘削した排土砂の荷重とバランスさせることにより、地中応力の増加を少なくして、いわゆるフローティング基礎構造とすることができる。このように掘削によって排除する土砂の荷重を建造物2と基礎1との荷重近くまで大きくし、土砂より密度が小さい材料の浮力用基盤ブロック25を敷設することで沈下応力の増加を防ぎ、軟弱な地盤2であっても建造物1の沈下を抑制し安定を保つことができる。
【0014】
以上のように、前記実施形態では地盤2上に設けられる建造物1の基礎1の下部に前記地盤2の密度より小さい浮力用基盤14を埋設し、前記浮力用基盤14は複数の分割された浮力用基盤ブロック25を連続して形成されることにより、比較的大型な浮力用基盤14であっても、複数の分割された浮力用基盤ブロック25を配置することによって、容易に設置を行うことができる。
【0015】
さらに、前記浮力用基盤ブロック25は直方体形状であるので、連続して配置した浮力用基盤ブロック25の平な上面上に基礎1を容易に設けることができるようになる。
【0016】
しかも、前記浮力用基盤ブロック25の平面は長軸方向Xと該長軸方向Xに直交する短軸方向Yを備え、隣接する浮力用基盤ブロック25のうち一方の浮力用基盤ブロック25の長軸方向Xに対して他方の浮力用基盤ブロック25の長軸方向Xが交差するように前記浮力用基盤ブロック25が複数配置されることにより、浮力用基盤ブロック25において強度上不均一な箇所があっても、長軸方向Xを互いに直交するように浮力用基盤ブロック25を配置することで、浮力用基盤14全体としては均一な強度を保つことができるようになる。
【0017】
さらに、地盤2を掘削して土砂を排除し、次いで、土砂を排除して形成された穴15に地盤2より密度の小さい物からなる浮力用基盤14を載置した後、該浮力用基盤14の上に建造物1の基礎3を設ける際に、前記浮力用基盤14は、複数のブロック25を連続して配置して形成することにより、比較的大型な浮力用基盤14であっても、複数の分割された浮力用基盤ブロック25を配置する工事によって、容易に設置工事を行うことができる。
【0018】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば建造物の形状に対応して前記建造物の基礎の底面全域において浮力用基盤を設ければよいものであるので、建造物の形状応じて浮力用基盤は種々に変形するものである。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明は、地盤強度を予め計測、調査した後に、地盤を掘削して土砂を排除し、次いで、土砂を排除して形成された穴に地盤より密度の小さい物からなる浮力用基盤を載置した後、該浮力用基盤の上に建造物の基礎を設けた建造物における基礎構造の構築工法であって、前記浮力用基盤は平面的には前記基礎に沿って該基礎に対向するように複数のブロックを連続して配置し、前記ブロックは直方体形状に形成されて、その平面は長軸方向と該長軸方向に直交する短軸方向を備え、隣接する前記ブロックのうち一方の前記ブロックの前記長軸方向に対して他方の前記ブロックの前記長軸方向が交差するように配置して、前記地盤に前記ブロックを埋設し、該ブロック上に前記基礎、前記建造物を設け、前記基礎、前記建造物の荷重を、前記地盤を掘削した排土砂の荷重とバランスさせることを特徴とする建造物における基礎構造の構築工法であり、比較的大型な浮力用基盤であっても、複数の分割された浮力用基盤ブロックを配置する工事によって、容易に設置工事を行うことができる。また、連続して配置した浮力用基盤ブロックの上面上に基礎を容易に設けることができるようになる。さらに、浮力用基盤ブロックにおいて強度上不均一な箇所があっても、長軸方向を互いに直交するように浮力用基盤ブロックを配置することで、浮力用基盤全体としては均一な強度を保つことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【 図1】本発明の一実施形態を示す浮力用基盤の平面図である。
【 図2】本発明の一実施形態を示す基礎の平面図である。
【 図3】本発明の一実施形態を示す断面図である。
【 図4】本発明の一実施形態を示す要部の断面図である。
【 図5】本発明の一実施形態を示す浮力用基盤ブロックの斜視図である。
【符号の説明】
1 建造物
2 地盤
3 基礎
14 発泡樹脂基盤(浮力用基盤)
25 浮力用基盤ブロック
X 長軸方向
Claims (1)
- 地盤強度を予め計測、調査した後に、地盤を掘削して土砂を排除し、次いで、土砂を排除して形成された穴に地盤より密度の小さい物からなる浮力用基盤を載置した後、該浮力用基盤の上に建造物の基礎を設けた建造物における基礎構造の構築工法であって、前記浮力用基盤は平面的には前記基礎に沿って該基礎に対向するように複数のブロックを連続して配置し、前記ブロックは直方体形状に形成されて、その平面は長軸方向と該長軸方向に直交する短軸方向を備え、隣接する前記ブロックのうち一方の前記ブロックの前記長軸方向に対して他方の前記ブロックの前記長軸方向が交差するように配置して、前記地盤に前記ブロックを埋設し、該ブロック上に前記基礎、前記建造物を設け、前記基礎、前記建造物の荷重を、前記地盤を掘削した排土砂の荷重とバランスさせることを特徴とする建造物における基礎構造の構築工法。
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