JP3900251B2 - 内径測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内径測定装置に係り、特にフェルールやインジェクション等の微小円筒形ワークの内径寸法を測定する内径測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
フェルール等の微小円筒形ワークの内径寸法を測定する場合、従来は測定者が所定寸法のピンゲージをワークの内周部に挿入して測定していた。しかしながら、ピンゲージを用いた測定は、測定者がワークを1本1本手作業で測定しなければならず、多大な労力を要するという欠点があった。また、手作業による測定のため正確性に欠けるという欠点もあった。
【0003】
そこで、本願出願人は特願2001−40669において、ワークの内周部に圧縮エアを供給し、その背圧変化を検出することにより、ワークの内径寸法を測定する方法を提案した。この方法によれば、ワークに対しては圧縮エアを供給するだけなので、短時間で測定を行うことができ、また、磨耗も生じないので、長期間使用しても常に安定した測定を行うことができるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法の場合、ワークの内周部にゴミ等の異物が付着していると背圧に変化が生じ、正確な測定ができないという欠点がある。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、正確にワークの内径を測定することができる内径測定装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、円筒状に形成されたワークの一端から圧縮エアを供給し、その背圧を検出することにより、ワークの内径を測定する内径測定装置において、ワークの内周部に付着した異物を除去する異物除去手段を備え、該異物除去手段でワーク内周部の異物を除去したのちワークの内径測定を行うことを特徴とする内径測定装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、内径測定をする前に予め異物除去手段でワーク内周部に付着した異物を取り除くようにしているので、常に正確な測定を行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るワークの内径測定装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0009】
図1は、本発明に係る内径測定装置の一実施形態を示す全体構成図である。同図に示すように、本実施の形態の内径測定装置10は、供給部12、搬送部14、異物除去部16A、内径測定部16B、回収部18、マスタ格納部20及び制御部(不図示)で構成されている。この内径測定装置10は、ワークWの内径寸法を測定し、その測定結果に応じてワークWを分別回収する。測定対象のワークWは光コネクタ部品のフェルールである。フェルールは、図10に示すように、たとえば外径がD=2.5mm、内径がd=0.125mm、長さがL=10mmの極微小な円筒形状をしている。また、このフェルールは、一端内周部に内周面取り部Rが形成されるとともに、他端外周部に外周面取り部Tが形成されている。
【0010】
供給部12は、ワークWの供給を行う。この供給部12にはパーツフィーダ22が設置されている。パーツフィーダ22は、ワークWの方向、すなわち内周面取り部Rの方向を統一してワークWの供給を行う。ここでは内周面取り部Rの方向が搬送方向に対して後方に向くように方向を統一してワークWを供給するものとする。
【0011】
このパーツフィーダ22は、たとえば次のようにしてワークWの方向を統一してワークWの供給を行う。
【0012】
図2はパーツフィーダ22の選別部23の構成を示す概略図である。ワークWは図示しないストッカに入れられており、このストッカから搬送路24を通って選別部23へと供給される。そして、この選別部23で内周面取り部Rの方向が検出され、その方向が搬送方向の後方側に向いているワークWのみが選別されて供給口26から供給される。
【0013】
選別部23は、図2に示すように、ストッパ28、投光・受光センサ30、戻し口36、エアノズル34で構成されている。
【0014】
ストッパ28は、搬送路24を流れるワークWを選別部23の検出位置で一旦停止させる部材であり、搬送路24の壁面から出没自在に設けられている。ワークWは、その端面が搬送路24内に突出したストッパ28に当接することにより、所定の検出位置で停止する。
【0015】
投光・受光センサ30は、図3に示すように、投光素子30Aと受光素子30Bとで構成され、ワークWの外周部に形成された外周面取り部Tの有無を検出する。すなわち、図10 に示すように、ワークWの外周部には外周面取り部Tが形成されており、この外周面取り部Tは内周部に形成された内周面取り部Rとは逆方向の端部に形成されている。投光・受光センサ30は、この外周面取り部Tを検出して、ワークWの内周部に形成された内周面取り部Rの方向を検出する。
【0016】
投光・受光センサ30の投光素子30Aと受光素子30Bは、所定の検出位置に位置したワークWの先端周縁部を挟んで互いに対向するように配置される。そして、投光素子30Aから投光した検出光Lを受光素子30Bで受光することにより外周面取り部Tの有無を検出する。。
【0017】
すなわち、図3(a)に示すように、外周面取り部Tが進行方向先端側に位置している場合は、投光素子30Aから投光された検出光Lが外周面取り部Tを通過するので、そのまま受光素子30Bで受光される。投光・受光センサ30は、この受光素子30Bで検出光Lが受光されたことをもって、進行方向先端側に外周面取り部Tが位置していることを検出する。
【0018】
一方、図3(b)に示すように、外周面取り部Tが進行方向後端側に位置している場合は、投光素子30Aから投光された検出光LがワークWの先端コーナー部で遮られる。このため、受光素子30Bでは検出光Lが受光されない。投光・受光センサ30は、この受光素子30Bで検出光Lが受光されないことをもって、進行方向先端側に外周面取り部Tが位置していないことを検出する。
【0019】
戻し口36は、搬送路24の壁面に開口部として形成され、検出位置に位置したワークWの側方位置に形成される。この戻し口36はストッカに連通されており、ワークWはこの戻し口36を介してストッカに戻される。
【0020】
エアノズル34は、戻し口32に対向して設置されており、戻し口36に向けてエアを噴射する。検出位置に位置したワークWは、このエアノズル34からエアを噴射されることにより戻し口36に押し出される。
【0021】
以上のように構成された選別部23の作用は次のとおりである。ストッカから搬送路24を通って選別部23に搬送されたワークWは、ストッパ28によって所定の検出位置で一旦止められる。そして、投光・受光センサ30によって先端部における外周面取り部Tの有無が検出される。
【0022】
ここで、先端部に外周面取り部Tが検出されると、ストッパ28が退避し、ワークWは、そのまま選別部23を通過する。すなわち、この場合、進行方向後端側に内周面取り部Rがあるので、そのままワークWを通過させて供給口26から供給する。
【0023】
一方、先端部に外周面取り部Tが検出されない場合は、エアノズル34からエアが噴射され、ワークWは戻し口36に向かって押し出される。すなわち、この場合、ワークWは進行方向先端側に内周面取り部Rがあるので、戻し口36に押し出してストッカに戻す。
【0024】
以上のようにして選別部23でワークWの向きを統一することにより、パーツフィーダ22の供給口26からは常に内周面取り部Rの向きが同じ方向(進行方向後端側)に向けられた状態でワークWが供給される。
【0025】
搬送部14は、図1及び図4に示すように、供給部12から供給されたワークWを内径測定部16Bに搬送するとともに、内径測定部16Bで測定が完了したワークWを回収部18に搬送する。この搬送部14は、コンベア40、方向転換装置42、トランスファーロボット44とで構成されている。
【0026】
コンベア40は、パーツフィーダ22の供給口26から供給されたワークWを方向転換装置42に水平に搬送する。
【0027】
方向転換装置42は、コンベア40から水平に搬送されてきたワークWを90度方向転換して垂直に立ち上げる。この方向転換装置42は、図4に示すように、クランパ46と、そのクランパ46を回転させるクランパ回転機構(図示せず)とで構成されている。
【0028】
クランパ46は、2つのクランプ爪46A、46Bを備えており、一方のクランプ爪46Aが他方のクランプ爪46Bに対して進退自在に設けられている。そして、この一方のクランプ爪46Aが他方のクランプ爪46Bに向かって移動することにより、ワークWがクランプされ、離れる方向に移動することによりアンクランプされる。
【0029】
クランパ回転駆動機構は、クランパ46に固着された回転軸48を回動することにより、クランパ46を90度の範囲で回動させる。クランパ46は、このクランパ回転駆動機構に駆動されることにより、水平な受取姿勢(図4に実線で示した姿勢)と垂直な受渡姿勢(図4に二点破線で示した姿勢)の2つの姿勢をとる。
【0030】
以上のように構成された方向転換装置42の作用は次のとおりである。コンベア40によって水平に搬送されてきたワークWは、コンベア40の終端において、その先端部がクランパ46の本体部に当接する(図4の実線に示した状態)。ワークWの先端部がクランパ46の本体部に当接すると、クランプ爪46Aが閉じられ、これにより、ワークWの先端部がクランプ爪46A、46Bによってクランプされる。そして、ワークWがクランプ爪46A、46Bにクランプされると、クランパ回転駆動機構が駆動され、クランパ46が回転軸48を中心に90度回転する(図4の二点破線で示した状態)。これにより、水平にクランプされたワークWが垂直に立ち上げられる。なお、このとき、ワークWは内周面取り部Rが上側に向いた状態で垂直に立ち上げられる。
【0031】
トランスファーロボット44は、方向転換装置42から測定対象のワークWを受け取り、内径測定部16Bに搬送するとともに、内径測定部16Bで測定が完了したワークWを回収部18に搬送する。このトランスファーロボット44は、上下動自在なロッド50と、そのロッド50の頂部に旋回自在に設けられたアーム52と、アーム52の先端部に設けられたハンド54とで構成されている。ハンド54は、その本体下部に開閉自在なクランプ爪54A、54Aを備えており、このクランプ爪54A、54AでワークWを把持する。ハンド54に把持されたワークWは、ロッド50の昇降動作によって受け取り、受け渡しが行われ、アーム52の旋回動作によって搬送が行われる。したがって、方向転換装置42や内径測定部16B、回収部18は、すべてハンド54の移動軌跡上に配置される(ハンド54の旋回円上に配置される)。
【0032】
異物除去部16Aは、ワークWの内径測定前にあらかじめ内周部に付着した異物を除去する。この異物除去部16Aは、図7に示すように、ワークホルダ100とピン挿入装置102とで構成されている。
【0033】
ワークホルダ100は、ワークWを垂直にフロート支持する。このワークホルダ100は、図5に示すように、円柱状に形成されており、その上面中央にワーク収容穴104が所定の深さをもって垂直に形成されている。ワーク収容穴104内には、さらに小径の異物回収穴106がワーク収容穴104の同軸上に形成されており、該異物回収穴106はワークホルダ100の下面に貫通して形成されている。
【0034】
また、ワーク収容穴104の内周面には、図6に示すように、4つのニップル取付穴108、108、…が90度の間隔で放射状に形成されている。各ニップル取付穴108には、先端にエアノズル110が形成されたニップル112が嵌入されている。このニップル112にはエア供給配管114が接続されており、各エア供給配管114は図示しないバルブを介してエア源に接続されている。バルブは制御部(不図示)からの駆動信号に基づいて開閉し、このバルブが開かれることにより、エア源からの圧縮エアがニップル112に供給される。そして、このニップル112に供給された圧縮エアが、エアノズル110からワーク収容穴104の中心に向けて吹き出される。
【0035】
以上のように構成されたワークホルダ100は、ワーク収容穴104にワークWを挿入し、各エアノズル110、110、…から圧縮エアを噴射すると、その圧縮エアの求心作用によって、ワークWはワーク収容穴104の中央にフロート支持される。
【0036】
なお、ワークホルダ100はトランスファーロボット44のハンド54の移動軌跡上に配設されており、これにより、トランスファーロボット44で搬送したワークWをワークホルダ100のワーク収容穴104に供給、回収することができるようにされている。
【0037】
ピン挿入装置102は、図7に示すように、ワークホルダ100に保持されたワークWの内周部にピン120を挿入することにより、ワーク内周部に付着した異物を除去する。
【0038】
ピン120は、圧力センサ122を介してアーム124の先端下部に垂直に取り付けられている。このアーム124は昇降体126に水平に支持されており、昇降体126は支柱128に沿って昇降自在に支持されている。支柱128は回転テーブル130上に垂直に立設されており、この回転テーブル130が図示しない駆動手段に駆動されることにより回転する。そして、この支柱128が回転することにより、アーム124が旋回し、ピン120が円弧状に移動する。
【0039】
また、昇降体126にはネジ穴(不図示)が形成されており、ネジ穴にはネジ棒132が螺合されている。このネジ棒132は支柱128に沿って配設されており、その両端部は支柱128に形成された軸受部134、134に軸支されている。また、このネジ棒132にはピン昇降用モータ136が連結されており、このピン昇降用モータ136を駆動することにより回転する。そして、このネジ棒132が回転することにより、アーム124が昇降し、ピン120が垂直に上下動する。
【0040】
以上のように構成されたピン挿入装置102は制御部(不図示)からの駆動信号に基づいて動作する。その作用は次のとおりである。
【0041】
通常、ピン120は所定の待機位置に位置しており、ワークWがワークホルダ100に支持されると、回転テーブル130が回転して所定の挿入準備位置に移動する。この挿入準備位置に移動すると、ピン120はワーク収容穴104の同軸上に位置し、また、ワークホルダ100から所定距離上方に離れた位置に位置する。
【0042】
ピン120が挿入準備位置に移動すると、ピン昇降用モータ136が駆動され、ピン120が下降する。これにより、ワークホルダ100に保持されたワークWの内周部にピン120が挿入される。ピン120は、ワークWの下端まで貫通して挿入され、これにより、ワーク内周部に付着した異物がワークWの下部に押し出される。押し出された異物は、ワークホルダ100に形成された異物回収穴106内に落下する。
【0043】
ピン120が所定の終点位置まで下降すると、ピン昇降用モータ136の駆動は一旦停止され、次に、逆方向に駆動される。これにより、ピン120が上昇し、挿入準備位置に復帰する。その後、回転テーブル130が回転され、ピン120は所定の待機位置に移動する。
【0044】
一方、ピン120が所定の待機位置に復帰すると、各エアノズル110、110、…からの圧縮エアの供給が停止され、ワークWがワークホルダ100から取り除かれる。
【0045】
ワークWがワークホルダ100から取り除かれると、再び回転テーブル130が回転し、ピン120が所定の挿入準備位置に移動する。この後、ピン昇降用モータ136が駆動され、ピン120は所定の洗浄位置まで下降する。この洗浄位置に移動すると、ピン120はワーク収容穴104に収容される。そして、この状態で各エアノズル110から圧縮エアが噴射される。ピン120は、このエアノズル110から噴射される圧縮エアによって、異物除去時に付着した異物が除去される(異物が付着している場合)。
【0046】
エアの噴射は所定時間継続して行われ、所定時間経過すると停止される。この後、ピン昇降用モータ136が駆動され、ピン120は挿入準備位置まで上昇する。そして、回転テーブル130が回転され、ピン120は所定の待機位置に復帰する。
【0047】
以上、一連の工程でワークWの内周部に付着した異物が除去されるとともに、その異物除去時にピン120に付着した異物がピン120から除去される。
【0048】
なお、圧力センサ122はピン120にかかる圧力を検出しており、その検出結果を制御部(不図示)に出力している。制御部は、ピン120にかかる圧力(ピン圧)が、あらかじめ設定された規定値以上になると、ピン120の挿入を中止し、ピン120を引き上げる。これにより、ピン120の折れを防止している。
【0049】
なお、ピン圧の規定値は使用するピン120の強度に基づいて設定し、あらかじめオペレータが制御部に入力しておく。
【0050】
内径測定部16Bは、図1及び図8に示すように、ワークWを保持する測定台60と、その測定台60に保持されたワークWの内径寸法を測定するエアマイクロメータ62とで構成されている。
【0051】
測定台60は、トランスファーロボット44のハンド54の移動軌跡上に配置され、ワークWを保持する。この測定台60は、図9(a)及び(b)に示すように、測定台本体64、押圧リング66、保持リング68及び押圧手段(不図示)で構成されている。
【0052】
測定台本体64は垂直に設置されており、その中央部にエア供給路70が形成されている。測定台本体64の上面には円形状の凹部72が形成されており、その凹部72の中央にはワーク受け穴74が形成されている。ワーク受け穴74はエア供給路70と同軸上に形成されるとともに、測定対象のワークWの外径と略同径に形成され、所定の深さをもって形成されている。
【0053】
押圧リング66は、中央部にワーク挿通穴76が形成されており、ワーク挿通穴76はワークWの外径よりも若干大きく形成されている。この押圧リング66は、測定台本体上面に形成された凹部72内に嵌入されており、その凹部72の内周面をガイド面として凹部72内を軸方向に沿って摺動自在に支持されている。また、この押圧リング66の下面には、中央に向かって傾斜するテーパ状の押圧面78が形成され、保持リング68が当接されている。
【0054】
保持リング68は、弾性体で成形されており、測定台本体64の上面に形成された凹部72内に収納されている。この保持リング68は、ワーク受け穴74と同軸上に配置されており、押圧リング66の押圧面78に押圧されることにより、押し潰されて、その内径が縮径する。なお、保持リング68は、通常状態(無負荷の状態)の内径が、測定対象のワークWの外径よりも大きいものが使用される。したがって、ワークWは、保持リング68に挿通される際、ほぼ非接触の状態で挿通される。
【0055】
図示しない押圧手段は、たとえばシリンダで構成され、押圧リング66を測定台本体64に向けて押圧する。
【0056】
以上のように構成された測定台60の作用は次のとおりである。図9(a)に示すように、押圧リング66のワーク挿通穴76からワークWを挿入すると、そのワークWの先端部分が測定台本体64に形成されたワーク受け穴74に挿入される。この状態で同図(b)に示すように、押圧リング66を図示しない押圧手段で測定台本体64に向けて押圧すると、保持リング68が押圧リング66の押圧面78に押し潰されて、その内径が縮径する。この結果、ワークWの外周部が保持リング68に締め付けられて、ワークWが測定台60に保持される。また、保持リング68は、ワークWの外周に密着するので、これにより、ワークWとワーク受け穴74との間がシールされる。
【0057】
なお、ワークWを取り外す時は、押圧手段による押圧リング66の押圧を解除する。これにより、押圧リング66が保持リング68の弾性復元力で元の位置に復帰するとともに、保持リング自身もその弾性復元力で元の径に復帰する。これにより、ワークWへの締め付けが解除され、取り出し可能になる。
【0058】
エアマイクロメータ62は、図8に示すように、エア源80、レギュレータ82、A/E変換器84及び管制部86で構成されている。
【0059】
エア源80からは、温度、湿度が一定に調整された圧縮エアが供給される。レギュレータ82は、このエア源80から供給された圧縮エアを一定圧力に調整する。そして、このレギュレータ82で一定圧力に調整された圧縮エアが、A/E変換器84を介して測定台本体64のエア供給路70に供給される。
【0060】
エア供給路70に供給された圧縮エアは、測定台60に保持されたワークWの内周部を通って外部へと噴出される。A/E変換器84は、このときの圧縮エアの背圧を内蔵するベローズと差動変圧器とによって電気信号に変換し、管制部86に出力する。そして、管制部86は、この電気信号に基づいてワークWの内径寸法を算出する。算出された内径寸法は、管制部86に備えられたモニタ(不図示)に表示されるとともに、データとして管制部86に内蔵されたメモリに記録される。
【0061】
回収部18は、図1に示すように、測定が終了したワークWを所定の基準を満たしたOKワークと、所定の基準を満たさなかったNGワークとに分別して回収する。この回収部18は、OKワークが収容されるOKワーク回収ボックス90Aと、NGワークが収容されるNGワーク回収ボックス90Bとを備えている。各回収ボックス90A、90Bは、上部が開口した箱状に形成されており、共にトランスファーロボット44のハンド54の移動軌跡上に配置される。トランスファーロボット44によって搬送されたワークWは、各回収ボックス90A、90Bの上方でアンクランプされることにより、各回収ボックス90A、90Bに収容される。
【0062】
マスタ格納部20は、複数のマスタを格納する。このマスタ格納部20には、図1に示すように、マスタ格納台88が設置されている。マスタ格納台88は、ブロック状に形成されており、その上面に零調整用マスタ格納穴88Aと倍率調整用マスタ格納穴88Bが所定の深さをもって垂直に形成されている。所定の零調整用マスタMo と倍率調整用マスタMV は、それぞれこの零調整用マスタ格納穴88Aと倍率調整用マスタ格納穴88Bに格納される。
【0063】
なお、このマスタ格納台88は、トランスファーロボット44のハンド54の移動軌跡上に配設されており、各マスタ格納穴88A、88Bもハンド54の移動軌跡上に形成されている。これにより、マスタ格納台88からトランスファーロボット44でマスタを取り出し、測定台60に搬送することができる。
【0064】
制御部は、内径測定装置10を構成する各機器の駆動制御を行う。この制御部は、あらかじめ記憶されたプログラムにしたがって各機器を駆動制御する。
【0065】
前記のごとく構成された本実施の形態の内径測定装置の作用は次のとおりである。
【0066】
初めに初期設定を行う。まず、マスタ格納台88に零調整用マスタMO と倍率調整用マスタMV をセットする。すなわち、零調整用マスタMo を零調整用マスタ格納穴88Aに格納するとともに、倍率調整用マスタMV を倍率調整用マスタ格納穴88Bに格納する。
【0067】
ここで、零調整用マスタM0 と倍率調整用マスタMV は、それぞれ内径寸法dO 、dV が既知とされている(ただし、dO ≠dV )。
【0068】
また、各マスタはマスタ格納台88にセットする際、その方向を統一してセットする。すなわち、それぞれその内周面取り部Rが上側に向くように方向を統一してセットされる。
【0069】
以上のセッティングが完了したのち、オペレータは各マスタの内径寸法を管制部86に入力する。
【0070】
次に、エアマイクロメータ62のキャリブレーションを行う。
【0071】
まず、トランスファーロボット44が、マスタ格納台88から零調整用マスタMO を取り出し、異物除去部16Aに搬送する。そして、その異物除去部16Aのワークホルダ100に零調整用マスタMo をセットする。この零調整用マスタMo のセッティングは、次のように行われる。
【0072】
まず、零調整用マスタMO を把持したトランスファーロボット44のハンド54がワークホルダ100の上方に移動する。そして、その位置から所定距離下降し、ワーク収容穴104に零調整用マスタMO を挿入する。零調整用マスタMO がワーク収容穴104に挿入されると、ハンド54による零調整用マスタMO の把持が解除され、ハンド54は上方に退避する。
【0073】
これにより、零調整用マスタMO がワークホルダ100にセットされる。この際、零調整用マスタMo は、内周面取り部Rが上側に向けられた状態でワークホルダ100にセットされる。
【0074】
零調整用マスタMO がワークホルダ100にセットされると、エアノズル110、110、…から圧縮エアが噴射される。ワーク収容穴104に収容された零調整用マスタMo は、このエアノズル110、110、…から噴射される圧縮エアの求心作用によって、ワーク収容穴104の中央にフロート支持される。
【0075】
次に、回転テーブル130が回転駆動され、ピン120が所定の待機位置から挿入準備位置に移動する。この後、ピン昇降用モータ136が駆動され、ピン120が下降し、ワークホルダ100に保持された零調整用マスタMo の内周部にピン120が挿入される。これにより、零調整用マスタMo の内周部に付着した異物が零調整用マスタMO の下部に押し出され、異物回収穴106に回収される(内周部に異物が付着している場合)。
【0076】
この際、零調整用マスタMo は、ワークホルダ100にフロート支持されているため、ピン120をスムーズに挿入することができる。
【0077】
また、内周面取り部Rが上側に向けられた状態でワークホルダ100にセットされているため、この内周面取り部Rをガイドとしてスムーズにピン120を挿入することができる。
【0078】
ピン120が零調整用マスタMo の下端まで貫通して挿入され、終端位置に到達すると、ピン昇降用モータ136の駆動は一旦停止される。そして、ピン昇降用モータ136が逆方向に駆動される。これにより、ピン120が上昇し、再び挿入準備位置に移動する。この後、回転テーブル130が回転駆動され、ピン120は所定の待機位置に復帰する。
【0079】
ピン120が所定の待機位置に復帰すると、各エアノズル110、110、…からの圧縮エアの供給が停止され、零調整用マスタMo がワークホルダ100から取り除かれる。すなわち、ワークホルダ100の上方に待機していたトランスファーロボット44のハンド54が下降し、零調整用マスタMo を把持して再び上昇する。この後、零調整用マスタMo はトランスファーロボット44によって内径測定部16Bへと搬送される。
【0080】
一方、零調整用マスタMo がワークホルダ100から取り除かれると、再び回転テーブル130が回転駆動され、ピン120が所定の挿入準備位置に移動する。この後、ピン昇降用モータ136が駆動され、ピン120が洗浄位置まで下降してワーク収容穴104に収容される。そして、ピン120がワークホルダ100に収容されると、各エアノズル110から圧縮エアが噴射され、ピン120は、このエアノズル110から噴射された圧縮エアによって、異物除去時に付着した異物が除去される。このエアの噴射は所定時間継続して行われ、所定時間経過すると停止される。この後、ピン昇降用モータ136が駆動され、ピン120は挿入準備位置まで上昇する。そして、回転テーブル130が回転駆動され、所定の待機位置に復帰する。
【0081】
ワークホルダ100から回収された零調整用マスタMo は、トランスファーロボット44によって内径測定部16Bへと搬送される。そして、その内径測定部16Bの測定台60にセットされる。この零調整用マスタMO のセッティングは次のように行われる。
【0082】
まず、零調整用マスタMO を把持したトランスファーロボット44のハンド54が測定台60の上方に移動する。そして、その位置から垂直に下降する。これにより、ハンド54に把持された零調整用マスタMO が押圧リング66のワーク挿通穴76に挿入される。この際、零調整用マスタMO は、内周面取り部Rが上側に向けられた状態でワーク挿通穴76に挿入される。
【0083】
零調整用マスタMO がワーク挿通穴76に挿入されると、ハンド54による零調整用マスタMO の把持が解除される。解除後、ハンド54は一時上方に退避する。
【0084】
ハンド54の退避後、図示しない押圧手段が駆動され、押圧リング66が測定台本体64に向けて押圧される。これにより、保持リング68が押圧リング66に押し潰され、その押し潰された保持リング68に把持されて、零調整用マスタMO が測定台60に保持される。また、測定台60に保持された零調整用マスタMO は、その先端がワーク受け穴74に挿入されるが、この零調整用マスタMO とワーク受け穴74との間に形成される隙間は、保持リング68が押し潰されることによってシールされる。したがって、エア供給路70にエアを供給しても、そのエアは隙間から漏れることはなく、全て零調整用マスタMO の内周部に供給される。
【0085】
以上のようにして零調整用マスタMO が測定台60にセットされると、エア源80が駆動され、レギュレータ82によって一定圧に調整された圧縮エアがA/E変換器84を介して測定台60のエア供給路70に供給される。このエア供給路70に供給された圧縮エアは、零調整用マスタMO の内周部を通って外部に排気される。そして、このときの背圧がA/E変換器84によって検出され、電気信号として管制部86へと出力される。管制部86は、その電気信号として出力された零調整用マスタMO の背圧データを内蔵するメモリに記憶する。
【0086】
零調整用マスタMO の測定が終了すると、エアの供給が停止され、零調整用マスタMO のロックが解除される。すなわち、押圧手段による押圧リング66の押圧が解除され、保持リング68による締め付けが解除される。
【0087】
押圧リング66の押圧が解除されると、上方に待機していたトランスファーロボット44のハンド54が下降し、測定台60にセットされた零調整用マスタMO を把持する。そして、そのまま上昇して測定台60から零調整用マスタMO を回収する。
【0088】
回収された零調整用マスタMO は、トランスファーロボット44によってマスタ格納台88の元の位置に戻される。
【0089】
零調整用マスタMO の測定が終了すると、次に、トランスファーロボット44は、マスタ格納台88から倍率調整用マスタMV を取り出し、異物除去部16Aに搬送する。異物除去部16Aに搬送された倍率調整用マスタMV は、零調整用マスタMO と同様にしてワークホルダ100にセットされ、ピン120の挿入によって内周部に付着した異物が除去される。そして、異物除去後は、零調整用マスタMO と同様にして内径測定部16Bに搬送される。また、ピン120も前記同様、異物除去時に付着した異物が除去される。
【0090】
異物除去部16Bで異物の除去が終了すると、倍率調整用マスタMv は、零調整用マスタMO と同様にトランスファーロボット44によって内径測定部16Bに搬送される。内径測定部16Bに搬送された倍率調整用マスタMV は、零調整用マスタMO と同様にして測定台60にセットされ、背圧の測定が行われる。測定終了後は零調整用マスタMO と同様にしてマスタ格納台88の元の位置に戻される。
【0091】
以上のようにして、零調整用マスタMO と倍率調整用マスタMV の背圧測定が終了すると、管制部86は、測定された零調整用マスタMO の背圧データと倍率調整用マスタMV の背圧データ、及び、既知の内径寸法dO 、dV に基づいて内径寸法の変化と背圧変化との関係(背圧特性)を求める。また、零調整用マスタMO の背圧の測定値を測定の基準値に設定する。以下の測定では、この零調整用マスタMO との背圧変化を検出することにより、ワークWの内径寸法dの測定が行われる。
【0092】
以上一連の操作により、測定の準備作業が完了する。以後、パーツフィーダ22に収納されたワークWの測定が順次行われる。
【0093】
まず、パーツフィーダ22が駆動され供給口26からワークWが順次供給される。供給口26から供給されたワークWは、コンベア40によって方向転換装置42に搬送される。そして、その方向転換装置42によって90度方向転換されて、垂直に立ち上げられる。この際、ワークWは内周面取り部Rが上側に向けられた状態で垂直に立ち上げられる。
【0094】
垂直に立ち上げられたワークWは、トランスファーロボット44のハンド54に受け取られ、そのアーム52の旋回動作によって異物除去部16Aに搬送される。
【0095】
異物除去部16Aに搬送されたワークWは、ワークホルダ100にセットされ、内周部に付着した異物の除去が行われる。このワーク内周部の異物除去は次のように行われる。
【0096】
まず、トランスファーロボット44のハンド54がワークホルダ100の上方に移動する。そして、その位置からアーム52が垂直に下降する。アーム52は、所定量下降すると停止し、これによりワークWがワーク収容穴104に挿入される。なお、このときワークWは、内周面取り部Rが上側に向けられた状態でワーク収容穴104に挿入される。
【0097】
ワークWがワーク収容穴104に挿入されると、ハンド54によるワークWの把持が解除される。この後、アーム52は上昇し、所定の高さの位置で待機する。これにより、ワークWがワークホルダ100にセットされる。
【0098】
ワークWがワークホルダ100にセットされると、エアノズル110、110、…から圧縮エアが噴射される。ワーク収容穴104に収容されたワークWは、このエアノズル110、110、…から噴射される圧縮エアの求心作用によって、ワーク収容穴104の中央にフロート支持される。
【0099】
次に、回転テーブル130が回転駆動され、ピン120が所定の待機位置から挿入準備位置に移動する。この後、ピン昇降用モータ136が駆動され、ピン120が下降して、ワークホルダ100に保持されたワークWの内周部にピン120が挿入される。これにより、ワークWの内周部に付着した異物がワークWの下部に押し出され、異物回収穴106に回収される(内周部に異物が付着している場合)。
【0100】
この際、ワークWは、ワークホルダ100によってフロート支持されているため、ピン120をスムーズに挿入することができる。また、内周面取り部Rが上側に向けられた状態でワークホルダ100にセットされているため、この内周面取り部Rをガイドとしてスムーズにピン120を挿入することができる。
【0101】
なお、ピン120は圧力センサ122によってピン圧が検出されており、このピン圧があらかじめ設定された規定値以上になると、ピン120の挿入は中止される。すなわち、ピン120にかかる圧力が規定値以上になると、ピン昇降用モータ136の駆動が停止され、ピン120の下降が停止する。この後、ピン昇降用モータ136が逆方向に回転駆動され、ピン120は挿入準備位置まで上昇する。そして、回転テーブル130が回転駆動されて、ピン120は所定の待機位置に復帰する。
【0102】
このように、ピン120は、あらかじめ設定された規定値以上の圧力がかかると、挿入が中止されるので、無理にピンを挿入することによる折れや詰まりなどを防止することができる。
【0103】
ピン120がワークWの下端まで貫通して挿入されると、ピン昇降用モータ136が駆動され、ピン120が再び挿入準備位置まで上昇する。この後、回転テーブル130が回転され、ピン120は所定の待機位置に復帰する。
【0104】
一方、ピン120が所定の待機位置に復帰すると、各エアノズル110、110、…からの圧縮エアの供給が停止され、ワークWがワークホルダ100から取り除かれる。すなわち、ワークホルダ100の上方に待機していたトランスファーロボット44のハンド54が下降し、ワークWを把持して再び上昇する。この後、ワークWはトランスファーロボット44によって内径測定部16Bへと搬送される。
【0105】
ワークWがワークホルダ100から取り除かれると、再び回転テーブル130が回転駆動され、ピン120が所定の挿入準備位置に移動する。この後、ピン昇降用モータ136が駆動され、ピン120が下降して、ワーク収容穴104に収容される。そして、ピン120がワークホルダ100に収容されると、各エアノズル110から圧縮エアが噴射され、これにより、ピン120に付着した異物が除去される。
【0106】
エアの噴射は所定時間継続して行われ、所定時間経過すると停止される。この後、ピン昇降用モータ136が駆動され、ピン120は挿入準備位置まで上昇する。そして、回転テーブル130が回転され、所定の待機位置に復帰する。
【0107】
ワークホルダ100から回収されたワークWは、前記のごとくトランスファーロボット44によって内径測定部16Bへと搬送される。そして、その内径測定部16Bの測定台60にセットされ、内径寸法が測定される。この内径測定は次のように行われる。
【0108】
まず、ワークWが押圧リング66のワーク挿通穴76に挿入される。なお、このときワークWは内周面取り部Rが上側に向けられた状態でワーク挿通穴76に挿入される。
【0109】
次に、図示しない押圧手段が駆動され、押圧リング66が測定台本体64に向けて押圧される。これにより、保持リング68が押圧リング66に押し潰され、その押し潰された押圧リング66に把持されて、ワークWが測定台60に保持される。
【0110】
ワークWが測定台60に保持されると、エア源80が駆動され、レギュレータ82によって一定圧に調整された圧縮エアが、A/E変換器84を介して測定台60のエア供給路70に供給される。このエア供給路70に供給された圧縮エアは、ワークWの内周部を通って外部に排気される。そして、このときの圧縮エアの背圧がA/E変換器84によって検出され、電気信号として管制部86へと出力される。
【0111】
管制部86は、A/E変換器84からの電気信号に基づいてワークWの内径寸法dを演算する。すなわち、あらかじめ求めた背圧特性に基づいて測定された背圧からワークWの内径寸法dを算出する。求められた内径寸法dは管制部86に備えられたモニタ(不図示)に表示されるとともに、データとしてメモリに記録される。そして、その測定された内径寸法dが所定の基準を満たしているか否かが判定される。すなわち、所定の基準を満たしたOKワークか、所定の基準を満たしていないNGワークかが判定される。
【0112】
なお、この判定の基準となる内径寸法は、あらかじめ管制部86のメモリに記憶されているものとする。
【0113】
以上によりワークWの内径測定が終了する。測定が終了すると、エア源80の駆動が停止され、測定台60によるワークWの保持が解除される。すなわち、押圧手段(不図示)による押圧リング66の押圧が解除され、保持リング68によるワークWの締め付けが解除される。この後、ワークWはトランスファーロボット44によって測定台60から回収され、回収部18へと搬送される。
【0114】
回収部18に搬送されたワークWは、判定された結果に応じてOKワーク回収ボックス90AとNGワーク回収ボックス90Bとに分別されて回収される。すなわち、所定の基準を満足したOKワークならばOKワーク回収ボックス90Aに回収され、所定の基準を満足しないNGワークならばNGワーク回収ボックス90Bに回収される。
【0115】
なお、この分別回収は次のように行われる。測定台60からワークWを回収したトランスファーロボット44のハンド54は、そのワークWがOKワークの場合、OKワーク回収ボックス90Aの上方に移動する。そして、その位置から所定量下降したのちワークWの保持を解除する。これにより、ワークWは自重で落下し、OKワーク回収ボックス90Aに回収される。一方、測定台60から回収したワークWがNGワークの場合、トランスファーロボット44のハンド54は、NGワーク回収ボックス90Bの上方に移動し、その位置から所定量下降し、ワークWの保持を解除する。これにより、ワークWは自重で落下し、NGワーク回収ボックス90Bに回収される。
【0116】
以上一連の工程で1つのワークWの内径測定が完了する。以下、同様の作業を順次繰り返し実施して、パーツフィーダ22に収容された全てのワークWを測定する。
【0117】
なお、異物除去時にピン120に規定値以上の圧がかかって、ピン120の挿入が中止されたワークWは、NGワークとして内径測定をせずにNGワーク回収ボックス90Bに回収する。すなわち、ピン120が所定の待機位置に復帰したのち、トランスファーロボット44がワークホルダ100からワークWを回収し、回収部18へと搬送してNGワーク回収ボックス90Bに回収する。
【0118】
以上説明したように、本実施の形態の内径測定装置10では、あらかじめワークWの内周部に付着した異物を除去した後、ワークWの内径測定を実施するようにしているので、内周部に異物が付着していることによる誤測定を防止でき、常に安定した正確な測定を行うことができる。
【0119】
また、異物除去時には、ワークWをワークホルダ100によってフロート支持した状態でワークWにピン120を挿入するようにしているので、無理なくピン120を挿入することができる。これにより、ピン120の折れを防止しながら、確実にワークWにピン120を挿入することができる。
【0120】
また、ワークWの内周部に形成された内周面取り部Rの方向からピン120を挿入するようにしているので、これによっても無理なくピン120を挿入することができる。
【0121】
また、このように内周面取り部Rの方向を統一することにより、内径測定部16Bで内径測定する際も精度よくワークWの内径測定を行うことができる。すなわち、内径測定部16Bでは、エアを内周面取り部R側から供給する場合と、内周面取り部Rが形成されていない側から供給する場合とでは、その背圧値に若干狂いが生じることから、このように内周面取り部Rの方向を統一することにより、精度よく内径測定を行うことができる。
【0122】
なお、本実施の形態の内径測定装置10では、ピン120を挿入してワークWの内周部に付着した異物を除去するようにしているが、異物の除去手段は、これに限定されるものではない。たとえば、ワークWの内周部にエアや水などの流体を噴射し、その圧力で異物を除去するようにしてもよい。
【0123】
また、本実施の形態ではワークホルダ100の内周部から噴射するエアによってピン120に付着した異物を除去するようにしているが、ピン120の洗浄手段は、これに限定されるものではない。たとえば、水等の流体を吹き付けてピン120を洗浄するようにしてもよいし、また、スポンジ等でピン120を挟み付け、この状態でピン120を引き上げることによって、ピン120を洗浄するようにしてもよい。
【0124】
また、本実施の形態では、ワークホルダ100がピン120の洗浄手段を兼ねているが、別途専用の洗浄手段を設けてもよい。
【0125】
また、ピン120は、きわめて細いものとなるので、折れる場合があり、このことからピン120の折れを検出する手段を設けることが好ましい。
【0126】
図11は、ピン120の折れを検出するピン折れ検出機構140を備えた異物除去部16Aの構成を示す側面図である。このピン折れ検出機構140は、圧縮エアが噴出するジェットノズル142にピン120の先端を挿入し、その背圧変化を検出することによってピン120の折れを検出する。
【0127】
ジェットノズル142は、図11に示すように、ワークホルダ100のワーク収容穴104の下部同軸上に設置され、図示しないエア源からレギュレータ144、A/E変換器146を介して圧縮エアが供給される。A/E変換器146は、ジェットノズル142から噴射される圧縮エアの背圧を電気信号に変換し、判定部148に出力する。判定部148は、この電気信号に基づいてピン120の折れを検出する。
【0128】
以上のように構成されたピン折れ検出機構140の作用は次のとおりである。
【0129】
まず、折れていないピン120がジェットノズル142に挿入され、この状態でジェットノズル142から圧縮エアが噴射される。判定部148は、このとき検出される背圧値を基準値としてメモリに記憶する。
【0130】
上述したように、異物除去時にピン120はワークWの内周部に貫通して挿入される。この際、ピン120は、挿入準備位置から所定の終端位置まで下降してワークWの内周部に挿入される。この終端位置までピン120が下降すると、ピン120は、その先端部がジェットノズル142に挿入される(ピン120が折れていない場合)。
【0131】
ピン120が終端位置まで下降すると、図示しないエア源が駆動され、ジェットノズル142から圧縮エアが噴射される。このときの背圧値がA/E変換器146によって電気信号として判定部148に出力される。
【0132】
判定部148は、検出された背圧値とあらかじめ求めた背圧値の基準値とを比較し、その背圧値が基準値と一致していればピン120に折れは生じていないと判定する。
【0133】
すなわち、ピン120に折れが生じていると、ピン120がピン折れ検出位置に到達しても、ピン120の先端はジェットノズル142の先端に挿入されない。したがって、この状態でジェットノズル142から圧縮エアを噴射しても、その背圧値は基準値と一致せず、これにより、ピン120に折れが生じていることを検出することができる。
【0134】
一方、ピン120に折れが生じていない場合は、ピン120がピン折れ検出位置に到達すると、ピン120の先端はジェットノズル142の先端に挿入される。したがって、この状態でジェットノズル142から圧縮エアを噴射すると、その背圧値は基準値と一致するので、これにより、ピン120に折れが生じていないことを検出することができる。
【0135】
このようにピン120の折れを検出することにより、ピン120が折れた状態で異物除去作業が行われるのを防止でき、常に安定した状態で内径測定を行うことができる。
【0136】
また、上記のようにピン120の折れを検出することにより、ピン120の折れの検出と同時にピン120に付着した異物の除去も行うことができる。すなわち、上記のようにピン120をジェットノズル142に挿入し、ジェットノズル142から圧縮エアを噴射することにより、ピン120に異物が付着している場合には、その異物を吹き飛ばすことができ、これにより、ピン120の折れの検出と同時にピン120に付着した異物の除去を行うことができる。
【0137】
なお、ピン120の折れ検出は、ワークWの異物除去を行うたびに行い、また、基準値の設定は、ピン120を交換するたびに行うものとする。
【0138】
なお、ピン120の折れ検出機構は、上記のものに限定されるものではなく、この他、ピン120をCCDカメラ等で撮像し、その画像データを画像処理することによってピン120の折れを検出するようにしてもよい。また、所定地点にピン120を移動させ、そのときのピン120の先端の接触の有無をタッチセンサで検出することによって、ピン120の折れを検出するようにしてもよい。
【0139】
また、本実施の形態では、異物除去部16Aにおいて、ワークWをワークホルダ100によってフロート支持するようにしているが、ワークWの保持方法は、これに限定されるものではなく、ワークWを軸線に対して直交する方向にある程度の自由度をもって保持できる構造のものであればよい。
【0140】
なお、本実施の形態のように、エアでフロート支持することにより、ワークWの外径測定も行うことができる。
【0141】
図12は、ワークWの外径を測定する外径測定機構150を備えた異物除去部16Aの構成を示す側面図である。この外径測定機構150は、内径測定部16Bと同様にワークホルダ100のエアノズル110、110、…から吹き出されるエアの背圧を検出することによりワークWの外径を測定する。
【0142】
ワークホルダ100のワーク収容穴104の内周に配置されたニップル112、112、…には、図示しないエア源から、レギュレータ152、A/E変換器154を介して圧縮エアが供給される。ニップル112、112、…に供給された圧縮エアは、ワークWとワーク収容穴104との隙間を通って外部へと噴出される。A/E変換器154は、このときの圧縮エアの背圧を検出し、電気信号に変換して外径測定用管制部156に出力する。外径測定用管制部156は、この電気信号に基づいてワークWの外径寸法を算出する。
【0143】
以上のように構成された外径測定機構150の作用は次のとおりである。
【0144】
零調整用マスタMo が異物除去のためにワークホルダ100にセットされ、エアノズル110、110、…から噴射される圧縮エアによってフロート支持されると、そのエアノズル110、110、…から噴射された圧縮エアの背圧がA/E変換器154によって検出される。外径測定用管制部156は、このA/E変換器154によって検出された背圧データを内蔵するメモリに記憶する。
【0145】
なお、この零調整用マスタMo は外径寸法Do が既知であるものとし、オペレータは、測定前にこの零調整用マスタMo の外径寸法Do をあらかじめ外径測定用管制部156に入力しておくものとする。
【0146】
同様に倍率整用マスタMv が異物除去のためにワークホルダ100にセットされ、エアノズル110、110、…から噴射される圧縮エアによってフロート支持されると、そのエアノズル110、110、…から噴射される圧縮エアの背圧がA/E変換器154によって検出され、外径測定用管制部156へと出力される。外径測定用管制部156は、このA/E変換器154によって検出された背圧データを内蔵するメモリに記憶する。
【0147】
なお、この倍率整用マスタMv も外径寸法Do が既知であるものとし、オペレータは、測定前にこの倍率整用マスタMv の外径寸法Dv をあらかじめ外径測定用管制部156に入力しておくものとする。
【0148】
以上のようにして、零調整用マスタMO と倍率調整用マスタMV の背圧測定が終了すると、外径測定用管制部156は測定された零調整用マスタMO の背圧データと倍率調整用マスタMV の背圧データ、及び、既知の外径寸法DO 、DV に基づいて外径寸法の変化と背圧変化との関係(背圧特性)を求める。また、零調整用マスタMO の背圧の測定値を測定の基準値に設定する。
【0149】
同様に倍率整用マスタMv が異物除去のためにワークホルダ100にセットされ、エアノズル110、110、…から噴射される圧縮エアによってフロート支持されると、そのエアノズル110、110、…から噴射される圧縮エアの背圧がA/E変換器154によって検出され、外径測定用管制部156へと出力される。外径測定用管制部156は、このA/E変換器154によって検出された背圧データを内蔵するメモリに記憶する。
【0150】
ワークWも上記同様にワークホルダ100にセットされ、エアノズル110、110、…から噴射される圧縮エアによってフロート支持されると、そのエアノズル110、110、…から噴射される圧縮エアの背圧がA/E変換器154によって検出され、外径測定用管制部156へと出力される。外径測定用管制部156は、このA/E変換器154によって検出された背圧データと背圧特性とからワークWの外径寸法Dを算出する。算出された外径寸法Dは、外径測定用管制部156に備えられたモニタ(不図示)に表示されるとともに、データとして外径測定用管制部156に内蔵されたメモリに記録される。
【0151】
このように、本実施の形態のワークホルダ100を使用することによりワークWのフロート支持と同時にワークWの外径測定も行うことができる。
【0152】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、内径測定をする前に予め異物除去手段でワーク内周部に付着した異物を取り除くようにしているので、常に正確な測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内径測定装置の一実施形態を示す全体構成図
【図2】パーツフィーダの選別部の構成を示す概略図
【図3】投光・受光センサの説明図
【図4】搬送部の構成を示す概略図
【図5】ワークホルダの構成を示す縦断面図
【図6】ワークホルダの構成を示す横断面図
【図7】異物除去部の構成を示す概略図
【図8】内径測定部の構成を示す概略図
【図9】測定台の構成を示す縦断面図
【図10】ワークの構成を示す断面図
【図11】ピン折れ検出機構を備えた異物除去部の構成を示す概略図
【図12】外周測定機構を備えた異物除去部の構成を示す概略図
【符号の説明】
10…内径測定装置、12…供給部、14…搬送部、16A…異物除去部、16B…内径測定部、18…回収部、20…マスタ格納部、22…パーツフィーダ、23…選別部、24…搬送路、26…供給口、28…ストッパ、30…投光・受光センサ、30A…投光素子、30B…受光素子、34…エアノズル、36…戻し口、40…コンベア、42…方向転換装置、44…トランスファーロボット、46…クランパ、46A、46B…クランプ爪、48…回転軸、50…ロッド、52…アーム、54…ハンド、54A、54B…クランプ爪、60…測定台、62…エアマイクロメータ、64…測定台本体、66…押圧リング、68…保持リング、70…エア供給路、72…凹部、74…ワーク受け穴、76…ワーク挿通穴、78…押圧面、80…エア源、82…レギュレータ、84…A/E変換器、86…管制部、90A…OKワーク回収ボックス、90B…NGワーク回収ボックス、100…ワークホルダ、102…ピン挿入装置、104…ワーク収容穴、106…異物回収穴、108…ニップル取付穴、110…エアノズル、112…ニップル、120…ピン、122…圧力センサ、124…アーム、126…昇降体、128…支柱、130…回転テーブル、132…ネジ棒、134…軸受部、136…ピン昇降用モータ、140…ピン折れ検出機構、142…ジェットノズル、144…レギュレータ、146…A/E変換器、148…判定部、150…外径測定機構、152…レギュレータ、154…A/E変換器、156…外径測定用管制部、W…ワーク、R…内周面取り部、T…外周面取り部、d…内径、D…外径
Claims (7)
- 円筒状に形成されたワークの一端から圧縮エアを供給し、その背圧を検出することにより、ワークの内径を測定する内径測定装置において、
ワークの内周部に付着した異物を除去する異物除去手段を備え、該異物除去手段でワーク内周部の異物を除去したのちワークの内径測定を行うことを特徴とする内径測定装置。 - 前記異物除去手段は、
ワークを保持するワーク保持手段と、
前記ワーク保持手段に保持されたワークの内周部にピンを挿入するピン挿入手段と、
からなり、前記ワーク保持手段に保持されたワークの内周部に前記ピン挿入手段でピンを挿入することにより、ワーク内周部の異物を除去することを特徴とする請求項1に記載の内径測定装置。 - 前記ワーク保持手段は、
本体と、
前記本体に形成され、ワークを軸線に沿って収容するワーク収容穴と、
前記ワーク収容穴の内周面に等間隔に配置されたエアノズルと、
前記エアノズルから前記ワーク収容穴の中心に向けて圧縮エアを噴射するエア噴射手段と、
からなり、前記エアノズルから吹き出される圧縮エアの求心作用でワークを前記ワーク収容穴の中央部にフロート支持することを特徴とする請求項2に記載の内径測定装置。 - 前記エアノズルから吹き出される圧縮エアの背圧を検出して、前記ワーク収容穴に収容されたワークの外径を測定する外径測定手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の内径測定装置。
- 前記ピンを洗浄するピン洗浄手段を備えたことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の内径測定装置。
- 前記ピン洗浄手段は、前記ワーク保持手段であり、前記ワーク収容穴にピンを収容し、前記エアノズルから噴射する圧縮エアで前記ピンに付着した異物を除去することを特徴とする請求項5に記載の内径測定装置。
- 前記ピンにかかる圧力を検出する圧力検出手段を備え、該圧力検出手段で検出された圧力が、あらかじめ設定した値以上になると、前記ピン挿入手段は前記ピンの挿入を中止することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の内径測定装置。
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