JP3899895B2 - 訓練装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は下肢の訓練のための訓練装置、殊に変形性膝関節症の予防に効果的な訓練装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より歩行の訓練装置は多種のものが提供されているが、これらは足を載せるステップ部分が前後に動くだけのものが主で、一部にステップに前後の傾きを加えた動きを行わせるものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで変形性膝関節症を予防するには、「膝の中心を重心が通るようにして歩く」という点と、「大腿部・臀部の筋肉を鍛える」という点の2点がポイントとなっているが、上記の歩行用訓練装置では、これらのポイントを満たす訓練を行うことができない。
【0004】
また、特開昭63−9464号公報に示されたスキーヤ及びスケータ用筋力トレーニング装置や、特開2000−60910号公報に示されたO脚矯正運動健康器具には、ステップ部分を左右に傾けて膝位置を左右にずらすことができるようにしたものが提案されているが、これらにおいても変形性膝関節症の予防効果を充分得られるものとはなっていない。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは変形性膝関節症の予防のための訓練を的確に行うことができる訓練装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、左右の足を載せるための左右一対のステップと、各ステップを夫々前後方向にスライド自在とするとともに鉛直軸回りの回転が自在となっている左右一対のスライダーと、両スライダーを前後方向に直進往復移動する移動手段とを備えていることに特徴を有している。前後動に加えてスライダーの鉛直軸回りの回転により内転・外転の動きを加えることができるようにしたものである。
【0007】
上記スライダーはその前端側よりも後端側の方が高くなる傾斜を備えていることが好ましい。被訓練者が歩行動作を行う時、後方へ引いた足の踵側が上部に上げられるのでステップに軸足の体重を正しく載せることができる。
【0008】
また、ステップは前後軸回りの左右方向揺動が自在となっていると、被訓練者が歩行動作を行う時、左右方向に足首が固定されずに不安定となるために、下肢の筋肉訓練を効果的に行うことができる。
【0009】
ステップは前後方向揺動及び左右方向揺動が自在となっていてもよい。下肢の筋肉訓練を効果的に行うことができる上に、実際の歩行時の足の運びを無理なく行わせることができるものとなる。
【0010】
スライダーを鉛直軸回りに回転させる回転駆動手段を備えて、強制的にスライダーの回転を行わせるようにしてもよい。
【0011】
また、スライダーを前後方向に直進往復移動する移動手段は左右一対のスライダー毎に設けておくと、より効果的な訓練を行うことができる。
【0012】
さらに移動手段及び回転駆動手段は、片側ステップを後方へ駆動すると同時にスライダーの後端側を外側に回動させ、次いで上記の片側ステップを前方へ駆動すると同時にスライダーの後端側を内側に回動させることを、両ステップについて交互に行うものが、効果的な訓練を行うことができる点で好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、図1において、上部両側縁にLMガイドからなるスライドガイド11,11を備えているベース1には、左右一対のメインスライダー2,2が上記スライドガイド11,11によって個別に前後にスライド自在に配設されているとともに、これらメインスライダー2,2も前後に直進往復移動自在となるようにしてある。なお、図ではギアードモータ15,15にカプリング16を介して連結されたねじ軸17,17を夫々連結してギアードモータ15によるねじ軸17の回転によってメインスライダー2,2を前後に直線往復駆動させることもできるようにしたものを示しているが、これは後述の他動的訓練のためのものであって、必須ではない。
【0014】
そして各メインスライダー2の上面には、回転軸20と、この回転軸20を中心とする円弧状となっているスライドガイド21とが設置されており、回転軸20と嵌合する嵌合部30を下面前端側に、スライドガイド21と係合する摺動部31を下面後端側に備えたスライダー3がメインスライダー2上に配設されている。
【0015】
スライダー3は、その上面側に前後方向にスライド自在となっているスライドプレート32を備えており、このスライドプレート32上にステップ4が取り付けられている。
【0016】
ステップ4は図3にも示すように、下端側の取付プレート40と、上端側のステップ板41と、取付プレート40に対してステップ板41を左右に揺動自在に支持する支持部42と、支持部42の左右においてステップ板41,41を上方に向けて付勢するばね43,43とからなり、取付プレート40が上記スライドプレート32に固定されることでスライダー3と連結されている。
【0017】
従ってこの訓練装置においては、被訓練者が足を載せることになるステップ4は、メインスライダー2の前後方向の移動のほか、スライダー3が回転軸20を中心とする鉛直軸回りに回転自在となっているために、ステップ4のつま先側を中心として踵側が左右に動く回転が自在となっており、さらにはステップ4がスライダー3の前後方向にスライドすることによる前後動も自在となっている。
【0018】
今、被訓練者が手すり5を持った状態で両ステップ4,4上に左右の足を載せて歩行動作を行えば、メインスライダー2及びスライダー3に対してステップ4が前後に可動となっている上に、同様の構造から軸足が不安定になるために足下が不安定なものであり、この結果、ステップ4に軸足の体重を正しく載せるようになる。このために、前述の「膝の中心を重心が通るように歩く」という状態を得ることができる。
【0019】
また、スライダー3そのものが鉛直軸回りに回転自在となっていることから、被訓練者は転けまいとしてバランスを取る努力、つまりは膝をやや曲げた中腰の状態となる。このために下半身の筋肉の収縮を促進することになり、前述の「大腿部・臀部の筋肉を鍛える」という動作を得ることができる。
【0020】
このように、変形性膝関節症の予防に適した前記2点の動作を得られることから、膝痛を防ぐ訓練を行うことができるものである。
【0021】
この時、スライダー3はステップ4が取り付けられるスライドプレート32のスライド部を前端側よりも後端側が高くなる傾斜を持つものとなっているために、被訓練者が歩行動作のために足を後ろに引いた時にその足が上部に上げられることになり、このために引いていない方の軸足側に体重を載せかけることが適切になされるものである。
【0022】
また、ステップ4におけるステップ板41が上述のように左右に揺動自在となっていることは、歩行動作を行う時、足首の左右方向の固定がなされないものであり、左右方向のバランスを取ろうとして下腿の筋肉(ひふく筋、前頚骨筋、ひらめ筋など)を使用することになるために、さらにバランス良く下肢の筋肉訓練を行うことができる。
【0023】
なお、ステップ4におけるステップ板41を図4に示すように左右一対の伸縮アクチュエータ45,45で強制的に傾けるようにしてもよい。また、図5に示すように左右方向だけでなく前後方向にも揺動自在となるように支持部42での支持を行うと、バランスを取るためにさらに下腿の筋肉を効果的に鍛えることができる上に、実際の歩行時の足の運びにおいて行われる足首を中心とした回転運動を行わせることができるために、歩行動作を無理なく行わせることができる。
【0024】
ところでスライダー3の鉛直軸回りの回転を自在としているのは股関節の回転を考慮したためであるが、上記回転軸20を回転させる回転駆動部(たとえば
ハーモニックギア付きモータ)を設けて、スライダー3の鉛直軸回りの回転を動力駆動で行うようにしてもよい。
【0025】
ギアードモータ15によるメインスライダー2の前後方向の直線往復駆動と、上記回転駆動部によるスライダー3(ステップ4)の回転とを組み合わせれば、他動的な訓練装置として機能させることができる。たとえば、右ステップ4を後方へ駆動すると同時に右側のスライダー3の後端側を外側に回動させ、次いで右側ステップ4を前方へ駆動すると同時に右側スライダー3の後端側を内側に回動させる。この間、左側のステップ4はメインスライダー2上では回転をさせないでおく。次に左ステップ4について、同様の動作を行わせるのである。
【0026】
図7に示したものでは、両足を後ろに引かせる時、右足のみが右方向に広がり、同時に踵が外になるように回転させる。次に逆の動きで前方へ両足を帰させる。左足に対しても同様の動きを行う。軸足が固定されないために、体の重心が常に崩される状態になり、バランスをとろうとして足の筋肉を使用するものである。
【0027】
この場合、完全に他動的な歩行動作を被訓練者に与えることができる。また、歩行動作を強制的に行わせる場合、軸足が固定されたままだと体の重心線がずれなくなり、足は動いているものの筋肉は使っていない状態となるが、メインスライダー2を強制的に前後に動かすことから、重心の移動を強いてバランス保持のための動きを被訓練者に行わせることになるために、筋肉の緊張弛緩動作を被訓練者に負荷することができるものである。
【0028】
図6に他例を示す。これは単一のメインスライダー2上に2つのスライダー3,3を配して、左右のステップ4,4のモータ15による前後駆動を同時に行うようにしたものを示しており、この場合、材料コストを抑えることができる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、左右の足を載せるための左右一対のステップと、各ステップを夫々前後方向にスライド自在とするとともに鉛直軸回りの回転が自在となっている左右一対のスライダーと、両スライダーを前後方向に直進往復移動する移動手段とを備えているために、前後動に加えてスライダーの鉛直軸回りの回転により内転・外転の動きを加えることができるものであり、このために変形性膝関節症の予防に適切な訓練を被訓練者に与えることができる。
【0030】
上記スライダーはその前端側よりも後端側の方が高くなる傾斜を備えたものとすることで、被訓練者が歩行動作を行う時、後方へ引いた足の踵側が上部に上げられることになり、このためにステップに軸足の体重を正しく載せることができて、より確実な訓練を行うことができる。
【0031】
また、ステップは前後軸回りの左右方向揺動を自在としておくことで、被訓練者が歩行動作を行う時、左右方向に足首が固定されずに不安定となるために、下肢の筋肉訓練をより効果的に行うことができる。
【0032】
さらにステップは前後方向揺動及び左右方向揺動が自在となっておれば、下肢の筋肉訓練をさらに効果的に行うことができる上に、実際の歩行時の足の運びを無理なく行わせることができるものとなる。
【0033】
前後方向への駆動手段とスライダーを鉛直軸回りに回転させる回転駆動手段を備えて、強制的にスライダーの前後への駆動と回転を行わせるようにしてもよい。他動的な訓練も行うことができる。
【0034】
また、スライダーを前後方向に直進往復駆動する駆動手段はコスト的な点からは左右同時に駆動するものであってもよいが、左右一対のスライダー毎に設けておくと、より効果的な訓練を行うことができる。
【0035】
さらに駆動手段及び回転駆動手段は、片側ステップを後方へ駆動すると同時にスライダーの後端側を外側に回動させ、次いで上記の片側ステップを前方へ駆動すると同時にスライダーの後端側を内側に回動させることを、両ステップについて交互に行うものであると、他動的な訓練を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の分解斜視図である。
【図2】同上の使用状態を示す斜視図である。
【図3】同上のステップを示しており、(a)は背面図、(b)は側面図である。
【図4】ステップの他例を示すもので、(a)は背面図、(b)は側面図である。
【図5】ステップの別の例を示すもので、(a)は背面図、(b)は側面図である。
【図6】他例の分解斜視図である。
【図7】他動的動作時の動作説明図である。
【符号の説明】
2 メインスライダー
3 スライダー
4 ステップ
Claims (7)
- 左右の足を載せるための左右一対のステップと、各ステップを夫々前後方向にスライド自在とするとともに鉛直軸回りの回転が自在となっている左右一対のスライダーと、両スライダーを前後方向に直進往復移動する移動手段とを備えていることを特徴とする訓練装置。
- スライダーはその前端側よりも後端側の方が高くなる傾斜を備えていることを特徴とする請求項1記載の訓練装置。
- ステップは前後軸回りの左右方向揺動が自在となっていることを特徴とする請求項1または2記載の訓練装置。
- ステップは前後方向揺動及び左右方向揺動が自在となっていることを特徴とする請求項1または2記載の訓練装置。
- スライダーを鉛直軸回りに回転させる回転駆動手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の訓練装置。
- スライダーを前後方向に直進往復移動する移動手段は左右一対のスライダー毎に設けていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の訓練装置。
- 移動手段及び回転駆動手段は、片側ステップを後方へ駆動すると同時にスライダーの後端側を外側に回動させ、次いで上記の片側ステップを前方へ駆動すると同時にスライダーの後端側を内側に回動させることを、両ステップについて交互に行うものであることを特徴とする請求項5記載の訓練装置。
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