JP3899800B2 - 画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体 - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体に係り、さらに詳しくは、カラーの画像データにおける文字画像をその背景画像と区別する画像処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の文書作成ソフトの高機能化にともない、視覚的な効果を目的としたカラー原稿が増加してきている。
【0003】
例えばOHPシートに出力されるプレゼンテーション用資料では、カラーの背景画像の上に文字画像が描かれて作成されることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えばファイルに綴じるために、カラー原稿を通常のモノクロでコピーした場合、背景の色によってはコピー上の文字と背景との境界が判別できず、文字が読みにくい、あるいは読めないという問題があった。この問題は、カラー原稿をファクシミリで送信する場合にも同様に生じる。
【0005】
一方、カラー原稿をカラーでコピーすれば、原稿の色がコピーに再現されるので文字が読めないという問題は無くなるものの、トナーの消費量がモノクロでコピーする場合よりも多く、コストが高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、例えばカラー原稿を読み取って得られたカラーの画像データから、文字画像とその背景画像とを明確に区別したモノクロ画像を得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0008】
(1) 文字画像と当該文字画像に対して異なる色の背景となる背景画像とを含むカラーの画像データにおける各画素の色を検出する色検出手段と、前記各画素の色の相違に基づいて、前記文字画像と前記背景画像とを区別して前記画像データを2値化する2値化手段と、2値化された画像データ中において文字画像よりも背景画像の方が濃度が大きくなる場合、当該文字画像および背景画像の各画素の濃度を反転する濃度反転手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【0009】
(2) 前記色検出手段は、前記各画素の色を所定の表色系にて検出し、前記2値化手段は、前記各画素の色についての前記表色系により規定される色空間の座標値を用いて前記画像データを2値化することを特徴とする上記(1)に記載の画像処理装置。
【0010】
(3) 前記2値化手段は、前記画像データ中の異なる部分において当該画像データを2値化するための異なるしきい値を用いることを特徴とする上記(2)に記載の画像処理装置。
【0011】
(4) 前記2値化手段は、前記部分における画素の色の所定座標についての最大値と最小値との差が所定値より大きい場合に、前記最大値と前記最小値との平均値をしきい値とすることを特徴とする上記(3)に記載の画像処理装置。
【0012】
(5) 前記2値化手段は、前記各画素の色についての前記表色系により規定される色空間の3つの座標値すべてを用いることを特徴とする上記(2)に記載の画像処理装置。
【0013】
(6) 前記所定の表色系は、L***表色系であり、前記2値化手段は、前記各画素の色についてのL***表色系により規定される色空間の座標値の中でL*値のみを用いることを特徴とする上記(2)に記載の画像処理装置。
【0015】
) 2値化された画像データ中の文字画像から文字コードを認識する文字コード認識手段と、認識された文字コードに応じた文字コードデータを出力する出力手段とをさらに有することを特徴とする上記(1)に記載の画像処理装置。
【0016】
) 前記出力手段は、前記文字コードデータを、カラーの画像データ中の対応する文字画像の色で出力することを特徴とする上記()に記載の画像処理装置。
【0017】
) データを用紙に印刷する印刷手段をさらに有することを特徴とする上記(1)に記載の画像処理装置。
【0018】
10) 電子ファイルを作成するファイル作成手段をさらに有することを特徴とする上記(1)に記載の画像処理装置。
【0019】
11) 原稿を読み取ることによって画像データを得る読取手段をさらに有することを特徴とする上記(1)に記載の画像処理装置。
【0020】
12) 文字画像と当該文字画像に対して異なる色の背景となる背景画像とを含むカラーの画像データにおける各画素の色を検出する段階と、前記各画素の色の相違に基づいて、前記文字画像と前記背景画像とを区別して前記画像データを2値化する段階と、2値化された画像データ中において文字画像よりも背景画像の方が濃度が大きくなる場合、当該文字画像および背景画像の各画素の濃度を反転する段階とを有することを特徴とする画像処理方法。
【0021】
13) 画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、文字画像と当該文字画像に対して異なる色の背景となる背景画像とを含むカラーの画像データにおける各画素の色を検出する段階と、前記各画素の色の相違に基づいて、前記文字画像と前記背景画像とを区別して前記画像データを2値化する段階と、2値化された画像データ中において文字画像よりも背景画像の方が濃度が大きくなる場合、当該文字画像および背景画像の各画素の濃度を反転する段階とをコンピュータに実行させるための画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るデジタルカラー複写機の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
画像処理装置としての機能を有するデジタルカラー複写機100は、CPU110、ROM120、RAM130、操作部140、スキャナエンジン150、プリンタエンジン160、および画像処理部170を有する。
【0025】
CPU110は、プログラムにしたがってデジタルカラー複写機100の全体の制御を行う。
【0026】
ROM120は、制御プログラムやデータを格納する。RAM130は、一時的にデータを記憶する領域を有し、例えば画像データ、文字コードデータ、出力用データ等の各種データを一時的に記憶する。
【0027】
操作部140は、コピー処理に関する各種モードの設定を行うための操作パネル141(図2参照)、コピー動作を開始するためのスタートキー、およびその他の入力キーを有している。
【0028】
スキャナエンジン150は、例えばカラー原稿を読み取ることによって、カラーの画像データを得ることができる。プリンタエンジン160は、作成された出力用データを用紙に印刷する。
【0029】
画像処理部170は、色検出部171、OCR前処理部172、OCR処理部173、文字画像判定部174、および出力用データ作成部175を備えている。
【0030】
色検出部171は、スキャナエンジン150により得られたカラーの画像データにおける各画素の色を検出する。OCR前処理部172は、OCR処理部173に入力するデータを作成するために、カラーの画像データを2値化して2値画像を得る処理等のOCR前処理を行う。OCR処理部173は、2値画像中の文字画像から文字コードを認識する文字認識処理等のOCR処理を行う。文字画像判定部174は、2値画像における文字領域内の各画像が間違いなく文字画像であるか否かを判定する。出力用データ作成部175は、プリンタエンジン160により用紙に印刷するための出力用データを作成する。
【0031】
図2は、操作パネル141の表示例を示す図である。操作パネル141には、基本機能、仕上げ機能、編集機能、画質調整機能、およびオプション機能を設定するためのメニューが表示される。例えば基本機能には、用紙サイズ、カラー/モノクロ、およびコピー枚数の指定が含まれる。
【0032】
本実施形態では、例えばオプション機能に、原稿中の文字部分のみを印刷するための文字コピー処理モードの指定が含まれている。この文字コピー処理モードは、図2に示す文字コピーボタン142により指定される。なお、文字コピー処理モードが指定されていない場合、原稿から読み取られた画像データのすべてを印刷する通常のコピー処理モードが設定される。
【0033】
文字コピー処理モードが指定された場合、原稿中の文字部分は後述するように文字コードデータで印刷されるが、印刷時の出力フォントの指定が可能となっている。この出力フォントは、図2に示す出力フォント指定ボタン143により指定される。例えば「明朝体」、「ゴシック体」、「ポップ書体」等の各種フォントが出力フォントとしてメモリに内蔵されている。但し、出力フォント指定ボタン143は、ユーザが特に指定しない限り、「オート」に設定される。この場合、メモリに内蔵されている複数のフォントのうち、原稿のフォントに最も近いフォントが、出力フォントとして自動的に選択される。
【0034】
次に、画像処理部170の動作を、図3および図4のフローチャートを用いて説明する。
【0035】
ここでは、文字コピー処理モードが指定された上で、文字、および当該文字と異なる色の背景を含むカラー原稿の複写が行われる場合について説明する。この場合、スキャナエンジン150によりカラー原稿が読み取られて、例えば図5に示すカラーの画像データ10が得られる。この画像データ10は、画像全体についての薄緑色の下地画像11、黒色の大きい文字画像12、黒色の小さい文字画像13〜16、文字画像13〜16それぞれの背景となる緑色、黄色、青色、赤色の背景画像17〜20、白色の文字画像21、文字画像21の背景となる黒色の背景画像22、および、それぞれ緑色、青色、ピンク色の星形の図形23〜25を含んでいる。
【0036】
ステップS100では、得られたカラーの画像データ10における各画素の色が検出される。ここで、カラー原稿を読み取って得られた画像データ10の色は、RGB表色系で与えられている。この画像データ10に対し、RGB表色系からL***表色系へと色空間の変換を行う。したがって、画像データ10における各画素の色がL***表色系で検出されることになる。
【0037】
すなわち、画像データ10における各画素の色は、L***表色系により規定される色空間の座標値であるL*値、a*値、b*値で表される。ここで、L*値は明度を示し、a*値およびb*値は色度(色相と彩度)を示している。また、L***表色系は、スキャナ、プリンタ、複写機等の個々の機器に依存しないので、各機器において共通の色情報として扱うことができるものである。
【0038】
ステップS200では、OCR前処理部172により画像データ10を2値化する処理が行われる。この2値化処理の内容は、図4のフローチャートに示されている。
【0039】
ステップS201では、カラーの画像データ10の座標別データを用いて、文字領域、写真領域、網点領域等の領域の判別が行われる。ここで、座標別データは、カラーの画像データ10をL*値、a*値、b*値それぞれで分離することによって得られるL*データ、a*データ、b*データである。最初に、例えばL*データを用いた処理が行われる。
【0040】
ステップS202では、判別された領域の種類に応じた画像補正処理が行われる。画像補正処理は、エッジ強調、平滑化等の処理を含む。
【0041】
ステップS203では、L*データの所定部分における最大値を求め、最大レベルX1とする。ここで、所定部分は、注目画素の周辺に位置するn×n画素のマトリックスである。L*データの場合、L*値は明度を示すものであるから、最大レベルX1に近いL*値を有する画素は、通常、背景画像の画素である。
【0042】
ステップS204では、ステップS203と同様にして、L*データの所定部分における最小値を求め、最小レベルX2とする。L*データの場合、最小レベルX2に近いL*値を有する画素は、通常、文字画像の画素である。
【0043】
ステップS205では、上記所定部分内の画素間でL*値に有意差があるか否かが判断される。すなわち、Tを所定値としたときに、X1―X2>Tであるか否かが判断される。上記所定部分内の画素間でL*値に有意差があると判断された場合(ステップS205:YES)、ステップS206の処理が実行され、L*値に有意差が無いと判断された場合(ステップS205:NO)、ステップS212の処理が実行される。
【0044】
ステップS206では、注目画素を2値化するためのしきい値が、最大レベルX1と最小レベルX2との平均値で、各画素について与えられる。すなわち、上記しきい値Thは、Th=(X1+X2)/2の式により算出される。これにより、文字画像と背景画像とを容易かつ明確に区別することができる。
【0045】
一方、ステップS212では、所定部分内の画素間でL*値に有意差が無いと判断されたことから当該所定部分は文字画像の無い部分とみなされ、注目画素を2値化するためのしきい値Thは、Th=X1−kの式により、各画素について算出される。ここで、kは、上記しきい値Thよりも大きい値に設定される。つまり、最大レベルX1および最小レベルX2の双方の画素が同じ値に2値化されることになる。
【0046】
ステップS207では、画素ごとに設定されたしきい値Thにより、L*データが白と黒に2値化される。これにより、座標別2値画像として、L*データの2値画像が得られる。図5に示すカラーの画像データ10から得られたL*データの2値画像を図6に示す。通常のカラー原稿における文字とその背景との間には多少の明度差が存在しているので、得られた画像データのL*データを用いて2値化することにより、大部分のカラーの画像データから、文字画像とその背景画像とを明確に区別したモノクロ画像を得ることができる。
【0047】
ステップS208では、L*データの2値画像中に、文字画像よりも背景画像の方が濃度が大きい白抜き文字領域31(図6参照)が存在するか否かが判断される。ここで、2値画像中から文字領域が抽出され、文字画像よりも背景画像の方が濃度が小さい(白地に黒文字の)通常の文字領域であるか、または白抜き文字領域であるかが判別される。この判別は、文字領域内における白色画素数と黒色画素数とを比較することにより行われる。白抜き文字領域31が存在する場合(ステップS208:YES)、ステップS209の処理が実行され、白抜き文字領域31が存在しない場合(ステップS208:NO)、ステップS210の処理が実行される。
【0048】
ステップS209では、白抜き文字領域31内の画素の濃度が反転される。L*データの2値画像に対し、白抜き文字領域内の画素の濃度を反転させた後の2値画像を図7に示す。これにより、出力時に読みやすく、かつ後述する文字認識処理に適合した文字画像を得ることができる。
【0049】
ステップS210では、上記ステップS201〜S209の処理が、L*データ、a*データ、b*データのすべてに対して実行されたか否かが判断される。すべてのデータに対して上記処理の実行が終了した場合(ステップS210:YES)、ステップS211の処理が実行される。一方、上記処理の実行が終了していないデータが残っている場合(ステップS210:NO)、ステップS201に戻って、例えばa*データ、b*データに対して、上記したL*データに対する処理と同様の処理が実行される。
【0050】
ステップS211では、L*データ、a*データ、およびb*データの2値画像、すなわち、すべての座標別2値画像が合成され、図3のメインフローチャートにリターンされる。座標別2値画像の合成では、いずれかの座標別2値画像の画素が黒であるとき、合成後の2値画像の当該画素が黒とされる。これにより、例えば文字画像とその背景画像とが同じ明度を有するが異なる色度を有する場合、両者の区別が可能となる。したがって、任意のカラーの画像データから、文字画像とその背景画像とを明確に区別したモノクロ画像を得ることができる。
【0051】
ステップS300では、OCR前処理部172により、得られた2値画像中の孤立点等のノイズの除去、原稿が傾いて読み取られた場合の傾き補正等の処理が行われる。
【0052】
ステップS400では、OCR前処理部172から出力された2値画像がOCR処理部173に入力され、OCR処理部173により、2値画像中から文字画像が存在する文字領域が検出される。文字領域は、黒白反転頻度などの特性に基づいて検出され、例えば文節単位程度で抽出される。
【0053】
ステップS500では、OCR処理部173により、抽出された文字領域内の文字画像に対し、文字認識処理が行われる。ここで、OCR処理部173は、文字領域内の個々の文字画像から文字コードを認識し、文字コードデータを作成する。文字画像から文字コードを認識する方法は、例えば、各文字画像の特徴量とあらかじめ記憶されている辞書パターンとの一致の度合いに基づいて行われる。また、OCR処理部173は、上記一致の度合いに応じて、文字コードを認識する確からしさの度合いである文字認識確度を検出する。さらに、OCR処理部173は、文字画像の位置情報、フォントタイプ、フォントサイズ、太字・斜体などのスタイル、アンダーライン等の文字属性を認識する。
【0054】
ステップS600では、文字画像判定部174により、文字領域内の各画像が間違いなく文字画像であるか否かが判定される。ここで、文字画像判定部174は、例えば、OCR処理部173から出力された文字コード情報と文字認識確度とに基づいて、各画像が間違いなく文字画像であるか否かを判定する。
【0055】
すなわち、OCR処理部173により文字認識された結果、文字コードが認識できないか、あるいは文字コードが認識できたとしても文字認識確度が所定値より低い画像である場合、文字画像判定部174は当該画像を文字画像でないと判定する。したがって、文字画像でないと判定された画像を除去することにより、文字画像以外の画像が誤って文字コードデータに変換されて出力されることを防止することができる。
【0056】
なお、文字画像判定部174は、文字コード情報および文字認識確度に加えて、例えば、近隣の文字画像との連続性の度合いである文字連続性度を用いて判定してもよい。この文字連続性度は、近隣の文字画像との距離、フォントサイズの差等の文字属性の連続性の面から、文字らしさを評価した値である。
【0057】
ステップS700では、出力用データ作成部175により、プリンタエンジン160によって用紙に印刷するための出力用データが作成される。すなわち、出力用データ作成部175は、OCR処理部173から出力される文字コードデータを所定の形式でページ内に配置して出力用データを作成する。ここで、文字コードデータは、画像データ10中の対応する文字画像と同じ位置に配置される。但し、ページ内で詰めて文字コードデータを配置することもできる。なお、文字コードデータには、フォントタイプ、フォントサイズ、太字・斜体などのスタイル、アンダーライン等の文字属性が含まれる。
【0058】
文字コードデータのフォントタイプは、出力フォントの指定が「オート」に設定されている場合、メモリに内蔵されたフォントのうちでOCR処理部173により認識されたフォントに最も近いものに設定される。また、文字コードデータのその他の文字属性も、OCR処理部173により認識された文字属性に応じて設定される。なお、ユーザは、出力フォントとして特定のフォントを指定することにより、原稿中の文字部分を、例えば原稿のフォントと異なる所望のフォントで出力させることが可能である。
【0059】
図5に示されるカラーの画像データから図3および図4の処理を施して得られた出力用データを図8に示す。そして、作成された出力用データは、プリンタエンジン160に送信され、用紙に印刷される。
【0060】
このように、本実施形態のデジタルカラー複写機によれば、文字コピー処理モードを指定して動作させることにより、文字および当該文字と異なる色の背景を含むカラー原稿を読み取って得られたカラーの画像データから、文字画像とその背景画像とを明確に区別したモノクロ画像を得ることができる。
【0061】
これにより、例えば視覚的効果を目的としたカラー原稿を読み取った画像データから、内容的にはさほど重要でない背景画像や文字以外の画像を除去したモノクロの出力用データを作成することができる。
【0062】
したがって、出力用データを用紙に印刷することにより、文字がきわめて読みやすいコピーを得ることができる。また、カラー原稿をそのままカラーコピーする場合よりもトナーの消費量が少なくなり、コストが低減される。
【0063】
本発明は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0064】
例えば、上記実施形態では、OCR処理部173は、L***表色系により規定される色空間のL*値、a*値、b*値の3つの座標値すべてを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば3つの座標値の中でL*値のみを用いることも可能である。また、上記実施形態では、L***表色系を用いて画像データを2値化する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばRGB表色系等、他の表色系を用いて画像データを2値化してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、出力用データをモノクロで用紙に印刷する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、出力用データをカラーの画像データ中の対応する文字画像の色で用紙に印刷してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、文字画像を文字コードデータに変換して出力用データを作成する場合について説明したが、2値画像における文字領域内の文字画像を文字コードデータに変換することなく、当該文字画像を用いて出力用データを作成してもよい。さらには、図6または図7に示す2値画像をそのまま出力用データとすることも簡易的には可能である。
【0067】
また、上記実施形態では、画像処理装置としての機能を有するデジタルカラー複写機を例に挙げて説明したが、本発明の画像処理装置はこれに限定されるものではなく、例えば同様の処理をコンピュータで行ってプリンタ等に送信するシステム、同様の処理をスキャナで行ってコンピュータやプリンタ等に送信するシステム、スキャナから直接画像データを受信してプリンタで同様の処理を行うシステム等にも適用することが可能である。
【0068】
なお、本発明による画像処理装置を構成する各手段、および画像処理方法は、専用のハードウェア回路またはプログラムされたコンピュータによって実現することが可能である。また、プログラムされたコンピュータによって本発明を実現する場合、コンピュータを動作させるプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体(たとえば、フロッピーディスクやCD−ROMなど)によって提供されることもできる。この場合、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されているプログラムは、通常、ハードディスクに転送され記憶される。また、このプログラムは、たとえば、単独でアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、また、そのコンピュータ装置の一機能としてそのコンピュータ装置のソフトウェアに組み込んでもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、文字画像と当該文字画像に対して異なる色の背景となる背景画像とを含むカラーの画像データから、文字画像とその背景画像とを明確に区別したモノクロ画像を得ることができる。
【0070】
これにより、例えば視覚的効果を目的としたカラー原稿を読み取った画像データから、内容的にはさほど重要でない背景画像を除去したモノクロの出力用データを作成することができる。
【0071】
したがって、出力用データを例えば用紙に印刷することにより、文字がきわめて読みやすいコピーを得ることができる。また、カラー原稿をそのままカラーコピーする場合よりもトナーの消費量が少なくなり、コストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るデジタルカラー複写機の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 操作パネルの表示例を示す図である。
【図3】 画像処理部の動作を示すフローチャートである。
【図4】 図3に示される2値化処理を示すフローチャートである。
【図5】 カラーの画像データを示す図である。
【図6】 L*データの2値画像を示す図である。
【図7】 白抜き文字領域内の画素の濃度を反転させた後の2値画像を示す図である。
【図8】 出力用データを示す図である。
【符号の説明】
100…デジタルカラー複写機、
150…スキャナエンジン、
160…プリンタエンジン、
170…画像処理部、
171…色検出部、
172…OCR前処理部、
173…OCR処理部、
174…文字画像判定部、
175…出力用データ作成部。

Claims (13)

  1. 文字画像と当該文字画像に対して異なる色の背景となる背景画像とを含むカラーの画像データにおける各画素の色を検出する色検出手段と、
    前記各画素の色の相違に基づいて、前記文字画像と前記背景画像とを区別して前記画像データを2値化する2値化手段と
    2値化された画像データ中において文字画像よりも背景画像の方が濃度が大きくなる場合、当該文字画像および背景画像の各画素の濃度を反転する濃度反転手段と
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記色検出手段は、前記各画素の色を所定の表色系にて検出し、
    前記2値化手段は、前記各画素の色についての前記表色系により規定される色空間の座標値を用いて前記画像データを2値化することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記2値化手段は、前記画像データ中の異なる部分において当該画像データを2値化するための異なるしきい値を用いることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記2値化手段は、前記部分における画素の色の所定座標についての最大値と最小値との差が所定値より大きい場合に、前記最大値と前記最小値との平均値をしきい値とすることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記2値化手段は、前記各画素の色についての前記表色系により規定される色空間の3つの座標値すべてを用いることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  6. 前記所定の表色系は、L*a*b*表色系であり、
    前記2値化手段は、前記各画素の色についてのL*a*b*表色系により規定される色空間の座標値の中でL*値のみを用いることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  7. 2値化された画像データ中の文字画像から文字コードを認識する文字コード認識手段と、
    認識された文字コードに応じた文字コードデータを出力する出力手段と
    をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  8. 前記出力手段は、前記文字コードデータを、カラーの画像データ中の対応する文字画像の色で出力することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  9. データを用紙に印刷する印刷手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  10. 電子ファイルを作成するファイル作成手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  11. 原稿を読み取ることによって画像データを得る読取手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  12. 文字画像と当該文字画像に対して異なる色の背景となる背景画像とを含むカラーの画像データにおける各画素の色を検出する段階と、
    前記各画素の色の相違に基づいて、前記文字画像と前記背景画像とを区別して前記画像データを2値化する段階と
    2値化された画像データ中において文字画像よりも背景画像の方が濃度が大きくなる場合、当該文字画像および背景画像の各画素の濃度を反転する段階と
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  13. 画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
    文字画像と当該文字画像に対して異なる色の背景となる背景画像とを含むカラーの画像データにおける各画素の色を検出する段階と、
    前記各画素の色の相違に基づいて、前記文字画像と前記背景画像とを区別して前記画像データを2値化する段階と
    2値化された画像データ中において文字画像よりも背景画像の方が濃度が大きくなる場合、当該文字画像および背景画像の各画素の濃度を反転する段階と
    をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
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