JP3899637B2 - 角速度センサの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオの手ぶれ防止やナビゲーションシステムや自動車の車両制御等に利用される圧電振動型の角速度センサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の角速度センサの従来技術として、特開平8−210860号公報に、音叉型の振動子を用いた角速度センサが提案されている。図10および図13に、その構成を示す。圧電体からなる振動子1は、一対の四角柱状のアーム部(振動部)4、5とこれらアーム部4、5の両端を連結する連結部6により音叉形状に構成されている。
【0003】
振動子1には、略コの字形状を呈し対向する表裏面X1、X2面のうちX1面に、駆動電極10、11、参照電極12等が配置され、X1、X2面と略直交する側面であるY1面およびY2面に、検出電極18、19が配置され、X1面と対向するX2面の全面に、X1面の各電極および検出電極18、19の基準電位となる共通電極20が全面に配置されている。
【0004】
この角速度センサの作動原理は、次のようである。すなわち、四角柱状のアーム部4、5の長手方向(z軸方向)と直交するy軸方向に、アーム部4、5をたわませて駆動振動させる。そして、振動しているアーム部4、5に回転角速度が入力された時に生じるコリオリ力により、上記のz軸方向およびy軸方向と直交するx軸方向に発生するアーム部4、5のたわみ振動を検出振動として電気的に検出し、角速度の大きさを求める。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような四角柱の振動部を有するタイプの角速度センサにおいて、振動子1上の各電極は、ワイヤボンディング等により外部回路と結線されるが、その結線を容易とするために、各電極を振動子1のひとつの面に引き回す必要がある。ここで、本発明者等は、鋭意検討の結果、Y1、Y2面の検出電極18、19をX1面に取出す場合、以下のような問題があると考えた。
【0006】
X1面と略直交するY1およびY2面の検出電極18、19をX1面に引き回す場合、電気ノイズを拾わないように短い引回し距離にするには、アーム部4、5の長手方向に沿った角部(以下、角部という)Eを経てX1面に至るというルートに接続電極を設定する必要がある。具体的には、図11に点線で示すように、取出し電極16、17および接続電極21、22を形成することとなる。
【0007】
従って、Y1、Y2面の検出電極18、19から、X1面へ電極導体を引回す際、この角部Eをまたぐ構成となるが、上記したように、この角部Eは、アーム部4、5の駆動および検出振動(たわみ振動)による曲げ応力が発生する部分である。その為、この曲げ応力によるダメージによって角部Eにおける電気的な接続状態が劣化し、センサの性能悪化を招き、場合によっては、電気的接続がとれなくなるという可能性がある。
【0008】
なお、X1面以外のY1面あるいはY2面に取出すことも考えられるが、いずれにせよ、四角柱状の振動部を有する振動子を備えた角速度センサにおいて、振動部の長手方向に延び略直交する両面にそれぞれ形成された電極同士を接続する場合、接続電極は、振動によって屈曲する角部Eを通らざるを得ない。
このような問題は、上記の音叉型に限らず、四角柱状の振動部の長手方向に延び略直交する両面に、それぞれ電極が形成された振動子を備えた角速度センサにおいて、両面の電極同士を角部を跨いで電気的に接続する場合には、共通の問題であると考えられる。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みて、四角柱状の振動部の長手方向に延び略直交する両面に、それぞれ電極が形成された振動子を備えた角速度センサにおいて、両面の電極同士を、振動部の長手方向に延びる角部を跨いで電気的に接続する信頼性に優れた接続構成を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記した従来の音叉型と同型の振動子を用いて、角部の電極接続構成について鋭意検討を行った。具体的には、振動部であるアーム部(5)のY2面(側面)と略直交するX1面(表面)に取出し電極(17)を形成し、この取出し電極(17)とY2面の検出電極(19)とを、角部(E)を跨ぐ接続電極(22)によって接続する構成(図2参照)について検討した。
【0011】
その結果、図3に示す構成(以下、A構成という)において、接続状態の劣化が発生しにくいことを見出した。図3は、角部(E)における取出し電極(17)と接続電極(22)との接続構造の断面をSEM観察したものである。
図3に示すように、両電極(17、22)は、互いに角部(E)を跨いで、X1面およびY2面において重なり合って接合され重なり部(K)を構成している。そのため、両電極(17、22)の接続長を長くできるとともに、アーム部(5)に発生する駆動振動(y軸方向)および検出振動(x軸方向)のどちらの振動方向に対しても、接合力が作用するので剥がれにくく出来る。
【0012】
本発明は、このA構成に基づいて、上記目的を解決するものである。
すなわち、請求項1の発明によれば、振動部(4、5)の長手方向であるz軸方向に延びる振動部(4、5)の側面(X1、X2、Y1、Y2)において、第1の側面(X1)には、第1の電極(10、11)、および取出し電極(16、17)が形成され、第1の側面(X1)と略直交する第2の側面(Y1、Y2)には、第2の電極(18、19)、および該第2の電極(18、19)を取出し電極(16、17)に電気的に導通する接続電極(21、22)が形成され、前記の各電極は共に導電性膜からなっており、z軸方向に延びる角部(E)において、接続電極(21、22)と取出し電極(16、17)とが、互いに該角部(E)を跨いで重なり接合された重なり部(K)を有することを特徴とする。
【0013】
それによって、上記A構成の作用効果を達成し、駆動振動等による角部(E)の屈曲が起こっても、電気的に接続する信頼性に優れた接続構成を有する角速度センサを提供することができる。
ところで、例えば、図13において取出し電極16、17を、振動部であるアーム部4、5でなく連結部6のX1面に形成する場合も考えられるが、この場合には、接続電極18、19は、アーム部4、5の角部Eでなく、連結部6の角部Eを経て引き回すこととなる。
【0014】
このような場合について更なる検討を行った結果、振動部の角部だけでなく、その延長線上にある角部(例えば、前記連結部6の角部E)部分においても、上記たわみ振動による曲げ応力の問題が起こる可能性があることを見いだした。従って、曲げ応力のかかる角部にて略直交する振動子の両側面において、振動部以外の部位に形成された電極へ引き回しを行う構造にも対応できるようにする必要がある。
【0015】
請求項2記載の発明は、この知見に基づき、曲げ応力のかかる角部(E)にて略直交する2つの側面のうち第1の側面(X1)に、第1の電極(10、11、120、207)及び取出し電極(16、17、126、212、214)を形成し、第2の側面(Y1、Y2)に、第2の電極(18、19、122、209、210)及び接続電極(21、22、125、211、213)を形成した振動子(1、101、201)についてなされたものである。
【0016】
そして、請求項2の発明においては、第1および第2の側面(X1、Y1、Y2)が略直交する部分に形成される角部(E)において、接続電極(21、22、125、211、213)と取出し電極(16、17、126、212、214)とが、互いに該角部(E)を跨いで重なり接合された重なり部(K)を有することを特徴としており、請求項1の発明の効果に加えて、振動部(102〜105、202〜205)以外の部位に形成された電極(126、212、214)へ引き回しを行う構造にも対応できる。
【0017】
また、請求項3の発明によれば、請求項1及び2に記載の第1の電極は、振動部(4、5、103、104、202、203)の駆動振動をさせるための駆動電極(10、11、120、207)であり、第2の電極は、振動部(4、5、102、105、204、205)の検出振動を検出するための検出電極(18、19、122、209、210)であることを特徴とする。
【0018】
ここで、検出電極(18、19、122、209、210)はコリオリ力による微小な電気信号を検出する電極である。そのため、検出電極(18、19、122、209、210)と取出し電極(16、17、126、212、214)とを接続する接続電極(21、22、125、211、213)の幅は、駆動電極(10、11、120、207)等から発生する不要な電気ノイズ、圧電体より発生する不要なノイズ等を出来るだけ拾わないように、特に細くする必要がある。
【0019】
よって、検出電極(18、19、122、209、210)の接続においては、上記の接続状態の劣化が発生しやすくなる。本発明は、検出電極(18、19、122、209、210)と取出し電極(16、17、126、212、214)との接続構造において、上記A構成の作用効果を有する角速度センサを提供することができる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、四角柱状の圧電体からなる振動部(4、5)の長手方向であるz軸方向に延びる前記振動部(4、5)の側面(X1、X2、Y1、Y2)において、第1の側面(X1)には、駆動電極(10、11)および取出し電極(14〜17)が形成され、第1の側面(X1)と略直交する第2の側面(Y1、Y2)には、検出電極(18、19)が形成され、第1の側面(X1)と対向する第3の側面(X2)には、共通電極(20)が形成されている。
【0021】
さらに、第2の側面(Y1、Y2)には、検出電極(18、19)および共通電極(20)を、それぞれ、取出し電極(14〜17)に電気的に接続する帯状の接続電極(21〜24)とが備えられており、各電極(10、11、14〜24)は導電性膜からなっており、角部(E)において、接続電極(21〜24)と取出し電極(14〜17)および共通電極(20)とが、請求項1及び2に記載と同様の重なり部(K)を有することを特徴とする。
【0022】
それによって、検出電極(18、19)および共通電極(20)を、それぞれ、取出し電極(14〜17)に電気的に接続する接続電極(21〜24)は、角部(E)において、上記のA構成の作用効果を達成することができ、駆動振動等による角部(E)の屈曲が起こっても、電気的に接続する信頼性に優れた接続構成を有する角速度センサを提供することができる。
【0023】
また、本発明によれば、検出電極(18、19)および共通電極(20)が第1の側面(X1)に取出されているので、第1の側面(X1)にて全ての電極が結線可能とでき、ワイヤボンディング等による電極と外部回路との結線が容易とできる。
なお、ひとつの面にて、電極の結線を可能とした角速度センサとしては、特開平8−178673号公報に記載のものがあるが、これは、振動部の長手方向に延び対向する表裏面のみに電極が形成されたものであり、振動部の長手方向に延び略直交する両面に、それぞれ電極が形成されたものではない。
【0024】
従って、裏面の電極の表面への取出しを、振動部の長手方向と略直交する四角柱の端面、つまり駆動および検出振動による屈曲面でない面に接続電極を形成することで実施している。そのため、屈曲する角部を通る接続構成とは異なり、本発明の課題は発生しない。また、請求項5の発明によれば、第2の側面(Y1、Y2)に、金属粒子が樹脂中に分散されたものを印刷して、圧電体のキュリー温度以下の温度で硬化させることにより、検出電極(18、19、122、209、210)、接続電極(21〜24、125、211、213)および前記第2のダレを形成することを特徴とする。
【0025】
それによって、圧電体の分極が破壊するキュリー温度以下の温度で、検出電極(18、19、122、209、210)および接続電極(21〜24、125、211、213)が形成できるので、電極形成の際の熱による圧電体の分極の劣化を防止でき、良好なセンサ性能を確保することができる。
さらに、請求項6の発明によれば、上記の金属粒子が、球状と薄片状の金属粒子とからなることを特徴とする。それによって、球状の粒子は、樹脂の収容スペースを確保して、樹脂層のマトリクスを強固に形成する。しかし、これのみでは、球状の粒子の接触で電気的導通は不十分の為、薄片状の粒子を混在させ、粒子間の接触を良好にせしめ、良好な導通を得るようにすることができる。これら両形状の粒子により、良好な接合強度と電気的導通とを両立せしめている。
【0026】
また、請求項7の発明によれば、請求項1〜6記載の接続電極(21〜24、125、211、213)において、角部(E)の近傍部位の電極の幅が、それ以外の部位に比して幅広くなっていることを特徴とする。
引回しに用いられる接続電極(21〜24、125、211、213)は、駆動電極(10、11、120、207)等から発生する電気ノイズ、圧電体より発生する不要なノイズ等を出来るだけ拾わないよう面積を小さくすべく細くすることが望ましい。
【0027】
本発明によれば、接続状態の劣化が発生しやすい角部(E)近傍の部位のみ、電極の幅を広くすることで、請求項1〜6の発明の効果を確保するとともに、引回しに用いられる接続電極(21〜24、125、211、213)の不要な面積アップを防止できる。
さらに、上記の重なり部(K)について実験検討を進めたところ、請求項8の発明のように、重なり部(K)において、角部(E)を起点としてx軸方向の重なり長さ(L1)およびy軸方向の重なり長さ(L2)が、20μm以上であれば、より高いレベルで請求項1〜4および請求項7の効果を達成できることがわかった。
【0028】
さらに、請求項9の発明のように、角部(E)は面取りがなされているものであれば、駆動および検出振動によって角部(E)における電極接続構造に発生する応力を緩和できるので、請求項1〜4および請求項7、8の発明の効果をより高レベルで達成することができる。なお、上記請求項1ないし3のいずれか1つに記載の発明では、次の製造方法を特徴とする。
【0029】
すなわち、第2の側面(Y1、Y2)が切断面となるように、平板状の圧電体を振動子(1)の形状に切断加工し、第1の側面(X1)に、第1の電極(10、11、120、207)と取出し電極(16、17、126、212、214)を形成するとともに、取出し電極(16、17、126、212、214)のうち接続電極(21、22、125、211、213)と接続される部位に、角部(E)から第2の側面(Y1、Y2)に至る第1のダレを形成する。
【0030】
続いて、第2の側面(Y1、Y2)に第2の電極(18、19、122、209、210)と接続電極(21、22、125、211、213)を形成するとともに、第2の電極(18、19、122、209、210)のうち取出し電極(16、17、126、212、214)と接続される部位に、第1のダレの上に重なりつつ角部(E)から第1の側面(X1)に至る第2のダレを形成することを特徴とする。
【0031】
以上のように、本発明においては、圧電体の切断加工を、第1の側面(X1)の電極の形成よりも先に行うことにより、互いに略直交する第1の側面(X1、X2)および第2の側面(Y1、Y2)の双方に、積極的にダレ(第1および第2のダレ)を作ることができる。それによって、双方のダレがオーバーラップするため、角部(E)の接続構成において、重なり部(K)を形成することができる。
【0032】
また、請求項4に記載の発明では、次の製造方法を特徴とする。すなわち、第2の側面(Y1、Y2)が切断面となるように、平板状の圧電体を振動子(1)の形状に切断し、第1および第3の側面(X1、X2)に、駆動、取出し、共通電極(10、11、14〜17、20)を形成するとともに、取出し電極(14〜17)および共通電極(20)のうち接続電極(21〜24)と接続される部位に、角部(E)から第2の側面(Y1、Y2)に至る第1のダレを形成し、圧電体に直流電圧を印加して所定方向に分極した後、第2の側面(Y1、Y2)に検出および接続電極(18、19、21〜24)を形成するとともに、接続電極(21〜24)のうち取出し電極(14〜17)および共通電極(20)と接続される部位に、第1のダレの上に重なりつつ角部(E)から第1および第3の側面(X1、X2)に至る第2のダレを形成することを特徴とする。
【0034】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本実施形態は、例えば、ビデオの手ぶれ防止やナビゲーションシステムや自動車の車両制御等に利用される角速度センサとして使用される。
【0036】
図1は、本実施形態の角速度センサの振動子の構成を示す斜視図である。振動子1は圧電体(本実施形態ではPZT)から形成されており、一対の四角柱状のアーム部(振動部)4、5と、両アーム部4、5の一端を連結する連結部6とからなる音叉形状、いわゆる音叉型振動子を構成している。そして、振動子1は、例えば42アロイ等からなる略エ字型の支持部3を介して、基板2に固定されており、振動子1自身は基板2に対して平行に浮遊した形となっている。
【0037】
ここで、振動子1においてアーム部4、5の長手方向であるz軸方向に延びる各振動子面を以下のように定義する。両アーム部4、5と連結部6とが同一平面を形成し対向する略コ字形状の一対の面であるX1、X2面のうち、基板2とは反対側の面をX1面(第1の側面)、X1面と対向する他方の面をX2面(第3の側面)とする。また、振動子1の外周に位置し、アーム部4、5の配列方向であるy軸と略直交する面であるY1、Y2面(第2の側面)のうち、アーム部4側をY1面、アーム部5側をY2面とする。
【0038】
また、アーム部4およびアーム部5においては、それぞれ、z軸方向に沿った4本の四角柱の稜線、すなわちX1、X2面とY1、Y2面との交線及びX1、X2面と両アーム部4、5の対向面との交線により形成される角部Eが構成されている。
そして、X1面およびX2面と直交する方向をx軸として、上記y軸およびz軸とともに、図1に示すxyz直交座標系が構成される。以下、本実施形態において、このxyz直交座標を用いて説明する。また、以下、x軸方向というのは、x軸と平行な方向であることを意味する。y軸、z軸方向についても同様である。
【0039】
なお、ここでX1、X2面とY1、Y2面とは90°である必要はない。要は、y軸と直交する角速度によって生じるx軸方向への振動を検出できるような角度(角速度検出可能角度)であればよい。このことは、以下の各実施形態においても同様である。
次に、振動子1に設けられた電極構成について説明する。図2は、振動子1の外周面上に形成された各電極の構成を、振動子1の前後、左右から見た展開図である。(a)はX1面、(b)はX2面、(c)はY1面、(d)はY2面上の電極構成を示すものである。
【0040】
アーム部4、5のX1面(第1の側面)には、連結部6側から順に、振動子1を駆動するための駆動電極(第1の電極)10、11、駆動状態をモニタし自励発振させるための帰還用としての参照電極12、13および第1の取出し電極14、15、第2の取出し電極16、17が形成されている。
駆動電極10および11は、連結部6を通って、各アーム部4、5のY1、Y2面側と、アーム部4、5の互いに対向する対向面側とに、それぞれ位置している。
【0041】
そして、参照電極12、13は、各アーム部4、5の対向面側の略中央に位置し、第2の取出し電極16、17は各アーム部4、5の先端部に位置しており、第1の取出し電極14、15はこれら参照電極12、13と第2の取出し電極16、17との間に位置した形となっている。
上記のX1面上の各電極10〜17は、ガラスフリットを多く含むAg−Pd導体(住友金属鉱山製、CLP56486)によって形成された、厚さ10μmの導電性膜である。
【0042】
なお、X1面上の各電極10〜17の一部表面(図2(a)中のクロスハッチングの部位)上には、2層目の導電性膜が、各電極10〜17の外周縁内部に位置するように形成され、ワイヤボンディング(以下、WBという)用電極10a〜17aとして構成されている。WB用電極10a〜17aは、後述するワイヤSが結線される部分であり、ガラスフリットを含まないAg−Pd導体(住友金属鉱山製、CLP38287)により形成されている。
【0043】
また、角速度を検出するための検出電極(第2の電極)18、19が、アーム部4、5のY1、Y2面(第2の側面)において、それぞれ、X2面側に偏った位置に形成されている。これら検出電極18、19も導電性膜であり、後述するように、圧電体の分極後に形成され、球状と薄片状の銀粒子が樹脂中に分散されたものであり、圧電体のキュリー温度(例えば、360℃)以下の温度(例えば、150℃)で硬化焼き付けが可能な樹脂銀導体(アサヒ化学製、LS−504J)にて形成されている。
【0044】
一方、振動子1のX2面(第3の側面)には、上記の駆動電極10、11、参照電極12、13および検出電極18、19の基準電位用電極である共通電極20がほぼ全面に形成されている。共通電極20は、上記のX1面上の各電極10〜17と同様の材料、膜厚にて形成された導電性膜である。
また、図2(c)および(d)に示すように、アーム部4、5のY1、Y2面には、帯状の第1の接続電極21、22および第2の接続電極23、24が形成されている。これら接続電極21〜24は、検出電極18、19と同様の材料にて形成された導電性膜である。
【0045】
第1の接続電極21および22は、それぞれ、検出電極18および19と一体に成形されており、角部Eを通って、第2の取出し電極16および17に電気的に接続されている。一方、第2の接続電極23および24においては、一端部が角部Eを通って、それぞれ、第1の取出し電極14および15と電気的に接続され、他端部が角部Eを通って、共通電極20と電気的に接続されている。
【0046】
これら接続電極21〜24と接続される相手側電極とは、角部Eを跨いで所定長互いに重なり合っている。そして、各接続電極21〜24のうち、角部E近傍の部位が、それ以外の部位に比して幅広くなっている。
これら角部Eにおける電極接続構造の詳細について説明する。本実施形態では、角部Eにおける接続構造は、どこも同一であるので、図3に示す第2の取出し電極17と第1の接続電極22との接続構造に代表させて、以下述べる。図3は、図2(a)のC−C断面において、接続構造を走査型電子顕微鏡(SEM)にて拡大してみたものである。
【0047】
第2の取出し電極17の導電性膜は、X1面から角部Eを跨いでY2面に入り込み、一方、第1の接続電極22の導電性膜は、Y2面から角部Eを跨いでX1面に入り込み、両電極17、22の導電性膜は、互いに角部Eを跨いで、X1面、Y2面の両面にて重なり接合された重なり部Kを構成している。重なり部Kは重なっている範囲の両導電性膜をいう。
【0048】
そして、重なり部Kにおいて、角部Eを起点とするx軸方向の重なり長さL1は、例えば、30μmであり、y軸方向の重なり長さL2は、40μmである。本発明者等の検討によれば、良好な接続を確保するためには、各重なり長さL1、L2は共に所定長以上あることが望ましく、具体的にその所定長は20μmとしている。
【0049】
なお、上記のX1面上の各電極10〜17およびX2面上の共通電極20において、接続電極21〜24と接続される外周部(図2中、符号Gで示す)以外の外周部は、電極形成面(X1、X2面)の端面から、0.05mm以上離して(控え距離)ある。この控え距離は、後述の分極処理工程M5(図4参照)において、Y1、Y2面での沿面リークを防ぐためのものである。
【0050】
また、振動子1は、図1の白抜き矢印に示すように、X1、X2面に直交するx軸方向に分極処理されている。
そして、図1に示すように、X1面上の駆動電極10、11、参照電極12、13、取出し電極14〜17の各電極は、それぞれ、上記したWB用電極10a〜17a(図1中省略)の部分にて、基板2上の各リード端子Pと、導電性のワイヤS(本実施形態では、Al線のWB)によって電気的に結線されている。つまり、振動子1の全電極10〜24は、X1面で結線された形となっている。そのため、WB等によるワイヤSの結線が容易とできる。
【0051】
これらリード端子Pは、図1に示すように、振動子1の両側に複数個(例えば左右4本ずつ)、基板2を貫通して設けられ、基板2の振動子1とは反対の面に突出している。各リード端子Pの外周には、絶縁ガラス2aが配置され、リード端子Pと基板2との電気絶縁を保つ役割を果している。
また、リード端子Pは、基板2の振動子1とは反対の面側にて、外部に設けられる図示しない駆動・検出回路に、電気的に接続されている。この駆動・検出回路は、上記した振動子1への駆動信号(交流電圧)を発生させ振動子1を所定の駆動周波数で駆動振動させると共に、振動子1の振動状態から発生する電気信号を駆動周波数で同期検波する等の検出処理を行い、図1に示すz軸回りの角速度Ωzを検出するように構成されている。
【0052】
また、振動子1は、基板2外周に接着される図示しないシェル(蓋体)により覆われて、このシェルと上記の絶縁ガラス2aによって、振動子1は外部に対して気密となっている。このように、振動子1は基板2に組み付けられ、電気的配線を施されて、角速度センサとして構成されている。
また、基板2には、図示しない取付部が形成されており、この取付部には防振ゴムが取り付けられ、この防振ゴムを介して締結、接着等により被測定物(車両、ハンディビデオ等)に、振動子1および基板2が取り付けられるようになっている。
【0053】
以上の構成に基づき、本実施形態の角速度センサの作動について説明する。
第1の取出し電極14、15を介して、共通電極20と駆動電極10および駆動電極11との間に、それぞれ位相の180度異なる交流電圧(駆動電圧)をx軸方向に印加することにより、各アーム部4、5をy軸方向に駆動振動させる。この時、参照電極12、13と共通電極20との間を流れる出力電流を検知し、振動状態をモニタしながらフィードバックを行う。その結果、周囲温度が変化してもアーム部4、5のy軸方向の振幅(駆動振幅)が一定となるように自励発振制御を行うことができる。
【0054】
上記の駆動振動時に、振動子1に対して、z軸(検出軸)回りに角速度Ωzが入力された時、いわゆるコリオリ力によりアーム部4、5はたわみ振動を生じ、x軸方向に角速度Ωzに比例した検出振動を発生する。この検出振動によって、検出電極18、19と共通電極20との間に発生する出力電流を、第1の接続電極21、22および第2の取出し電極16、17を介して検出して、電圧値(検出信号)に変換することにより、各アーム部4、5の中心位置におけるz軸回りの角速度Ωzを検出する。
【0055】
次に、振動子1および各電極10〜24の製造方法について、図4〜図6を参照して述べる。図4は、製造工程の流れを示す工程図であり、図5および図6は、各製造工程を示す説明図である。
まず、PZTセラミクスをサイズ22×22×2.5mmのサイズで焼成する(図5(a)参照)。平面研削工程M1では、それを、平面ラップ盤で2.17mmの厚さに平面ラップで研削する。次に平行な二辺を20mmの幅に切断する(図5(b)参照)。
【0056】
次に、切断加工工程M2では、PZTセラミクスを振動子1の外周形状に、切断面がY1、Y2面となるように切断する。本実施形態では、音叉型の振動子1の外周形状である20mm×4.6mmに外周刃スライサで切断する。次に音叉とするため、幅0.6mmのスリットを外周刃スライサで加工する(図5(c)参照)。
【0057】
次に、第1層電極印刷・焼付工程M3では、X1面とX2面のそれぞれの所定の電極形成部位(図6(a)中のハッチング部分)に、一層目のAg−Pd導体(住友金属鉱山製、CLP56486)を印刷する。
この時、上記した図2に示す様、各電極10〜17および20の外周部Gに相当する部位、すなわち接続電極21〜24と接続される部位では、端面まで印刷を行うようにして、印刷ダレによって、角部Eを跨いでY1、Y2面に導体を回りこます。同時に、後述の分極処理工程M5における沿面リークを防ぐべく、印刷ダレによるY1、Y2面への不要な電極(導体)回り込みを防止する為に、外周部Gに相当しない部位については、端面から0.05mm以上の印刷しない控え距離をとっている。
【0058】
以上のようにして印刷した後、温度850℃で焼きつけ、厚さ10μmの電極とする。こうして、X1面上の各電極10〜17およびX2面上の共通電極20が形成される。同時に、各電極10〜17、20のうち、接続電極21〜24と接続される部位に、角部EからY1、Y2面に至るダレ(第1のダレ)が形成される。
【0059】
次に、第2層電極印刷・焼付工程M4では、WB用電極10a〜17aの形成部位(図6(b)中のクロスハッチング部分)に、2層目のAg−Pd導体(住友金属鉱山CLP38287)を印刷し、温度850℃で焼きつけ、厚さ10μmの電極(従って、この部分は総厚さ20μmとなる)を形成する。こうして、WB用電極10a〜17aが形成される。
【0060】
尚、これら1層目、2層目のAg−Pd導体の印刷において、印刷時の条件は、導体ペーストの粘度が、200Pa・s(リオン粘度計)で、粘度比(ブルックフィールド粘度計1rpmと100rpmの比)が、1.5であった。また、スクリーンはメッシュサイズが、#250で、乳剤厚10μmのものを使用した。
【0061】
このように、2層のAg−Pd膜を形成するのは、振動子1と上記の駆動・検出回路との電気的接続手段として、アルミ線のワイヤボンディングを採用しているためであり、接合強度の経時劣化の小さい電極構成として、選定したためである。すなわち、一層目は、PZTとの接合性を確保するため、ガラスフリット量の多い導体を、二層目は、ワイヤSとの接合強度を保つため、ガラスを含まない導体とした。接合強度に対する要求品質によって、例えば、ガラスフリットを少量含むAg−Pd導体一層のみであってもよいし、Ag、Ag−Ptという他の導体を選定してもよい。
【0062】
この後、分極処理工程M5では、分極用導体(昭栄化学 N4761)を、振動子1のX1、X2面全面に塗布し、100℃で10分間、乾燥する。その後、120℃のシリコンオイル中に浸漬し、X1、X2面間に5KVの直流電圧を印加し、圧電体をx軸方向に分極する。分極処理後、前記の分極用導体を、アセトン等の有機溶剤で除去する。
【0063】
この後、側面電極印刷・硬化工程M6では、X1、X2面の側面であるY1、Y2面における電極形成部位(図6(c)のハッチング部分)に、樹脂銀導体(アサヒ化学LS−504J)を印刷する。この時、接続電極21〜24においては、Y1、Y2面の端面まで導体を印刷することで、印刷ダレによって、上記の第1のダレの上に重なりつつ角部Eを跨いで、X1、X2面の相手側電極(取出し電極14〜17、共通電極20)の上に、導体を回りこます。
【0064】
以上のようにして印刷した後、150℃で乾燥し、14μmの厚さの検出電極18、19および接続電極21〜24を形成する。同時に、接続電極21〜24のうち角部Eに位置する部位(図2のG部分)に、第1のダレの上に重なりつつ角部EからX1、X2面に至るダレ(第2のダレ)が形成される。それによって、重なり部Kが形成される。こうして、各電極10〜24を備えた振動子1が完成する。そして、振動子1は支持部3を介して基板2に固定され、上記の電気的配線を施されて角速度センサが完成する。
【0065】
なお、本工程M6において、樹脂銀導体は、球状と薄片状の銀粒子をフェノール樹脂に分散させたものである。解決手段の欄にて述べたように、球状と薄片状の銀粒子の接触で導体としての電気的接続を得て、接合強度と電気的導通を両立させており、PZTセラミクスという熱膨張係数の小さい材質への接合において、熱膨張差(自身の熱膨張係数は、大)による劣化を小さくできる。振動子1において、導体の接触抵抗が大きくなると、振動子1のもつ静電容量とにより、電流の位相変化が発生し、結果として、センサの特性に影響するので、このような、電気的接触が、良好な導体を使用することが、望ましい。
【0066】
また、樹脂銀導体は、硬化温度が150℃のため、硬化の際、熱によるPZTの分極の劣化が発生しない。なお、上述の工程M3およびM4における焼付けタイプの導体は、焼付け時に、高い温度(850℃)となり、PZTのキュリー温度以上となるため分極が破壊する。
尚、樹脂銀導体の粘度は、35Pa・s(リオン粘度計)、粘度比は3(ブルックフィールド粘度計1rpmと100rpmの比)であり、スクリーンは、メッシュサイズ#250、乳剤厚10μmを使用している。
【0067】
印刷ダレ量を多くするには、ペースト粘度を下げる、また、スクリーン、印刷条件(スキージアタック角(スキージとスクリーンとがなす角度))により、ペースト吐出量を大きくすればよい。但し、これでは、印刷の際に、だれた部分において所定の膜厚を確保できない。
そこで、本実施形態では、膜厚とダレ量の両立のため、ペーストのレオロジーについても鋭意検討し、上記の条件を採用している。従って、上記の製造工程中、第1層電極印刷・焼付工程M3および側面電極印刷・硬化工程M6における角部Eの印刷ダレによって、上述した重なり部Kが形成される。
【0068】
すなわち、第1層電極印刷・焼付工程M3において、Ag−Pd導体の印刷・焼付けにより、例えば、上述の図3に示すように、第2の取出し電極17は、X1面から角部Eを跨いで、Y2面にて所定長L1のダレを形成する。
ここに、側面電極印刷・硬化工程M6において、Ag−Pd導体の印刷・焼付けにより、第1の接続電極22は、Y2面から角部Eを跨いで、X1面の第2の取出し電極17の上に所定長L2のダレを形成する。こうして、図3に示すように、全長がL1+L2の重なり部Kが形成される。
【0069】
よって、本実施形態においては、印刷時のAg−Pd導体による印刷ダレにより、角部Eを形成する互いの面において、互いの電極が重なり合う重なり部Kを形成できるため、電極の接続長さ(L1+L2)を長くすることができる。
また、図3に示す接続構成においては、駆動振動(y軸方向)および検出振動(x軸方向)のどちらの振動においても、互いの電極17、22の接合面(X1面上の接合面、Y2面上の接合面)のどちらか一方で、接合力が作用するので剥がれにくく出来る。
【0070】
よって、本実施形態においては、駆動および検出振動を受けても、角部Eの曲げ応力による電気的接合の劣化が少なく、良好な導通を確保することが可能となり、品質に優れる角速度センサを得ることができる。
また、本実施形態の工程M1〜M6においては、上述の良好な導通を確保することが可能な品質に優れる角速度センサを製造する製造方法を提供することができる。
【0071】
ところで、上述のように、本実施形態においては、図2に示す様、各接続電極21〜24の幅を、角部E近傍で広くしている。これにより、角部Eの電気的接続部の面積を広くすることができ、よりいっそう、角速度センサの信頼性が向上する。特に、検出電極18、19と第2の取出し電極16、17とを接続する第1の接続電極21、22は、以下の理由で面積(幅)を大きくすることができないため、角部E近傍のみで幅を広くするのは、特に好ましい。
【0072】
上述のように、振動子1において、角速度が加わると、駆動振動(y軸方向)と角速度入力軸(z軸)に直交する方向に、コリオリの力でたわみ振動(検出振動)する。このたわみによって、振動子1においては、X1面側に圧縮応力(引張り応力)がかかった時、X2面側では引張り応力(圧縮応力)がかかる。従って、振動子1の厚み方向(つまり、x軸方向)の中心線から、X1面側とX2面側とでは、発生する電荷が異なる(正負逆符号となる)。
【0073】
そのため、検出電極18、19は、Y1、Y2面におけるx軸方向の中心線から、X1面側あるいはX2面側に偏在させる必要があるが、本実施形態では、X2面側に偏在させている。これは、X1面の駆動電極10、11との距離が大きくでき、そこからの電気ノイズを低減できる為である。ここで、逆に、X1面側に偏在させると、X1面側に配置されている駆動電極10、11との距離が近くなり、電気ノイズが大きくなる。
【0074】
同様に、X1面に引き出す部分の第1の接続電極21、22にも、たわみにより、電荷が発生する。もし、第1の接続電極21、22の幅が広いと、そこから検出される電荷、すなわち、検出電極18、19とは逆符号の電荷によって、結果として、角速度に対する感度の低下を招く。これに加えて、駆動電極10、11からの電気ノイズも受けるため、第1の接続電極21、22の面積は小さいほうが望ましい。そこで、接続部分である角部E近傍のみ、幅を広くすることで、不要な面積アップを防止している。
【0075】
なお、切断加工工程M2において、音叉形状に切断後、角部Eに面取りまたはR取りをすれば、駆動振動で角部E部分の接続電極構造に発生する応力を緩和できるため、より品質的に優れる。この場合、面取りまたはR取りをした角部が、本発明の角部に相当する。
なお、X2面の共通電極20については、解決手段の欄にて述べた特開平8−178673号公報と同様に、曲げ応力のかからないアーム部4、5の端面(図1中、アーム部4、5の上部端面)を通るという方法も考えられるが、Y1およびY2面とは異なる面に、さらに接続電極を形成しなければならず、印刷の手間がかかる等の問題があり、得策ではない。そのため、本実施形態では、共通電極20も、Y1およびY2面からX1面に引き回している。
【0076】
なお、上記実施形態において、文中および図中に記載された各数値は、あくまでも本実施形態の一例を示すものであり、本実施形態は、これらの数値に限定されるものではない。
(第2実施形態)
本発明の第3実施形態を図7及び図8に示す。本実施形態は、本発明の振動子として図に示すような4脚音叉形状の振動子を用いたものである。図7は本実施形態の角速度センサの斜視図である。
【0077】
振動子101は例えばPZTのような圧電体からなり、略平行に配列された4本の四角柱状のアーム部(振動部)102、103、104、105と、各アーム部102〜105の片端部を共通に固定支持する共通の連結部106とを有し、櫛形音叉形状を成している。
そして、内側一対のアーム部103、104が駆動用アーム部、外側一対のアーム部102、105が検出用アーム部として構成されている。各アーム部102〜105および連結部106は、図7の白抜き矢印で示すように、X1面からX2面に向かってx軸方向に一様に分極処理されている。
【0078】
ここで、図7に示す様に、アーム部102〜105の配列方向をy軸、アーム部102〜105の長手方向をz軸、アーム部102〜105及び連結部106の厚み方向をx軸としてxyz直交座標系が構成される。ここで、z軸は内側一対のアーム部103、104の間の中央部に位置する。以下、このxyz直交座標系に基づいて本実施形態を説明する。なお、x軸方向というのはx軸と平行な方向をいうものとし、y軸、z軸についても同様である。
【0079】
そして、振動子101においてx軸と直交する面のうち基板110と対向する面(第3の側面)をX2面とし、このX2面とは反対側の面(第1の側面)をX1面とする。また振動子101においてy軸と直交する外側一対のアーム部102、105の外周面(第2の側面)のうちアーム部102側の面をY2面とし、アーム部105側の面をY1面とする。なお、上述の如く、本実施形態においてもX1、X2面とY1、Y2面とは角速度検出可能角度であればよい。
【0080】
また、本実施形態では、X1面とY1面及びY2面とのz軸方向に平行な交線部分、X2面とY1面及びY2面とのz軸方向に平行な交線部分、更には、X1及びX2面と各アーム部102〜105の対向面との交線部分が角部Eとして構成されている。つまり、z軸方向に延びる振動子101の16本の稜線が角部Eとして構成されている。
【0081】
107は例えば42アロイ等の金属から形成された支持部であり、中央部が細くくびれた略エの字型形状を成し、このくびれた部分はトーションビーム108として構成されている。トーションビーム108の一端側に位置する部分は連結部106と固定される連結部側接続部107a、トーションビーム108の他端側に位置する部分は後述のスペーサ107cと固定される基板側接続部107bとして構成されている。
【0082】
トーションビーム108は、連結部106の略中央部位(すなわち内側の1対のアーム部103、104の支持部位の間の略中央部位)から、z軸方向においてアーム部102〜105とは反対側に延びるように位置する。
支持部107は、図7に示す様に、一方側で連結部106と接着等により固定され、他方側で上記スペーサ107cを介して基板(ベース)110と溶接等により接合固定されている。
【0083】
従って、振動子101は支持部107及びスペーサ107cを介し、基板110に対して浮遊した状態で支持される。また、トーションビーム108の中心軸はz軸とほぼ一致し、換言すればトーションビーム108は、実質的に振動子101の中心線上に位置する。
次に、振動子101上のX1、X2、Y1、Y2面上に形成された電極構成について説明する。その電極構成は図8の展開図に示される。図10において(a)はX1面、(b)はX2面、(c)はY1面、(d)はY2面の電極構成を示す。以下、図8を参照して説明する。
【0084】
120は駆動電極(第1の電極)であり、X1面においてアーム部103の外周側から連結部106を通ってアーム部104の外周側に渡って連続して形成されている。121は参照電極であり、X1面においてアーム部103の内周側から連結部106を通ってアーム部104の内周側に渡って連続して形成されている。
【0085】
122、123及び124は角速度検出用の検出電極(角速度検出電極)である。検出電極122は、Y1面においてアーム部105の略全域に渡って形成され、第2の電極として構成されている。一方、検出電極123は、X1面においてアーム部102の略全域に渡り、検出電極124は、X2面においてアーム部102の略全域に渡って形成されている。
【0086】
そして、全ての検出電極122〜124は、図8に示す様に、各面上に形成された引出し電極125、126及び127によって接続され導通している。検出電極122と123とは、引出し電極125(Y1面上)及び引出し電極126(X1面上)を介して接続され、検出電極123と124とは、引出し電極127(Y2面上)を介して接続されている。
【0087】
128、129、130及び131は、上記駆動、参照、及び検出電極120〜124の基準電位となる共通電極である。共通電極128はX1面においてアーム部105の略全域、共通電極129はX2面においてアーム部105の略全域に渡り形成されている。また、共通電極130はX2面においてアーム部103の略全域から連結部106を通ってアーム部104の略全域に渡って連続して形成されており、共通電極131はY2面においてアーム部102の略全域に渡り形成されている。
【0088】
そして、全ての各共通電極128〜131は、図8に示す様に、各面上に形成された引出し電極132、133、134及び135によって接続され導通している。共通電極128と129とは、引出し電極132(Y1面)を介して接続され、共通電極129及び130と共通電極131とは、引出し電極133、134(共にX2面)及び引出し電極135(Y2面)を介して接続されている。
【0089】
また、X1面において、連結部106には、後述のワイヤボンディング用のパット電極136及び137が形成されている。パット電極136は、検出電極122〜124と導通する引出し電極126の途中部に、パット電極137は、共通電極128から延びる引出し電極138の終端部に位置し、それぞれ引出し電極126、138よりも幅広に形成されている。従って、パット電極136は検出電極122〜124と導通し、パット電極137は共通電極128〜131と導通する形となる。
【0090】
なお、振動子101におけるy軸方向と直交する面のうちアーム部102とアーム部103との対向面、アーム部103とアーム部104との対向面、アーム部104とアーム部105との対向面には電極は形成されていない。また、駆動電極120と参照電極121、検出電極122と共通電極128、129、及び検出電極123、124と共通電極131は、それぞれ隙間を開けて形成され、導通していない。
【0091】
ここで、本実施形態では上記各電極120〜138は、上記第1実施形態の各電極10〜17と同様の導電性膜にて形成されている。また、本実施形態では、X1面上の引出し電極126が取出し電極、Y1面上の引出し電極125が接続電極に相当し、これら引出し電極125、126によってY1面上の検出電極(第2の電極)122がX1面上に引き回される。
【0092】
そして、これら引出し電極125、126の連結部106の角部Eにおける電極接続構造は、上記図3と同様の構成となっている。また、他の電極同士の角部Eにおける電極接続構造、すなわち、引出し電極127と検出電極123及び124、引出し電極132と共通電極128及び129、引出し電極133と135の各電極同士の角部Eにおける電極接続構造も上記図3と同様である。
【0093】
本実施形態の角部Eにおける電極接続構造も、上記第1実施形態の製造方法を用いて製造することができる。ここで、本実施形態では、上記第2層電極印刷・焼付工程M4は行わない。また、アーム部102〜105の間のスリットは、上記切断加工工程M2と同様、外周刃スライサで加工する。
また、図7に示す様に、基板110には、図示しない駆動・検出回路(制御回路)と接続されるリード端子P11〜P14が設けられている。そして、リード端子P11は駆動電極120と、リード端子P12パット電極137と、リード端子P13は参照電極121と、リード端子P14はパット電極136と、各ワイヤ(リード線)S11〜S14を介して接続されている。上記各ワイヤの結線は、例えばWBにて行われる。
【0094】
そして、本実施形態の角速度センサは、上記駆動・検出回路によって次のように作動する。まず、駆動電極120と共通電極130間に交流電圧を印加することにより、内側一対のアーム部103、104を互いにz軸(つまり振動子101の中心線)に対し対称なy軸方向への屈曲振動をするモードにて共振させる。そのときの振幅として参照電極121からの出力をモニターし、参照電極121からの出力が一定となるように上記駆動・検出回路を用いて自励発振(自励振動)させる。
【0095】
次に、z軸回りに角速度が入力された場合、振動している内側一対のアーム部103、104にはコリオリ力が発生し、これらアーム部103、104は、x軸方向において互いに逆方向に力を受ける。そのとき外側一対のアーム部102、105も連成してx軸方向に振動するため、角速度に比例したx軸方向の振動振幅を検出電極122〜124からの出力として検出し、角速度を検出する。
【0096】
ここで、アーム部102〜105のx軸方向へのたわみ振動に加え、内側一対のアーム部103、104から外側一対のアーム部102、105への振動の連成が連結部106を介して行われるため、連結部106の角部Eにおいて曲げ応力の電極接続部分への影響は無視できない。
本実施形態では、上述のように、アーム部(振動部)102〜105及び連結部106の角部Eにて、電極接続構造を上記図3のように重なり部Kを有する構造としているため、解決手段の欄にて述べたA構成の作用効果を奏し、電極同士の接続長が確保でき、良好な導通を可能としている。
【0097】
以上のように、本実施形態においても、上記第1実施形態に記載の製造方法を用いて振動子101を製造でき、上記第1実施形態と同様に、角部Eにおいて電気的接合の劣化防止、信頼性の高い電気的接続を実現し、品質に優れる角速度センサを得ることができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図9に示す。本実施形態は、本発明の振動子として図に示す様なH型音叉形状の振動子201を用いたものである。図9は、振動子201を前後左右からみた展開図である。
【0098】
振動子201は、例えばPZTのような圧電体からなる4本の平行な四角柱状のアーム部(振動部)202、203、204、205と連結部206とから構成される。ここで、片側一対のアーム部202、203が駆動用アーム部、他側一対のアーム部204、205が検出用アーム部として構成されている。
また、連結部206には、上記各実施形態に示すような支持部(図示せず)が当接しており、この支持部に固定された連結部206を介して振動子201は支持されている。ここで、振動子201は、X1面からX2面に向かってx軸方向に一様に分極処理されている。
【0099】
本実施形態では図9に示す様に、アーム部202〜205の配列方向をy軸、アーム部202〜205の長手方向をz軸、アーム部202〜205及び連結部206の厚み方向をx軸としてxyz直交座標系が構成される。なお、図9の座標は(a)に対応したものである。
次に、振動子201上に形成された電極構成について説明する。ここで、振動子201においてx軸と直交する面のうち一側の面(第1の側面)をX1面とし、他側の面(第3の側面)をX2面とする。また振動子201においてy軸と直交する面であって各一対のアーム部202と203、及び204と205が対向しない面(第2の側面)のうち一側面をY1面とし、他側面をY2面とする。なお、本実施形態においてもX1、X2面とY1、Y2面とは角速度検出可能角度であればよい。
【0100】
また、本実施形態では、X1面とY1面及びY2面とのz軸方向に平行な交線部分、X2面とY1面及びY2面とのz軸方向に平行な交線部分、更には、X1及びX2面と各アーム部202〜205の対向面との交線部分が角部Eとして構成されている。つまり、z軸方向に延びる振動子201の12本の稜線が角部Eとして構成されている。
【0101】
次に、振動子201上のX1、X2、Y1、Y2面上に形成された電極構成について説明する。その電極構成は図9に示される。図9において(a)はX1面、(b)はX2面、(c)はY1面、(d)はY2面の電極構成を示す。
207は片側一対のアーム部202、203を駆動するための駆動電極(第1の電極)であり、X1面においてアーム部202から連結部206、アーム部203に渡って連続的に形成されている。208は振動状態をモニタするための参照電極であり、X1面においてアーム部202から連結部206、アーム部203に渡って、駆動電極207の外周側に連続的に形成されている。
【0102】
209及び210は角速度検出用の検出電極(第2の電極)であり、それぞれアーム部204のY2面、アーム部205のY1面に形成されている。検出電極209は、Y2面上の引出し電極211を介してX1面上のパット電極212に導通し、一方、検出電極210は、Y1面上の引出し電極213を介してX1面上のパット電極214に導通している。
【0103】
215、216及び217は上記駆動、参照、検出電極207〜210の基準電位となる共通電極である。共通電極215はX2面の略全域に形成され、共通電極216及び217は、それぞれアーム部204のX1面、アーム部205のX1面に形成されている。そして、各共通電極215〜217は、Y2面及びY1面に形成された引出し電極218、219によって導通されている。
【0104】
ここで、本実施形態においても上記各電極207〜219は、上記第1実施形態の各電極10〜17と同様の導電性膜にて形成されている。また、本実施形態では、X1面上のパット電極212、214が取出し電極、Y1及びY2面上の引出し電極211、213が接続電極に相当し、これら引出し電極211、213によってY1及びY2面上の検出電極(第2の電極)209、210がX1面上に引き回される。
【0105】
そして、これらパット電極212、214と引出し電極211、213との連結部206の角部Eにおける電極接続構造は、上記図3と同様の構成となっている。また、他の電極同士の角部Eにおける電極接続構造、すなわち、引出し電極218と共通電極215及び216、引出し電極219と共通電極215及び217の各電極同士の角部Eにおける電極接続構造も上記図3と同様である。
【0106】
本実施形態の角部Eにおける電極接続構造も、上記第2実施形態と同様にして製造することができる。また、図示しない駆動・検出回路(制御回路)との接続は、上記各実施形態と同様に、WB等によるリード線の結線にて行われる。
本実施形態の作動について述べる。
まず、駆動電極207と共通電極215間に交流電圧を印加することにより、片側一対のアーム部202、203を互いに振動子201の中心線に対し対称なy軸方向への屈曲振動をするモードにて共振させる。そのときの振幅として参照電極208からの出力をモニターし、参照電極208からの出力が一定となるように上記駆動・検出回路を用いて自励発振(自励振動)させる。
【0107】
次に、z軸回りに角速度が入力された場合、振動している片側一対のアーム部202、203にはコリオリ力が発生し、これらアーム部202、203は、x軸方向において互いに逆方向に力を受ける。そのとき他側一対のアーム部204、205も連成してx軸方向に振動するため、角速度に比例したx軸方向の振動振幅を検出電極209、210からの出力として検出し、角速度を検出する。
【0108】
ここで、本実施形態においても、連結部106の角部Eにおいて電極接続部分に曲げ応力がかかるが、上述のように、アーム部(振動部)202〜205及び連結部206の角部Eにて、電極接続構造を上記図3のように重なり部Kを有する構造としているため、上記A構成の作用効果を奏し、電極同士の接続長が確保でき、良好な導通を可能としている。
【0109】
そして、本実施形態においても、上記各実施形態と同様に、角部Eにおいて電気的接合の劣化防止、信頼性の高い電気的接続を実現し、品質に優れる角速度センサを得ることができる。
(他の実施形態)
なお、上記図1の振動子1においては、Y1及びY2面の各接続電極21〜24は、それぞれアーム部4、5の角部Eを通って、X1面の各取出し電極14〜17に引き回されていたが、例えば、各取出し電極を連結部6のX1面に形成して、各接続電極を連結部6の角部EからX1面に引き回す構成とし、連結部6の角部Eにおける電極接続構造を図3の構造としてもよい。
【0110】
また、上記第2及び第3実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、引出し電極125、127、132、135及び引出し電極211、213、218、219の角部E近傍部位を幅広としてもよい。また、角部Eに面取りまたはR取りを行ってもよい。
また、本発明は、振動部が一本の四角柱である振動子であって、四角柱の長手方向に延び互いに直交する側面に、それぞれ形成された電極同士を接続する場合でも適用できる。例えば、一側の側面に駆動電極、他側の側面に検出電極を形成した場合、取出し電極を駆動電極側の側面に設けて、検出電極を駆動電極側の側面に取出すようにしてもよいし、あるいは、その逆であってもよい。
【0111】
以上の本発明について述べてきたが、要するに、本発明は、四角柱の長手方向に沿った角部であって振動により屈曲する角部を通る電極の接続構成に対して適用可能であり、振動子も上記実施形態の角柱音叉タイプ、あるいは一本角柱タイプに限定されるものではなく、また、接続電極によって接続される電極の種類も限定されるものではない。
【0112】
なお、上記各図のうち断面図以外の図において、ハッチングを施してあるものは、あくまで説明の便宜を図るための表示であり、断面を示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る角速度センサの振動子構成を示す斜視図である。
【図2】図1の振動子上に形成された電極の構成を示す展開図であり、(a)はX1面、(b)はX2面、(c)はY1面、(d)はY2面を表す。
【図3】図2(a)のC−C断面において、角部における電極の接続構造を示す拡大断面図である。
【図4】上記第1実施形態の製造工程の流れを示す工程図である。
【図5】上記製造工程のうち平面研削工程および切断加工工程を説明する説明図である。
【図6】上記製造工程のうち第1層電極印刷・焼付工程から側面電極印刷・硬化工程までを説明する説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る角速度センサの振動子構成を示す斜視図である。
【図8】図7の振動子上に形成された電極の構成を示す展開図であり、(a)はX1面、(b)はX2面、(c)はY1面、(d)はY2面を表す。
【図9】本発明の第3実施形態に係る角速度センサの振動子構成を示す展開図である。
【図10】従来の角速度センサの振動子構成を示す斜視図である。
【図11】図10の振動子上に形成された電極の構成を示す展開図である。
【符号の説明】
1、101、201…振動子、
4、5、102〜105、202〜205…アーム部、
6…連結部、10、11、120、207…駆動電極、
12、13…参照電極、14、15…第1の取出し電極、
16、17…第2の取出し電極、
18、19、123、209、210…検出電極、20…共通電極、
21、22…第1の接続電極、23、24…第2の接続電極、
125、126、211、213…引出し電極、212、214…パット電極、
E…角部、K…重なり部、L1…x軸方向の重なり長さ、
L2…y軸方向の重なり長さ、M2…切断加工工程、
M3…第1層電極印刷・焼付工程、M5…分極処理工程、
M6…側面電極印刷・硬化工程、X1…第1の側面、X2…第3の側面、
Y1、Y2…第2の側面。
Claims (10)
- 四角柱状の圧電体からなる振動部(4、5)を有する振動子(1)を備え、
前記振動部(4、5)の長手方向であるz軸方向に延びる前記振動部(4、5)の側面(X1、X2、Y1、Y2)のうち第1の側面(X1)には、第1の電極(10、11)と取出し電極(16、17)とが導電性膜により形成され、
前記側面(X1、X2、Y1、Y2)のうち前記第1の側面(X1)と略直交する第2の側面(Y1、Y2)には、第2の電極(18、19)と、該第2の電極(18、19)を前記取出し電極(16、17)に電気的に導通する接続電極(21、22)とが導電性膜により形成されており、
前記各電極(10、11、16〜19、21、22)を介して、前記z軸と直交するy軸方向に前記振動部(4、5)を駆動振動させると共に、前記z軸回りの角速度によって生じる前記振動部(4、5)の前記z軸および前記y軸と直交するx軸方向への検出振動を検出する角速度センサであり、
前記z軸方向に延びる角部(E)において、前記接続電極(21、22)と前記取出し電極(16、17)とが、互いに該角部(E)を跨いで重なり接合された重なり部(K)を有する角速度センサを製造する製造方法であって、
前記第2の側面(Y1、Y2)が切断面となるように、平板状の圧電体を前記振動子(1)の形状に切断加工する工程(M2)と、
前記第1の側面(X1)に、前記第1の電極(10、11)と前記取出し電極(16、17)を形成するとともに、前記取出し電極(16、17)のうち前記接続電極(21、22)と接続される部位に、前記角部(E)から前記第2の側面(Y1、Y2)に至る第1のダレを形成する工程(M3)と、
前記第2の側面(Y1、Y2)に、前記第2の電極(18、19)と前記接続電極(21、22)を形成するとともに、前記接続電極(21、22)のうち前記取出し電極(16、17)と接続される部位に、前記第1のダレの上に重なりつつ前記角部(E)から前記第1の側面(X1)に至る第2のダレを形成する工程(M6)とを有することを特徴とする角速度センサの製造方法。 - xyz直交座標系において、z軸方向に延びる四角柱状の圧電体からなる振動部(4、5、102〜105、202〜205)を有する振動子(1、101、201)を備え、
前記振動部(4、5、102〜105、202〜205)のz軸方向に延びる側面と同一平面をなす前記振動子(1、101、201)の側面(X1、X2、Y1、Y2)のうち第1の側面(X1)には、第1の電極(10、11、120、207)と取出し電極(16、17、126、212、214)とが導電性膜により形成され、
前記側面(X1、X2、Y1、Y2)のうち前記第1の側面(X1)と略直交する第2の側面(Y1、Y2)には、第2の電極(18、19、122、209、210)と、該第2の電極(18、19、122、209、210)を前記取出し電極(16、17、126、212、214)に電気的に導通する接続電極(21、22、125、211、213)とが導電性膜により形成されており、
前記各電極を介して、y軸方向に前記振動部(4、5、103、104、202、203)を駆動振動させると共に、z軸回りの角速度によって生じる前記振動部(4、5、102、105、204、205)のx軸方向への検出振動を検出する角速度センサであり、
前記第1および第2の側面(X1、Y1、Y2)が略直交する部分に形成される角部(E)において、前記接続電極(21、22、125、211、213)と前記取出し電極(16、17、126、212、214)とが、互いに該角部(E)を跨いで重なり接合された重なり部(K)を有する角速度センサを製造する製造方法であって、
前記第2の側面(Y1、Y2)が切断面となるように、平板状の圧電体を前記振動子(1)の形状に切断加工する工程(M2)と、
前記第1の側面(X1)に、前記第1の電極(10、11、120、207)と前記取出し電極(16、17、126、212、214)を形成するとともに、前記取出し電極(16、17、126、212、214)のうち前記接続電極(21、22、125、211、213)と接続される部位に、前記角部(E)から前記第2の側面(Y1、Y2)に至る第1のダレを形成する工程(M3)と、
前記第2の側面(Y1、Y2)に、前記第2の電極(18、19、122、209、210)と前記接続電極(21、22、125、211、213)を形成するとともに、前記接続電極(21、22、125、211、213)のうち前記取出し電極(16、17、126、212、214)と接続される部位に、前記第1のダレの上に重なりつつ前記角部(E)から前記第1の側面(X1)に至る第2のダレを形成する工程(M6)とを有することを特徴とする角速度センサの製造方法。 - 前記第1の電極は、前記駆動振動をさせるための駆動電極(10、11、120、207)であり、前記第2の電極は、前記検出振動を検出するための検出電極(18、19、122、209、210)であることを特徴とする請求項1または2に記載の角速度センサの製造方法。
- 四角柱状の圧電体からなる振動部(4、5)を有する振動子(1)と、
前記振動部(4、5)の長手方向であるz軸方向に延びる前記振動部(4、5)の側面(X1、X2、Y1、Y2)のうち第1の側面(X1)に形成された導電性膜よりなる駆動電極(10、11)および取出し電極(14〜17)と、
前記側面(X1、X2、Y1、Y2)のうち前記第1の側面(X1)と略直交する第2の側面(Y1、Y2)に形成された導電性膜よりなる検出電極(18、19)と、
前記側面(X1、X2、Y1、Y2)のうち前記第1の側面(X1)と対向する第3の側面(X2)に形成された導電性膜よりなる共通電極(20)とを備え、
前記駆動電極(10、11)と前記共通電極(20)との間に交流電圧を印加して、前記第2の側面(Y1、Y2)と直交するy軸方向に前記振動部(4、5)を駆動振動させると共に、前記z軸回りの角速度によって生じる前記振動部(4、5)の前記第1の側面(X1)と直交するx軸方向への検出振動を前記検出電極(18、19)を介して検出する角速度センサであり、
前記第2の側面(Y1、Y2)に形成され、前記検出電極(18、19)および前記共通電極(20)を、それぞれ、前記取出し電極(14〜17)に電気的に接続する帯状の導電性膜よりなる接続電極(21〜24)とを備え、
前記z軸方向に延びる角部(E)において、前記接続電極(21〜24)と前記取出し電極(14〜17)および前記共通電極(20)とが、互いに該角部(E)を跨いで重なり接合された重なり部(K)を有する角速度センサの製造方法であって、
前記第2の側面(Y1、Y2)が切断面となるように、平板状の圧電体を前記振動子(1)の形状に切断加工する工程(M2)と、
前記第1および第3の側面(X1、X2)に、前記駆動電極(10、11)、前記取出し電極(14〜17)および前記共通電極(20)を形成するとともに、前記取出し電極(14〜17)および前記共通電極(20)のうち前記接続電極(21〜24)と接続される部位に、前記角部(E)から前記第2の側面(Y1、Y2)に至る第1のダレを形成する工程(M3)と、
前記圧電体に直流電圧を印加して所定方向に分極する工程(M5)と、
前記第2の側面(Y1、Y2)に前記検出電極(18、19)および前記接続電極(21〜24)を形成するとともに、前記接続電極(21〜24)のうち前記取出し電極(14〜17)および前記共通電極(20)と接続される部位に、前記第1のダレの上に重なりつつ前記角部(E)から前記第1および第3の側面(X1、X2)に至る第2のダレを形成する第3の工程(M6)とを有することを特徴とする角速度センサの製造方法。 - 前記第2の側面(Y1、Y2)に、金属粒子が樹脂中に分散されたものを印刷して、前記圧電体のキュリー温度以下の温度で硬化させることにより、前記検出 電極(18、19、122、209、210)、前記接続電極(21〜24、125、211、213)および前記第2のダレを形成することを特徴とする請求項3または4に記載の角速度センサの製造方法。
- 前記金属粒子が、球状と薄片状の金属粒子とからなることを特徴とする請求項5に記載の角速度センサの製造方法。
- 前記角部(E)の近傍部位における前記接続電極(21〜24、125、211、213)の幅を、それ以外の部位に比して幅広くすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の角速度センサの製造方法。
- 前記重なり部(K)において、前記角部(E)を起点とする前記x軸方向の重なり長さ(L1)および前記y軸方向の重なり長さ(L2)を、20μm以上とすることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の角速度センサの製造方法。
- 前記角部(E)は、面取りがなされているものであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の角速度センサの製造方法。
- 前記振動子(1)は、前記振動部としての一対のアーム部(4、5)と、これら両アーム部(4、5)の一端を連結する連結部(6)とにより音叉形状に形成された振動子であり、
前記第1および第2の側面(X1、X2)は、前記両アーム部(4、5)と前記連結部(6)とが同一平面を形成し対向する面であり、
前記x軸は前記第1および第2の側面(X1、X2)と直交する軸であり、前記y軸は前記両アーム部(4、5)の配列方向であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の角速度センサの製造方法。
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