JP3899510B2 - 内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排出ガス浄化用の触媒の暖機を促進する触媒早期暖機制御システムの異常の有無を診断する内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車は、排出ガスを浄化するために三元触媒等の触媒を搭載しているが、この触媒は、エンジン始動後に活性温度に暖機されるまでは、排出ガス浄化率が低いため、エンジン始動後に触媒が活性温度に暖機されるまで、点火時期遅角制御等により触媒早期暖機制御を実行して、排気熱量を増加させて触媒を短時間で暖機するようにしている。この触媒早期暖機制御システムの故障等によって触媒早期暖機制御中の排気熱量が減少して触媒に供給する熱量が不足すると、触媒の暖機(活性化)が遅れて、エンジン始動後の排気エミッションが悪化してしまうため、触媒早期暖機制御システムの異常を早期に検出する必要がある。
【0003】
そこで、特開2001−132438号公報に示すように、触媒の温度を検出する触媒温度センサを設け、この触媒温度センサで検出した触媒温度と、始動後の積算吸入空気量に基づいて推定した推定触媒温度とを比較して、触媒早期暖機制御システムの異常の有無を診断することが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、益々厳しくなる排出ガス規制に対応して触媒暖機性能を更に高めるために、点火時期遅角制御等によって内燃機関の排出ガス温度を昇温して触媒上流側の排気通路内で排出ガス中のリッチ成分(HC,CO等)が燃焼可能な排出ガス温度に昇温すると共に、触媒上流側の排気通路内に二次空気(酸素)を導入することによって、触媒上流側の排気通路内で高温の排出ガス中のリッチ成分(HC,CO等)を二次空気(酸素)と混合して後燃えを発生させ、その燃焼熱で触媒に流入する排出ガス温度を更に昇温して触媒を効率良く短時間で暖機する触媒早期暖機制御システムが提案されている。
【0005】
このように後燃え可能な排出ガス温度に昇温する排出ガス昇温系と、後燃えを発生させるための二次空気を導入する二次空気導入系とを有する触媒早期暖機制御システムでは、異常の発生箇所として排出ガス昇温系と二次空気導入系とが考えられる。
【0006】
しかし、上記従来公報(特開2001−132438号公報)の異常診断方法では、触媒早期暖機制御システムに異常が発生したことは検出できるが、それが排出ガス昇温系の異常なのか二次空気導入系の異常なのかを特定することができないため、触媒早期暖機制御システムの異常を検出できたしても、異常箇所を特定するのに手間取って、修理、部品交換等を速やかに行うことができない。しかも、上記従来公報の構成では、触媒温度を検出するための触媒温度センサを新たに設ける必要があるため、その分、コストアップしてしまい、近年の重要な技術的課題である低コスト化の要求を満たすことができない。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、第1の目的は、二次空気導入方式の触媒早期暖機システムの異常診断を行う機能を低コスト化の要求を満たしながら実現することであり、また、第2の目的は、触媒早期暖機システムに異常が発生した場合に、それが排出ガス昇温系の異常なのか二次空気導入系の異常なのかを特定することができる内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記第1及び第2の目的を達成するために、本発明の請求項1の内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置は、後燃え可能な排出ガス温度に昇温する排出ガス昇温系と、後燃えを発生させるための二次空気を導入する二次空気導入系とを有する触媒早期暖機制御システムにおいて、二次空気導入部付近又はそれよりも下流側の排気通路に、排出ガスの酸素濃度等のガス成分濃度、空燃比、リッチ/リーンのいずれかを検出する排出ガスセンサを設置し、内燃機関の始動後に排出ガスセンサの活性化の進み具合をセンサ活性判定手段により判定し、その判定結果に基づいて触媒早期暖機制御システムの異常の有無を異常診断手段により判定すると共に、触媒早期暖機制御システムの異常有りと判定する場合には、排出ガスセンサの活性化の進み具合と排出ガスセンサの出力又はその出力に相関するパラメータとを用いて排出ガス昇温系の異常と二次空気導入系の異常とを判別するようにしたものである。
【0009】
近年の電子制御化された内燃機関では、排気通路中の触媒の上流側(又は触媒の上流・下流の両側)に排出ガスの酸素濃度等のガス成分濃度、空燃比、リッチ/リーンのいずれかを検出する排出ガスセンサを設置し、この排出ガスセンサの出力に基づいて空燃比を理論空燃比付近に制御することで、触媒の排出ガス浄化効率を高めるようにしている。内燃機関の始動後は、排出ガスセンサも、触媒と同じく、排気熱によって温度上昇し(ヒータ内蔵の排出ガスセンサでは、ヒータの発熱と排気熱の両方によって温度上昇し)、それによって、排出ガスセンサの活性化が進むに従って、排出ガスセンサの出力レベルが正常レベルへ上昇する。
【0010】
例えば、図6及び図7に示すように、触媒早期暖機制御システムの排出ガス昇温系と二次空気導入系が両方とも正常に機能していれば、排気管内の二次空気導入部付近で後燃えが発生して、二次空気導入部付近又はそれよりも下流側に設けられた排出ガスセンサの周辺や触媒を流れる排出ガスの温度が高温になるため、触媒の暖機が早くなるのと同時に排出ガスセンサの活性化の進み具合も早くなるが、もし、排出ガス昇温系や二次空気導入系に異常が発生して排出ガスセンサ周辺や触媒を流れる排出ガスの温度が低くなると、それに応じて触媒の暖機が遅くなるのと同時に排出ガスセンサの活性化の進み具合も遅くなる。
【0011】
本発明は、このような触媒の暖機の進み具合と排出ガスセンサの活性化の進み具合との相関関係に着目し、内燃機関の始動後に排出ガスセンサの活性化の進み具合を判定することで、間接的に触媒の暖機の進み具合を判断して、触媒早期暖機制御システムの異常の有無を診断するものである。この場合、触媒早期暖機制御システムの異常診断に利用する排出ガスセンサは、空燃比制御のために設置されている排出ガスセンサを利用すれば良いため、触媒温度センサ等の新たなセンサを設ける必要がなく、低コスト化の要求も満たしながら、触媒早期暖機システムの異常診断を行う機能を実現することができる。
【0012】
ところで、図7に示すように、排出ガス昇温系と二次空気導入系の両方が正常に機能している場合は、排気通路内に導入した二次空気中の酸素の一部が後燃えせずに残ることで排出ガスの空燃比が弱リーン(触媒暖機完了後の目標空燃比よりも少しリーンの状態)になるが、排出ガス昇温系が正常で、二次空気導入系が異常で二次空気導入量が不足する場合は、二次空気導入による排出ガスの空燃比のリーンずれが少なくなり、排出ガスの空燃比がストイキ付近(触媒暖機完了後の目標空燃比付近)に維持される。反対に、二次空気導入系が正常で、排出ガス昇温系が異常で排出ガスの温度が正常時よりも低くなる場合は、後燃えが不完全になって、二次空気中の酸素の多くが後燃えせずに残ることで排出ガスの空燃比がリーン側にずれる。このような排出ガスの空燃比の変化は、排出ガスセンサの出力の変化として現れる。
【0013】
このような関係に着目して、請求項1に係る発明では、触媒早期暖機制御システムの異常有りと判定する場合に、排出ガスセンサの活性化の進み具合と排出ガスセンサの出力又はその出力に相関するパラメータとを用いて排出ガス昇温系の異常と二次空気導入系の異常とを判別するようにしている。例えば、排出ガスセンサの活性化の進み具合が正常時よりも遅くて触媒早期暖機制御システムの異常有りと判定される場合は、排出ガスセンサの出力から排出ガスの空燃比を判定することで、排出ガス昇温系の異常なのか二次空気導入系の異常なのかを精度良く特定することができ、異常発生時の修理、部品交換等が容易になる。また、二次空気導入系の異常の態様に、二次空気導入量の不足と過剰の2通りの異常が存在するシステムでは、図7に示すように、排出ガスセンサの活性化の進み具合と排出ガスセンサの出力との組み合わせによって二次空気導入量が不足か過剰かについても判別することができる。
【0014】
また、排出ガスセンサの活性化の進み具合を判定する方法としては、請求項2のように、排出ガスセンサが活性化するまでの時間又はそれに相関するパラメータを用いて判定するようにしても良い。例えば、排出ガスセンサが活性化するまでの時間が長くなれば、排出ガスセンサの活性化の進み具合が遅いと判断することができる。
【0015】
また、ヒータを内蔵した排出ガスセンサの場合は、請求項3のように、排出ガスセンサの活性化の進み具合を、該排出ガスセンサが活性化するまでのヒータの消費電力積算値又はそれに相関するパラメータを用いて判定するようにしても良い。前述したように、ヒータ内蔵の排出ガスセンサは、ヒータの発熱と排気熱の両方によって活性化が進むため、触媒早期暖機制御システムの異常によって排出ガスセンサ周辺を流れる排出ガス温度が低くなれば、その分、排出ガスセンサが活性化するまでに供給するヒータ熱(ヒータの消費電力積算値)を増加する必要がある。従って、排出ガスセンサが活性化するまでのヒータの消費電力積算値が多くなれば、排気熱による排出ガスセンサの活性化の進み具合が遅いと判断することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
《実施形態(1)》
以下、本発明の実施形態(1)を図1乃至図17に基づいて説明する。まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ(図示せず)が設けられ、このエアクリーナの下流側には、吸入空気量を検出するエアフローメータ13が設けられている。このエアフローメータ13の下流側には、スロットルバルブ14とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ15とが設けられている。
【0017】
更に、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド16の吸気ポート近傍には、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁17が取り付けられている。エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ18が取り付けられ、各点火プラグ18の火花放電によって筒内の混合気に点火される。また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ19や、エンジン回転速度を検出するクランク角センサ20が取り付けられている。
【0018】
一方、エンジン11の排気管21(排気通路)には、排出ガス中のCO,HC,NOx等を低減させる三元触媒等の触媒22が設けられ、この触媒22の上流側に排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサ23(排出ガスセンサ)が設けられている。この空燃比センサ23のセンサ素子24は、活性温度が高いため(約600〜700℃以上)、排出ガスの熱のみでは、エンジン始動後にセンサ素子24を早期に活性化することは困難である。そこで、空燃比センサ23は、ヒータ25を内蔵し、このヒータ25の発熱によりセンサ素子24を早期に活性化させると共に、エンジン運転中にセンサ素子24の温度を活性温度範囲に維持するようにヒータ25への通電を制御するようにしている。この空燃比センサ23のセンサ素子24のインピーダンス(以下「素子インピーダンス」という)Zdcは、センサ素子24の温度に依存し、センサ素子24の温度が上昇するに従って、素子インピーダンスZdcが低下するという特性がある。
【0019】
次に、排気管21に外気を二次空気として導入する二次空気導入装置34の構成を説明する。排気管21のうちの空燃比センサ23の上流側には、二次空気を導入するための二次空気導入管35が接続されている。この二次空気導入管35から排気管21内に二次空気を導入する位置は、排気管21内の排出ガス温度が排出ガス中のHC等のリッチ成分が燃焼可能な温度(例えば700℃)以上となる範囲内に設定されている。
【0020】
二次空気導入管35の最上流部には、エアフィルタ36が設けられ、このエアフィルタ36の下流側に、二次空気を圧送するエアポンプ37が設けられている。このエアポンプ37の下流側には、コンビネーションバルブ38が設けられている。このコンビネーションバルブ38は、二次空気導入管35を開閉する圧力駆動型の開閉弁39の下流側に逆止弁40を一体化して構成されている。コンビネーションバルブ38の開閉弁39は、吸気圧導入管41を介して吸気管12に接続され、この吸気圧導入管41の途中に設けられた電磁駆動型の切換弁42によって開閉弁39の駆動圧力を大気圧と吸気圧との間で切り換えるようになっている。
【0021】
二次空気を導入する場合は、電磁駆動型の切換弁42をオン(吸気圧導入位置)に切り換えて圧力駆動型の開閉弁39に吸気圧を導入することで開閉弁39を開弁する。これにより、エアポンプ37から吐出された二次空気が開閉弁39を通過して逆止弁40側に流れ、その圧力で逆止弁40が開弁されて、二次空気が排気管21内に導入される。
【0022】
一方、二次空気の導入を停止する場合は、切換弁42をオフ(大気圧導入位置)に切り換えて開閉弁39に大気圧を導入することで開閉弁39を閉弁する。これにより、排気管21への二次空気の導入が停止されると共に、逆止弁40に二次空気の圧力が作用しなくなって排気管21側の圧力が高くなるため、逆止弁40が自動的に閉弁して、排気管21内の排出ガスがエアポンプ37側に逆流することが防止される。
【0023】
前述した空燃比センサ23は、センサ制御回路26によって制御される。センサ制御回路26には、エンジン制御回路28との間でデータを送受信するサブマイクロコンピュータ(以下「サブマイコン」と略記する)27が設けられている。エンジン制御回路28は、サブマイコン27に対するホストマイコンの役割を果たすと共に、エンジン11全体の制御を行う主体となるマイクロコンピュータである。エンジン制御回路28は、CPU29、ROM30、RAM31、バックアップRAM32等から構成され、ROM30に記憶された各種の制御ルーチンを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁17の燃料噴射量や点火プラグ18の点火時期を制御する。
【0024】
[ヒータ制御]
センサ制御回路26のサブマイコン27は、ROM(図示せず)に記憶された図2のヒータ制御ルーチンを実行することで、空燃比センサ23のヒータ25の電流(以下「ヒータ電流」という)を制御する。以下、サブマイコン27によって実行される図2のヒータ制御ルーチンの処理内容を説明する。
【0025】
図2に示すヒータ制御ルーチンは、所定の周期(例えば128ms周期)でタイマ割り込み処理にて起動される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、空燃比センサ23の素子インピーダンスZdcが所定の半活性判定値(例えば200Ω)以下に低下したか否かで、センサ素子24が半活性状態に達したか否かを判定する。
【0026】
この際、素子インピーダンスZdcは、次のようにして検出される。素子インピーダンスZdcの検出時に空燃比センサ23の印加電圧を一時的に正方向に変化させた後、負方向に変化させる。そして、印加電圧を正方向(又は負方向)に変化させた時の電圧変化量ΔVと電流変化量ΔIとから素子インピーダンスZdcを次式により算出する。
Zdc=ΔV/ΔI
【0027】
尚、この検出方法は一例であって、正負両側の電圧及び電流の変化量に基づいて素子インピーダンスZdcを検出したり、負の印加電圧Vnegを印加した時のセンサ電流Inegから素子インピーダンスZdc(=Vneg/Ineg)を算出しても良い。
【0028】
上記ステップ101で、素子インピーダンスZdcが半活性判定値(200Ω)以下に低下していないと判定された場合は、センサ素子24が半活性状態に達していないと判断して、ステップ102に進み、ヒータ25の通電を「100%通電制御」で制御する。この100%通電制御は、ヒータ25の通電率(デューティ比)を100%に維持して、ヒータ25の発熱量を最大に維持してセンサ素子24の温度上昇を促進する制御である。センサ素子24が半活性状態に達していない期間中は、この100%通電制御が継続して実施される。
【0029】
その後、ヒータ25の発熱によりセンサ素子24の温度が上昇し、ステップ101で、素子インピーダンスZdcが半活性判定値(200Ω)以下に低下したと判定されたときに、センサ素子24が半活性状態に達したと判断して、ステップ103に進み、素子インピーダンスZdcが素子インピーダンスフィードバック制御(以下「素子インピーダンスF/B制御」と表記する)を開始するための所定の判定値以下であるか否かを判定する。ここで、素子インピーダンスF/B制御開始の判定値は、センサ素子24の温度が活性温度付近まで昇温したか否か(つまりセンサ素子24が活性化したか否か)を判定するものであり、サブマイコン27のバックアップRAM(図示せず)内に記憶保持されている目標インピーダンスZdcTGよりも10Ω程度大きい値に設定される。例えば、目標インピーダンスZdcTGの初期値(センサ劣化前の値)が30Ωである場合、素子インピーダンスF/B制御開始の判定値は30+10=40Ωに設定される。
【0030】
このステップ103で「No」と判定された場合は、センサ素子24の温度が活性温度付近まで昇温していない(活性化していない)と判断して、ステップ104に進み、ヒータ25の通電を「電力制御」により制御する。この際、素子インピーダンスZdcに応じてマップ等より電力指令値が決定され、その電力指令値に応じてヒータ25のデューティ比Dutyが算出される。この電力制御は、センサ素子24が半活性状態で且つ活性化が完了する前の期間に実施される。
【0031】
その後、ステップ108に進み、電力指令値が電力ガード値設定ルーチン(図示せず)によって算出された所定の電力ガード値WHGD以上であるか否かを判定し、もし、電力指令値が電力ガード値WHGD以上であれば、ステップ109に進み、電力指令値を電力ガード値WHGDでガード処理して(電力指令値=WHGD)、本ルーチンを終了する。一方、電力指令値が電力ガード値WHGDよりも小さければ、ステップ104で算出した電力指令値をそのまま採用して本ルーチンを終了する。
【0032】
その後、センサ素子24の温度が活性温度付近まで昇温すると、本ルーチンが起動されたときに、ステップ103で「Yes」と判定され、ステップ105に進み、目標インピーダンス設定ルーチン(図示せず)を実行して、空燃比センサ23が劣化したときでも、センサ素子24の温度を最適活性温度(例えば700℃)付近に維持できるように、目標インピーダンスZdcTGをセンサ素子24の劣化度合いに応じて設定する。
【0033】
この後、ステップ106に進み、素子インピーダンスF/B制御を実施する。この素子インピーダンスF/B制御では、例えばPID制御を用いてヒータ25の通電率であるデューティ比Dutyを次のようにして算出する。
【0034】
まず、次の(1)〜(3)式により比例項GP、積分項GI、微分項GDを算出する。
GP=KP・(Zdc−ZdcTG) ……(1)
GI=GI(i-1) +KI・(Zdc−ZdcTG) ……(2)
GD=KD・{Zdc−Zdc(i-1) } ……(3)
ここで、KPは比例定数、KIは積分定数、KDは微分定数であり、GI(i-1) 及びZdc(i-1) は前回処理時の値である。
【0035】
そして、上記比例項GP、積分項GI、微分項GDを積算して、ヒータ25のデューティ比Dutyを算出すると共に(Duty=GP+GI+GD)、算出したデューティ比Dutyに対応する電力指令値を算出する。尚、デューティ比Dutyの制御は、上記PID制御に限定されるものではなく、PI制御やP制御を用いても良い。
【0036】
そして、次のステップ107で、素子インピーダンスF/B実行フラグXFBを「1」にセットする。このフラグXFBは、素子インピーダンスF/B制御が実施されているか否かを示すものであり、XFB=1は素子インピーダンスF/B制御の実施を意味し、XFB=0は素子インピーダンスF/B制御の未実施を意味する。尚、このフラグXFBは、イグニッションキーのオン操作時に「0」にリセットされる。
【0037】
素子インピーダンスF/B制御期間中も、電力ガード値設定ルーチン(図示せず)によって電力ガード値WHGDが算出され、電力指令値のガード処理が行われる(ステップ108、109)。このとき、電力指令値が電力ガード値WHGDに達している場合には、上記ステップ106で算出したデューティ比Dutyが電力ガード値WHGDに応じて修正される。
【0038】
以上のようにして、センサ素子24の温度上昇(素子インピーダンスZdcの低下)に応じて、ヒータ25の制御を100%通電制御→電力制御の順に実行してセンサ素子24の温度を活性温度付近まで上昇させ、その後は、素子インピーダンスF/B制御により素子インピーダンスZdcを目標インピーダンスZdcTGに維持することで、センサ素子24の温度を活性温度に保持する。
【0039】
[触媒早期暖機制御]
次に、触媒早期暖機制御について説明する。エンジン制御回路28は、図3の排出ガス昇温制御ルーチンを実行することで、冷間始動時に点火プラグ18の点火時期を遅角制御して排出ガス中のリッチ成分(HC,CO等)が排気管21内で燃焼可能な排出ガス温度に昇温させると共に、図4及び図5の二次空気導入制御用のルーチンを実行することで、二次空気導入装置34を制御して排気管21内に後燃えを発生させるための外気を二次空気として導入する。これにより、エンジン11から排出される高温の排出ガス中のリッチ成分を、二次空気導入装置34によって導入される二次空気の酸素と混合させて、触媒22上流側の排気管21内で後燃えを自然に発生させ、その燃焼熱で触媒22に流入する排出ガスの温度を更に昇温して触媒22を効率良く短時間で暖機する。
【0040】
この場合、図3の排出ガス昇温制御ルーチンを実行する機能、点火プラグ18及び点火装置(図示せず)等によって排出ガス昇温系が構成され、図4及び図5の二次空気導入制御用のルーチンを実行する機能と二次空気導入装置34等によって二次空気導入系が構成されている。
【0041】
また、エンジン制御回路28は、燃料噴射制御ルーチン(図示せず)を実行することで、触媒早期暖機制御時に触媒22に流入する排出ガスの空燃比を弱リーン(筒内混合気はほぼ理論空燃比又は弱リッチ)にし、触媒22に流入するHC量を低減する。
以下、エンジン制御回路28が実行する図3の排出ガス昇温制御ルーチンと、図4及び図5の二次空気導入制御用のルーチンの処理内容を説明する。
【0042】
[排出ガス昇温制御]
図3の排出ガス昇温制御ルーチンは、例えば各気筒の燃料噴射毎に実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201〜203で、触媒早期暖機制御のための点火時期遅角制御(排ガス昇温制御)を実施するか否かを次のようにして判定する。まず、ステップ201で、始動完了から所定時間(例えば1秒)が経過したか否かを判定する。始動完了は、例えば、エンジン回転速度Neが始動判定値を越えたか否かにより判定する。始動完了から所定時間が経過していれば、ステップ202に進み、エンジン冷却水温Twが所定温度(例えば60℃)未満であるか否かを判定し、エンジン冷却水温Twが所定温度よりも高ければ、エンジン11を高温の状態で再始動する高温再始動時ではないと判断して、ステップ203に進み、触媒早期暖機制御を継続するか否かを判定する。具体的には、スタータオン(クランキング開始)から20秒が経過したか否か、或は、非アイドル状態になったか否かを判定し、スタータオンから20秒が経過していれば、或は、非アイドル状態になっていれば、触媒早期暖機制御を継続しないと判定する。
【0043】
上記ステップ201〜203のいずれか1つでも「No」と判定された場合は、ステップ204に進み、触媒早期暖機制御が不要と判断して、通常の点火時期制御を実施する。この通常の点火時期制御では、エンジン始動当初には、点火時期を例えば圧縮TDC前(BTDC)5℃Aに固定する。また、エンジン暖機完了後には、エンジン運転状態に応じた基本進角度に対してアイドル安定化補正やノック進角補正等を行い、最適な進角値により点火時期を制御する。
【0044】
一方、上記ステップ201〜203で全て「Yes」と判定された場合は、触媒早期暖機制御が必要と判断して、ステップ205に進み、点火時期遅角制御を実施して、点火プラグ18の点火時期を例えば圧縮TDC後(ATDC)10℃Aに遅角する。これにより、筒内の混合気の燃焼を遅らせて排気管21内に排出する排出ガスの温度を高温にする。
【0045】
[二次空気導入制御]
図4の二次空気導入制御ルーチンは、所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、後述する図5の二次空気導入判定ルーチンを実行して二次空気導入フラグFABを、二次空気導入の許可を意味する「オン」又は二次空気導入の禁止を意味する「オフ」に設定する。
【0046】
この後、ステップ302に進み、二次空気導入フラグFABがオンか否かを判定し、二次空気導入フラグFABがオンであれば、ステップ303に進み、切換弁42をオン(吸気圧導入位置)に切り換えて開閉弁39を開弁した後、ステップ304に進み、始動(スタータオン又は始動完了)からの経過時間をパラメータとするエアポンプ37のデューティ比Dutyのマップを検索して、始動からの経過時間に応じたエアポンプ37のデューティ比Dutyを算出する。このデューティ比Dutyのマップ特性は、始動から所定時間が経過するまでは始動からの経過時間に応じてデューティ比Dutyが増加し、その後は、デューティ比Dutyがほぼ一定値となるように設定されている。
【0047】
この後、ステップ305に進み、エアポンプ37の作動電圧Vpをエアポンプ37の最大作動電圧Vmにデューティ比Dutyを乗算して求め(Vp=Vm×Duty)、この作動電圧Vpでエアポンプ37を作動させて、二次空気を排気管21に導入する。
【0048】
一方、二次空気導入フラグFABがオフであれば、切換弁42をオフ(大気圧導入位置)に切り換えて開閉弁39を閉弁すると共に、エアポンプ37を停止させて(ステップ306,307)、二次空気の導入を停止する。
【0049】
[二次空気導入判定]
次に、上記ステップ301で実行される図5の二次空気導入判定ルーチンの処理内容を説明する。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ401で、始動が完了したか否かを、エンジン回転速度Neが始動判定値を越えたか否かにより判定し、始動完了前であれば、ステップ402に進み、気筒内で最初の爆発が発生したか否かを判定する。まだ、最初の爆発が発生していなければ、ステップ404に進み、二次空気導入フラグFABをオフにセットして、本ルーチンを終了する。その後、最初の爆発が発生したときに、ステップ405に進み、二次空気導入フラグFABをオンにセットして、本ルーチンを終了する。
【0050】
一方、ステップ401で、始動完了と判定された場合は、ステップ403に進み、二次空気導入条件が成立しているか否かを判定する。この二次空気導入条件は、例えば、次の▲1▼〜▲3▼である。
▲1▼排出ガス温度が後燃え可能な温度(例えば700℃)以上であること
▲2▼触媒温度が所定温度より低いこと
▲3▼エンジン11のHC排出量が比較的多くなる運転状態であること
【0051】
上記▲3▼の条件は、例えば、エンジン回転速度Ne、吸気管圧力PM、吸入空気量Ga等の変動量が所定値以上であること、燃焼の不安定度を表すラフネス値が所定値以上であること、エンジン回転速度Neが所定値以上で点火時期の遅角量が所定値以上であること等であり、要は、筒内の燃焼状態がある程度不安定であることである。このような場合、エンジン11から未燃HCが排出されるため、後燃えに必要なHCを排気管21内に供給できると共に、後燃えにより触媒22に流入するHC量(大気中へのHC排出量)を低減することもできる。
また、上記▲1▼の条件を満たしていれば、二次空気導入直後から後燃えを確実に発生させることができる。
【0052】
また、上記▲2▼における所定温度は、例えば触媒22の活性温度範囲の下限値付近又はそれよりも少し高い温度に設定されている。従って、触媒温度が所定温度よりも低いときは、触媒22を暖機する必要があるため、二次空気を導入して、後燃えにより触媒22の暖機を促進する。一方、触媒温度が所定温度以上であるときは、触媒22が活性状態であり、触媒22を暖機する必要がないため、二次空気の導入を禁止して、後燃えによる触媒22の過熱を防止する。
【0053】
以上説明した▲1▼と▲2▼の条件が満たされたとき、又は、▲1▼と▲3▼の条件が満たされたときに、二次空気導入条件が成立し、ステップ405に進み、二次空気導入フラグFABをオンにセットして、二次空気の導入を許可し、本ルーチンを終了する。一方、二次空気導入条件が不成立の場合は、ステップ404に進み、二次空気導入フラグFABをオフにセットして、二次空気の導入を禁止し、本ルーチンを終了する。
【0054】
尚、二次空気導入条件の判定方法は、種々変更可能であり、例えば、▲2▼の条件(触媒温度<所定温度)が満たされたときに、二次空気導入条件が成立するようにしたり、或は、▲3▼の条件(エンジン11のHC排出量増加)が満たされたときに、二次空気導入条件が成立するようにしても良い。
【0055】
[触媒早期暖機制御異常診断]
また、エンジン制御回路28は、図8乃至図11の触媒早期暖機制御異常診断用の各ルーチンを実行することで、触媒早期暖機制御システムの異常の有無を判定する異常診断手段としての役割を果たす。尚、図8乃至図11の触媒早期暖機制御異常診断用の各ルーチンはサブマイコン27で実行するようにしても良い。
【0056】
ここで、触媒早期暖機制御システムの異常診断方法について説明する。エンジン始動後は、空燃比センサ23の周辺を流れる排出ガスの熱とヒータ25の発熱によって空燃比センサ23が加熱されて温度上昇し、それによって、空燃比センサ23の活性化が進むに従って、空燃比センサ23の出力レベルが正常レベルへ上昇する。
【0057】
図6及び図7に示すように、触媒早期暖機制御システムの排出ガス昇温系と二次空気導入系が両方とも正常に機能していれば、排気管21内の二次空気導入部付近で後燃えが発生して、空燃比センサ23の周辺や触媒22を流れる排出ガスの温度が高温になるため、触媒22の暖機が早くなるのと同時に空燃比センサ23の活性化の進み具合も早くなるが、もし、排出ガス昇温系や二次空気導入系に異常が発生して空燃比センサ23周辺や触媒22を流れる排出ガスの温度が低くなると、それに応じて触媒22の暖機が遅くなるのと同時に空燃比センサ23の活性化の進み具合も遅くなる。この場合、後述する理由により排出ガス昇温系の正常/異常と二次空気導入系の正常/異常との組み合わせ(A)〜(F)に応じて空燃比センサ23周辺を流れる排出ガスの温度が変化し、それに応じて空燃比センサ23の活性化の進み具合も変化する。
【0058】
(A)排出ガス昇温系と二次空気導入系の両方が正常の場合には、排出ガス昇温制御によってエンジン11から排出される高温の排出ガスが、二次空気導入による後燃えによって更に昇温されて、空燃比センサ23の周辺を流れる排出ガスの温度が高温になるため、空燃比センサ23の活性化の進み具合が非常に早くなる。触媒早期暖機制御中は、触媒22に流入する排出ガス(つまり空燃比センサ23周辺を流れる排出ガス)の空燃比を弱リーンにするので、排出ガス昇温系と二次空気導入系の両方が正常であれば、空燃比センサ23周辺の排出ガスの空燃比が弱リーンになる。
【0059】
(B)排出ガス昇温系が正常で、二次空気導入系が二次空気導入不足となる異常の場合には、排出ガス昇温制御によってエンジン11から高温の排出ガスが排出されるが、二次空気導入量の不足分だけ後燃えによる昇温効果が減少して、空燃比センサ23の周辺を流れる排出ガスの温度が(A)の場合よりも低くなるため、空燃比センサ23の活性化の進み具合が(A)の場合よりも遅くなる。更に、この場合は、二次空気導入による排出ガスの空燃比のリーンずれが少なくなり、空燃比センサ23周辺の排出ガスの空燃比がストイキ付近(触媒22の暖機完了後の目標空燃比付近)に維持される。
【0060】
(D)〜(F)排出ガス昇温系が異常の場合には、排出ガス昇温系の異常によってエンジン11から排出される排出ガスの温度が後燃え可能な温度まで昇温されないため、排気管21内に二次空気を導入しても後燃えが十分に発生せず、反対に二次空気で排出ガスが冷やされる結果となるため、空燃比センサ23の周辺を流れる排出ガスの温度が(B)の場合よりも更に低い温度になる。この場合は、(D)二次空気導入系が二次空気導入不足となる異常、(E)二次空気導入系が正常、(F)二次空気導入系が二次空気導入過剰となる異常の順に二次空気導入量が多くなるので、空燃比センサ23周辺の排出ガス温度が(D)、(E)、(F)の順に低くなり、その結果、空燃比センサ23の活性化の進み具合が(D)、(E)、(F)の順に遅くなる。
【0061】
排出ガス昇温系が異常の場合(D)〜(F)は、後燃えが十分に発生しないため、二次空気導入量が多くなるほど、空燃比センサ23周辺を流れる排出ガス中の酸素濃度が高くなって、排出ガスの空燃比のリーンずれが大きくなる。従って、(F)二次空気導入系が二次空気導入過剰となる異常の場合は、二次空気導入による排出ガスの空燃比のリーンずれが最大になり、空燃比センサ23周辺の排出ガスの空燃比がリーンとなる。反対に、(D)二次空気導入系が二次空気導入不足となる異常の場合は、二次空気導入による排出ガスの空燃比のリーンずれが少なくなり、空燃比センサ23周辺の排出ガスの空燃比がストイキ付近に維持される。また、(E)二次空気導入系が正常の場合は、空燃比のリーンずれが(D)と(F)との中間になり、空燃比センサ23周辺の排出ガスの空燃比が弱リーンになる。
【0062】
一方、(C)排出ガス昇温系が正常で、二次空気導入系が二次空気導入過剰となる異常の場合には、排出ガス昇温制御によってエンジン11から高温の排出ガスが排出されるが、二次空気導入量の超過分で排出ガスが冷やされるため、二次空気導入量の超過分に応じて空燃比センサ23の周辺を流れる排出ガスの温度が低下する。このため、空燃比センサ23の周辺を流れる排出ガスの温度が、(A)の場合よりも低く、(E)の場合よりも高い温度領域となり、空燃比センサ23の活性化の進み具合が、(A)の場合よりも遅く、(E)の場合よりも早い領域となる。この(C)の場合は、排出ガス中に後燃えせずに残る酸素が多くなるため、空燃比センサ23周辺の排出ガスの空燃比がリーンとなる。
【0063】
本実施形態(1)では、このような排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせ(A)〜(F)と空燃比センサ23の活性化の進み具合(排出ガス温度)との関係、及び、二次空気導入量と空燃比センサ23の出力(排出ガス空燃比)との関係に着目して、空燃比センサ23の活性化の進み具合と空燃比センサ23の出力を判定して、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが(A)〜(F)のいずれに該当するかを判定する。
【0064】
この際、空燃比センサ23の活性化の進み具合を判定は、エンジン始動から空燃比センサ23が活性化するまでの時間とヒータ25の消費電力積算値(以下「ヒータ電力積算値」という)を用いて判定する。つまり、触媒早期暖機制御システムの排出ガス昇温系の異常や二次空気導入系の異常によって触媒早期暖機制御中の空燃比センサ23周辺を流れる排出ガス温度が低下すると、空燃比センサ23が活性化するまでの時間が長くなると共に、ヒータ電力積算値が増加するため、エンジン始動から空燃比センサ23が活性化するまでの時間とヒータ電力積算値をそれぞれ判定値と比較して空燃比センサ23の活性化の進み具合を判定する。この機能が特許請求の範囲でいうセンサ活性判定手段に相当する。
【0065】
以下、この触媒早期暖機制御システムの異常診断を行う図8乃至図11の触媒早期暖機制御異常診断用の各ルーチンの処理内容を説明する。
図8の触媒早期暖機制御異常診断ルーチンは、所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ501で、空燃比センサ23の素子インピーダンスZdcが所定の活性判定値(例えば40Ω)よりも大きいか否かで、センサ素子24が活性化する前であるか否かを判定する。この活性判定値は、前記図2のステップ103で用いた素子インピーダンスF/B制御開始の判定値と同じ値に設定すれば良い。
【0066】
ステップ501で、素子インピーダンスZdcが所定の活性判定値よりも大きいと判定された場合は、センサ素子24が活性化する前と判断して、ステップ502に進み、始動から前回までのヒータ電力積算値WHSM(i-1) に今回のヒータ電力WHを加算して、ヒータ電力積算値WHSMの記憶値を更新する。
【0067】
この後、ステップ503に進み、始動後の経過時間を計測する始動後経過時間カウンタCNTをカウントアップし、更に、次のステップ504で、始動から前回までの吸入空気量積算値GASM(i-1) に今回の吸入空気量GAを加算して、吸入空気量積算値GASMの記憶値を更新する。
【0068】
その後、空燃比センサ23が活性化して空燃比センサ23の素子インピーダンスZdcが所定の活性判定値(例えば40Ω)以下になった時点で、ステップ501で「No」と判定されて、ステップ505に進み、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせを判定するための第1判定値K1WHSM、K1CNT を次式により算出する。
K1WHSM=B1WHSM×CWHSM
K1CNT =B1CNT ×CCNT
【0069】
ここで、第1判定値K1WHSMとK1CNT は、排出ガス昇温系と二次空気導入系の両方が正常である場合に始動から空燃比センサ23が活性化するまでに必要となるヒータ電力積算値WHSMと経過時間CNTに相当する。また、B1WHSMとB1CNT は第1ベース値であり、予め、基準となるエンジン運転条件で設定した第1判定値に相当し、CWHSMとCCNT は、それぞれエンジン運転条件に応じて第1ベース値B1WHSM、B1CNT を補正するための補正係数である。
【0070】
本ルーチンでは、空燃比センサ23に供給する排気熱量が吸入空気量GA(排出ガス流量)によって変化することを考慮して、ステップ504で、始動から空燃比センサ23が活性化するまでの吸入空気量積算値GASMを求め、空燃比センサ23の活性後に、ステップ505に進み、図12及び図13のマップにより吸入空気量積算値GASMに応じて補正係数CWHSM、CCNT を算出する。この際、吸入空気量積算値GASMが多くなるほど、空燃比センサ23に供給する排気熱量が多くなって空燃比センサ23の活性化が早くなることを考慮して、吸入空気量積算値GASMが多くなるほど、補正係数CWHSM、CCNT が小さくなるように設定され、吸入空気量積算値GASMが基準値のときに補正係数CWHSM、CCNT が1.0となる。第1ベース値B1WHSM、B1CNT は、吸入空気量積算値GASMが基準値のときに実験又はシミュレーション等で設定した第1判定値K1WHSM、K1CNT に相当する。
【0071】
尚、吸入空気量積算値GASMの代わりに吸入空気量GAの平均値を算出して、吸入空気量GAの平均値に応じて補正係数CWHSM、CCNT を算出するようにしても良い。また、空燃比に応じて排出ガス温度が変化して空燃比センサ23に供給する排気熱量が変化するため、図14に示すように、始動から空燃比センサ23が活性化するまでの空燃比積算値(又は平均値)に応じて補正係数CWHSM、CCNT を設定しても良い。
【0072】
或は、始動初期の排気管温度に応じて排出ガス温度が変化して空燃比センサ23に供給する排気熱量が変化するため、図15に示すように、始動初期の排気管温度に相関するパラメータ(例えば始動時の冷却水温、油温、吸気温、エンジン停止時間等)に応じて補正係数CWHSM、CCNT を設定しても良い。
【0073】
また、可変バルブタイミング機構を搭載したエンジンでは、バルブオーバーラップ量に応じて排出ガス温度が変化して空燃比センサ23に供給する排気熱量が変化するため、図16に示すように、始動から空燃比センサ23が活性化するまでのバルブオーバーラップ量積算値(又は平均値)に応じて、補正係数CWHSM、CCNT を設定しても良い。
【0074】
また、車速が速くなるに従って排気管21を冷やす走行風量が増加して排気管21の温度上昇が少なくなり、それによって、排出ガス温度の上昇が少なくなって、空燃比センサ23の活性化が遅れるため、図17に示すように、始動から空燃比センサ23が活性化するまでの車速積算値(又は平均値)に応じて補正係数CWHSM、CCNT を設定しても良い。
【0075】
以上のようにして、ステップ505で第1判定値K1WHSM、K1CNT を算出した後、ステップ506に進み、次の▲1▼と▲2▼の条件を両方とも満たすか否かで、排出ガス昇温系と二次空気導入系が両方とも正常であるか否かを判定する。
▲1▼始動から空燃比センサ23が活性化するまでのヒータ電力積算値WHSMが第1判定値K1WHSM以下であること(WHSM≦K1WHSM)
▲2▼始動から空燃比センサ23が活性化するまでの経過時間CNTが第1判定値K1CNT 以下であること(CNT≦K1CNT )
【0076】
これら2つの条件▲1▼,▲2▼を両方とも満たせば、空燃比センサ23の活性化、ひいては触媒22の早期暖機が正常に行われたと判断して、ステップ507に進み、排出ガス昇温系と二次空気導入系が両方とも正常である[図7の(A)に該当する]と判定して、本ルーチンを終了する。
【0077】
これに対して、上記2つの条件▲1▼,▲2▼のいずれか一方でも満たさない条件があれば、空燃比センサ23の活性化、ひいては触媒22の早期暖機が正常に行われなかったと判断し、排出ガス昇温系と二次空気導入系のうちの少なくとも一方が異常であると判断して、ステップ508に進み、異常判定フラグXCHECKを「1」にセットして、本ルーチンを終了する。この場合は、以下に説明する図9〜図11のルーチンによって、排出ガス昇温系と二次空気導入系のいずれが異常であるか否か、つまり排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(B)〜(F)のいずれに該当するか否かを判定する。
【0078】
[異常判定事前処理]
図9の異常判定事前処理ルーチンは、所定周期で実行され、平均空燃比MAFがストイキよりもリーンであるか否かを次のようにして判定する。まず、ステップ601で、異常判定フラグXCHECKが触媒早期暖機制御システムの異常を意味する「1」にセットされているか否かを判定する。もし、異常判定フラグXCHECK=1と判定されれば、ステップ602に進み、カウンタCLEANをカウントアップした後、ステップ603に進み、空燃比センサ23で検出した排出ガスの空燃比の前回までの空燃比積算値AFSM(i-1) に今回の空燃比AFを加算して、空燃比積算値AFSMの記憶値を更新する。
【0079】
この後、ステップ604に進み、カウンタCLEANのカウント値が所定値KLEANを越えたか否かを判定し、越えていなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。これにより、異常判定フラグXCHECK=1の場合は、カウンタCLEANのカウント値が所定値KLEANを越えるまで、空燃比積算値AFSMを算出する処理を繰り返す。
【0080】
その後、カウンタCLEANのカウント値が所定値KLEANを越えた時点で、ステップ605に進み、空燃比積算値AFSMをカウンタCLEANのカウント値で除算して平均空燃比MAFを求める。
MAF=AFSM/CLEAN
【0081】
この後、ステップ606に進み、平均空燃比MAFがストイキ(14.6)よりもリーンか否かを判定する。もし、平均空燃比MAFがストイキよりもリーンであれば、ステップ607に進み、空燃比リーンフラグXLEANを空燃比センサ23周辺を流れる排出ガスの平均空燃比MAFがリーンであることを意味する「1」にセットした後、ステップ609に進み、異常判定フラグXCHECKを「0」にリセットして、本ルーチンを終了する。
【0082】
一方、ステップ606で「No」と判定された場合には、ステップ608に進み、空燃比リーンフラグXLEANを空燃比センサ23周辺を流れる排出ガスの平均空燃比MAFがストイキ又はそれよりもよりもリッチであることを意味する「0」にセットした後、ステップ609に進み、異常判定フラグXCHECKを「0」にリセットして、本ルーチンを終了する。
【0083】
異常判定フラグXCHECKを「0」にリセットした後は、ステップ601で「No」と判定されてステップ610に進み、カウンタCLEAN、空燃比積算値AFSM、平均空燃比MAFを全て「0」にリセットして、本ルーチンを終了する。
【0084】
尚、二次空気導入中にも、空燃比フィードバック制御するシステムにおいては、平均空燃比MAFを算出する代わりに、平均フィードバック補正量、又は空燃比若しくは空燃比センサ23の出力に相関するパラメータを算出して、ストイキよりもリーンか否かを判定しても良い。
【0085】
[異常箇所判定]
図10及び図11に示す異常箇所判定ルーチンは、所定周期で実行され、排出ガス昇温系と二次空気導入系のいずれが異常であるか否か、つまり排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(B)〜(F)のいずれに該当するか否かを次のようにして判定する。まず、ステップ701で、異常判定フラグXCHECKが「1」から「0」にリセットされたか否かを判定する。前述した図9の異常判定事前処理ルーチンのステップ607又は608で空燃比リーンフラグXLEANが「1」又は「0」にセットされて、ステップ609で異常判定フラグXCHECKが「1」から「0」にリセットされた時点で、ステップ702に進み、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせを判定するための第2判定値K2WHSM、K2CNT を次式により算出する。
K2WHSM=B2WHSM×CWHSM
K2CNT =B2CNT ×CCNT
【0086】
ここで、第2判定値K2WHSMとK2CNT は、排出ガス昇温系が異常で、二次空気導入系が正常の場合、つまり図7の(E)の場合に始動から空燃比センサ23が活性化するまでに必要となるヒータ電力積算値WHSMと経過時間CNTに相当する。また、B2WHSMとB2CNT は第2ベース値であり、予め、基準となるエンジン運転条件で設定した第2判定値に相当し、CWHSMとCCNT は、それぞれエンジン運転条件に応じて第2ベース値B2WHSM、B2CNT を補正するための補正係数である。
【0087】
この後、ステップ703に進み、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせを判定するための第3判定値K3WHSM、K3CNT を次式により算出する。
K3WHSM=B3WHSM×CWHSM
K3CNT =B3CNT ×CCNT
【0088】
ここで、第3判定値K3WHSMとK3CNT は、排出ガス昇温系が異常で、二次空気導入系が二次空気導入不足となる異常の場合、つまり図7の(D)の場合に始動から空燃比センサ23が活性化するまでに必要となるヒータ電力積算値WHSMと経過時間CNに相当する。また、B3WHSMとB3CNT は第3ベース値であり、予め、基準となるエンジン運転条件で設定した第3判定値に相当し、CWHSMとCCNT は、それぞれエンジン運転条件に応じて第3ベース値B3WHSM、B3CNT を補正するための補正係数である。
【0089】
この後、ステップ704に進み、次の▲1▼と▲2▼の条件を両方とも満たすか否かで、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(E)又は(F)であるか否かを判定する。
▲1▼始動から空燃比センサ23が活性化するまでのヒータ電力積算値WHSMが第2判定値K2WHSM以上であること(WHSM≧K2WHSM)
▲2▼始動から空燃比センサ23が活性化するまでの経過時間CNTが第2判定値K2CNT 以上であること(CNT≧K2CNT )
【0090】
これら2つの条件▲1▼,▲2▼を両方とも満たせば、空燃比センサ23の活性化、ひいては触媒22の暖機が最も遅れる異常態様である図7の(E)又は(F)のいずれかに該当すると判断できるため、それを判別するために、ステップ705に進み、平均空燃比MAFが所定値(例えば17)よりもリーンであるか否かを判定する。
【0091】
もし、平均空燃比MAFが所定値(例えば17)よりもリーンであれば、ステップ706に進み、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(F)、つまり、排出ガス昇温系が異常で、二次空気導入系が二次空気導入過剰となる異常であると判定して、本ルーチンを終了する。
【0092】
一方、ステップ705で「No」と判定されれば、ステップ707に進み、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(E)、つまり、排出ガス昇温系が異常で、二次空気導入系が正常であると判定して、本ルーチンを終了する。
【0093】
また、上記ステップ704で、「No」と判定された場合は、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(B)〜(D)のいずれかであると判断できるため、それを判別するために、図11のステップ708に進み、空燃比リーンフラグXLEANが「1」か否かによって、平均空燃比MAFがストイキによりもリーンか否かを判定する。
【0094】
もし、空燃比リーンフラグXLEAN=1であれば、ステップ709に進み、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(C)、つまり排出ガス昇温系が正常で、二次空気導入系が二次空気導入過剰となる異常であると判定して、本ルーチンを終了する。
【0095】
これに対して、空燃比リーンフラグXLEAN=0であれば、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(B)又は(D)であると判断して、それを判別するために、ステップ710に進み、次の▲1▼と▲2▼の条件を両方とも満たすか否かで、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(D)であるか否かを判定する。
【0096】
▲1▼始動から空燃比センサ23が活性化するまでのヒータ電力積算値WHSMが第3判定値K3WHSM以上であること(WHSM≧K3WHSM)
▲2▼始動から空燃比センサ23が活性化するまでの経過時間CNTが第3判定値K3CNT 以上であること(CNT≧K3CNT )
これら2つの条件▲1▼,▲2▼を両方とも満たせば、ステップ711に進み、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(D)、つまり、排出ガス昇温系が異常で、二次空気導入系が二次空気導入不足となる異常であると判定して、本ルーチンを終了する。
【0097】
一方、ステップ710で「No」と判定されれば、ステップ712に進み、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(B)、つまり、排出ガス昇温系が正常で、二次空気導入系が二次空気導入不足となる異常であると判定して、本ルーチンを終了する。
【0098】
尚、図8のステップ506の処理、図10のステップ704の処理及び図11のステップ710の処理は、演算処理の簡略化のために、2つの条件▲1▼,▲2▼のいずれか一方の演算、判定処理を省略して、片方の演算、判定処理のみを実行するようにしても良い。
【0099】
以上説明した本実施形態(1)では、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせ(A)〜(F)と空燃比センサ23の活性化の進み具合(空燃比センサ23周辺の排出ガス温度)との関係、及び、二次空気導入量と空燃比センサ23の出力(空燃比センサ23周辺の排出ガス空燃比)との関係に着目して、空燃比センサ23の活性化の進み具合と空燃比センサ23の出力を判定して、排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(A)〜(F)のいずれであるかを判定するようにしたので、触媒早期暖機制御システムの異常を検出できるのは勿論のこと、触媒早期暖機制御システムの異常が排出ガス昇温系の異常なのか二次空気導入系の異常なのかを精度良く特定することができ、異常発生時の修理、部品交換等が容易になる。しかも、空燃比センサ23の出力を利用することで、二次空気導入系の異常が二次空気導入量の過剰と不足のいずれであるかも判別することができる。また、触媒早期暖機制御システムの異常診断に利用する空燃比センサ23は、空燃比制御のために設置されている空燃比センサ23を利用すれば良いため、触媒温度センサ等の新たなセンサを設ける必要がなく、低コスト化の要求も満たすことができる。
【0100】
《実施形態(2)》
次に、本発明の実施形態(2)では、図18及び図19の触媒早期暖機制御異常診断ルーチンを実行して触媒早期暖機制御システムの異常の有無を判定する。本ルーチンでは、まず、ステップ801〜804で、前記実施形態(1)と同様の方法で、始動から空燃比センサ23が活性化するまでのヒータ電力積算値WHSM、経過時間CNT、吸入空気量積算値GASMを算出した後、ステップ805に進み、第1判定値K1WHSM、K1CNT を算出し、更に、次のステップ806で、第2判定値K2WHSM、K2CNT を算出する。
【0101】
この後、ステップ807に進み、▲1▼ヒータ電力積算値WHSMが第1判定値K1WHSM以下(WHSM≦K1WHSM)であるか否か、▲2▼経過時間CNTが第1判定値K1CNT 以下(CNT≦K1CNT )であるか否かを判定する。これら2つの条件▲1▼,▲2▼を両方とも満たせば、ステップ808に進み、排出ガス昇温系と二次空気導入系が両方とも正常である[排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(A)である]と判定して、本ルーチンを終了する。
【0102】
これに対して、ステップ807で、「No」と判定された場合は、図19のステップ809に進み、▲1▼ヒータ電力積算値WHSMが第2判定値K2WHSM以上(WHSM≧K2WHSM)であるか否か、▲2▼経過時間CNTが第2判定値K1CNT 以上(CNT≧K2CNT )であるか否かを判定する。これら2つの条件▲1▼,▲2▼を両方とも満たせば、ステップ810に進み、少なくとも排出ガス昇温系が異常である[排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(E)又は(F)である]と判定して、本ルーチンを終了する。
【0103】
一方、ステップ809で、「No」と判定された場合は、ステップ811に進み、少なくとも二次空気導入系が異常である[排出ガス昇温系と二次空気導入系の正常/異常の組み合わせが図7の(B)〜(D)のいずれかである]と判定して、本ルーチンを終了する。
【0104】
尚、図18のステップ807の処理及び図19のステップ809の処理は、演算処理の簡略化のために、2つの条件▲1▼,▲2▼のいずれか一方の演算、判定処理を省略して、片方の演算、判定処理のみを実行するようにしても良い。
【0105】
以上説明した本実施形態(2)の触媒早期暖機制御異常診断では、前記実施形態(1)の触媒早期暖機制御異常診断に比べて異常診断の演算処理を簡略化しながら、触媒早期暖機制御システムの異常発生時に、排出ガス昇温系の異常なのか二次空気導入系の異常なのかを特定することができる。
【0106】
尚、上記各実施形態(1),(2)では、1つのパラメータ(吸入空気量積算値GASM)のみに基づいて各ベース値B1WHSM〜B3WHSM、B1CNT 〜B3CNT を補正して判定値K1WHSM〜K3WHSM、K1CNT 〜K3CNT を求めるようにしたが、複数のパラメータによってベース値B1WHSM〜B3WHSM、B1CNT 〜B3CNT を補正して判定値K1WHSM〜K3WHSM、K1CNT 〜K3CNT を求めるようにしても良い。この場合は、図12〜図17のマップ等から算出した複数の補正係数を掛け合わせたり、或は、複数のパラメータを変数とするマップ又は数式を作成して、そのマップ又は数式から補正係数を算出するようにしても良い。
【0107】
また、上記各実施形態(1),(2)では、各ベース値B1WHSM〜B3WHSM、B1CNT 〜B3CNT を補正係数CWHSM、CCNT で補正して判定値K1WHSM〜K3WHSM、K1CNT 〜K3CNT を求めるようにしたが、始動から空燃比センサ23が活性化するまでのヒータ電力積算値WHSMや始動後経過時間カウンタCNTのカウント値を補正係数CWHSM、CCNT で補正するようにしても良い。この場合は、ベース値B1WHSM〜B3WHSM、B1CNT 〜B3CNT をそのまま判定値K1WHSM〜K3WHSM、K1CNT 〜K3CNT として用いれば良い。
【0108】
また、上記各実施形態(1),(2)では、始動から空燃比センサ23が活性化するまでの経過時間CNTとヒータ電力積算値WHSMを測定したが、始動後に空燃比センサ23の素子インピーダンスZdcが所定値(例えば100Ω)以下に低下してから活性判定値(例えば40Ω)に低下するまでの経過時間CNTとヒータ電力積算値WHSMを測定し、この経過時間CNTとヒータ電力積算値WHSMをそれぞれ判定値と比較して、触媒早期暖機制御システムの異常診断を行うようにしても良い。このようにすれば、始動当初の空燃比センサ23の温度(素子インピーダンスZdc)が異なっていても、空燃比センサ23の活性化に要する時間CNTとヒータ電力積算値WHSMを常に同じ条件で測定することができ、異常診断精度を向上することができる。
【0109】
また、始動後にエンジン運転状態がある程度安定するまで暫く待ってから点火時期遅角制御等の触媒早期暖機制御が開始されることを考慮して、始動後に点火時期遅角制御等の触媒早期暖機制御が開始されてから空燃比センサ23の素子インピーダンスZdcが活性判定値(例えば40Ω)に低下するまでの経過時間CNTとヒータ電力積算値WHSMを測定し、この経過時間CNTとヒータ電力積算値WHSMをそれぞれ判定値と比較して、触媒早期暖機制御システムの異常診断を行うようにしても良い。このようにすれば、触媒早期暖機制御が開始される前のエンジン運転状態のばらつきの影響を受けずに、触媒早期暖機制御による空燃比センサ23の活性化の進み具合を精度良く判定することができ、異常診断精度を向上することができる。
【0110】
また、上記各実施形態(1),(2)では、触媒22の上流側に設置した空燃比センサ23の活性化の進み具合を判定することで、触媒早期暖機制御システムの排出ガス昇温系と二次空気導入系の異常の有無を診断するようにしたが、触媒22の下流側に排出ガスの酸素濃度等のガス成分濃度、空燃比、リッチ/リーンのいずれかを検出する排出ガスセンサを設置したシステムでは、触媒22の下流側の排出ガスセンサの活性化の進み具合を判定することで、触媒早期暖機制御システムの排出ガス昇温系と二次空気導入系の異常の有無を診断するようにしても良い。
【0111】
また、触媒22の上流側と下流側の両方に排出ガスセンサを設置したシステムでは、上流側の排出ガスセンサの活性化の進み具合と下流側の排出ガスセンサの活性化の進み具合を判定して、これら双方の判定結果から総合的に触媒早期暖機制御システムの排出ガス昇温系と二次空気導入系の異常診断を行うようにしても良い。この場合、上流側の排出ガスセンサの活性化の進み具合と下流側の排出ガスセンサの活性化の進み具合の判定結果(排出ガスセンサの活性化に要する時間、ヒータ電力積算値等)の比較又は差によって触媒早期暖機制御システムの排出ガス昇温系と二次空気導入系の異常診断を行うようにしても良い。
【0112】
また、電力制御の期間(200Ω≧素子インピーダンスZdc>40Ωの期間)中に素子インピーダンスZdcの変化率の平均値を算出し、この素子インピーダンスZdcの変化率平均値を判定値と比較して触媒早期暖機制御システムの排出ガス昇温系と二次空気導入系の異常診断を行うようにしても良い。
【0113】
尚、触媒22の上流側及び/又は下流側に配置する排出ガスセンサは、空燃比を検出する空燃比センサに限定されず、排出ガスの酸素濃度等のガス成分濃度を検出するセンサや、排出ガスのリッチ/リーンを検出する酸素センサを搭載したシステムに本発明を適用して実施することができる。
【0114】
また、上記各実施形態(1),(2)では、排出ガスセンサ(空燃比センサ23)の活性判定を素子インピーダンスZdcに基づいて行うようにしたが、排出ガスセンサの出力が所定値以上になったか否かで活性判定を行っても良い。また、排出ガスのリッチ/リーンを検出する酸素センサの場合は、酸素センサの出力がリーン出力からリッチ出力に変化したか否かで活性判定を行っても良い。
【0115】
また、上記各実施形態(1),(2)では、触媒早期暖機制御中に二次空気導入装置34のエアポンプ37をデューティ制御して二次空気導入量を可変するようにしたが、二次空気導入量を可変する機能を持たない簡単な二次空気導入装置を搭載したシステムにも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)を示すエンジン制御システム全体の概略構成図
【図2】ヒータ制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図3】排出ガス昇温制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図4】二次空気導入制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図5】二次空気導入判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図6】空燃比センサ周辺の排出ガス温度特性を示す図
【図7】触媒早期暖機制御システムの排出ガス昇温系と二次空気導入系の異常診断方法を説明するための図
【図8】実施形態(1)の触媒早期暖機制御異常診断ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図9】異常判定事前処理ルーチンの処理の流れを示すフローチャート
【図10】異常箇所判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャート(その1)
【図11】異常箇所判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャート(その2)
【図12】吸入空気量積算値GASMと補正係数CWHSMとの関係を規定するマップを概念的に示す図
【図13】吸入空気量積算値GASMと補正係数CCNT との関係を規定するマップを概念的に示す図
【図14】空燃比積算値と補正係数CWHSM(CCNT )との関係を規定するマップを概念的に示す図
【図15】始動時冷却水温と補正係数CWHSM(CCNT )との関係を規定するマップを概念的に示す図
【図16】バルブオーバーラップ量積算値と補正係数CWHSM(CCNT )との関係を規定するマップを概念的に示す図
【図17】車速積算値と補正係数CWHSM(CCNT )との関係を規定するマップを概念的に示す図
【図18】実施形態(2)の触媒早期暖機制御異常診断ルーチンの処理の流れを示すフローチャート(その1)
【図19】実施形態(2)の触媒早期暖機制御異常診断ルーチンの処理の流れを示すフローチャート(その2)
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、13…エアフローメータ、17…燃料噴射弁、18…点火プラグ、21…排気管(排気通路)、22…触媒、23…空燃比センサ(排出ガスセンサ)、24…センサ素子、25…ヒータ、26…センサ制御回路、27…サブマイコン、28…エンジン制御回路(異常診断手段,センサ活性判定手段)、34…二次空気導入装置、35…二次空気導入管。
Claims (3)
- 内燃機関の排出ガス浄化用の触媒の暖機を促進する触媒早期暖機制御システムの異常の有無を診断する内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置であって、
前記触媒早期暖機制御システムは、内燃機関の排出ガス温度を排出ガス中のリッチ成分が前記触媒上流側の排気通路内で後燃え可能な排出ガス温度に昇温する排出ガス昇温系と、前記後燃えを発生させるための二次空気を前記触媒上流側の排気通路内に導入する二次空気導入系とを有し、
前記二次空気の導入部付近又はそれよりも下流側の排気通路に設けられて排出ガスの酸素濃度等のガス成分濃度、空燃比、リッチ/リーンのいずれかを検出する排出ガスセンサと、
内燃機関の始動後に前記排出ガスセンサの活性化の進み具合を判定するセンサ活性判定手段と、
前記センサ活性判定手段で判定した前記排出ガスセンサの活性化の進み具合に基づいて前記触媒早期暖機制御システムの異常の有無を判定する異常診断手段とを備え、
前記異常診断手段は、前記触媒早期暖機制御システムの異常有りと判定する場合に、前記排出ガスセンサの活性化の進み具合と前記排出ガスセンサの出力又はその出力に相関するパラメータとを用いて前記排出ガス昇温系の異常と前記二次空気導入系の異常とを判別することを特徴とする内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置。 - 前記センサ活性判定手段は、前記排出ガスセンサの活性化の進み具合を、該排出ガスセンサが活性化するまでの時間又はそれに相関するパラメータを用いて判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置。
- 前記排出ガスセンサは、活性化を促進するヒータを内蔵し、
前記センサ活性判定手段は、前記排出ガスセンサの活性化の進み具合を、該排出ガスセンサが活性化するまでの前記ヒータの消費電力積算値又はそれに相関するパラメータを用いて判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の触媒早期暖機制御システムの異常診断装置。
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