JP3899288B2 - 同軸型インピーダンス整合器 - Google Patents
同軸型インピーダンス整合器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3899288B2 JP3899288B2 JP2002157692A JP2002157692A JP3899288B2 JP 3899288 B2 JP3899288 B2 JP 3899288B2 JP 2002157692 A JP2002157692 A JP 2002157692A JP 2002157692 A JP2002157692 A JP 2002157692A JP 3899288 B2 JP3899288 B2 JP 3899288B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- conductor
- outer conductor
- slag
- slit
- dielectric
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Coupling Device And Connection With Printed Circuit (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部導体および内部導体を備えると共に外部導体と内部導体との間の隙間内に内部導体の長手方向に沿って移動自在に配置された誘電体を備えた同軸型インピーダンス整合器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の同軸型インピーダンス整合器として、図21,22に示すスラグチューナ101を出願人は既に開発している。このスラグチューナ101は、図20に示すように、一例としてアンプAPおよびアンテナATの間に配設されて、アンプAPおよびアンテナAT間の伝送線路を構成すると共に、インピーダンスを整合する。このスラグチューナ101は、図21,22に示すように、その中心部に長手方向に沿って丸孔が形成された角筒状(管状)の外部導体102と、外部導体102における丸孔内に互いの軸線同士が一致するように(互いに同軸となるように)収容されて外部導体102と共に伝送線路を構成する丸棒状の内部導体103と、外部導体102と内部導体103との間に形成された隙間内に内部導体103の長手方向に沿って移動自在に配置された誘電体(以下、「スラグ」ともいう)104,105を備えて構成されている。この場合、外部導体102には、スラグ104,105に固定された各移動用ブラケット106,106の先端部を外部導体102の外部に突出させるためのスリットSLが長手方向に沿って形成されている。スラグ104,105は、リング体(一例として円筒体)にそれぞれ形成され、各々の中心孔内に内部導体103が挿通されている。また、スラグ104,105は、その長さL11がλ/4(λは、アンプAPから出力される信号S(図20参照)の管内波長)と等しくまたはほぼ等しくなるように規定されている。
【0003】
このスラグチューナ101を用いたインピーダンスの整合に際しては、各移動用ブラケット106,106を摘んでスラグ104,105を内部導体103の長手方向に沿ってそれぞれスライドさせる。この際に、スラグ104,105間の中心位置Oと、スラグチューナ101における出力端(図22における右端)との距離L13を調整することにより、スラグ104,105によって反射される反射信号の位相が調整される。また、スラグ104,105の対向面間の距離L14を調整することにより、スラグ104,105による反射信号の振幅が調整される。したがって、スラグ104,105をそれぞれスライドさせて距離L13,L14を調整してスラグ104,105による反射信号の位相および振幅を適宜調整することにより、アンプAPおよびアンテナAT間のインピーダンスが整合(マッチング)される。これにより、アンプAPによって出力された信号Sが殆ど反射することなくアンテナATに出力される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、出願人が開発したこのスラグチューナ101には、以下の改善すべき課題がある。すなわち、このスラグチューナ101では、外部導体102にスリットSLを設けると共に、このスリットSLから各移動用ブラケット106,106を突出させる構成を採用して、各スラグ104,105を外部からスライド可能にしている。しかしながら、このスラグチューナ101では、外部導体102に設けたスリットSLから電磁波が漏洩するおそれがあり、これを改善するのが好ましい。
【0005】
本発明は、かかる改善点に鑑みてなされたものであり、インピーダンス調整を外部から可能としつつ、電磁波の外部への漏洩を低減し得る同軸型インピーダンス整合器を提供することを主目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明に係る同軸型インピーダンス整合器は、管状の外部導体と、当該外部導体内に配設されて当該外部導体と共に信号用の伝送線路を構成する内部導体と、前記外部導体の内面と前記内部導体の外面との間の隙間内に当該内部導体の長手方向に沿って移動自在に配設された誘電体とを備えた同軸型インピーダンス整合器であって、前記外部導体には、前記内部導体の前記長手方向に沿ったスリットが形成され、一端側が前記誘電体に連結されると共に、他端側が前記スリットを介して前記外部導体の外部に突出する移動用ブラケットを備えて構成されて前記内部導体の長手方向に沿った前記誘電体の位置を前記外部導体の外側から変更可能な位置変更手段と、前記スリットに沿った前記移動用ブラケットの移動を許容しつつ当該スリットの一部または全部を閉塞する閉塞体を備えて構成されて前記信号に起因する電磁波の漏洩を低減するシールド機構とを備え、前記誘電体には、前記移動用ブラケットを嵌着するための嵌着用溝部が形成され、前記移動用ブラケットには、前記嵌着用溝部に嵌着可能な一対の嵌着用爪部が形成され、前記閉塞体は、前記一対の嵌着用爪部が前記嵌着用溝部に嵌着されて前記誘電体に取り付けられた前記移動用ブラケットに、前記外部導体と非接触な状態で連結されて前記誘電体と一体的に移動可能に構成されている。
【0007】
この場合、前記内部導体の前記長手方向に沿った長さが前記誘電体における当該長手方向に沿った長さと同等に前記閉塞体を形成するのが好ましい。
【0008】
また、前記移動用ブラケットは、非導電性材料で形成されているのが好ましい。
【0009】
さらに、前記信号に起因する電磁波の漏洩を低減するシールドケースによって覆われているのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る同軸型インピーダンス整合器の好適な実施の形態について説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1,2に示すスラグチューナ1は、本発明に係る同軸型インピーダンス整合器の一例であって、外部導体2、内部導体3、誘電体(スラグ)4,5、およびシールド機構6を備えている。
【0012】
外部導体2は、一例として、その中心部に長手方向に沿って丸孔が形成された管状(円筒状)に形成されている。また、外部導体2には、外部導体2の外部と内部とを連通させるスリットSLが長手方向に沿って(軸線と平行に)1つ形成されている。
【0013】
内部導体3は、丸棒状(円柱状)に形成されて、互いの軸線同士が一致するように(同軸となるように)外部導体2における丸孔内に収容されている。この場合、内部導体3は、外部導体2と共に信号用伝送線路を構成する。
【0014】
スラグ4,5は、外部導体2の内径よりも小径のリング状(円筒状)に形成され、その中心孔内に内部導体3が挿入された状態において、外部導体2の内面(内周面)と内部導体3の外面(外周面)との間に形成された隙間内に内部導体3の長手方向に沿って移動自在に収容されている。また、各スラグ4,5の外面(外周面)には、非導電性材料で形成されて位置変更手段を構成する移動用ブラケット7がそれぞれ取り付けられている。各移動用ブラケット7は、一例として平板状に形成され、一端側(同図における下端側)がスラグ4,5に連結され、他端側(同図における上端側)がスリットSLを介して外部導体2の外部に突出している。また、各移動用ブラケット7は、スリットSLに沿って移動可能に構成されている。
【0015】
シールド機構6は、図1,2に示すように、導電性材料を用いて形成されると共に各スラグ4,5に取り付けられた一対の閉塞体6a,6aで構成されている。この場合、各閉塞体6a,6aは、一例として長方形の金属製平板を中央部分でく字状に折り曲げて形成されている。また、各閉塞体6a,6aは、移動用ブラケット7の他端側に、全体として逆Y字形状(または逆T字状)となるようにそれぞれ連結されて、図2に示すように、外部導体2と非接触な状態で、スリットSLにおける移動用ブラケット7の他端側が突出する部位近傍を閉塞する。この場合、発明者の行った実験によれば、スラグ4,5が露出するスリットSLの領域のみを閉塞することにより、スリットSL全体を閉塞したのとほぼ同等のシールド効果(約30dB)を奏することが確認されている。このため、閉塞体6aは、その長さLaが各スラグ4,5の長さLbと同等となるように規定されている。
【0016】
このように、このスラグチューナ1によれば、移動用ブラケット7の他端側を手動または自動移動機構によって操作することにより、外部導体2の外部から外部導体2内に収容された各スラグ4,5を移動させることができるため、信号用伝送線路の特性インピーダンスを外部から変更して例えばアンプAPおよびアンテナAN間のインピーダンスを整合することができる。しかも、各スラグ4,5に一対の閉塞体6a,6aを取り付けたことで、スリットSLからの電磁波の漏洩を十分に低減させることができる。
【0017】
(第2の実施の形態)
図3,4に示すスラグチューナ11は、同軸型インピーダンス整合器の一例であって、外部導体12、内部導体3、誘電体(スラグ)4,5、およびシールド機構13を備えている。なお、スラグチューナ1と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0018】
外部導体12は、一例としてその中心部に長手方向に沿って丸孔が形成された管状(四角筒状)に形成されている。また、外部導体12における4つの側壁のうちの一つ(本実施の形態では、一例として図3における上側壁)には、外部導体12の外部と内部とを連通させるスリットSLが長手方向に沿って(軸線と平行に)1つ形成されている。なお、外部導体12の両端部には、コネクタ部CN,CNがそれぞれ取り付けられている。
【0019】
内部導体3は、円柱状に形成されて、互いの軸線同士が一致するように外部導体12の丸孔内に収容されている。スラグ4,5は、その中心孔内に内部導体3が挿入された状態において、外部導体12の内面(内周面)と内部導体3の外面との間に形成された隙間内に移動自在に収容されている。また、各スラグ4,5の外面には、非導電性材料で形成されて位置変更手段を構成する移動用ブラケット14がそれぞれ取り付けられている。この場合、各移動用ブラケット14は、一例として円柱状に形成され、一端側(図3における下端側)がスラグ4,5に連結され、他端側(図3における上端側)がスリットSLを介して外部導体12の外部に突出している。
【0020】
シールド機構13は、図3に示すように、スリットSL全体を閉塞可能な長さの板状(長方形の平板)に形成された閉塞体13aで構成されている。この閉塞体13aは、その一面側に2つのカム溝CG,CGが形成されて移動用ブラケット14と共に位置変更手段を構成し、スリットSLの形成部位において外部導体12に対して相対移動可能に配設されている。また、各カム溝CG,CGは、各移動用ブラケット14の他端側が進入可能な幅長で、かつ内部導体3の長手方向に対してそれぞれ斜めに交差する方向に沿って形成され、さらに全体形状がハ字状となるように配置されている。閉塞体13aは、同図に示すように、カム溝CG,CGの形成面をスリットSL側に向けた状態で外部導体3におけるスリットSLの形成側壁上に載置される。この状態では、図4に示すように、スリットSLは閉塞体13aによって全体的に閉塞される。また、各スラグ4,5に取り付けられた各移動用ブラケット14の他端側は、同図に示すように、対応するカム溝CG,CG内にそれぞれ進入している。このようにして外部導体3の側壁上に載置された閉塞体13aは、図外のX−Y駆動機構(移動機構)に連結され、そのX−Y駆動機構によって図4におけるX,Y方向にそれぞれ移動可能に構成される。
【0021】
このスラグチューナ11を使用してインピーダンスを整合する際には、X−Y駆動機構を制御して閉塞体13aをX,Y方向にそれぞれ移動させる。この場合、閉塞体13aを外部導体12に対して相対的にY方向に移動させた際には、各カム溝CG,CGとスリットSLとの交差位置が変化して各移動用ブラケット14,14が各カム溝CG,CGにガイドされた状態でスリットSL内をそれぞれ互いに逆方向に移動する結果、各スラグ4,5も外部導体12内で互いに逆方向に移動して相互間の距離が変更される。一方、閉塞体13aを外部導体12に対して相対的にX方向に移動させた場合には、各移動用ブラケット14,14が各カム溝CG,CGにガイドされた状態でスリットSL内を同時に同一方向に移動する結果、各スラグ4,5が外部導体12内で同一方向に移動する。したがって、X−Y駆動機構を制御して閉塞体13aをX,Y方向にそれぞれ移動させることにより、各スラグ4,5が外部導体12内における任意の位置に移動し、これにより、インピーダンス整合が行われる。
【0022】
このように、このスラグチューナ11によれば、閉塞体13aを移動させることにより、各移動用ブラケット14,14を介して各スラグ4,5を外部導体2内の任意の位置に移動させることができる。つまり、インピーダンス整合を外部導体12の外部から行うことができる。また、スリットSLが閉塞体13aによって常に閉塞されているため、スリットSLからの電磁波の漏洩を十分に防止することができる。
【0023】
(第3の実施の形態)
図5,6に示すスラグチューナ21は、同軸型インピーダンス整合器の一例であって、外部導体22、内部導体3、誘電体(スラグ)4,5およびシールド機構23を備えている。なお、スラグチューナ1と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0024】
外部導体22は、一例としてその中心部に長手方向に沿って丸孔が形成された管状(四角筒状)に形成されている。また、外部導体22における4つの側壁のうちの一つ(本実施の形態では、一例として図5,6において上側壁)は、表面の断面形状が内部側に円弧状に凹んだ樋形状に形成されている。また、この上側壁における中央部分には、外部導体22の外部と内部とを連通させるスリットSLが長手方向に沿って(軸線と平行に)1つ形成されている。なお、外部導体22の両端部には、図5に示すように、コネクタ部CNが取り付けられている。
【0025】
内部導体3は、円柱状に形成されて、互いの軸線同士が一致するように外部導体22の丸孔内に収容されている。スラグ4,5は、その中心孔内に内部導体3が挿入された状態において、外部導体22の内面(外周面)と内部導体3の外面との間に形成された隙間内に移動自在に収容されている。また、各スラグ4,5の外面には、位置変更手段を構成する移動用ブラケット14,14がそれぞれ取り付けられている。各移動用ブラケット14,14は、一例として円筒状に形成され、一端側がスラグ4,5に連結され、他端側がスリットSLを介して外部導体22の外部に突出している。
【0026】
シールド機構23は、図5,6に示すように、スリットSL全体を閉塞可能な長さの円柱状(円筒状)に形成された閉塞体23aで構成されている。この場合、閉塞体23aは、その外面(外周面)に各移動用ブラケット14,14の他端側が進入するカム溝CG,CGが形成されて移動用ブラケット14と共に位置変更手段を構成する。一例として、各カム溝CG,CGは、内部導体3の長手方向に対してそれぞれ斜めに交差する方向に沿って形成されおり、閉塞体23aが回転した際に、各カム溝CG,CGにおけるスリットSLとの交差位置が変化する。また、閉塞体23aは、外部導体22におけるスリットSLが形成された樋状の側壁内に外部導体22と平行かつ回転自在に配置されることによってスリットSLを閉塞する。この状態において、各移動用ブラケット14,14は、対応するカム溝CG,CG内に各々の他端側がそれぞれ進入している。また、閉塞体23aは、図5に示すように、その両端面に軸線に沿って突設された支持シャフト23b,23bが移動機構24によって回転自在に支持されている。
【0027】
移動機構24は、図5に示すように、水平に配置されたベースアーム24aと、ベースアーム24aの両端から下方に延出すると共に相互間で閉塞体23aの支持シャフト23b,23bを回転自在に支持する一対の支持アーム24b,24bと、一方の支持アーム24bに取り付けられると共にその出力軸が閉塞体23aの一方の支持シャフト23bに連結されて閉塞体23aを回転駆動するモータ24cと、ベースアーム24aを内部導体3の長手方向に沿って平行移動させる図外の駆動機構とを備えている。
【0028】
このスラグチューナ21を使用してインピーダンスを整合する際には、移動機構24を制御して閉塞体23aを回転または内部導体3の長手方向に沿って移動させる。この場合、閉塞体23aを回転させた際には、各移動用ブラケット14,14が各カム溝CG,CGにガイドされた状態でスリットSLに沿ってそれぞれ独立して移動する結果、外部導体22内における各スラグ4,5相互間の距離が変更される。一方、閉塞体23aを内部導体3の長手方向に移動させた際には、各移動用ブラケット14,14が各カム溝CG,CGにガイドされた状態でスリットSL内を同時に同一方向に移動する。この結果、各スラグ4,5の外部導体22における端部からの距離が変更される。したがって、移動機構24を制御して閉塞体23aを回転または内部導体3の長手方向に沿って移動させることにより、各スラグ4,5が内部導体3の長手方向に沿って外部導体22内における任意の位置に移動し、これにより、インピーダンス整合が行われる。
【0029】
このように、このスラグチューナ21によれば、閉塞体23aを移動させることにより、各移動用ブラケット14,14を介して各スラグ4,5を外部導体2の外部から任意の位置に移動させることができる。つまり、インピーダンス整合を外部から行うことができる。また、スリットSLが閉塞体23aによって常に閉塞されているため、スリットSLからの電磁波の漏洩を十分に防止することができる。
【0030】
(第4の実施の形態)
図7,8に示すスラグチューナ31は、同軸型インピーダンス整合器の一例であって、外部導体32、内部導体3、誘電体(スラグ)4,5およびシールド機構33を備えている。なお、スラグチューナ1と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0031】
外部導体32は、一例としてその中心部に長手方向に沿って丸孔が形成された管状(四角筒状)に形成されている。また、外部導体32における4つの側壁のうちの一つ(図7,8において下側壁)には、その中央部分に、外部導体32の外部と内部とを連通させるスリットSLが長手方向に沿って(軸線と平行に)1つ形成されている。なお、外部導体32の両端部には、コネクタ部CNが取り付けられている。
【0032】
内部導体3は、円柱状に形成されて、互いの軸線同士が一致するように外部導体32の丸孔内に収容されている。スラグ4,5は、その中心孔内に内部導体3が挿入された状態において、外部導体32の内面(内周面)と内部導体3の外面との間に形成された隙間内に移動自在に収容されている。また、各スラグ4,5の外面には、位置変更手段を構成する移動用ブラケット34がそれぞれ取り付けられている。この場合、各移動用ブラケット34,34は、非導電性材料を用いて形成され、これらの一端側はスラグ4,5に連結され、他端側はスリットSLを介して外部導体32の外部に突出すると共にスリットSLが形成された下側壁およびこの側壁に接する他の側壁(図8において右側壁)に沿って延出することによって、全体としてコ字状に形成されている。
【0033】
シールド機構33は、図7,8に示すように、導電性を有する液状金属(例えば、水銀)33bが貯留された皿体33aを備えて構成されている。外部導体32は、スリットSLの形成部位を下向きにして、スリットSLが形成された下側壁の一部が液状金属33bに浸る状態で皿体33a内に配置されている。これにより、スリットSL全体に液状金属33bが進入する結果、スリットSLは液状金属33bによって閉塞される。また、コ字状に形成された各移動用ブラケット34,34は、その一端側が液状金属33bに埋没し、その他端側が液状金属33bの液面から突出(露出)した状態に維持される。
【0034】
このスラグチューナ31を使用してインピーダンスを整合させる際には、液状金属33bの液面から突出している各移動用ブラケット34,34の他端を操作して各スラグ4,5を内部導体3の長手方向に沿って移動させる。これにより、スラグ4,5相互間の距離や各スラグ4,5の外部導体32における端部からの距離が変更され、これにより、インピーダンス整合が行われる。
【0035】
このように、このスラグチューナ31によれば、各移動用ブラケット34,34を介して各スラグ4,5を外部導体2外部から任意の位置に移動させることができる。つまり、インピーダンス整合を外部から行うことができる。また、スリットSLがシールド機構33を構成する液状金属33bによって常に閉塞されているため、スリットSLからの電磁波の漏洩を十分に防止することができる。
【0036】
(第5の実施の形態)
図9,10に示すスラグチューナ41は、同軸型インピーダンス整合器の一例であって、外部導体42、内部導体3および誘電体(スラグ)4,5を備えている。なお、スラグチューナ1と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0037】
外部導体42は、一例としてその中心部に長手方向に沿って丸孔が形成された管状(四角筒状)に形成されている。また、外部導体42における4つの側壁のうちの一つ(図9,10における上側壁)には、その各端部近傍に、外部導体42の内外(外部と内部と)を連通させる貫通孔HLが1つずつ形成されている。なお、このスラグチューナ41では、外部導体42における貫通孔HLが形成された側壁がシールド機構を構成する。また、外部導体42の両端部には、コネクタ部CNが取り付けられている。
【0038】
内部導体3は、円柱状に形成されて、互いの軸線同士が一致するように外部導体42の丸孔内に収容されている。この場合、スラグ4,5は、その中心孔内に内部導体3が挿入された状態において、外部導体42の内面(内周面)と内部導体3の外面との間に形成された隙間内に移動自在に収容されている。また、各貫通孔HL内には、図9,10に示すように、位置変更手段を構成するロッド44がそれぞれ摺動自在に挿入されている。ここで、各ロッド44の挿入側先端は、対応するスラグ4,5におけるコネクタ部CN側の側面に連結されている。また、各ロッド44は、剛性を有すると共に可撓性を有する非導電性材料を用いて長尺に形成されている。
【0039】
このスラグチューナ41を使用してインピーダンス整合を行う際には、各ロッド44,44の一端をそれぞれ操作して各スラグ4,5を内部導体3の長手方向に沿ってそれぞれ移動させる。これにより、スラグ4,5相互間の距離や各スラグ4,5の外部導体42における端部からの距離が変更され、これにより、インピーダンス整合が行われる。
【0040】
このように、このスラグチューナ41によれば、スリットSLに代えて貫通孔HLを外部導体42に2つ形成し、かつこの貫通孔HL,HLにロッド44をそれぞれ挿入して各スラグ4,5を移動可能としたことにより、各スラグ4,5の位置を外部から調整可能としつつ、外部導体42における開口面積をスリットSLを設けた構成と比較して大幅に低減することができる。この結果、外部導体42の外部に漏洩する電磁波を大幅に低減することができる。
【0041】
(第6の実施の形態)
図11に示すスラグチューナ51は、同軸型インピーダンス整合器の一例であって、外部導体52、内部導体53および誘電体(スラグ)54,55を備えている。なお、スラグチューナ51は、各スラグ54,55側の構成が同一のため、以下ではスラグ54側の構成について説明し、スラグ55側の構成についての説明を省略する。
【0042】
外部導体52は、図12に示すように、全体として中心部に長手方向に沿った丸孔を有する円筒状に形成されると共に、その内面(内周面)に雌ねじ部FSが形成された中間外部導体52aと、中間外部導体52aを挟んで配置されて中間外部導体52aを回転自在に支持する一対の端部外部導体52b,52bとを備えている。この場合、中間外部導体52aがシールド機構として機能する。一例として、中間外部導体52aは、その両端における内径が他の部位における内径よりも若干大径に形成されている。また、一対の端部外部導体52b,52bは、中間外部導体52a側の端部における外径が中間外部導体52aの両端部における内径よりも若干小径にそれぞれ形成されている。このように構成された中間外部導体52aおよび一対の端部外部導体52b,52bは、中間外部導体52aの両端部に一対の端部外部導体52b,52bの上記各端部がそれぞれ挿入されることによって互いに連結されている。また、この構成により、中間外部導体52aは、一対の端部外部導体52b間で回動自在に支持される。
【0043】
内部導体53は、丸棒状(円柱状)に形成されて、互いの軸線同士が一致するように外部導体52における丸孔内に収容されている。また、内部導体53の外面(外周面)には、回転規制機構の一部を構成するガイド溝GGが軸線方向と平行に形成されている。この内部導体53は、その両端部分が一対の端部外部導体52b,52b内に配置された図外の誘電体によって一対の端部外部導体52b,52bに対して相対的に回転不能に支持されて、外部導体52と共に信号用伝送線路を構成する。
【0044】
スラグ54は、外面(外周面)に雄ねじ部MSを有するリング状(円筒状)に形成され、中間外部導体52a内に螺合された状態で収容されている。また、スラグ54の中心孔における内面(内周面)には、図13に示すように、ガイド溝GGと相俟って回転規制機構を構成する突起54aが形成されている。この場合、スラグ54の中心孔内には、突起54aがガイド溝GG内に進入した状態で、内部導体53が挿入されている。また、ガイド溝GGと突起54aとによって構成される回転規制機構は、内部導体53の長手方向に沿ったスラグ54の移動を許容しつつ、内部導体53に対するスラグ54の回転を規制する。
【0045】
このスラグチューナ51を使用してインピーダンス整合を行う際には、位置を変更しようとするスラグ54(55)側の中間外部導体52aを回転させる。この際に、中間外部導体52a内に螺合された状態で収容されているスラグ54(55)は、その内面と中間導体53の外面との間に形成された回転規制機構によって回転が規制されているため、中間外部導体52aの回転方向と逆方向に相対的に回転する。その結果、スラグ54(55)は、中間外部導体52aの内部において内部導体53の長手方向に沿って移動する。これにより、スラグ54(55)の外部導体52における端部からの距離が変更されて、インピーダンス整合が行われる。このように、このスラグチューナ51では、一対の端部外部導体52b,52b間に回転自在に支持されると共に、その内部にスラグ54,55が螺合可能な中間外部導体52a,52aと、スラグ54,55の中心孔内に挿通された内部導体53と、回転規制機構とによって、各スラグ54,55に対して位置を変更する位置変更手段が構成される。
【0046】
このように、このスラグチューナ51によれば、スラグ54,55を外部導体52の外部から移動可能に構成することによって外部からインピーダンス整合を可能にしつつ、外部導体52に対するスリットSL等の開口部の形成を回避することができるため、外部導体52からの電磁波の漏洩を大幅に低減させることができる。
【0047】
(第7の実施の形態)
図14に示すスラグチューナ61は、同軸型インピーダンス整合器の一例であって、外部導体62、内部導体63および誘電体(スラグ)64,65を備えている。なお、スラグチューナ61は、各スラグ64,65側の構成が同一のため、以下ではスラグ64側の構成について説明し、スラグ65側の構成についての説明を省略する。
【0048】
外部導体62は、図15に示すように、中間外部導体62a、中間外部導体62aを挟んで配置された一対の端部外部導体62b,62b、および中間外部導体62aと各端部外部導体62b,62bとの間に摺動自在にそれぞれ配設された一対のリング状外部導体62c,62cを備え、全体として、中心部に長手方向に沿った丸孔を有する円筒状に形成されている。この場合、中間外部導体62aがシールド機構として機能する。また、一例として、中間外部導体62aおよび一対の端部外部導体62b,62bは、それぞれの内径および外径が同一に形成されている。一方、リング状外部導体62cは、その内径が、中間外部導体62aおよび一対の端部外部導体62b,62bの外径よりも若干大径に形成された円筒部P1と、円筒部P1における内面(内周面)の中央部分から軸線方向に等幅で延出する円環部P2とで構成されている。この場合、円環部P2の延出幅は、中間外部導体62aおよび一対の端部外部導体62b,62bの厚みTとほぼ同等に設定されている。また、中間外部導体62aおよび一対の端部外部導体62b,62bは、中間外部導体62aの両端部にリング状外部導体62c,62cをそれぞれ装着し、この各リング状外部導体62c,62cに端部外部導体62b,62bの各端部を装着することによって互いに同軸に連結されている。また、中間外部導体62aの内面(一例として内面(内周面)の下部)には、軸線方向と平行に、回転規制機構の一部を構成するガイド溝GGが形成されている。また、中間外部導体62aおよび一対の端部外部導体62b,62bは、それぞれ図外の支持機構によって回転不能に支持されている。一方、各リング状外部導体62c,62cはこのような支持機構によっては支持されていない。したがって、各リング状外部導体62c,62cは、中間外部導体62aおよび一対の端部外部導体62b,62bに対して相対的に回転可能に構成されている。
【0049】
内部導体63は、外面(外周面)に雄ねじ部MSが形成された中間内部導体63a、および中間内部導体63aを挟んで配置されて中間内部導体63aを回転自在に支持する一対の端部内部導体63b,63bを備え、全体として丸棒状(円柱状)に形成されている。一例として、中間内部導体63aの両端面には円柱状突起がそれぞれ形成され、これらの円柱状突起が各端部内部導体63b,63bにおける中間内部導体63a側の端面に形成された丸孔内に挿入されることにより、中間内部導体63aが一対の端部内部導体63b,63b間に回転自在に支持されている。また、内部導体63は、互いの軸線同士が一致するように外部導体62における丸孔内に収容されている。また、中間内部導体63aにおける各端部外面には円板状の絶縁板INが固定的にそれぞれ連結され、かつ各絶縁板INと対応するリング状外部導体62cにおける円環部P2の内面とが固定的にそれぞれ連結されている。したがって、中間内部導体63a、各絶縁板IN,INおよび各リング状外部導体62c,62cは互いに一体的に連結されている。この場合、内部導体63は、外部導体62と共に信号用伝送線路を構成する。
【0050】
スラグ64は、リング状(円筒状)に形成されると共に、その中心孔の内面(内周面)に雌ねじ部FSが形成されている。また、スラグ64は、その中心孔内に中心内部導体63aが螺合された状態で挿通され、この状態で中間外部導体62a内に収容されている。また、スラグ64の外面(外周面)には、図15,16に示すように、ガイド溝GG内に進入して中間外部導体62aに対するスラグ64の回転を規制する突起64aが形成されている。この場合、突起64aは、ガイド溝GGと共に回転規制機構を構成する。
【0051】
このスラグチューナ61を使用してインピーダンス整合を行う際には、位置を変更しようとするスラグ64(65)側の各リング状外部導体62cをそれぞれ同時に回転させる。この際に、中間内部導体63aの両端部は、絶縁板INを介してそれぞれリング状外部導体62cに連結されているため、中間内部導体63aも同時に回転する。一方、中間内部導体63aに螺合されているスラグ64(65)は、突起64aとガイド溝GGとによって構成された回転規制機構によって中間外部導体62aに対する相対的な回転が規制されているため、中間内部導体63aの回転方向と逆方向に相対的に回転する。その結果、スラグ64(65)は、中間外部導体62aの内部において中間内部導体63aの長手方向に沿って移動する。これにより、スラグ64(65)の外部導体62における端部からの距離が変更され、これにより、インピーダンス整合が行われる。このように、このスラグチューナ61では、各リング状外部導体62c、中間内部導体63a、絶縁板IN、および回転規制機構とによって、各スラグ64,65に対して位置を変更する位置変更手段が構成される。
【0052】
このように、このスラグチューナ61によれば、スラグ64,65を外部導体62の外部から移動可能に構成することによって外部からインピーダンス整合を可能にしつつ、外部導体62に対するスリットSL等の開口部の形成を回避することができるため、外部導体62からの電磁波の漏洩を大幅に低減させることができる。
【0053】
(第8の実施の形態)
図17に示すスラグチューナ71は、同軸型インピーダンス整合器の一例であって、外部導体72、内部導体3および誘電体(スラグ)74,75を備えている。なお、スラグチューナ1と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、スラグチューナ71は、各スラグ74,75側の構成が同一のため、以下ではスラグ74側の構成について説明し、スラグ75側の構成についての説明を省略する。
【0054】
外部導体72は、図18に示すように、その中心部に長手方向に沿って丸孔が形成された円筒状(管状)に形成されて垂直に立設されている。また、外部導体72には、液給排口LSが形成されると共に、液給排口LSの上方に空気孔AHが離間して形成されている。液給排口LSは、液状誘電体(例えば油)LDを供給するための図外のポンプに接続されている。また、空気孔AHは、外部導体72の外部の空間に連通されている。このスラグチューナ71では、外部導体72全体がシールド機構として機能する。
【0055】
内部導体3は、図18に示すように、全体として丸棒状(円柱状)に形成されて、互いの軸線同士が一致するように(同軸となるように)外部導体72の丸孔内に収容されている。この場合、内部導体3は、外部導体72と共に信号用伝送線路を構成する。
【0056】
一方、外部導体72の内面(内周面)と内部導体3の外面(外周面)との間の隙間内には、誘電材料製の一対の蓋体76,76が互いに離間して配設されている。この場合、下側の蓋体76は、液給排口LSよりも若干下方に配設され、上側の蓋体76は、空気孔AHよりも若干上方に配設されている。これらの蓋体76,76は、互いの各対向面が外部導体72の内面および内部導体3の外面と相俟って液室LMを形成する。
【0057】
スラグ74は、液室LMの下部側に連通する液給排口LSを介してポンプから液室LM内に供給されて液室LM内に貯留する液状誘電体LDによって形成されている。この場合、液室LMの内部空間の形状が円筒状に形成されているため、この液室LMに貯留する液状誘電体LDによって形成されるスラグ74も円筒状に形成される。
【0058】
このスラグチューナ71を使用してインピーダンス整合を行う際には、ポンプを制御することによって、厚みを変更しようとするスラグ74(75)側の液室LM内に貯留する液状誘電体LDの液量を変更する。これにより、液室LM内に貯留された液状誘電体LDによって形成されるスラグ74(75)の高さ(厚み)Hが変わるため、インピーダンス整合が行われる。この場合、液室LMの上部空間は、空気孔AHを介して外部導体72の外部の空間と連通しているため、液室LM内は常に一定の気圧(大気圧)に維持される。したがって、液室LM内への液状誘電体LDのスムーズな供給、および液室LMからの液状誘電体LDのスムーズな排出が行われる。
【0059】
このように、このスラグチューナ71によれば、スラグ74,75の厚みを外部導体72の外部から変更可能に構成することによって外部からのインピーダンス整合を可能としつつ、外部導体72に対するスリットSL等の開口部の形成を回避することができると共に、外部導体72からの電磁波の漏洩を大幅に低減させることができる。また、上記した他の実施の形態とは異なり、外部導体の内部で固体のスラグが摺動する構成ではないため、各構成要素における摩耗による劣化の発生を回避することができる結果、耐久性を向上させることができる。また、液室LM内に比重の異なる2種以上の液状誘電体LDを供給してスラグ74,75を形成することもできる。
【0060】
なお、本発明は、上記した実施の形態に示した構成に限定されない。例えば、上述した各実施の形態では、スラグの数は、2つとしていたが、必要に応じて3つ以上設ける構成を採用することもできる。また、スラグチューナ1では、最小限の長さで最も効率よく電磁波を低減するとの観点と、各スラグ4,5を近づけた際の各閉塞体6a,6a同士の干渉を防止して各スラグ4,5をほぼ密着するまで接近可能とする(インピーダンス整合の調整範囲の拡大)との観点とに基づいて、各閉塞体6aの長さLaを各スラグ4,5の長さLbと同等に規定したが、各スラグ4,5をほぼ密着するまで接近させる必要性がない場合には、さらに長く形成することもできる。この構成によれば、スリットSLの開口面積をさらに低減させることができ、スリットSLから漏洩する電磁波を一層減少させることができる。
【0061】
さらに、移動用ブラケット7の各スラグ4,5に対する取付け構造は、接着等の手段によって直接固定する構成を採用することもできるが、図19に示すようにワンタッチで取り付け可能な構成を採用することもできる。スラグ4を例に挙げて説明すると、スラグ4は、同図に示すように、内部導体3を挿通可能な円筒状に形成された第1誘電体4aと、第1誘電体4aよりも大径に形成された第2誘電体4bとを備え、第2誘電体4b内に第1誘電体4aが装着されて構成されている。また、第1誘電体4aおよび第2誘電体4bには、それぞれ嵌着用溝部HL1および嵌着用スリットHL2が形成されている。この場合、嵌着用スリットHL2は、内部導体3の軸線方向に沿った開口長(スリット長)が第1誘電体4aの嵌着用溝部HL1の長さよりも短尺に形成されている。一方、移動用ブラケット7は、同図に示すように、弾性変形可能な非導電性材料(ポリテトラルフルオロエチレンなど)を用いて全体として長方形に形成されると共に、4辺の内の一辺からその対向辺に向けてスリット7bが形成されている。また、スリット7bによって分断された一辺の両端部には嵌着用爪部7a,7aが突設されている。
【0062】
以上の構成により、スラグ4に移動用ブラケット7を取り付ける際には、移動用ブラケット7のスリ割り部(スリット7b)を押し縮めて嵌着用爪部7a,7aの形成部位側を嵌着用スリットHL2内に押し込む。この際に、移動用ブラケット7が弾性変形して嵌着用爪部7a,7a同士の間隔が短くなるため、移動用ブラケット7の各嵌着用爪部7a,7aが嵌着用スリットHL2内に入り込み、嵌着用溝部HL1内に進入する。移動用ブラケット7の各嵌着用爪部7a,7aが完全に嵌着用溝部HL1内に進入した際には、移動用ブラケット7はその弾性力によって嵌着用爪部7a,7a相互間の間隔を元の状態にまで拡げる。このため、各嵌着用爪部7a,7aが嵌着用スリットHL2の内側口縁と常時係合する状態(嵌着状態)となり、スラグ4への移動用ブラケット7の取り付けが完了する。したがって、移動用ブラケット7をワンタッチで取り付けることができるため、移動用ブラケット7の取り付けが十分に容易となっている。
【0063】
また、スラグチューナ11,21における各カム溝CG,CGの形状および配置は一例であり、他の任意の形状や配置を採用することもできる。また、上述したスラグチューナ1において、図1に示すように、スラグチューナ1および自動移動機構を導電材料製のシールドケースSCで覆う構成を採用することもできる。この場合、シールドケースSCでスラグチューナ1のみを覆う構成とすることもできる。この構成を採用することによって、スラグチューナ1から僅かに漏洩する電磁波をさらに一層低減させることができる。なお、図示しないが、スラグチューナ11,21,31,41,51,61,71に対しても、スラグチューナ1と同様にして、シールドケースSCで覆う構成を採用することができる。加えて、上記の各本発明の実施の形態では、アンプAPおよびアンテナAT間のインピーダンスを整合する例について説明したが、本発明に係る同軸型インピーダンス整合器の用途はこれに限定されず、各種装置間のインピーダンス整合に利用することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る同軸型インピーダンス整合器によれば、内部導体の長手方向に沿ったスリットを外部導体に形成し、一端側が誘電体に連結されると共に他端側がスリットを介して外部導体の外部に突出する移動用ブラケットを備えて構成されて内部導体の長手方向に沿った誘電体の位置を外部導体の外側から変更可能な位置変更手段と、スリットに沿った移動用ブラケットの移動を許容しつつスリットの一部または全部を閉塞する閉塞体を備えて構成されて電磁波の漏洩を低減するシールド機構とを備えたことにより、外部導体の外部への電磁波の漏洩を閉塞体によって防止しつつ、移動用ブラケットを操作することによって外部導体の外側から誘電体を移動させてインピーダンス整合を行うことができる。また、移動用ブラケットを嵌着するための嵌着用溝部を誘電体に形成し、嵌着用溝部に嵌着可能な一対の嵌着用爪部を移動用ブラケットに形成したことにより、嵌着用溝部に嵌着用爪部を嵌め込むだけで誘電体に移動用ブラケットをワンタッチで、容易に取り付けることができる。
【0065】
また、外部導体と非接触な状態で移動用ブラケットに連結されて誘電体と一体的に移動可能に閉塞体を構成したことにより、電磁波漏洩のおそれが最も高い誘電体近傍を確実に閉塞することができる結果、電磁波の漏洩を一層確実に低減することができる。
【0066】
また、本発明に係る同軸型インピーダンス整合器によれば、閉塞体における内部導体の長手方向に沿った長さを誘電体における長手方向に沿った長さと同等に形成したことにより、誘電体を複数外部導体内に配置したときにおける閉塞体同士の干渉を回避することができる。したがって、各誘電体を互いに接触する程度まで接近させることができる結果、インピーダンス整合の調整範囲を十分に拡げることができる。
【0067】
さらに、本発明に係る同軸型インピーダンス整合器によれば、移動用ブラケットを非導電性材料で形成したことにより、同軸型インピーダンス整合器に対して高出力の信号が入力されたときであっても、内部導体およびブラケット間でのスパークの発生を確実に回避することができる。
【0068】
また、本発明に係る同軸型インピーダンス整合器によれば、信号に起因する電磁波の漏洩を低減するシールドケースで覆うことにより、外部導体から外部に漏洩する電磁波をさらに一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るスラグチューナ1の斜視図である。
【図2】 図1におけるA−A線断面図である。
【図3】 スラグチューナ11の分解斜視図である。
【図4】 スラグチューナ11の平面図である。
【図5】 スラグチューナ21の一部を切り欠いた側面図である。
【図6】 図5におけるB−B線断面図である。
【図7】 スラグチューナ31の斜視図である。
【図8】 図7におけるC−C線断面図である。
【図9】 スラグチューナ41の斜視図である。
【図10】 スラグチューナ41の側面断面図である。
【図11】 スラグチューナ51の側面図である。
【図12】 スラグチューナ51におけるスラグ54側の側面断面図である。
【図13】 図12におけるD−D線断面図である。
【図14】 スラグチューナ61の側面図である。
【図15】 スラグチューナ61におけるスラグ64側の側面断面図である。
【図16】 図15におけるE−E線断面図である。
【図17】 スラグチューナ71の正面図である。
【図18】 スラグチューナ71におけるスラグ74側の正面断面図である。
【図19】 スラグチューナ1における移動用ブラケット7とスラグ4の構造を示す断面図である。
【図20】 スラグチューナ1,11,21,31,41,51,61,71(101)とアンプAPおよびアンテナATとの接続状態の一例を示すブロック図である。
【図21】 出願人が開発しているスラグチューナ101の図22におけるW−W線断面図である。
【図22】 スラグチューナ101の側面断面図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,41,51,61,71 スラグチューナ
2,12,22,32,42,52,62,72 外部導体
3,53,63 内部導体
4,5,54,64,65,74,75 スラグ(誘電体)
6,13,23,33 シールド機構
6a,13a,23a 閉塞体
7 移動用ブラケット
CG カム溝
GG ガイド溝
SC シールドケース
SL スリット
Claims (4)
- 管状の外部導体と、当該外部導体内に配設されて当該外部導体と共に信号用の伝送線路を構成する内部導体と、前記外部導体の内面と前記内部導体の外面との間の隙間内に当該内部導体の長手方向に沿って移動自在に配設された誘電体とを備えた同軸型インピーダンス整合器であって、
前記外部導体には、前記内部導体の前記長手方向に沿ったスリットが形成され、
一端側が前記誘電体に連結されると共に、他端側が前記スリットを介して前記外部導体の外部に突出する移動用ブラケットを備えて構成されて前記内部導体の長手方向に沿った前記誘電体の位置を前記外部導体の外側から変更可能な位置変更手段と、
前記スリットに沿った前記移動用ブラケットの移動を許容しつつ当該スリットの一部または全部を閉塞する閉塞体を備えて構成されて前記信号に起因する電磁波の漏洩を低減するシールド機構とを備え、
前記誘電体には、前記移動用ブラケットを嵌着するための嵌着用溝部が形成され、
前記移動用ブラケットには、前記嵌着用溝部に嵌着可能な一対の嵌着用爪部が形成され、
前記閉塞体は、前記一対の嵌着用爪部が前記嵌着用溝部に嵌着されて前記誘電体に取り付けられた前記移動用ブラケットに、前記外部導体と非接触な状態で連結されて前記誘電体と一体的に移動可能に構成されている同軸型インピーダンス整合器。 - 前記閉塞体は、前記内部導体の前記長手方向に沿った長さが前記誘電体における当該長手方向に沿った長さと同等に形成されている請求項1記載の同軸型インピーダンス整合器。
- 前記移動用ブラケットは、非導電性材料で形成されている請求項1または2記載の同軸型インピーダンス整合器。
- 前記信号に起因する電磁波の漏洩を低減するシールドケースによって覆われている請求項1から3のいずれかに記載の同軸型インピーダンス整合器。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002157692A JP3899288B2 (ja) | 2002-05-30 | 2002-05-30 | 同軸型インピーダンス整合器 |
US10/441,906 US6856211B2 (en) | 2002-05-21 | 2003-05-20 | Coaxial type impedance matching device |
KR1020030032298A KR100883834B1 (ko) | 2002-05-21 | 2003-05-21 | 동축형 임피던스 정합기 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002157692A JP3899288B2 (ja) | 2002-05-30 | 2002-05-30 | 同軸型インピーダンス整合器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004007056A JP2004007056A (ja) | 2004-01-08 |
JP3899288B2 true JP3899288B2 (ja) | 2007-03-28 |
Family
ID=30428490
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002157692A Expired - Fee Related JP3899288B2 (ja) | 2002-05-21 | 2002-05-30 | 同軸型インピーダンス整合器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3899288B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5089032B2 (ja) * | 2005-10-12 | 2012-12-05 | 長野日本無線株式会社 | プラズマ処理装置用自動整合器の制御方法 |
WO2010062229A1 (en) * | 2008-11-27 | 2010-06-03 | Telefonaktiebolaget L M Ericsson (Publ) | Method and arrangement for through-line mismatch rf testing |
CN102365785B (zh) * | 2009-03-27 | 2014-02-26 | 东京毅力科创株式会社 | 调谐器和微波等离子体源 |
JP5710209B2 (ja) * | 2010-01-18 | 2015-04-30 | 東京エレクトロン株式会社 | 電磁波給電機構およびマイクロ波導入機構 |
FI125652B (fi) * | 2010-11-12 | 2015-12-31 | Intel Corp | Säädettävä resonaattorisuodin |
FI125596B (en) | 2010-11-12 | 2015-12-15 | Intel Corp | Customizable resonator filter |
FR2972858B1 (fr) * | 2011-03-18 | 2014-01-03 | Arnaud Curutchet | Synthetiseur d'impedance coaxial |
-
2002
- 2002-05-30 JP JP2002157692A patent/JP3899288B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004007056A (ja) | 2004-01-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3899288B2 (ja) | 同軸型インピーダンス整合器 | |
CN100431218C (zh) | 天线装置和发射/接收装置 | |
US7301504B2 (en) | Mechanical scanning feed assembly for a spherical lens antenna | |
KR101448972B1 (ko) | Vhf 임피던스 매치 튜닝을 위한 장치 | |
KR19990007924A (ko) | 수축 가능한 안테나 | |
WO2005099039A1 (ja) | マイクロストリップアンテナ | |
US10862183B2 (en) | Microwave bandpass filter comprising a conductive housing with a dielectric resonator therein and including an internal coupling element providing coupling between HEEx and HEEy modes | |
JPH08508608A (ja) | 高周波用の同軸タイプコネクタースイッチ部品 | |
KR20010112362A (ko) | 고주파필터 | |
US20110001580A9 (en) | Variable phase shifter | |
CN101702456B (zh) | 一种用于导波系统中传动轴的小型宽带扼流装置 | |
US7078990B1 (en) | RF cavity resonator with low passive inter-modulation tuning element | |
KR100883834B1 (ko) | 동축형 임피던스 정합기 | |
JP2001073920A (ja) | マイクロ波点火装置 | |
JP2023174564A (ja) | 多周波マルチビーム独立電気チルトアンテナ | |
CN211150739U (zh) | 可调滤波器和可调双工器 | |
CN111600099B (zh) | 移相器及电调天线 | |
JP7053005B2 (ja) | 同軸切替器および導波管切替器 | |
US20070200506A1 (en) | Microwave tube | |
US11251021B2 (en) | Mode-switching plasma systems and methods of operating thereof | |
US20240014533A1 (en) | Stripline phase shifter | |
US4459564A (en) | Waveguide tunable oscillator cavity structure | |
JPS5934029Y2 (ja) | 高周波用多極切換スイツチ | |
JPH02278997A (ja) | ワイヤレスマイクロホン | |
JPH0729565Y2 (ja) | 高周波増幅器用電磁結合器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040823 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060323 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060404 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060526 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060808 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061006 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20061114 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061219 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061225 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 3899288 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100105 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110105 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20100405 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110105 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120105 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120105 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130105 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130105 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140105 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |