JP3897851B2 - エンジンの燃焼制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼の際の点火プラグに流れるイオン電流を検出し、該検出値に基づき最大燃焼圧クランク位置を算出すると共に最適点火時期を設定するエンジンの燃焼制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車などの車両に搭載されているエンジンの燃焼状態を、燃焼の際の点火プラグに流れるイオン電流を計測し、その計測値に基づいて評価する技術が知られている。
【0003】
例えば、特開平6−159208号公報、或いは特開平6−33855号公報には燃焼時の点火プラグに流れるイオン電流を計測し、このイオン電流の特性やイオン電流が最大値となる時間とから最大トルクを得るように点火時期を制御する、いわゆるMBT(Minimum Spark Advance for Best Torque)制御の技術が開示されている。
【0004】
又、特開平5−149230号公報には、点火後の特定時期、或いは特定クランク位置において点火プラグに流れるイオン電流を検出し、このイオン電流値が設定レベル以上のときはノッキング発生と判定する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、イオン電流は機械振動等によるノイズの影響を受けて変化しやすく、イオン電流に基づき点火時期を制御する技術では、上記ノイズの影響の少ない定速運転領域でのみMBT制御が可能で、例えば加速走行などの過渡運転時には行うことができず、MBT制御を行う運転領域が限定される。
【0006】
同様に、点火後の特定時期、或いは特定クランク角におけるイオン電流値の大きさでノッキング発生の有無を判定する技術においても、上記ノイズの影響で上記イオン電流波形が変化しやすいため、ノッキング発生の有無を正確に検出することが困難である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、機械振動等によるノイズの影響を受けることなく、イオン電流波形に基づいて、常にMBT制御を行うことができると共に、ノッキング発生の有無を正確に検出することのできるエンジンの燃焼制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による第1のエンジンの燃焼制御装置は、点火プラグにイオン電流検出用電圧を印加し、燃焼反応によって生成されたイオンが上記点火プラグの両電極に移動するときに流れるイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、上記イオン電流検出回路で検出したイオン電流から特定周波数成分を除去するフィルタ回路とを備えるものにおいて、制御回路に、上記点火プラグによる火花放電期間後の特定期間の上記フィルタ回路を通過したイオン電流波形に基づきイオン電流振動値を特定周期毎に検出すると共に記憶回路に格納する手段と、上記記憶回路に格納されているイオン電流振動値を最後のデータから最初のデータ方向へ検索する手段と、検索した上記データ間の変化量に基づきノッキング値を設定する手段と、上記ノッキング値に基づいてノッキング発生の有無を判別する手段とを設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明による第2のエンジンの燃焼制御装置は、点火プラグにイオン電流検出用電圧を印加し、燃焼反応によって生成されたイオンが上記点火プラグの両電極に移動するときに流れるイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、上記イオン電流検出回路で検出したイオン電流から特定周波数成分を除去するフィルタ回路とを備えるエンジンの燃焼制御装置において、前記制御回路に、上記点火プラグによる火花放電期間後の特定期間の上記フィルタ回路を通過したイオン電流波形に基づきイオン電流値及びイオン電流振動値を特定周期毎に検出すると共に記憶回路に格納する手段と、上記記憶回路に格納されている上記イオン電流値を検索する手段と、検索した上記イオン電流値の中から該イオン電流値のピーク値を検出する手段と、上記ピーク値に対応するクランク位置を算出する手段と、上記クランク位置をエンジン運転領域毎に平均化処理して最大燃焼圧クランク位置を算出する手段と、上記記憶回路に記憶した上記イオン電流振動値を最後のデータから最初のデータ方向へ検索する手段と、検索した上記データ間の変化量の積算値からノッキング値を算出する手段と、上記ノッキング値に基づきノッキング発生の有無を検出する手段と、ノッキング発生時は点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を遅角補正した値で更新し、又ノッキング非検出時は上記最大燃焼圧クランク位置を上記点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を進角補正した値で更新し点火時期が最大トルクを得る点火時期に近づくように補正する手段とを設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明による第3のエンジンの燃焼制御装置は、点火プラグにイオン電流検出用電圧を印加し、燃焼反応によって生成されたイオンが上記点火プラグの両電極に移動するときに流れるイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、上記イオン電流検出回路で検出したイオン電流から特定周波数成分を除去するフィルタ回路とを備えるエンジンの燃焼制御装置において、前記制御回路に、上記点火プラグによる火花放電期間後の特定期間の上記フィルタ回路を通過したイオン電流波形に基づきイオン電流値及びイオン電流振動値を特定周期毎に検出すると共に記憶回路に格納する手段と、上記記憶回路に記憶されている上記イオン電流値を検索する手段と、検索した上記イオン電流値の中から該イオン電流値のピーク値を検出する手段と、上記ピーク値に対応するクランク位置を算出する手段と、上記クランク位置をエンジン運転領域毎に平均化処理して最大燃焼圧クランク位置を算出する手段と、上記記憶回路に記憶した上記イオン電流振動装置を最後のデータから最初のデータ方向へ検索する手段と、検索した上記データ間の変化量の積算値からノッキング値を算出する手段と、上記ノッキング値を加重平均処理してノッキング頻度を算出する手段と、上記ノッキング頻度に基づきノッキングの発生の有無を検出する手段と、ノッキング発生時は、点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を遅角補正した値で更新し、又ノッキング非検出時は上記最大燃焼圧クランク位置を上記点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を進角補正した値で更新し点火時期が最大トルクを得る点火時期に近づくように補正する手段とを設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明による第4のエンジンの燃焼制御装置は、第2或いは第3のエンジンの燃焼制御装置において、前記最大燃焼圧クランク位置を算出する際に実行される平均化処理が加重平均処理であることを特徴とする。
【0016】
本発明による第5のエンジンの燃焼制御装置は、第2或いは第3のエンジンの燃焼制御装置において、前記最大燃焼圧クランク位置を算出する際に実行される平均化処理が移動平均処理であることを特徴とする。
【0021】
第1のエンジンの燃焼制御装置では、点火プラグによる火花放電期間後の特定期間における特定周波数成分を除去したイオン電流波形に基づきイオン電流振動値を特定周期毎に記憶し、記憶したイオン電流振動値を最後のデータから最初のデータ方向へ検索して該イオン電流振動値の変化量を設定し、この変化量からノッキング値を算出し、該ノッキング値に基づいてノッキング発生の有無を判別する判別する。
【0022】
第2のエンジンの燃焼制御装置では、第1のエンジンの燃焼制御装置において、上記点火プラグによる火花放電期間後の特定期間の上記フィルタ回路を通過したイオン電流波形に基づきイオン電流値及びイオン電流振動値を特定周期毎に検出すると共に記憶回路に格納し、又、記憶回路に格納されているイオン電流値を検索する。そして、検索したイオン電流値の中から該イオン電流値のピーク値を検出し、該ピーク値に対応するクランク位置を算出する。そして、クランク位置をエンジン運転領域毎に平均化処理して最大燃焼圧クランク位置を算出すると共に、上記記憶回路に記憶した上記イオン電流振動値を最後のデータから最初のデータ方向へ検索して該イオン電流振動値の変化量の積算値を算出し、該算出値に基づきノッキング値を設定し、該ノッキング値に基づきノッキング発生の有無を検出し、ノッキング発生時は点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を遅角補正した値で更新し、又ノッキング非検出時は最大燃焼圧クランク位置を上記点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を進角補正した値で更新し点火時期が最大トルクを得る点火時期に近づくように補正することで、エンジン運転領域毎の最適点火進角度を設定する。
【0023】
第3のエンジンの燃焼制御装置は、第1或いは第2のエンジンの燃焼制御装置において、上記点火プラグによる火花放電期間後の特定期間の上記フィルタ回路を通過したイオン電流波形に基づきイオン電流値及びイオン電流振動値を特定周期毎に検出すると共に記憶回路に格納し、又、上記記憶回路に記憶されている上記イオン電流値を検索し、検索した上記イオン電流値の中から該イオン電流値のピーク値を検出する。そして、上記ピーク値に対応するクランク位置をエンジン運転領域毎に平均化処理して最大燃焼圧クランク位置を算出すると共に、上記記憶回路に記憶した上記イオン電流振動装置を最後のデータから最初のデータ方向へ検索して該イオン電流振動値の変化量の積算値に基づきノッキング値を算出した後、該ノッキング値を加重平均処理してノッキング頻度を算出し、このノッキング頻度に基づきノックキング発生の有無を検出し、ノッキング発生時は点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を遅角補正した値で更新し、又ノッキング非検出時は上記最大燃焼圧クランク位置を上記点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を進角補正した値で更新し点火時期が最大トルクを得る点火時期に近づくように補正することで、エンジン運転領域毎の最適点火進角度を設定する。
【0024】
第4のエンジンの燃焼制御装置は、第2或いは第3のエンジンの燃焼制御装置において、前記クランク位置をエンジン運転領域毎に加重平均処理し、その値を最大燃焼圧クランク位置とする。
【0025】
第5のエンジンの燃焼制御装置では、第2或いは第3のエンジンの燃焼制御装置において、前記クランク位置をエンジン運転領域毎に移動平均処理し、その値を最大燃焼圧クランク位置とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1〜図7に本発明の第1実施の形態を示す。
【0027】
図1の符号1は多気筒エンジン(本実施の形態では4気筒エンジン)の各気筒に各々配設されている点火プラグ、2は各点火プラグ1に2次巻線側を各々接続する点火コイル、3は該点火コイル2の1次巻線側に接続して1次電流を遮断するパワートランジスタであり、後述する制御回路23から出力されるドエル信号によりON動作し、点火信号によりOFF動作される。又、上記各点火コイル2の2次巻線側にイオン電流検出回路4が接続され、更に、このイオン電流検出回路4に信号処理回路5が接続されている。
【0028】
上記イオン電流検出回路4の符号6はダイオードで、そのカソードが各点火コイル2の2次巻線側に接続され、アノード側が接地されている。又、符号7はイオン電流検出用電圧を供給するDC−DCコンバータ等の電力供給源で、抵抗8、該抵抗8にアノード側を接続するダイオード9を介して上記各点火コイル2の二次巻線側に接続されている。
【0029】
更に、上記抵抗8、ダイオード9間に、直列接続された高抵抗値を有する抵抗10,11が分圧接続され、この両抵抗10,11間に増幅器12の非反転入力端子が分圧接続されている。この増幅器12は出力端子を負帰還接続したバッファ回路を構成しており、この増幅器12の非反転入力端子側に、アノード側を接地するツェナダイオード14のカソード側が分圧接続されている。
【0030】
又、上記抵抗8とダイオード9との間に抵抗13を介して、上記点火プラグ1に印加する電圧値を切換える電圧切換手段の一例であるパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Feld Effetct Transistor)15のドレイン側が接続され、このパワーMOSFET15のソース側がアースされている。又、このパワーMOSFET15のゲート側にゲート抵抗16を介して上記増幅器12の出力端子が接続されていると共に、一端を接地する抵抗17の他端が分圧接続されている。尚、上記抵抗13,16,17及び上記パワーMOSFET15で電圧変換回路が構成されている。
【0031】
上記信号処理回路5は上記イオン電流検出回路4の増幅器12から出力される電圧を処理する1次処理回路としてのローパスフィルタ回路21と、このローパスフィルタ回路21によって処理された電圧を処理する2次処理回路としてのハイパスフィルタ回路22とで構成されている。
【0032】
又、符号23は制御回路であり、この制御回路23の信号入力ポートに、上記両フィルタ回路21,22、及びクランク角度センサ24、カムセンサ25、冷却水温センサ26、吸入空気量センサ27、過給圧センサ28、アクセル開度センサ29等の各センサ類が接続され、信号出力ポートに上記パワートランジスタ3のベースが接続されている。更に、この制御回路23にRAM等からなる記憶回路30がバスラインを介して接続されている。
【0033】
上記クランク角センサ24はエンジン回転数に同期して設定クランク角毎にクランクパルスを出力し、又、上記カムセンサ25は特定気筒の気筒判別パルスを出力する。
【0034】
尚、本実施の形態で採用するエンジンは、スロットル弁とアクセルペダルとが機械的に連設しておらず、スロットル弁は併設する電動モータ、油圧モータ等のスロットルアクチュエータの回動によりアクセル開度センサ29で検出したアクセル開度等に基づいて開度設定される。勿論、スロットル弁とアクセルペダルとが機械的に連設している場合には、上記アクセル開度センサ29に代えてスロットル開度センサを採用し、このスロットル開度センサによりスロットル弁の開度を検出する。
【0035】
又、上記クランク角センサ24はクランクシャフトと同期回転するシグナルプレートに設けた特定クランク角を示す突起或いはスリットを検出してクランクパルスを出力し、又、上記カムセンサ25は上記クランクシャフトに対し1/2の速さで回転するカムシャフトに同期して回転するシグナルプレートに設けた突起或いはスリットを検出してカムパルスを出力する。
【0036】
すなわち、本実施の形態では、図7に示すようにエンジンの点火順序が#1→#2→#3→#4であり、上記クランク角センサ24では、少なくとも圧縮上死点前(BTDC)97°CA(クランク角度)のクランクパルスを出力し、又、上記カムセンサ25では、例えば#1気筒の圧縮上死点後(ATDC)20°CAのカムパルスを出力するように設定されており、上記制御回路23では上記クランクパルスに対する上記カムパルスの割り込みで気筒判別を行い、又、クランクパルスの入力間隔時間からエンジン回転数を算出する。
【0037】
上記制御回路23では、冷却水温センサ26の出力信号に基づき冷却水温を算出し、吸入空気量センサ27の出力信号に基づき吸入空気量を算出し、過給圧センサ28の出力信号に基づきスロットル弁下流の吸気管圧力を算出し、アクセル開度センサ29の出力信号に基づきアクセル開度を算出する。
【0038】
又、記憶回路30には所定時間毎に計測したイオン電流値、及びイオン電流振動値を気筒毎に順次記憶する。
【0039】
そして、上記制御回路23において、上記吸入空気量、冷却水温、アクセル開度に基づきマップを補間計算付で参照して実際の吸入空気量(実吸入空気量)を設定し、上記記憶回路30に記憶されているイオン電流値、イオン電流振動値に基づき最大燃焼圧力、及びノッキング発生の有無等を気筒毎に演算すると共に最大燃焼圧力を示すクランク角を算出する。
【0040】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
制御回路23から点火対象気筒のパワートランジスタ3にドエル信号を出力すると、該パワートランジスタ3がONし、点火コイル2の1次巻線側に1次電流が通電され、次いで上記制御回路23から点火信号を出力すると上記パワートランジスタ3がOFFし、上記1次電流が遮断され、点火コイル2の2次巻線側に高電圧が誘起され、点火プラグ1の両電極に放電電流が流れ、筒内に充填されている混合気に着火する。
【0041】
一方、イオン電流検出回路4から上記点火プラグ1に対しては、電力供給源7からイオン電流検出用電圧(本実施の形態では300V)が抵抗8、ダイオード9を介してエンジン運転中は常時印加されている。
【0042】
図5(a)に示すように、上記点火プラグ1の放電期間(t0〜t1)においては、ダイオード6から点火コイル2の二次巻線側を通り、点火プラグ1へ電流が供給されるため、抵抗8をセンシング抵抗とし、その端子電圧を検出する接続点a(図1参照)の電圧はほぼ0[V]となり、従って、増幅器12の出力側の端子電圧が1[V]以下になるためパワーMOSFET15のゲートに印加されるバイアス電圧が低く、このパワーMOSFET15がOFFする。
【0043】
その結果、上記点火プラグ1に対しては、電力供給源7から抵抗8,10,11によって分圧された高電圧のイオン電流検出用電圧VHが印加される。
【0044】
又、放電期間経過後(t1以降)は、抵抗8、ダイオード9、点火コイル2の二次巻線側を経て点火プラグ1に、該点火プラグ1の周辺に燃焼によって発生したイオン量に相関の有る電流(イオン電流)が流れる(図5(b)参照)。すなわち、筒内に充填されている混合気が点火プラグ1の火花放電により着火して燃焼すると、電離作用によりイオンが発生し、このイオンが上記点火プラグ1の両電極に移動するためである。
【0045】
放電期間経過後(t1以降)の上記接続点aの電圧は、図5(a)に示すよう上昇し、従って、増幅器12の出力側の端子電圧が上昇し、上記パワーMOSFET15のゲートに印加されるバイアス電圧が高くなり、このパワーMOSFET15がON動作し、上記点火プラグ1に対しては、抵抗8,10,11,13によって分圧された低い電圧のイオン電流検出用電圧VLが印加される。
【0046】
そして、上記点火プラグ1の電極間にイオン電流が流れると上記抵抗8の両端に電圧が発生し、この電圧を抵抗10,11間に非反転入力端子を分圧接続する増幅器12で増幅し、ローパスフィルタ回路21で機械振動等によるノイズである高周波成分を除去した後、制御回路23及びハイパスフィルタ回路22へ出力する。この制御回路23では、入力された上記イオン電流値に基づきイオン電流Ixを計測する。
【0047】
図5(b)に上記ローパスフィルタ回路21で処理し上記制御回路23で計測したイオン電流波形を示す。同図に示すように、イオン電流検出領域では、イオン電流のピークが火花放電期間経過直後(t3)と、圧縮上死点(TDC)経過後(t5)との2度検出される。最初のピーク(電流値I1)は着火直後の火炎の外輪が点火プラグ1の外側電極に差し掛ったときと考えられ、二度目のピーク(電流値I2)は火炎が成長し、その外輪がピストン表面及びシリンダヘッド内壁面に対して最大の面積で接触したときと考えられ、この二度目のピーク(電流値I2)を検出したときのクランク位置と、燃焼圧力の最大値を示すクランク位置とは、極めて強い相関がある。
【0048】
又、上記ハイパスフィルタ回路22に入力された電圧は、この電圧に重畳されている通常燃焼によって発生する圧力振動波成分が除去され、上記制御回路23へ出力されてイオン電流振動波形が計測される。
【0049】
図6(a)にハイパスフィルタ回路22で処理した電圧波形を示し、同図(b)に該電圧波形に基づき制御回路23で計測されたイオン電流波形を示す。例えば、燃焼行程においてノッキングが発生した場合、同図(b)に示すように、イオン電流に激しい振動波が重畳される。これはノッキングに基づく圧力振動によって点火プラグ1の電極付近のイオン濃度が変動し、イオン電流に乱れを生じさせたためと考えられる。
【0050】
尚、イオン電流検出時において、点火プラグの両電極には火花放電期間に印加された高電圧のイオン電流検出用電圧により多量のイオンが移動されているため、放電期間経過後も放電が持続され、その結果、イオン電流の発生が持続される。又、イオン電流検出時には上記イオン電流検出用電圧が低電圧に切換えられているため、上記イオン電流を高感度に検出することができる。
【0051】
上記制御回路23では、計測したイオン電流値、及びイオン振動電流波形に基づき各気筒の点火時期制御を行う。
【0052】
以下、図2〜図4に示すフローチャートに基づき上記制御回路23で実行する点火時期制御について説明する。
【0053】
図2には最大燃焼圧クランク位置検出ルーチンが示されている。先ず、ステップS1でクランクパルスと該クランクパルスに対するカムパルスの割り込み信号とに基づき点火対象気筒である計測気筒X(X=#1,#2,#3,#4)が何れの気筒であるかの気筒判別を行い、ステップS2へ進む。
【0054】
ステップS2では当該計測気筒Xの圧縮上死点前(BTDC)97°CAを示すクランクパルスが入力されたか否かを判別し、入力されたときステップS3へ進み、イオン電流値Ixを読込み、記憶回路30の所定アドレスにイオン電流値データIx(1)として記憶した後、ステップS4へ進み、次の計測気筒XのBTDC97°CAを示すクランクパルスが入力されたかを判別する。
【0055】
そして、未だ、次の計測気筒XのBTDC97°CAを示すクランクパルスが入力されていないときは、サンプリング周期Δt経過後にステップS4へ戻り、次のイオン電流値Ixを読込み、記憶回路30の別のアドレスにイオン電流値データIx(2)として記憶する。このように、ステップS3では、当該計測気筒XのBTDC97°CAから次の計測気筒XのBTDC97°CAまでのイオン電流値Ixをサンプリング周期Δt毎に読込んで、記憶回路30にイオン電流値データIx(0),Ix(1),Ix(2)…Ix(n)として順次記憶し、次の計測気筒XのBTDC97°CAを示すクランクパルスが検出されたとき、ステップS5へ進む。
【0056】
その結果、図7に示すように上記計測気筒Xに対するイオン電流値Ixの計測区間θ#xは、当該計測気筒XのBTCD97°CAから次の計測気筒XのBTDC97°CA間での180°CAとなる。
【0057】
次いで、ステップS5へ進むと、上記記憶回路30に記憶されているイオン電流値Ix(1),Ix(2)…Ix(n)を最初に記憶したデータから順に読出し、火花放電期間(図5(b)のt0〜t1)経過後を判定するスライスレベルHとを比較し、0<Ix≦Hを示す最初のイオン電流値IxHを検索する。
【0058】
そして、0<Ix≦Hを示す最初のイオン電流値IxHが検索されたとき、ステップS6へ進み、記憶回路30に記憶されている上記イオン電流値IxH以後のイオン電流値Ixを古いデータ(old)から新しいデータ(new)へ順次読出し、その差分からイオン電流変化量ΔIx(ΔIx←Ix(new)−Ix(old))を算出し、このイオン電流変化量ΔIxが、ΔIx<0からΔIx≧0へ変化したとき(図5(b)のt2,t4)、ステップS7へ進み、それ以後のイオン電流変化量ΔIxを順次算出し、ΔIx≧0からΔIx<0へ変化したときステップS8へ進む。
【0059】
ステップS8では、上記イオン電流変化量ΔIxのΔIx≧0からΔIx<0への変化が2回目かを判別し、1回目のときはステップS6へ戻り、2回目のときはステップS9へ進み、そのときのクランク位置Axを、当該計測気筒Xの最大燃焼圧クランク位置APXmaxとして上記記憶回路30に記憶し(APXmax←Ax)、ステップS1へ戻る。
【0060】
図5(b)に示すように、イオン電流値Ixの波形特性は、火花放電期間経過後(t1以降)に一旦急激に低下し、次いで、圧縮上死点(TDC)を挟んで二度ピーク値を示す。上記ステップS5ではイオン電流値IxとスライスレベルHとを比較することで、火花放電期間(t0〜t1)を経過したか否かを判別し、ステップS6では、イオン電流値が低下した状態から上昇へ転じた時点を検出し、次いでステップS7で上記イオン電流値が上昇した状態から下降へ転じた時点、すなわち、イオン電流値Ixのピーク値を検出する。
【0061】
次に、図3に示すフローチャートに基づきノッキング値設定ルーチンについて説明する。先ず、ステップS11でクランクパルス及び該クランクパルスに対するカムパルスの割り込み信号に基づき点火対象気筒である計測気筒Xを判別し、ステップS12で、当該計測気筒Xの圧縮上死点前(BTDC)97°CAを示すクランクパルスが入力されたか否かを判別し、入力されたときステップS13へ進み、ハイパスフィルタ回路22から出力された電圧に基づいて計測したイオン電流振動値IDxを読込み、記憶回路30に記憶した後、ステップS14へ進み、次の計測気筒XのBTDC97°CAを示すクランクパルスが入力されたか否かを判別する。
【0062】
そして、未だ、次の計測気筒XのBTDC97°CAを示すクランクパルスが入力されていないときは、サンプリング周期Δt経過後にステップS13へ戻り、次のイオン電流振動値IDxを読込み、記憶回路30に記憶する。このように、ステップS13では、当該計測気筒XのBTDC97°CAから次の計測気筒XのBTDC97°CAまでのイオン電流振動値IDxをサンプリング周期Δt毎に読込んで、記憶回路30に順次記憶し、次の計測気筒XのBTDC97°CAを示すクランクパルスが検出されたとき、ステップS14からステップS15へ進む。
【0063】
その結果、図7に示すように上記計測気筒Xに対するイオン電流振動値IDxの計測区間θ#xは、当該計測気筒XのBTCD97°CAから次の計測気筒XのBTDC97°CA間での180°CAとなる。
【0064】
ステップS15では、上記記憶回路30に記憶したイオン電流振動値IDxを最新のデータから順に任意の時間Τ分だけ読込み、次式に基づきノッキング値IKxを算出する。
IKx←(Σ|IDx(n)−IDx(n-1)|)/T
すなわち、本実施の形態では、イオン電流振動値IDxのサンプリング周期Δt当たりのイオン電流振動変化量を絶対値で算出し、このイオン電流振動変化量の絶対値の設定時間T当たりの積算値の平均値をノッキング値IKxとしている。ノッキングは圧縮上死点TDCを挟む区間で発生し易く、上記設定時間Tは予め設定され、或いはエンジン回転数などをパラメータとしてテーブル検索により設定される。
【0065】
上記最大燃焼圧クランク位置APXmax、及びノッキング値IKxは、図4に示す点火時期設定ルーチンにおいて読込まれる。このルーチンでは、先ずステップS21で、今回の計測気筒Xを判別し、ステップS22で、吸入空気量、冷却水温、アクセル開度に基づきマップを補間計算付で参照して設定した実吸入空気量とエンジン回転数とをパラメータとして点火時期マップの領域を決定する。
【0066】
次いで、ステップS23で、記憶回路30に記憶されている同一運転領域における当該計測気筒Xに対応する最大燃焼圧クランク位置APXmax、及びノッキング値IKxとを読込み、ステップS24で、上記ノッキング値IKxとノッキング判定値Kとを比較し、IKx>Kのノッキング検出のときはステップS25へ進み、上記点火時期マップの領域に格納されている点火進角度θIGを設定角θk分遅角補正した値で更新し、ステップS21へ戻る。
【0067】
又、上記ステップS24で、IKx≦Kのノッキング不検出のときはステップS26へ進み、上記最大燃焼圧クランク位置APXmaxから得られる実際の点火時期(点火クランク位置)が予め設定した最適点火クランク位置θAPより遅れているかを判定し、遅れているときはステップS27へ進み、上記点火時期マップの領域に格納されている点火進角度θIGを設定角θk分進角補正した値で更新し、ステップS21へ戻る。又、上記最大燃焼圧クランク位置APXmaxから得られる実際の点火時期が予め設定した最適点火クランク位置θAPに対して遅れていないときは、そのままステップS21へ戻る。
【0068】
その結果、上記点火時期マップの各領域に格納されている点火進角度θIGがエンジンの運転領域毎に更新され、全ての領域において最大トルクを得る最適点火進角度(MBT点火時期)が設定される。
【0069】
尚、上記点火時期マップに格納されている点火進角度θIGは、点火時期制御の際に、エンジン回転数と実吸入空気量とをパラメータとして読込まれ、エンジン運転領域毎に最適な点火時期が設定される。
【0070】
このように、本実施の形態では、ローパスフィルタ回路21により機械振動等によるノイズを除去したイオン電流値に基づいて最大燃焼圧力を計測するようにしたので、定常走行は勿論のこと加速走行などの過渡運転状態であっても該最大燃焼圧力示すクランク位置を高精度に検出することができ、常に、最適な点火時期を設定することができる。
【0071】
又、図8に本発明の第2実施の形態による最大燃焼圧クランク位置検出ルーチンを示す。尚、図2と同一のステップについては同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
本実施の形態では、最大燃焼圧クランク位置APXmaxを最大燃焼圧クランク位置マップの領域毎に格納し、この各領域に格納されている最大燃焼圧クランク位置APXmaxを加重平均処理することで順次更新する。
【0073】
先ず、ステップS1で点火対象気筒である計測気筒Xを判別し、ステップS31で、吸入空気量と冷却水温とアクセル開度とに基づきマップを補間計算付で参照して設定した実吸入空気量と、エンジン回転数とをパラメータとして点火時期マップの領域を決定する。
【0074】
次いで、ステップS2〜S8でイオン電流値Ixの2度目のピーク値を計測したときのクランク位置Axを算出し、ステップS32で、今回算出したクランク位置Axと前回算出した同一運転領域のクランク位置Ax(old)とに基づき、次式に示す加重平均処理により今回の最大燃焼圧クランク位置APXmaxを算出する。
APXmax←(α・Ax(old)+β・Ax)/(α+β)
ここで、α、βは加重平均の重みを設定する係数である。
【0075】
そして、ステップS33で、上式から算出された最大燃焼圧クランク位置APXmaxで上記最大燃焼圧クランク位置マップの上記ステップS31で決定した領域に格納されている最大燃焼圧クランク位置データを更新し、ステップS1へ戻る。
【0076】
このように、本実施の形態によれば最大燃焼圧クランク位置APXmaxを加重平均処理により算出するので、点火時期制御の際に上記最大燃焼圧クランク位置APXmaxを最大燃焼クランク位置マップから読込んでも、前回の点火時期と今回の点火時期とが急激に変化することがなく、点火時期を無理なく制御することができる。
【0077】
図9に本発明の第3実施の形態による最大燃焼圧クランク位置検出ルーチンを示す。尚、図8と同一のステップについては同一の符号を付して説明を省略する。上述した第2実施の形態では、最大燃焼圧クランク位置APXmaxを加重平均処理により求めているが、本実施の形態では上記最大燃焼圧クランク位置APXmaxを移動平均処理により求める。
【0078】
すなわち、図8に示すフローチャートと同様ステップS8でイオン電流値Ixの2度目のピーク値を計測してステップS36へ進むと、今回のイオン電流値Ixのピーク値を示すクランク位置Axと、同一運転領域のテーブルに格納されている前回までの所定数nのイオン電流値Ix(n)とに基づき次式に示す移動平均処理により、今回の最大燃焼圧クランク位置APXmaxを算出する。
【数1】
ここで、αは任意の係数である。
【0079】
そして、ステップS37で、上記テーブルに格納されている前回までのクランク位置データAx(0),Ax(1)…Ax(n-2),Ax(n-1)をひとつずつ繰り上げて格納すると共に、最新のクランク位置データAx(0)を今回算出したクランク位置Axで更新して、ステップS1へ戻る。
【0080】
又、図10に本発明の第4実施の形態による最大燃焼圧クランク位置検出ルーチンを示す。上述した第1実施の形態、及び第2実施の形態では最大燃焼圧クランク位置APXmaxを火花放電期間経過後の設定時間Δt毎に記憶したイオン電流値Ixの変化量ΔIxを最初のデータIx(0)から最後のデータIx(n)方向へ順に算出しているが、本実施の形態では、上記変化量ΔIxを最後のデータIx(n)から最初のデータIx(0)へ順に算出し、この変化量ΔIxが負の値から正の値へ変化したときをイオン電流値Ixのピーク値とし、そのときのクランク位置Axを最大燃焼クランク位置APXmaxとするものである。
【0081】
すなわち、ステップS1〜ステップS3で計測気筒XのBTDC97°CAから次の計測気筒XのBTDC97°CAの区間のイオン電流値Ixを設定時間Δt間隔で計測した後、ステップS41へ進むと、最新のイオン電流値データIIx(n)から最初のイオン電流値データIIx(0)の方向へ順に新しいデータ(new)と古いデータ(old)とを読出し、その差分からイオン電流変化量ΔIx(ΔIx←Ix(new)−Ix(old))を算出し、このイオン電流変化量ΔIxが、ΔIx<0からΔIx≧0へ変化したとき(図5(b)のt5)、ステップS9へ進み、そのときのクランク位置Axを、当該計測気筒Xの最大燃焼圧クランク位置APXmaxとして上記記憶回路30に記憶し(APXmax←Ax)、ステップS1へ戻る。
【0082】
このように、本実施の形態によれば記憶回路30に記憶されているイオン電流値Ixを最新のデータから最初のデータの方向へ読出して、変化量ΔIxを算出するようにしたので、イオン電流値Ixのピーク値を早期に検出することができ、制御回路23の演算負担が軽減される。
【0083】
又、図11、図12に本発明の第5の実施の形態を示す。上述した第1実施の形態では、イオン電流振動値IDxのサンプリング周期Δt当たりの平均値から算出したノッキング値IKxに基づいてノッキング発生の有無を判別しているが、本実施の形態では、上記ノッキング値IKxを加重平均処理して得られたノッキング頻度IKHxに基づいてノッキング発生の有無を判別するものである。
【0084】
図11に示すノッキング値設定ルーチンでは、ステップS11で計測気筒Xを判別した後、ステップS46へ進むと、吸入空気量と冷却水温とアクセル開度とに基づきマップを補間計算付で参照して設定した実吸入空気量と、エンジン回転数とをパラメータとしてノッキング頻度マップの領域を決定する。
【0085】
次いで、ステップS12〜S14で、当該計測気筒XのBTCD97°CAから次の計測気筒XのBTDC97°CA間での区間の設定時間Δt毎にイオン電流振動値IDxを計測し、ステップS15でこのイオン電流振動値IDxの変化の積算値からノッキング値IKxを算出した後、ステップS47へ進むと、今回算出したノッキング値IKxと前回算出した同一運転領域のノッキング値IKx(old)とに基づき、次式に示す加重平均処理により今回のノッキング頻度IKHxを算出する。
IKHx←(α・IKx(old)+β・IKx)/(α+β)
ここで、α、βは加重平均の重みを設定する係数である。
【0086】
そして、ステップS48で、上式から算出されたノッキング頻度IKHxで上記ノッキング頻度マップの上記ステップS46で決定した領域に格納されている最大燃焼圧クランク位置データを更新し、ステップS11へ戻る。
【0087】
上記ノッキング頻度IKHxは、図12に示す点火時期設定ルーチンにおいて読込まれる。すなわち、ステップS21で今回の計測気筒Xを判別し、ステップS22で実吸入空気量とエンジン回転数とをパラメータとして点火時期マップの領域を決定した後、ステップS51へ進む。
【0088】
ステップS51では、記憶回路30に記憶されている同一運転領域における当該計測気筒Xに対応する最大燃焼圧クランク位置APXmax、及びノッキング頻度IKHxとを読込み、ステップS52で上記ノッキング頻度IKHxとノッキング頻度判定値KHとを比較し、IKHx>KHのノッキング検出のときはステップS25へ進み、又、IKHx≦KHのノッキング不検出のときはステップS26へ進む。
【0089】
そして、ステップS25,S26で第1実施の形態と同様に点火進角度θIGを設定した後、ステップS21へ戻る。
【0093】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、火花放電期間後に検出するイオン電流波形をフィルタ回路を通して特定周波数成分を除去し、この除去したイオン電流値に基づいてノッキング発生時の振動波と相関のあるイオン電流振動値の変化量を算出し、該変化量に基づきノッキング値を設定するようにしたので、機械振動等によるノイズが除去されたイオン電流振動値に基づきノッキング値を正確に算出することができ、該ノッキング値に基づきノッキング発生の有無を高精度に判別することができる。
【0094】
請求項2記載の発明によれば、上記イオン電流振動値の変化量の積算値に基づきノッキング値を設定し、該ノッキング値に基づきノッキング発生の有無を判別するようにしたので、ノッキングの発生を高精度に検出することができると共に、ノッキング発生時は点火進角度を所定量遅角補正し、又、ノッキング非検出時は最大燃焼圧クランク位置を点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を進角補正した値で後進し点火時期が最大トルクを得る点火時期に近づくように補正したので、ノッキングを有効に回避しつつ、常にMBT制御を行うことができる。
【0095】
請求項3記載の発明によれば、イオン電流振動値の変化量の積算値を加重平均処理した値に基づきノッキング発生の有無を判別するようにしたので、イオン電流振動波形にノイズが一時的に重畳された場合であっても、ノッキングの発生を誤判定することなく、適正なノッキング制御を行うことができる。
【0096】
この場合、請求項2或いは3記載の発明では、請求項4或いは5に記載されているように、検出したクランク位置をエンジン運転領域毎に加重平均、或いは移動平均処理して最大燃焼圧クランク位置を算出することで、最大燃焼圧の一時的な変化に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態による燃焼制御装置の回路図
【図2】同、最大燃焼圧クランク位置検出ルーチンを示すフローチャート
【図3】同、ノッキング値設定ルーチンを示すフローチャート
【図4】同、点火時期設定ルーチンを示すフローチャート
【図5】同、ローパスフィルタ回路を通したイオン電流波形と電圧との関係を示す図表
【図6】同、ハイパスフィルタ回路を通したイオン電流波形と電圧との関係を示す図表
【図7】同、イオン電流検出区間を示すタイミングチャート
【図8】第2実施の形態による最大燃焼圧クランク位置検出ルーチンを示すフローチャート
【図9】第3実施の形態による最大燃焼圧クランク位置検出ルーチンを示すフローチャート
【図10】第4実施の形態による最大燃焼圧クランク位置検出ルーチンを示すフローチャート
【図11】第5実施の形態によるノッキング値設定ルーチンを示すフローチャート
【図12】同、点火時期設定ルーチンを示すフローチャート
【符号の説明】
1…点火プラグ
4…イオン電流検出回路
21,22…フィルタ回路
23…制御回路
30…記憶回路
APxmax…最大燃焼圧クランク位置
Ax…クランク位置
IDx…イオン電流振動値
IKx…ノッキング値
IKHx…ノッキング頻度
Ix…イオン電流値
t0〜t1…火花放電期間
Δt…周期
θAP…最適点火クランク位置
θIG…点火進角度
Claims (5)
- 点火プラグにイオン電流検出用電圧を印加し、燃焼反応によって生成されたイオンが上記点火プラグの両電極に移動するときに流れるイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、上記イオン電流検出回路で検出したイオン電流から特定周波数成分を除去するフィルタ回路とを備えるエンジンの燃焼制御装置において、
制御回路に、
上記点火プラグによる火花放電期間後の特定期間の上記フィルタ回路を通過したイオン電流波形に基づきイオン電流振動値を特定周期毎に検出すると共に記憶回路に格納する手段と、
上記記憶回路に格納されているイオン電流振動値を最後のデータから最初のデータ方向へ検索する手段と、
検索した上記データ間の変化量に基づきノッキング値を設定する手段と、
上記ノッキング値に基づいてノッキング発生の有無を判別する手段とを設けたことを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。 - 点火プラグにイオン電流検出用電圧を印加し、燃焼反応によって生成されたイオンが上記点火プラグの両電極に移動するときに流れるイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、上記イオン電流検出回路で検出したイオン電流から特定周波数成分を除去するフィルタ回路とを備えるエンジンの燃焼制御装置において、
制御回路に、
上記点火プラグによる火花放電期間後の特定期間の上記フィルタ回路を通過したイオン電流波形に基づきイオン電流値及びイオン電流振動値を特定周期毎に検出すると共に記憶回路に格納する手段と、
上記記憶回路に格納されている上記イオン電流値を検索する手段と、
検索した上記イオン電流値の中から該イオン電流値のピーク値を検出する手段と、
上記ピーク値に対応するクランク位置を算出する手段と、
上記クランク位置をエンジン運転領域毎に平均化処理して最大燃焼圧クランク位置を算出する手段と、
上記記憶回路に記憶した上記イオン電流振動値を最後のデータから最初のデータ方向へ検索する手段と、
検索した上記データ間の変化量の積算値からノッキング値を算出する手段と、
上記ノッキング値に基づきノッキング発生の有無を判別する手段と、
ノッキング発生時は点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を遅角補正した値で更新し、又ノッキング非検出時は上記最大燃焼圧クランク位置を上記点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を進角補正した値で更新し点火時期が最大トルクを得る点火時期に近づくように補正する手段とを設けたことを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。 - 点火プラグにイオン電流検出用電圧を印加し、燃焼反応によって生成されたイオンが上記点火プラグの両電極に移動するときに流れるイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、上記イオン電流検出回路で検出したイオン電流から特定周波数成分を除去するフィルタ回路とを備えるエンジンの燃焼制御装置において、
制御回路に、
上記点火プラグによる火花放電期間後の特定期間の上記フィルタ回路を通過したイオン電流波形に基づきイオン電流値及びイオン電流振動値を特定周期毎に検出すると共に記憶回路に格納する手段と、
上記記憶回路に記憶されている上記イオン電流値を検索する手段と、
検索した上記イオン電流値の中から該イオン電流値のピーク値を検出する手段と、
上記ピーク値に対応するクランク位置を算出する手段と、
上記クランク位置をエンジン運転領域毎に平均化処理して最大燃焼圧クランク位置を算出する手段と、
上記記憶回路に記憶した上記イオン電流振動値を最後のデータから最初のデータ方向へ検索する手段と、
検索した上記データ間の変化量の積算値からノッキング値を算出する手段と、
上記ノッキング値を加重平均処理してノッキング頻度を算出する手段と、
上記ノッキング頻度に基づきノッキングの発生の有無を検出する手段と、
ノッキング発生時は、点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を遅角補正した値で更新し、又ノッキング非検出時は上記最大燃焼圧クランク位置を上記点火時期マップの領域に格納されている点火進角度を進角補正した値で更新し点火時期が最大トルクを得る点火時期に近づくように補正する手段とを設けたことを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。 - 前記最大燃焼圧クランク位置を算出する際に実行される平均化処理が加重平均処理であることを特徴とする請求項2或いは3記載のエンジンの燃焼制御装置。
- 前記最大燃焼圧クランク位置を算出する際に実行される平均化処理が移動平均処理であることを特徴とする請求項2或いは3記載のエンジンの燃焼制御装置。
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