JP3897075B2 - シール剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光硬化および湿気硬化しうるシール剤組成物に関するものであり、特に光硬化での厚膜硬化性に優れ、しかも硬化物が低透湿性に優れた光硬化および湿気硬化しうるシール剤組成物に関する。特に本発明の組成物の硬化物は低透湿性であり湿気を嫌う電子部品などのシールに適するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりシール剤組成物として空気中の湿気で硬化するシリコーン樹脂はよく知られている。シリコーン樹脂は耐熱性、耐寒性に優れており汎用的なシール剤としては十分な性能を有しており、建築用、自動車機器用など広く使用されている。しかし、シリコーン樹脂は大気中の湿気で厚膜硬化することからわかるように、硬化物の透湿性は比較的高い。そのため、湿分により性能が低下したり破損してしまう電子部品を内部に収納する部品のケースなどをシールする場合には、シリコーン樹脂では不十分であった。
【0003】
上述した、シリコーン樹脂とよばれるものは珪素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素原子含有基(以下「加水分解性珪素基」という)を有するジアルキルシロキサン重合体であり、また分子主鎖をオキシアルキレン系重合体やイソブチレン系重合体を使用したものも既に知られている。これらは湿気によって常温で硬化し、ゴム状硬化物が得られるため、従来からよく使用されている。しかし、いずれも湿気による硬化は反応性が低く、硬化に時間を要するという問題がある。また、加水分解性珪素基を有するイソブチレン系重合体は加水分解性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体やジメチルシロキサン系重合体よりも低透湿性であるため湿気硬化性が非常に悪く、厚膜硬化性が悪いという問題がある。そのため、深部まで早く硬化させようとするには2液混合タイプにしなければならず使い勝手が悪くなる。低透湿性のゴム材料としてはイソブチレン系重合体が好ましいが上述のように湿気のみで硬化させるには硬化速度が極めて遅いなど問題が多々存在する。
【0004】
このような問題を解決するため、ポリイソブチレンに対する光硬化性能の付与はいくつか検討されている。特開平9−151366号の粘接着剤組成物ではポリイソブチレンなどのポリオレフィン重合体の末端に高エネルギー線照射により重合する官能基と加水分解性珪素基を有する液状樹脂が例示されているが合成が多工程になり、合成行程が非常に複雑で難しく反応時間も長時間を要するという問題点がある。しかも、この湿気硬化性は光硬化により被膜形成した後の接着強度を向上する目的である。
【0005】
また、特開平10−87726号ではアクリル官能性のポリイソブチレンの製造方法が提案されているがアクリル官能基を有するのみで湿気硬化性官能基は付与されていないため、光の当たらない陰影部が硬化しない。また、末端シラノールのポリイソブチレンを合成した後に光反応基を付加しているため、製造工程が多段で反応時間も長時間を要するという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
基本的にポリシロキサンやポリアルキレンなどは加水分解性珪素基とアクリル基などの光硬化性基の両方の反応基を有することにより光硬化性と湿気硬化性のデュアル硬化が達成することができることはすでに公知である。ポリイソブチレンを主鎖にもつデュアル硬化組成物も上記方法により容易に達成できることが予想されるが、上記の方法で製造した紫外線硬化性基を付加した湿気硬化性イソブチレンは硬化物の透湿性高く、湿分により性能が低下したり破損してしまう電子部品を内部に収納する部材などのシール剤としては不十分であった。特に、光照射により硬化した部分の透湿性はさらに高くなり光硬化による迅速な硬化方法をしたものは湿分からのシールには適さないものであった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、上記のような従来の硬化性樹脂組成物の有する問題を解消し、常温で光照射により速やかに硬化し、しかも陰影部などで光が未照射の部分は空気中の湿気で硬化して、さらに、光照射で半硬化した部分もさらに湿気で架橋する光硬化および湿気硬化しうる樹脂組成物を提供することにある。
すなわち本発明は、(a)分子鎖中に(メタ)アクリル基と加水分解性珪素基を有するポリイソブチレンと(b)光開始剤および(c)湿気硬化触媒からなる光硬化および湿気硬化しうるシール剤組成物において、前記(a)は2個以上の加水分解性基と結合した珪素基を分子鎖中に有するポリイソブチレンと水酸基含有(メタ)アクリレートとの置換反応により得られたものであることを特徴とする光硬化および湿気硬化するシール剤組成物である。
【0008】
本発明において、(a)である分子末端に(メタ)アクリル基と加水分解性珪素基を有するポリイソブチレンは2個以上の加水分解性基と結合した珪素基を分子鎖中に有するポリイソブチレンと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応により得ることができる。この反応は加水分解珪素基と水酸基が置換反応により結合する。置換反応は無触媒かエステル交換触媒や湿気硬化触媒を用いて室温から150℃で加熱反応させて得られる。加水分解性珪素基1個に対して1個の水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させるのが好ましい。ここで、本発明のいう(メタ)アクリル基とはアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を表している。
【0009】
(a)の合成に使用される両末端に加水分解性珪素基を有する液状樹脂は主鎖がポリイソブチレンである。主鎖であるポリイソブチレンはそれらにおいて少なくとも50モル%、好ましくは80モル%の反復単位が次の式のイソブチレン単位である。低透湿性能を目的とするには前記(a)成分の数平均分子量が1000〜20000であることが好ましい。
【0010】
【化1】
−(CH2−C(CH3)2)−
【0011】
いずれかの線状または枝分れポリマーまたはそのコポリマーである。一種または数種の炭化水素モノマー、例えばスチレンまたはブチレンの異性体およびスチレンの誘導体、イソプレンおよびブタジエン、がイソブチレンと共重合される。特に好ましいコモノマーは1−ブテン、α−メチルスチレン、またはイソプレンより選択される。最も好ましくは、該ポリマーは実質的にイソブチレン単位からなるホモポリマーである。
【0012】
加水分解性珪素基は加水分解性基と結合した珪素基のことであり、加水分解性基としては特に限定されず、従来公知のものが使用することができる。具体的には、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基、等が挙げられる。これらのうちでアルコキシ基が特に好ましい。珪素基に結合した加水分解性基は湿気硬化性の反応基となりうる。
【0013】
加水分解性基は1個の珪素原子に2個以上、すなわち2個または3個結合することができる。加水分解性基が珪素基に1個しか結合していないと(メタ)アクリル基を付加させることにより湿気硬化性の反応基が存在しなくなってしまう。好ましくは珪素基に結合される加水分解性基は3個である。すなわちイソブチレンの分子中にトリアルコキシシランを有しているものが好ましい例である。
【0014】
加水分解性珪素基はポリイソブチレン分子中に少なくとも1個有していれば良いが、好ましくは1分子中に2個以上有しているほうがよい。加水分解性珪素基はポリイソブチレン分子鎖の末端に存在してもよく、中間部に存在してもよく、或いは両方に存在してもよい。特に加水分解性珪素基が分子鎖両末端に存在する場合には、最終的に形成される硬化物に含まれるポリイソブチレン成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度で高伸張性のゴム状硬化物が得られ易くなる等の点から好ましい。
【0015】
上記ポリイソブチレンへの加水分解性珪素基の導入は、公知の方法で行えばよく、例えば末端または主鎖中に水酸基や酸無水物基等の官能基を有する飽和炭化水素系重合体に、上記官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、次いで得られた反応生成物に加水分解基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化すればよい。また、上記加水分解性珪素基を有するポリイソブチレンは、イニファー法と呼ばれる重合法で得られた末端官能型、好ましくは全末端官能型ポリイソブチレンを製造することができる。このような製造法は、例えば特開昭63−6041号公報、同63−6003号公報、特開平9−286895号に記載されている。
【0016】
上記加水分解性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体の数平均分子量は、500〜50000程度であるのが好ましく、1000〜20000程度が特に好ましい。本発明では、かかる飽和炭化水素系重合体を、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。このような加水分解性珪素基を有する液状樹脂は合成が非常に簡便であるが、鐘淵化学工業社製の「エピオン」など市場での完成品の入手も容易である。
【0017】
(a)の合成で使用される水酸基含有(メタ)アクリレートは分子内に1個以上(メタ)アクリル基と水酸基を有するものである。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルジメタクリレート、ジエチレングリコールビス(ヒドロキシプロピルアクリレート)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート等が挙げられる。
【0018】
なお水酸基含有(メタ)アクリレートの添加量は系を光感応化するだけでよいので、オリゴマー一分子中に一個以上の水酸基含有(メタ)アクリレートがこの組成物に存在すればよい。オリゴマーの総重量を基準にして0.01〜30重量%の範囲とすればよいが、一般には5〜20重量%の範囲とすることが好ましい。
【0019】
本発明で使用される(B)光硬化触媒としては、アセトフェノン,プロピオフェノン,ベンゾフェノン,キサントール,フルオレイン,ベンズアルデヒド,アンスラキノン,カンファーキノン、2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、トリフェニルアミン,カルバゾール,3−メチルアセトフェノン,4−メチルアセトフェノン,3−ペンチルアセトフェノン,4−メトキシアセトフェノン,3−ブロモアセトフェノン,p−ジアセチルベンゼン,3−メトキシベンゾフェノン,4−アリルアセトフェノン,4−メチルベンゾフェノン,4−クロロ−4・−ベンジルベンゾフェノン,3−クロロキサントーン,3,9−ジクロロキサントーン,3−クロロ−8−ノニルキサントーン,ベンゾイル,ベンゾインメチルエーテル,ベンゾインブチルエーテル,ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン,ベンジルメトキシケタール,2−クロロチオキサトーンなどがあげられる。なお光重合触媒の添加量は系を僅かに光感応化するだけでよいのでこの組成物に存在するオリゴマーの総重量を基準にして0.01〜10重量%の範囲とすればよいが、一般には0.1〜5重量%の範囲とすることが好ましい。
【0020】
本発明のシール剤組成物に加える(c)成分の湿気硬化触媒は、それぞれ公知のものを用いることができる。湿気硬化触媒としては、鉛−2−エチルオクトエート、ジブチルすずジアセテート、ジブチルすずジラウレート、ジブチル錫ビスアセチルアセトネート、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ビス(トリメトキシシリル)、ブチルすずトリ−2−エチルヘキソエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、亜鉛−2−エチルヘキソエート、カプリル酸第1すず、ナフテン酸すず、オレイン酸すず、ブチル酸すず、ナフテン酸すず、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛などの有機酸カルボン酸の金属鉛、テトラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、テトラ(イソプロペニルオキシ)チタネート、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトン)チタンなどの有機チタン酸エステル、オルガノシロキシチタン、β−カルボニルチタンなどの有機チタン化合物、アルコキシアルミニウム化合物、ベンジルトリエチルアンモニウムアセテートなどの第4級アンモニウム塩、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、しゅう酸リチウムなどのアルカリ金属の低級脂肪酸、ジメチルヒドロキシアミン、ジエチルヒドロキシアミンなどのジアルキルヒドロキシルアミンなどがあげられる。
【0021】
この湿気硬化触媒の使用量は、オリゴマー総重量に対して0.01〜10重量部、特に0.1〜5重量部が好ましい。添加量が少なすぎると本組成物の硬化が遅くなり、多すぎると硬化が速すぎたり、保存安定性が悪くなるためである。
【0022】
本発明のシール剤組成物は基本的には上記成分からなるが、さらに必要に応じて、硬化前の流れ特性を改善し、硬化後のゴム状弾性体に必要な機械的性質を付与するために、微粉末状の無機質充填剤を添加することもできる.無機質充填剤としてはヒュームドシリカ、石英微粉末、炭酸カルシウム、煙霧質二酸化チタン、けいそう土、水酸化アルミニウム、微粒子状アルミナ、マグネシア、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、およびこれらをシラン類、シラザン類、低重合度シロキサン類、有機化合物などを表面処理したものなどが例示される。
【0023】
さらに、本発明のシール剤組成物には有機溶剤、防黴剤、難燃剤、可塑剤、チクソ性付与剤、接着付与剤、硬化促進剤、顔料などを添加することができる。可塑剤としては、ポリブテン、水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、パラフィン油、ナフテン油等の炭化水素系化合物類、塩素化パラフィン類、ジブチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート等のフタル酸エステル類、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族二塩基酸エステル類、ポリアルキレングリコールのエステル類、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル類等が挙げられる。
【0024】
また、ラジカル重合開始剤として光開始剤だけでなく、熱重合開始剤やレゾックス重合開始剤なども併用して、熱重合、レゾックス重合などを付与することもできる。そして、さらに粘度調整のために、加水分解性希釈剤などを添加しても良い。加水分解性希釈剤としては、不飽和(ビニル二重結合)基を含有する化合物や加水分解可能な基を含有する化合物等があり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類、3−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルプロピルジメトキシメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン等を添加してもよい。
【0025】
本発明の組成物は透湿性が極めて低いため水分や空気中の湿度により性能が低下したり、破損してしまうような電子部品などの湿気を嫌う箇所のシール剤に適するものである。具体的には車載用屋外用電子機器、電気機器、制御板の筐体や基板などである。
【0026】
本願のシール剤組成物はハウジング容器などの本体と蓋部のシール剤、電子基板の全面コーティング、容器内に部品を埋め込むポッティングなど湿分を遮断するシール剤として使用するものである。
【0027】
本発明は分子鎖中に加水分解性珪素基を有するポリイソブチレンに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させることにより、硬化物の透湿性が極めて低いシール剤を得ることが可能となる。特に、光照射による硬化、湿気による硬化、および光照射後に湿気硬化したものがすべて低透湿性のシール剤となることができる。一方、水酸基などの活性水素を有するポリイソブチレンにメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを反応させることにより加水分解性珪素基と(メタ)アクリル基とを有するポリイソブチレンを得ることができるがこの組成物の硬化物は透湿性が高く、湿分により性能が低下したり破損してしまう電子部品を内部に収納する部品のケースなどをシールする場合には使用することができない。特に、光照射により硬化した部分は透湿性がより高かった。
【0028】
【発明の実施の形態】
実施例1
主鎖が平均分子量10000であり分子量末端にメチルジアルコキシシランが付加されたポリイソブチレンである、エピオン303S(鐘淵化学工業製)を400g、テトラメチロールメタントリアクリレートであるNKエステルA−TMM−3(新中村化学工業製)を60g、可塑剤としてオレフィン系飽和炭化水素PS−32(出光興産社製)200g、光開始剤として2,2−ジエトキシアセトフェノン4g、湿気硬化触媒としてジブチル錫ジメトキシド4gを減圧状態でで混合して、80℃で6時間攪拌して光硬化および湿気硬化しうる樹脂組成物が得られた。
【0029】
実施例2
主鎖が平均分子量20000であり分子量末端にメチルジアルコキシシランが付加されたポリイソブチレンである、エピオン505S(鐘淵化学工業製)を400g、NKエステルA−TMM−3(新中村化学工業製)を13g、可塑剤としてオレフィン系飽和炭化水素PS−32(出光興産社製)150g、光開始剤として2,2−ジエトキシアセトフェノン4g、湿気硬化触媒としてジブチル錫ジメトキシド4gを減圧状態で混合して、80℃で6時間攪拌して光硬化および湿気硬化しうる樹脂組成物が得られた。
【0030】
実施例3
主鎖が平均分子量5000であり分子量末端にメチルジアルコキシシランが付加されたポリイソブチレンである、エピオン103S(鐘淵化学工業製)を400g、NKエステル701A(新中村化学工業製)を40g、可塑剤としてオレフィン系飽和炭化水素PS−32(出光興産社製)100g、光開始剤として2,2−ジエトキシアセトフェノン4g、湿気硬化触媒としてジブチル錫ジメトキシド4gを減圧状態で混合して、80℃で6時間攪拌して光硬化および湿気硬化しうる樹脂組成物が得られた。
【0031】
比較例1
主鎖が平均分子量10000の両末端に水酸基を有しているポリイソブチレン50gにメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン2.62gおよび湿気硬化触媒として0.21gのテトライソプロピルオルトチタネートを丸底フラスコに入れ、圧力を10mmHg温度を80℃に保ち、回転式蒸発器を用いて、6時間反応させた。さらにこの中に光開始剤として2,2−ジエトキシアセトフェノンを0.34g、ジブチル錫ジメトキシド0.2gを添加、撹拌して光硬化および湿気硬化しうると予想される樹脂組成物が得られた。
【0032】
比較例2
実施例1の水酸基含有アクリレートを除く以外は、実施例1と同様に行った。
【0033】
硬化実験
これら実施例1、2、3と比較例1、2で得られた樹脂組成物を製造直後、2mm×100mm×150mmの容量に満たし、4kW高圧水銀灯で150mW/cm2×20秒照射したところ液状物が非流動性になった。さらに紫外線硬化物を湿気硬化させるため、温度25℃、湿度50%の雰囲気下に7日間放置した。
【0034】
これらの硬化物の硬度(ショアー硬度A、アスカー硬度C)、引張強度、伸び率を測定した。引張強度、伸び率は硬化物をJIS−K−6301の準拠した3号ゴムダンベル型に打ち抜き切断しておこなった。
【0035】
さらに、実施例1、2、3と比較例1、2で得られた樹脂組成物を前述と同じ容器に満たし、紫外線は未照射のまま湿気にさらした。湿気硬化物は温度40℃、湿度95%の雰囲気下に7日間放置した。同様に硬度(ショアー硬度A、アスカー硬度C)、引張強度、伸び率を測定した。
【0036】
また、紫外線硬化および湿気硬化させたときの硬化物の硬化厚みを測定した。紫外線照射条件は4kW高圧水銀灯で150mW/cm2×20秒照射し、湿気硬化は温度25℃、湿度50%の雰囲気下に3日間放置後測定した。この結果を表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
比較例3
末端に加水分解性珪素基を有するポリエーテルであるサイリルSAT030(鐘淵化学工業社製、粘度4500mPa・s)800g、
トリクレシルホスフェート
800g
グリセロールアクリレートメタクリレート
40g
光開始剤として2,2−ジエトキシアセトフェノン8g、加水分解触媒としてジブチル錫ジメトキシド8gを窒素雰囲気下で混合して、80℃で6時間攪拌して光硬化および湿気硬化しうる樹脂組成物が得られた。
【0039】
比較例4
両末端メチルジメトキシシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘度300mPa・s)400g、NKエステルA−TMM−3(新中村化学工業製)40g、2,2−ジエトキシアセトフェノン4g、ジブチル錫ビスアセチルアセトネート4g、上記を窒素雰囲気下で混合して、80℃で6時間攪拌して光硬化および湿気硬化しうる樹脂組成物が得られた。
【0040】
また、実施例1、2、3と比較例1、2、3、4で調整したシール剤組成物を紫外線と湿気硬化させた硬化物の透湿度試験をJIS Z−0208(1976)に準じて行った。厚み1.6mmの硬化物を用いて、60℃×95%RHで24時間、48時間、72時間後の透湿度を試験した。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】
本発明は、光硬化および湿気硬化しうる樹脂組成物に関するものであり、特に光硬化での厚膜硬化性に優れ、しかも光照射による硬化物、湿気による硬化物、および光照射後に湿気硬化した硬化物のがすべて低透湿性のシール剤となることができる。よって、湿分により性能が低下したり破損してしまう電子部品などを内部に収納する場合などのシール剤として有用である。
Claims (3)
- (a)分子鎖中に(メタ)アクリル基と加水分解性珪素基を有するポリイソブチレンと(b)光開始剤および(c)湿気硬化触媒からなる光硬化および湿気硬化しうるシール剤組成物において、前記(a)は2個以上の加水分解性基と結合した珪素基を分子鎖中に有するポリイソブチレンと水酸基含有(メタ)アクリレートとの置換反応により得られたものであることを特徴とする光硬化および湿気硬化するシール剤組成物。
- 前記シール剤組成物の各配合物の添加量が2個以上の加水分解性基と結合した珪素基を分子鎖中に有するポリイソブチレン100重量部、水酸基含有(メタ)アクリレート 0.1〜20重量部、(b)光硬化触媒 0.1〜10重量部、(c)湿気硬化触媒 0.01〜10重量部である請求項1に記載の光硬化および湿気硬化するシール剤組成物。
- 前記シール剤が湿分により性能が低下したり破損してしまう部品をシールするものであることを特徴とする請求項1または2記載の光硬化および湿気硬化するシール剤組成物。
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