JP3896665B2 - 脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法 - Google Patents

脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脊椎動物やこれを模倣したロボットの力学的構造に関する数値モデルを計算機上で構築する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人間を含む動物の構造や動きについて計算機上での数値モデルを作成することによって、人間や動物の運動をコンピュータ上で画像表示したり、あるいは、実際の人物の動画像に基づいて3Dゲーム等における登場人物を描画する等の用途、又は人間や動物の構造を模倣したロボット(例えば、2足歩行型ロボット等。)の駆動制御、あるいは運動神経疾患に対して義肢の駆動制御を行うといった医療分野での用途に上記数値モデルを利用することが有益である。
【0003】
そして、数値モデルの作成にあたっては、対象の骨格構造を含む力学的構造に関する多量のデータを入力する必要があり、例えば、X線CTスキャナ等によって対象の断層写真を撮影してその解析結果に基づいて骨の形状や大きさ等に関する数値をコンピュータに対して逐一に入力する方法が考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した方法にあっては、大掛かりな装置が必要であること、また、数値モデルを作成するために必要なデータが膨大であるため、その完成までに長い時間と労力を要するといった問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、人間や動物あるいはこれらを模倣したロボットの力学的構造に関する数値モデルを効率良く構築することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した課題を解決するために、対象について体型の分類を行うとともに、分類された各基準体型について全ての骨の形状、長さや重量を含む骨格データを用意した後、対象に関する体長、体重、外形形状のデータを入力し、これらの入力データから対象の体型形を特定するとともに、各基準体型の骨格データに基づいて補間計算を行い、対象に係る骨格データの換算比率を算出し、該換算比率及び事前に入力した対象の体長や重量に基づいて対象の各骨の長さや重量を決定して骨格の数値モデルを作成するようにしたものである。
【0007】
従って、本発明によれば、対象の体長、体重、外形形状のデータに基づく比率の計算によって対象に係る数値モデルを作成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットの力学的構造に関する数値モデルの作成方法に関し、「脊椎動物」には人間も含まれ、骨格構造を有することが前提となる。
【0009】
例えば、数値モデルには、下記のモデルが含まれる。
【0010】
(i)骨格モデル
(ii)筋肉モデル
(iii)神経(運動神経や感覚神経等。)モデル
(iv)皮膚モデル
(v)脂肪や内臓のモデル
尚、(iii)の神経モデルには高度な情報処理を行う脳神経は含まれず、対象の力学的構造や運動に直接的な関係を有する神経が含まれる。また、(v)の脂肪や内臓のモデルについては、機能に係る具体的な構造ではなくその重量及び位置が身体のバランスや重心運動に与える影響だけに関心が置かれる。
【0011】
脊椎動物を模倣したロボットについては、その構成物を上記(i)乃至(v)に対応した人工物に置換すれば良く、(i)については人工骨格としてのフレーム構造のモデル、(ii)については人工筋肉としてのアクチュエータ等に関するモデル、(iii)については電気配線や油圧、空圧配管の配置や駆動信号、センサー及びその検出信号に関するモデル、(iv)についてはロボットの表皮となる部材に関するモデル、(v)についてはウェイトやバランサーの配置や振動等に関するモデル等がそれぞれ対応する。
【0012】
従って、動物の身体的構造とこれを模倣したロボットの構成との間には並行的な対応関係があり、また、数値モデルの対象を特定の動物に限定して説明を行っても議論の普遍性を損なう虞はないので、以下では最も身近な人体を例にして説明を行うことにする。
【0013】
数値モデルのうち最も簡単なものは、上記(i)の骨格モデルだけを含むものであり、下記の手順によって作成することができる。
【0014】
(1)体型の分類を行うとともに、分類された各基準体型について全ての骨の形状、長さや重量を含む骨格データを用意する
(2)対象者に関する身長、体重、外形形状のデータを入力する
(3)(2)の入力データから対象者の体型を特定し、各基準体型の骨格データに基づいて補間計算を行い、対象者に係る骨格データの換算比率を算出する
(4)(3)の換算比率及び対象者の身長や重量に基づいて対象者の各骨の長さや重量を決定して骨格の数値モデルを作成する。
【0015】
先ず、(1)では人体の基準体型を、例えば、図1に示すように、痩せ型、闘士型、肥満型に分類する。即ち、痩せ型(asthenicus。以下、「as」と略記する。)は肉細の体型、闘士型(atheticus。以下、「at」と略記する。)は胸胴部が逆3角形をした体型、肥満型(piknicus。以下、「pi」と略記する。)は腹部等の肥大した体型である。
【0016】
そして、各体型を代表する人体をそれぞれ一人ずつ選び出して、各々の対象者について、骨格データ(骨の形状、長さ、重量を含む。)を取得するか、あるいは人体教本等による既存のデータを利用する。即ち、痩せ型、闘士型、肥満型をそれぞれ代表する各人体について骨格に関する全ての情報を調べてこれらをデータベース化することにより数値モデル(以下、「基準体型モデル」という。)を作成する。尚、その際、性別の違いによって基準体型への影響が認められる場合には、これを考慮してモデル作成を行うことが好ましい。そのためには、性別毎に異なる基準体型モデルを用意する方法や、両性のうちの一方の性について各体型の基準体型モデルを用意しておき、他方の性については当該基準体型モデルに対する換算比率を示すデータから各体型の基準体型モデルを導出する方法が挙げられる。また、各骨の形状については3次元モデルのデータ(例えば、ポリゴンデータ等)としてコンピュータ上の画像表示(立体的表示等)に適した形式を用いることが好ましい。
【0017】
取得した骨格データについては、各骨の長さや重量の値自体の他、身長や体重に占める割合(比率)のデータを求めておき、後述するようにこれらの比率データに基づいて対象者に係る比率データを算出する際に使用する。
【0018】
また、各体型を代表する人体の身長が異なるのではデータの比較作業が面倒であるので、基準身長を設定して各データを当該身長に換算したときのデータを用意しておくことが好ましい。
【0019】
図2に示すモデルMにおいて、「HEIGHT_ref」は基準体型モデルの身長(基準身長)を示しており、変数「HEIGHT_xx_XX」は立位姿勢における人体各部の鉛直方向の長さを示している(「xx」が人体の部位を示し、「XX」が基準体型形を示す。)。例えば、「HEIGHT_arm_u_as」は、痩せ型の基準体型モデルにおける上腕の長さを示し、「HEIGHT_chest_at」は、闘士型の基準体型モデルにおける胸部の長さを示している。
【0020】
この場合の「HEIGHT」は骨格及び筋肉を含む人体各部の長さを示しているが、「HEIGHT」を鉛直方向若しくは長手方向における骨の長さとすれば、「HEIGHT_xx_XX」を基準身長「HEIGHT_ref」で割った比率(以下、「_hr_xx_XX」と記す。)から骨の長さ比率を計算することができる。
【0021】
また、上記「HEIGHT」を、人体の部位や各骨の重量を示す「WEIGHT」に置き換えた変数「WEIGHT_xx_XX」を、体重「WEIGHT_ref_XX」で割ることによって同様に重量の比率(以下、「_mr_xx_XX」と記す。)を求めることができる。
【0022】
図3は上記した体型形の概念を2次元座標平面(X−Y平面)上にグラフ化して示すものであり、原点Oを起点とする3軸「Ax_XX」(XX=as、at、pi)が互いに120°の角度間隔をもつように設定されている。
【0023】
そして、原点Oを中心とする円cirと各軸Ax_XXとの交点P_XXが各基準体型モデルの占める位置を示している。つまり、点「P_as」が痩せ型のモデルについてのX−Y平面上の位置を示し、点「P_at」が闘士型のモデルについてのX−Y平面上の位置を示し、点「P_pi」が肥満型のモデルについてのX−Y平面上の位置を示している。
【0024】
例えば、対象者が痩せ型と闘士型の丁度中間に位置する体型を有している場合には、原点Oを通り2軸Ax_as(図ではYの正軸に一致する軸)及びAx_atに対してそれぞれ60°の角度をなして延びる軸Bx上の点(例えば、軸Bxと円cirの交点Q等)が対象者の体型を示している。
【0025】
尚、X−Y平面に対してr軸及びθ軸からなる極座標系を設定したときの各軸の意味については後で詳述する。
【0026】
図4は図3のX−Y平面に対して直交軸(Z軸)を付与した空間(以下、「体型形座標空間」という。)を示している。
【0027】
例えば、Z軸として上記した長さの比率「_hr_xx_XX」をとった場合には、上記した各点P_XXに対して「_hr_xx_XX」の値を示す点「H_xx_XX」がそれぞれ対応する。
【0028】
例えば、xxの示す部位を上腕骨(humerus)とし、XXの示す体型を痩せ型(as)とすると、点「H_humerus_as」の示す値(つまり、当該点からX−Y平面に垂ろした垂線の足の高さ(Z値))は、痩せ型の基準体型モデルにおいて上腕骨の長さの基準長(身長)に対する比率を示す。
【0029】
3点P_XX(XX=as、at、pi)のそれぞれに対する点「H_xx_XX」が決まると、これらの点を通る一つの平面(πh_xx)を決めることができる。即ち、3点「H_xx_XX」のうちの任意の2点を選び出することによって両点を結ぶベクトルを2つ作ることができる(例えば、点「H_xx_pi」から点「H_xx_as」へ向かうベクトルと、点「H_xx_pi」から点「H_xx_at」へ向かうベクトル等。)ので、両ベクトルに直交する方向の法線ベクトルをベクトルn(a,b,c)(但し、a、b、cはそれぞれX、Y、Z軸方向の成分を示す。)とするとき、上記平面πh_xxは数式「a・X+b・Y+c・Z=d」(但し、dは定数。)で表すことができる。従って、例えば、X−Y平面上における点Pt(xt、yt)が決まれば、X=xt、Y=ytを上式に代入することによってZ値を求めることができる。
【0030】
尚、平面πh_xxは、xxに示す部位毎に多数存在し、その意味でZ軸は多変数をまとめて1軸として示す変数軸であるとみなすことができる。
【0031】
図5は、重量の比率「_mr_xx_XX」をさらに体型形座標空間のZ軸に追加したときの状況を示しており、各点P_XXに対して「_mr_xx_XX」の値を示す点「M_xx_XX」がそれぞれ対応する。
【0032】
例えば、xxの示す部位を上腕骨(humerus)とし、XXの示す体型を痩せ型(as)とすると、点「M_humerus_as」の示す値(つまり、当該点からX−Y平面に垂ろした垂線の足の高さ(Z値))は、痩せ型の基準体型モデルにおいて上腕骨が重量の体重に占める比率を示している。
【0033】
そして、3点P_XXのそれぞれに対する各点「M_xx_XX」が決まると、これらの点を通る一つの平面(πm_xx)を決めることができる(当該面の法線ベクトルをベクトルnn(aa,bb,cc)とするとき、数式「aa・X+bb・Y+cc・Z=dd」(但し、ddは定数)で表される。)ので、例えば、X−Y平面上における点Pt(xt、yt)が決まれば、X=xt、Y=ytを上式に代入することによってZ値を求めることができる。
【0034】
尚、図4や図5においては基準体型モデルが3つしかないため、一般には体型形座標空間内で関数式「Z=Fn(X,Y)」(但し、nは、上記_hr_xxや、_mr_xx等を示す。)で表される曲面が平面とされたが、基準体型モデルの数を増やしたり、あるいは、多数の対象者に係るデータ(体型形や比率等)の蓄積結果を利用して補間処理(例えば、ベヂエ(Bezier)、スプライン補間等。)を行うことで関数式(曲面表現式)について精度の向上を図ることができることは勿論である。
【0035】
また、上記した基準体型モデルの決定にあたっては、各体型に属する複数の人体を選出したり、あるいはデータの平均化処理等を行う方法もあるが、以下では説明の簡単化及び理解度を優先させるために、各基準体型を代表する人体がそれぞれ1体であるとし、また、性別については両性のうちの一方に固定し、かつ年齢の影響を無視した上で説明を行うことにする。
【0036】
次工程(2)では、対象者に関する基本データとして、身長、体重、外形形状のデータを入力する。
【0037】
入力方法としては、手動で入力する方法や、対象者の画像データ等から入力値を取得する方法がある。
【0038】
例えば、身長、体重については、対象者の知識により値が既知である場合にキーボード等の入力手段を用いて数値を直接入力する方法や、身長、体重計によって計測した値を自動的に入力する方法がある。
【0039】
また、形状については、対象者の画像データや3次元データを取得して人体の各部位の形状を認識することで、形状データの自動入力を行う方法が挙げれる(尚、画像データや3次元データの取得方法については後述する。)。
【0040】
図6は立位姿勢の対象者について取得した画像データGを概略的に示すものであり、左側に示す図において「HEIGHT_tgt」が対象者の身長を示している。また、その右側の図は、対象者の画像データを上記基準身長に縮小(あるいは伸張)したもの、つまり、画像データGについて全ての構成部分の長さに「HEIGHT_ref/HEIGHT_tgt」の比率を掛けることによって得られる画像G′を示している。尚、この比率「HEIGHT_ref/HEIGHT_tgt」については後の工程で必要となるのでメモリ等に記憶しておく必要がある。
【0041】
図7乃至図9は、立位姿勢の対象者について取得した3次元データ(外形形状データ及び表面状態のデータ)に基づいて高さ方向に沿って所定の間隔dsでスライス処理を行った断層面のサンプリング例を示している。
【0042】
頭頂に近い方から足先にかけて付与された識別番号i(i=1、2、・・・)を有する各断層面での面積素片ΔS_i(i=1、2、・・・)については、その形状と断面積だけが意味をもっており、面積素片ΔS_iに関する内部構造を示すデータは存在しない。何故なら、対象者の3次元データは、対象者の外形に係る形状データと外表面の状態に係るデータ(画像データ等)によって構成されることが必要十分条件とされ、体の内部構造は不要とされるからである。
【0043】
従って、対象者の3次元データから抽出される情報は各面積素片ΔS_iがどのような形状をしているか及び断面積の大小である。尚、本例ではスライス処理から面積素片を得たが、その代わりに面積素片にスライス方向の間隔dsを掛けることで得られる体積素片(この場合には断面積の代わりに体積を使用する。)を用いても良い。
【0044】
また、スライスの間隔dsについてはこれを均等に設定しても良いが、体の形状を特徴的に示す特定の部分(腹部や胸部等)についてスライスの間隔を小さくして当該部分に関してより詳細なサンプリングを行うようにしても良い。
【0045】
以上の方法により、対象者の3次元データを取得し、当該データから対象の断層面における形状及び断面積若しくは断層面間の体積についてのデータを取得することで対象者の体の形状に係るデータを効率良く取得することができ、データの入力作業を容易に行うことができる。
【0046】
次工程(3)では、先ず、対象者の体型を特定する処理を行う。
【0047】
例えば、上記(2)で得た各面積素片ΔS_iの形状を示すデータ(例えば、断面形状を楕円で近似したときの離心率等、形状の変形率を示すデータ)を「t_i」(i=1、2、・・・)とし、面積素片ΔS_iの面積を「s_i」(i=1、2、・・・)としたとき、図10に示すように、X−Y平面に設定した極座標(r,θ)において点PT_i(s_i,t_i)をプロットする。つまり、X−Y平面において原点Oを中心とする円の半径が断面積を示し、θ方向が面積素片の形状を表すことになる。
【0048】
図11は図10をZ軸方向から見たときのX−Y平面図を示しており、各面積素片ΔS_iについて点PT_i(s_i,t_i)(i=1、2、・・・)が対応している。
【0049】
点PT_iの位置を全てX−Y平面上にプロットした後は、各点PT_iを頂点とする多角形(凸角形や凹角形を含む。)の重心(これを点Gと記す。)を求める。例えば、図示するように、点PT_i,点PT_(i+1)、点PT_(i+2)(但し、i=1、2、・・・、n−2であり、nは自然数である。)を頂点とする3角形の重心をそれぞれ「Gi」としたとき、点Giの合成重心が上記重心Gである。つまり、原点Oを基準とする点Giの位置ベクトルをベクトル「V_Gi」とし、点Gの位置ベクトルをベクトル「V_G」とするとき、ベクトル「Σ(V_Gi−V_G)=0」(但し、「Σ」はiについての総和を示す。)を満たす点Gの座標を計算することによって重心位置が決定される。
【0050】
尚、図11では各点PT_iがX−Y平面上の同一象限に位置しているとしたが、場合によっては、同図に点PT′や点PT′′で示すように点PT_iとは別の象限に位置していたり、あるいは多数の点がまとまって位置している領域から離れたところに孤立して存在する場合(例えば、大半の点がas軸とat軸とで囲まれた扇形領域に属しているのに、一部の点がas軸とpi軸とで囲まれた扇形領域に属している場合等。)があるが、これらの点については無視するか、あるいは、例外として取り扱うことが好ましい。
【0051】
また、上記したサンプリングの結果得られる面積素片(若しくは体積素片)については、必ずしもこれらを全て利用する必要はなく、体型を特徴的に示す特定の部分(腹部や胸部等)に係るサンプリング結果だけを選出することで処理の高速化を図るようにしても良いことは勿論である。
【0052】
以上のように、体型形についてのデータを示す座標平面(X−Y平面)上に極座標(r,θ)を設定した後、対象者の断層面における形状データ(t_i)から極角θが規定され、かつ、当該断層面における断面積のデータ(s_i)若しくは断層面間の体積データ(体積素片の体積データ)から極半径(r)が規定される点(PT_i)を座標平面(X−Y平面)上に配置して、各点の間を線分で結んでできる多角形の重心Gの位置から対象者の体型形を特定することができ、しかも、その算出に要する計算には四則演算程度の計算量で済むため、面積素片若しくは体積素片の数が増えたとしても計算上の負担が著しく増加することがない。
【0053】
重心Gの座標(これを極座標表示で「(rg,θg)」と記す。)が決まると、上記した体型形座標空間内における関数式Z=Fn(X,Y)から対象者に係る骨格データの換算比率(対象者に係るモデル作成に使用する比率)を算出することができる。即ち、上記したように関数式Z=Fn(X,Y)は各基準体型の骨格データに基づく補間計算から求められるので、極座標系から2次元直交座標系への変換式を用いて「Xg=rg・cos(θg)」、「Yg=rg・sin(θg)」を計算してこれらを関数式に代入することで、Fn(Xg,Yg)の値を求めることができる。
【0054】
図12は重心G(Xg,Yg)から関数値を求める様子を概念的に示したものであり、Fn(X,Y)については、nを「_hr_xx」に選んだ場合と、nを「_mr_xx」に選んだ場合とを併せて示している。つまり、点Q_hrの高さ(Z_hr)が長さの比率に係るFn(Xg,Yg)の値(_hr_xx)を示しており、点Q_mrの高さ(Z_mr)が重量比率に係るFn(Xg,Yg)の値(_mr_xx)を示している。
【0055】
このように骨の長さや重量について対象者の換算率が求められると、対象者の身長や重量に基づいて実際の長さや重量を計算することができ、この処理は次工程(4)において行われる。
【0056】
例えば、長さの比率に係る関数式Fn(X,Y)については、上記した各基準体型モデルの身長を基準身長に揃えるとともに、対象者の身長を基準身長に変換した場合に得られる値であるので、対象者の身長について骨の長さを計算するには、上記した比率「HEIGHT_ref/HEIGHT_tgt」が必要となる。つまり、「_hr_xx」にHEIGHT_tgtをかけることによってxxで示す部位の長さが決定される。尚、骨の太さ等、長さの次元を有する他の諸量についても_hr_xxの導出過程と全く同様に求めることができる。
【0057】
また、重量の比率については対象者の重量(体重等)を「_mr_xx」に掛けることによりxxで示す部位の重量が決定され、断面積や体積等、長さのn乗(nは2以上の整数。)の次元を有する量について重量の導出過程と全く同様に求めることができる。
【0058】
こうして、対象者に関する全ての骨の長さや重量を求めることによって対象者の骨格に関する数値モデルを作成することができ、例えば、数値モデルの表現形態としてポリゴンデータによるモデルを採用した場合には全骨のポリゴンデータを予め用意しておき、モーフィング等の変形処理を駆使することによって図13に示すような骨格構造BSを表示装置上に得ることができる(尚、図示した骨格構造は骨格の構成部位について部分的に誇張して示している。)。
【0059】
上記の説明では、対象者の3次元データを取得して対象者の体型形に係るデータを求めたが、3次元データを利用することなく図6に示したような対象者の2次元画像データだけを用いることによって簡易なモデルを作成する場合には、画像データから体型を特徴的に示す人体部分の長さ比率(縦横比率等)を上記した面積素片の断面積に代用しても良いことは勿論である。例えば、胸部の形状について典型的には闘士型で逆3角形(逆台形)状となり、肥満型ではほぼ台形状、痩せ型ではほぼ長方形となるといった具合に、立位姿勢の対象者の画像データから体型形に係る情報を得ることができる。
【0060】
これとは逆にモデルの精度を上げるためには、対象者の3次元データから得られる人体の各部位の長さに基づいてデータの補正を行ったり、あるいは全骨の重量和が体重を越えてしまうといった矛盾が生じないように構造モデルと実際の対象人体との間の誤差を極力低減する必要がある。
【0061】
次に、骨格モデルに対して上記(ii)筋肉モデルを付加した数値モデルの作成について説明する。
【0062】
この場合には、筋肉の形状、長さ、重量の他、筋肉の運動性能に関する諸量(例えば、筋肉の収縮率や、仕事率、筋収縮の反応速度等)を数値モデルの対象に含めることによって筋肉の性能を数値化することが好ましい。
【0063】
つまり、筋肉の長さや重量については、上記した「_hr_xx」や「_mr_xx」と同様の手順を踏襲することによってこれらを求めることができる。即ち、「_hr_xx」がxxに示す各筋肉の長さの比率を示し、「_mr_xx」がxxに示す各筋肉の重量の比率を示すものと考えれば良い。
【0064】
これに対して筋収縮率や仕事率等についてはこれらの値が何によって影響されるかに依存して決定される。
【0065】
例えば、筋収縮率は、筋肉の自然長に対して筋肉がどれだけ収縮するかを示す比率であり、筋肉の基準長(自然長)を変数「L」で表し、筋収縮時における筋肉長を変数「LL」で表した場合に、関数式f(L,LL)で表すことができ(単純なモデルでは「f(L,LL)=LL/L」である。)、該関数式については上記した関数Fn(X,Y)と同様に各基準体型モデルのデータから算出することができる。よって、「Lg=Fn(Xg、Yg)、LLg=Fm(Xg、Yg)」(但し、Fnは上記Z軸を変数Lにとった場合の関数を示し、Fmは上記Z軸を変数LLにとった場合の関数を示す。)から算出した値を上記関数式に代入したf(Lg、LLg)から対象者の筋収縮率を計算することができる。
【0066】
同様にして仕事率(単位時間当たりの仕事量)は作用点の重量及び作用時間の関数として求めることができ、また、筋収縮の反応速度は、末端神経から筋肉までの距離及び筋収縮の開始時間の関数として求められる。
【0067】
尚、骨格及び筋肉を含むモデルの作成過程については、上記した(1)の工程で骨の形状や長さ、重量の他、筋肉の形状や長さ、重量、筋収縮率を含む骨格及び筋肉のデータを用意するとともに、上記(3)の工程で各基準体型に係る骨格及び筋肉データに基づいて補間計算を行い、対象に係る骨格及び筋肉のデータの換算比率を算出する。そして、上記(4)の工程では(3)の工程で得た換算比率及び(2)の工程で入力した対象の体長や重量に基づいて対象の各骨や筋肉の長さ、重量、筋収縮率を決定すれば良い。
【0068】
こうして作成されるモデルによれば、例えば、骨や関節等を動かしたときの筋肉の模擬的運動を現出させることが可能となる。
【0069】
さらに上記(iii)の神経モデルを付加した数値モデルについては、神経の長さや断面積等の他、神経波の形状やその物理的な伝達に関する量(例えば、伝達時間や伝導速度、歪み率等)について数値化を行う。
【0070】
例えば、神経波の伝導速度については、中枢神経から末端神経までの神経長を変数「NL」で表し、信号が中枢神経から末端神経に至るまでの時間を変数「T」で表した場合に、関数式ff(NL,T)で表すことができ(単純なモデルでは「ff(NL,T)=NL/T」である。)、該関数式については上記Fn(X,Y)と同様に各基準体型モデルのデータから算出することができる。よって、「NLg=Fo(Xg、Yg)、Tg=Fp(Xg、Yg)」(但し、Foは上記Z軸を変数NLにとった場合の関数を示し、Fpは上記Z軸を変数Tにとった場合の関数を示す。)から算出した値を上記関数式に代入したff(NLg、Tg)から伝導速度を計算することができる。尚、神経の断面積等をさらに考慮する場合には、関数ffの独立変数を追加すれば良い。
【0071】
同様にして神経波の伝達時間は神経長及び伝導速度の関数として求めることができ、また、歪み率は神経種に係る単位距離内の波形歪み(波形鈍り)を表すものであり、神経の種別や対象者の体型形に応じて求められる。
【0072】
尚、骨格及び筋肉を含むモデルの作成過程については、上記した(1)の工程で神経長や神経波の伝達に関するデータを付加するとともに、上記(3)の工程で各基準体型に係る骨格、筋肉、神経のデータに基づいて補間計算を行い、対象に係る骨格、筋肉、神経に係るデータの換算比率を算出する。そして、上記(4)の工程において(3)の工程で得た換算比率及び(4)の工程で入力した対象の体長や重量に基づいて神経波の伝達に係る量を決定すれば良い。
【0073】
こうして作成されるモデルによれば、例えば、筋肉によって骨や関節等を動かす際の神経波の伝播を模擬的に現出させることが可能となる。
【0074】
対象者について作成される数値モデル(骨格、筋肉、神経を含む。)において、体型形座標空間のZ軸に設定する事項と当該事項に係る人体の対象部位や対象事項を表形式にまとめたものを下表1に一例として示す。
【0075】
【表1】
Figure 0003896665
【0076】
上記(iv)皮膚モデルについては、関節の動き等に起因する皺の量を、皮膚の老化に置き換えて処理する方法(関節の角度や関節からの距離、筋肉の緊張の度合に基づいて関節の周囲を覆っている表皮の領域毎に年齢や年代の異なる表皮(皮膚や体毛等)を付与する方法)が、計算量の低減の観点から好ましい。つまり、皺の寄り方を関節や筋肉の状態に基づくシミュレーション計算によって割り出す方法では計算が複雑化したり計算量が多すぎるといった不都合を伴うからである。
【0077】
図14は肘関節を曲げたときに生じる皺の量についての分布を概念的に示したものであり、年齢に応じた皺データ、例えば20代、40代、80代の皺データを予め用意しておき、肘関節に近いために皺の多い領域Raには80代の皺データを付与し、領域Rbの周囲に位置する領域Rbには40代の皺データを付与し、皺の少ない領域Rcには20代の皺データを付与するといった具合に、関節の角度や筋肉の緊張等に応じて皮膚の領域毎に老化の度合を局所的に操作することで皮膚モデルを構築することができる。
【0078】
また、図15は指の皺を概念的に示したものであり、皮膚の皺について縦皺と横皺を設けて、関節と関節との間の筋肉の緊張や引張に対しては主として縦皺を皮膚に付与し、筋肉の圧迫に対しては主として横皺を皮膚に付与する(例えば、指の第1関節を折り曲げた場合に当該関節近辺の横皺を増やす等。)といった処理を行うことが好ましい。
【0079】
以上の処理によって関節や筋運動に伴う皮膚の皺を数値モデル上で表現することが可能となる。
【0080】
尚、上記の説明では、対象者の年齢や性別の影響については考慮しなかったが、これらの事項については予め統計データ等から得た特性関数、例えば、対象者の年齢を示す変数「ag」を独立変数とする関数_Agr_xx(ag)や、対象者の性別を示す変数「sx」を独立変数とする関数_Sxr_xx(sx)を用意しておき、これら関数を体型形座標空間のZ軸に設定される量に掛ける(例えば、xxで示される部位の重量の比率に関して(_mr_xx)・(_Agr_xx(ag))・(_Sxr_xx(sx))の値を求める。)ことで計算を行うことができる。
【0081】
図16は横軸に変数agをとり、縦軸に_Agr_xxをとって関数形の一例を概略的に示したものであり、この例で年齢の増加に伴って関数値が減少する様子(例えば、筋肉の仕事率等。)を示している。
【0082】
また、図17は横軸に変数sxをとり、縦軸に_Sxr_xxをとって関数形の一例を概略的に示したものであり、この例ではsx=M(男性を示す。)に対する関数値に比してsx=F(女性を示す。)に対する関数値の方が大きいことを示している(例えば、胸部脂肪の比率等。)。
【0083】
尚、年齢の影響を考慮することが好ましい事項としては、関節の角度範囲や破壊係数、神経波の伝達時間や歪み、筋肉の仕事率や筋収縮の反応速度等が挙げられ、また、性別の影響を考慮することが好ましい事項としては、筋肉と贅肉との比率や関節の自由度等が挙げられる。
【0084】
以上の説明では数値モデルを作成する対象を人間に特定したが、人間以外の動物やロボットを対象とする場合には、上記(1)乃至(4)の事項における「対象者」を「対象動物若しくはロボット」に、また、「身長」を「体高」や「体長」に、「筋肉」を「人工筋肉等」に、「神経」を「配線等」にといった具合に適宜に読み替えれば良い。
【0085】
【実施例】
次に、本発明を人体構造モデルの作成方法に適用した実施例について説明する。尚、「人体構造モデル」とは、人体に関する体格や体重等の基礎データからその身体的特徴を、骨格、筋肉、神経、皮膚、脂肪等を含む構造的モデルとしてコンピュータ上に構築した数値モデルを意味し、その作成にあたって使用するハードウェア環境1としては、図18に概念的に示すように、キーボードやポインティングデバイス等の一切の入力手段を含む入力部2と、コンピュータ及びメモリあるいは所定の記録媒体によって構成される計算装置3(モデル構築のためのデータベース(以下、「DB」と略記する。)3aと、その管理システムを実現するモデル計算処理部3bとを含む。)と、作成されたモデルに関するデータ表示や印刷を行うための表示/印刷部4と、基本データの取得等に用いる周辺装置5(その具体例は後述する。)とを含んでいる。
【0086】
人体構造モデルは多数のDBから構築され、当該DBを大別すると、概念的には下記に示すDBが挙げられる。
【0087】
(A)骨に関するDB
(B)関節や靱帯に関するDB
(C)筋肉に関するDB
(D)神経(運動神経や反射神経等)に関するDB
(E)内臓や脂肪に関するDB
(F)皮膚に関するDB
(G)身体運動に関するDB
先ず、(A)は骨の重量や重量分布、形状、破断係数等の項目を含んでおり、骨格の基本情報に関するDBである。
【0088】
また、(B)には関節の自由度や破断係数、対偶と対偶との接続関係、対偶と筋肉との接続関係、筋肉の収縮率と関節の角度との関係等についての情報が含まれる。
【0089】
(C)には、筋肉の自由長や収縮(若しくは膨張)時の長さや収縮率、破断係数、重量、反応速度、仕事率等についての情報が含まれる。
【0090】
(D)には、例えば、運動神経に関して脳幹、中枢神経、末端神経、筋収縮神経における運動神経信号と筋収縮との関係についての情報、あるいは、反射神経に関して、触覚神経、末端神経、中枢神経、脳幹における圧力、熱、痛覚の神経信号と筋収縮との関係についての情報等が含まれる。
【0091】
(E)には、内臓や脂肪の重量や重量分布についての情報が含まれ、(F)には皮膚の老化や皺の寄り方についての情報が含まれる。
【0092】
(G)は人体の力学的運動状態だけを表象するためのDBであり、これには、人体の全身運動や部分運動に係る情報をワイヤーフレームモデルとして抽出したデータと、運動に伴う重心位置の変化についての情報が含まれる(そのために必要な3次元データの取得方法については後述する。)。
【0093】
尚、上記のDBはそれぞれ1個のDBとして生成されるとは限らない(本実施例では複数のDBの集合として構成される。)。
【0094】
図19は、人体構造モデルの作成に関する処理の大要を示すフローチャート図であり、各ステップでの処理内容は下記の通りである。
【0095】
ステップSS1:身体に関する基本データの入力
ステップSS2:DBに基づくデータ加工
ステップSS3:人体についての3次元データの取得及び運動に関するワイヤーフレームモデルの生成
ステップSS4:人体についての3次元データの取得及び運動に伴う重心位置データの取得
ステップSS5:人体についての3次元データの取得及び三半規管神経によるバランス神経信号と身体バランスの取得
ステップSS6:人体についての3次元データの取得及び筋電図等による運動神経信号と筋収縮との関係の取得
ステップSS7:人体についての3次元データの取得及び反射神経テストによる筋収縮と圧力、熱、痛覚の神経信号との関係の取得。
【0096】
先ず、ステップSS1で、人体構造モデルの対象となる個人の体格や性別、年齢等のデータを入力した後、ステップSS2では各種のDBに基づいてデータを加工して対象者の身体構造に関するDBを生成する。
【0097】
尚、ここで各種のDBとは、例えば、下記(a)乃至(f)に示す通りである。
【0098】
(a)重量DB
骨、筋肉、脂肪、頭部、臓器等の重量比率(体重に占める割合)に関するDBである。
【0099】
(b)重量分布DB
骨、筋肉、脂肪、頭部、臓器等の重量分布(人体における位置や重心等)に関するDBである。
【0100】
(c)破壊係数DB
骨や靱帯、筋肉等の破壊係数(破断係数等)に関するDBである。
【0101】
(d)関節自由度DB
各関節の自由度に関するDBであり、関節の可動範囲の設定に用いられる。
【0102】
(e)接続関係DB
対偶と対偶との間、対偶と筋肉との間、対偶と靱帯との間等についての接続関係を規定するDBである。
【0103】
(f)筋運動DB
関節の駆動角度と各作用筋の駆動比率や、筋肉の自由長や収縮率、仕事率、筋収縮の反応速度等に関するDBである。
【0104】
(g)神経配置DB
人体における神経配置や長さ等に関するDBである。
【0105】
また、身体構造に関するDB(以下、「身体構造DB」という。)とは、上記(a)乃至(f)のDBに対して図20に示す依存関係を有するDBとして定義される。尚、図中の矢印「→」は、「X→Y」と記した場合にデータベースYがデータベースXに基づいて生成されることを意味している。
【0106】
そして、上記(a)乃至(f)のDBと、上記した(A)、(B)、(C) 、(E)に示すDBとの間の関係の一例を示すと、下表2の通りである。
【0107】
【表2】
Figure 0003896665
【0108】
尚、表2において「○」は横欄に示す各DBが縦欄に示すDBを包含することを意味し、「−」はそのような包含関係がないことを意味している。例えば、(A)の骨に関するDBには、骨の重量や重量分布、骨の破断係数に関するDBが含まれる。また、(B)のDBについては関節の重量が主として骨部の重量から構成されるために靱帯についての重量や重量分布を無視しているが、これらについてもモデルに組み込むことでより詳細なモデル化を図ることができることは勿論である。
【0109】
そして、形状に関するDBについては、基準人体(上記基準体型モデル等。)の骨格や脂肪等の形状モデルに基づき前記した方法を用いて体型形や性別データ等から生成される。
【0110】
図21及び図22は、上記ステップSS1、SS2について、具体例の要部を示すフローチャート図である。
【0111】
先ず、図21のステップS1において予め規定されている下記のデータ項目について、対象者の数値を入力(手動又は自動入力)したり、選択値の場合にはそれらのいずれかを指定する。
【0112】
・身長(単位:mm)
・体重(単位:Kg)
・体型形(痩せ型、闘士型、肥満型等のタイプとその度合。)
・性別(男・女)
・年齢(単位:才)。
【0113】
例えば、入力値のデータ構造について下表3に示す例が挙げられる。
【0114】
【表3】
Figure 0003896665
【0115】
つまり、この場合には、身長や体重等のように連続的な数値を格納する領域を要するものや、体型形等のように、タイプを示す値(上記体型形座標空間の座標軸θの値に対応する)とその度合示す数値(上記体型形座標空間の座標軸rの値に対応する)とを組み合わせた構造、あるいは、性別のように「0」又は「1」の1ビットデータで簡単に表現できるもの等が挙げられる。
【0116】
尚、身体構造モデルの生成にあたっては、上記のような比較的少数の入力パラメーターに基づいてモデルを生成するモード(以下、「ノーマルモード」という。)と、ノーマルモードで生成したモデルに変更を加えるためのモード(以下、「特殊モード」という。)とが存在するので、ステップS2でのモード判断処理において、先ずは、ノーマルモードを選択したものとして、ステップS3乃至S8での処理について説明する。
【0117】
ステップS3では、上記(a)の重量DBを参照して重量設定処理を行う。即ち、対象者の体型形データに基づいて骨、筋肉、脂肪、頭部、臓器等についての重量比率を設定するとともに、筋肉や脂肪の重量についてはさらに胸部、腹部、上腕、下腕、上肢、下肢に区分して設定する。また、性別の如何によって筋肉脂肪のつき方が異なるので、その相違を考慮して重量比率の設定を行う。尚、設定後における総重量と上記した体重の入力値との差がほぼゼロとなるように重量の割り当てを行う必要があることは勿論である。
【0118】
次ステップS4では、上記(b)の重量分布DBを参照して、対象者の身長や体型形のデータに基づいて骨格や脂肪の形状について設定を行う。そして、骨の重量分布(重心や比重等)により骨と頭部の重量配分を設定するとともに、肉質の重量分布により筋肉や脂肪の重量配分を設定する。尚、ここで、「肉質の重量分布」について、上腕、下腕、上肢、下肢の場合と胸部の場合とに分けて説明すると、前者の場合には、骨の重量分布についての重量点を中心とした仮想の円軌道(これは立位姿勢の人体を正面から見た場合の形状であり、正確には球形状をしている。)を複数設定して、各軌道に対して重量を等間隔でもって均等に配分する。また、後者の場合には骨の重量分布における胸郭の重量点から外方へ一定の間隔をおいた距離に仮想の軌道を複数設定して、各軌道に対して重量を等間隔でもって均等に配分する。そして、性別の入力データが女性である場合には、胸部脂肪の重量分布について追加の設定を行う。
【0119】
内臓の重量分布については、頭内臓部、第1頚骨間関節と恥骨間を結ぶ内臓重量線上において等間隔で設定し、該重量分布は椎骨の運動によって変化する。また、腹部脂肪の重量分布については、内臓重量線上に沿って等間隔に設定される重量点を中心とする仮想の楕円形軌道(これは立位姿勢の人体を正面から見た場合の形状であり、正確には楕円体形状をしている。)を複数設定し、各軌道に対して重量を等間隔でもって均等に配分する。尚、この他、仮想の楕円形軌道内に、骨、筋肉、内蔵、脂肪の領域を設けて領域毎のDBを作っておき、各領域に等分布の重量をそれぞれ設定する方法がある。
【0120】
上記によって内臓や脂肪の分布が明らかとなるので、対偶の進入禁止範囲(対偶が内臓等を突き抜けて体内に進入するのを禁ずるための範囲)を設定することができる。
【0121】
ステップS5では、上記(c)の破壊係数DBから骨や靱帯、筋肉等についての破壊係数データを読み込む。これは骨や靱帯等の破損を招くような無理な力が加わる姿勢、つまり、健康体においてあり得ない人体の状態を人体構造モデルにおいて回避するために必要とされる。
【0122】
ステップS6では、上記(d)の関節自由度DBや(c)の破壊係数DBを参照して、体型形や性別のデータから関節の駆動範囲や自由度(破壊時の自由度を含む。)を設定する。尚、これは関節の構造からは健康体として許されない動きやありえない動きを排除するためである。
【0123】
ステップS7では、上記(e)接続関係DBを参照して各種の接続関係についてのデータを読み込んだ後、次ステップS8では筋運動についての設定を行う。
【0124】
筋運動については上記(f)の筋運動DBを参照して、入力データ(身長、体重、体型形、性別、年齢等)に基づいて駆動される対偶の重量を考慮して関節の駆動角度と作用筋の収縮率について設定する。
【0125】
以上のステップS3乃至S8によってノーマルモードでの身体構造モデル及びこれをデータベース化した身体構造DBが作成される。尚、上記(g)の神経配置DBについては、身体構造DBに合わせて基準人体(基準体型モデル等)の神経配置から単独の加工処理によって作成される。
【0126】
図22のステップS9では特殊モードに進むか否かを判断し、特殊モードを選択した場合にはステップS10に進み、選択しなければステップS17に進む。
【0127】
上記ステップS2又はステップS9において特殊モードを選択した場合にはステップS10に進み、比率変換モードを選択するか否かを判断する。尚、「比率変換モード」とは上記したノーマルモードにおいて生成したデータに対して腕、胴、脚部等の大きさを入力してデータ比較を行い、長さや重量の再設定を行うモードである。同ステップで比率変換モードを選択した場合にはステップS11に進み、選択しない場合にはステップS17に進む。
【0128】
ステップS11では比率変換モードを更に2つにモード、つまり、「長さ設定モード」と「比率設定モード」とに分け、両者のうちのいずれかを選択する。そして、「長さ設定モード」を選択した場合にはステップS12に進んで、腕、胴、脚部等の長さ(単位:mm)をそれぞれ入力する。また、「比率設定モード」を選択した場合にはステップS13に進んで腕、胴、脚部等の基準長(例えば、身長等)に対する比率をそれぞれ入力する。尚、これらステップS12、S13での入力データは、例えば、上記(e)の接続関係DBにおける筋肉の自由長についての補正に用いられる。
【0129】
続くステップS14では、重量モードについて2つのモード、つまり、「合わせ込みモード」と「加減調整モード」とに分け、両者のうちのいずれかを選択する。そして、「合わせ込みモード」を選択した場合にはステップS15に進み、生成データから得られる重量を体重の入力データに合わせる処理を行ってから図21のステップS2に戻る。また、「加減調整モード」を設定した場合には生成データから得られる重量について増減量を付与する処理を行った後ステップS2に戻る。これらのステップS15、S16により、上記ステップS3やS4での重量設定や重量分布の補正をさらに行うことができるようになる。
【0130】
ステップS17では、「関節重量モード」を選択するか否かを判断し、選択する場合にはステップS18に進み、選択しなければステップS19に進む。尚、「関節重量モード」とは、例えば、2足歩行型ロボットにおいて関節駆動用のモータ等の重量を登録する場合等に用いられ、関節毎に1点の加重値を加減算して、全体のバランスが保たれるように対偶の重量分布を設定するためのモードである。尚、ステップS18での処理後はステップS19に進む。
【0131】
ステップS19では、「筋肉重量モード」を選択するか否かを判断し、選択する場合にはステップS20に進み、ここで各対偶に付随する筋や脂肪の重量毎に所望の加重値を加減算することで筋肉等の重量バランスを保つように設定を行う。
【0132】
尚、「筋肉重量モード」を選択しなければ身体構造モデルの生成を終了するが、これまでの工程において必要なデータは体格や性別等に関する比較的少数のデータだけである。
【0133】
次に上記したステップSS3、SS4について、図23に示す要部のフローチャート図に従って説明する。尚、本工程では、上記(G)身体運動に関するDBについて下記に示すDBが作成されるが、その内容は後述する処理の説明から明らかとなる。
【0134】
(G1)運動ワイヤーフレームDB
(G2)運動重心位置DB
先ず、図23のステップS1において重心位置検出用マーカー(後述する。)を付設した対象者に対して立位姿勢を維持してもらった後、次ステップS2では3次元データの取得法を用いて対象者の3次元データを得る。尚、ここで、「3次元データ」とは、平面上に貼り付けられた2次元画像と区別されるデータであり、3次元形状を構成する曲面及びこれに貼り付けられた画像データを意味する。
【0135】
3次元データの取得法としては、被写体の形状や画像を含むデータを得ることのできる方法であれば如何なる方法を用いても構わないが、例えば、干渉縞を用いる方法を挙げることができる。即ち、被写体に対して単色光や3原色光による干渉縞を発生させて被写体を撮影するとともに、被写体に生じた干渉縞の形成間隔から撮影方向における被写体の奥行き(凹凸)についてのデータを得て、これに干渉縞のない被写体画像を貼り付けることによって3次元データを得る方法である。
【0136】
図24乃至図34は単色光の干渉縞を使った例によって方法の原理について説明するための図である。
【0137】
図24において、被写体6は円柱形状をしており、単色光の干渉縞を発生する干渉縞発生手段7と、撮影手段8とを配置し、干渉縞9の映った被写体6を撮影手段8によって撮影することで、被写体6に関する一次情報(画像情報)を得る。
【0138】
例えば、図25に示すように、干渉縞が多数の同心円状のパターンとされている場合に、該干渉縞が平板10に照射されたときには同心円状の縞模様11ができることになるが、図26に示すように円柱形状をした被写体6の側面に映る干渉縞12は縦長の同心楕円状の模様となる。これは同図のA−A断面に示すように、撮影方向Fから見た被写体6の奥行きxが円柱表面において大きくなる程光路差の変化が大きくなって干渉縞の間隔が狭くなるためであり、換言すれば、被写体画像における干渉縞の間隔を調べることで奥行きxを知ることができる。
【0139】
但し、被写体6を一方向から見ただけでは、図26に示す干渉縞が、撮影方向Fから見て手前に突出した曲面13によってできたものか、又は、図27に示すように(下段の図は上段の図のB−B断面を示す。)、撮影方向Fから見て奥に引っ込んだ曲面14によってできたものかの区別がつかない。
【0140】
従って、干渉縞を有する被写体画像を得る工程については、被写体に対して異なる角度をもって複数回行う必要がある。
【0141】
そして、干渉縞のない被写体を撮影する工程についても同様に被写体に対して異なる角度をもって複数回行うが、これには干渉縞の照射と非照射とを交互に繰り返すことによって時分割処理が可能であり、また、画像についての時間的な隣接相関性を利用して干渉縞で隠される画像部分を補完することも可能である。
【0142】
撮影手段8によって得られた干渉縞を有する各画像についてその干渉縞を等高線とみてその形成間隔から撮影方向における奥行きを決定する等高線処理を行うことで、図28に示すように、被写体6の形状、つまり円筒15の形状データを得ることができる。
【0143】
次に、形状データから表面を特定するとともに、当該表面を多数の区分領域(曲面パッチ)16、16、・・・に分割する。例えば、図29に示すように、円筒15をその中心軸回りに所定の角度間隔をもって等分割するか、あるいは円筒15の側面から見た区分領域の面積が常に等しくなるように異なる角度間隔をもって分割し、また、円筒15の中心軸方向については該中心軸に直交する等間隔の平面によって円筒15を分割すれば良い。
【0144】
そして、区分領域に対して干渉縞のない撮影画像を貼り付けるにあたっては、該撮影画像を上記区分領域の分割と同程度の分割数でもって分割する。例えば、図30に示すように、ある撮影方向から見た被写体6の画像17が文字「A」の模様を有する場合に当該画像を格子状に分割する。尚、この例では、図に横方向における格子間隔dが一定でなく周辺部に行くにつれて小さくなっている。
【0145】
こうして区分けされた各部分画像18、18、・・・を得て、これらを対応する上記区分領域16、16、・・・にそれぞれ割り付けることになるが、図31に示すように円筒の場合にはその中心軸に直交する平面での断面形状が円形状をしているので、部分画像をそのまま区分領域に貼り付けたのでは歪みが生じてしまう(図32の部分画像18と区分領域16との対応関係を参照。)。そこで、部分画像に対して区分領域の形状に応じた変形処理を施して歪み補正を行った後、当該部分画像をこれに対応する区分領域に貼り付ける。その際、当該部分画像が被写体を図31とは異なる角度から撮影したときの画像の部分と矛盾しないようにする必要があることは勿論である。
【0146】
干渉縞のない全ての撮影画像について部分画像の区分領域への割り付けが終了すると、図33に示すように、表面の状態(模様等)を含む形状モデル(サーフェスモデル)19が得られ、これにより被写体の3次元データが取得される。
【0147】
尚、上記の説明では静止した被写体についてデータの取得方法を説明したが、動きのある被写体に適用することができることは勿論である(動画像は時間パラメータによって特定される静止画像の集合に過ぎないから。)。
【0148】
また、光源色を単色に限る必要はなく、3原色の光源による干渉縞を用いることによってカラー画像としてデータを取得することができる。
【0149】
つまり、3原色のうちの各原色の干渉縞をそれぞれ発生させる複数の干渉縞発生手段と、被写体画像を得るための撮影手段とを配置するとともに、撮影手段によって異なる角度から被写体を撮影する。尚、その際の撮影手段の数は、干渉縞発生手段と同じ数にすることが好ましく、また、干渉縞発生手段と撮影手段とを別々の装置として設けるよりは、両手段を一つの装置内に配置することによって干渉縞発生・読取装置としてまとめることが、省スペース化や作業性の観点から好ましい。
【0150】
図34は干渉縞発生・読取装置を3原色(例えば、R−赤、G−緑、B−青)に対応する数(3つ)だけ設けた例を示すものであり、3つの干渉縞発生・読取手段20R、20G、20Bが被写体6を中心とする正3角形の各頂点位置にそれぞれ配置されている。尚、これらの干渉縞発生・読取装置は図18の周辺装置5に含まれる。
【0151】
図35は干渉縞発生・読取装置の構成例21を概略的に示すものであり、被写体に対して干渉縞を発生させる干渉縞発生部22Aと、被写体画像を得るための撮影部22Bとを備えている。
【0152】
そして、干渉縞発生部22Aは、光源23と、パターン情報指令部24からの信号を受けて干渉縞のパターンを表示するパターン表示手段25とを有している。例えば、図示するように、干渉縞発生部22Aにおいて、その光源23と被写体とを通る軸L−Lが光軸を示しており、光源23の前方には光の拡がり具合を調整するための調整用レンズ26が設けられている。尚、光源23としては、例えば、レーザー、放電灯、白熱電球等を用いることができる。また、調整用レンズ26はモータを含む調整用レンズ調節サーボ手段27によって光軸L−Lに沿って前後方向に移動される。
【0153】
パターン表示手段25は調整用レンズ26の前方に設けられており、パターン情報指令部24からの映像信号が入力されることによって、フィルタ手段としての表示部28上に所望の干渉縞パターン画像が表示されるように構成されている。尚、表示部28としては、例えば、カラー液晶式表示装置(LCD)等を用いることができる。
【0154】
干渉縞のパターンには、図36に示すような多重円あるいは多重の楕円又は菱形状をしたパターン29a乃至29dを用いることができ、被写体の縦横の比率がほぼ1対1の場合には、図示する同心円状の図形(29a)若しくは正方形を90°回転させた図形とその相似図形を同心状に配置したもの(29b)を用い、また、被写体の縦横の比率が異なる場合(例えば、縦方向の長さが横方向の長さより大きい場合)には、縦長の楕円を同心状に配置したもの(29c)や縦長の菱形とその相似図形を同心状に配置したもの(29d)を用いれば良く、これらの図形の縦横比を被写体の縦横比に応じて決定すれば良い。尚、撮影画像に係る検出能力は干渉縞の間隔及び撮影部の分解能によって決定する必要がある。
【0155】
光源23からの光によって表示部28上に表示された画像は、前方のプリズム30及び対物レンズ31を介して被写体に向けて出射される(図35参照。)。尚、本例に示すプリズム30は光軸LーLを含む平面で切断した断面形状が3角形状を有しており、対物レンズ31側の面に形成された半透過膜30aが光軸L−Lに対して45°の角度をもって傾斜している。また、対物レンズ31はモータを含む対物レンズ調節サーボ手段32により光軸L−Lに沿って前後方向に移動される。
【0156】
被写体の反射光は、上記プリズム30において光路変更を受けた後撮影部22Bに到達し、これによって被写体が撮影される。つまり、被写体の反射光は、図35に破線で示すように対物レンズ31を通して半透過膜30aで反射されることで進行方向が光軸L−Lに対して直交する方向に変更された後、撮影部22Bに到達し、これによって被写体画像が読み込まれる。尚、撮影部22Bに使用するカメラについては、例えば、撮像管や固体撮像素子(CCD型あるいはMOS型エリアイメージセンサー)等を用いた各種方式(単管(板)式、多管(板)式等)が挙げられる。
【0157】
しかして、各干渉縞発生・読取装置はそれぞれの干渉縞発生部により1原色の干渉縞をそれぞれ発生し、被写体からの反射光を各々の撮影部によって取り込むとともに、撮影部により被写体を異なる複数の角度から撮影することで、被写体の色情報を含む干渉縞画像を得ることができ、これらに対して上記等高線処理等を施すことによって被写体の3次元データを取得することができる。
【0158】
尚、図34に示した例では、3原色(RGB)の各色に対応する1つの干渉縞発生・読取装置20R、20G、20Bを設けたが、これに限らず、例えば、図37に示すように、対をなす干渉縞発生・読取装置が被写体を挟んで対向する配置を採用することもできる。尚、図37では6つの干渉縞発生・読取装置が被写体6を中心とする正6角形の各頂点位置にそれぞれ配置されており、干渉縞発生・読取装置20R1と20R2とが対をなして赤色の干渉縞の発生及び読取を行い、干渉縞発生・読取装置20G1と20G2とが対をなして緑色の干渉縞の発生及び読取を行い、干渉縞発生・読取装置20B1と20B2とが対をなして青色の干渉縞の発生及び読取を行う。
【0159】
このように、複数の干渉縞発生手段及び撮影手段を、被写体に対して互いに対向する位置関係をもって干渉縞の色毎に配置することによって、被写体表面の影等による影響を低減し、画像認識の精度を向上させることができる。
【0160】
尚、図34において各干渉縞発生部の光源色をすべて同一色(例えば、白色)とする場合には、撮影にあたって各撮影部を順番に切り換えて異なる角度から被写体を撮影することができるので、干渉縞発生部22Aの光源色を光源23の色によって固定的に規定するよりは、光源色を白色とし、上記表示部28での画像の色設定をパターン情報指令部24からの指示(色の選択指示)によって行うことが好ましい。
【0161】
また、被写体の移動を考慮して撮影を行う場合には、被写体が撮影画像の中心部からずれた場合に画像検出の分解能が低下する虞が生じる。
【0162】
このような不都合を避けるためには、被写体に重心位置検出用のマーカーを付設して、撮影手段に付設された追尾手段によって撮影手段がマーカーを追尾するように制御することが好ましい。つまり、マーカーを被写体の重心位置に取り付けることによって、被写体の移動中心である重心位置が常に撮影画像の中心部にくるように保つことができる。
【0163】
そのためには、被写体に付設されたマーカーの発する情報を検出する検出手段と、撮影手段の撮影方向を規定するための姿勢変更機構と、検出手段からの情報を受けて撮影手段の撮影方向をマーカーへと向けることで被写体を追尾するための制御信号を姿勢変更機構に送出する制御手段とを設けることが好ましい。
【0164】
追尾方法には、マーカーを単なる目印としマーカー自体はその位置や姿勢に関する特別な情報を発しないものとし、画像処理によってマーカーを捉えて当該マーカーの位置を撮影画像の中心に保つ方法(ビデオカメラの手振れ補正等に利用されている。)と、マーカーの発する電波の強度を検出して該マーカーの方向やマーカーとの距離を測定したり、あるいは、マーカーの発する位置や姿勢等の情報を電磁波等に変換してこれを検出手段で検出して撮影手段の姿勢を制御することによってマーカーの位置を撮影画像の中心に保つ方法等が挙げられる。
【0165】
図35に示す例では、追尾手段が検出部34、チルティング機構35及びパンニング機構36、制御装置37によって構成されており、被写体6に付設されたマーカー33を追尾するための検出部34が装置21に取り付けられ、これによって撮影方向を常に被写体に向けるための姿勢制御に必要な情報が得られる。
【0166】
つまり、装置21の姿勢制御機構としてチルティング機構35及びパンニング機構36が設けられており、上記検出部34によって得られる検出信号が制御装置37に送出されると、該制御装置37から上記機構35、36にそれぞれ送出される制御信号によって、撮影画像におけるマーカー33の位置が常に画像の中心位置に来るように撮影方向の自動追尾制御が行われる。
【0167】
しかして、この方法を用いて対象者の立位姿勢に関する3次元データを取得してその体格を認識することができる。
【0168】
次ステップS3(図23参照。)では、前ステップによって得られたモデルに対してその頭部から足先に向かって鉛直方向に沿ってスライス処理(つまり、断層断面を形成する。)を行うことで身体の各構成部分や対偶を認識する。例えば、図38に概略的に示すモデル38に関して矢印Rで示す方向がスライス方向であり、点Psが頭頂部を示し、領域「A1」が頭部の認識に関する領域、領域「A2」が頚椎の認識に関する領域、領域「A3」が肩部の認識に関する領域、領域「A4」が胸部及び腹部の認識に関する領域、領域「A5」が脚部の認識に関する領域を代表的に示している。尚、同図の右側に概略的に示した断層図は領域A1の下側境界面でスライスした領域の数が1個、領域A3の下側境界面でスライスした領域の数が3個、脚部を途中でスライスした領域の数が2個であることをそれぞれ示している。
【0169】
また、対偶等の認識については、対象者の身体構造モデルと3次元データから得られるモデルとを比較・対照することで行う。例えば、被写体(対象者)に取り付けた重心位置検出用マーカーに対応する重心と頭部の中心点とを結ぶ軸を身体構造モデルの背骨軸であると認識したり、上肢の両肩関節の位置については背骨軸に関して左右対象であって最も突起した箇所として認識する等、人体の身体的特徴に基づいて求めることができる。
【0170】
図23のステップS4では対象者に対して膝の屈伸運動を行ってもらい、上記ステップS2及びS3で説明したのと同様の方法によって3次元データの取得及び膝関節の認識に関する処理を行う。つまり、立位姿勢での3次元データだけでは膝関節の特定を正確に行うことができないためである。
【0171】
そして、ステップS5では対象者に対してその下腕が地面に平行になるように腕を動かしてもらって上記ステップS2、S3で説明したのと同様の方法によって3次元データの取得及び肘関節の認識に関する処理を行う。
【0172】
次ステップS6ではステップS2乃至S5において得られた基礎データについての補正(誤差の補正等)を行った後、次ステップS7に進み、データの確定、つまり、対象者に係る人体形状データを決定する。
【0173】
そして、ステップS8に進み、対象者の形状と上記ステップで得た人体形状データとの間に顕著な相違が生じないように形状について両者間の合わせ込み処理を行い、当該人体形状と上記身体構造モデルとの間に生じる差異を極力低減する。
【0174】
ステップS9では、対象者に所定の運動をしてもらい、上記ステップS2で説明したのと同様の方法を用いて運動状態についての3次元データを取得する。
【0175】
そして、ステップS10では3次元データにおける頭部と重心位置検出用マーカーの位置に基づいて胴体を認識するとともに、対象者の身体運動に関する情報(対偶の状態等)を表象する枠体モデルとしてワイヤーフレームモデルを生成する。そして、該ワイヤーフレームモデルをデータベース化することにより上記の運動ワイヤーフレームDBを作成する。
【0176】
ステップS11では、ワイヤーフレームモデル及び前記ステップで得られた人体形状に基づいて運動中心である重心位置及びその変化に関するデータだけを抽出して上記運動重心位置DBを作成する。
【0177】
しかして、これまでに経た処理によって身体の構造や運動に関するモデルを得ることができ、これら対して筋肉や脂肪の形状についてのポリゴンデータ(多角形近似データ)を付加することによって人体に関するポリゴンモデルやこれをデータベース化したもの(以下、「人体ポリゴンDB」という。)を得ることができる。
【0178】
図39は人体ポリゴンDBについて、上記した身体構造DBや運動ワイヤーフレームDB、運動重心位置DBの他、下記に示すDBとの依存関係の一例を示すものであり、図中の矢印「→」の意味は既述した通りである。
【0179】
(h)筋肉ポリゴンDB
(i)脂肪ポリゴンDB
(j)特殊脂肪ポリゴンDB
(k)皮膚老化ポリゴンDB。
【0180】
上記(h)乃至(j)のDBについて簡単に説明すると、先ず、(h)筋肉ポリゴンDBは筋肉の収縮に対応した筋肉形状のポリゴンデータ集であり、(i)脂肪ポリゴンDBは、筋肉の収縮と重心の運動に対応した脂肪形状のポリゴンデータ集である。また、(j)特殊脂肪ポリゴンDBとは、筋肉の収縮には直接関係しないが重心の運動に主として関与する脂肪(内臓脂肪や胸部脂肪等。)の形状についてのポリゴンデータ集である。
【0181】
(k)皮膚老化ポリゴンDBは、皮膚に対して人為的に老化させる処理を施す際に必要な皺の量や寄り方についてのポリゴンデータ集(あるいは2次元画像データ)であり、上記した(F)皮膚に関するDBを構成するものである。
【0182】
尚、図39に示す「筋収縮ポリゴンDB」は、筋肉ポリゴンDB、身体構造DB、運動ワイヤーフレームDB、運動重心位置DBから生成されるデータベースであり、人体の運動に伴う筋肉の収縮状態を表現するために必要とされ、概ね下記の手順に沿って生成される。
【0183】
(1)身体構造DBの生成
(2)運動ワイヤーフレームDB及び運動重心位置DBの生成
(3)筋肉ポリゴンDBと(1)や(2)のDBとの関連付け
また、「脂肪収縮ポリゴンDB」は、筋肉ポリゴンDB、身体構造DB、運動ワイヤーフレームDB、運動重心位置DBを参照しながら脂肪ポリゴンDB及び特殊脂肪ポリゴンDBから生成されるデータベースであり、筋肉の収縮や重心運動に伴う脂肪の位置や厚さ等の変化を表現するために必要とされる。
【0184】
図40は、人体ポリゴンDBの生成について処理例の要部を示すフローチャート図であり、筋収縮ポリゴンDBの生成に関する処理と、脂肪収縮ポリゴンDBに関する処理とを並列的に示している。
【0185】
先ず、筋収縮ポリゴンDBの生成に関する処理については、ステップS1において、筋肉ポリゴンDB、身体構造DB、運動ワイヤーフレームDB、運動重心位置DBを用意した後、ステップS2では、人体の運動と各筋肉の収縮率の変化についての関係を得る。
【0186】
そして、ステップS3では全ての筋肉に関してその収縮に対応した筋肉形状を示すポリゴンデータ集、つまり、筋収縮ポリゴンDBを作成する。その際には、身体構造DBのうち特に人体形状に関するデータ及び筋肉ポリゴンDBのデータを参照する。
【0187】
次ステップS4では、運動ワイヤーフレームDBに対して筋肉部のポリゴンデータを付加した後、ステップS5に進む。
【0188】
他方、脂肪、特殊脂肪のポリゴンDBに関する処理については、ステップST1において両DBを用意した後、次ステップST2で人体の運動と各脂肪の収縮率の変化についての関係を得る。
【0189】
それからステップST3において全ての脂肪に関して筋肉の収縮や重心運動に対応した脂肪形状を示すポリゴンデータ集、つまり、脂肪収縮ポリゴンDBを作成する。その際に身体構造DBのうち特に人体形状に関するデータ及び筋肉ポリゴンDBのデータを参照する必要がある。
【0190】
次ステップST4では、運動ワイヤーフレームDBに対して脂肪部のポリゴンデータを付加した後、ステップS5に進む。
【0191】
ステップS5では、筋肉や脂肪を加味した運動ワイヤーフレームモデルについて、画像データの1フレーム毎に筋肉や脂肪のポリゴンデータを加工することによって筋肉の躍動や脂肪の揺れ等を表現する。尚、この加工にはポリゴンの表面におけるドットやパッチに対するデータ処理として行なわれ、例えば、ドットに関する結線処理やベヂエ(Bezier)化処理、あるいはこれらの処理を、一定表面の圧縮後に行う等の処理が含まれる。
【0192】
図41ではL字状に屈曲した位置関係を有する2つの骨ポリゴン39、40に亘って筋肉ポリゴン41が架け渡された様子を概略的に示している。
【0193】
次ステップS6では上記皮膚老化ポリゴンDBと運動ワイヤーフレームDBとのリンク(関連付け)を行う(図39では両方向の矢印で示している)。これによって、例えば、ある関節の周囲における皮膚の皺を関節角度や関節からの距離に応じて変化させることができる。つまり、関節における皮膚の皺の本数は、関節の駆動角度に比例し、かつ、関節からの距離の反比例する。
【0194】
図42、図43は腕の肘関節について皺のより方を模式的に示すものであり、肘関節をまっすぐにした図42の状態から肘関節をほぼ直角に曲げることによって、図43に1点鎖線の円42で囲んで示すように、肘関節からの距離が近い場所程皺の量が多くなる。
【0195】
尚、関節の角度や関節からの距離あるいは筋肉の緊張から関節の周囲を覆っている皮膚に対して前記したように老化処理を施す方法や、皮膚の皺を縦皺と横皺とから構成し、関節間の筋肉の緊張時や引張時には縦皺を相対的に多くし、筋肉の圧迫時には横皺を相対的に多くする方法等を用いる。
【0196】
しかして、上記人体ポリゴンDBが作成されるが、データの利用時に際してはデータに圧縮処理を施すことが好ましい。これは、例えば、上記した3次元データを3Dゲーム用データ等に用いる場合において、描画処理の高速化やデータ量の削減などの要請に答えるためである。
【0197】
例えば、3次元データからポリゴンモデルを生成して、これに被写体の画像を貼り付ける場合を想定すると、データ圧縮の方法については下記の方法が挙げられる。
【0198】
(I)ポリゴンの個数の減少を伴わない方法
(II)ポリゴンの個数の減少を伴う方法
先ず、方法(I)には、ポリゴンモデルを構成するポリゴン(図29、図31の区分領域16を参照。)の総数を減らすことなく、例えば、ポリゴンの形状データやこれに貼り付ける2次元画像データを既知の方法によって圧縮して、圧縮後における各ポリゴンデータと2次元画像データとの対応関係を改めて規定し直する方法が挙げられる。
【0199】
また、方法(II)としては、ポリゴンの数を減少させる(分割数の減少やポリゴンの合成等。)とともに、減少したポリゴンに対応する2次元画像データの割り付けを再度行った後、2次元画像データの照度に変更を加える方法が挙げられる。
【0200】
こうした工程によって人体ポリゴンDBが作成されるが、歩行におけるバランスの制御については、上記ステップSS5(図19参照)の工程が必要である。尚、歩行型ロボットについては、三半規管に相当するバランスセンサーの検出信号に対する脚部の運動制御について、歩行のパターンをデータベース化することにより、多種の歩行型ロボットに対してその駆動制御のアルゴズムを提供することができるという点で以下に示す方法は有用である。
【0201】
先ず、処理内容について説明する前に、使用する装置について図44乃至図47に従って説明する。
【0202】
対象者のとる姿勢に関しては、図44に示すように、対象者TGを測定台43に載せて、当該測定台43の姿勢を駆動装置44によって自在に変化させることができるように設定する。つまり、図44に矢印で示すように測定台43を上下方向に移動させたり、あるいは図45に矢印で示すように測定台43を前後左右に移動させたり、図46に矢印で示すように測定台43を回転させることができるようにする。また、図47に矢印で示すように、所定の基準点Oの回りで測定台43を旋回させることができるようにする。
【0203】
測定台に乗せられた対象者(健常者)は、アイマスク等によって目隠しをされ(これは視覚に依らない三半規管だけによる行動のデータを取得するため。)、また、重心の位置や移動方向、移動速度等の情報を検出するためのマーカー(これは上記した重心位置検出用マーカーで代用しても良い。)を取り付けられる。
【0204】
そして、三半規管の神経パルスを測定するための三半規管神経パルス測定装置を対象者に対して付設することで、対象者の姿勢変化に対する神経パルスの情報を得ることができるようにする。
【0205】
尚、上記した対象者の画像を撮影するための撮影手段については、その対象者を含む所定の範囲(例えば、半径1mの仮想球内)で3次元の動画情報を取得できることを要する。
【0206】
また、測定台やその駆動装置、三半規管神経パルス測定装置等は、図18の周辺装置5に含まれる。
【0207】
身体のバランス神経信号等の取得方法を簡単にまとめると下記のようになる。
【0208】
(1)対象者の姿勢を変化させる
(2)(1)の各姿勢における対象者の三半規管神経パルスデータを取得する
(3)(1)の各姿勢における対象者の3次元データを取得する
(4)(2)のデータからデータベース(以下、「三半規管神経パルスDB」という。)を生成するとともに、これと(3)のデータから生成したデータベース(運動ワイヤーフレームDB及び運動重心位置DB)とをリンクする
尚、上記(1)については、所定の水平面(地面等)上に直立した対象者に所定の加重をかけた運動や旋回運動等を行ってもらったり、あるいは測定台に乗せた対象者について測定台を傾けたり、測定台を水平面内で前後左右に移動させ、あるいは測定台の回転や旋回を行った場合に対象者が採る挙動を観察する。そして、上記(2)及び(3)の工程は、その数字の示す順番通りに遂行されるのではなく。(1)における対象者の姿勢変化と同時並行的に行われる。
【0209】
図48乃至図51は処理例を示すフローチャート図であり、図48は平衡感覚に関する運動の形態(ステップS1乃至S5参照。)、三半規管の神経パルスデータの取得(ステップST1及びST2参照。)、運動に関する3次元データの取得(ステップSP1及びSP2参照。)の3者を並列的に示したものである。
【0210】
先ず、ステップS1で対象者の人体ポリゴンDBを作成した後(その際、対象者の利き腕や利き足の情報を考慮する。)、次ステップS2で対象者にアイマスクや重心位置検出用マーカーを取り付ける。そして、上記した3次元データの取得方法に必要な設備を設置するとともに対象者に三半規管神経パルス測定装置を接続する。
【0211】
ステップS3では対象者を測定台に乗せて運動姿勢を観察するか否かを判断し、所定の水平面(地面等)上で対象者の運動姿勢を観察する場合にはステップS4に進み、上記測定台で対象者の運動姿勢を観察する場合にはステップS5に進む。
【0212】
ステップS4では水平面上で対象者の各種の姿勢をとってもらい、主に下肢の平衡感覚を把握する。
【0213】
また、ステップS5では測定台を動かすことによって、主に対象者について体位の安定化手法を把握する。
【0214】
三半規管の神経パルスデータの取得については、ステップST1に示すように、ステップS4やS5での対象者の各運動姿勢について三半規管神経パルス測定装置を使って行い、ステップST2で測定結果から三半規管神経パルスDBを生成する。
【0215】
また、運動に関する3次元データの取得については、ステップSP1に示すように、ステップS4やS5での対象者の各運動姿勢について3次元データを得た後、ステップSP2において当該データから運動ワイヤーフレームDB及び運動重心位置DBを生成する。
【0216】
図49は上記したステップS4の一例を示すフローチャート図であり、先ず、ステップS1において対象者に水平面での立位姿勢を維持してもらった後、次テップS2では運動について3つの場合分けを行い、ステップS3、S8、S10のいずれかに進む。
【0217】
ステップS3に進んだ場合には対象者の立位面上に重量球を設置した後、次ステップS4で当該重量球を上肢で掴んでもらう。そして、ステップS5では該重量球を片手で持ち上げたり、両手で持ち上げる動作を対象者に実行してもらう。ステップS6では対象者が身体のバランスを崩さない範囲で重量球を移動してもらう。
【0218】
ステップS7では前記ステップの動作について重量球と対象者の体位の位置関係を多様に変化させて運動を観察する。尚、その際、加重重量を変化させて各動作を対象者に実行してもらうことが好ましい。
【0219】
各動作については上記したように三半規管の神経パルスデータ及び3次元データを得てステップST2やSP2のDBを生成してこれらをリンクすることで、上肢運動による上体下肢の平衡感覚についての情報を取得することができる。
【0220】
また、ステップS8に進んだ場合には、対象者の上肢に加重をかけてその動作を観察する。そして、次ステップS9では、前ステップの動作について加重重量や上肢の傾きの角度及び方向を多様に変化させて運動を観察する。こうして、上記と同様にDB(三半規管神経パルスDB、運動ワイヤーフレームDB、運動重心位置DB)の生成及びリンクを行うことで上肢運動による上体下肢の平衡感覚についての情報を取得することができる。
【0221】
ステップS10に進んだ場合には、対象者に上体の前後や左右の旋回運動を実行してもらう。そして、次ステップS11では、前ステップの動作について上体の旋回速度や上体の傾き角度及び方向を多様に変化させて運動を観察する。そして、これによって上体下肢の平衡感覚についての情報を取得することができる。
【0222】
図50及び図51は上記図48のステップS5の一例を示すフローチャート図であり、ステップS1において対象者を測定台に乗せて台上で立位姿勢を維持してもらった後、次テップS2では運動について2つの場合分けを行い、ステップS3、S6のいずれかに進む。
【0223】
ステップS3に進んだ場合には測定台43の位置が基準位置に来るように上記駆動装置44を操作して初期状態を設定した後、次ステップS4で測定台を水平面に対して傾け、これに対する対象者の動作反応をみる。そして、ステップS5では測定台の傾動速度や傾き角度及び方向を多様に変化させて動作を観察し、各動作についての上記DB(三半規管神経パルスDB、運動ワイヤーフレームDB、運動重心位置DB)の生成及びリンクにより傾動変化に対する対象者の平衡感覚に関する情報を取得することができる。
【0224】
また、ステップS6に進んだ場合には測定台43の姿勢が水平に保持されるように駆動装置44を操作して初期状態を設定した後、図51のステップS7で測定台43の運動について3つの場合分けを行ってS8、S11、S14のいずれかのステップに進む。
【0225】
先ず、ステップS8に進んだ場合には、測定台43を水平方向(前後方向や左右方向)に移動させるとともに、次テップS9で測定台の移動を任意の時間で停止させ、この間における対象者の動作反応をみる。そして、ステップS10では測定台の加速度や移動方向、停止時間を多様に変化させて動作を観察し、各動作についての上記DB(三半規管神経パルスDB、運動ワイヤーフレームDB、運動重心位置DB)の生成及びリンクを行い、直線的な加速運動の開始時や急停止時に対象者が体位の安定化のためにとる挙動に関する情報を取得する。
【0226】
また、ステップS11に進んだ場合には、測定台43を水平面内で回転させるとともに、次テップS12で測定台の回転を任意の時間で停止させ、この間における対象者の動作反応をみる。そして、ステップS13では測定台の角加速度や回転方向、停止時間を多様に変化させて動作を観察し、各動作についての上記DB(三半規管神経パルスDB、運動ワイヤーフレームDB、運動重心位置DB)の生成及びリンクを行い、回転運動の開始時や急停止時に対象者が体位の安定化のためにとる挙動に関する情報を取得する。
【0227】
また、ステップS14に進んだ場合には、測定台43を水平にし又は水平面に対してやや傾けた状態にし、次ステップS15で測定台を水平面内で旋回させた後、次テップS16で測定台の旋回を任意の時間で停止させ、この間における対象者の動作反応をみる。そして、ステップS17では測定台の旋回の加速度や方向、停止時間を多様に変化させて動作を観察し、各動作についての上記DB(三半規管神経パルスDB、運動ワイヤーフレームDB、運動重心位置DB)の生成及びリンクを行い、旋回運動の開始時や急停止時に対象者が体位安定化するためにとる挙動に関する情報を取得する。
【0228】
尚、上記したステップS8、S11、S15等における測定台の運動変化についてはこれを予め決められた手順に従って規則的に行うこともできるが、角度や速度等の値を乱数によって指定することで測定台の動きが対象者にとって不測の動きとなるようにすることが好ましい。
【0229】
以上により対象者のバランス神経信号と身体バランスに係る動作情報を得ることができる。
【0230】
次に、上記した(D)神経に関するDBのうち、下記に示す運動神経に係るDBの作成について説明する。
【0231】
(l′)仮運動神経波形DB
(l)運動神経波形DB
尚、(l′)は確定前の運動神経波形DBであり、また、(l)は下記のDB(これらについては後述する。)に基づいて作成される。
【0232】
(m)末端神経波形DB
(n)筋電波形DB
(o)末端神経波周期DB
(p)筋電波周期DB
(q)末端神経波持久性DB
(r)筋電波持久性DB
(s)赤白筋比率DB
(t)対基準筋性能比DB
(u)補正運動神経波形DB
上記運動神経波形DBは末端神経波形や周期、筋電波形や周期等のデータを含んでおり、(m)乃至(u)のDBに関して、図52に示すような依存関係を有しており、最終的には運動ワイヤーフレームDB、運動重心位置DB、身体構造DBとリンクされる。
【0233】
図53及び図54は上記した図19のステップSS6の処理の一例を示すフローチャート図であり、対象者の3次元データの取得に関する処理と、運動神経波形DBの生成に関する処理とを並列的に示している。
【0234】
運動神経波形DBの生成に関する処理については、先ず、図53のステップS1において、測定装置として、筋電計、末端神経波形計測器、乳酸値測定計を設置して対象者に接続する。尚、これらの装置は図18の周辺装置5に含まれる。
【0235】
次ステップS2では、対象者に任意の運動を行ってもらい、このときの末端神経パルスの波形や筋電波形を末端神経波形計測器、筋電計によってそれぞれ測定する。そして、末端神経パルス波形の測定データから上記(m)末端神経波形DBを生成するとともに、筋電波形の測定データから上記(n)筋電波形DBを生成する。
【0236】
尚、対象者の3次元データの取得に関する処理としては、上記ステップS2に対応するステップSP1に示すように、ステップS2における対象者の運動に関して上記したデータ取得法を用いて対象者の3次元データを得る。また、その際、対象者の利き腕や利き足を区別して測定データを得ることが好ましい。
【0237】
ステップS3では、速度変化を伴う任意の運動を対象者に行ってもらい、このときの、末端神経波の周期や筋電波の周期を末端神経波形計測器、筋電計によってそれぞれ測定する。そして、末端神経波の周期に係る測定データから上記(o)末端神経波周期DBを生成するとともに、筋電波の周期に係る測定データから上記(p)筋電波周期DBを生成する。
【0238】
ステップS4では、継続的(あるいは持続的)な任意運動を対象者に行ってもらい、そのときの乳酸値を乳酸値測定計により測定するとともに、末端神経パルスの波形や筋電波形の周期を末端神経波形計測器、筋電計によってそれぞれ測定する。そして、末端神経パルス波形の測定データから上記(q)末端神経波持久性DBを生成し、筋電波形の周期に係る測定データから上記(r)筋電波持久性DBを生成する。
【0239】
次ステップS5では前ステップS4で測定して乳酸値が所定値を越えたか否かを判断し、乳酸値が所定値を越えていればステップS6に進み、そうでなければステップS4に戻る。
【0240】
ステップS6では、ステップS4の運動を終了し、運動時間を測定する。そして該測定結果から上記(s)赤白筋比率DBを作成する。
【0241】
図54のステップS7では、ステップS2乃至S4で行った運動の形態を2つに区分する。即ち、上記運動及び測定が特定の筋肉を対象として各別に行われたものか又は任意の筋肉について行われたものかによって場合分けを行い、前者の場合にはステップS8に進み、後者の場合にはステップS10に進む。
【0242】
ステップS8では、上記(t)対基準筋性能比DBを生成する。これは、所定の基準筋を設定したときにこれに対して各筋肉の性能を比率値として含むDBである。
【0243】
ステップS9では、これまでの工程から(m)乃至(t)のDBが得られているので、必要に応じて(u)補正運動神経波形DBからの補正用データを参照して仮運動神経波形DBを生成した後、ステップS13に進む。尚、(u)補正運動神経波形DBは、例えば、運動神経疾患により義肢等を要する対象者の人体構造モデルに必要なものであり、これについては後述する。
【0244】
ステップS10では上記した(m)乃至(t)のDBに基づいて仮運動神経波形DBを生成するとともに、既に作成されている身体構造DBから体格データ(体型形、身長、体重等を含むデータ)を得る。これによって体格データと仮運動神経波形DBとの組み合わせが出来上るので、対象者の数が増えるに従ってこれらのデータを蓄積することができる。
【0245】
次ステップS11では対象者の体格データに近似した体格データを仮運動神経波形DBに基づいて複数(例えば、3つ)選び出して、次ステップS12に進み、ここで仮運動神経波形DBについての平均化補正を行う。尚、平均化補正としては単純平均法に限らず、対象者の体格データと、選出した体格データとの近さを定量化した加重平均法を用いることができる。
【0246】
ステップS13では運動神経波形DBを作成する。つまり、ステップS9から本ステップに到達した場合には仮運動神経波形DBがそのまま運動神経波形DBとなるが、ステップS12から本ステップに到達した場合には平均化補正後の仮運動神経波形DBが運動神経波形DBとなる。そして、上記ステップSP1で取得されている対象者の3次元データに基づいてステップSP2では、運動ワイヤーフレームDB及び運動重心位置DBを生成するとともに、これと身体構造DBとを併せて運動神経波形DBにリンクする。
【0247】
次に、上記した(D)神経に関するDBのうち、下記に示す感覚神経に係るDBの作成について説明する。
【0248】
(v′)仮感覚神経波形DB
(v)感覚神経波形DB
尚、(v′)は確定前における仮の感覚神経波形DBであり、また、(v)は下記のDB(これらについては後述する。)に基づいて作成される。
【0249】
(m)末端神経波形DB
(n)筋電波形DB
(o)末端神経波周期DB
(p)筋電波周期DB
(w)痛覚温度DB
(x)痛覚圧力DB
(y)対基準感覚性能比DB
(z)補正感覚神経波形DB
感覚神経波形DBは末端神経波形や周期、筋電波形や周期、痛覚温度や痛覚圧力等のデータを含んでおり、上記(m)乃至(p)、(w)乃至(z)のDBに関して、図55に示すような依存関係を有しており、最終的には運動ワイヤーフレームDB、運動重心位置DB、身体構造DBとリンクされる。
【0250】
図56及び図57は上記図19のステップSS7の処理の一例を示すフローチャート図であり、対象者の3次元データの取得に関する処理と、感覚神経波形DBの生成に関する処理とを並列的に示している。
【0251】
感覚神経波形DBの生成に関する処理については、先ず、図56のステップS1において、測定装置として、筋電計、末端神経波形計測器、加熱器(温度センサを含む)、加圧器(圧力センサを含む)を設置して対象者に接続する。尚、これらの装置は図18の周辺装置5に含まれる。
【0252】
次ステップS2では、対象者に対して著しい熱さや痛さを感じない範囲内において一定温度での加熱や一定圧での加圧を行い、このときの末端神経パルスの波形や筋電波形を末端神経波形計測器、筋電計によってそれぞれ測定する。そして、末端神経パルス波形の測定データから上記(m)末端神経波形DBを生成するとともに、筋電波形の測定データから上記(n)筋電波形DBを生成する。
【0253】
次ステップS3では、対象者に対して前ステップS2での温度範囲や圧力範囲の制約を排除して加熱や加圧を行い、このときの、末端神経波の周期や筋電波の周期を末端神経波形計測器、筋電計によってそれぞれ測定する。つまり、前ステップS2では、対象者が回避行動を起さない程度の熱や圧力を加えているのに対して、本ステップでは加熱や加圧を介してから加熱温度や加圧量が高まると対象者が回避行動を起こす程度まで熱や圧力を加える。
【0254】
尚、本ステップでは末端神経波の周期に係る測定データから上記(o)末端神経波周期DBを生成するとともに、筋電波の周期に係る測定データから上記(p)筋電波周期DBを生成する。
【0255】
ステップS4では、痛覚による反射運動が開始したか否か、又は加熱温度や加圧量が所定値を越えたか否かを判断する。そして、反射運動が開始し又は加熱温度や加圧量が所定値を越えた場合には、ステップS5に進んで、そのときの加熱温度(痛覚温度)や加圧量(痛覚圧力)をそれぞれ測定する。そして、これらの測定データから上記(w)痛覚温度DBや(x)痛覚圧力DBをそれぞれ生成してステップS6に進む。
【0256】
また、反射運動が未だ開始しない場合又は加熱温度や加圧量が所定値を越えない場合には、ステップS3に戻る。
【0257】
尚、対象者の3次元データの取得に関する処理としては、上記ステップS2に対応するステップSP1に示すように、ステップS2乃至S4における対象者の挙動(例えば、痛覚のように激しい感覚を得たときの体位の回避運動)に関して上記したデータ取得法を用いて対象者の3次元データを得る。
【0258】
ステップS6では加熱や加圧を終了した後、図57のステップS7に進む。
【0259】
ステップS7では、ステップS2乃至S5で行った反射テストの形態を2つに区分する。即ち、テストが特定の感覚器官を対象として各別に行われたものか又は任意の感覚器官について行われたものかによって場合分けを行い、前者の場合にはステップS8に進み、後者の場合にはステップS10に進む。
【0260】
ステップS8では、上記(y)対基準感覚性能比DBを生成する。これは、所定の基準感覚器官を設定したときにこれに対する各感覚器官の性能比率を含むDBである。
【0261】
ステップS9では、これまでの工程から(m)乃至(p)、(w)乃至(y)のDBが得られているので、必要に応じて(z)補正感覚神経波形DBからの補正用データを参照して仮感覚神経波形DBを生成した後、ステップS13に進む。尚、(z)補正感覚神経波形DBは、例えば、脳疾患や神経破断等による運動神経疾患の対象者についての人体構造モデルに必要なものであり、これについては後述する。
【0262】
ステップS10では上記した(m)乃至(p)、(w)乃至(y)のDBに基づいて仮感覚神経波形DBを生成するとともに、既に作成されている身体構造DBから体格データを得る。これによって体格データと仮感覚神経波形DBとの組み合わせが出来上るので、対象者の数が増えるに従ってこれらのデータを蓄積することができる。
【0263】
次ステップS11では対象者の体格データに近似した体格データを仮感覚神経波形DBに基づいて複数(例えば、3つ)選び出して、次ステップS12に進み、ここで仮感覚神経波形DBについての平均化補正(単純平均方や加重平均法等。)を行う。
【0264】
ステップS13では感覚神経波形DBを作成する。つまり、ステップS9から本ステップに到達した場合には仮感覚神経波形DBがそのまま感覚神経波形DBとなるが、ステップS12から本ステップに到達した場合には平均化補正後の仮感覚神経波形DBが感覚神経波形DBとなる。そして、ステップSP1で取得されている対象者の3次元データに基づいてステップSP2では、運動ワイヤーフレームDB及び運動重心位置DBを作成するとともに、これと身体構造DBとを併せて感覚神経波形DBにリンクする。
【0265】
以上により、対象者(健常者)についての人体構造モデルを作成することができるが、運動神経疾患等の医療分野において患者の人体構造モデルを作成してこれを活用するとさらに有益である。
【0266】
図58は神経対神経の接続についての概念的な説明図である。
【0267】
同図は神経切断の場合における中枢神経と末端神経との接続例を示しており、中枢神経側に位置する神経の切断部が一方の神経接続装置45に接続され、また、末端神経側に位置する神経の切断部が他方の神経接続装置46に接続されている。尚、両神経接続装置の間は、これを電線で結ぶよりも光通信や無線通信等によって信号伝送を行うことができるように接続することが好ましい。
【0268】
また、「神経接続装置」とは、神経に接続して信号を取り出したり、あるいは神経に電気信号を供給するための神経接続素子を有する装置を意味する。
【0269】
図59は神経接続素子47の基本構成例を示すものであり、入出力ポート48、アナログ入力バッファ49、アナログ出力バッファ50、制御信号端子部51、52、そして入力端子部53、出力端子部54を備えている。
【0270】
神経に接続される入出力(I/O)ポート48は、神経信号を一次情報として取り込んだり、あるいは電気信号を神経に伝える役割を持っている。
【0271】
アナログ入力バッファ49は、その入力端子が入出力ポート48に接続され、また、その出力端子が出力端子部54に接続されている。尚、アナログ入力バッファ49は入出力ポート48側に設けられたインピーダンス変換部49aと、その後段に位置するアンプ49bとから構成され、制御信号端子部51からアンプ49bに送出される制御信号によってゲートの開閉が制御される。そして、アンプ49bの出力信号が、アナログ入力バッファ49の出力信号を取り出すための出力端子部54に送出される。
【0272】
アナログ出力バッファ50は、その入力端子が入力端子部53に接続され、また、その出力端子が入出力ポート48に接続されている。尚、アナログ出力バッファ50は入出力ポート48側に設けられたインピーダンス変換部50aと、その前段に位置するアンプ50bとから構成され、制御信号端子部52からアンプ50bに送出される制御信号によってゲートの開閉が制御される。そして、アナログ出力バッファ50に入力信号を供給するための入力端子部53への供給信号がアンプ50bに入力される。
【0273】
尚、インピーダンス変換部49a、50aは神経と電気回路との間でインピーダンスの整合をとるための回路である。
【0274】
この神経接続素子47ではアナログ入力バッファ49とアナログ出力バッファ50の両方を有しているが、場合によってはこれらのいずれか一方だけを設けても良い。また、各バッファ等の構造については集積化に適した構造であればその如何は問わない。
【0275】
制御信号端子部51、52は、アナログ入力バッファ49やアナログ出力バッファ50を制御するための制御信号を各別に供給するが、これらの制御信号端子部を一個にして信号の切換手段を介してアナログ入力バッファ49又はアナログ出力バッファ50に選択的に制御信号を送出する構成を用いることもできる。
【0276】
しかして、上記神経接続素子47においては、制御信号端子部51からアナログ入力バッファ49に供給される制御信号によって、入出力ポート48からアナログ入力バッファ49を介して出力端子部54に信号を出力するか否かが規定される。また、制御信号端子部52からアナログ出力バッファ50に供給される制御信号によって、入力端子部53からアナログ出力バッファ50を介して入出力ポート48に信号を出力するか否かが規定される。
【0277】
例えば、入出力ポート48が運動神経に接続されている場合に、入力端子部53を介して電気信号をアナログ出力バッファ50のアンプ50bに入力するとともに、制御信号端子部52からアンプ50bに送出される制御信号によってアンプ50bの出力がインピーダンス変換部50aに伝達されることが許可され、入出力ポート48を介して運動神経に信号が伝達される。尚、その際には、アナログ入力バッファ49が機能しないように制御信号端子部51からアンプ49bに制御信号を送出することによりインピーダンス変換部49aから出力端子部54への信号伝達が禁止されるようにしておく必要がある。
【0278】
入出力ポートと神経との接続については、神経の構造を考慮して入出力ポートの構造や材質等を決定する必要がある。
【0279】
神経の構造を簡単に説明すると、神経細胞の構成単位であるニューロン(neuron)が細胞体、樹状突起、軸索で構成されており、軸索の髄鞘の有無によって神経繊維が有髄繊維と無髄繊維とに区別される。
【0280】
そして、髄鞘は、例えば、中枢神経ではオリゴデンドログリア(oligodendroglia)が軸索に幾重にも巻き付き、また末梢神経ではシュワン細胞(Schwann cell)が軸索に幾重にも巻き付いたものであり、電気抵抗が高く、軸索を周囲から電気的に絶縁している。また、髄鞘のくびれた箇所はランビエの絞輪(node of Ranvier)と呼ばれ、電気抵抗が低いため、ここに電気が流れる。
【0281】
つまり、神経繊維の興奮はランビエの絞輪の部分で起こり、該興奮が絞輪から絞輪へと伝導し(これを跳躍伝導と称する。)、また髄鞘の存在によってその伝達速度が飛躍的に増大する。そして、伝導則には、隔絶伝導(ある神経繊維の興奮が隣接神経には伝導しない。)、両方向性伝導(神経繊維の一点で興奮が起きたときに、該興奮が中枢側(細胞体側)と末梢側の両方向に伝わる。)、不減衰伝導(活動電位の大きさが一定であり、減衰しない。)、等速伝導(神経繊維の径が一定であれば伝導速度が一定である。)が挙げられる。
【0282】
そこで、これらの事項を踏まえた上で、多数の神経接続素子を一つのウェハー上に配列させる。例えば、図60に示す神経接続装置55においては、これを構成するIC基板56上に多数の神経接続素子が設けられており、これらの入出力ポート48、48、・・・が平面的に配列されている。尚、図60は入出力ポート48、48、・・・が設けられたIC基板56の面に神経の切断部57が接合された様子を概略的に示しており、IC基板56の周縁及び神経束皮膜58の外周縁がネット59によって覆われることで装置と神経とが物理的に結合されている。また、同図におい軸索60の周囲の部分61が髄鞘を示しており、髄鞘のくびれた部分がランビエの絞輪(例えば、破線の円62内に示す。)を示している。
【0283】
図60において実線の円内に示す軸索との接合部63の要部を、接合面に直交する方向から見て拡大したものが図61に示す概略図である。
【0284】
同図において6角形状をしたものがそれぞれ入出力ポートであり、微細なハニカム構造とされている。そして、神経接合面に直交する方向から見た各神経接続素子の入出力ポート48、48、・・・は、髄鞘との物理的な癒着が容易な絶縁体で形成された仕切部64、64、・・・によって仕切られている。
【0285】
図62(A)は入出力ポート48の断面構造を概略的に示したものであり、半導体基板(シリコン基板等)65上には絶縁層66a(例えば、酸化シリコン等)と導電層66bが形成されるとともに、これらの上層にハニカム構造体を構成する仕切部64が形成されている。
【0286】
そして、仕切部64によって囲まれた部分には、ナトリウムイオンやカリウムイオン等を吸着させるためのイオン吸着材67(例えば、水素吸蔵合金等。)が設けられており、仕切部64及びイオン吸着材67の表面には、ナトリウムイオンやカリウムイオン等を選択的に透過させる選別手段68(選択透過膜等のセパレータ。)が設けられている。
【0287】
これによって、選別手段68を通して特定のイオンがイオン吸着材67に吸着された後導電層66bに到達することになるので、神経切断部が導電層(金属材料等)に直接触れる構成を用いる場合のように金属アレルギー反応等を伴うといった不都合を防ぐことができる。尚、イオンが出ない時には上記イオン吸着材67を導電ポリマーとすることで同様に金属アレルギー反応等を防ぐことができる。
【0288】
選別手段68は、例えば、メッシュ68a(例えば、セラニーズ社製の「セルガード」(商標)等。)及び該メッシュ68aの表層に設けられた蛋白質接着剤68b(シュワン細胞やオリゴデンドログリア等の電気抵抗が高い部分との結合を図り、他神経との接続部の信号と重複しないようにするためのもの。)によって構成されており、表面から上記イオン吸着材67に達する微細孔68c、68c、・・・が形成されている。
【0289】
尚、仕切部64について微細なハニカム構造を得るには、例えば、電子ビーム露光技術や陽極酸化技術等を用いれば良い。
【0290】
また、イオン吸着材67を必要としない場合には、例えば、図62(B)に示すように、絶縁層66a及び導電層66bの上層に上記選別手段68を設け、微細孔68c、68c、・・・からイオンが導電層66bにそのまま到達する構造を用いることができ、これによって構成の簡単化を図ることができる。このような構造は、例えば、神経の実験等に使用することができる。
【0291】
図61に示す2つの同心円69、70のうち小さい方の円69の内部が軸索に対応する領域を表しており、該円69と大円70との間の領域がランビエの絞輪に対応する部分を表している。
【0292】
尚、各入出力ポートの外径はランビエの絞輪の厚みより小さくされている。また、入出力ポートの形状については上記IC基板56の面上を隙間なく埋めつくすことができれば如何なる形状であっても良いが、接続面積や強度等の観点からは6角形が好ましい。
【0293】
図63乃至図65は入出力ポートと軸索との接続関係についての設定を変化させた例を示したものである。尚、これらの図において、各ポート内に記した「inX」は識別番号Xの入出力ポートが入力ポートであること、また、「outX」は識別番号Xの入出力ポートが出力ポートであることをそれぞれ示しており(「out」は入出力ポートが出力ポートであることを単に示す。)、「HZ」は入出力ポートと軸索とが高インピーダンスで結合していることを示している。
【0294】
図63では円69の中心に位置する入出力ポート71が出力ポートとして機能し、また、該ポートの周囲に位置する6個の入出力ポート72、72、・・・が入力ポートとして機能するように、各制御信号端子部に信号が送出される。従って、この場合には軸索の中心部に電気信号を供給したり、その周囲の神経信号を取得することができる。
【0295】
また、図64に示す例では、円69の中心に位置する「HZ」のポート73の周囲に6個の出力ポート74、74、・・・が配置され、さらにその周囲に12個の入力ポート75、75、・・・が配置されている。従って、この場合には円69のすぐ内側の軸索に電気信号を供給したり、円69のすぐ外側の部分から神経信号を取得することができる。
【0296】
図65に示す例では、円69内に位置する7個のポート76、76、・・・(HZ)の周囲に12個の出力ポート77、77、・・・が配置され、さらにその周囲に18個の入力ポート78、78、・・・が配置されている。従って、この場合には円69の外側近辺の軸索に電気信号を供給したり、その周囲の部分から神経信号を取得することができる。
【0297】
このように、多数の神経接続素子を基板上に配列するとともに、各神経接続素子の入出力ポートが、制御信号端子部に供給する信号に応じて入力ポート又は出力ポートとして選択的に指定されるように構成すると、ポートの配置を自由に組み換えることができるので径や形状等の異なる各種の神経への接合に対応することができる。
【0298】
尚、図60に示す神経接続装置55への信号の供給あるいは神経接続装置55から別の神経接続装置等への信号伝送については、光ファイバーケーブル79を用いて有線方式とするかあるいは無線伝送を用いることが好ましい。
【0299】
上記神経接続装置55を使用する場合には、中枢神経部のウォーラー(Waller)変性が発生した後における信号線名(神経名)が把握された神経(髄鞘で囲まれた神経繊維の軸索断面における神経)と入出力ポートとを接触させて、入出力ポートの仕切部と髄鞘との間には絶縁結合を誘発させ、選別手段の表面と髄鞘との間には物理的結合を誘発させる。
【0300】
また、入出力ポートと神経切断面との接合時において、医療用接着剤を使用する場合には、該接着剤によって選別手段68の微細孔68cが閉塞されないように注意する必要がある(例えば、図62において選別手段68の表層に医療用接着剤を塗布した後、メッシュ68aを引き延ばして微細孔68cの開口を確保する等。)。
【0301】
ところで、上記神経接続装置55に接続される神経の形態は多種多様であるので、当該神経に対してポートの配置(入力ポートや出力ポート等の選択)を適切に規定する必要がある。
【0302】
そこで、例えば、図66の神経接続装置55Aに示すように、上記神経接続素子47に接続される制御部80としては、各神経接続素子47の入力端子部53、出力端子部54、制御信号端子部51、52にそれぞれ接続される接続端子部(81乃至84)を設けるとともに、神経接続素子47と神経との間の絶縁状態又はインピーダンスを検出するための絶縁/インピーダンス認識部85と、神経接続素子47の出力端子部54に接続された接続端子部81を介して取得した信号を認識するための神経パルス認識部87と、神経パルスの擬似信号を発生させてこれを神経接続素子47の入力端子部53に送出する神経パルス発生部91とを設ける。
【0303】
そして、神経接続素子47の制御信号端子部51、52に制御信号を送出して当該神経接続素子47の入出力ポート48の機能を入力ポート又は出力ポートとして設定するとともに、ポートの設定状態を記憶するための接続パターン設定/記憶部94を設ける。
【0304】
制御部80は、上記神経接続素子47の入力端子部53や出力端子部54、制御信号端子部51、52にそれぞれ接続するための接続端子部(81乃至84)を有しており、互いに対応関係にある端子部同士がFPGA(Field Programmable Gate Arrayの略)配線によって接続されている。尚、図66では説明の簡単化を図るために神経接続素子の1つだけを取り出して制御部80との接続関係を代表して示している(実際には後述する部分80aをIC回路内に多数形成しておき、使用する部分80aの数や位置を接続対象となる神経数に応じて設定して、これらの部分と、図59に示す構成の神経接続素子47のうち各神経に接続されているものとをそれぞれFPGA配線で接続する。)。
【0305】
上記したように神経接続素子47は神経から信号を取得する経路と、神経に信号を送出する経路とを有しているので、先ず、前者について説明する。
【0306】
図示するように、神経接続素子47の出力端子部54は、接続端子部81に接続されており、該接続端子部81が絶縁/インピーダンス認識部85を介してA(アナログ)−D(ディジタル)変換部86に接続されている。尚、絶縁/インピーダンス認識部85は、神経と神経接続素子との間が電気的絶縁状態であるか否か及び両者間のインピーダンスを把握するために設けられている。
【0307】
A−D変換部86の出力信号は、神経パルス認識部87に送出されて神経パルスの形状、伝導速度、種別等が判別される。そして、神経パルス認識部87の出力信号は外部出力インターフェース部88を介して外部装置89に送出される。尚、外部装置89には、例えば、義肢の駆動装置や、神経情報をデータベース化して管理する装置等が挙げられる。
【0308】
神経に信号を送出する経路については、外部装置89の発する信号が外部入力インターフェース部90を介して神経パルス発生部91に送出される。該神経パルス発生部91は神経信号の擬似信号を生成してこれをD(ディジタル)−A(アナログ)変換部92を経た後ドライブバッファ93に送出する。そして、該ドライブバッファ93の出力信号が接続端子部82から神経接続素子47の入力端子部53に送出される。
【0309】
神経接続素子47の制御信号端子部51、52にそれぞれ接続された接続端子部83、84には接続パターン設定/記憶部94からの制御信号が送出される。該接続パターン設定/記憶部94は、各神経接続素子47の制御信号端子部51、52に制御信号を送出することによって入出力ポートの機能を決定し、決定後における各ポートの配置状態を記憶する。
【0310】
尚、図66に破線の四角形枠で囲んで示す部分80aを1つのセル内に収めるとともにこれを複数設けて各神経接続素子にそれぞれ接続し、接続パターン設定/記憶部94についてはこれを1個にして各神経接続素子の設定状態を集中的に管理することが好ましい。また、上記神経接続装置55Aはコンピュータ等の計算手段を用いて構成することができ、例えば、接続パターン設定/記憶部94の処理内容は制御プログラム95により記述することができる。
【0311】
上記神経接続装置55Aを、例えば、中枢側の運動神経に対して使用する場合には、接続パターン設定/記憶部94によって各神経接続素子47の入出力ポート48が入力ポートとして機能するように設定した後、運動神経から発生した電気信号をA−D変換部86でディジタル化した後データを外部装置89に伝達する。
【0312】
また、この装置55Aを末端側の運動神経に対して使用する場合には、接続パターン設定/記憶部94によって各神経接続素子47の入出力ポート48が出力ポートとして機能するように設定した後、神経パルス発生部91からの電気信号をD−A変換部92でアナログ信号に変換して運動神経に伝達する。
【0313】
そして、この装置55Aを感覚神経に対して使用する場合には、中枢側の神経接続素子の入出力ポートを出力ポートとして機能させ、末端側の神経接続素子の入出力ポートを入力ポートとして機能させるようにポートの設定を行えば良い。
【0314】
上記神経接続装置55Aに接続される実際の神経切断面における神経は、多数の神経が集積された神経群として存在するため、単独の神経を取り出して装置に接合することは困難である。
【0315】
従って、神経切断面において不規則に配列された神経群の種別を詳細に把握する必要があるので、以下では神経種別の認識及び入出力ポートの設定処理例を図67乃至図70のフローチャート図に従って説明する。
【0316】
先ず、図67のステップS1では数ある神経接続素子の中からある素子を選択した後、次ステップS2では前ステップで選んだ神経接続素子の入出力ポートが出力ポートとして機能するように仮設定を行う。例えば、図63に示すように入出力ポート71を出力ポートに設定する。
【0317】
そして、次ステップS3では、前ステップS2で選択した入出力ポートの周囲に位置する入出力ポートが入力ポートとして機能するように仮設定を行う。例えば、図63に示す例では入出力ポート71の周囲の入出力ポート72、72、・・・を入力ポートに設定する。
【0318】
ステップS4では出力ポートに加えるテスト電流の種類を直流電流と交流電流の2種類に区別し、テスト電流を直流電流とする場合にはステップS5に進んで出力ポートに対して直流電流の供給を試みた後ステップS7に進む。また、テスト電流を交流電流とする場合にはステップS6に進んで出力ポートに対して交流電流の供給を試みた後ステップS7に進む。
【0319】
ステップS7では、ステップS3で設定した全ての入力ポートについて高インピーダンスかつ高インダクタンスであるという認識結果が上記絶縁/インピーダンス認識部85によって得られるか否かを判断する。そして、当該認識結果が得られた場合には図68のステップS10に進み、そうでなければステップS8に進む。
【0320】
ステップS8では前ステップS7で導通状態又は低インダクタンスと判断された部分に対して高インピーダンスかつ高インダクタンスとなるまでテスト領域を拡大する(例えば、図64や図65に示すポート(HZ)73、76を参照。)。
【0321】
そして、図68に示す次ステップS9で全ての入力ポートについて高インピーダンスかつ高インダクタンスであるという認識結果が得られるか否かを判断する。そして、当該認識結果が得られればステップS10に進み、そうでなければ図67のステップS8に戻る。
【0322】
ステップS10では、髄鞘との接続領域に関する地図(以下、「髄鞘接続領域地図」という。)を仮作成する。つまり、入出力ポートと髄鞘との接続関係を識別するための情報を地図データとして得る。
【0323】
次ステップS11ではこれまで行ってきたテストを終了して入出力ポートの設定状態を記憶した後、次ステップS12では神経接続装置の全ての入出力ポートについて上記のテストが終了したか否かを問い、終了した場合にはステップS13に進んで作成済の髄鞘接続領域地図を確定する。また、テストが未終了の場合にはステップS14に進んで未だテストを終えていないポートを選択した後、図67のステップS2に戻る。尚、ステップS14におけるポートの選択や、図67のステップS2、S3でのポートの設定はステップS11での記憶情報を参照して行われる。
【0324】
ステップS15では神経の切断面での神経信号の認識を開始し、図69に示す次ステップS16では入力ポートから得られる神経信号に基づいて入出力ポートのうち下記の2通りの領域に対応するものを抽出する。
【0325】
(A)導通領域及び低インダクタンス領域
(B)非導通領域で囲まれた領域及び高インダクタンス領域で囲まれた領域
そして、次ステップS17では前ステップS16の領域の形状がほぼ円形状をしているか否かを判断し、そうであればステップS21に進み、そうでなければステップS18に進む。
【0326】
ステップS18ではステップS16の領域の形状がほぼ瓢箪形をしているか否かを判断し、そうであればステップS19に進み、そうでなければステップS20に進む。
【0327】
ステップS19では瓢箪形をした領域を複数の円形領域に再分割した後、ステップS21に進む。また、ステップS20では対象領域を髄鞘領域から除外した後ステップS21に進む。
【0328】
尚、ステップS18やS19については、入出力ポートの大きさが充分に小さい場合には不要であり、このときにはステップS17で領域の形状がほぼ円形状をしていないと判断されたときにステップS20に進むことになる。
【0329】
ステップS21では対象領域を髄鞘領域と判断してこれに識別番号を割り当てた後、図70に示す次ステップS22では当該髄鞘領域に対して使用される入出力ポートの番号(各ポートに予め付されている識別番号)を把握し、これらの番号の組みと髄鞘領域に付した識別番号とを関連付け、これを記憶する。尚、その際の入出力ポートについては、髄鞘領域の中央部に位置する一定数のポートに限られる。
【0330】
次ステップS23では、上記ステップS21の髄鞘領域に対して使用されている入出力ポートの数をカウントした後、ステップS24に進んで当該髄鞘領域の面積を推定する。
【0331】
そして、ステップS25において髄鞘領域のデータをその面積順に並べ替える。例えば、面積の大きい順に髄鞘領域の識別番号をインデックスとしてソーティング処理を行う。
【0332】
次ステップS26では髄鞘領域の識別番号に対して神経種別の情報を関連付けする。その際には、神経情報に関する既存のデータベースを用いるとともに、神経切断面における髄鞘の種類や本数等を認識し、下表(医学書から抜粋したもの)等を参照しながら神経種別の情報を選定する。
【0333】
【表4】
Figure 0003896665
【0334】
【表5】
Figure 0003896665
【0335】
尚、表4は神経種別とのその関連情報を示したものであり、また、表5は神経種別と受容器との対応関係を示したものである。
【0336】
髄鞘領域の面積によってはこれに割り当てる神経種別情報が重複する場合が生じるが、入出力ポートを出力ポートとして指定する種別情報を優先させることが好ましい。但し、他の種別情報を切り捨てるのではなく、次の候補として残しておき、後発的な事態に対して優先順位を変更することができるように配慮することが望ましい。
【0337】
ステップS27では各神経接続素子についての入出力ポートを仮に設定した後、ステップS28で制御プログラム95を仮作成する。
【0338】
以上の手順に従って、例えば、図63乃至図65に示すように軸索との結合部における入出力ポートの接続パターンを変化させていくことで当面のポート配置を決めることができる。つまり、図63乃至図65が神経接続素子の入出力ポートと髄鞘との接続位置を検出するための検出パターンを示す図であると考えれば良い。
【0339】
前記した図58では神経対神経の接続例について説明したが、これに限らず、例えば、図71に示す接続例を挙げることができる。
【0340】
図71は脳性麻痺(下半身不随等)の場合における中枢神経と末端神経との接続例を示しており、中枢神経側に位置する神経が神経接続装置96に接続されている。また、末端神経側に位置する神経の一方(例えば、手部の神経)が神経接続装置97に接続され、他方の神経(例えば、背骨より下の下半身にかけての神経)が神経接続装置98に接続されいる。
【0341】
そして、神経接続装置96、97、98は切換部99に接続されるとともに、該切換部99は選択制御部100からの制御信号によって、神経接続装置96を、神経接続装置97又は98に選択的に接続するために設けられている。
【0342】
図72は手の神経信号を代用して下肢を動かす場合において関節の対応関係を示すものであり、右手における第2指(人差し指)の第1関節101が左足首の関節に、第2指の第2関節102が左脚の膝関節に、第2指の第3関節103が左脚の股関節にそれぞれ対応している。そして、右手における第3指の第1関節104が右足首の関節に、第3指の第2関節105が右脚の膝関節に、第3指の第3関節106が右脚の股関節にそれぞれ対応しており、右手首の関節107が腰関節に対応している。
【0343】
図71において、選択制御部100から切換部99に送出される制御信号により信号切換が行われ、例えば、神経接続装置96と神経接続装置98とが接続されると、本来は手部の神経に伝達されるべき信号が下半身に伝達されるためこれを動かすことができる(この場合、下半身の神経や体の機能等に損傷はないから。)。
【0344】
また、図73は体内に埋め込まれて用いられる義肢(破線の四角形枠は皮膚を表している。)の接続例を示すものであり、神経接続装置108が中枢神経側に位置する神経に接続されるとともに、神経接続装置109を介して信号変換器110に接続され、かつ他の末端神経に接続されている。
【0345】
信号変換器110は、義肢の駆動装置及び人工触覚器(圧力や熱等をセンサによって感知する装置)111に接続されており、神経接続装置109からの信号を受けてこれに対応する制御信号を駆動装置に送出して義肢を動かしたり、あるいは、人工触覚器で得た感覚信号を神経信号に変換して神経接続装置109に送出するものである。
【0346】
図74は体外で用いられる義肢の接続例を示すものであり、神経接続装置112が中枢神経側に位置する神経に接続されるとともに、神経接続装置113を介して信号変換器114に接続され、かつ他の末端神経に接続されている。そして、信号変換器114は、義肢の駆動装置及び人工触覚器(圧力や熱等をセンサによって感知する装置)115に接続されている。尚、この例では、神経接続装置112、113が破線の四角形枠で示す皮膚内に設けられ、信号変換器114や、義肢の駆動装置及び人工触覚器115が体外に付設される。
【0347】
上記した神経接続例において、神経接続装置間の信号伝達あるいは神経接続装置と信号変換器との間の信号伝送が、対象者の疾患前の状態と全く等価な状態で行われるのであれば何の問題はないが、義肢等を接続した当初から本人の意思通りに動くことはまずあり得ないため、失われた機能を回復するためには、疾患前と等価な状態を再現して機能を補完するための調整がリハビリテーションにとって必要となる。ところが、これを試行錯誤で行っていたのでは当人が義肢等をある程度思うように動かせるようになるまでにはかなりの時間を要することになる。そこで、本人の人体構造モデル若しくは本人の体型形データに最も近似する人体構造モデルを用いて、神経波の伝達に関する情報(波形の形状や歪み、ディレイ量等)を推定することにより、調整時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0348】
図75及び図76は、義肢等を要する運動神経疾患において運動神経及び触覚神経に関する神経信号の擬似信号を生成する処理や、脳疾患や神経破断等による運動神経疾患において運動神経及び触覚神経の信号を補完するための処理を示すフローチャート図である。
【0349】
先ず、図75のステップS1において、上記した神経接続法によって神経と神経との間、あるいは神経と義肢等との接続を行う。尚、神経接続装置間や神経接続装置と信号変換器との間を光ケーブルで接続する場合には該光ケーブルを張り巡らす際のテンションを考慮する必要がある。例えば、末端部と中枢部の神経に関して上腕の場合には関節の駆動によって数十mmの収縮が生じるため、神経接続装置と光ケーブルとの間で応力が集中する虞がある。よって、このような場合には、光ケーブルに弛みを持たせたり、あるいは収縮性の良好な材料で光ケーブルを作成し、あるいは光ケーブルを螺旋巻きにしてコイル状とする等、弾性化の加工を行うことが望ましい。また、神経の収縮は一般に関節の周辺部で顕著に発生するので、関節部やその周辺の対偶に対して充分な弾性化加工を行うことが望ましい。
【0350】
次ステップS2では、感覚神経と神経接合部(上記神経接続素子が接続された部位)との間における神経接続の出力パターン設定(出力ポートの設定)を、上記感覚神経波形DBを参照して行う。即ち、末端神経波形(擬似信号)をディジタル波形若しくはアナログ波形として出力した後、感覚強度に応じてその出力波形の周期を変更する。尚、感覚強度と周期とは反比例の関係を有しているので、周期の変更には同期クロック信号を変更する方法又は波形出力のタイミングを変更する方法を用いる。
【0351】
そして、感覚神経の反応部と神経の切断面との距離に基づき波形にディレイ量(遅延時間)を付与する。尚、ディレイ量は信号伝達に要する距離、神経の太さや種類等によって決まる。また、ディレイ量の付与の仕方については、これを各触覚部の信号出力時に設ける方法や各触覚部の出力情報に対して触覚部の位置を考慮したディレイ量を神経接合部において付与する方法等が挙げられる。
【0352】
ステップS3は、図71、図72に示したように他の部位の神経信号を利用する場合における信号補完処理であり、上記感覚神経波形DBを参照して行われる。例えば、他の部位の感覚神経と、補完したい感覚神経とを仮に接続した後、前述したような加圧・加熱試験を行うことによって対象者の感覚を把握する。そして、感覚の最大値を取得し、これと感覚神経波形DBからのデータとを比較し、両者間の差異を求め、これに基づいて上記補正感覚神経波形DBを生成若しくは再生成する。図55に示したように、感覚神経波形DBは補正感覚神経波形DBによるフィードバックを受け、新たな感覚神経波形DBが生成されるため、これから得られるデータと対象者の感覚の最大値とをさらに比較するといった手続を繰り返していくことによってモデル誤差が最終的には許容範囲内に収束していくことになる。
【0353】
ステップS4は感覚神経強度について認識する工程であり、上記感覚神経波形DBを参照して行われる。例えば、指先等のように最大の感覚感度を有する部位毎に、あるいは、各感覚認識部や各対偶の感覚認識部毎に加圧・加熱試験を行ったり、感覚器等の神経接続領域毎に加圧・加熱試験を行って対象者の感覚を把握する。そして、前ステップの場合と同様に感覚最大値を取得して、これと感覚神経波形DBからのデータとを比較し、両者間の差異を求め、これに基づいて上記補正感覚神経波形DBの生成若しくは再生成を繰り返すことでモデル誤差が低減され、信号補完がより確実なものとなる。
【0354】
ステップS5及びS6は運動神経等に係る擬似信号の生成に関する処理であり、ステップS5では運動神経と義肢の駆動部との間の神経波形の把握や制御パターン設定(入出力ポート設定)を、上記運動神経波形DBを参照しながら行う。即ち、先ず、末端神経波形をディジタル波形として取得してこれを認識する。これには検出波(アナログ波形)を逐次にA−D変換する方法の他、検出波のレベルが所定の閾値を越えた区間についてのみ信号の量子化を行う方法等が挙げられる。その後、運動の強度によって変化する神経波の周期を取得する。尚、運動の強度と周期とは反比例の関係があるので、周期の取得にあたっては検出波のレベルが所定の閾値を越えた区間における間隔として取得する。それから運動神経の反応部と神経の切断面との距離に基づき波形にディレイ量を付与する。尚、ディレイ量の付与の仕方については、これを各神経接合部に対して設けることでその信号出力のタイミングを規定する方法や各駆動部の出力情報に対して当該駆動部の位置を考慮したディレイ量を駆動部に付与する方法等が挙げられる。
【0355】
ステップS6は運動神経強度について認識する工程であり、上記運動神経波形DBを参照して行われる。
【0356】
図76は処理例を示すフローチャート図であり、先ず、ステップS1において上記した3次元データの取得方法に必要な装備を設置した後、ステップS2に進む。
【0357】
ステップS2の段階では未だ義肢を接続せずに、対象者の運動神経波についてモニタリングを行う。尚、その際には感覚神経による影響を極力低減するために、例えば、アイマスクによる目隠しあるいは対象者の頭部に取り付けたヘッドマウントディスプレイ(所望の画像を特定者の視野内だけに映し出す表示装置であり、図77に示す装置116を参照。)の画面を暗黒にする等の処置を講じる。
【0358】
そして、ステップS3では対象者に各関節について最大量(角度)での継続的運動を実行してもらう。尚、図71及び図72に示したように他の部位の神経信号を利用する場合には、当該部位(例えば、手部)の関節毎に最大限度での継続的運動を実行する。
【0359】
ステップS4では、事前に記録しておいた関節運動の動画像を、対象者の頭部に取り付けたヘッドマウントディスプレイ上に対象者の実画像データと重ねて表示(立体表示等。)し、対象者には当該運動を知覚認識した通りのイメージでこの運動を模倣してもらう。尚、このときの運動について対象者の3次元データを取得する。
【0360】
例えば、図77の下方に図示するように、右手首の切断という疾患を有する対象者がヘッドマウントディスプレイで見たときの自己の上肢の実画像RAに対して、3次元グラフィックで表示した右手首から先の部分の仮想的映像VHを重ね、右腕の動きに動きに合わせて当該仮想的映像を動かすことによって、対象者に運動を知覚認識してもらうことで仮想現実感を得る方法が挙げられる。
【0361】
ステップS5では対象者の運動(義肢なし)が安定して運動神経波形が一定のパターンを示すまでになったか否かを判断し、なっていればステップS6に進み、そうでなければステップS4に戻って運動を繰り返す。
【0362】
ステップS6では運動神経波形についての補正(最大値補正)処理を行う。即ち、上記したように人体構造モデルでは運動神経波形DBと運動ワイヤーフレームDB等とがリンクされるので、対象者について作成されている人体構造モデルに基づいて、その運動神経波形DBによるデータとステップS4で得た対象者の3次元データとから、関節の最大運動時における神経波形の推定値を得ることができる。そして、これと実際の神経波形との差異を求める処理を何回か行うことより上記補正運動神経波形DBを生成若しくは再生成する。
【0363】
ステップS7では、図73や図74に示したように神経接続を行い、対象者に義肢を接続する。
【0364】
そして、次ステップS8では上記ステップS4と同様の運動を行ってもらい、当該運動に関して対象者の3次元データを取得する。
【0365】
ステップS9では、運動神経波形DBから得られるデータと、実際に義肢を装着した状態でのデータとの間の相違を補正するために、補正運動神経波形DBを再生成する。例えば、対象者が関節を90°の角度をもって曲げようとしているにも関らず、実際には、70°程度しか曲がっていないとすると、この20°の差異をゼロに近づけるための補正データを補正運動神経波形DBに反映させる。
【0366】
ステップS10では、対象者に各関節毎に速度変化を伴う運動を実行してもらい、次ステップS11では、対象者のヘッドマウントディスプレイ上に予め用意した各関節動作の運動に関する動画像を表示し、対象者にはこれを見ながら当該運動を模倣してもらい、次ステップS12で反応速度に関するデータ補正を行う。その方法はステップS9の場合と同様であるが、本ステップでは運動の速度に関心があるために、対象者がヘッドマウントディスプレイ上に示された運動速度をもって義肢を動かすことができるか否か、つまり、速度差をゼロに近づけるための補正データを補正運動神経波形DBに反映させる。
【0367】
以上のように補正運動神経波形DBはステップS9やS12において再生成(データ更新)されることになるが、図52に示したように、運動神経波形DBは補正運動神経波形DBによるフィードバックを受け、新たな運動神経波形DBが生成されるため、これから得られるデータと対象者の運動神経についての推定値とをさらに比較するといった手続を繰り返していくことによってモデル誤差が最終的には許容範囲内に収束していくことになり、対象者のほぼ思い通りに義肢を操ることができるようになる。最終的に確定した運動神経波形DBのデータを図73や図74の信号変換部110、114に組み込んで信号伝達を制御することで、対象者は現時点での最良と思われる義肢の駆動制御を手に入れることができる。勿論、その後に何等かの不具合が生じた場合あるいは改良された義肢に取り換える場合等において、対象者の人体構造モデルをその都度更新したり、モデル精度を高めていくことができる。
【0368】
尚、図75のステップS2やS5に関して上記神経接続装置における入出力ポートの設定や制御プログラム95を確定するにあたっては、例えば、図77に示すように対象者TGにヘッドマウントディスプレイ116を装着するとともに、上記した3次元データ取得方法に必要な装備(上記干渉縞発生・読取装置等)を設置する。尚、対象者の一方の腕に体疾患がある場合には義肢を装着し、また腕に神経疾患がある場合にはそのままとする。
【0369】
そして、対象者がその腕や義肢における感覚場所を指定するためには、例えば、腕や義肢の表面を覆う接触センサー117を付設し、他方の腕の端部に設けた指示部材118を接触センサー117に接触させて場所を特定する方法や、接触センサーを設けることなく指示部材118として上記した重心位置検出用マーカーと同様のマーカーを用いて対象者の3次元データからマーカー位置を特定する方法が挙げられる。
【0370】
図78及び図79は入出力ポートの設定状態及び制御プログラムの確定のための手順例を示すフローチャート図である。
【0371】
先ず、図78のステップS1において感覚神経の接続を確認した後、次ステップS2では神経種別が感覚神経であると認識されている入出力ポートの領域を選び出し、次ステップS3で当該領域の出力ポートに微弱な信号を供給して神経に感覚信号を伝える。尚、信号生成にあたっては上記感覚神経波形DBを参照する。
【0372】
ステップS4において対象者に感覚反応があるか否かを判断し、反応が認められればステップS6に進み、また、反応が認められない場合にはステップS5に進み、上記ステップS2の選択領域について神経種別を感覚神経であるとしたことに原因があるので、対象領域の神経種別を運動神経に変更した後ステップS2に戻る。
【0373】
ステップS6では上記指示部材118によって感覚反応のある場所を対象者に指定してもらう。即ち、接触センサーを用いた方法では、指示部材118を感覚反応のある場所での接触センサーに接触させることで場所を指定し、また、上記重心位置マーカーと同様の指示部材を用いる方法では当該指示部材により感覚反応のある場所を指示してもらい、その状態における対象者の3次元データから場所を特定する。
【0374】
次ステップS7では、上記感覚神経波形DBを参照しながら対象領域についての感覚神経名を特定する。
【0375】
そして、ステップS8において未だ特定されていない領域があるか否かを問い、全ての領域について神経種別が特定された場合には図79のステップS9に進み、そうでなければステップS2に戻る。
【0376】
ステップS9では運動神経の接続を確認した後、次ステップS10において神経種別が運動神経であると認識されている入出力ポートの領域を全て選び出す。
【0377】
そして、次ステップS11ではヘッドマウントディスプレイ116上に規定の運動を表示する。尚、その際、上記運動ワイヤーフレームDBや運動重心位置DBを参照する。
【0378】
ステップS12では前ステップで表示した運動を対象者に模倣してもらい当該運動を反復して実行してもらう。そして、次ステップS13で対象者の運動が安定してきたか否かを判断し、運動が安定していればステップS14に進み、運動が安定していなければステップS12に戻る。
【0379】
ステップS14において神経切断面の運動神経信号を取得した後、次ステップS15に進み、ここでは上記運動神経波形DB及び身体構造DBを参照して得られるデータと、前ステップS14で得た運動神経信号とを比較する。そして、ステップS16で対象領域の運動神経名を特定した後、ステップS17に進んで神経接続装置の入出力ポートの設定を確定し、次ステップS18で上記制御プログラム95を確定する。
【0380】
尚、上記した図78及び図79の説明において対象神経が運動神経又は感覚神経と認知されなかった場合には、反射を司る神経(以下、「伸張反射神経」という。)として対象神経を認識する。
【0381】
運動神経による筋の動作には、筋の運動量を認識する受容器(筋紡錘)が存在し、これが伸張されると、上表5のIa群繊維のインパルス発射頻度が高まり(動的反射)、II群繊維は筋長に比例したインパルスを発射する(静的反射)。
【0382】
このときの2つの神経信号によって、筋紡錘からIa群繊維、運動ニューロン、筋の順路に沿って運動神経による筋の動作にフィードバック制御がかけられる。上記伸張反射神経はこの反射を司る神経である。
【0383】
伸張反射神経は基本的には運動神経に属するが、そのデータベース化については図52乃至図55での説明と相違する部分があるので、図80乃至図82を用いて説明する。
【0384】
本データベースは下記に示すDBを有している。
【0385】
(ll′)仮伸張反射神経波形DB
(ll)伸張反射神経波形DB
尚、(ll′)は確定前の伸張反射神経波形DBであり、また、(ll)は下記のDBに基づいて作成される。
【0386】
(mm)対応部位DB
(nn)反応電圧DB
(oo)周波数・筋伸張特性DB
(tt)対基準伸張反射性能比DB
(uu)補正伸張反射神経波形DB
上記伸張反射神経波形DBは神経に与えるインパルスの電圧変化や周波数変動等に係るデータを含んでおり、上記のDBに関して、図80に示すような依存関係を有している。
【0387】
図81及び図82は処理例を示すフローチャート図である。
【0388】
先ず、図81のステップS1において、前記の処理において運動神経又は感覚神経と認知されなかった神経領域を筋紡錘による伸張反射神経として認識する。
【0389】
ステップS2では、対象者にリラックス状態を維持してもらい、次ステップS3では各伸張反射神経に対して一定基準のインパルス(信号)を発生させ、当該インパルスにより駆動される人体の部位を把握することによって伸張反射神経とその対応部位との関係を認識する。そして、上記(mm)対応部位DBを生成する。
【0390】
ステップS4では、上記インパルス電圧を変化させたときの反応電圧を筋電計等で測定して、測定データから上記(nn)反応電圧DBを生成する。
【0391】
次ステップS5では、インパルスの周波数変動に関するデータを取得してこれに基づき周波数と筋の伸張反射率との関係を認識して上記(oo)周波数・筋伸張特性DBを生成する。
【0392】
図82のステップS6では、ステップS3乃至S5で行った測定を2つに区分する。即ち、上記測定が特定の筋紡錘を対象として各別に行われたものか又は任意の筋紡錘について行われたものかによって場合分けを行い、前者の場合にはステップS7に進み、後者の場合にはステップS9に進む。
【0393】
ステップS7では、上記(tt)対基準伸張反射性能比DBを生成する。これは、所定の筋紡錘を設定したときにこれに対して各筋紡錘の伸張反射性能を比率値として含むDBである。
【0394】
ステップS8では、これまでの工程から得られたDBのデータと、必要に応じて(uu)補正伸張反射神経波形DBからの補正用データを参照して仮伸張反射神経波形DBを生成した後、ステップS12に進む。尚、(uu)補正伸張反射神経波形DB(u)は、モデル値との実際値との間の誤差を低減するために必要とされる。
【0395】
ステップS9では上記したDBに基づいて仮伸張反射神経波形DBを生成するとともに、既に作成されている身体構造DBから体格データを得る。これによって体格データと仮伸張反射神経波形DBとの組み合わせが出来上るので、対象者の数が増えるに従ってこれらのデータを蓄積することができる。
【0396】
次ステップS10では対象者の体格データに近似した体格データを仮伸張反射神経波形DBに基づいて複数(例えば、3つ)選び出して、次ステップS11に進み、ここで仮伸張反射神経波形DBについての平均化補正(単純平均、加重平均等)を行う。
【0397】
ステップS12では伸張反射神経波形DBを完成させる。つまり、ステップS8から本ステップに到達した場合には仮伸張反射神経波形DBがそのまま伸張反射神経波形DBとなるが、ステップS11から本ステップに到達した場合には平均化補正後の仮伸張反射神経波形DBが伸張反射神経波形DBとなる。
【0398】
尚、このように伸張反射神経を考慮すると、図78、79に示す処理の流れに若干の変更が生じる。即ち、この場合には、図78のステップS3とS4との間に、神経接続素子の入力ポートに反応があるか否かを判断するステップを設け、該ステップで反応がある場合にはステップS5に進み、反応がない場合にはステップS4に進んで感覚反応があるか否かを判断する。そして、反応がある場合にはステップS6に進むが、反応がない場合には選択した領域を伸張反射神経としてステップS5に進み、これを運動神経情報とリンクする。また、図79のステップS9では、ステップS5で運動神経情報とリンクした伸張反射神経について接続を確認した後、図81、図82の処理を実行してからステップS10に進む。
【0399】
以上の手続により神経信号の補正に関する処理(信号補完や擬似信号生成)が終了する。
【0400】
尚、義肢に用いる擬似信号の生成についてその主要な手順を手短にまとめる下記に示すようになる。
【0401】
(1)対象者の身体構造DBを生成する
(2)対象者についての3次元データを取得して運動ワイヤーフレームDB及び運動重心位置DBを生成し、これを身体構造DBにリンクする
(3)運動神経波形DBを生成してこれを(2)で生成したDBにリンクする
(4)感覚神経波形DBを生成してこれを(3)で生成したDBにリンクして人体構造DBを生成する
(5)神経接続法を用いて義肢を接続する
(6)(4)の人体構造DBによる義肢駆動についての推定結果と、実際に義肢を使用した結果とを比較する
(7)(6)の比較結果が許容範囲になるまで(1)乃至(6)に示す工程のうちの所要の工程を繰り返す
最後に、2足歩行型ロボットへの適用について簡単に説明する。
【0402】
上記の説明から明らかなように、人体の構成部を人工物に置き換えることによって人体構造を模倣したロボット(例えば、図13に示したような骨格構造を金属材料や高強度の樹脂等によって製作し、手や足に人工触覚器を取り付けるとともに、人工筋肉や耐衝撃関節、足裏構造等の技術を駆使して製作したロボット)に対して上記人体構造モデルと同様に構造モデルを構築することができる。何故なら、脳のように高速コンピュータをもってしても未だシミュレートを行う見込みのない部分は本発明に係る数値モデルから予め排除されているので、人体の構成部分に対応するロボットの構成部分はその機能において本質的な相違がないからである。
【0403】
従って、これまでの説明から、人体構造を模倣したロボットの歩行制御に関する主要な手順は下記のようになることが分かる。
【0404】
(1)ロボットの身体構造モデルを生成する
(2)ロボットの運動について3次元データを取得して、運動ワイヤーフレームDB及び運動重心位置DBを生成する
(3)身体バランスについてのデータから上記三半規管神経パルスDBに相当するバランス情報のDBを生成する
(4)上記運動神経波形DBに相当する人工筋肉等の制御情報に係るDBを生成する
(5)上記感覚神経波形DBに相当する人工触覚器やセンサー情報に係るDBを生成する
(6)上記神経接続装置に相当する接続装置と光ケーブル等の接続手段から構成される人工神経網をロボットに貼り廻らせ、ロボット構造モデル(上記人体構造モデルに相当する。)に従って全身の人工筋肉や関節等を駆動することによりロボットの2足歩行を制御する
【0405】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1に係る発明によれば、対象の体長、体重、外形形状のデータに基づく比率計算によって対象に係る数値モデルを作成することができるので、対象の内部構造についての詳細なデータは不要であり、対象の力学的構造に関する数値モデルを効率良く作成するとともに、作業時間の短縮化を図ることができる。
【0406】
請求項2に係る発明によれば、対象の3次元データから対象の断層面における形状及び断面積若しくは断層面間の体積のデータを取得して対象の体型形を特定することにより、対象の体の形状(外形形状)に係るデータを効率良く取得することができ、データの入力作業を容易に行うことができる。
【0407】
請求項3に係る発明によれば、対象の断層面における形状及び断面積若しくは断層面間の体積のデータから規定される座標点を極座標平面上に配置し、各点の間を線分によって結んだ多角形の重心を求める計算から対象の体型形を把握することで、断層面の数の増大により計算処理に著しい負担がかかるといった不都合がない。
【0408】
請求項4乃至6に係る発明によれば、対象の骨格構造に係るデータに加えて、筋肉の形状や長さ、重量、筋収縮率を含む筋肉のデータを包含する数値モデルを作成することで、骨格の運動状態と筋運動との間に関連性を持たせることができる。
【0409】
請求項7乃至9に係る発明によれば、対象の骨格や筋肉を含む構造に加えて、神経及び神経波のデータを包含する数値モデルを作成することで、骨格や筋肉の運動と神経波の伝播との間に関連性を持たせ、対象の力学的運動をより忠実に表現することが可能となる。
【0410】
請求項10乃至12に係る発明によれば、関節の周囲を覆っている表皮の領域毎に年齢の異なる表皮を付与することによって著しい計算量の負担を伴うことなく、関節や筋肉の運動に応じて表皮の状態を数値モデルとして表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】人体の体型分類についての説明図である。
【図2】基準体型モデルにおける諸量の定義を示す図である。
【図3】体型形座標空間を構成する2次元座標平面についての説明図である。
【図4】体型形座標空間におけるZ軸に長さ比率の変数を設定した様子を示す図である。
【図5】体型形座標空間におけるZ軸に長さ比率及び重量比率の変数を設定した様子を示す図である。
【図6】対象者から取得した画像データ及びその伸縮操作についての説明図である。
【図7】図8及び図9とともに対象者の3次元データについてのスライス処理に関する説明図であり、本図は立位姿勢の対象者を示す。
【図8】対象者の3次元データについてスライス処理と断層面との関係を示す図である。
【図9】対象者の3次元データについて断層面だけを示す図である。
【図10】体型形座用空間を構成するX−Y平面に設定した極座標系(r,θ)において点の配置例を示す図である。
【図11】多角形の重心計算によって対象者の体型形を特定する処理についての説明図である。
【図12】重心G(Xg,Yg)からこれに対応する関数値を求める様子を示す図である。
【図13】骨格構造のモデルの一例を示す図である。
【図14】図15とともに皮膚モデルについて説明するための図であり、本図は肘関節の近辺の皺を示す概略図である。
【図15】指の皺を示す概略図である。
【図16】年齢の影響を示す関数例を示すグラフ図である。
【図17】性別の影響を示す関数例を示すグラフ図である。
【図18】使用するハードウェア環境の一例を示す図である。
【図19】人体構造モデルの作成に関する処理の大要を示すフローチャート図である。
【図20】身体構造DBとその構成DBとの関係を示す図である。
【図21】図22とともに、図19のステップSS1、SS2に係る処理例を示すフローチャート図であり、本図は処理の前半部を示す。
【図22】処理の後半部を示す。
【図23】図19のステップSS3、SS4に係る処理例を示すフローチャート図である。
【図24】図25乃至図34とともに単色光の干渉縞を使った例によって方法の原理について説明するための図であり、本図は被写体に対して設定される干渉縞発生手段及び撮影手段を示す概略図である。
【図25】平板についての干渉縞を示す図である。
【図26】円筒についての干渉縞を示す図である。
【図27】撮影方向から見て凹面状に形状についての干渉縞を示す図である。
【図28】円筒の形状モデルを示す図である。
【図29】形状モデルの分割について説明するための図である。
【図30】ある撮影方向から見た2次元画像の分割について説明するための図である。
【図31】分割画像を形状モデルの区分領域に貼り付ける工程についての説明図である。
【図32】画像の歪みについての説明図である。
【図33】表面状態のデータを含む3次元形状モデルを示す図である。
【図34】被写体に対する干渉縞発生・読取装置の配置例を示す図である。
【図35】干渉縞発生・読取装置の構成例を示す図である。
【図36】干渉縞のパターン例を示す図である。
【図37】被写体に対して対をなすように干渉縞発生・読取装置を配置した例を示す図である。
【図38】対象者の3次元データに関するスライス処理についての概略的な説明図である。
【図39】人体ポリゴンDBとその構成DBとの関係を示す図である。
【図40】人体ポリゴンDBの生成に係る処理例を示すフローチャート図である。
【図41】2つの骨ポリゴンに筋肉ポリゴンが架け渡された様子を示す概略図である。
【図42】図43とともに肘関節付近の皺について説明するための概略であり、本図は腕を直に伸ばした状態を示す。
【図43】肘関節を曲げた状態を示す図である。
【図44】対象者を測定台上に乗せた状態を示す概略図である。
【図45】対象者を乗せた測定台を前後左右に移動させる様子を上方から見た概略図である。
【図46】対象者を乗せた測定台を回転させる様子を上方から見た概略図である。
【図47】対象者を乗せた測定台を旋回させる様子を上方から見た概略図である。
【図48】図49乃至図51とともに、身体のバランス神経信号等の取得方法について説明するための図であり、本図は主要な手順を示すフローチャート図である。
【図49】水平面上での対象者の運動姿勢について身体バランスに係る情報を取得する手順例を示すフローチャート図である。
【図50】図51とともに、測定台上での対象者の運動姿勢について身体バランスに係る情報を取得する手順例を示すフローチャート図であり、本図は測定台の傾動に関する身体バランス情報を取得手順を主に示す。
【図51】測定台の移動、回転、旋回時における身体バランス情報を取得手順を示す。
【図52】運動神経波形DBとその構成DBとの関係を示す図である。
【図53】図54とともには図19のステップSS6の処理例を示すフローチャート図であり、本図は処理の前半部を示す。
【図54】処理の後半部を示す。
【図55】感覚神経波形DBとその構成DBとの関係を示す図である。
【図56】図57とともに図19のステップSS7の処理例を示すフローチャート図であり、本図は処理の前半部を示す。
【図57】処理の後半部を示す。
【図58】神経対神経の接続例を示す図である。
【図59】神経接続素子の基本構成を示す回路ブロック図である。
【図60】神経接続装置と神経の端部との接続状態を概略的に示す断面図である。
【図61】軸索との結合部における神経接続素子の入出力ポートを拡大して示す概略図である。
【図62】入出力ポートの断面構造について説明するための図であり、(A)はイオン吸着材を設けた構成例を示し、(B)はイオン吸着材を設けない構成例を示す。
【図63】図64及び図65とともに入出力ポートの設定状態の一例を示す概略図であり、本図は中央に出力ポートが位置され、その周囲に入力ポートが配置された例を示す。
【図64】中央に高インピーダンスのポートが1つ位置され、その周囲に出力ポートが位置され、さらにその周囲に入力ポートが配置された例を示す。
【図65】中央に高インピーダンスのポートが複数位置され、その周囲に出力ポートが位置され、さらにその周囲に入力ポートが配置された例を示す。
【図66】神経接続素子及びこれに接続された制御部の構成を示す回路ブロック図である。
【図67】図68乃至図70とともに、神経種別の認識及び入出力ポートの設定処理について説明するためのフローチャート図であり、本図は処理の最初の部分を示す。
【図68】図67に続く処理部分を示す。
【図69】図68に続く処理部分を示す。
【図70】処理の終盤部を示す。
【図71】脳性麻痺の場合における中枢神経と末端神経との接続例を示す図である。
【図72】手の神経信号を代用して下肢を動かす場合において関節の対応関係を示す概略図である。
【図73】体内に埋め込んで用いる義肢と神経との接続例を示す説明図である。
【図74】体外で用いる義肢と神経との接続例を示す説明図である。
【図75】図76とともに、神経信号の擬似信号に係る生成処理や、神経信号の補完処理について説明するためのフローチャート図であり、本図は処理の主要な流れを示す。
【図76】図75のステップS5、S6についての処理例を示すフローチャート図である。
【図77】ヘッドマウントディスプレイを装着した対象者及びヘッドマウントディスプレイの映像を示す概略図である。
【図78】入出力ポートの設定状態及び制御プログラムの確定のための手順例を示すフローチャート図であり、本図は処理の前半部を示す。
【図79】処理の後半部を示す。
【図80】伸張反射神経波形DBとその構成DBとの関係を示す図である。
【図81】図82とともに伸張反射神経波形DBの生成処理例を示すフローチャート図であり、本図は処理の前半部を示す。
【図82】処理の後半部を示す。
【符号の説明】
as、at、pi…基準体型、X−Y…座標平面、θ…極角、r…極半径、G…重心

Claims (12)

  1. 脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットを対象とし、その力学的構造に関する数値モデルを作成する、脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法であって、
    (イ)対象について体型の分類を行うとともに、分類された各基準体型について全ての骨の形状、長さや重量を含む骨格データを用意した後、
    (ロ)対象に関する体長、体重、外形形状のデータを入力し、
    (ハ)(ロ)の工程で入力したデータから対象の体型形を特定し、各基準体型の骨格データに基づいて補間計算を行い、対象に係る骨格データの換算比率を算出し、
    (ニ)(ハ)の工程で得た換算比率及び(ロ)の工程で入力した対象の体長や重量に基づいて対象の各骨の長さや重量を決定して骨格の数値モデルを作成することを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
  2. 請求項1に記載した脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法において、
    (ロ)の工程において対象の3次元データを取得し、当該データから対象の断層面における形状及び断面積若しくは断層面間の体積のデータを取得するとともに、これらのデータから対象の体型形を特定する
    ことを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
  3. 請求項2に記載した脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法において、
    体型形についてのデータを示す座標平面上に極座標を設定した後、
    対象の断層面における形状データから極角が規定され、かつ、当該断層面における断面積若しくは断層面間の体積のデータから極半径が規定される点を、上記座標平面上に配置し、
    各点の間を線分によって結んだ多角形の重心を求めることによって、対象の体型形を特定する
    ことを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
  4. 請求項1に記載した脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法において、
    (イ)の工程で骨の形状や長さ、重量の他、筋肉の形状や長さ、重量、筋収縮率を含む骨格及び筋肉のデータを用意するとともに、
    (ハ)の工程で各基準体型に係る骨格及び筋肉データに基づいて補間計算を行い、対象に係る骨格及び筋肉のデータの換算比率を算出し、
    (ニ)の工程では(ハ)の工程で得た換算比率及び(ロ)の工程で入力した対象の体長や重量に基づいて対象の各骨や筋肉の長さ、重量、筋収縮率を決定して骨格及び筋肉を含む数値モデルを作成する
    ことを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
  5. 請求項2に記載した脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法において、
    (イ)の工程で骨の形状や長さ、重量の他、筋肉の形状や長さ、重量、筋収縮率を含む骨格及び筋肉のデータを用意するとともに、
    (ハ)の工程で各基準体型に係る骨格及び筋肉データに基づいて補間計算を行い、対象に係る骨格及び筋肉のデータの換算比率を算出し、
    (ニ)の工程では(ハ)の工程で得た換算比率及び(ロ)の工程で入力した対象の体長や重量に基づいて対象の各骨や筋肉の長さ、重量、筋収縮率を決定して骨格及び筋肉を含む数値モデルを作成する
    ことを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
  6. 請求項3に記載した脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法において、
    (イ)の工程で骨の形状や長さ、重量の他、筋肉の形状や長さ、重量、筋収縮率を含む骨格及び筋肉のデータを用意するとともに、
    (ハ)の工程で各基準体型に係る骨格及び筋肉データに基づいて補間計算を行い、対象に係る骨格及び筋肉のデータの換算比率を算出し、
    (ニ)の工程では(ハ)の工程で得た換算比率及び(ロ)の工程で入力した対象の体長や重量に基づいて対象の各骨や筋肉の長さ、重量、筋収縮率を決定して骨格及び筋肉を含む数値モデルを作成する
    ことを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
  7. 請求項4に記載した脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法において、
    (イ)の工程で各基準体型についての神経長や神経波の伝達に関するデータを付加するとともに、
    (ハ)の工程で各基準体型に係る骨格、筋肉、神経のデータに基づいて補間計算を行い、対象に係る骨格、筋肉、神経に係るデータの換算比率を算出し、
    (ニ)の工程では(ハ)の工程で得た換算比率及び(ロ)の工程で入力した対象の体長や重量に基づいて対象の神経波の伝達に関するデータを含む数値モデルを作成する
    ことを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
  8. 請求項5に記載した脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法において、
    (イ)の工程で各基準体型についての神経長や神経波の伝達に関するデータを付加するとともに、
    (ハ)の工程で各基準体型に係る骨格、筋肉、神経のデータに基づいて補間計算を行い、対象に係る骨格、筋肉、神経に係るデータの換算比率を算出し、
    (ニ)の工程では(ハ)の工程で得た換算比率及び(ロ)の工程で入力した対象の体長や重量に基づいて対象の神経波の伝達に関するデータを含む数値モデルを作成する
    ことを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
  9. 請求項6に記載した脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法において、
    (イ)の工程で各基準体型についての神経長や神経波の伝達に関するデータを付加するとともに、
    (ハ)の工程で各基準体型に係る骨格、筋肉、神経のデータに基づいて補間計算を行い、対象に係る骨格、筋肉、神経に係るデータの換算比率を算出し、
    (ニ)の工程では(ハ)の工程で得た換算比率及び(ロ)の工程で入力した対象の体長や重量に基づいて対象の神経波の伝達に関するデータを含む数値モデルを作成する
    ことを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
  10. 請求項7に記載した脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法において、
    関節の角度や関節からの距離、筋肉の緊張の度合に基づいて関節の周囲を覆っている表皮の領域毎に年齢の異なる表皮を付与することによって表皮の状態に係るデータを含む数値モデルを作成する
    ことを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
  11. 請求項8に記載した脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法において、
    関節の角度や関節からの距離、筋肉の緊張の度合に基づいて関節の周囲を覆っている表皮の領域毎に年齢の異なる表皮を付与することによって表皮の状態に係るデータを含む数値モデルを作成する
    ことを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
  12. 請求項9に記載した脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法において、
    関節の角度や関節からの距離、筋肉の緊張の度合に基づいて関節の周囲を覆っている表皮の領域毎に年齢の異なる表皮を付与することによって表皮の状態に係るデータを含む数値モデルを作成する
    ことを特徴とする脊椎動物若しくはこれを模倣したロボットに関する数値モデルの作成方法。
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