JP3896629B2 - 便座用着座検出装置 - Google Patents

便座用着座検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、便座用着座検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の便座用着座検出装置の一例を図に示す。
便座1の内部は空洞となっており、便座1の上板部1aの上面が着座面100を構成している。便座1の上板部1a及び側板部1bの内面にはヒータ9が接着されている。ヒータ9は、図に示すように、電熱線部(発熱体)91とそれを被覆する絶縁樹脂部92と、絶縁樹脂部922の一主面に接着されたシールド電極箔93とからなり、シールド電極箔93が接着剤により便座1の上板部1a及び側板部1bの内面に貼着されている。このシールド電極箔93は、通電により発熱する電熱線部91の発生熱を便座1の着座面100全体に伝達する機能とともに、着座面100への人体の着座を検出するための検出電極板としての機能を兼ねている。
【0003】
着座面100への着座は、このシールド電極箔93の静電容量の変化を生じさせるので、シールド電極箔93に高周波電圧を印加してこのシールド電極箔93と大地との間の静電容量変化を電気的に検出することにより、着座が検出される。
従来の便座用着座検出装置の他例を図を参照して説明する。
【0004】
この従来例では、便座1の上板部1aの内面とヒータ9との間に専用の検出電極板2を介装したものであり、検出電極板2は、図に示すように絶縁樹脂層21により被覆されて、接地電位のシールド電極箔93から絶縁分離されている。
着座面100への着座は、図の場合と同様に、この検出電極板2の静電容量の変化を生じさせるので、検出電極板2に高周波電圧を印加してこの検出電極板2と大地との間の静電容量変化を電気的に検出することにより、着座が検出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した図に示す従来の便座用着座検出装置では、検出電極板をなすシールド電極箔93と電熱線部91との間の静電容量が大きいので、電熱線部91の通電電圧(通常商用交流電圧)に重畳する高周波ノイズ電圧、特にその着座信号電圧の帯域成分が、着座判定動作の誤動作を招く可能性を高めるという問題を有していた。更に、大面積のシールド電極箔93を接地電位から浮かせるためにその全面にわたって十分に電気絶縁し、防水なければならないという問題もあった。
【0006】
一方、図に示す従来の便座用着座検出装置では、シールド電極箔93と着座面100との間に専用の検出電極板2を設けるので、シールド電極箔93を接地しておけば電熱線部91から検出電極板2への高周波電磁ノイズ電圧の混入は防止できるという利点を持つ。しかし、電熱線部91の発熱の伝達を考える場合、全面にわたって電気絶縁される検出電極板2の存在が、この領域における着座面100の温度上昇速度の緩慢化を招くという問題、更に、検出電極板2が小型であるので検出感度が低下するという問題点を持っていた。
【0007】
従って、本発明は、十分な電気絶縁性や耐水性を要求される検出電極板を感度の低下を招くことなく小型化でき、更に着座面の加温性にも優れた便座用着座検出装置を提供することを、その目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の構成によれば、便座内部において、金属伝熱板はフローティング電位とされる。
このようにすれば、十分な電気絶縁性や耐水性を要求される検出電極板を、感度の低下を招くことなく小型化でき、更に着座面の加温性にも優れた便座用着座検出装置を実現することができる。
【0009】
更に説明すると、検出電極板は金属伝熱板に近接配置されているので、検出電極板と金属伝熱板との間の静電容量C1は大きく設定できる。また、金属伝熱板は着座面に対して近接するとともに大きな対面面積をもつので、着座面に着座した人体に対して極めて大きな静電容量C2を持つ。そこで、金属伝熱板を浮遊電位とすれば、検出電極板は着座した人体に対して大きな静電容量Cs(=1/((1/C1)+(1/C2))をもつことができ、その結果として、検出電極板を小型とするにもかかわらず、良好な検出感度を得ることができる。なお、金属伝熱板は、浮遊電位とされ、検出電極板のように直流的に一定電位に固定される必要がないので、その絶縁は簡単(たとえば便座内に露出)で構わない。要するに、金属伝熱板は着座検出に用いられる高周波帯域で大地に対して高インピ−ダンスを持てばよい。
【0010】
この結果、検出電極板を金属伝熱板の任意の箇所に近接させるだけで着座検出ができることがわかる。従って、検出電極板の配設位置を選択することができて便座内部構造の設計自由度が増し、便座内部での配線の引き回しの自由度が増大し、検出感度の低下を招くことなく検出電極板の小型化を実現でき、検出電極板を着座面と発熱体との間から排除することにより着座面の加温性も向上する事ができる。
【0011】
本発明によれば更に、金属伝熱板が便座の外側の表面と検出電極板との間に介設される。
このようにすれば、上記第1の構成の作用効果に加えて特に、着座面の加温性に優れた便座用着座検出装置を実現することができる。
本発明の第の構成によれば上記第1の構成において更に、検出電極板が金属伝熱板の便座回動軸側の端部に近接して配設される。
【0012】
このようにすれば上記第1の構成の作用効果に加えて更に、検出電極板と外部の電子回路装置との接続線の長さを短縮してその寄生容量を低減し、着座前後における静電容量変化を増大するとともに、この接続線の配線位置のばらつきによるこの接続線と人体との間の上記寄生容量のばらつきを低減してそれによる悪影響を低減することができる。また、配線費用も低減することができる。
【0013】
本発明の第の構成によれば上記第1の構成において更に、検出電極板が着座面の側部に近接配置される。このようにすれば、検出電極板が便座の着座面(上面)と金属伝熱板との間に介在しないので、着座面の加温性に優れた便座用着座検出装置を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
検出電極板は発振回路部とともに発振回路系を構成する事ができる。この場合、検出電極板の大地静電容量の変化により発振回路系に発振とその停止との状態変化を生じさせても良い。又は、検出電極板の大地静電容量の変化により発振回路系の発振周波数の変化を生じさせても良い。前者の場合、着座検出回路部は入力交流信号電圧の振幅変化により着座の有無を判定する。後者の場合、着座検出回路部は入力交流信号電圧の周波数変化により着座の有無を判定する。
【0015】
また、発振回路部は一定周波数、一定振幅の高周波電圧を一定のインピーダンスの素子を通じて検出電極板に印加することもできる。このようにすれば、検出電極板の静電容量変化に応じて、検出電極板の電位振幅が変化するので、それを検出することにより着座の有無を検出することができる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明に係る便座用着座検出装置を図示の実施例により具体的に説明する。この実施例の便座用着座検出装置を図1に示す。
1は便座、2は便座1の内部に配設された着座検出用の検出電極板であり、アルミ箔からなる。3はコントロールボックス、4は便座1とコントロールボックス3とを接続する樹脂パイプ、5はコントロールボックス3内に設けられたコントローラであり、便座1に内設されたヒータ9などの他の装置の制御も行っている。樹脂パイプ4内には、同軸ケーブル6が敷設されており、同軸ケーブル6の芯線の一端はコントローラ5に接続され、その他端は検出電極板2に接続されている。また、同軸ケーブル6の外側導体はコントローラ5の接地電極に接続されている。
【0017】
この便座用着座検出装置の回路図を図2に示す。
図2において、61は同軸ケーブル6の芯線、62は同軸ケーブル6の外側導体である。コントローラ5は、発振回路(本発明でいう発振回路部)17、着座検出回路部7、結合トランス8、リアクタンス素子13、14、ダイオード回路15、コンデンサ16を有している。リアクタンス素子13はたとえばフェライトビーズや空洞コイルからなる。
【0018】
81は結合トランス8の一次コイル、82はその二次コイルである。71は検波平滑回路、72は増幅回路、73はA/Dコンバータ、74はマイクロコンピュータである。
以下、コントローラ5の回路構成及びその動作を更に詳しく説明する。
コンデンサ16は結合トランス8の一次コイル81のインダクタンスとで発振回路17の発振周波数で共振するように作製されている。結合トランス8の二次コイル82はリアクタンス素子13、同軸ケーブル6の芯線61を通じて検出電極板2に接続され、発振回路17から出力された上記周波数の高周波電圧は、検出電極板2に印加されている。
【0019】
また、検出電極板2の大地間の静電容量Csは、便座1に人が着座していない状態(以下、非着座状態という)において、結合トランス8の二次コイル82及びリアクタンス素子13、14とで発振回路17の発振周波数をほぼ共振周波数とするように作製されている。
結合トランス8の二次コイル82の一端は接地され、二次コイル82の他端とリアクタンス素子13との接続点はリアクタンス素子13を通じて接地されている。また、二次コイル82の他端とリアクタンス素子13との接続点の電位は、着座検出信号として検波平滑回路71で検波平滑されて直流信号電圧に変換された後、増幅回路72で電圧増幅され、増幅された直流信号電圧のレベルはA/Dコンバータ73でデジタル信号にA/D変換されて、マイクロコンピュータ74に入力され、マイクロコンピュータ74は、この入力デジタル信号が所定レベル以上であれば非着座状態であると判定する。ダイオード回路15は直列接続されたダイオード151〜153をもち、上記着座検出信号をなす電圧(着座検出信号電圧)のクランプを行うとともに、検出電極板2の直流電位を規定している。
【0020】
結局、検出電極板2、リアクタンス素子13、14及び結合トランス8からなる結合トランス8の二次側の回路は、非着座状態において共振状態にあり、大きな電流が流れ、その結果、検波平滑回路71には大きな高周波電圧が入力されていることになる。
ここで、人が便座1に着座すると、擬似的に大地と仮定できる人体と検出電極板2との間の静電容量の付加により検出電極板2の静電容量が非着座状態よりも増大し、これにより上記結合トランス8の二次側の回路の共振周波数は発振回路17の発振周波数からずれ、これにより検波平滑回路71に入力される着座検出信号電圧が減少し、マイクロコンピュータ74が着座検出を行う。
【0021】
次に、本実施例の特徴をなす便座1内の電極構造について図3を参照して説明する。
便座1の内部は空洞となっており、便座1の上板部1aの上面が着座面100を構成している。便座1の上板部1a及び側板部1bの内面にはヒータ9が接着されている。ヒータ9は、図4に示すように、電熱線部(発熱体)91とそれを被覆する絶縁樹脂部92と、絶縁樹脂部92の主面に接着されたシールド電極箔(金属伝熱板)93とからなる。このシールド電極箔93は、通電により発熱する電熱線部91の発生熱を便座1の着座面100全体に伝達する機能をもつが、本実施例において重要な点はシールド電極箔93が浮遊電位とされている点にある。
【0022】
便座1の上板部1aの直下にはヒータ9の裏側に位置して検出電極板2が設けられている。検出電極板2は、図10と同じ断面構造をもち、絶縁樹脂層21によりその全面を被覆されている。絶縁樹脂層21は検出電極板2をヒータ9から電気絶縁している。
なお、絶縁樹脂層21の内主面にすなわちキャビティに露出する主面にシールド電極箔を設けて、このシールド電極箔をヒータ9のシールド電極箔93と電気的に短絡すれば、シールド電極箔93と検出電極板2との間の静電容量C1を一層増大して感度向上を図ることができる。
【0023】
着座面100への着座は、人体(図示せず)とシールド電極箔(金属伝熱板)93との間の静電容量C2を増大させる。シールド電極箔93は浮遊電位であるので、静電容量C2の増大は、検出電極板2は着座した人体との間の静電容量Cs(=1/((1/C1)+(1/C2))を増加させ、これにより、上述のように着座を判別することができる。
【0024】
従って、この実施例によれば、検出電極板2を小型とするにもかかわらず、良好な検出感度を得ることができる。また、この小型の検出電極板2の配設位置もシールド電極箔93に近接する範囲で自由に変更する事ができる。更に、検出電極部200がヒータ9の裏側に配設されることになるので、ヒータ9による便座1の便座面100の加熱の障害となることがない。更に、この実施例によれば、図1に示すように、検出電極板2は、ヒータ9のシールド電極箔(金属伝熱板)93の便座回動軸側の端部に近接して配設される。このようにすれば感度を低下することなく、同軸ケーブル6の長さの短縮を実現し、その寄生容量を低減することができる。
(実施例2)
他の実施例を図5を参照して説明する。
【0025】
この実施例の便座用着座検出装置は、実施例1の便座用着座検出装置(図3、図4参照)において、検出電極板2を、便座1の側板部1b近傍にずらせて配設したものである。このようにすれば、検出電極板2の配設が簡単となり。同軸ケーブル6の引き回し自由度も向上する
変形実施態様)
上記各実施例では、ヒータ9内において、電熱線部91は図4に示すようにシールド電極箔93よりも検出電極板2から遠い配置とされているが、逆の位置構成としてもよいことは明白である。
【0026】
また、結合トランス8の二次側の回路の共振周波数の発振回路17の発振周波数より高く設定しておき、着座により静電容量Csが増大し、結合トランス8の二次側の回路の共振周波数が低下して発振回路17の発振周波数に一致するように設定しても良い。この場合には、マイクロコンピュータ74に入力される信号電圧のレベルと着座状態との関係が上記と反対となる。
【0027】
その他、発振回路17、結合トランス8及び検出電極板2を含む回路が発振回路部を構成して、着座の有無による静電容量Csの変化に応じてこの発振回路部の発振、発振停止を行わせて、それをマイクロコンピュータ74で判定しても良い。
更に、同様に、発振回路17、結合トランス8及び検出電極板2を含む回路が発振回路部を構成して、着座の有無による静電容量Csの変化に応じてこの発振回路部の発振周波数を変更し、それをマイクロコンピュータ12で判定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る便座用着座検出装置の実施例を示す模式斜視図である。
【図2】 図1の便座用着座検出装置の回路図である。
【図3】 図1の便座の一部断面を示す断面図である。
【図4】 図3の便座の検出電極部200の拡大断面を示す断面図である。
【図5】 他の実施例の便座の一部断面を示す断面図である
【図】 従来の便座用着座検出装置の一例を示す模式斜視図である。
【図】 図の便座の一部断面を示す断面図である。
【図】 従来の便座用着座検出装置の他例を示す模式斜視図である。
【図】 図の便座の一部断面を示す断面図である。
【符号の説明】
1…便座、2…検出電極板、5…コントローラ、9はヒータ、91は電熱線部(発熱体)、93はシールド電極箔。

Claims (3)

  1. 外主面が着座面をなし内部にキャビティを有する便座と、前記着座面に近接して前記便座内に敷設された便座加熱用の発熱体と、前記発熱体に対して電気絶縁されつつ少なくとも前記着座面に平行して前記便座内に延設され良伝熱性の金属伝熱板と、前記金属伝熱板より小型に形成されるとともに前記金属伝熱板に対して電気絶縁されつつ前記便座内に配設される着座検出用の検出電極板と、前記検出電極板を一方の電極とする静電容量変化を検出して前記着座面への着座を検出する回路部とを備え、前記金属伝熱板は、前記便座の外側の表面と前記検出電極板との間に介設される便座用着座検出装置において、
    前記金属伝熱板は、浮遊電位を有することを特徴とする便座用着座検出装置。
  2. 請求項1記載の便座用着座検出装置において、
    前記検出電極板は、前記金属伝熱板の便座回動軸側の端部に近接して配設されることを特徴とする便座用着座検出装置。
  3. 請求項1記載の便座用着座検出装置において、
    前記検出電極板は、前記着座面の側部に近接配置されることを特徴とする便座用着座検出装置。
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