JP3896618B2 - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データに対してエッジ強調、シャープネス調整、濃度調整等の画質調整における所定の画像処理オペレータ指示に基づいて画像処理を行う画像処理装置および画像処理方法に係わり、特に画像処理オペレータが指示された場合に画像データの特徴を調べることにより、指示された画像処理オペレータにとって最適なパラメータのバリエーション数およびパラメータのバリエーションごとの最適な特性を算出し、その算出されたバリエーションに基づいてパラメータを設定することにより、画像処理オペレータによる画像処理を、操作者の処理感覚に適合したパラメータによって行うことができる画像処理装置および画像処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、画像データを編集、加工、解析するための画像処理装置が各種開発され、実用化されている。従来からの画像処理装置において行われている画像処理の態様にはさまざまなものがあるが、基本的には対象となる画像を画像表示装置で表示し、操作者が表示画像を確認しながら画像処理を加えたい領域を指定するとともに、コントラスト、シヤープネス、エッジ等の画像表現を変化させる画像処理オペレータを適宜選択して指定し、さらに場合によっては処理パラメータで細かな設定を行い、設定されたパラメータに基づいて画像処理を実行することにより、所望の画像を得るのが一般的である。また、画像全体に対する処理の実行前にプレビュー処理を実行させることにより、おおまかな処理結果をあらかじめ表示して、操作者の確認を可能とした画像処理装置もある。実際にはこれら単一画像処理を各種組み合わせることにより目的とする画像処理結果を得ている。このような画像処理装置をソフトウエアで実現したものとして例えば「Photoshop」がある。
【0003】
これら一般的な画像処理装置には多数の例えば、「濃度反転」、「画像回転」、「シヤープネス調整」、「エッジ強調」等の画像および画質の変化をもたらすいくつかの画像処理オペレータが用意されており、操作者が、これら複数の画像処理オペレータの中からあるオペレータを指定して画像処理を実行する。さらに場合によっては各オペレータごとに用意された所定の画像処理パラメータを設定し、より微妙な調整を行い画像処理を実行することにより、所望の画像を得ている。実際の画像処理プロセスは、操作者の試行錯誤の繰り返しに多くの時間が費やされ、画像編集、加工、解析作業は操作者の負担が大きなものとなっている。すなわち、操作者の選択した画像処理オペレータ、設定したパラメータに基づく画像処理を実行した後、その処理結果を画面表示によって確認し、所望の結果が得られない場合には、再度異なる画像処理オペレータ、パラメータを設定するという操作を繰り返すこととなる。
【0004】
従来の画像処理に関する研究の多くは、a)画像処理オペレータの種類を増やすこと、b)それぞれの画像処理の速度を速くすること等を目的として行われている。また、操作者のプロセスの軽減、あるいは操作者が操作者の感覚に従って画像処理を実行した場合、実際の画像変化がその操作者の感覚と一致するように画像処理が実行されるようにする等、画像処理操作の簡易化を目的とした研究も一方で行われている。
【0005】
画像処理プロセスの簡易化、また、操作者がより感覚的に処理できる画像処理装置の実現を目指した研究の成果の一例として、例えば特開平7−203230号公報に記載されているカラー画像形成装置がある。このカラー画像形成装置では複数の色調整パラメータの組み合わせと、その処理による画像の変化とを感覚的な言葉で定義した色パラメータとの対応関係を記憶し、これを感覚的な言葉である「色心理パラメータ」として定義している。この「色心理パラメータ」を用いて操作者が指示を行うことで、指示にしたがって対応関係に基づく画像処理を可能としている。この「色心理パラメータ」の使用により、色調整等の際、操作者は、従来の分かりにくい単なる数値的あるいは抽象的な表現であった画像処理パラメータをそのまま使用する必要がなくなり、ユーザの感覚により近くわかりやすい形での画像処理を可能とした。このようにして、パラメータ設定に際してのユーザの試行錯誤のプロセスを軽減させ、画像処理を容易にしたシステムが提供されている。
【0006】
これらのシステムは画像処理オペレータの側面から画像処理プロセスの簡易化、効率化を狙ったものである。しかし、一般的な画像処理オペレータには、さらに微妙な画質調整を実行するためのパラメータが存在する場合が多い。そして、従来技術では、そのパラメータに対しては感覚的な量でなく、物理的量で指示している。また、感覚的な言葉によるパラメータ指示もあるが、それは一般化された言葉であり、実際には言葉と物理量が1対1で結びついているため、実際の処理は固定した物理量による画像処理パラメータを用いている。そのため、これらパラメータの値を振りながら所望の画像を得る作業は残っている。さらに、パラメータの振りと、操作者にとっての感覚的な画像変化の傾向が必ずしも一致していない場合が多いため、操作者が指定したパラメータによる実際の画像変化が操作者の意図したものと異なることが多々あり、パラメータの再設定等の試行錯誤プロセスは低減されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上、説明したように従来の画像処理装置は「エッジ強調」等の画像処理オペレータに対して所定の固定された画像処理パラメータを使用するか、あるいは、所定の物理量で操作者が指定していた。パラメータを「強い」「弱い」というような感覚的な表現によって指示する手法もあるが、このような「強い」、「弱い」等の表現に対応して装置が設定している物理パラメータは実際上1対1対応であり、装置は、「強い」「弱い」等の表現での操作者の指定に対してその対応する物理パラメータ、例えばフイルタを選択して、該選択された物理パラメータに基づく画像処理を行っていた。
【0008】
また、従来の画像処理装置の多くは、画像処理、あるいは画質調整等に対して熟知していない操作者にとって、画像処理パラメータの意味が理解しにくく、パラメータの意味するところと実際上の画像の変化との対応がつけにくいため、対象とする画像に対して適したパラメータ値を設定することが困難であった。また、所定の数値を使用したような物理量でパラメータを指定する場合は、同一パラメータを使用した場合でも実際上の感覚的な処理態様は処理対象画像の特性により大きく異なるため、最適な処理結果を得るためにはいくつもの処理パラメータを試して、その結果を確認するという試行錯誤を繰り返すことが必要となるという問題点があった。
【0009】
本発明は上記のごとき、操作者にとっての画像処理の容易性に関する問題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、特性が異なるさまざまな画像データに対して画像処理オペレータを実施する際に、操作者から見た実際の画像処理による画像の変化に対応する画像処理パラメータが設定できるようにしたものであり、所定の画像処理オペレータを実施する際に、画像処理パラメータの設定を、操作者の感覚的な画像処理イメージと一致した対応で実施できるようにした画像処理装置および画像処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、画像データを入力する画像入力手段と、入力された画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、画像データに対して、画像処理手法を指示する画像処理オペレータ指示手段と、画像処理オペレータに基づく画像処理に応じて処理対象となる画像データを解析する画像データ解析手段と、画像データ解析手段の結果を分析し、画像処理オペレータ用の画像処理パラメータのバリエーション数、およびパラメータのバリエーションごとの画像処理特性を決定する画像処理パラメータ群算出手段と、算出された画像処理パラメータ群に基づき、画像データの画像処理に適用する画像処理パラメータ値を設定する画像処理パラメータ設定手段と、指示された画像処理オペレータと前記設定された画像処理パラメータに基づいて前記画像データに対して画像処理を施す画像処理手段とを有することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の画像処理装置における画像処理パラメータ群算出手段は、画像処理オペレータ指示手段によるオペレータの指示ごとに実行される画像データ解析手段による画像データの解析処理に基づき、画像処理オペレータによる画像処理の少なくとも2以上の処理態様の特性の各々をユーザの感覚的処理態様に対応づけて画像処理パラメータ群を設定することにより、指示された画像処理オペレータにおける画像処理パラメータのバリエーション数、およびそのバリエーションごとの画像処理特性を算出することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の画像処理装置における画像データ解析手段は、画像処理オペレータ指示手段によるオペレータが「エッジ強調」であるとき、被処理画像のエッジ強度を求め、エッジヒストグラムを導出し、該エッジヒストグラムからエッジ強度の中央値、最大値、最小値、標準偏差の各値を解析結果として出力し、画像処理パラメータ群算出手段は、エッジ強度の中央値、最大値、最小値、標準偏差の各値に基づいて、画像処理パラメータのバリエーション数および各バリエーションごとの特性を決定し、決定された画像処理パラメータの各バリエーションの特性の各々に、エッジ強調に関する感覚的な表現「強」、「弱」等を含む表現態様を対応させてパラメータ群とすることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の画像処理装置における画像データ解析手段は、画像処理オペレータ指示手段によるオペレータが「しきい値処理」であるとき、被処理画像データのデータヒストグラムを求め、このデータヒストグラムから初期しきい値を設定するとともに、累積データヒストグラムを導出し、画像処理パラメータ群算出手段は、前記累積データヒストグラム中の初期しきい値を基準に、感覚的にリニアな画像変化に対応する複数のしきい値を持つように画像処理パラメータ群を設定することを特徴とする。ここで初期しきい値の設定は、例えば判別分析法によって設定される。
【0014】
さらに、本発明に係る画像処理方法は、画像データを入力する画像入力手段と、入力された画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、画像データに対して、画像処理手法を指示する画像処理オペレータ指示手段と、画像処理オペレータに基づく画像処理に応じて処理対象となる前記画像データを解析する画像データ解析手段と、画像処理オペレータ実行に際してのパラメータを設定する画像処理パラメータ設定手段と、前記画像データに対して画像処理を施す画像処理手段とを有する画像処理装置において、画像データ解析手段による画像データ解析を実行するステップと、画像データ解析手段のデータ解析結果に基づいて、画像処理オペレータ実行に際して設定される画像処理パラメータのバリエーション数、およびパラメータのバリエーションごとの画像処理特性を決定し、画像処理パラメータ群を算出するステップと、算出された画像処理パラメータ群に基づき、前記画像データの画像処理に適用する画像処理パラメータ値を設定するステップと、指示された画像処理オペレータと設定された画像処理パラメータに基づいて画像処理を実行するステップとを有することを特徴とする。
【0015】
また本発明の画像処理方法における画像処理パラメータ群の算出は、画像処理オペレータ指示手段によるオペレータの指示ごとに実行される画像データ解析手段による画像データの解析処理に基づき、画像処理オペレータによる画像処理の少なくとも2以上の処理態様の特性の各々をユーザの感覚的処理態様に対応づけて画像処理パラメータ群を設定し、指示された画像処理オペレータにおける画像処理パラメータのバリエーション数、およびそのバリエーションごとの画像処理特性を算出するステップを有することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施する画像処理装置および画像処理方法について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の一実施例の画像処理装置の全体の構成を示すブロック図である。図1における画像処理装置は、画像入力部1、画像蓄積部2、画像処理オペレータ指示部3、画像データ解析処理部4、画像処理パラメータ群算出処理部5、画像処理パラメータ設定部6、画像処理部7によって構成されており、各構成部はデータの入出力のためのバスによって連結されている。
【0017】
画像入力処理部1は、スキャナ、デジタルビデオ、デジタルカメラのようなさまざまな機器から画像情報をデジタルデータとして入力するものである。画像蓄積部2は、画像情報をデジタルデータとして蓄積するものであり、必要に応じて画像データを画像処理オペレータ処理部3、画像データ解析処理部4、画像処理部7へ出力する。画像処理オペレータ指示部3は、画像解析、画質調整、フォーマット変換のような画像処理オペレータを指示するところであり、画像表示部31、領域指定処理部32を含み、画像処理を施す領域を指定し、画像処理オペレータを出力する。画像データ解析処理部4は、画像処理オペレータが指示されると、指示内容に応じて画像データを解析すべきかどうかを判断し必要な場合は各種画像解析を行い解析結果を出力する。画像処理パラメータ群算出処理部5は、前記画像データ解析処理部4により得られた結果を用いて分析を行い、画像解析データに応じた画像処理パラメータ群、具体的にはパラメータの種類とそれぞれのバリエーション(特性変動値)としてのパラメータ群を算出する。画像処理パラメータ設定部6は前記画像処理パラメータ群算出処理より得られたパラメータ群に基づいて、処理量としてのパラメータ値を設定する。画像処理部7は入力された画像処理オペレータと画像処理パラメータをもとに、画像データに対して画像処理を行う。
【0018】
次に、本発明の画像処理装置の一実施例の動作について図面を参照して具体的に説明する。図2は画像処理オペレータが指示された場合に、どのように画像処理パラメータを決定して画像処理を行うかを説明するフロー図である。まず、ステップ201で画像処理オペレータの指示があると、ステップ202において、その画像処理オペレータが画像処理パラメータを含むか、またその画像処理パラメータは画像データによって変える必要のある画像処理パラメータかどうかを判定し、画像解析が必要ない場合(No)は、すぐに画像処理ステップ(ステップ207)に移る。例えば「濃度反転」のような画像処理オペレータの場合は、画像処理パラメータがないため、すぐに画像処理ステップへ進む。また、画像回転のように回転角度、回転手法が一意に決まる画像処理パラメータの場合もすぐに画像処理ステップに進む。このような場合は画像解析は行わない。それに対して後述するエッジ強調のような画像処理オペレータの場合は、ステップ203に進み、画像データ解析処理を行う。画像データ解析を行う必要がある場合は、画像処理オペレータ毎に必要な画像データ解析を行う。そして画像データ解析結果から画像処理パラメータの種類とバリエーションとしてのパラメータ群を算出(ステップ204)し、画像処理パラメータ群を出力(ステップ205)する。そして、ステップ206において画像処理パラメータ設定後、その設定された画像処理パラメータを用いて指示された画像処理オペレータを実施(ステップ207)する。
【0019】
さらに、具体的にパラメータ群算出処理部を説明する上で、一例として画像処理オペレータとしてエッジ強調を選択した場合について説明する。
【0020】
通常、画像処理操作者が、画像処理オペレータとして例えばエッジ強調を選択する場合、まず画像入力部を通して蓄積された画像データをCRT等で表示し、必要に応じてエッジ強調を実行したい領域を設定し、エッジ強調の画像処理オペレータを選択する。この際、エッジ強調を行う領域は画像マスク等で設定された特定の領域であっても、画像全体であっても構わない。画像処理オペレータを指示する際、例えば図3に示すようなインタフェースで画像処理オペレータとともに、画像処理パラメータも指定する。この実施例ではエッジ強調に対しては処理パラメータとして「強い」「普通」「弱い」等が用意されているが、場合によっては、さらに細かい値を設定できる場合もある。「強い」「普通」「弱い」は感覚的な言葉であり、物理量ではない、しかしこれまでの画像処理装置では、実際の処理において、例えば、図4に例示するように「強い」「普通」「弱い」に相当する個別物理パラメータ(この例ではフィルタ係数)がそれぞれ代入され、画像処理が実行されていた。「強い」「普通」「弱い」という言葉は、その特性上、一般的に分類しているにすぎない。しかし実際の画像では、もともとエッジが強く現れている画像、エッジがぼやけている画像等さまざまな特性を有している。このような画像に対して例えばエッジ強度「普通」の処理を行った場合、もともとエッジがはっきり現れているような画像では、エッジが強く強調され、逆に、ねむい画像すなわちエッジがなまっているような画像ではエッジ強度「強い」でもエッジがあまり強調されていない場合がある。すなわち言葉と実際の処理画像から受ける印象が異なる場合が存在する。そこで、本実施例では、処理すべき対象となる画像がどの程度のエッジ強度を持つかを解析し、その解析結果をもとに、エッジ強度のバリエーションとしてどれくらいのステップが必要か、さらにそれぞれのステップにおける特性値を算出し、その結果をパラメータ設定部へ出力する。
【0021】
本発明の画像処理装置における画像処理パラメータの決定方法の一例を図5を用いて説明する。画像処理オペレータとしてエッジ強調が選択されると、まず、画像データ解析処理部はエッジ強調の画像処理パラメータ設定のために必要な画像データの解析処理を行う。本実施例では、解析処理として、例えば画像データ全体のエッジ強度を求め、エッジヒストグラムを導出する。さらにそのエッジヒストグラムから、エッジ強度の平均Es、分散Eσ、各種係数α,β、分散中央値、最大値、最小値、標準偏差等の解析結果を求める。そしてまずこのエッジ強度ヒストグラムおよびそれぞれの解析値から画像処理パラメータのバリエーションとして何段階の設定をするのが妥当かを算出し、併せてそれぞれの画像処理パラメータのバリエーションにおけるエッジ強調の特性値(例えばフィルタ係数)を算出し、これら算出された特性値に対応させた画像処理パラメータ群を出力する。本実施例では4段階のバリエーションを設定し、それぞれのバリエーションについて、異なる関数f,g,h,jによって決定されるフィルタ係数A,B,C,Dを対応させ、それぞれのフィルタごとに操作者の設定するパラメータとして、「強」「中」「並」「弱」という操作者にとって理解しやすい表現を割り振っている。
【0022】
例えば、画像データ中にあまりエッジ領域が含まれない場合、エッジヒストグラムの中央値は小さく、また分散も小さい。一方画像データ中にエッジが強い領域を含む場合、中央値が大きくなり、また分散も大きくなる。そこで、一例としてバリエーションの数はエッジ強度ヒストグラムの中央値と標準偏差および最大値、最小値の値から求め、それぞれのエッジ強調の基本関数はエッジ強度ヒストグラムの中央値でほぼ決まるようにし、それぞれのバリエーションにおける特性値はエッジ強度ヒストグラムの分散でほぼ決まるようにするような関数を用いることにより、処理すべき画像の特性が変わっても的確なバリエーションの数およびエッジ強調の特性感を求めるしくみが実現できる。
【0023】
次に画像処理パラメータ決定処理部を説明する上で、本発明の他の実施例として画像処理オペレータとしてしきい値処理を選択した際のパラメータ決定について説明する。
【0024】
一般的な画像処理装置でしきい値処理を行う場合、図6に示すようなU/I(ユーザインタフェース)上でしきい値を指定し、画像処理を行う。この場合、初期しきい値としては、画像データが8Bit/色を通常とした場合、データ幅255の中央値である128に設定される場合が多い。
【0025】
本発明による画像処理パラメータの決定フローの例を図7に示す。ステップ701において、しきい値処理の画像処理オペレータが指定されると、まず画像データ解析処理を行う。この場合は、濃度ヒストグラムを求める(ステップ702)。そしてまず、しきい値のめやすとなる初期値として例えば公知の技術である判別分析法を用い、しきい値の初期値として設定(ステップ703)する。判別分析法は、画像の濃度ヒストグラムから統計的意味での最適しきい値を決定する手法であり、あるしきい値によってヒストグラムを2つのクラスに分割した場合のクラス間分散が最大になる点を選ぶという原理である。すなわち、この判別分析法によって設定された初期しきい値は、しきい値によって2分された各々のクラス間分散が最大になる点であり、しきい値として意味がある値である。
【0026】
次に、上記のように設定された初期しきい値を基準としてしきい値を前後に振る手法に付いて説明する。通常は図8に示すように濃度値のデータ幅である0〜255を均等に割り振る手法が一般的である。図8は処理画像のデータ解析により得られた濃度ヒストグラムの例を示したものである。濃度値に応じた頻度の分布状況をデータ値0−255の範囲で示してある。従来の画像処理装置では、この濃度値のデータ幅0−255を、例えば30ごと、あるいは50ごと、均等に分割しそれぞれをしきい値として設定していた。しかし、これは必ずしも画像処理を実行する操作者にとって意味のある振り方ではない。しきい値をデータ幅に基づいて均等に割り振った場合のしきい値の変化とそれに伴う画像の変化がリンクしていないからである。画像処理を行う操作者にとって、しきい値の割り振りに対するリニアな画像変化を期待するのが自然である。従って、しきい値を振る場合には、複数のしきい値が、実際の処理画像の濃度変化とリンクするように設定されることが望ましい。
【0027】
そこで、本発明の画像処理装置においては、まず画像データ分析結果から、累積濃度ヒストグラムを求め、初期しきい値の点を中心として、操作者の感覚にあった画像変化に対応するようにしき位置の設定をする。例えば初期値として決定した初期しきい値の値における累積ヒストグラムが10%と仮定する。この場合、図9に示すように初期しきい値を中心として濃度10%分、および90%分を各々n等分し、しきい値の振り方に対して濃度の変化のしかたがリニアになるような設定(図7におけるステップ704)を行う。本実施例ではそれぞれ5等分した場合を示している。すなわち、図9におけるスライドバー値0の点を初期しきい値の位置とし、その前後を5等分する。これにより、累積濃度ヒストグラムの0%−10%部分がスライドバー値−5から0まで、累積濃度ヒストグラムの10%−100%までがスライドバー0から5までに振り分けられる。振り分けられた濃度ヒストグラムにより、対応する濃度データ幅0−255が各スライドバーに対応するしきい値として設定される。これら画像処理パラメータ群を画像処理パラメータ設定部へ出力(図7におけるステップ705)する。そして画像処理パラメータ設定部では、例えば図10に示すようなU/I(ユーザインタフェース)を提供し、このU/Iによって操作者にパラメータを設定してもらう。図10の下段における数値が図9におけるスライドバーの数値に対応するものであり、この数値の中から操作者が任意の数値を選択することによって数値の変化にリニアにリンクした濃度変化をもたらす画像処理を実行することができる。このような本発明によるパラメータ群算出処理手法により、画像データ毎に適切な初期しきい値および画像濃度にリンクした変動を与えるしきい値を設定することができる。しきい値処理の例ではバリエーションとしてしきい値リニアではなく濃度リニアな形式に変形するとともに初期値として的確な意味を持つ値を算出しこれらを画像処理パラメータ群として出力する。
【0028】
本実施例ではエッジ強調およびしきい値処理の2つの例についてのみ解説したが、上記手法を各種の画像処理オペレータに対して実行することにより、操作者にとってより使いやすい画像処理環境すなわち処理画像に適した画像処理パラメータのバリエーション数および、それぞれのバリエーションに対して処理画像に適した画像処理パラメータ値を提供することができる。また、本実施例では画像処理オペレータに対して1つの画像処理パラメータがある例について解説したが、画像処理オペレータ内容によっては複数の画像処理パラメータによって構成されることもあり、その場合も画像データの解析結果の分析を行うことにより、それぞれの画像処理パラメータに対して的確なバリエーション及びパラメータ値を提供することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像処理装置によれば、特性の異なる画像においてもそれぞれの画像処理オペレータに対して好ましいパラメータの種類およびパラメータのバリエーションを提供することにより、操作者にとってより感覚に近い画像処理が実現できるとともに、画像処理パラメータを試行錯誤しながら決定するプロセスを簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像処理装置全体の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の画像処理装置における画像処理フローを説明する図である。
【図3】 本発明における、エッジ強調処理を例とした画像処理オペレータを指示する例を示す図である。
【図4】 エッジ強調処理を例とした画像処理オペレータの指示と従来手法である画像処理パラメータの結び付きを説明する図である。
【図5】 エッジ強調処理を例とした画像処理パラメータ決定の流れを説明する図である。
【図6】 しきい値処理を例とした画像処理パラメータを指示する例を示す図である。
【図7】 しきい値処理を例とした画像処理パラメータ決定フローを示す図である。
【図8】 濃度ヒストグラムを使用したしきい値処理の例を説明する図である。
【図9】 しきい値処理を例とした画像処理パラメータ群算出の一例を説明する図である。
【図10】 しきい値処理を例としたパラメータ選択手段を説明する図である。
【符号の説明】
1 画像入力部
2 画像蓄積部
3 画像処理オペレータ指示部
31 画像表示部
32 領域指定処理部
4 画像データ解析処理部
5 画像処理パラメータ群算出処理部
6 画像処理パラメータ設定部
7 画像処理部
Claims (7)
- 画像データを入力する画像入力手段と、
入力された画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、
前記画像データに対して、エッジ強調、シャープネス調整、濃度調整、および、しきい値処理からなるグループから選択される1の画像処理手法を指示する画像処理手法指示手段と、
前記画像処理手法に基づく画像処理に応じて処理対象となる前記画像データに関して、前記画像処理手法により変化させられる画像の光学特性を解析する画像データ解析手段と、
前記画像データ解析手段により得られる光学特性のヒストグラムを分析し、前記画像処理手法において選択可能な異なる複数の画像処理調整指標の数と、該画像処理調整指標ごとの画像処理特性とを前記光学特性のヒストグラムに基づいて決定する画像処理調整指標群算出手段と、
前記算出された画像処理調整指標群を選択可能にユーザに提示し、前記ユーザの選択に基づき、前記画像データの画像処理に適用する画像処理調整指標を設定する画像処理調整指標設定手段と、
前記指示された画像処理手法と前記設定された画像処理調整指標に基づいて、当該画像処理指標に対応する前記画像処理特性で前記画像データに対して画像処理を施す画像処理手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。 - 前記画像処理調整指標群算出手段は、前記画像処理手法指示手段による画像処理手法の指示ごとに実行される前記画像データ解析手段による画像データの光学特性のヒストグラムの分析結果に基づき、画像処理手法による画像処理の少なくとも2以上の画像処理特性の各々を、ユーザが理解できるラベルで表現された画像処理調整指標に対応づけて当該画像処理調整指標群を設定することにより、該指示された画像処理手法において前記選択可能な異なる複数の画像処理調整指標の数と、該画像処理調整指標ごとの画像処理特性を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記画像データ解析手段は、前記画像処理手法指示手段による画像処理手法が「エッジ強調」であるとき、被処理画像のエッジ強度を求め、エッジヒストグラムを導出し、該エッジヒストグラムからエッジ強度の中央値、最大値、最小値、標準偏差の各値を解析結果として出力し、前記画像処理調整指標群算出手段は、前記エッジ強度の中央値、最大値、最小値、標準偏差の各値に基づいて、前記選択可能な異なる複数の画像処理調整指標の数および該画像調整指標ごとの画像処理特性を決定し、決定された画像処理調整指標の特性の各々を、エッジ強調に関する「強」、「弱」等の感覚的な表現を含む表現態様に対応させて画像処理調整指標群として算出することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記画像データ解析手段は、前記画像処理手法指示手段による画像処理手法が「しきい値処理」であるとき、被処理画像の被処理画像データに関するヒストグラムを求め、該ヒストグラムから初期しきい値を設定するとともに、累積データヒストグラムを導出し、前記画像処理調整指標群算出手段は、前記累積データヒストグラム中の初期しきい値を基準に、感覚的にリニアな画像変化に対応する複数のしきい値を持つように画像処理調整指標群を算出することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記初期しきい値は判別分析法によって設定されたものであることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
- 画像データを入力する画像入力手段と、入力された画像データを蓄積する画像データ蓄積手段と、前記画像データに対して、エッジ強調、シャープネス調整、濃度調整、および、しきい値処理からなるグループから選択される1の画像処理手法を指示する画像処理手法指示手段と、前記画像処理手法に基づく画像処理に応じて処理対象となる前記画像データに関して、前記画像処理手法により変化させられる画像の光学特性を解析する画像データ解析手段と、前記画像処理手法の実行に際しての画像調整指標を設定する画像処理調整指標設定手段と、前記画像データに対して画像処理を施す画像処理手段とを有する画像処理装置における画像処理方法であって、
前記画像データ解析手段により、前記画像処理手法により変化させられる画像の光学特性を解析するステップと、
前記画像データ解析手段により得られる光学特性のヒストグラムを分析し、前記画像処理手法において選択可能な異なる複数の画像処理調整指標の数と、該画像調整指標ごとの画像処理特性を前記光学特性のヒストグラムに基づいて決定し、画像処理調整指標群を算出するステップと、
前記算出された画像処理調整指標群を選択可能にユーザに提示して、前記ユーザの選択に基づき、前記画像データの画像処理に適用する画像処理調整指標を設定するステップと、
前記指示された画像処理手法と前記設定された画像処理調整指標の値に基づいて当該画像処理調整指標に対応する前記画像処理特性で前記画像データに対して画像処理を実行するステップと、を有することを特徴とする画像処理方法。 - 前記画像処理調整指標群を算出するステップは、前記画像処理オペレータ指示手段による画像処理手法の指示ごとに実行される前記画像データ解析手段による画像データの光学特性のヒストグラムの分析結果に基づいて、該指示された画像処理手法による画像処理の少なくとも2以上の画像処理特性の各々を、ユーザが理解できるラベルで表現された画像処理調整指標群に対応づけて当該画像処理調整指標群を設定し、該指示された画像処理手法において選択可能な異なる画像処理調整指標の数と、該画像調整指標ごとの画像処理特性を決定するステップを有することを特徴とする請求項6記載の画像処理方法。
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