JP3895487B2 - 動電型ピックアップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電コイルを有する振り子と、該振り子をケース内で振動自在な状態で支持する一対の支持バネとを備えた動電型ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】
動電型ピックアップは、「磁界の中を導体が運動すると、導体には運動速度に比例した起電力が発生する」という原理を利用して、振動速度や振動変位を測定するものである。
動電型ピックアップ10は、例えば、図5(a)及び図5(b)に示すように、上記導体としての発電コイル4A、該発電コイル4Aを有する可動部(振り子)4、該可動部4の両端に取り付けられて可動部4をケース1内で振動自在な状態で支持する一対の支持バネ20,20、上記磁界を形成するマグネット2、発電コイル4Aに生じた電圧を計測する電圧計測手段(図示省略)、等を備えている。
【0003】
上記支持バネ20,20は、例えば、図6に示すような、同じバネ特性(力−たわみ特性)を有する一対のフラットなダイヤフラムバネにより構成されている。
このフラットなダイヤフラムバネは、非線形バネであり、図7及び図8に示すように、たわみ量に応じてバネ定数が変化するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の動電型ピックアップ10において、例えば、図5(b)に示すように、ケース1を地面に対し垂直に置いた場合には、可動部4の自重によって、支持バネ20,20にたわみが生じた状態となる。
このとき、支持バネ20,20は、前述したように、非線形バネであるフラットなダイヤフラムバネにより構成されているため、上記たわみによりバネ定数が変化する。
ここで、例えば、バネ定数の変化量が大きい場合には、以下の式(1)に示すように、バネ定数kの変化に伴い可動部4の固有振動数fn も大きく変化するため、動電型ピックアップの感度にばらつきが生じてしまう。
【0005】
【数1】
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、動電型ピックアップにおいて、姿勢の変化に伴う支持バネのバネ定数の変化を減少させて、感度のばらつきを小さくすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、
請求項1記載の発明は、発電コイル(4A)を有する振り子(例えば、可動部4など)と、該振り子をケース(1)内で振動自在な状態で支持する一対の支持バネ(3A、3B)と、を備えた動電型ピックアップにおいて、
前記一対の支持バネは、力−たわみ特性の異なる第1の非線形バネ(例えば、支持バネ3Aなど)と第2の非線形バネ(例えば、支持バネ3Bなど)によって、前記力−たわみ特性の同じ非線形バネの組合せで構成されるよりも、少なくとも前記振り子の動作範囲内においてバネ定数の変化率を減少させる関係の組合せで構成されている。
【0008】
この請求項1記載の発明によれば、振り子をケース内で振動自在な状態で支持する一対の支持バネが、力−たわみ特性の異なる第1の非線形バネと第2の非線形バネによって、力−たわみ特性の同じ非線形バネの組合せで構成されるよりも、少なくとも振り子の動作範囲内においてバネ定数の変化率を減少させる関係の組合せで構成されているため、従来のように一対の支持バネが同じ非線形バネの組合せで構成される場合に比べ、少なくとも振り子の動作範囲内において、バネ定数の変化率が減少されて、振り子の固有振動数の変化が抑えられる。
そのため、例えば、当該動電型ピックアップの姿勢が変化した場合においても、バネ定数の変化率が減少されて、感度のばらつきが小さくなる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の動電型ピックアップにおいて、
前記第1の非線形バネと前記第2の非線形バネが、熱処理時にたわませた非線形バネ(例えば、熱処理時にたわませたダイヤフラムバネなど)により構成されている。
【0010】
この請求項2記載の発明によれば、第1の非線形バネと第2の非線形バネが、熱処理時にたわませた非線形バネにより構成されているため、熱処理時にたわませる量を調整すれば、第1の非線形バネと第2の非線形バネのバネ特性を変化させることができる。
そのため、力−たわみ特性の同じ非線形バネの組合せよりも、少なくとも振り子の動作範囲内においてバネ定数の変化率を減少させるような第1の非線形バネと第2の非線形バネの組合せを、容易に得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図1〜図4の図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明に係る動電型ピックアップを構成する可動部(振り子)及び支持バネを示すもので、(a)はその斜視図、(b)は分解斜視図である。図2は図1の支持バネ単体での力−たわみ特性を示す図である。また、図3は図2の支持バネを組み合わせた場合の力−たわみ特性を示す図、図4は図2の支持バネを組み合わせた場合のバネ定数−たわみ特性を示す図である。
【0013】
この実施の形態の動電型ピックアップは、発電コイル4Aを装着した可動部(振り子)4と、該可動部4をケース1(図5)内で振動自在な状態で支持する一対の支持バネ3A、3Bと、を備えている。
支持バネ3A、3Bは、図1(a)及び図1(b)に示すように、可動部4の両端に取り付けられていて、内側のリング3b、3bは可動部4に、一方、外側のリング3a、3aはケース1側にそれぞれ固着されている。
可動部4は、一方の端面が開口した中空状の略円筒体であり、その外周面には、発電コイル4Aが装着されている。
この可動部4は、例えば、前述の図5に示すように、直流磁界が形成された内側磁極2aと外側磁極2bの間の空隙部5に発電コイル4Aが配された状態で、上記支持バネ3A、3Bを介してケース1内部に取り付けられている。
この可動部4に装着された発電コイル4Aは、支持バネ3A、3Bを介して電圧計測部(図示省略)に電気的に接続されている。そして、この電圧計測部による計測結果に基づいて、振動速度や振動変位の演算がなされるようになっている。
【0014】
支持バネ3A(第1の非線形バネ)及び支持バネ3B(第2の非線形バネ)は、図2(a)及び図2(b)に示すように、それぞれ異なるバネ特性(力−たわみ特性)を有する非線形バネにより構成されている。
この支持バネ3A、3Bを構成する非線形バネとして、ここでは、熱処理時にたわませたダイヤフラムバネが用いられている。このダイヤフラムバネは、同一のダイヤフラムバネであっても、熱処理時にたわませる量によって前記バネ特性を変化するようになっている。
このダイヤフラムバネは、図1(b)に示すように、大小のリング3a、3bと、これらリング3a、3bを接続する円弧状の細板部3c,…とにより構成されていて、円弧状の細板部3c,…の弾性変形(屈曲及びねじれ)に伴い、大小のリング3a、3bが近接離間する方向に伸縮するようになっている。
そして、これら支持バネ3A、3Bは、少なくとも可動部4の動作範囲内において、バネ定数の変化率及びバネ定数の値を最小とするような組合せとなっている。
具体的に、図2に示す力−たわみ特性を有する支持バネ3A、3Bを組み合わせた場合の力−たわみ特性は、図3に示すようになり、バネ定数−たわみ特性は、図4に示すようになっている。
即ち、図3に示すように、可動部4の動作点範囲における力−たわみ曲線が直線に近づき、また、図4に示すように、可動部4の動作点範囲におけるバネ定数の値及びバネ定数の変化量が小さい値となっている。
【0015】
この実施の形態の動電型ピックアップによれば、振り子としての可動部4をケース1内で振動自在な状態で支持する一対の支持バネ3A、3Bが、それぞれ、力−たわみ特性が異なる非線形バネにより構成されていて、これら非線形バネが、少なくとも振り子の動作範囲内においてバネ定数の変化率及びバネ定数の値を最小にするような組合せとなっているため、従来のように一対の支持バネが同じ非線形バネ(例えば、力−たわみ特性が同じ一対のフラットなダイヤフラムバネなど)により構成される場合に比べ、少なくとも可動部4の動作範囲内において、バネ定数の変化率及びバネ定数の値が減少されて、振り子としての可動部4の固有振動数の変化が抑えられる。
そのため、例えば、当該動電型ピックアップの姿勢が変化した場合においても、バネ定数の変化率が減少されて、感度のばらつきが小さくなる。
また、支持バネ3A、3Bを構成する非線形バネが、熱処理時にたわませたダイヤフラムバネにより構成されているため、熱処理時にたわませる量を調整すれば、支持バネ3A、3Bのバネ特性を変化させることができる。
そのため、少なくとも可動部4の動作範囲内においてバネ定数の変化率及びバネ定数の値を最小にするような非線形バネの組合せを、容易に見つけることができる。
【0016】
なお、この実施の形態では、支持バネ3A、3Bを構成する非線形バネとして、熱処理時にたわませたダイヤフラムバネを例示したが、これに限られるものではなく、熱処理時にたわませた非線形バネであればどのようなものとしてもよい。
また、支持バネ以外の部位における動電型ピックアップの構成も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0017】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、振り子をケース内で振動自在な状態で支持する一対の支持バネが、力−たわみ特性の異なる第1の非線形バネと第2の非線形バネによって、力−たわみ特性の同じ非線形バネの組合せで構成されるよりも、少なくとも振り子の動作範囲内においてバネ定数の変化率を減少させる関係の組合せで構成されているため、従来のように一対の支持バネが同じ非線形バネの組合せで構成される場合に比べ、少なくとも振り子の動作範囲内において、バネ定数の変化率が減少されて、振り子の固有振動数の変化が抑えられる。
そのため、例えば、当該動電型ピックアップの姿勢が変化した場合においても、バネ定数の変化率が減少されて、感度のばらつきが小さくなる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、第1の非線形バネと第2の非線形バネが、熱処理時にたわませた非線形バネにより構成されているため、熱処理時にたわませる量を調整すれば、第1の非線形バネと第2の非線形バネのバネ特性を変化させることができる。
そのため、前記特性の同じ非線形バネの組合せよりも、少なくとも振り子の動作範囲内においてバネ定数の変化率を減少させるような第1の非線形バネと第2の非線形バネの組合せを、容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る動電型ピックアップを構成する可動部(振り子)及び支持バネを示すもので、(a)はその斜視図、(b)は分解斜視図である。
【図2】図1の支持バネ単体での力−たわみ特性を示す図で、(a)は支持バネ3A(第1の非線形バネ)、(b)は支持バネ3B(第2の非線形バネ)の特性である。
【図3】図2の支持バネを組み合わせた場合の力−たわみ特性を示す図である。
【図4】図2の支持バネを組み合わせた場合のバネ定数−たわみ特性を示す図である。
【図5】従来の動電型ピックアップの一例を示す断面図で、(a)は動電型ピックアップが地面に対し水平に置かれている状態、(b)は動電型ピックアップが地面に対し垂直に置かれている状態、をそれぞれ示している。
【図6】図5の動電型ピックアップを構成する支持バネを示す斜視図である。
【図7】図6の支持バネの力−たわみ特性を示す図である。
【図8】図6の支持バネのバネ定数−たわみ特性を示す図である。
【符号の説明】
1 ケース
3A 支持バネ(第1の非線形バネ)
3B 支持バネ(第2の非線形バネ)
4A 発電コイル
4 可動部(振り子)
Claims (2)
- 発電コイルを有する振り子と、該振り子をケース内で振動自在な状態で支持する一対の支持バネと、を備えた動電型ピックアップにおいて、
前記一対の支持バネは、力−たわみ特性の異なる第1の非線形バネと第2の非線形バネによって、前記力−たわみ特性の同じ非線形バネの組合せで構成されるよりも、少なくとも前記振り子の動作範囲内においてバネ定数の変化率を減少させる関係の組合せで構成されていることを特徴とする動電型ピックアップ。 - 前記第1の非線形バネと前記第2の非線形バネは、熱処理時にたわませた非線形バネにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の動電型ピックアップ。
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