JP3895149B2 - 貼着型カイロ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貼着型カイロに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の貼着型カイロは、所定の透気度を有する通気性内袋内に所定量の発熱性混合組成物を収容被包し、その内袋の片面のシートの外面に粘着剤を塗布して粘着剤塗布面を形成し、該粘着剤塗布面に剥離性シートを仮貼着して構成して成り、これを非通気性の外袋内に収納密封して市販されている。使用者は、使用時に、その外袋から該貼着型カイロを取り出し、その剥離シートを除去し、その粘着剤塗布面を露出させ、身体の肩、腰部などの所要の個所に、その粘着剤塗布面側のシート面を介して貼着して使用する。その貼着状態において、粘着剤塗布面側と反対側の外気に触れる通気性シートを介して外気が該内袋に侵入し、該内袋内の発熱性混合物と接触し、主成分である鉄粉の酸化発熱反応により所定の有効加熱温度に上昇し、その粘着剤塗布面側のシート面を介してそのシート貼着面全面に対応する皮膚面全面を同じ温度で、5時間以上の所定時間加熱し、これにより、血流を促進するなどにより肩凝りや痛みなどを和らげ或いは解消する効果をもたらす。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
此種の貼着型カイロは、該内袋の通気性シートの透気度を適当に変えることにより、該貼着面側のシート面を介して皮膚面に伝えられる有効加熱温度が通常38℃〜43℃の温度範囲で夫々所定の加熱温度が得られる各種の貼着型カイロの製造、供給が可能であるが、いずれにしても、従来の貼着型カイロは、その1個で、その貼着面全面に亘り同じ所定の加熱温度しか使用者に付与することができないが、カイロとはこのようなものであるとして満足しているのが通常である。しかし乍ら、かゝる従来の貼着型カイロは、例えば使用する貼着型カイロの選択によっては、全面的に加熱温度が低温すぎて使用者にとり満足しない場合があり、従って、新しく、これより高温が得られる貼着型カイロを求める必要が生じ、不経済である。
また、使用者の状況によっては、特に身体のつぼや肩凝りで特に凝った部分或いは特に痛みを感ずる部分などの急所のみを特に高温の有効温度で加熱し、その外周の貼着面は、かゝる高温で加熱する必要がなく、それより低温で加熱したい場合がある。
従って、1つの貼着型カイロで異なる有効加熱温度を生じ、上記の要望を満足する便利な製品の開発が望まれる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かゝる従来の貼着型カイロの不都合を解消し、上記の要望を満足し得る2つの異なる加熱温度をもたらすと共に商品価値を高めた貼着型カイロを提供するもので、所定の透気量を有する通気性内袋内に発熱性混合物を収容被包し、その内袋の片面のシートの外面に粘着剤を塗布して粘着剤塗布面を形成し、該片面のシートに、少なくとも1個の開口部を穿設すると共に、金属板片を該開口部を閉塞した状態で該開口部の外周のシート面に貼着し、更に、透明な剥離性シートを、該金属板片に重ねると共にその外周の該粘着剤塗布面全面に仮貼着して成り、使用において、被貼着面に対する金属板片による加熱温度をその周囲の貼着剤塗布面を有するシート面による加熱温度よりも約1〜3℃高くなるようにしたことを特徴とする。
更に本発明は、上記の発明に係る貼着型カイロにおいて、該金属板片が柔軟且つ極めて肉薄且つ軽量で、該片面シートに貼着したとき片面シートと同一平面に貼着され、該片面シートと一体に馴染み貼着できる好ましい貼着型カイロを提供するもので、該金属板片は、金属箔片であることを特徴とする
に本発明は、上記の発明に係る貼着型カイロにおいて、比較的高温の加熱温度を皮膚面に伝える金属片又は金属箔を、特に人体のつぼやその他の急所に、的確に且つ容易に貼着し得るようにした使用に便利な貼着型カイロを提供するもので、金属板片により閉塞された1個又は複数個の開口部は、該片面シート面の中心部又はその近傍の中央面域に設けたことを特徴とする。
【0005】
【作用】
本発明の上記貼着型カイロは、該透明な剥離シートにより、該金属板片を被覆すると共に、該金属板片の透視を可能にする。次に、その身体の加熱すべき個所に貼着して使用するときは、外気と接触する通気性シートより外気が侵入してその内部の発熱性混合物に接触し、発熱反応を起こし、所定の発熱温度まで上昇する。この発熱混合物の熱は、これと密着している金属板片とその周囲の貼着シートを介してこれに対応する人体の被加熱面を加熱するが、金属板片は良好な熱伝導性であり、貼着シート材に比し著しく熱伝導性が良好であるので、金属板片による加熱温度は、シート材による加熱温度より約1〜3℃高温となる。かくして、本発明の貼着型カイロ皮膚に貼着したとき、上記特定の高,低2つの異なる有効加熱温度で該皮膚面を加熱することができると共に、該金属板片の位置は固定されるので、所要の個所から位置ずれすることがない。また、該金属板片は、該シートの外面に貼着したので、その金属板片の加熱された板面全面を皮膚に密着せしめて有効に利用することができると共に、該シートの加熱温度より約1〜3℃高い高温の加熱温度を付与することができる
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の貼着型カイロの基構成は、従来のものと変わりがない。即ち、一般に、通気性内袋は、例えば、上下2枚の所定の大きさの所定の透気度を有する通気性の角形シートにより所定量の発熱性混合物を上下から挟んだ状態でその四周辺を重ね合わせ、その四周辺を相互にヒートシール、接着剤などにより結着して成る。そのシートの材料は、合成繊維や植物繊維の不織布、合成樹脂フィルム、生分解性フィルムの単独又はこれらのラミネートなどから成り、その上下シートは同一材料でも異種材料でもよい。該通気性内袋のいずれか一方のシート面には、粘着剤を均一に塗付して貼着剤塗布面を形成し、その塗布面に透明又は不透明の紙又は合成樹脂製の剥離性シートを仮貼着しておく。その他方のシートは、例えば、微細な通気孔を穿設して所定の透気度を有し、その通気性シートを介し外気が内袋内部に侵入し、内部の発熱性混合物中の主成分である鉄粉と接触し酸化反応により発熱し、所定の有効発熱温度を所定の長時間維持し得るようにする。
該内袋内の発熱性混合物は、主成分として還元鉄、アトマイズ鉄粉などの鉄粉に、触媒として塩化ナトリウム塩、塩化カリ、塩化カルシウムなどの塩類、発熱作用を良好に維持せしめる触媒として働く活性炭などの炭素粉、バーミキュライト、木粉などの保水剤、水を配合したものである。該発熱性混合物の組成は、一般に、鉄粉35〜45重量%、塩類2.5〜5.5重量%、炭素粉12〜22重量%、バーミキュライトなどの保水剤10〜20重量%、水18〜28重量%を配合したものが好ましく使用される。以上が、貼着型カイロの基本構成であり、その内袋の通気性シートの透気度を予め変えたものを使用することにより、例えば、異なる有効発熱温度を夫々もたらす上記の課題を有する各別の貼着型カイロが得られるにすぎない。
【0007】
本発明者は、上記のように貼着面側を全面同じ有効温度で加熱することが常識であった従来型の貼着式カイロの利用価値を高めるべく検討していたが、その貼着面側のシートの一部を金属板片に代えることにより、その貼着面側の一部となった金属板が、その周囲の貼着シート面の温度より高温となり、人体の被貼着面に温度の異なる加熱面を有する貼着型カイロとし、その使用価値を高めることができることを知見した。
【0008】
【実施例】
その本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図面で、図1及び図2は本発明の実施の1例を示し、図1は、貼着面から見た平面図、図2は、図1のII−II線裁断拡大断面模写図を示す。図面で1は、本発明の貼着型カイロを示す。その構成は、例えば次の通りである。
2は、該貼着型カイロの通気性内袋、3は、その内袋2に収容被包された発熱性混合物を示す。該通気性内袋2は、100mm×135mmの矩形状の通気性シートの上下2枚を発熱性混合物3を挟んでその四周縁を幅5mm程度で互いに熱融着して成る角形の袋で、その1方の面のシート、図2示の例では上面のシート2aはポリエチレンフィルムとポリエステルフィルムのラミネートシート2aから成り、その外面には全面均一にSISなどの粘着剤を塗布して肉薄の粘着剤塗布面4を設け、その他方のシート、図2示の下面のシート2bはポリエチレンフィルムとポリエステル不織布のラミネートフィルムから成り、且つその全面に多数の微細な通気孔(図示しない)を有する通気性シート2bを示し、例えばその透気度を王研式透気度測定器により測定し、22500秒/100ccとした通気性シート2bを用いた。かゝる通気性内袋2の内には、発熱性混合物として50gを含有せしめたもので、その配合組成は、例えば鉄粉40.6重量%、塩化カリウム4.9重量%、活性炭17.1重量%、バーミキュライト14.6重量%、水22.8重量%から成る。
【0009】
本発明によれば、かゝる貼着面側のシート2aに、打抜きにより好ましくは、そのシート2a面の中心部に、適当な大きさで且つ所望の形状の、例えば径50mmの円形の開口部5を穿設し、更に、その開口部5を閉塞するべく、別個に用意した該開口部5より大径で且つ所望の形状の柔軟な銅板や金属箔などを材料とした金属板片6、例えば径60mmの円形の金属板片6、好ましくは金属箔片、図示の例では、アルミ箔片6をその周縁の貼着代6aで該開口部5を閉塞する状態でその外周面の表面の貼着剤塗布面4に重ね貼着し、アルミ箔片6による開口部5の閉塞状態を固定し、その後、而してその外面に該シート2aと同一寸法、形状の透明な剥離性シート7を重ねて、そのアルミ箔板片6を除くその外周の貼着剤塗布面4全面に仮貼着して、本発明の貼着型カイロを構成したものである。而して、これを、外袋(図示しない)に入れ密封して製品とする。尚、図示の例では、粘着剤としては透明な粘着剤を使用すると共に、該透明な剥離性シート7としては、透明なフィルムを使用することにより、金属箔片6の上面を被覆すると共に、該金属箔片6を外観透視し得られる趣味性を向上し、商品価値を高めたものに構成した。尚また、粘着剤には、温感刺激剤として唐辛子などの粉末又はエキスを混入したものを該シート2aに適当な厚さに塗布し、その塗布面4を形成することができる。
尚また、金属板片6としては、好ましくは0.5mm以下の肉薄で柔軟性があり、シート2aに馴染み易く且つ貼着してシート2aと略同一平面となる金属板片が好ましく、特に、金属箔片6が最適である。金属箔片は、一般に厚さ0.006〜0.2mm程度のもので軟質と硬質のものがあるが、この中から比較的強靭な金属箔が選択使用される。
【0010】
而して、上記の本発明の貼着式カイロ1を使用するに当たっては、従来と同様に、外袋から取り出し、該透明な剥離シート7を剥離し、その貼着面側を露出させ、例えば、特に高温で加熱したい体のつぼなどの急所を中心にして貼着する場合、貼着側シート2a面の中心部に位置するアルミ箔片6を該つぼに当てた状態で、その外周の貼着剤塗布面4で皮膚に貼着して使用する。然るときは、その外側に位置する通気性シート2bを通して外部から空気が徐々に侵入し、内部の発熱性混合物と接触し、その発熱反応により昇温し、その透気量に対応する所定の有効加熱温度を5〜6時間維持し、その被貼着面を加熱することになるが、本発明のカイロ1によれば、前記の透気度によれば、その中心面部のアルミ箔片6の周囲の貼着面であるシート2a面の温度は、41℃でそのつぼの外周の被貼着面を加熱すると同時に、そのつぼに当たる中心面部を構成するアルミ箔片は、その周囲のシート面の温度より2℃高い43℃となり、かゝる比較的高温で該つぼを加熱することができる。而して、その周囲は、比較的低温41℃であるので、全体として長時間使用しても適度な加熱温度を維持できる。而も、そのアルミ箔片6はその周囲の粘着剤塗布面による皮膚への貼着により、所定の位置からずれることなく、安定良好に所定個所を加熱保持することができる。
【0011】
また、アルミ箔板片などの金属板片6の貼着は、上記のように、その開口部5の外周の該シート2aの外面に貼着することにより、皮膚面にその全面が密着し、その金属板片7の面積に対応する大面積でその対面する被加熱面を加熱することができ好ましい。
【0012】
尚、多くの試験の結果、上記の実施例における通気性シート2bの透気量を種々変えることにより、一般に被貼着面に対する金属板片による加熱温度をその周面の貼着剤塗布面を有するシート面による加熱温度よりも約1〜3℃高くすることができることが判った。その数例を下記表1に示す。
【0013】
【表1】
Figure 0003895149
【0014】
表1から明らかなように、本発明の貼着型カイロは、その金属板片による加熱温度をその周囲の貼着シート面による加熱温度よりは1〜3℃の範囲高くすることができる。勿論、表1の透気度に限定するものでなく、また、内袋内の発熱性混合物の量やその配合組成を変えるなどにより、その金属板片の加熱温度とその粘着剤塗付シートによる加熱温度を色々な段階に変えた各種の加熱温度の異なる本発明の貼着型カイロを製造することができる。
【0015】
図3は、本発明の他の実施の1例の貼着型カイロ1′を示し、この実施例では、内袋2のその貼着側のシート面2aの中心部の近傍に、2個の開口部5,5を配設し、その夫々の開口部5,5を閉塞した状態でアルミ箔片6,6をその外周の貼着代6a,6aによりその貼着剤塗布面4に貼着し、その上面に透明な剥離シート7を仮貼着したものである。その他の構成は、前記の実施例の構成と同じである。
この貼着型カイロ1′も又、該透明な剥離シート7は、その中央面域に配置されているその金属箔片6,6の上面を被覆すると共に、透視を可能にし、趣味性が付与されて商品 価値の向上した製品をもたらす。また、その金属箔片6,6は、そのシート2a面の中心部近傍の中央面域内に配置されているので、該透明な剥離シート7を剥がし、その露出した金属箔片6,6を容易に所要の身体の急所に的確に当てた状態でその周囲の該粘着剤塗布面4で貼着することにより、夫々の金属箔片6,6をその所要の位置からずれることなく、安定良好に夫々の急所を加熱保持することができる。
【0016】
尚、図示しないが、本発明の貼着型カイロとして、その貼着剤のシート面2aには、その中心部又はその近傍の中央面域に限らず、その外周面域にも、従って、好ましくは規則的に複数個の適当な大きさの開口部を配設すると共に、夫々の開口部を閉塞してその開口部より大きい面積を有する金属箔片などの金属板片を貼着し、その貼着面側に、比較的温度の低い外貼着シートから成る加熱面となり、比較的高い金属板片から成る比較的温度の高い加熱面となる1つのカイロで、加熱温度を異にする製品を製造するようにしてもよい。かくして、全面的に熱すぎたり、低すぎたりすることのない、使用に便利な貼着型カイロを提供することができる。
【0017】
尚また、本発明の少なくとも1枚の金属板片を具備した内袋の寸法、形状は、上記の実施例に示すものに限定されるものではなく、所望の任意の寸法、形状のものに作製することができることは言うまでもない。
【0018】
【発明の効果】
本願の請求項1に係る発明によれば、該透明な剥離シートにより該金属板片を被覆すると共に透視外観し得られる趣味性が付与され、商品価値の向上した貼着型カイロが提供されると共に、その透明な剥離シートを剥がし、その粘着剤塗布面で身体の所要個所に貼着したとき、その1つの貼着型カイロで金属板片面と貼着シート面を介して夫々の異なる加熱温度で加熱することができ、従来の1つの貼着型カイロに比し、経済的であると共に利用価値を高めることができると共に、特に、金属板片が所要の個所から位置ずれなく、安定良好に高温で加熱保持することができる。更にまた、該金属板片は、該シートの外面に貼着したので、その金属板片の加熱された板面全面を皮膚に密着せしめて有効に利用することができると共に、該シートの加熱温度より約1〜3℃高い高温の加熱温度を付与することができる
請求項2に係る発明によれば、金属板片として金属箔片を用いるときは、該カイロの内袋のシート面から殆ど突出することがなく実質上平坦で且つシート面に馴染み一体に貼着された良好な貼着型カイロをもたらす
求項に係る発明によれば、金属板片を、シート面の中心部又はその近傍の中央面域にその外周の粘着剤塗布面で人体の皮膚に貼着したので、使用に当たり、身体のつぼなどの特に高温で加熱したい急所に、その金属板片を容易且つ的確に所要個所に当てることができると共に、位置ずれなく、その所要個所を安定良好に加熱保持することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の1例の貼着型カイロの一部を裁除した平面図である。
【図2】 図1のII−II線裁断拡大断面模写図である。
【図3】 本発明の他の実施例の貼着型カイロの一部を裁除した平面図である。
【符号の説明】
1 本発明の貼着型カイロ
2 通気性内袋
2a 貼着面側のシート
2b 通気性シート
3 発熱性混合物
4 貼着剤塗布面
5 開口部
6 金属板片、金属箔片、アルミ箔片
6a アルミ箔片の貼着代
透明な剥離性シート

Claims (3)

  1. 所定の透気量を有する通気性内袋内に発熱性混合物を収容被包し、その内袋の片面のシートの外面に粘着剤を塗布して粘着剤塗布面を形成し、該片面のシートに、少なくとも1個の開口部を穿設すると共に、金属板片を該開口部を閉塞した状態で該開口部の外周のシート面に貼着し、更に、透明な剥離性シートを、該金属板片に重ねると共にその外周の該粘着剤塗布面全面に仮貼着して成り、使用において、被貼着面に対する金属板片による加熱温度をその周囲の貼着剤塗布面を有するシート面による加熱温度よりも約1〜3℃高くなるようにしたことを特徴とする貼着型カイロ。
  2. 該金属板片は、金属箔片であることを特徴とする請求項1に記載の貼着型カイロ。
  3. 金属板片により閉塞された1個又は複数個の開口部は、該片面シート面の中心部又はその近傍の中央面域に設けたことを特徴とする請求項1に記載の貼着型カイロ。
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