JP3893631B2 - ダイヤモンド焼結体とその製造方法並びにダイヤモンド焼結体工具及び砥粒 - Google Patents

ダイヤモンド焼結体とその製造方法並びにダイヤモンド焼結体工具及び砥粒 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はダイヤモンド焼結体とその製造方法並びに該ダイヤモンド焼結体を用いた切削又は掘削用工具に関する。本発明のダイヤモンド焼結体は非鉄金属やセラミックス等の切削又は研削工具用素材及び石油堀削用等のドリルビットの刃先素材として、あるいは粉砕したものを砥粒として好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来の合成ダイヤモンド焼結体を用いられた焼結材により大別すると、▲1▼焼結結合材として溶媒作用のある鉄族金属(Fe,Ni,Co)及び又はその合金を用いたもの、▲2▼焼結結合材として炭化ケイ素(SiC)を用いたもの、▲3▼焼結結合材として触媒として作用する炭酸塩を用いたもの、の3種類になる。
このうち▲3▼は▲1▼、▲2▼に比較して、高温高圧による焼結が必要となり、製造コストがかなり割高となるため、工業的に利用されているものは、前記▲1▼、▲2▼の鉄系金属又はその合金、並びに炭化ケイ素を用いたものが殆どである。
上記の他、天然のダイヤモンド焼結体(カルボナード)があるが、成因が明確ではなく、産出量も極く少量の為、工業用途としては事実上使用されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の合成ダイヤモンド焼結体については、それぞれ以下のような問題点がある。
まず、▲1▼の鉄族金属又はその合金を焼結結合材とするダイヤモンド焼結体の場合、700℃以上の高温にすると、結合材とダイヤモンドが反応し強度が低下すること、焼結結合材に金属を用いている為、耐摩耗性や強度が低下することが挙げられる。
▲2▼の炭化ケイ素を焼結結合材とする場合は、破壊し易い炭化物を結合材に用いているため耐欠損性に劣ること、ダイヤモンドに対する溶媒及び触媒作用の無い炭化ケイ素を用いているためダイヤ同士の結合が少なく耐摩耗性に劣ることが挙げられる。
▲3▼の炭酸塩を焼結結合材とするものの場合は、炭酸塩が触媒作用を発揮する圧力及び温度が高く、前記▲1▼、▲2▼の焼結体に比較して焼結可能な体積が減少すること、超高圧の焼結費用が高額のため単位体積当りの焼結体のコストが極めて高くなること、さらに炭酸塩は触媒作用又は溶媒作用が比較的小さいためダイヤ粒子同士の結合強度が弱く、耐欠損性に劣ることが挙げられる。
また、前記▲1▼の焼結体を酸等に浸けて、鉄系金属並びに鉄系合金を除去したものがあるが、強度、耐欠損性共に低く、高温で使用する用途に限定されている。
以上述べた様に、従来のダイヤ焼結体は、i )耐熱性に劣ること、ii)耐欠損性に劣ること、iii)耐摩耗性に劣ること、iv)焼結により高温高圧を必要とし、コスト高になること、の上記i)〜iv)のいずれかの問題点をそれぞれ2つ以上有していた。本発明はこのような現状に鑑み、上記問題点をいずれも解決できて耐熱性、耐欠損性、耐摩耗性を有し、且つ比較的低圧低温で焼結できるダイヤモンド焼結体とその製造方法及び該焼結体を用いた工具を提供することを意図したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、本発明は下記のようなダイヤモンド焼結体及びその製造方法、それを用いた工具、砥粒を提供するものである。
(1)ダイヤモンドの体積比率が50〜99.9%、好ましくは50〜99.5%、更に好ましくは70〜99%であり、残部結合相が希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表3B族元素、4B族元素、及びイオウからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(A)とリン化合物(B)との化合物(C)、又は前記化合物(C)と(A)の酸化物からなることを特徴とするダイヤモンド焼結体。
【0005】
(2)ダイヤモンドの体積比率が50〜99.9%、好ましくは50〜99.5%、更に好ましくは70〜99%であり、残部結合相が希土類元素とリン化合物とから得られる物質を主体とする相からなることを特徴とするダイヤモンド焼結体。
(3)希土類元素、アルカリ土類元素を必須成分として含み、希土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)の粉末、該(A)の酸化物又は該(A)を含有する化合物(D)の粉末、リン又はリン化合物(B)の粉末並びにダイヤモンド粉末又は黒鉛粉末を混合し、得られた混合粉末をダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
【0006】
(4)希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)とリン化合物(B)との化合物(C)、もしくは当該化合物(C)と(A)の酸化物からなる複合物を予め合成し、当該化合物(C)又は当該複合物の粉末とダイヤモンド粉末又は黒鉛粉末を混合し、得られた混合粉末をダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
(5)希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)とリン化合物(B)との化合物(C)、もしくは当該化合物(C)と(A)の酸化物からなる複合物の薄片、薄板又は焼結体保持板を予め作製しておき、ダイヤモンド粉末又は黒鉛粉末と前記薄片、薄板又は焼結体保持板とを組合せ、ダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で溶浸させることによりダイヤモンドを焼結させることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
【0007】
(6)希土類元素粉末又は該希土類元素を1種類以上含有する合金粉末及びリン化合物粉末並びにダイヤモンド粉末又は非ダイヤモンド炭素粉末又はダイヤモンドと非ダイヤモンド炭素の混合粉末を混合し、得られた混合原料をダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
(7)希土類元素と前記リン化合物(B)から形成される化合物をあらかじめ合成しておき、当該化合物の粉末とダイヤモンド粉末又は非ダイヤモンド炭素の混合粉末又はダイヤモンドと非ダイヤモンド炭素の混合粉末とを混合し、得られた混合粉末をダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
【0008】
(8)希土類元素粉末又は該希土類元素を1種類以上含有する合金粉末及びリン化合物粉末の成形体と、ダイヤモンド粉末の成形体又は非ダイヤモンド炭素粉末の成形体又はダイヤモンドと非ダイヤモンド炭素の混合粉末の成形体とを積層し、これをダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
(9)希土類元素とリン化合物から形成される化合物をあらかじめ合成しておき、当該化合物粉末の成形体と、ダイヤモンド粉末の成形体又は非ダイヤモンド炭素粉末の成形体又はダイヤモンドと非ダイヤモンド炭素の混合粉末の成形体とを積層し、これをダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
【0009】
又、本発明は下記の好ましい実施態様を含むものである。
(10)前記リン化合物(B)がPab(但しaは1又は2、bは2,3,4,5又は7である)で表されるものであることを特徴とする上記(1)に記載のダイヤモンド焼結体。
(11)前記化合物(C)もしくは混合物(C′)がMNx(Paby(OH)z〔但しMは希土類元素希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類金属及び周期律表の4B族元素から選ばれる1又は2以上の元素の単体又は固溶体であり、Nは周期律表の3B族元素又はイオウの単体又は固溶体であり、x,y,zはそれぞれ1≦x≦4.5,1≦y≦5,1≦z≦26の範囲にある〕で表されることを特徴とする上記(1)に記載のダイヤモンド焼結体。
(12)前記結合相が、希土類元素希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)とPa Ob (但しaは1又は2、bは2,3,4,5又は7である)で表されるリン化合物(B)との化合物(C)と希土類元素希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)の酸化物からなることを特徴とする上記(1)、(2)、(10)、又は(11)に記載のダイヤモンド焼結体。
【0010】
(13)前記結合相が、MNx(Paby(OH)z〔但しMは希土類元素、アルカリ土類金属及び周期律表の4B族元素から選ばれる1又は2以上の元素の単体又は固溶体であり、Nは周期律表の3B族元素又はイオウの単体又は固溶体であり、x,y,zはそれぞれ1≦x≦4.5,1≦y≦5,1≦z≦26の範囲にある〕で表される前記化合物(C)及び希土類元素希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)の酸化物からなることを特徴とする上記(1)、(2)、(10)又は(11)に記載のダイヤモンド焼結体。
【0011】
(14)上記各項に記載されたダイヤモンド焼結体又はそれらの製造方法によって得られたダイヤモンド焼結体を刃先として用いることを特徴とする切削、研削又は掘削用ダイヤモンド焼結体工具。
(15)上記各項に記載されたダイヤモンド焼結体又はそれらの製造方法によって得られたダイヤモンド焼結体を粉砕されてなることを特徴とする砥粒。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素、及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)を含むリン化合物がダイヤモンド焼結体の焼結結合材として非常に有効なことを見いだし本発明に至った。また、ダイヤモンドの焼結作用を示すことのできるリン化合物の形態はPaObで表され、aが1又は2、bが2,3,4,5又は7であるa,bの組合せの場合が特に有効であること、さらに、結合材として強く作用する組成が、一般式MNx(Paby(OH)z〔但しMは希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、
アルカリ土類金属及び周期律表の4B族元素から選ばれる1又は2以上の元素の単体又は固溶体であり、Nは周期律表の3B族元素又はイオウの単体又は固溶体であり、x,y,zはそれぞれ1≦x≦4.5、1≦y≦5、1≦z≦26の範囲にある〕で表され、複数種の化合物との組合せや酸化物共存下でも有効に作用することを見いだした。特に本発明の好ましい実施態様では、焼結結合材として希土類元素とリン化合物からなる化合物を用いた点を特徴とする、ダイヤモンドの体積比率が50〜99.9%、好ましくは50〜99.5%、特に好ましくは70〜99%で、残部結合相が希土類元素とリン化合物とから得られる物質からなるダイヤモンド焼結体である。
【0013】
以下本発明における希土類元素とリン化合物の作用を説明する。
a)希土類元素の添加効果について:
希土類元素は炭素の溶解作用を有するため溶媒として作用し、ダイヤモンドの焼結を促進する。ただし、希土類金属単独で又は希土類金属と鉄系金属との合金を焼結結合材として用いると、ダイヤモンドと反応して炭化物を形成し、該炭化物がダイヤモンド粒子の焼結作用を妨害する。
【0014】
b)リン化合物の添加効果について:
一方、リン化合物はダイヤモンド合成の触媒又は溶媒作用があるのに加え、希土類元素が炭化するのを防止する作用があり、希土類金属の溶媒作用を助長する。
従って、焼結結合材中に希土類元素とリン酸とを共存させればよいわけであるが、希土類元素とリン化合物の混合物は、ダイヤモンドの安定領域において溶解し、常圧下では最終的に殆どが両者の化合物となることがX線回折により判明した。
リン化合物と希土類金属との化合物は酸やアルカリに対し腐食されにくく、水にも殆ど溶解しないため、炭酸塩を結合材として用いた場合より安定である。また、当該希土類元素リン酸塩化合物は炭酸塩より融点が低いので、これを焼結結合材として用いる場合には炭酸塩の場合ほど、高い圧力、温度を必要としない点でも有利である。
ただし、ダイヤモンドの炭素が当該化合物と一部反応して炭化物や炭酸化合物、あるいはそれらの混合体となる場合もあるが、本質的には影響が無い。
【0015】
c)アルカリ土類金属、周期律表の3B族元素、4B族元素又はイオウの添加効果について:
これらの元素のダイヤモンド合成に対する触媒作用は低いが、結合材の融点を低下させ、低圧・低温でダイヤモンドを焼結させる効果がある。低圧・低温で製造することにより製造費用を大幅に低減できるという大きな工業的利点がある。
【0016】
d)結合相をリン化合物とすることの効果:
まず第1の効果は、当該化合物は耐薬品性に優れ、かつ強度も高く、結合材が劣化しないという効果を奏する。特に腐食性の環境で用いる掘削や切削においてその効果が高い。
【0017】
また、当該化合物の熱膨張係数は5×10-6と、鉄系金属溶媒に比較してダイヤモンドの熱膨張係数2〜3×10-6に近く、高温で使用しても焼結体内で熱応力が発生せず、耐熱性に優れている。第2の効果は当該化合物とすることにより、高圧下では融点が低くなり、低温で焼結することが可能となる。結合相を単一の化合物にしても、複数の化合物にしても同様に効果がある。
【0018】
e)リン化合物の形態効果について:
一般にリン酸化物はPa b の形式で記述できる。多種存在するリン酸のうち、下記のa,bの条件を満たす場合が、溶媒作用を有しダイヤモンドの焼結に作用することを、本発明者らは見いだした。
aが1又は2、bが2,3,4,5又は7である組合せである。
また本発明者らは、次亜リン酸(H3 PO2 )の場合も例えばCe(H3 PO2 3 ・H2 O等として有効に作用することを見いだした。
【0019】
f)MNx (Pa b y ( OH)z の化合物の効果について:
MNx (Pa b y ( OH)z の化合物は、MがCeでNがAlの場合CeAl3 (PO4 2 (OH)6 〔フローレンサイト〕として知られている。
結合相に当該化合物を用いることの第1の効果は、当該化合物の融点が低く、従来の炭酸塩触媒に比較して、300〜400℃近くも低温でダイヤモンドを焼結でき、圧力も1GPa(13気圧)強低減することができる点である。このように低圧低温で製造できることは、焼結体の製造コスト低減に大きく寄与し、安価な製品を提供できる。
また、当該化合物は酸やアルカリに強く、耐蝕性に優れており、石油掘削等のドリルビットの刃先には特に適している。本発明者等は当該化合物が形成できる条件が以下であることを見いだした。
MNx (Pa b y ( OH)z において、Mは希土類元素,アルカリ土類元素又は周期律表の4B族元素の単体又は固溶体であり、Nは周期律表の3B族元素(Al,B,Ga,In,Tl)又はイオウ(S)の単体又は固溶体であり、かつ1≦x≦4.5,1≦y≦5,1≦z≦26の範囲にあることが特に有効であることを見いだした。
さらに、当該化合物は酸化物の中に分散する状態でも、前記と同様の効果を示した。
【0020】
本発明の焼結材の各成分、化合物について更に具体的に説明する。
本発明にいう希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表3B族、4B族及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)において、希土類元素としては、ランタノイドのLa,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu及びアクチノイドのAc,Th,Pa,U,Np,Pu,Am,Cm,Bk,Cf,Es,Fm,Md,No,Lrが挙げられる。
また、希土類元素は合金に含まれていてもよく、このような合金としては例えばCeTl,CeIn,AlCe,LaGe等の合金が挙げられる。
また該(A)におけるアルカリ土類元素としては例えばBe,Mg,Ca,Sr,Ba,Raが挙げられ、周期律表の3B族元素としてはAl,B,Ga,In,Tl、周期律表の4B族元素としてはSi,Ge,Sn,Pbが挙げられる。また、これらは酸化物であってもよい。また該(A)を含有する化合物(D)は、例えば(A)の水酸化物、水素化物、水和物などであってもよい。
【0021】
本発明にいうリン化合物(B)とは具体的には例えば、P2O,P23,P24,P25,H3PO4等の酸化リンやリン酸、K3PO4,K2HPO4,KH2 PO4,Na2HPO4・nH2O,Ba3(PO42,BaHPO4,Ca(H2PO42等のK,Na,Ba,Ca塩、さらにはLi,Rb,Cs,Fr,Be,Mg,Sr,Ra,Re,Rn,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt等の塩でもよい。以上のように本発明のダイヤモンド焼結体における結合相は、元素(A)、リン化合物(B)、(A)と(B)との化合物(C)、又は前記化合物(C)と(A)の酸化物等からなる。本発明における、MNx(Paby(OH)zの具体的な例としては、例えばCeAl3(PO42・(OH)6,LaAl2Ga(PO42・(OH)4,NdAlTl2(PO42・(OH)5等を挙げることができる。
【0022】
本発明において希土類元素とリン化合物から得られる物質において、希土類元素とリンのモル比率としては、0.01〜0.99が好ましい。本発明のダイヤモンド焼結体における希土類元素とリン化合物から得られる物質とは、すなわち希土類元素、希土類元素化合物、リン化合物、希土類元素とリンとを含む化合物、希土類元素、リン化合物、希土類元素とリンとを含有する化合物の固溶体及び混合物等を含む。例えば、Ce3 (PO4 4 ,CePO4 ・nH2 O,Ce2 3 ・2P2 4 ,La2 3 ・3P2 5 ,Ce2 3 ・5P2 5 ,Nd4 (P2 7 3・12H2 O,NdHP2 7 ・3H2 O,NdP2 7 ・7H2 O,4LaO2 ・3P2 5 ・26H2 O,La(H2 PO2 3 ・nH2 O,Ho3 (PO4 4 ・nH2 O,3HoO2 ・P2 5 ・3H2 O,LuPO4 ・nH2 O等が挙げられる。
【0023】
本発明のダイヤモンド焼結体において、ダイヤモンドは50〜99.9体積%とするが、この理由は50%未満では耐摩耗性に劣り、99.9%を越えると焼結性が低下するからである。その好ましい範囲は50〜99.5体積%、特に70〜99体積%である。ダイヤモンド原料としては、単結晶ダイヤモンド粉末(砥粒等)及び多結晶ダイヤモンドの粉末を用いることができる。粉末の粒径は0.01〜200μm程度である。また、ダイヤモンド粉末にかえて黒鉛粉末を用いることもできる。
また、焼結結合材の粉末は0.01〜30μm程度、好ましくは0.1〜10μm程度の粒径が普通であるが、ダイヤモンド原料粉末と混合して焼結する場合はダイヤモンド原料粉末より小さいのが好ましい。
【0024】
本発明のダイヤモンド焼結体の製造方法としては、希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表3B族元素、4B族元素、及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種の元素(A)の粉末、該(A)の酸化物又は該(A)を含有する化合物(D)の粉末、リン又はリン化合物(B)の粉末並びにダイヤモンド粉末又は黒鉛粉末を混合し、得られた混合粉末をダイヤモンドの安定領域下で保持することによる方法、希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)とリン化合物(B)との化合物(C)、もしくは当該化合物(C)と(A)の酸化物からなる複合物を予め合成し、当該化合物(C)又は当該複合物の粉末とダイヤモンド粉末又は黒鉛粉末を混合して混合原料とし、以下同様に行う方法のいずれでもよい。さらには、当該化合物(C)を薄片状又は薄板状にしておき、ダイヤモンド粉末又は黒鉛粉末と混合するか又は該薄片状又は薄板状の化合物(C)に接した状態にしてダイヤモンドの安定領域に保持し、当該化合物(C)を溶浸させる方法によっても焼結可能である。
【0025】
本発明のダイヤモンド焼結体の焼結方法の好ましい実施態様としては、希土類金属とリン化合物とダイヤモンド粉末とを混合したものを混合原料とし超高圧高温下で保持する方法と、予め希土類金属とリン化合物とを反応させて希土類元素のリン化合物を形成しておき、これとダイヤモンド粉末を混合したものを混合原料として以下同様に焼結する方法の二法がある。
また、予め作成した希土類元素のリン化合物を型押したものと、ダイヤモンド又は黒鉛粉末とを組み合わせてダイヤモンドの安定領域に保持し、該化合物を溶浸させることにより本発明のダイヤモンド焼結体を合成してもよい。
【0026】
本発明の製造方法によれば、従来の炭酸塩溶媒より低圧低温の、例えば6GPa,1500℃程度で焼結しても、ダイヤモンド焼結体として実用に供することができる硬度8000kg/mm2 前後、好ましくは8000〜18000kg/mm2 前後のダイヤモンド焼結体を得ることができる。
本発明のダイヤモンド焼結体は切削、研削用工具又は掘削用工具の刃先として、さらには粉砕したものをダイヤモンド砥粒として、いずれも有利に使用できる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるところはない。
〔実施例1−1〜1−4及び比較例1−1,1−2〕
二酸化セリウム(17.2g、0.1mol当量)とメタリン酸カリウム(70g、0.4mol当量)を混合し、ルツボ内で加熱、融解させた。冷却して固化したものを水溶させ、塩酸処理を施し、リン酸セリウムを濾取した。得られたリン酸セリウムをメノウ乳鉢で1〜2μm程度に粉砕した後、ダイヤモンド粉末(粒径30μmの砥粒)を表1に示す割合で混合した後、ベルト型超高圧発生装置を用い、6.5GPa,1600℃の圧力温度条件下で30分間保持し、焼結させた。得られたダイヤモンド焼結体の硬度を調べた結果も表−1に合わせて示す。
【0028】
【表1】
Figure 0003893631
【0029】
また、比較例1−2として、炭酸カルシウム(30体積%)とダイヤモンド粉末(70体積%)とを混合して、前記と同一の条件で焼結したが、得られた焼結体のビッカース硬度は3200(kg/mm2 )と低く、工具として使用できないことが判明した。
【0030】
〔実施例2〕
金属ランタン(12.6g)と酸化リン(P2 5 、13.9g)と粒径30μmのダイヤモンド粉末を混合し、立方アンビル型超高圧発生装置を用い、6GPa,1500℃の圧力温度条件下で40分間保持し、焼結させた。不活性ガス(Ar)中で800℃に10分間保持し、X線でダイヤモンドがグラファイトに変換したかどうか調査した(耐熱性テスト)。また、加熱前と加熱後の硬度を比較した。
【0031】
【表2】
Figure 0003893631
【0032】
〔比較例2−1〕
また、実施例2−1においてリン酸ランタンに代えて鉄コバルト合金セメンダイトを焼結結合材に用いた以外は実施例2−1と同様に行い、同様に測定の結果を表−2に示した。
【0033】
表−2の結果から、本発明のダイヤモンド焼結体は、耐熱性テストの結果加熱後もビッカース硬度が高く、劣化しないことが判明した。一方、比較例2−1のものは加熱後のビッカース硬度の低下が大きく、グラファイトが検出され、本発明のものにくらべ格段に耐熱性が劣ることがわかる。
【0034】
〔実施例3〕
実施例2−1で得られた本発明のダイヤモンド焼結体を、切削工具のチップ形状に加工し、アルミニウム合金鋳物(Si含有量10重量%)を切削した。刃先の欠損もなく加工が可能であった。
【0035】
〔実施例4−1〜4−3及び比較例4−1,4−2〕
二酸化セリウム(17.2g、0.1mol当量)とメタリン酸カリウム(70g、0.4mol当量)を混合し、ルツボ内で加熱、融解させた。冷却して固化したものを水溶させ、塩酸処理を施し、リン酸セリウムを濾取した。得られたリン酸セリウムをメノウ乳鉢で1〜2μm程度に粉砕した後、ダイヤモンド粉末(粒径4μmの砥粒)を表1に示す割合で混合した後、ベルト型超高圧発生装置を用い、6.5GPa,1600℃の圧力温度条件下で15分間保持し、焼結させた。得られたダイヤモンド焼結体の硬度を調べた結果も表−3に合わせて示す。
【0036】
【表3】
Figure 0003893631
【0037】
また、比較例4−2として、炭酸カルシウム(30体積%)とダイヤモンド粉末(70体積%)とを混合して、前記と同一の条件で焼結したが、得られた焼結体のヌープ硬度は3000kg/mm2 と低く、工具として使用できないことが判明した。
【0038】
〔実施例5〕
金属ランタン(12.6g)と酸化リン(P2 5 ,13.9g)と粒径4μmのダイヤモンド粉末を混合し、立方アンビル型超高圧発生装置を用い、6GPa,1500℃の圧力温度条件下で15分間保持し、焼結させた。不活性ガス(Ar)中で800℃に10分間保持し、X線でダイヤモンドがグラファイトに変換したかどうか調査した(耐熱性テスト)。また、加熱前と加熱後の硬度を比較した。
【0039】
【表4】
Figure 0003893631
【0040】
〔比較例5−1〕
また、実施例5−1においてリン酸ランタンに代えて鉄コバルト合金セメンダイトを焼結結合材に用いた以外は実施例5−1と同様に行い、同様に測定の結果を表−4に示した。
【0041】
表−4の結果から、本発明のダイヤモンド焼結体は、耐熱性テストの結果加熱後もヌープ硬度が高く、劣化しないことが判明した。一方、比較例5−1のものは加熱後のヌープ硬度の低下が大きく、グラファイトが検出され、本発明のものにくらべ格段に耐熱性が劣ることがわかる。
【0042】
〔実施例6〕
実施例5−1で得られた本発明のダイヤモンド焼結体を、切削工具のチップ形状に加工し、アルミ合金鋳物(Si含有量25重量%)を切削した。刃先の欠損もなく加工が可能であった。
【0043】
〔実施例7−1〕
塩化第1セリウム溶液〔0.2mol当量〕にリン酸水素ナトリウム(Na2 HPO4 )〔0.2mol当量〕を加え、加熱し、CePO4 ・(H2 O)3 を沈殿させ、濾取した。該沈殿物にAlCe合金の粉末〔0.3mol当量〕を加え加熱したところ、CeAl3 (PO4 2 ・(OH)6 が形成できた。該化合物を粉末にしたもの10体積%と粒径30μmのダイヤモンド粉末90体積%とを混合し、得られた混合粉末を原料とし、超高圧発生装置を用いて、5.8GPa,1400℃の圧力温度で保持し、焼結した。得られたダイヤモンド焼結体のビッカース硬度は14000を示し、十分に焼結していることが判明した。
当該ダイヤモンド焼結体を切削工具の形状に加工し、アルミシリコンの合金をフライス切削した(条件:切削速度500m/min,切り込み0.1mm)ところ、十分な切削性能が得られ、耐欠損性に優れていることが確認できた。
【0044】
〔実施例7−2〕
実施例7−1において、AlCe合金とCePO4 ・(H2 O)3 の混合比(モル比)を種々に変え、それぞれ加熱処理したところ、下記のx,y,zの範囲内でCeAlx (PO4 y (OH)z が形成できた。
1≦x≦4.5,1≦y≦5,1≦z≦26。
得られた各生成物を粉末にしたもの10体積%に、粒径30μmのダイヤモンド粉末を90体積%となるように加えて混合粉末とし、超高圧発生装置を用いて5.8〜6.0GPa,1400〜1450℃の圧力温度で保持し、焼結したところ、ビッカース硬度13000〜15000の高硬度のダイヤモンド焼結体が得られた。
【0045】
〔実施例8−1〕
二酸化ランタンにメタリン酸カリウムとナトリウムとを混合し、溶融させた。酸処理によりNaLAP2 7 を除去し、LaPO4 を得た。また、リン酸水素ランタンナトリウムNaLaH(PO4 2 を熱分解させ、3La2 ・P2 5 ・3H2 Oとした。さらに、リン酸ナトリウムと硝酸ランタンを反応させ、La4 (P2 7 3 ・12H2 Oとした。
以上で得られた3種類のリン酸化ランタンの配合比とGaLa合金の添加量を種々に変化させて、LaGa3 (Pa b 2 (OH)6 の化合物を作成した。この化合物が作成できたのは、aが1又は2、且つbが2,3,4,5又は7の組成比のみで、他の比率では合成できなかった。
これらの化合物を粉末にしたものを体積%で20%と、粒径30μmのダイヤモンド粉末を体積%で80%とを混合したものを原料粉末とし、超高圧発生装置を用いて5.7GPa,1400℃の圧力温度で1時間保持したところ、ビッカース硬度が14000kg/mm2 のダイヤモンド焼結体が得られた。
得られた焼結体は、酸やアルカリに対してもあまり浸食されず、耐腐食性の高いことが判明した。
【0046】
〔実施例8−2〕
実施例8−1で得られた各LaGa3 (Pa b 2 (OH)6 粉末1体積%にダイヤモンド粉末(平均粒度2μm)99体積%を加え良く混合したものを混合原料としてカプセルに充填し、6GPa,1500℃で60分間保持し、焼結したところ、いずれもビッカース硬度が18000の粉末が得られた。
さらに、実施例8−1で得られた各LaGa3 (Pa b 2 (OH)6 粉末50体積%にダイヤモンド粉末(平均粒度30μm)50体積%を加えよく混合し、円板状に型押しした後、前記と同一条件で焼結とたところ、いずれもビッカース硬度が8000kg/mm2 の焼結体が得られた。
【0047】
〔実施例9〕
実施例7で作成したCePO4 (H2 O)3 とNdHPO4 ・3H2 Oを熱分解して得られたNd2 3 (P2 5 2 と、CaO及びGeSをそれぞれ粉末にして体積比6:3:1の割合で良く混合した。該混合粉末(1体積%)にさらに粒径30μmのダイヤモンド粉末(99体積%)を混合した後、円板状に型押し、これを超高圧発生装置を用いて5.5GPa,1350℃の圧力温度で50分間保持したところ、ビッカース硬度が15000kg/mm2 のダイヤモンド焼結体が得られ、十分に焼結していることを確認した。
得られた焼結体を真空炉内で1200℃に加熱し、冷却後、ビッカース硬度を再び測定したがやはり15000kg/mm2 となり、耐熱性が高いことが判明した。
【0048】
〔実施例10−1〕
塩化第1セリウム溶液〔0.2mol当量〕にリン酸水素ナトリウム(Na2 HPO4 )〔0.2mol当量〕を加え、加熱し、CePO4 ・(H2 O)3 を沈殿させ、濾取した。該沈殿物にAlCe合金の粉末〔0.3mol当量〕を加え加熱したところ、CeAl3 (PO4 2 ・(OH)6 が形成できた。該化合物を粉末にしたもの5体積%と粒径4μmのダイヤモンド粉末95体積%とを混合し、得られた混合粉末を原料とし、超高圧発生装置を用いて、5.8GPa,1400℃の圧力温度で保持し、焼結した。得られたダイヤモンド焼結体のヌープ硬度は8200kg/mm2 を示し、十分に焼結していることが判明した。
当該ダイヤモンド焼結体を切削工具の形状に加工し、アルミシリコンの合金をフライス切削した(条件:切削速度500m/min,切り込み0.1mm)ところ、十分な切削性能が得られ、耐欠損性に優れていることが確認できた。
【0049】
〔実施例10−2〕
実施例10−1において、AlCe合金とCePO4 ・(H2 O)3 の混合比(モル比)を種々に変え、それぞれ加熱処理したところ、下記のx,y,zの範囲内でCeAlx (PO4 y (OH)z が形成できた。
1≦x≦4.5,1≦y≦5,1≦z≦26。
得られた各生成物を粉末にしたもの5体積%に、粒径4μmのダイヤモンド粉末を95体積%となるように加えて混合粉末とし、超高圧発生装置を用いて5.8〜6.0GPa,1400〜1450℃の圧力温度で保持し、焼結したところ、ヌープ硬度8000〜9000kg/mm2 の高硬度のダイヤモンド焼結体が得られた。
【0050】
〔実施例11−1〕
二酸化ランタンにメタリン酸カリウムとナトリウムとを混合し、溶融させた。酸処理によりNaLAP2 7 を除去し、LaPO4 を得た。また、リン酸水素ランタンナトリウムNaLaH(PO4 2 を熱分解させ、3La2 ・P2 5 ・3H2 Oとした。さらに、リン酸ナトリウムと硝酸ランタンを反応させ、La4 (P2 7 3 ・12H2 Oとした。
以上で得られた3種類のリン酸化ランタンの配合比とGaLa合金の添加量を種々に変化させて、LaGa3 (Pa b 2 (OH)6 の化合物を作成した。この化合物が作成できたのは、aが1又は2、且つbが2,3,4,5又は7の組成比のみで、他の比率では合成できなかった。
これらの化合物を粉末にしたものを体積%で10%と、粒径4μmのダイヤモンド粉末を体積%で90%とを混合したものを原料粉末とし、超高圧発生装置を用いて5.7GPa,1400℃の圧力温度で15分間保持したところ、ヌープ硬度が8200kg/mm2 のダイヤモンド焼結体が得られた。
得られた焼結体は、酸やアルカリに対してもあまり浸食されず、耐腐食性の高いことが判明した。
【0051】
〔実施例11−2〕
実施例11−1で得られた各LaGa3 (Pa b 2 (OH)6 粉末0.5体積%にダイヤモンド粉末(平均粒度2μm)99.5体積%を加え良く混合したものを混合原料としてカプセルに充填し、6GPa,1500℃で15分間保持し、焼結したところ、いずれもヌープ硬度が8600kg/mm2 の粉末が得られた。
さらに、実施例11−1で得られた各LaGa3 (Pa b 2 (OH)6 粉末50体積%にダイヤモンド粉末(平均粒度30μm)50体積%を加えよく混合し、円板状に型押しした後、前記と同一条件で焼結とたところ、いずれもヌープ高度が7000kg/mm2 の焼結体が得られた。
【0052】
〔実施例12〕
実施例10で作成したCePO4 (H2 O)3 とNdHPO4 ・3H2 Oを熱分解して得られたNd2 3 (P2 5 2 と、CaO及びGeSをそれぞれ粉末にして体積比6:3:1の割合で良く混合した。該混合粉末(1体積%)にさらに粒径4μmのダイヤモンド粉末(99体積%)を混合した後、円板状に型押し、これを超高圧発生装置を用いて5.5GPa,1350℃の圧力温度で15分間保持したところ、ヌープ硬度が8400kg/mm2 のダイヤモンド焼結体が得られ、十分に焼結していることを確認した。
得られた焼結体を真空炉内で1200℃に加熱し、冷却後、ヌープ硬度を再び測定したが加熱前とほとんど変化なく、耐熱性が高いことが判明した。
ヌープ高度が7000kg/mm2 の焼結体が得られた。
【0053】
〔実施例13〕
実施例8−2、および11−2で得られたダイヤモンド焼結体を粉砕し、平均粒径30μmの砥粒にした。この砥粒を用いて気相合成ダイヤモンドの平板を研磨したところ、いずれも研磨材として十分に使用できるものであった。
【0054】
〔実施例14〕
実施例1と同様にして作製したリン酸セリウムの粉末(1〜2μm)と平均粒径15μmの合成ダイヤモンド粉末をそれぞれ厚み1mm、2mmに成形したものを交互に積層してMoカプセルに入れ、ベルト型超高圧発生装置を用い6.5GPa、1600℃の圧力温度条件で15分保持し焼結体して得られたダイヤモンド焼結体についてX線回析により組成を同定したところ、ダイヤモンドの他約2体積%のリン酸セリウムが検出された。この焼結体の硬度をヌープ圧子により評価したところ8200kg/mm2 と高硬度であった。
なお、合成ダイヤモンドに代えて、ダイヤモンドと黒鉛の比率を1:5の割合で混合した粉末を用いた場合はヌープ硬度は8000kg/mm2 であった。
【0055】
〔実施例15〕
リン酸セリウムの代わりに、実施例7−1と同様にして作製したCeAl3 (PO4 2 ・(OH)6 を用いた他は実施例14と同様にしてダイヤモンド焼結体を作製した。得られた焼結体のヌープ硬度は8400kg/mm2 と高硬度であった。
【0056】
〔実施例16〕
リン酸セリウムの代わりに、実施例8−1と同様にして作製したLaGa3 (PaOb)2 ・(OH)6 を用いた他は実施例14と同様にしてダイヤモンド焼結体を作製した。得られた焼結体のヌープ硬度は8000kg/mm2 と高硬度であった。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により耐欠損性、耐腐食性、耐熱性、耐食性のいずれにも優れ、さらに非鉄金属溶媒では不可能であった低圧低温でダイヤモンド焼結体が焼結可能となった。これはダイヤモンド焼結体の製造コスト低減をもたらし、産業上の効果が非常に大きい。また本発明のダイヤモンド焼結体を用いたた工具や粉砕して得られる砥粒は上記特性を有する優れたものである。

Claims (15)

  1. ダイヤモンドの体積比率が50〜99.9%であり、残部結合相が希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素、及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)とリン化合物(B)との化合物(C)、又は前記化合物(C)と前記(A)の酸化物からなることを特徴とするダイヤモンド焼結体。
  2. ダイヤモンドの体積比率が50〜99.9%であり、残部結合相が希土類元素とリン化合物(B)とから得られる物質を主体とする相からなることを特徴とするダイヤモンド焼結体。
  3. 前記リン化合物(B)がPab(但しaは1又は2、bは2,3,4,5又は7である)で表されるものであることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド焼結体。
  4. 前記化合物(C)がMNx(Paby(OH)z〔但しMは希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類金属及び周期律表の4B族元素から選ばれる1又は2以上の元素の単体又は固溶体であり、Nは周期律表の3B族元素又はイオウの単体又は固溶体であり、x,y,zはそれぞれ1≦x≦4.5,1≦y≦5,1≦z≦26の範囲にあり、aは1又は2であり、bは2,3,4又は7である〕で表されることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド焼結体。
  5. 前記結合相が、希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)とPab(但しaは1又は2、bは2,3,4,5又は7である)で表されるリン化合物(B)との化合物(C)と、希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の前記元素(A)の酸化物からなることを特徴とする請求項1、3又は4に記載のダイヤモンド焼結体。
  6. 前記結合相が、MNx(Paby(OH)z〔但しMは希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類金属及び周期律表の4B族元素から選ばれる1又は2以上の元素の単体又は固溶体であり、Nは周期律表の3B族元素又はイオウの単体又は固溶体であり、x,y,zはそれぞれ1≦x≦4.5,1≦y≦5,1≦z≦26の範囲にあり、aは1又は2であり、bは2,3,4又は7である〕で表される前記化合物(C)、及び希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)の酸化物からなることを特徴とする請求項1、3又は4に記載のダイヤモンド焼結体。
  7. 希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)の粉末、該元素(A)の酸化物又は該元素(A)を含有する化合物(D)の粉末、リン又はリン化合物(B)の粉末並びにダイヤモンド粉末又は黒鉛粉末を混合し、得られた混合粉末をダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする請求項1〜6何れかに記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
  8. 希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)とリン化合物(B)との化合物(C)、もしくは当該化合物(C)と(A)の酸化物からなる複合物を予め合成し、当該化合物(C)又は当該複合物の粉末とダイヤモンド粉末又は黒鉛粉末を混合し、得られた混合粉末をダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
  9. 希土類元素を必須成分として含み、希土類元素、アルカリ土類元素、周期律表の3B族元素、4B族元素及びイオウからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)とリン化合物(B)との化合物(C)、もしくは当該化合物(C)と(A)の酸化物からなる複合物の薄片、薄板又は焼結体保持板を予め作製しておき、ダイヤモンド粉末又は黒鉛粉末と前記薄片、薄板又は焼結体保持板とを組合せ、ダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で溶浸させることによりダイヤモンドを焼結させることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
  10. 希土類元素粉末又は該希土類元素を1種類以上含有する合金粉末及びリン化合物粉末並びにダイヤモンド粉末又は非ダイヤモンド炭素粉末又はダイヤモンドと非ダイヤモンド炭素の混合粉末を混合し、得られた混合原料をダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
  11. 希土類元素と前記リン化合物(B)から形成される化合物をあらかじめ合成しておき、当該化合物の粉末とダイヤモンド粉末又は非ダイヤモンド炭素粉末又はダイヤモンドと非ダイヤモンド炭素の混合粉末とを混合し、得られた混合粉末をダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
  12. 希土類元素粉末又は該希土類元素を1種類以上含有する合金粉末及びリン化合物粉末の成形体と、ダイヤモンド粉末の成形体又は非ダイヤモンド炭素粉末の成形体又はダイヤモンドと非ダイヤモンド炭素の混合粉末の成形体とを積層し、これをダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
  13. 希土類元素とリン化合物から形成される化合物をあらかじめ合成しておき、当該化合物粉末の成形体と、ダイヤモンド粉末の成形体又は非ダイヤモンド炭素粉末の成形体又はダイヤモンドと非ダイヤモンド炭素の混合粉末の成形体とを積層し、これをダイヤモンドの熱力学的安定領域の圧力、温度条件で保持し、焼結することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のダイヤモンド焼結体の製造方法。
  14. 請求項1〜6の何れかに記載されるダイヤモンド焼結体を刃先として用いてなることを特徴とする切削、研削又は掘削用ダイヤモンド焼結体工具。
  15. 請求項1〜6の何れかに記載されるダイヤモンド焼結体を粉砕されてなることを特徴とする砥粒。
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