JP3892871B2 - 通信システムにおける受信装置 - Google Patents
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Description
フィルタバンク変調、DMT変調、FMT変調などのマルチキャリア通信システムにおけるビットエラー率(BER)は、チャネル間干渉(Inter channel Interference:ICI)による歪みが含まれる受信信号を利用することにより改善が可能である。チャネル間干渉ICIは通信システムたとえばOFDM−CDMAにおいて、システム誤動作により、あるいは不可避な環境(例えば周波数オフセットなどに起因するサブチャネル間の直交性の喪失など)により発生する。このチャネル間干渉ICIはスペクトルエネルギーの漏洩、時にはサブチャネル間のクロストークと呼ばれ漏洩に起因して現れる。
本発明のターボレシーバはICIを利用した最大事後確率推定アルゴリズムに基いている。このターボレシーバでは、非線形処理後に一方のサブチャネルから導出した情報が他方のサブチャネルの推定最大事後確率を精練し、同様に、他方のサブチャネルから導出した情報が一方のサブチャネルの推定最大確率を精練する。
本発明のターボレシーバの主な利点は、ICIの振る舞いが、零平均ガウス分布確率変数(例えば下記文献1で使用されたガウス近似)として扱われることであり、有限状態離散マルコフプロセスモデルを採用する。このようなICIモデルでは、ICIの性質から簡易ガウス近似がより現実的であるように思われる。本発明のターボレシーバは最大事後確率推定アルゴリズムに基いている。このターボレシーバでは、非線形処理後に一方のサブチャネルから導出した情報が他方のサブチャンネルの推定最大事後確率を精練し、同様に、他方のサブチャネルから導出した情報が一方のサブチャンネルの推定最大確率を精練する。
文献1:K.Sathananthan and C.Tellambura,“Probability of error calculation of OFDM system with frequency offset”,IEEE Trans.Commun.Vol.49,No.11,Nov.2001,pp1884−1888.
着目サブチャネルの受信判定に際して、考慮すべきクロストークを与えるサブチャネル数を増加するほどBERが改善する。しかし、考慮すべきサブチャネル数が増加するにつれて、アルゴリズムの複雑度が増大し、結局、BERと複雑度の間にトレードオフが存在する。そこで、本発明はNサブチャネルが相互の干渉を有する場合において、マルチキャリア通信システムのためのターボ事後アルゴリズムの一般的構成、すなわち、複雑度を解消できる一般的構成を提案する。
帯域を独立の狭帯域である複数のサブバンドに分割し、かつ、サブバンド毎の送信データを周波数多重して送受信するマルチキャリア通信システムにおいて、すなわち、フィルタバンク変調、DMT変調、FMT変調などのマルチキャリア通信システムにおいて、フィルタセットの選択は伝統的に、シンボル間干渉(ISI)とチャネル間干渉(ICI)を完全に除去するという拘束の下で実行されてきた。
ドップラーシフトがなく、且つ、送受信機間でオフセット周波数がなく、しかも信号歪を起こさない理想的な伝送チャネルでは、この拘束は受信機において伝送シンボルのエラーフリーの復元を保証する。しかし、発振器の不正確なチューニングやドップラーシフトにより各チャネルに発生する周波数オフセットは、スペクトル漏洩あるいはICIによるBER劣化を引き起こす。
そのようなBERの劣化を緩和する唯一の方法は、周波数オフセットをできるだけ小さく、具体的には、サブキャリア周波数間隔の1%以内に維持することである。しかしながら、この方法は、精密な周波数オフセット推定を必要とし、また、ノイズが混合されたマルチキャリア信号を受信する際、ノイズレベルが大きいと、周波数オフセット推定の精度を損なうという問題がある。更に、この方法は、高速フェージングチャネルにおいて、すなわち、ドップラーシフトが伝送シンボルに対して一定でなく、しかも、時間により変化する高速フェージングチャネルにおいて、正しく動作しない。
・クロストークを与えるサブチャネルが1個の場合
クロストークを与えるサブチャネルが1個とした場合、OFDMでは周波数オフセット(チャネル間隔により正規化された周波数オフセット)αが零であれば、第1サブチャネルの伝達関数(ゲイン/周波数特性)は図1の実線で示すように、第2サブチャネル(点線)の中心周波数f2において無限の減衰を与える。又、同様に第2サブチャネルの伝達関数は、第1サブチャネルの中心周波数f1において無限の減衰を与える。すなわち、周波数オフセットαが零であれば、隣接サブチャネル間にICIは発生しない。言い換えると、周波数オフセットが零であれば、サブチャネルが直交し、ICIは完全に存在しない。
しかし、周波数オフセットαが零でなければ、隣接サブチャネルの各スペクトルは、図2においてα1、α2として明記するように、着目のサブチャンネルにおいて非零の相互ゲインを示す。すなわち、図2に示すように、周波数オフセットが零でないと、サブチャネル間にICI(クロストーク)を発生する。
図3はICIが存在するマルチキャリア通信システムの一般的なモデルである。1、2はサブチャネルch1,ch2の送信装置、3,4は各サブチャネルの受信装置、5,6は各サブチャネルの伝送路、7,8はクロストーク係数α1、α2をサブチャネル信号D1,D2にそれぞれ乗算する乗算器、9,10は他方のサブチャネルからのクロストーク(ICI)を自分のサブチャネル信号に合成する合成部、11,12はノイズ合成部である。図3において、サブチャネルch1,ch2で伝送されるデータは統計的に独立であり(相関がなく)、サブチャンネル間のクロストーク係数(結合係数)はα1とα2と表記される。図3から明らかなように第1サブチャネルからの信号は結合係数α1で第2サブチャネルに漏れ、第2サブチャネルからの信号は結合係数α2で第1サブチャネルに漏れる。
・クロストークを与えるサブチャネルが2個の場合
着目サブチャネルと該着目サブチャネルの下方に配置された第1の隣接サブチャネルと上方に配置された第2の隣接サブチャネルを考える。図4及び図5は周波数オフセットが零の場合と(図4)、周波数オフセットが零でない場合(図5)における、3つのサブチャネルの周波数応答を示す。
第1、第2、第3のサブチャネルに対応する中心周波数f1,f2,f3の信号は図4、図5において垂直矢印で示されている。図4、図5において、サブチャネル番号0(ch0)は着目チャネルを示し、サブチャネル番号−1(ch−1)は周波数スケールにおいて着目チャネルより下に置かれるサブチャネルを示し、サブチャネル番号+1(ch+1)は周波数スケールにおいて着目チャネルより上に置かれるサブチャネルを示す。DMTシンボルの周期をTとすると、周波数スケールは1/Tに等しいチャネル間隔で正規化される。すなわち、周波数スケールの1単位はチャネル間隔である。図4に示されているように、周波数オフセット(チャネル間隔で正規化されている)αが0の時、図中の実線Aと断続線Bで示される下方サブチャネルと上方サブチャネルの伝達関数は、着目サブチャネル(点線C)の中心周波数f2において無限の減衰を与える。又、同様に着目サブチャネルの伝達関数は、下方及び上方のサブチャネルの中心周波数f1,f3おいて無限の減衰を与える。すなわち、周波数オフセットαが零であれば、隣接サブチャネル間にICIは発生しない。言い換えると、周波数オフセットが零であれば、サブチャネルが直交し、ICIは完全に存在しない。
しかし、周波数オフセットαが零でないと、サブチャネルの直交性が崩れ、ICIが発生する。図5はDMTシステムにおいて周波数オフセットαが零でないときの各サブチャネルのスペクトル特性を示す。サブチャネルCh−1,Ch+1から着目サブチャネルCh0へのクロストークは、図5においてα−10,α10として示される非零の相互ゲインを有する。この表記においてαの第1インデックスは干渉源であるサブチャネルを示し、第2インデックスは干渉対象のサブチャネルを示す。以上のように、周波数オフセットαが零でないと、非零の相互ゲイン、すなわち、サブチャネル間にICI(クロストーク)を発生する。
図6は周波数オフセットを有するDMTシステムにおける3つのサブチャネルの相互ICIを示すための一般的なモデルである。111,112,113はサブチャネルch−1,ch0,ch+1の送信装置、121,122,123は各サブチャネルの受信装置、131,132,133は各サブチャネルの伝送路、14ijは番号1のサブチャネルから番号jのサブチャネルへの漏れ伝達係数(干渉係数)αijをサブチャネル信号Diにそれぞれ乗算する乗算器、151,152,153は他方のサブチャネルからのクロストーク(ICI)を自分のサブチャネル信号に合成する合成部、161,162,163はノイズ合成部である。
図6から明らかなように下位サブチャネルch−1からの信号はクロストーク係数α−10を介して着目サブチャネルch0に漏洩し、上位サブチャネルch+1からの信号はクロストーク係数α10を介して着目サブチャネルに漏洩する。なお、サブチャネル間の周波数直交性の理由で、図3でn1(t),n2(t),n3(t)と表記されているノイズ成分は統計的に独立(相関無し)である。
・クロストークを与えるサブチャネルが4個の場合
着目サブチャネルと該着目サブチャネルの下方に配置された2つの隣接サブチャネルと上方に配置された2つの隣接サブチャネルを考える。図7及び図8は周波数オフセットが零の場合と(図7)、周波数オフセットが零でない場合(図8)における、5つのサブチャネルCh−2〜Ch+2の周波数応答を示す。
第1〜第5のサブチャネルに対応する中心周波数f1〜f5の信号は図7、図8において垂直矢印で示されている。図7、図8において、サブチャネル番号Ch0は着目チャネルを示す。αが0の時、他サブチャネルの伝達関数は、着目サブチャネルCh0の中心周波数f3において無限の減衰を与える。言い換えると、周波数オフセットが零であれば、サブチャネルが直交し、ICIは完全に存在しない。
しかし、周波数オフセットαが零でないと、サブチャネルの直交性が崩れ、ICIが発生する。図8はDMTシステムにおいて周波数オフセットαが零でないときの各サブチャネルのスペクトル特性を示す。サブチャネルCh−2,Ch−1,Ch+1,Ch+2から着目サブチャネルCh0へのクロストークは、図8においてα−20,α−10,α10,α20として示される非零の相互ゲインを有する。
図9は周波数オフセットを有するDMTシステムにおける5つのサブチャネルの相互ICIを示すための一般的なモデルであり、211〜215はサブチャネルch−2〜ch+2の送信装置、221〜225は各サブチャネルの受信装置、231〜235は各サブチャネルの伝送路、24ijは番号iのサブチャネルから番号jのサブチャネルへの漏れ伝達係数(干渉係数)αijをサブチャネル信号Diにそれぞれ乗算する乗算器、251〜255は他方のサブチャネルからのクロストーク(ICI)を自分のサブチャネル信号に合成する合成部、261〜265はノイズ合成部である。
図9から明らかなように下位サブチャネルch−2、ch−1からの信号はクロストーク係数α−20,α−10を介して着目サブチャネルch0に漏洩し、上位サブチャネルch+2,ch+1からの信号はクロストーク係数α10,α20を介して着目サブチャネルに漏洩する。なお、サブチャネル間の周波数直交性の理由で、図9でn1(t)〜n5(t)と表記されているノイズ成分は統計的に独立(相関無し)である。
(b)技術的課題
以上より、ICIが発生しても、各サブチャネルの受信信号や送信情報シンボルの値(2進数であれば符号)を正しく決定できるようにする必要がある。このため、本願発明者は着目サブチャネルにクロストークを与えるサブチャネルが1個の場合(ICI−2のケース)、2個の場合(ICI−3のケース)について、ICIを利用してBERを改善するターボ事後アルゴリズムを実現する受信装置(ターボレシーバ)を提案している。ところで、考慮すべきサブチャネル数を増加するほどBERを改善できるが、アルゴリズムが複雑になり、アルゴリズムを実現するターボレシーバの構成が複雑化する。すなわち、BERと考慮すべきサブチャネル数の間にトレードオフがあり、考慮すべきサブチャネル数を増加してBERを改善するには限度がある。
以上から、本発明の目的は考慮すべきサブチャネル数が増大してもターボ事後アルゴリズムを実現する受信装置(ターボレシーバ)をシンプルな構成で実現できるようにすることである。
本発明の目的は、セルを作り、該セルを階層的に接続することにより、考慮すべきサブチャネル数が増加してもターボレシーバをシンプルに実現することである。
本発明によれば、考慮すべきクロストークサブチャネル数に応じてソフト判定対象信号作成部の階層数を決め、セルを階層化するだけで、ターボレシーバをシンプルに実現することができる。
図2は周波数オフセットが零でない時の隣接サブチャネルの周波数応答特性である。
図3はICIが存在するマルチキャリア通信システムの一般的なモデルである。
図4は周波数オフセットが零の場合の3つのサブチャネルの周波数応答特性である。
図5は周波数オフセットが零でない時の3つのサブチャネルの周波数応答特性である。
図6は周波数オフセットを有する通信システムにおける3つのサブチャネルの相互ICIを示すための一般的なモデルである。
図7は周波数オフセットが零の場合の5つのサブチャネルCh−2〜Ch+2の周波数応答特性である。
図8は周波数オフセットが零でない場合の5つのサブチャネルCh−2〜Ch+2の周波数応答特性である。
図9は周波数オフセットを有する通信システムにおける5つのサブチャネルの相互ICIを示すための一般的なモデルである。
図10は2つの隣接サブチャネル間の干渉を利用して受信データを復調する通信システムの全体構成図である。
図11はICIを利用した最大事後確率に基づいた受信装置(ICI−2のターボレシーバ)の構成図である。
図12は下位及び上位の隣接サブチャネル間の干渉を利用して受信データを復調する通信システムの全体構成図である。
図13はICIを利用した最大事後確率に基づいた受信装置(ICI−3のターボレシーバ)の構成図である。
図14は受信装置(ICI−2のターボレシーバ)の変形構成例である。
図15は相関器、ソフト判定対象信号作成部、判定ユニットをモジュール化した場合のレシーバ(ICI−2,N=1)の接続構成図である。
図16は受信装置(ICI−3のターボレシーバ)の変形構成例である。
図17は相関器、ソフト判定対象信号作成部、判定ユニットをモジュール化した場合のレシーバ(ICI−3,N=2)の接続構成図である。
図18はセルの構成回路図である。
図19は判定ユニットの回路構成図である。
図20はICI−4,N=3のターボレシーバにおけるソフト判定対象信号作成部の構成図である。
図21はICI−5,N=4のターボレシーバにおけるソフト判定対象信号作成部の構成図である。
図22はICI−N、クロストークパス数=N−1のターボレシーバにおけるソフト判定対象信号作成部の構成図である。
図23はセル接続構成説明図である。
図24はターボレシーバを採用したDMTベース通信システムの構成図である。
図25は本発明のDMTレシーバのBERパフォーマンスである。
(a)通信システムの全体の構成
図10は2つの隣接サブチャネル間の干渉を利用して受信データを復調する通信システムの全体構成図である。隣接サブチャネルch1,ch2を介してそれぞれ独立にデータを送信する2つの送信部31,32、各サブチャネル毎に設けられ、対応するサブチャネルからデータを受信し、該受信データの軟判定を行う2つの受信装置40、50、各受信装置の軟判定対象値を他方の受信装置に入力する手段60を備えている。一方の受信装置40(50)は他方の受信装置50(40)から入力された軟判定対象値を用いて、自身の軟判定対象値を調整し、該軟判定対象値に基づいて受信データの”0”、”1”を判定する。なお、伝送路の特性として、第1のサブチャネルch1から第2のサブチャネルch2への結合係数α1を有する第1のクロストークパス、第2のサブチャネルch2から第1のサブチャネルch1への第2のクロストークパスが存在し、これらを符号341、342で表現する。また、ICI信号やノイズが伝送中に合成されるが、合成を行う部分を符号351〜352、361〜362で表現する。
(b)受信シンボル復調のアルゴリズム
図10に示す通信システムにおいて第1、第2サブチャネルの受信機が受信シンボルを復調するアルゴリズムについて説明する。
復調アルゴリズムの原理は第1、第2サブチャネルで受信する情報シンボルが”0”(=+1)である事後確率と”1”(=−1)であるかの事後確率の差を示す値P1、P2を導出することである。というのは、上記の事後確率の差P1、P2を導出できれば、受信情報シンボルが”0”であるか”1”であるか判定することができるからである。すなわち、第1サブチャネルの確率差P1は、受信情報シンボルが”0”(=+1)である事後確率と”1”(=−1)である事後確率の差であるから、P1>0であれば第1サブチャネルの受信情報は”0”,P1<0であれば第1サブチャネルの受信情報は”1”であると判定できる。又、同様に、確率差P2は第2サブチャネルの受信情報シンボルが”0”(=+1)である事後確率と”1”(=−1)である事後確率の差であるから、P2>0であれば第2サブチャネルの受信情報は”0”,P2<0であれば第2サブチャネルの受信情報は”1”であると判定できる。以上から、まず事後確率の差を示す値P1、P2を導出する。
バイナリ情報(2値情報)が第1、第2サブチャネルを介して信号S* ij(t)として送信されるものとする。なお、S* ij(t)におけるインデックスiはサブチャネル番号(i=1,2)を示し、インデックスjはサブチャネルiにおける情報シンボルDiの符号により決定される。すなわち、
である。以後、表記を簡単にするために、式においてS* ij(t)の時間依存性を省略する。すなわち、S* ij(t)をS* ijと表記する。
送信情報シンボルD1、D2は統計的に独立で(相関がなく)、且つ、等分布された確率変数であるとする。図10から、第1、第2受信機40,50の入力におけるICIの影響を受けた信号は、第1、第2サブチャネルで送信された信号S* 1j,S* 2j(j=0,1)の線形結合として表現される。
ICIの導入後は、(2)式に従って、各サブチャネルの受信機入力における4つの信号としてSij(i=1,2;j=0,1,2,3)を使用する。(2)式のSijにおける最初のインデックスiはサブチャネル番号を示し、第2のインデックスjは、第1、第2サブチャネルにおけるシンボルD1,D2をペア(対)にすることにより決定される信号番号を示す。
以下の▲1▼、▲2▼を考慮することにより最適受信のアルゴリズムを更に発展することができる。すなわち、▲1▼情報信号は符号が反対であり、S* 10=−S* 11及びS* 20=−S* 21であるということ、及び▲2▼情報シンボルの送信のためにサブチャネル1、2において同一信号が使用され、S* 10=S* 20及びS* 11=S* 21であるということ、を考慮することにより、最適受信のアルゴリズムを更に発展することができる。
後者の▲2▼は、第1、第2サブチャネルの情報信号間に、振幅、波形、エネルギーなどに関して差が無いという事実を示している。この場合、各サブチャネルにおける(2)式の信号は、次式で示すようにペアになり、且つ反対符号になる。
(2)、(3)式より、信号Sijを受信する事後確率、換言すれば、受信信号がSijである事後確率P(Sij/y(t))は、次式
により与えられる。ただし、
k0は正規化因子、
iはサブチャネル番号(i=1,2)、jは信号番号(j=0,1,2,3)、
y(t)は第iサブチャネルにおいて、ICIを伴う信号系列とスペクトルパワー強度N0を有する白色ガウスノイズn(t)との合成信号(y(t)=Sij+n(t))、
Papr(Sij)は受信信号Sijの事前確率、
P(y(t)/Sij)は条件付き確率であり、受信語がy(t)であった時、送られた符号語がSijであったという確率、
である。事前確率Papr(Sij)(j=0,1,2,3)は(2)(3)式より(5)式で示すように2つの隣接サブチャネルの交差積として表現される。
(5)式において、事前確率Papr(Sij)は、第iサブチャネルにおいて番号jの情報信号Sijが送信される事前確率(送信確率)である。また、事前確率Papr(S* ij)はデータ発生元の統計に依存し、最も実際的には1/2に等しいと仮定される。確率P(S* ij)
である。これは、白色ノイズ雑音チャネルにおいてP(S* ij)の最も良い推定であろう。この仮定により、(5)式は以下のように書き替えることができる。
あるいは、情報信号S* ijと送信情報信号Di((1)式参照)との間に直接の関係が存
次式で表現される。なお、P(S* ij)は第iサブチャネル信号Diがjである確率であり、情報信号S* ijと送信情報信号Diとの間に直接の関係が存在する。
(7)式において、第iサブチャネルにおける受信信号Sijの事前確率Papr(Sij)(i=0,1;j=0,1,2,3)(左辺)は、第iサブチャネルにおける情報信号S* ijの送信事前確率Papr(S* ij)と隣接チャネルで受信した情報シンボルDが+1又は−1である事後確率との交差チャネル積(右辺)で表現される。
ターボレシーバ(最尤レシーバ)において、第iサブチャネルの受信情報シンボルDiの符号は以下のように決定する。すなわち、第iサブチャネルの受信情報シンボルDiが+1である確率P(Di=+1/y(t))と、Diが−1である確率P(Di=−1/y(t))をそれぞれ求め、それらの大小比較により、あるいはそれらの対数(logarithm)の差と閾値との比較により受信情報シンボルDiの符号を決定する。
第iサブチャネルの受信情報シンボルDiがjとなる事後確率P(Di=j/y(t))は、Diがjである信号を受信する事後確率として得ることができる。従って、第1サブチャネルの受信情報シンボルD1が”0”(=+1)となる事後確率P(D1=+1/y(t))は以下のように求めることができる。すなわち、(1)、(2)式より、第1サブチャネルで”0”(=+1)の情報シンボルを送信する信号はS10とS11であるから、第1サブチャネルの受信情報シンボルD1が”0”(=+1)となる事後確率P(D1=+1/y(t))は、信号S10とS11を受信する事後確率の和となり(8a)式で求めることができる。同様に、第1サブチャネルの受信情報シンボルD1が”1”(=−1)となる事後確率P(D1=−1/y(t))は(8b)式で求めることができる。
(8a)、(8b)式に(4)式を適用すると(ただしk0=1とする)、
となる。更に、(9a),(9b)式に(7)式を代入すると(10)式が導出される。
以上は、第1サブチャネルの場合であるが、第2サブチャネルにおいても同様になり、第2サブチャネルの受信情報シンボルD2が”0”(=+1)、”1”(=−1)となる事後確率P(D2=+1/y(t))、P(D2=−1/y(t))はそれぞれ以下の(11a),(11b)〜(13)式で与えられる。
以上より、第1サブチャネルの受信情報シンボルD1が”0”(=+1)、”1”(=−1)となる事後確率P(D1=+1/y(t))、P(D1=−1/y(t))、並びに第2サブチャネルの受信情報シンボルD2が”0”(=+1)、”1”(=−1)となる事後確率P(D2=+1/y(t))、P(D2=−1/y(t))が求まれば、それらの大小比較により、あるいはそれらの対数(logarithm)の差と閾値との比較により受信情報シンボルの符号(+1又は−1)を決定できる。
・大小比較による判定
第1サブチャネルの情報シンボルD1が+1であるか、−1であるかは、まず、
であればD1=+1と判定し、
であればD1=−1であると判定する。
同様に、第2サブチャネルの情報シンボルD2が+1であるか、−1であるかは、
ち、
であればD2=+1と判定し、
であればD2=−1であると判定する。
・対数の差による判定
第1サブチャネルの情報シンボルD1が+1であるか、−1であるかは、まず、ln P(D1=+1/y(t))−ln P(D1=−1/y(t))を演算し(lnはeを底とする対数)、しかる後、その正負により判定する。すなわち、
であればD1=+1と判定し、
であればD1=−1であると判定する。同様に、第2サブチャネルの情報シンボルD2が+1であるか、−1であるかは、ln P(D2=+1/y(t))−ln P(D2=−1/y(t))を演算し、しかる後、その正負により判定する。すなわち、
であればD2=+1と判定し、
であればD2=−1であると判定する。
さて、送信シンボルDiが統計的に独立(相関がない)であり、且つ、等分散された確率変数であることから、次式が成立する。
(16)式より、(10)式及び(13)式は(17)、(18)式のようになる。
これら(17)、(18)式を(14a)〜(14d)式の判定式に適用し、且つ、P(Di=±1/y(t))におけるがy(t)の表記を省略すると、第1サブチャネルの判定式は(19)式
となり、第2サブチャネルの判定式は(20)式
となる。
ここで、次式
の代数同一性を考慮して(19)、(20)式の右辺第1項、第2項を変形するとそれぞれ以下に示す(22)〜(25)式になる。但し、信号SijのエネルギーをESijとし、ESij=
1項に(21)式を適用すると
となる。上式の両辺の対数を演算することにより
が求まり、このX,Yを(21)式の右辺に代入すれば、(22)式が得られる。同様に、(23)〜(25)式が得られる。
(19)式に(22)、(23)式を代入すると第1サブチャネルの判定式より求まるP1は次式となる。但し、(28)式が成立している事実を利用する。
又、(20)式に(24)、(25)式を代入すると第2サブチャネルの判定式より求まるP2は次式となる。
ただし、
(26)式及び(27)式は、(2)、(4)、(14)、(15)式と共に、ICIを伴ったバイナリー信号の最適レシーバ構造を定義する(26)式及び(27)式から判るように、あるサブチャンネルの送信情報シンボルDの符号を判定する時、隣接チャネルの判定情報が使用される。第1サブチャネルの判定式において、上記判定情報はP2として表記され、このP2は第2サブチャネルの情報シンボルが+1である事後確率と、−1である事後確率の差を表わしている。これは第2サブチャネルに対しても当てはまる。すなわち(27)式の判定式は第1サブチャネルの判定情報P1を使用している。この判定情報P1は第1サブチャネルの情報シンボルが+1である事後確率と、−1である事後確率の差を表わしている。
以上から、(26)式及び(27)式より軟判定対象値であるP1,P2を演算し、しかる後、軟判定対象値P1,P2の正負により受信シンボルの”0”、”1”を判定するようにアルゴリズムを作成する。
(c)受信装置の構成
図11は受信装置、すなわち、ICIを利用した最大事後確率に基づいた受信装置(ターボレシーバ)の構成図であり、前述のアルゴリズムを実行する構成を備えている。
このターボレシーバは、サブチャネル毎に、第1サブチャネルch1の受信部40と第2サブチャネルch2の受信部50を有している。これら受信部40,50は全く同一の構成を備え、一方のチャネルにおける演算結果lnPiが他方のチャネルのシンボル判定に影響を与えている。
第1サブチャネルch1の受信装置40は、大きく分けると相関ユニット(マッチトフィルでも良い)41、他チャネル判定結果作用部42、非線形ユニット43、シンボル判定部44を具えている。相関ユニット41の乗算器41a及び積分器41bは、判定
乗算器41c及び積分器41dは、判定式である(26)式の右辺第2、第3項の積分部分
43は(26)式の右辺第2、第3項のln coshの演算を行う部分であり、加算部43a,43bはそれぞれ(26)式の右辺第2、第3項の[ ]内の演算をそれぞれ行う。但し、(ES10−Es11)/N0=ΔEとしている。ln cosh演算部43c,43dはそれぞれ(26)式の右辺第2、第3項の演算を行い、演算器43eはln cosh演算部43cの演算結果からln cosh演算部43dの演算結果を減算して出力する。
シンボル判定部44の加算器44aは、相関ユニット41の積分部分41bの出力信号と非線形ユニット43の出力信号を加算して(26)式の演算結果(軟判定対象値)lnP1を発生する。判定部44bは演算結果lnP1の正負を判定し、正であれば受信シンボルは”0”と判定し、負であれば”1”であると判定する。又、シンボル判定部44は(26)式の演算結果(軟判定対象値)lnP1を第2サブチャネルの受信装置50の他チャネル判定結果作用部52へフィードバックする。
一方、第2サブチャネルch2の受信装置は50も、相関ユニット51、他チャネル判定結果作用部52、非線形ユニット53、シンボル判定部54を具えている。相関ユニット51の乗算器51a及び積分器51bは、判定式である(27)式の右辺第1項の
する部分である。他チャネル判定結果作用部52は加算器52aを具え、
2、第3項のln coshの演算を行う部分であり、加算部53a,53bはそれぞれ(27)式の右辺第2、第3項の[ ]内の演算をそれぞれ行う。但し、(ES20−Es21)/N0=ΔEとしている。ln cosh演算部53c,53dはそれぞれ(27)式の右辺第2、第3項の演算を行い、演算器53eはln cosh演算部53cの演算結果からln cosh演算部53dの演算結果を減算して出力する。
シンボル判定部54の加算器54aは、相関ユニット51の積分部分51bの出力信号と非線形ユニット53の出力信号を加算して(27)式の演算結果(軟判定対象値)lnP2を発生する。判定部54bは演算結果lnP2の正負を判定し、正であれば第2サブチャネルの受信シンボルは”0”と判定し、負であれば”1”であると判定する。又、シンボル判定部54は(27)式の演算結果(軟判定対象値)lnP2を第1サブチャネルの受信装置40の他チャネル判定結果作用部42へフィードバックする。
以上要約すると、受信装置40、50は、▲1▼受信信号と前記クロストークパスの結合度α1、α2を考慮して作成された第1、第2の基準信号との乗算結果を積分して第1、第2の相関値を出力し、▲2▼ついで、第2相関値と他方の受信装置から入力する軟判定対象値とを加算し、▲3▼該加算結果に基づいて自身の軟判定対象値を調整するための調整値を算出し、▲4▼前記第1の相関値に前記調整値を加えて自身の軟判定対象値を調整し、▲5▼該軟判定対象値に基づいて受信データの”0”、”1”を判定する。
(B)クロストークを与えるサブチャネルが2個の場合
(a)通信システムの全体の構成
図12は下位及び上位の隣接サブチャネル間の干渉を利用して受信データを復調する通信システムの全体構成図であり、3つのサブチャネルch−1,ch0,ch+1を介してそれぞれ独立にデータを送信する3つの送信装置31,32,33、第iサブチャネルから第jサブチャネルへの結合係数αijを有する多数のクロストークパス34ij、各サブチャネル毎に設けられ、対応するサブチャネルからデータを受信し、該受信データの軟判定を行う3つの受信装置40,50,60、各受信装置の軟判定対象値を他の受信装置に入力する手段71,72を備えている。なお、なお、351〜353、361〜363はICI信号やノイズを合成する合成部である。
サブチャネルch0の受信装置50は下位及び上位サブチャネルch−1,ch+1の受信装置40、60から入力された軟判定対象値を用いて、自身の軟判定対象値を調整し、該軟判定対象値に基づいて受信データの”0”、”1”を判定する。同様に他の受信装置も下位及び上位のサブチャネルの受信装置から入力された軟判定対象値を用いて、自身の軟判定対象値を調整し、該軟判定対象値に基づいて受信データの”0”、”1”を判定する。
(b)受信シンボル復調のアルゴリズム
図12に示す通信システムにおいて着目サブチャネルch0の受信機が受信シンボルを復調するアルゴリズムについて説明する。
復調アルゴリズムの原理は、着目サブチャネルch0で受信する情報シンボルが”0”(=+1)である事後確率P(D0=+1/y(t))と、”1”(=−1)である事後確率P(D0=−1/y(t))の差を示す値lnD0を導出することである。まず事後確率の差を示す値lnD0を導出する。
バイナリ情報(2値情報)が隣接する2つのサブチャネルを介して信号S* ij(t)として送信されるものとする。なお、S* ij(t)におけるインデックスiはサブチャネル番号(i=−1,0又は1)を示し、インデックスjはサブチャネルiにおける情報シンボルDiの符号により決定される。すなわち、
である。以後、表記を簡単にするために、式においてS* ij(t)の時間依存性を省略する。すなわち、S* ij(t)をS* ijと表記する。
送信情報シンボルDiは統計的に独立で(相関がなく)、且つ、等分布確率変数であるとする。図12から、下位及び上位サブチャネルからICIの影響を受けた着目サブチャネルの信号は、上位及び下位サブチャネルで送信された信号S* −1j,S* 1jと着目チャネル信号S* 0jとのクロストーク係数αによる線形結合として表現される。なお、クロストーク係数αはクロストークの漏れに応じた値である。着目チャネルの情報シンボルD0が+1であれば、着目チャネルの受信信号Sj(j=0〜3)は、下位及び上位のサブチャネルの信号D−1,D1が+1であるか、−1であるかにより
となる。信号Sjのjは信号番号を表わす。又、同様に着目チャネルの情報シンボルD0が−1であれば、着目チャネルの受信信号Sj(j=4〜7)は、下位及び上位のサブチャネルの信号D−1,D1が+1であるか、−1であるかにより
となる。
ICIの導入後は、(30)及び(31)式に従って、各サブチャネルの受信機入力における8つの信号としてSj(i=0,1,2,....7)を使用する。(30)及び(31)式におけるSjのインデックスjは信号番号を示し、下位サブチャネル、上位サブチャネル、着目サブチャネルにおけるシンボルD−1,D1及びD0をペア(対)にすることにより決定される。
以下の▲1▼、▲2▼を考慮することにより最適受信のアルゴリズムを更に発展することができる。すなわち、▲1▼ある情報信号同士は符号が反対であり、S* −10=−S* −11、S* 00=−S* 01、S* 10=−S* 11であるということ、及び▲2▼情報シンボルの送信のために下位、上位及び着目サブチャネルにおいて同一信号が使用され、S* −10=S* 00=S* 10及びS* −11=S* 01=S* 11であるということ、を考慮することにより、最適受信のアルゴリズムを更に発展することができる。後者の▲2▼は全サブチャネルの情報信号間に、振幅、波形、エネルギーなどに関して差が無いという事実を示している。この場合、各サブチャネルにおける(30)、(31)式の信号は、次式で示すようにペアになり、且つ反対符号になる。
(30)、(31)、(32)式より、信号Sjを受信する事後確率、換言すれば、受信信号がSjである事後確率P(Sj/y(t))は、次式
により与えられる。ただし、
k0は正規化因子、
jは信号番号(j=0,1,....,7)、
y(t)はICIを伴う信号系列Sjとスペクトルパワー強度N0を有する白色ガウス雑音n(t)との合成信号(y(t)=Sj+n(t))、
Papr(Sj)は受信信号Sjの事前確率、
P(y(t)/Sj)は条件付き確率であり、受信語がy(t)であった時、送られた符号語がSjであったという確率、
である。着目チャネルの事前確率Papr(Sj)(j=0,1,....,7)は、(30)〜(32)式より着目サブチャネルの信号がS* 00である、またはS* 01である事前確率と2つの隣接サブチャネルにおける情報信号S* ijの事後確率の交差積として表現される。すなわち、D0=+1の場合には、
となり、D0=−1の場合には
となる。
(34)〜(35)式において、Papr(Sj)は、着目サブチャネルにおいて番号jの情報信号Sjが送信される事前確率(送信確率)である。また、事前確率Papr(S* ij)はデータ発生元の統計に依存し、最も実際的には1/2に等しいと仮定される。確率P(S* ij)は受信信号S* ijの事後確率で、事前確率Papr(S* ij)と異なリ、又、受信側で高い信頼度
ネルにおいてP(S* ij)の最も良い推定であろう。この仮定により、(34)及び(35)式は以下のように書き替えることができる。
あるいは、情報信号S* ijと送信情報信号Di((1)式参照)との間に直接の関係が存在する時は、(34)及び(35)式においてP(S* ij)=P(Di=j/y(t))と置き換えることができ、(34)及び(35)式は次式で表現される。なお、P(S* ij)は第iサブチャネル信号Diがjである確率である。
(38)及び(39)式において、着目サブチャネルにおける受信信号Sjの事前確率Papr(Sj)(j=0,1,2,....,7)は、情報信号S* ijの送信事前確率Papr(S* ij)と下位及び上位の隣接チャネルで受信した情報シンボルDiが+1又は−1である事後確率との交差チャネル積で表現される。
ターボレシーバにおいて、着目サブチャネルの受信情報シンボルD0の符号は以下のように決定する。すなわち、着目サブチャネル(番号0)の受信情報シンボルD0が+1である確率P(D0=+1/y(t))と、D0が−1である確率P(D0=−1/y(t))をそれぞれ求め、それらの大小比較により、あるいはそれらの対数(logarithm)の差と閾値との比較により受信情報シンボルD0の符号を決定する。
着目サブチャネルの受信情報シンボルD0がjとなる事後確率P(D0=j/y(t))は、D0がjである信号を受信する事後確率として得ることができる。従って、事後確率P(D0=+1/y(t))は着目サブチャネルの受信情報シンボルD0が”0”(=+1)となる確率であり、以下のように求めることができる。すなわち、(29)、(30)式より、着目サブチャネルで”0”(=+1)の情報シンボルを送信する信号はS0〜S3であるから、着目サブチャネルの受信情報シンボルD0が”0”(=+1)となる事後確率P(D0=+1/y(t))は、信号S0〜S3を受信する事後確率の和となり(40a)式で求めることができる。同様に、着目サブチャネルの受信情報シンボルD0が”0”(=−1)となる事後確率P(D0=−1/y(t))は(40b)式で求めることができる。
(40a)に(33)式を適用すると(ただしk0=1とする)、(41)式
となり、更に、(40b)に(33)式を適用すると(ただしk0=1とする)、(42)式
となる。(41)、(42)式に(38)、(39)式を代入し、簡単化のために、P(Di=±1/y(t))のy(t)を省略すると(すなわち、P(Di=±1/y(t))=P(Di=±1)とすると)、(43)、(44)式が得られる。
更に、(43)式を変形すると、(45a),(45b)式が得られる。
同様に、(44)式を変形すると(46a),(46b)式が得られる。
以上より、着目サブチャネルの受信情報シンボルD0が”0”(=+1)、”1”(=−1)となる事後確率P(D0=+1/y(t))、P(D0=−1/y(t))が求まれば、それらの大小比較により、あるいはそれらの対数(logarithm)の差と閾値との比較により受信情報シンボルの符号(+1又は−1)を決定できる。
・大小比較による判定
着目サブチャネルの情報シンボルD10が+1であるか、−1であるかは、まず、
であればD0=+1と判定し、
であればD0=−1であると判定する。
・対数の差による判定
着目サブチャネルの情報シンボルD0が+1であるか、−1であるかは、まず、ln P(D0=+1/y(t))−ln P(D0=−1/y(t))を演算し、(lnはeを底とする対数)、しかる後、その正負により判定する。すなわち、
であればD0=+1と判定し、
であればD0=−1であると判定する。
さて、送信シンボルD0が統計的に独立(相関がない)であり、且つ、等分散された確率変数であることから、次式が成立する。
(48)式より、(45b)式及び(46b)式における共通の乗数は判定ルールに影響を及ぼさないから、(45b),(46b)式は(49),(50)式のようになる。
ここで、次式
の代数同一性を考慮して(49)、(50)式を変形すると以下の(51)、(52)
となる。ここで、以下の(53)、(54)式
を採用すると、A,B,C,Dは以下のようになる。
(53)、(54)式を(47a)、(47b)式の左辺の判定式に適用すると新判定式は次式
(52)式を考慮することにより、(55)式の新判定式を構成する各項は以下のように書き替えることができる。なお、lnDi=lnP(Di=+1)−lnP(Di=−1)である。
以上において、lnDi=lnP(Di=+1/y(t))−lnP(Di=−1/y(t))は、第iサブチャネルで送信された信号Diが+1であるか、−1であるかの事後確率の対数差(第iサブチ
とする。また、また、(55)式の(A−B),(C−D)は次式のようになる。
ただし、
である。(55)〜(58)式はICIを伴ったバイナリー信号の最適なレシーバ構造を定義する。(55)〜(58)式から判るように、あるサブチャネルの送信情報シンボルDの符号を判定する時、隣接チャネルの判定情報が使用される。(55)〜(58)式の判定ルールにおいて、lnD−1,lnD+1はそれぞれ、下位サブチャネル(ch−1)及び上位サブチャネル(ch+1)における情報シンボルが+1である事後確率と、−1である事後確率の対数差を表わしている。全ての計算は直列的であるので、着目サブサブチャネルのデータ処理中、繰り返し計算により隣接サブチャネルから最新の事後確率を利用することができる。
以上から、(55)〜(58)式より軟判定対象値であるlnD0を演算し、しかる後、軟判定対象値lnD0の正負により着目サブチャネルの受信シンボルの”0”、”1”を判定するようにアルゴリズムを作成する。
(c)受信装置の構成
図13は受信装置、すなわち、ICIを利用した最大事後確率に基づいた受信装置(ターボレシーバ)の構成図であり、着目サブチャネルの受信部のみの構成を示しているが、他のサブチャネルの受信部も同一の構成を有している。また、この受信部は前述のアルゴリズムを実行する構成を備えている。
着目サブチャネルの受信装置50は、大きく分けると相関ユニット(マッチトフィルでも良い)51、他チャネル判定結果作用部52、第1、第2の非線形ユニット53,54、シンボル判定部55を備えている。
相関ユニット51の乗算器51a及び積分器51bは、判定式である(56)〜(58)式の
加算部51iは積分器51b,51dの積分出力を加算し、減算51jは積分器51b,51dの積分出力を減算し、加算部51kは積分器51f,51hの積分出力を加算し、減算器51mは積分器51f,51hの積分出力を減算する。また、加算部51nは加算部51i,51kの出力を加算して(56)式の右辺第1項
を出力する。また、減算部51pは加算部51i,51kの出力を減算して
を出力する。除算部51q,51rは入力信号を1/2にして出力する。
他チャネル判定結果作用部52は加算器52a〜52cを備え、それぞれ
を演算する。
第1の非線形ユニット53は(56)式の右辺第2〜第5項のln coshの演算を行う部分であり、第1、第2の非線形部53a,53bを有している。第1非線形部53aの加算部71a,71bはそれぞれ(56)式の右辺第2、第3項の{ }内の演算をそれぞれ行う。但し、(E0−E1)/N0=ΔE1としている。ln cosh演算部71c,71dはそれぞれ(56)式の右辺第2、第3項の演算を行い、減算器71eはln cosh演算部71cの演算結果からln cosh演算部71dの演算結果を減算して出力する。
又、第2非線形部53bの加算部71a’,71b’はそれぞれ(56)式の右辺第4、第5項の{ }内の演算をそれぞれ行う。但し、(E2−E3)/N0=ΔE2としている。ln cosh演算部71c’,71d’はそれぞれ(56)式の右辺第4、第5項の演算を行い、減算器71e’はln cosh演算部71c’の演算結果からln cosh演算部71d’の演算結果を減算して出力する。
又、加算部53cは加算器71e,71e’の出力を合成し、除算部53dは合成信号を1/2して(56)式の右辺第2〜第5項の演算結果を出力する。
第2の非線形ユニット54は(57)、(58)式の右辺第1〜第3項の演算を行う部分である。加算部54a,54bはそれぞれ(57)、(58)式の右辺第1項の演算を行い、加算部54c,54dはそれぞれ(57)、(58)式の右辺第2項、第3項の演算を行い、加算部54e,54fはそれぞれ(57)、(58)式の右辺の演算を行い、ln cosh演算部54g,54h
シンボル判定部55の加算器55aは、相関ユニット51の除算部51rの出力信号
は(55)式のlnD0(軟判定対象値)を発生する。判定部55cはlnD0の正負を判定し、正であれば受信シンボルは”0”と判定し、負であれば”1”であると判定する。又、シンボル判定部55は(55)式の演算結果(軟判定対象値)lnD0を下位及び上位の隣接するサブチャネルの受信部40,60の他チャネル判定結果作用部へフィードバックする。
(C)セル構成
(a)レシーバ(ICI−2,N=1)の構成
図11に示すように考慮すべきクロストークサブチャネル数(クロストークパス数N)が1個の場合のレシーバ(ICI−2,N=1)は、図14に示すように相関器101、ソフト判定対象信号作成部102、判定ユニット103を有する構成に変形できる。
相関器101は2つの基準信号S10,S11と着目サブチャネルの受信信号y(t)との相関をそれぞれ演算し、ソフト判定対象信号作成部102は、相関器101から入力する2つの相関信号S0,S1を用いてレベル0の複数のソフト判定対象信号C0〜C2を発生すると共に、該ソフト判定対象信号を着目サブチャネル以外の他サブチャネルのソフト判定値lnP2で修正する。判定ユニット103は、レベル0のセル102から出力する複数のソフト判定対象信号C0〜C2を合成して着目サブチャネルのソフト判定値lnP1を出力すると共に、該ソフト判定値に基づいて着目サブチャネルの受信信号を判定する。
図15は相関器101、ソフト判定対象信号作成部102、判定ユニット103をモジュール化した場合のレシーバ(ICI−2,N=1)の接続構成図であり、ソフト判定対象信号作成部102はレベル0のセル1020で構成される。セル数は2N−1=1である。信号S0,S1は次式
で定義される相関器出力信号である。セル構成は後述する。
(b)レシーバ(ICI−3,N=2)の構成
図13に示すクロストークサブチャネル数(クロストークパス数N)が2個の場合のレシーバ(ICI−3,N=2)は、図16に示すように相関器101a,101b、ソフト判定対象信号作成部102、判定ユニット103を有する構成に変形できる。ソフト判定対象信号作成部102はレベル0のセル1020a、1020b、レベル1のセル1021で構成される。
すなわち、相関器101a,101bはそれぞれ2つの基準信号S0,S1;S2,S3とサブチャネルの受信信号y(t)との相関をそれぞれ演算し、レベル0の第1のセル1020aは相関器101aから入力する2つの相関信号S0,S1を用いてレベル0の複数のソフト判定対象信号C0〜C2を発生し、該ソフト判定対象信号C1〜C2を着目サブチャネル以外の他サブチャネルのソフト判定値lnD+1で修正する(加算器42aの加算参照)。
レベル0の第2のセル1020bは相関器101bから入力する2つの相関信号S2,S3を用いてレベル0の複数のソフト判定対象信号C0′〜C2′を発生し、該ソフト判定対象信号C1′〜C2′を着目サブチャネル以外の他サブチャネルのソフト判定値lnD+1で修正する(加算器52a〜52bの加算参照)。
レベル1のセル1021は、レベル0の2組のセル1020a,1020bからそれぞれ複数のソフト判定対象信号C0〜C2,C0′〜C2′を入力されてレベル1の複数のソフト判定対象信号C0″〜C2″を発生し、該ソフト判定対象信号C1″〜C2″を着目サブチャネル以外の他サブチャネルのソフト判定値lnD−1で修正する(加算器52cの加算参照)。
判定ユニット103は、レベル1のセル1021から出力する複数のソフト判定対象信号C0″〜C2″を合成して着目サブチャネルのソフト判定値lnD0を出力すると共に、該ソフト判定値に基づいて着目サブチャネルの受信信号を判定する。
図17は相関器101、セル1020a,1020b 1021、判定ユニット103をモジュール化した場合のレシーバ接続構成図であり、セル数は2N−1=3である。レベル1のセル1021は、レベル0の第1セル1020aのソフト判定対象信号C0〜C2を入力信号A0,B1,A2として受信し、また、レベル0の第2セル1020bのソフト判定対象信号C0〜C2を入力信号B0,A1,B2として受信し、レベル1のソフト判定対象信号C0〜C2を判定ユニット103に入力する。レベル0のセル1020a,1020bへの入力信号S0〜S3は次式
で定義される相関器101a,101bの出力信号である。
(c)レベル1のセル構成
図16のレベル1のセル1021を整理して書き直すと図18に示すようになる。すなわち、レベル1のセル1021は、入力信号A1と入力信号B1を加減算する演算器201〜202、入力信号A0と入力信号B0を加減算する演算器203〜204、入力信号A2と入力信号B2を加減算する演算器205〜206、1/2乗算器207〜209、信号(A0−B0)に他サブチャネルのソフト判定値DSOFTを加算する加算器210、信号(A1−B1),(A2−B2)にそれぞれエネルギー差Δを加算する加算器211〜212、lncosh{・/2}を演案する演算部213〜214、演算部213〜214への入力信号を演算する加算器215〜216、出力信号C1〜C2を発生する加算器217〜218で構成される。
注目すべきは、レベル1のセル1021の入力信号A1,B1,A2,B2を0にすると、レベル0のセル1020a,1020bとなることである。すなわち、図18の構成を有するセルで、レベル0、レベル1のセルが形成でき、後の説明より明らかになるように任意のレベルNのセルを形成できることである。
(d)判定ユニット
図19は判定ユニット103の構成図で、C2−C1を演算する演算部301と、図15の構成においてのみ入力信号C0を2倍し、その他の場合には1倍する乗算器302と、演算部301と乗算器302の出力を合成して着目チャネルのソフト判定値を出力する加算器303と、ソフト判定値に基づいて着目チャネルの受信信号の”1”、”0”を判定する判定部304を備えている。
(D)セルの階層構成
(a)ICI−4,N=3のターボレシーバのソフト判定対象信号作成部
ICI−2,N=1のターボレシーバ、ICI−3,N=2のターボレシーバがそれぞれ図15、図17に示すように表現できる事を考慮すると、ICI−4,クロストークパス数N=3のターボレシーバのソフト判定対象信号作成部は図20に示すように構成できる。ソフト判定対象信号作成部102は、2N−1=7個のセルを備えており、4個のレベル0のセル1020a〜1020dと2個のレベル1のセル1021a〜1021bと、1つのレベル2のセル1022を階層的に接続して構成されている。すなわち、レベル2のセル1022は、レベル1の第1セル1021aのソフト判定対象信号C0〜C2を入力信号A0,B1,A2として受信し、また、レベル1の第2セル1021bのソフト判定対象信号C0〜C2を入力信号B0,A1,B2として受信し、レベル2のソフト判定対象信号C0〜C2を判定ユニット103に入力する。なお、レベル2のセル1022はレベル2のソフト判定対象信号C0〜C2を着目サブチャネル以外の他サブチャネルのソフト判定値で修正して判定ユニット103に入力する。
レベル0のセル1020a〜1020dの入力信号S0〜S7は次式
で定義される相関器の出力信号である。
(b)ICI−5,N=4のターボレシーバのソフト判定対象信号作成部
同様に、ICI−5,N=4(図9参照)のターボレシーバのソフト判定対象信号作成部は図21に示すように構成できる。ソフト判定対象信号作成部102は、2N−1=15個のセルを備えており、8個のレベル0のセル1020a〜1020hと4個のレベル1のセル1021a〜1021dと、2個のレベル2のセル1022a〜1020bと、1個のレベル3のセル1023を階層的に接続して構成されている。すなわち、レベル3のセル1023は、レベル2の第1セル1022aのソフト判定対象信号C0〜C2を入力信号A0,B1,A2として受信し、また、レベル2の第2セル1022bのソフト判定対象信号C0〜C2を入力信号B0,A1,B2として受信し、レベル3のソフト判定対象信号C0〜C2を発生すると共に、該ソフト判定対象信号C0〜C2を着目サブチャネル以外の他サブチャネルのソフト判定値で修正して判定ユニット103に入力する。
レベル0のセル1020a〜1020dの入力信号S0〜S15は次式
で定義される相関器の出力信号である。
(c)ICI−Nのターボレシーバのソフト判定対象信号作成部
一般に、ICI−N、クロストークパス数=N−1のターボレシーバのソフト判定対象信号作成部は図22に示すように構成できる。ソフト判定対象信号作成部102は、2N−1−1個のセルを備えており、2N−2個のレベル0のセルと2N−3個のレベル1のセルと、…2個のレベル(N−3)のセルと、1個のレベル(N−2)のセルを階層的に接続して構成されている。すなわち、図23に示すようにレベル(N−2)のセルは、レベル(N−3)の第1セルのソフト判定対象信号C0〜C2を入力信号A0,B1,A2として受信し、また、レベル(N−3)の第2セルのソフト判定対象信号C0〜C2を入力信号B0,A1,B2として受信し、レベル(N−2)のソフト判定対象信号C0〜C2を発生すると共に、該ソフト判定対象信号C0〜C2を着目サブチャネル以外の他サブチャネルのソフト判定値で修正して判定ユニット103に入力する。
2N−1個のレベル0のセルへの入力信号は次式
で定義される相関器の出力信号である。
(d)セルのソフト判定値及びエネルギー差Δ
図18に示したセルにおいてDSOFTはソフト判定値、Δはエネルギー差である。具体的に、レベルLのセルのソフト判定値DSOFTは、サブチャネルLの判定ユニットが出力するソフト判定値である。サブチャネル番号はクロストークを発生するサブチャネルに0から順番に番号をつけて得られる。たとえば、図12のICI−3場合にはch+1がサブチャネル0、ch−1がサブチャネル1となる。
レベル0の第1セルのΔは(E0−E1)/N0、第2セルのΔは(E2−E3)/N0、第3セルのΔは(E4−E5)/N0、一般に第nセルのΔは(En−En+1)/N0である。N0はノイズのパワースペクトル強度である。
レベル1の第1セルのΔは0.5×{(E0+E1)−(E2+E3)}/N0、第2セルのΔは0.5{(E4+E5)−(E6+E7)}/N0、第3セルのΔは0.5{(E8+E9)−(E10+E11)}/N0、一般にレベル1の第nセルのΔは0.5{(En+En+1)−(En+2+En+3)}/N0である。
レベルLの第nセルのΔは
である。
(E)DMTシステムへの適用
本発明のターボレシーバの応用としてDMTベース通信システムを考える。図23はかかるターボレシーバを採用したDMTベース通信システムの構成図であり、周知のDMT通信システムにおける受信機のFFT部の後段に本発明のターボレシーバを配置した構成を有している。。
図24の通信システムにおいて、直列並列変換器(S/P)501はデータレートR(bits/sec:bps)の入力ビットストリームをMビットの並列データに変換し、各ビットを新レートR/M(bps)でM個の並列サブチャネルを介して転送する。MポイントIFFT502は、M並列データを結合して時間領域のサンプル信号に変換する。並列直列変換器(P/S)503は、これらNサンプルを直列フォーマットに変換し、連続してディジタルアナログ変換器(DAC)504に入力する。DAC出力側のローパスフィルタ(LPF)50の出力信号は連続時間DMT信号である。白色ガウス雑音チャネルにおいて、送信DMT信号は、白色ガウス雑音n(t)により劣化し、DMTレシーバ600に送られる。
受信機は送信機と逆の機能を実行する。すなわち、アナログデジタル変換器(ADC)506は受信信号をAD変換し、直列並列変換器(S/P)507はデジタル信号をM並列データに変換してFFT508に入力する。FFT508はFFT処理し、各サブチャネルで送られた信号に対してMマッチトフィルタアレイとして復調処理を行う。本発明のターボレシーバ5091〜509Mはターボアルゴリズムに基づいたサブチャネルのデータ判定処理を行い、並列直列変換器(P/S)510は各ターボレシーバで得られた信号を直列データに変換して検出データとして出力する。以上により周波数オフセットが存在してもBERを改善することができる。
図25は,従来のDMTベースレシーバのBERパフォーマンス(MF)を示すと共に、本発明のターボ処理機能を備え、M=64で6回のターボ繰り返しを行うDMTレシーバのBERパフォーマンスを示す。なお、BERパフォーマンスは、チャネル間周波数で正規化した周波数オフセットαを0.25として、2Eb/N0に対して示されている。又、ICIが発生しない理想的な状態におけるBERをREFとして示している。
図25より明らかなように、本発明のターボアルゴリズムによるBERパフォーマンスは、考慮するクロストークパス数(クロストークサブチャネル数)が増加する毎に向上する。そして、本発明によれば、セル化構成にしているため、考慮すべきクロストークサブチャネル数が増加しても簡単にターボアルゴリズムを実現することができる。
Claims (8)
- 複数のサブチャネルを介してそれぞれ独立にデータを送信する通信システムにおける受信装置において、
他サブチャネルからのクロストークを表わすクロストーク係数の組合わせに基づいて生成される2つの基準信号と着目サブチャネルの受信信号との相関をそれぞれ演算する相関器、
相関器から2つの相関信号を入力されてレベル0のソフト判定対象信号を発生し、該ソフト判定対象信号を着目サブチャネル以外の他サブチャネルのソフト判定値で修正するようにしてレベル0のセルを形成し、該レベル0の2組のセルからそれぞれソフト判定対象信号を入力されてレベル1のソフト判定対象信号を発生し、該ソフト判定対象信号を着目サブチャネル以外の他サブチャネルのソフト判定値で修正するようにしてレベル1のセルを形成し、以下、同様に、レベルNの2組のセルを用いてレベル(N+1)のセルを形成してなる階層構造を有するソフト判定対象信号作成部、
レベル(N+1)のセルから出力するソフト判定対象信号を用いて着目サブチャネルのソフト判定値を出力すると共に、該ソフト判定値に基づいて着目サブチャネルの受信信号を判定する判定ユニット、
を備えたことを特徴とするマルチキャリア通信システムにおける受信装置。 - ソフト判定対象信号作成部を構成するレベル0のセルに応じて1つの相関器を設け、各相関器は互いに異なる前記クロストーク係数の組合わせに基づいて生成される2つの基準信号と着目サブチャネルの受信信号との相関をそれぞれ演算し、演算した相関信号を対応するレベル0のセルに入力する、
ことを特徴とする請求項1記載の受信装置。 - 前記ソフト判定対象信号作成部におけるレベル0からレベルNまでのセルを同一のセルモジュールで構成する、
ことを特徴とする請求項1記載の受信装置。 - クロストークサブチャネル数が1のソフト判定対象信号作成部をレベル0のセルを用いて形成し、クロストークサブチャネル数が2のソフト判定対象信号作成部をレベル0のセルとレベル1のセルで形成したとき、該レベル1のセルを前記セルモジュールとすることを特徴とする請求項3記載の受信装置。
- レベルLのセルは、クロストークサブチャネルに順番に番号を着けたとき、サブチャネルLのソフト判定値に基づいて前記ソフト判定対象信号を修正する修正部、
を備えたことを特徴とする請求項3記載の受信装置。 - レベルLのセルは、前記基準信号のエネルギーとノイズの比を前記ソフト判定対象信号値に反映させる反映部、
を備えたことを特徴とする請求項3記載の受信装置。 - 前記判定ユニットはソフト判定対象信号作成部の最終レベルのセルから入力する複数のソフト判定対象信号を合成してソフト判定値を作成し、該ソフト判定値に基づいて着目サブチャネルから受信したデータを識別する
ことを特徴とする請求項1記載の受信装置。 - DMT受信機におけるFFT変換処理の後段部に各サブチャネル対応して設けられたことを特徴とする請求項1記載の受信装置
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