JP3892566B2 - マルチビームアンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の静止衛星から電波を受信可能なマルチビームアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、放送衛星や通信衛星等の静止衛星から電波を受信するためのパラボラアンテナが知られている。パラボラアンテナは、回転放物面の一部から切出された反射鏡と、その反射鏡の焦点の位置に設けられた受信部とを備え、その反射鏡が、回転放物面の中心軸方向から到来する電波を焦点に集め、受信部がその集められた電波を受信するものである。こうしたパラボラアンテナで複数の静止衛星からの電波を受信するには、各静止衛星の方向に向けて複数設置すれば良いが、それらの設置場所が必要となると共に各パラボラアンテナの向きを夫々調節しなければならず面倒であることから、反射鏡の焦点の近傍に複数の受信部を設け、これら受信部で、複数の静止衛星からの電波を個別に受信するようにしたものがあった。
【0003】
しかし、電波の到来方向が、回転放物面の中心軸方向からずれるほど、収差が増加してアンテナ利得が著しく低下すると共に、電波の到来方向に対して開口する有効開口面積が減少するため、アンテナの受信電力が低下するという問題がある。例えば、日本において、BS(東経110°)と日本通信衛星(株)のJCSAT−3(東経128°)とからの電波を受ける場合には、電波の到来方向の角度差(以下、「ビーム分離角度」ともいう。)が小さいので、それらの間に中心軸を向ければアンテナ利得は大して低下しないが、BSと宇宙通信(株)のスーパーバードC(東経144°)とからの電波を受けようとする場合、ビーム分離角度は約38°と大変大きいため、それらの間に中心軸を向けても、アンテナ利得が著しく低下してしまう。尚、この場合、反射鏡を大型化して電波の到来方向に対して開口する有効開口面積を拡大することにより受信電力を上げても良いが、設置場所が制限されてしまうという問題が生じる。
【0004】
このため、例えば特開平7−46034号公報に記載の様に、回転楕円面を放物面に近似させて形成された反射鏡と、その反射鏡(即ち、回転楕円面)の2つの焦点に夫々配置された2つの受信部とからなるマルチビームアンテナが開発されている。この種のマルチビームアンテナでは、反射鏡が、一方の受信部付近を通過した電波を他方の受信部に反射するようにして、ビーム分離角度が大きくても、夫々の電波を良好なアンテナ利得で受信できる。
【0005】
また、特公平4−73881号公報に記載の様に、隣接する複数の回転放物面を加重平均により融合して形成された反射鏡と、融合前の各回転放物面に相当する反射領域の焦点に夫々設けられた複数の受信部とからなるマルチビームアンテナも開発されている。この種のマルチビームアンテナでは、複数の方向から到来する電波を、各反射領域が対応する受信部に夫々反射して、ビーム分離角度が大きくても、各静止衛星からの電波を受信できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平7−46034号公報に記載のマルチビームアンテナでは、一方の受信部が、他方の受信部が受けるべき電波の到来方向にあるので、その電波をブロッキングしてしまうという問題や、横長であるため美観を損なうという問題がある。また、特公平4−73881号公報に記載のマルチビームアンテナは、独立した回転放物面の集合に過ぎず、電波の到来方向に対応した数の回転放物面を融合する必要がある。そのため、受信可能な電波の数を増やそうとすると反射鏡を大型化せざるを得ない。更に、これら両マルチビームアンテナが受信可能な電波のビーム分離角度は、反射鏡の形状により固定されてしまうので、例えば新規に打ち上げられた静止衛星からの電波に対しては、受信能力が劣るという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、小型であっても、到来方向の著しく異なる電波を良好に受信可能なマルチビームアンテナを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、複数の静止衛星からの電波を反射する反射鏡と、該反射鏡により反射された前記各静止衛星からの電波を夫々受信する複数の受信部とを備えたマルチビームアンテナにおいて、
前記反射鏡は、楕円放物面の一部で形成されており、該反射鏡は、該楕円放物面をその中心軸方向から見たときに、該楕円放物面の長軸方向と略平行な軸を長軸とする楕円形状となり、しかも、該楕円放物面の中心軸方向から見たときの当該反射鏡の中心が、該楕円放物面の中心軸から該楕円放物面の短軸方向に当該反射鏡の短軸方向の長さの略4分の1離れた位置となるように形成されたことを特徴とする。
【0009】
上記の様に構成された本発明(請求項1記載)のマルチビームアンテナにおいては、反射鏡が楕円放物面の一部で形成されており、この反射鏡は、楕円放物面をその中心軸方向から見たときに、この楕円放物面の長軸方向と略平行な軸を長軸とする楕円形状となり、しかも、この楕円放物面の中心軸方向から見たときの当該反射鏡の中心が、楕円放物面の中心軸からこの楕円放物面の短軸方向に当該反射鏡の短軸方向の長さの略4分の1離れた位置となるように形成されている。
そのため、後述するシミュレーションから分かるように、楕円放物面の中心軸を受信すべき電波の到来方向の間に向けると共に、曲率の大きい長軸方向を静止衛星の並びに対して略平行にして楕円放物面の長径方向に傾いた方向から各電波を受けるようにすると、到来方向の著しく異なる電波であっても、夫々良好に集束させることができる。
【0010】
したがって、請求項1のマルチビームアンテナによれば、回転楕円面を使用したり、複数の回転放物面を融合したりする必要が無いので、反射鏡が大型化したり美観を損なったりするのを避けることができる。しかも、受信可能なビーム分離角度が固定されていないので、所定のビーム分離角度以内であれば任意の数の静止衛星からの電波を受信することができる。尚、受信部としては、例えば、フィードホーン、パッチ型アンテナ等を用いることができる。
さらに、請求項1の発明においては、反射鏡が、楕円放物面をその中心軸方向から見たときに、楕円放物面の長軸方向と略平行な軸を長軸とする楕円形状をしているので、この楕円放物面の中心軸方向から見た反射鏡の形状(以下、「有効開口」ともいう)は、静止衛星の並び方向(即ち、楕円放物面の長軸方向)に長くなり、隣接する静止衛星からの干渉を抑制できる。
また、反射鏡は、受信部として一般に広く使用される円錐ホーンアンテナの指向性が円錐形状であることも考慮すると、受信部に対する反射鏡の開口が円形状か、それに近い楕円形状となるようにするのが好ましい。従って、有効開口を、短軸と長軸との比が1:1〜1:1.1(特に1:1.06)である楕円(円を含む)となるようにようにするとよい。
また、反射鏡の中心を楕円放物面の中心軸から離すと、電波が集束し難くなったり、集束位置が反射鏡から離れてアンテナ全体が大型化したりするという問題が生じ、一方、反射鏡の中心と楕円放物面の中心軸とが完全に一致している状態では、受信部による到来電波のブロッキングの影響が大きくなる可能性がある。そこで、後述するシミュレーションを行ったところ、このシミュレーションにより、反射鏡の中心と楕円放物面の中心軸との長さを、有効開口の短軸の長さ(以下、「有効開口径」ともいう。)の略1/4とすれば、電波の集束位置が反射鏡から離れず、ブロッキングの影響を抑制できると共に電波も良好に集束可能なことが確かめられた。
従って、請求項1に記載の発明によれば、反射鏡は、楕円放物面の中心軸方向から見たときの反射鏡の中心と楕円放物面の中心軸との長さが、有効開口径の略1/4となる位置を中心とするように形成されているので、ブロッキングの影響を抑制できると共に電波も良好に集束可能な反射鏡とすることができ、小型で、しかもアンテナ利得が高いマルチビームアンテナとすることができる。また、反射鏡の中心が、楕円放物面の中心軸に対して、楕円放物面の短軸方向にあるので、反射鏡はその短軸を中心として左右対称となり、意匠的にも好ましい。
【0011】
後述する様に、3D−CADを使用したシミュレーションの結果、楕円放物面の長軸方向を短軸方向に対して長くするほど、ビーム分離角度がより大きい方向からの電波及びその間から到来する電波をより良好に集束可能であることが分かった。例えば、短軸方向と長軸方向との長さの比を1:1.05とすれば、到来方向の角度差が20°までの各電波を良好に集束させて受信することができ、短軸方向と長軸方向との長さの比を1:1.1とすれば、到来方向の角度差が40°までの各電波を良好に受信可能となるのである。ここで、楕円放物面の短軸方向と長軸方向との長さの比とは、楕円放物面を、その中心軸に対して垂直な平面で切った断面である楕円の短軸と長軸との比で定義するものとする。
【0012】
この様に、短径方向に対する長径方向の比率を大きくするほど、ビーム分離角度が大きくても電波をより良好に電波を集束させて受信できるようになるが、電波が集束する位置(即ち、受信部を配置するべき位置)が反射鏡から離れ、マルチビームアンテナ全体が大型になるという問題が生じる。一方、実際の静止衛星の位置を考慮すると、電波の到来方向の角度差は最も大きい場合でも略40°となっている。また、回転放物面を利用した従来のパラボラアンテナでは、電波の到来方向の角度差が20°以上の場合には、集束が悪くなり、アンテナ利得が低下する。そこで、請求項2に記載の様に、楕円放物面の短軸方向と長軸方向との長さの比を、1:1.05〜1:1.1にすると好ましく、小型であるにもかかわらず、到来方向の著しく異なる電波(ビーム分離角度が20°〜40°)を良好に受信可能なマルチビームアンテナを得ることができる。
【0016】
尚、有効開口径と、楕円放物面の短軸方向の断面である放物線の焦点距離との比は、大きいほどアンテナ利得が向上するので好ましいが、一方溢れ放射が発生したり、アンテナ全体が大型化してしまう等の問題があることから、1:0.65〜1:0.85の範囲、特に0.8が最も好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施例を図面と共に説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのマルチビームアンテナの全体的構成を示す説明図である。
【0018】
マルチビームアンテナ2は、静止衛星から到来する電波を反射して集束させるための反射鏡4、その反射鏡4により集束された電波を受信する第1受信部6a及び第2受信部6b(以下、両受信部を総称するときは「受信部6」ともいう。)とを備えている。
【0019】
反射鏡4は、その有効開口が、短軸と長軸との長さが1:1〜1:1.1(本実施例では1:1.06)の楕円形(円形を含む)となるよう、楕円放物面7から切り出されて構成された曲面である。また、その有効開口径(即ち、有効開口の短軸の長さ)と、楕円放物面7の短軸方向7Sの断面である放物線の焦点距離との比は、1:0.65〜1:0.85(本実施例では、1:0.8)とされる。また、有効開口径は、例えば50cmとされる。
【0020】
また、この反射鏡4は、図示しない支持部材により、楕円放物面7の中心軸8の向き(即ち、方位角及び仰角)を自由に調節可能とされていると共に、中心軸8を軸として回転可能とされている。つまり、受信する地域に応じて、反射鏡4の姿勢を中心軸8の向きと中心軸8を軸とした回転角度とで調整して、二つの静止衛星からの到来電波を良好に受信できる。
【0021】
第1受信部6aは、第1の静止衛星(以下、「第1衛星」という)からの到来電波を受信するためのものであり、また、第2受信部6bは、第2の静止衛星(以下、「第2衛星」という。)からの到来電波を受信するためのものである。これら第1受信部6a及び第2受信部6bは、反射鏡4が両静止衛星からの到来電波を夫々集束させる位置に対応するよう反射鏡4に対して固定されると共に、反射鏡4の中心に向けられている。尚、両受信部6を中心軸8方向から見ると、有効開口の長軸と、両受信部6を結ぶ直線とが平行となっている。
【0022】
さて、反射鏡4は楕円放物面7からその一部を切り出して形成されるが、反射鏡4の形状は、切り出される楕円放物面7の形状及びその楕円放物面7からの切出し方により決定される。
発明者は、図2(a)〜(c)に示す様に、楕円放物面7の形状を決定するにあたり、楕円放物面7の短軸方向7Sと長軸方向7Lとの長さの比を様々に変化させて、二つの静止衛星からの到来電波が、反射鏡4による反射後、どの程度集束するかをシミュレーションした。シミュレーションでは、第1衛星及び第2衛星として、静止衛星軌道上東経144°にある宇宙通信(株)のスーパーバードC及び東経110°にあるBSを想定し、両静止衛星からの到来電波を反射鏡4に入射させるものとした。
【0023】
図2(a)は、回転放物面9によって、両静止衛星からの到来電波が反射される様子を示す説明図であり、図2(b)は、短軸方向7Sと長軸方向7Lとの長さの比が1:1.05である楕円放物面7によって両電波が反射される様子を示す説明図であり、また、図2(c)は、短軸方向7Sと長軸方向7Lとの長さの比が1:1.2である楕円放物面7によって両電波が反射される様子を示す説明図である。尚、一般に楕円放物面は、直交座標系において、
z=(x/a)2+(y/b)2 …(1)
という式で表されるが、楕円放物面7の短軸方向7Sは、式(1)の楕円放物面のx軸方向に対応し、楕円放物面7の長軸方向7Lは、式(1)の楕円放物面のy軸方向に対応し、楕円放物面7の中心軸8は、式(1)の楕円放物面の中心軸であるz軸に対応する。即ち、図2(b)に示す楕円放物面7は、式(1)において、2a:2b=1:1.05(ここで、「2a」及び「2b」は、夫々、z=1の平面による楕円放物面7の断面である楕円の「短軸」及び「長軸」の長さである。以下同じ。)として表される楕円放物面であり、図2(c)に示す楕円放物面7は、式(1)において、2a:2b=1:1.2として表される楕円放物面である。ここで、上記「z=1」とは、式(1)におけるx、y、zに対する相対値を表すものであり、式(1)に必要に応じて実寸法をあてはめて設計を行う。
【0024】
これらの放物面(回転放物面9又は楕円放物面7)の中心軸8は、両静止衛星の間にある、静止衛星軌道上の東経131°の位置の方向に向けられたものとする。尚、図2(a)〜(c)は何れも、回転放物面9或いは楕円放物面7の凹面側(即ち、電波の到来する面の側)から見込んだ図であり、特に、図2(B)の場合の斜視図を、図3に示す。
【0025】
図2(a)〜(c)に示す様に、第1衛星からの到来電波10a(以下、「第1電波10a」という。)、及び、第2衛星からの到来電波10b(以下、「第2電波10b」という。)は、反射鏡4により夫々反射されて別々の位置にて集束している。ここで、図2(a)〜(c)を比較すると、短軸方向7Sに対して長軸方向7Lの長さの比が大きくなるほど、第1電波10a、第2電波10bの双方とも、より狭い範囲に集束する傾向にあり好ましいが、その一方、両電波の集束位置は反射鏡4から離れる傾向にあることから、第1受信部6a及び第2受信部6bが反射鏡4から遠くなり、マルチビームアンテナの全体が大型化してしまう。
【0026】
発明者は、ビーム分離角度を変化させた同様のシミュレーション行い、ビーム分離角度が20°である場合は、楕円放物面7の短軸方向7Sと長軸方向7Lとの長さの比を1:1.05とするのが適当であり、ビーム分離角度が40°である場合には、楕円放物面7の短軸方向7Sと長軸方向7Lとの長さの比を1:1.1とするのが適当であることを明らかにした。そして、特に上記の様に想定した第1衛星及び第2衛星からの到来電波を受信する場合(ビーム分離角度が約38°)には、楕円放物面7の短軸方向7Sと長軸方向7Lとの長さの比を1:1.075とするのが最も好ましいことを確かめた。
【0027】
以上のことから、楕円放物面7の短軸方向7Sと長軸方向7Lとの比を1:1.05〜1:1.1とすれば、現在使用されている上記第1衛星、第2衛星及びこれらの間の静止衛星軌道上にある静止衛星からの到来電波を良好に受信できることが分かる。
【0028】
次に、発明者は、楕円放物面7の短軸方向7Sと長軸方向7Lとの長さの比を1:1.075として、その楕円放物面7の内、どの部分を反射鏡4として切り出すのが適当であるかをシミュレーションにより検討した。
図4(a)〜(c)は、短軸方向7Sと長軸方向7Lとの長さの比が1:1.075である楕円放物面7から反射鏡4を切出す位置を様々に変化させた場合に、第1電波10a及び第2電波10bがどのように集束するかをシミュレーションした様子を示す説明図である。図4(a)〜(c)は何れも、楕円放物面7の凹面側(即ち、電波の到来する面の側)から見込んだ図である。ここでは、各反射鏡4の有効開口の短軸と長軸との長さの比を1:1.06の楕円とし、楕円の短軸は楕円放物面7の短軸方向7Sと一致させてある。尚、反射鏡4に入射する両静止衛星からの到来電波(第1電波10a及び第2電波10b)は、反射鏡4の中心Mに入射する電波のみを示し、他の部分に入射する電波については省略した。
【0029】
図4(a)〜(c)に示す様に、反射鏡4の中心Mが、楕円放物面7とその中心軸8との交点O(以下、単に「交点O」という。)に近づくほど、両静止衛星からの到来電波は、より狭い範囲に集束しており好ましいが、集束位置が反射鏡4の有効開口の中心に近付き、受信部6によるブロッキングが生じる可能性がある。一方、反射鏡の中心Mを上記交点Oから離すほど、電波の集束位置が反射鏡から離れることから、受信部6による到来電波のブロッキングを防止できるが、電波の集束が悪くなると共に受信部6が反射鏡4から遠くなりマルチビームアンテナが大型化してしまう。
【0030】
従って、図4(b)に示す様に、反射鏡4の中心Mと、上記交点Oとの間の長さが、反射鏡4の短軸の長さの略1/4となるようすれば、電波の集束位置が反射鏡4の端部に位置するので、受信部6によるブロッキングの影響を抑制できると共に、電波を比較的良好に集束させることができ、最も好ましい。尚、こうしたブロッキングは、受信部6を小型化する等して抑制・防止できるので、楕円放物面7から反射鏡4を切り出すに当っては、楕円放物面7と中心軸8との交点Oを反射鏡4に含むようにすれば、マルチビームアンテナ全体が大型化しないので好ましい。
【0031】
以上のシミュレーション結果に基づき、本実施例では、反射鏡4を切り出す元となる楕円放物面7の短軸方向7Sと長軸方向7Lとの長さの比を、ビーム分離角度38°に対応できるよう1:1.075とし、反射鏡4を、その楕円放物面7の中心軸8との交点Oが、有効開口の短軸上であって中心Mから有効開口径の1/4離れた位置に来るよう、楕円放物面7から切り出している。
【0032】
図1に戻り、この様に形成された反射鏡4を持つマルチビームアンテナを使用して、第1衛星及び第2衛星からの電波を受信する方法について説明する。
上記で想定した第1衛星は、静止衛星軌道上の東経144°にあり、第2衛星は静止衛星軌道上の東経110°にある。これら両静止衛星からの到来電波を受信するには、例えば、その中間の東経127°の静止衛星軌道に中心軸8(即ち、反射鏡4の有効開口)を向けるようにしても良いが、第1衛星及び第2衛星の送信電力は夫々約90W及び約106Wと異なる等の理由で、地上における各到来電波の電力密度が異なることを考慮し、本実施例のマルチビームアンテナでは、東経127°よりも若干、第1衛星に近い東経131°方向に中心軸8を向けようにしている。この時の中心軸8の仰角は受信地区によって異なるが、例えば名古屋地区では、中心軸8の仰角は48.66°となる。また、受信地区によって、両静止衛星の仰角の差も異なっているため、これに合わせて反射鏡4を中心軸8を中心に回転させる必要があり、例えば名古屋地区では、静止衛星軌道から反射鏡4の見ると、左に8.31°回転される。この様に、受信地区に応じた姿勢に調整されることにより、マルチビームアンテナは、第1電波10aを第1受信部6aにて受信し、第2電波10bを第2受信部6bにて受信することができる。
【0033】
以上の様に、本実施例のマルチビームアンテナによれば、反射鏡4を楕円放物面7の一部で構成しているので、到来方向の著しく異なる電波を夫々良好に集束させることができる。即ち、各方向に対してサイドローブを抑圧して指向性を高めることができるので、高いアンテナ利得で受信可能となり、受信障害やC/N劣化を防止できる。そして、回転楕円面を使用したり、複数の回転放物面を融合したりする必要が無いので、反射鏡が大型化したり美観を損なったりするのを避けることができ、有効開口径が例えば50cmと小型であっても、上記の効果が得られる。
【0034】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定される物ではなく、種々の態様を取ることができる。
例えば、上記実施例のマルチビームアンテナを、受信部を2個備えたものとして説明したが、これに限らず何個設けても良く、第1受信部6a及び第2受信部6bの間に新たな受信部を設けて、例えば、静止衛星軌道上の東経128°にある日本通信衛星(株)のJCSAT−3からの到来電波を受信する様にしても良い。上記実施例では、楕円放物面7の短軸方向7Sと長軸方向7Lとの長さの比を1:1.075として、電波の到来方向の角度差約38°までであれば、良好に集束可能とされているので、その間からの到来電波も良好に集束できるからである。
【0035】
また、上記実施例のマルチビームアンテナは、静止衛星として、通信を主な目的とするCS及び放送を目的とするBSを想定して、その説明を行ったが、放送又は通信を目的とする静止衛星に限られるものではなく、例えば、配信(一方向のみの通信)を主な目的とする静止衛星からの到来電波を受信しても良い。つまり、あらゆる静止衛星に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例としてのマルチビームアンテナの構成を示す説明図である。
【図2】 回転放物面及び楕円放物面によって、2つの静止衛星からの到来電波がどのように集束されるかをシミュレーションした様子を示す説明図である。
【図3】 図2(b)に示したシミュレーションの様子を横から示す説明図である。
【図4】 短軸方向と長軸方向との長さの比が1:1.075である楕円放物面から、切出す位置を様々に変化させた場合に、2つの静止衛星からの到来電波がどのように集束するかをシミュレーションした様子を示す説明図である。
【符号の説明】
2…マルチビームアンテナ、4…反射鏡、6…受信部、6a…第1受信部、6b…第2受信部、7…楕円放物面、7L…長軸方向、7S…短軸方向、O…楕円放物面とその中心軸との交点。
Claims (2)
- 複数の静止衛星からの電波を反射する反射鏡と、
該反射鏡により反射された前記各静止衛星からの電波を夫々受信する複数の受信部と、を備えたマルチビームアンテナにおいて、
前記反射鏡は、楕円放物面の一部で形成されており、
該反射鏡は、該楕円放物面をその中心軸方向から見たときに、該楕円放物面の長軸方向と略平行な軸を長軸とする楕円形状となり、しかも、該楕円放物面の中心軸方向から見たときの当該反射鏡の中心が、該楕円放物面の中心軸から該楕円放物面の短軸方向に当該反射鏡の短軸方向の長さの略4分の1離れた位置となるように形成されたことを特徴とするマルチビームアンテナ。 - 請求項1に記載のマルチビームアンテナにおいて、前記楕円放物面の短軸方向と長軸方向との長さの比は、1:1.05〜1:1.1であることを特徴とするマルチビームアンテナ。
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