JP3892491B2 - 制動力制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のコーナリング等の際、制動力を適切な車輪に加えて車両安定性を向上させる制動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両のコーナリング等の際の車両にはたらく力の関係から、コーナリング中に制動力を適切な車輪に加え、車両安定性を向上させる制動力制御装置が開発されている。
【0003】
例えば、特開平2−70561号公報には、車両重心を通る鉛直軸を中心とする回転運動、すなわちヨーイングの角速度であるヨーレートを基に制御する制動力制御装置が示されている。この技術では、目標ヨーレートと実際のヨーレート(実ヨーレート)とを比較し、車両の運動状態が目標ヨーレートに対しアンダーステアの傾向かオーバーステアの傾向かを求め、実ヨーレートと目標ヨーレートとが一致するように、アンダーステア傾向の場合には内側車輪に制動力を加え補正し、オーバーステア傾向の場合には外側車輪に制動力を加え補正して車両の走行安定性を向上させるようになっている。
【0004】
このような制御は、実ヨーレートと目標ヨーレートとを一致させるように偏差(ヨーレート偏差)に基づき行なわれ、ヨーレート偏差が小さな値での不要な制御を避けるため、ヨーレート偏差が一定の大きさ以上で制御が行なわれるように、非制御領域が設定されている。すなわち、ヨーレート偏差が小さな値で制御が行われると、運転者が容易に対応できるような場合にも制御が行われ、運転者に対し不自然な感覚を与えるとともに、ブレーキ関係部品の摩耗も激しくなるため、このような状態では制御を行わないようにしている。
【0005】
一方、非制御領域が必要以上に大きな範囲で設定されていると、制御が行なわれることが少なくなり制御の効果を十分に発揮できなくなる。
【0006】
従って、非制御領域を適切に設定するための様々な技術が提案されており、例えば、特開平6−239216号公報には、適切な非制御領域は車速によって変化するため、車速に応じて可変される非制御領域を設定するものが示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、図12に示すように、車両が旋回するような場合(図12は車両が左旋回する場合の例で、左旋回方向の符号を+とし、−ε≦Δγ≦εの斜線で示される領域が非制御領域)、実ヨーレートγは、初め、目標ヨーレートγ' に対しアンダーステア傾向になり(t1 <t<t4 )、その後、目標ヨーレートγ' に対しオーバーステア傾向になって(t4 <t<t7 )、目標ヨーレートγ' に収束していく(図12(a))。ヨーレート偏差Δγ(=γ−γ' )は、アンダーステア傾向からオーバーステア傾向に移行する際、その絶対値が小さくなり、非制御領域内の値となるため、この移行の際は制御が行なわれず、オーバーステア傾向に移行し、しばらくしてから制御が開始される(図12(b),(c))。この結果、制御が不連続となるため、オーバーステア傾向に移行し、しばらくして制御が開始されると、運転者に違和感を与えるという問題がある。この問題は車速が一定であっても生じるため、上述の非制御領域を車速に応じて設定する技術では解決されない。
【0008】
また、特に、後輪に制動力を加えて制御する場合は、後輪が横滑りする可能性もあるため、できるだけ後輪による制動力制御は抑えた方が好ましい。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、非制御領域を適切に設定することで、運転者に違和感を与えることが少なく、滑らかに制御を行なうことができ、また、後輪による制御を抑えることが可能で、制動力を加える車輪を的確に選択・設定して、車両の走行安定性を確実に向上することのできる制動力制御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の本発明による制動力制御装置は、車速を検出する車速検出手段と、操舵角を検出する操舵角検出手段と、車両の実際のヨーレートを検出する実ヨーレート検出手段と、車速と操舵角を基に目標とするヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、実ヨーレートから目標ヨーレートを減算しヨーレート偏差を算出するヨーレート偏差算出手段と、車両諸元と車速と操舵角と実際のヨーレートとヨーレート偏差とを基に目標制動力を算出する目標制動力算出手段と、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なる場合は内側後輪を制動輪として選択するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じ場合は外側前輪を制動輪として選択する制動輪判別手段と、制御領域にあるか否かを判定するヨーレート偏差の判定閾値として第一の閾値を設定するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なった後に実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じになったときから予め設定しておいた時間が経過するまでは、上記判定閾値として上記第一の閾値よりその絶対値の小さい第二の閾値を設定する一方、ヨーレート偏差と上記判定閾値とを比較し制御領域にあるか否か判定する出力判定手段と、上記出力判定手段で制御領域にあると判定した際に上記目標制動力算出手段からの目標制動力を上記制動輪判別手段で選択した制動輪に加えるようにブレーキ駆動部へ信号出力する制動信号出力手段とを備えたものである。
【0011】
上記請求項1記載の制動力制御装置は、車速検出手段で車速を、操舵角検出手段で操舵角を、実ヨーレート検出手段で車両の実際のヨーレートすなわち実ヨーレートをそれぞれ検出する。また、目標ヨーレート算出手段で上記車速検出手段からの車速と上記操舵角検出手段からの操舵角を基に目標とするヨーレートを算出し、ヨーレート偏差算出手段で実ヨーレートから目標ヨーレートを減算しヨーレート偏差を算出する。目標制動力算出手段では、車両諸元と車速と操舵角と実際のヨーレートとヨーレート偏差とを基に目標制動力を算出する。さらに、制動輪判別手段では、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なる場合は内側後輪を制動輪として選択するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じ場合は外側前輪を制動輪として選択する。また、出力判定手段で、制御領域にあるか否かを判定するヨーレート偏差の判定閾値として第一の閾値を設定するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なった後に実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じになったときから予め設定しておいた時間が経過するまでは、上記判定閾値として上記第一の閾値よりその絶対値の小さい第二の閾値を設定する一方、ヨーレート偏差と上記判定閾値とを比較し制御領域にあるか否か判定する。そして、制動信号出力手段は、上記出力判定手段で制御領域にあると判定した際に上記目標制動力算出手段からの目標制動力を上記制動輪判別手段で選択した制動輪に加えるようにブレーキ駆動部へ信号出力する。
【0012】
また、請求項2記載の本発明による制動力制御装置は、車速を検出する車速検出手段と、操舵角を検出する操舵角検出手段と、車両の実際のヨーレートを検出する実ヨーレート検出手段と、車速と操舵角を基に目標とするヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、実ヨーレートから目標ヨーレートを減算しヨーレート偏差を算出するヨーレート偏差算出手段と、車両諸元と車速と操舵角と実際のヨーレートとヨーレート偏差とを基に目標制動力を算出する目標制動力算出手段と、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なる場合は内側後輪を制動輪として選択するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じ場合は外側前輪を制動輪として選択する制動輪判別手段と、制御領域にあるか否かを判定するヨーレート偏差の判定閾値として第一の閾値を設定するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なった後に実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じになったときからは、上記判定閾値として上記第一の閾値よりその絶対値の小さい第二の閾値をヨーレート偏差または実ヨーレートのどちらかの値が予め設定したゼロとみなせる値になるまで設定する一方、ヨーレート偏差と上記判定閾値とを比較し制御領域にあるか否か判定する出力判定手段と、上記出力判定手段で制御領域にあると判定した際に上記目標制動力算出手段からの目標制動力を上記制動輪判別手段で選択した制動輪に加えるようにブレーキ駆動部へ信号出力する制動信号出力手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
上記請求項2記載の制動力制御装置は、車速検出手段で車速を、操舵角検出手段で操舵角を、実ヨーレート検出手段で車両の実際のヨーレートすなわち実ヨーレートをそれぞれ検出する。また、目標ヨーレート算出手段で上記車速検出手段からの車速と上記操舵角検出手段からの操舵角を基に目標とするヨーレートを算出し、ヨーレート偏差算出手段で実ヨーレートから目標ヨーレートを減算しヨーレート偏差を算出する。目標制動力算出手段では、車両諸元と車速と操舵角と実際のヨーレートとヨーレート偏差とを基に目標制動力を算出する。さらに、制動輪判別手段では、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なる場合は内側後輪を制動輪として選択するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じ場合は外側前輪を制動輪として選択する。また、出力判定手段で、制御領域にあるか否かを判定するヨーレート偏差の判定閾値として第一の閾値を設定するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なった後に実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じになったときからは、上記判定閾値として上記第一の閾値よりその絶対値の小さい第二の閾値をヨーレート偏差または実ヨーレートのどちらかの値が予め設定したゼロとみなせる値になるまで設定する一方、ヨーレート偏差と上記判定閾値とを比較し制御領域にあるか否か判定する。そして、制動信号出力手段は、上記出力判定手段で制御領域にあると判定した際に上記目標制動力算出手段からの目標制動力を上記制動輪判別手段で選択した制動輪に加えるようにブレーキ駆動部へ信号出力する。
【0014】
さらに、請求項3記載の本発明による制動力制御装置は、車速を検出する車速検出手段と、操舵角を検出する操舵角検出手段と、車両の実際のヨーレートを検出する実ヨーレート検出手段と、車速と操舵角を基に目標とするヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、実ヨーレートから目標ヨーレートを減算しヨーレート偏差を算出するヨーレート偏差算出手段と、車両諸元と車速と操舵角と実際のヨーレートとヨーレート偏差とを基に目標制動力を算出する目標制動力算出手段と、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なる場合は内側後輪を制動輪として選択するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じ場合は外側前輪を制動輪として選択する制動輪判別手段と、制御領域にあるか否かを判定するヨーレート偏差の判定閾値として第一の閾値を設定するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なった後に実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じになったときからは、上記判定閾値として上記第一の閾値よりその絶対値の小さい第二の閾値を設定し、予め設定しておいた時間と、上記第二の閾値が上記判定閾値とされた後にヨーレート偏差または実ヨーレートのどちらかの値が予め設定したゼロとみなせる値になるまでの時間とで短い方の時間が経過するまで上記第二の閾値を上記判定閾値とする一方、ヨーレート偏差と上記判定閾値とを比較し制御領域にあるか否か判定する出力判定手段と、上記出力判定手段で制御領域にあると判定した際に上記目標制動力算出手段からの目標制動力を上記制動輪判別手段で選択した制動輪に加えるようにブレーキ駆動部へ信号出力する制動信号出力手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
上記請求項3記載の制動力制御装置は、車速検出手段で車速を、操舵角検出手段で操舵角を、実ヨーレート検出手段で車両の実際のヨーレートすなわち実ヨーレートをそれぞれ検出する。また、目標ヨーレート算出手段で上記車速検出手段からの車速と上記操舵角検出手段からの操舵角を基に目標とするヨーレートを算出し、ヨーレート偏差算出手段で実ヨーレートから目標ヨーレートを減算しヨーレート偏差を算出する。目標制動力算出手段では、車両諸元と車速と操舵角と実際のヨーレートとヨーレート偏差とを基に目標制動力を算出する。さらに、制動輪判別手段では、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なる場合は内側後輪を制動輪として選択するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じ場合は外側前輪を制動輪として選択する。また、出力判定手段で、制御領域にあるか否かを判定するヨーレート偏差の判定閾値として第一の閾値を設定するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なった後に実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じになったときからは、上記判定閾値として上記第一の閾値よりその絶対値の小さい第二の閾値を設定し、予め設定しておいた時間と、上記第二の閾値が上記判定閾値とされた後にヨーレート偏差または実ヨーレートのどちらかの値が予め設定したゼロとみなせる値になるまでの時間とで短い方の時間が経過するまで上記第二の閾値を上記判定閾値とする一方、ヨーレート偏差と上記判定閾値とを比較し制御領域にあるか否か判定する。そして、制動信号出力手段は、上記出力判定手段で制御領域にあると判定した際に上記目標制動力算出手段からの目標制動力を上記制動輪判別手段で選択した制動輪に加えるようにブレーキ駆動部へ信号出力する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図7は本発明の実施の形態1を示し、図1は制動力制御装置の機能ブロック図、図2は制動力制御装置の概略構成を示す説明図、図3は制動力制御による車両の動作の説明図、図4は制動力制御のフローチャート、図5は図4の続きのフローチャート、図6は制動力制御の一例のタイムチャート、図7は判定閾値の特性の説明図である。
【0021】
図2において、符号1は車両のブレーキ駆動部を示し、このブレーキ駆動部1には、ドライバにより操作されるブレーキペダル2と接続されたマスターシリンダ3が接続されており、ドライバがブレーキペダル2を操作するとマスターシリンダ3により、上記ブレーキ駆動部1を通じて、4輪(左前輪4fl,右前輪4fr,左後輪4rl,右後輪4rr)の各ホイールシリンダ(左前輪ホイールシリンダ5fl,右前輪ホイールシリンダ5fr,左後輪ホイールシリンダ5rl,右後輪ホイールシリンダ5rr)にブレーキ圧が導入され、これにより4輪にブレーキがかかって制動される。
【0022】
上記ブレーキ駆動部1は、加圧源、減圧弁、増圧弁等を備えたハイドロリックユニットで、入力信号に応じて、上記各ホイールシリンダ5fl,5fr,5rl,5rrに対して、それぞれ独立にブレーキ圧を導入自在に形成されている。
【0023】
上記各車輪4fl,4fr,4rl,4rrは、それぞれの車輪速度が車輪速度センサ(左前輪速度センサ6fl,右前輪速度センサ6fr,左後輪速度センサ6rl,右後輪速度センサ6rr)により検出されるようになっている。また、車両のハンドル部には、ハンドルの回転角を検出するハンドル角センサ7が設けられている。
【0024】
また、符号10は、マイクロコンピュータとその周辺回路で形成された制御装置を示し、この制御装置10には、上記車輪速度センサ6fl,6fr,6rl,6rrおよびハンドル角センサ7と、例えば、加速度センサを組み合わせて形成した実ヨーレート検出手段としてのヨーレートセンサ8が接続され、上記ブレーキ駆動部1に駆動信号を出力する。尚、上記ヨーレートセンサ8からの信号は、例えば、7Hzのローパスフィルタを介して上記制御装置10に入力される。
【0025】
上記制御装置10は、図1に示すように、車速算出部11,操舵角算出部12,ヨーレート定常ゲイン算出部13,目標ヨーレート算出部14,ヨーレート偏差算出部15,目標制動力算出部16,制動輪判別部17,出力判定部18および制動信号出力部19から主要に構成されている。
【0026】
上記車速算出部11は、前記各車輪速度センサ6fl,6fr,6rl,6rrからの車輪速度ω1,ω2,ω3,ω4 の信号が入力され、これらの信号を予め設定しておいた数式で演算して(例えば、上記各車輪速度センサ6fl,6fr,6rl,6rrからの速度信号の平均値を算出して)車速Vを求め、上記ヨーレート定常ゲイン算出部13と上記目標制動力算出部16に出力する車速検出手段としての回路部に形成されている。
【0027】
また、上記操舵角算出部12は、前記ハンドル角センサ7からの信号が入力され、ハンドル操舵角θをステアリングギア比Nで除して実舵角δf (=θ/N)を算出し、上記目標ヨーレート算出部14と上記目標制動力算出部16に出力する操舵角検出手段としての回路部に形成されている。
【0028】
さらに、上記ヨーレート定常ゲイン算出部13は、予め設定しておいた式に基づき、車両の定常円旋回時の実舵角δf に対するヨーレートの値(ヨーレート定常ゲインGγδf(0))を求める回路部であり、算出したヨーレート定常ゲインGγδf(0)は、上記目標ヨーレート算出部14と上記目標制動力算出部16に出力される。ここで、ホイールベースをL,車両の諸元で決まるスタビリティファクタをA0 とすると、ヨーレート定常ゲインGγδf(0)は以下の式で算出される。
Gγδf(0)=1/(1+A0 ・V2 )・V/L …(1)
また、上記スタビリティファクタA0 は、車両質量をm,前軸と重心間の距離をLf ,後軸と重心間の距離をLr ,フロント等価コーナリングパワーをCPf ,リア等価コーナリングパワーをCPr とすると次式で求められる。
Figure 0003892491
また、上記目標ヨーレート算出部14は、上記操舵角算出部12からの実舵角δf と、上記ヨーレート定常ゲイン算出部13からのヨーレート定常ゲインGγδf(0)を基に、車両の応答遅れを考慮して目標ヨーレートγ' を算出し、この目標ヨーレートγ' を上記ヨーレート偏差算出部15に出力する回路に形成されている。すなわち、目標ヨーレート算出手段は、上記ヨーレート定常ゲイン算出部13と、この目標ヨーレート算出部14とから形成されている。目標ヨーレートγ' の算出は、時定数をT,ラプラス演算子をsとして、
γ' =1/(1+T・s)・Gγδf(0)・δf …(3)
で得られる。尚、上記(3)式は、2次系で表現される車両の応答遅れを1次系に近似した式であり、またTは時定数で、例えば下式で得られる。
T=m・Lf ・V/2・L・CPr …(4)
さらに、上記ヨーレート偏差算出部15では、前記ヨーレートセンサ8で検出した実ヨーレートγから、上記目標ヨーレート算出部14で算出した目標ヨーレートγ' を減算し、ヨーレート偏差Δγ(=γ−γ' )を求め、このヨーレート偏差Δγを上記目標制動力算出部16、上記制動輪判別部17および上記出力判定部18に出力するヨーレート偏差算出手段としての回路である。
【0029】
また、上記目標制動力算出部16は、車両諸元を考慮して、車両の運動状態とヨーレート偏差とを基に目標制動力(前輪目標液圧BF2f,後輪目標液圧BF2r)を算出する目標制動力算出手段としての回路で、算出した目標液圧BF2f,BF2rは、上記制動信号出力部19に出力される。上記目標液圧BF2f,BF2rは、例えば次式により算出する。
Figure 0003892491
ここで、G1 はゲイン、dfはフロントトレッド、drはリアトレッドを示し、ΔAは、
Figure 0003892491
である。尚、上記(7)式のΔγは、さらに車両の進行方向と前後方向のなす角である横すべり角βを考慮して補正したものを用いても良い。また、特に低μ路等において後輪の制動力によって後輪が横すべりを起こし安定性を失うことを防止するため、あるいは、後輪に制動力が加えられる場合、運転者の意思に反して回頭モーメントが強く不安定に感じることを防止するため、上記後輪目標液圧BF2rは、上記(6)式で得られる値に、さらに、0より大きく1より小さいゲインを乗算して、より小さな値としても良い。
【0030】
また、上記制動輪判別部17は、実ヨーレートγとヨーレート偏差Δγの符号の組み合わせから車両の制動輪を選択する制動輪判別手段としての回路で、以下の組み合わせが設定されている。尚、実ヨーレートγと目標ヨーレートγ' の符号は共に、車両の左旋回方向を+、右旋回方向を−で与えられる。また、車両の直進状態を判定するため、εを予め実験あるいは計算等から求めた略0に近い正の数として設定し、車両が目標ヨーレートγ' に対し略ニュートラルステアの状態を判定するため、εΔγを予め実験あるいは計算等から求めた略0に近い正の数として設定し、
(ケース1).γ>ε,Δγ<−εΔγ…左旋回状態で目標ヨーレートγ' に対しアンダーステア傾向のとき…左後輪制動
(ケース2).γ>ε,Δγ>εΔγ…左旋回状態で目標ヨーレートγ' に対しオーバーステア傾向のとき…右前輪制動
(ケース3).γ<ε,Δγ<−εΔγ…右旋回状態で目標ヨーレートγ' に対しオーバーステア傾向のとき…左前輪制動
(ケース4).γ<ε,Δγ>εΔγ…右旋回状態で目標ヨーレートγ' に対しアンダーステア傾向のとき…右後輪制動
(ケース5).|γ|<|ε|…略直進状態、あるいは、|Δγ|=|εΔγ|…目標ヨーレートγ' に対し略ニュートラルステアの状態のとき、制動輪の選択はせず非制動とする(図3)。
【0031】
すなわち、(ケース5)の|γ|<|ε|で判定される略直進状態のときと、|Δγ|=|εΔγ|で判定される目標ヨーレートγ' に対し略ニュートラルステアの状態のとき以外の実ヨーレートγとヨーレート偏差Δγの範囲において、実ヨーレートγとヨーレート偏差Δγの符号が異なる場合は内側後輪を制動輪として選択するとともに、実ヨーレートγとヨーレート偏差Δγの符号が同じ場合は外側前輪を制動輪として選択するようになっている。そして、この制動輪判別部17での結果は、上記制動信号出力部19に出力される。
【0032】
また、上記出力判定部18は、ヨーレート偏差Δγが制御領域にあるか否かを判定する判定閾値εΔを後述の如く設定し、上記判定閾値εΔとヨーレート偏差Δγとを比較し制御領域にあるか否か判定し上記制動信号出力部19に出力する出力判定手段としての回路部に形成されている。
【0033】
上記判定閾値εΔには、通常は第一の閾値εΔM が設定されており、車両の挙動がアンダーステア傾向からオーバーステア傾向に移行してからは設定時間(予めタイマにセットしておいた時間)、第二の閾値εΔS を上記判定閾値εΔとして設定するものである。ここで、上記第一の閾値εΔM 、上記第二の閾値εΔS は、共に、予め実験あるいは計算等から求めた正の数であり、ヨーレート偏差Δγを判定する各閾値の大きさは、|εΔM |>|εΔS |>|εΔγ|である。
【0034】
尚、上記第一の閾値εΔM 、上記第二の閾値εΔS は、図7に示すように、少なくともどちらかの値を車速に応じてメモリテーブル等に可変に設定しておけば、車速に応じてより適切な値を上記判定閾値εΔとして設定することが可能となる。すなわち、車速が小さい場合は、大きい場合に比較して、車両の挙動が不安定となっても運転者が簡単に修正することができ制御の必要がないため、非制御領域を大きな範囲に設定できる。このため、図7(a)に示すように、上記第一の閾値εΔM と上記第二の閾値εΔS を、共に速度が高くなるに従い小さく設定しておいても良いし、図7(b)に示すように、上記第二の閾値εΔS を一定とし、上記第一の閾値εΔM を速度が高くなるに従い小さく設定しておいても良く、また、図7(c)に示すように、上記第一の閾値εΔM を一定とし、上記第二の閾値εΔS を速度が高くなるに従い小さく設定しておいても良い。
【0035】
上記制動信号出力部19は、上記出力判定部18で制御領域であるとの判定信号で、前記ブレーキ駆動部1に対して、上記制動輪判別部17で選択した制動輪へ、上記目標制動力算出部16で算出された前輪目標液圧BF2fあるいは後輪目標液圧BF2rを加えるように信号出力する制動信号出力手段としての回路である。
【0036】
次に、本発明の実施の形態1の制動力制御を、図4、図5のフローチャートで説明する。この制動力制御プログラムは、例えば、車両が走行中、所定時間(例えば10ms)毎に実行され、プログラムがスタートすると、ステップ(以下Sと略称)101で、ハンドル角センサ7からハンドル操舵角θ,各車輪速度センサ6fl,6fr,6rl,6rrから車輪速度ω1,ω2,ω3,ω4 ,ヨーレートセンサ8から実ヨーレートγが読み込まれ、S102に進む。
【0037】
上記S102では、操舵角算出部12で上記ハンドル操舵角θから実舵角δf (=θ/N)が算出され、車速算出部11で上記各車輪速度ω1,ω2,ω3,ω4 から車速Vが算出され、さらに、ヨーレート定常ゲイン算出部13で前記(1)式によりヨーレート定常ゲインGγδf(0)が演算される。
【0038】
次いで、S103に進み、目標ヨーレート算出部14で前記(3)式により目標ヨーレートγ' が演算され、S104に進み、ヨーレート偏差算出部15でヨーレート偏差Δγ(=γ−γ' )が演算され、S105に進んで、目標制動力算出部16で前記(5),(6)式に基づき、前輪目標液圧BF2f,後輪目標液圧BF2rが演算され、S106へ進む。
【0039】
以下、S106〜S116は、制動輪判別部17で行なわれる手順で、まず、S106では、実ヨーレートγがεよりも大きいか否か、すなわち、ある程度大きな左旋回状態か否かの判定が行なわれ、実ヨーレートγがε以下の場合には、S107に進み、実ヨーレートγが−εよりも小さいか否か、すなわち、ある程度大きな右旋回状態か否かの判定が行なわれる。このS107で、ある程度大きな右旋回状態ではないと判定される実ヨーレートγの範囲(ε≧γ≧−ε)では、運動状態が略直進運動状態であるのでS116に進み、制動輪の選択は行なわれず非制動となる。尚、上記S106で、γ>εで、ある程度大きな左旋回状態と判定されるとS108に進み、ヨーレート偏差Δγが|Δγ|≦|εΔγ|で0に近く、略ニュートラルステアであるか否かの判定が行なわれる。
【0040】
そして、上記S108で、|Δγ|≦|εΔγ|であり、略ニュートラルステアと判定されるとS116に進み、これ以外の場合(アンダーステア傾向あるいはオーバーステア傾向の場合)はS109に進む。
【0041】
このS109は、アンダーステア傾向かオーバーステア傾向であるかを判定するステップで、Δγ<−εΔγかΔγ>εΔγかの判定が行なわれ、Δγ<−εΔγでありヨーレート偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符号と異なる負の場合は、目標ヨーレートγ' に対してアンダーステア傾向と判定してS110に進み、Δγ>εΔγでありヨーレート偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符号と同じ正の場合は、目標ヨーレートγ' に対してオーバーステア傾向と判定してS111に進む。
【0042】
上記S110に進むと、左後輪4rlを上記S105で求めた後輪目標液圧BF2rで制動する制動輪として選択する(左後輪液圧BRL=BF2r)。
【0043】
また、上記S111に進むと、右前輪4frを上記S105で求めた前輪目標液圧BF2fで制動する制動輪として選択する(右前輪液圧BFR=BF2f)。
一方、上記S107で、γ<−εで、ある程度大きな右旋回状態と判定されるとS112に進み、ヨーレート偏差Δγが|Δγ|≦|εΔγ|で0に近く、略ニュートラルステアであるか否かの判定が行なわれる。
【0044】
そして、上記S112で、|Δγ|≦|εΔγ|であり、略ニュートラルステアと判定されるとS116に進み、これ以外の場合(アンダーステア傾向あるいはオーバーステア傾向の場合)はS113に進む。
【0045】
このS113は、アンダーステア傾向かオーバーステア傾向であるかを判定するステップで、Δγ>εΔγかΔγ<−εΔγかの判定が行なわれ、Δγ>εΔγでありヨーレート偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符号と異なる正の場合は、目標ヨーレートγ' に対してアンダーステア傾向と判定してS114に進み、Δγ<−εΔγでありヨーレート偏差Δγの符号が、実ヨーレートγの符号と同じ負の場合は、目標ヨーレートγ' に対してオーバーステア傾向と判定してS115に進む。
【0046】
上記S114に進むと、右後輪4rrを上記S105で求めた後輪目標液圧BF2rで制動する制動輪として選択する(右後輪液圧BRR=BF2r)。
【0047】
また、上記S115に進むと、左前輪4flを上記S105で求めた前輪目標液圧BF2fで制動する制動輪として選択する(左前輪液圧BFL=BF2f)。
さらに、上記S107,S108あるいは上記S112からS116に進むと、制動輪の選択は行なわれず非制動となる。
【0048】
そして、上記S110あるいはS114で、アンダーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なった場合は、S117に進み、上記S111あるいはS115で、オーバーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なった場合は、S118に進み、上記S116からはS124に進む。
【0049】
上記S110あるいはS114で、アンダーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なって、S117に進むと、アンダーステア状態通過フラグFUSをセット(FUS←1)して、S122に進む。このアンダーステア状態通過フラグFUSは、アンダーステア傾向の運転を行なったことを示すフラグで、後述する閾値設定タイマによりクリア(FUS←0)されるフラグである。
【0050】
また、上記S111あるいはS115で、オーバーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なって、S118に進むと、上記アンダーステア状態通過フラグFUSがセット(FUS=1)されているか否かを判定し、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされ、前にアンダーステア傾向の運転を行なったと判定した場合はS119に進み、アンダーステア状態通過フラグFUSがクリアされた状態の場合はS122へジャンプする。一般に、車両がオーバーステア傾向となる前には、アンダーステア傾向の状態を経るため、アンダーステア傾向からオーバーステア傾向に移行した場合は、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされた状態となっており、上記S118により、S119に進められる。しかし、アンダーステア状態通過フラグFUSが上記閾値設定タイマによりクリアされている場合や、何等かの原因によってアンダーステア傾向を経ずオーバーステア傾向となった場合は、S119〜S121の手順を行なわずS122へジャンプする。
【0051】
上記S118で、FUS=1と判定されS119に進むと、タイマスタートフラグFTRがクリア(FTR=0)されているか否かの判定が行なわれる。上記タイマスタートフラグFTRは、上記閾値設定タイマがスタートされた際にセット(FTR←1)され、上記閾値設定タイマがストップするとクリア(FTR←0)されるフラグである。
【0052】
上記S119で、タイマスタートフラグFTRがクリア(FTR=0)されており、上記閾値設定タイマがストップしていると判定すると、この閾値設定タイマをスタートさせるべくS120に進み、閾値設定タイマをスタートさせるとともに、タイマスタートフラグFTRをセットして、S121に進み、判定閾値εΔとして第二の閾値εΔS を設定し、S122へ進む。
【0053】
また、上記S119で、タイマスタートフラグFTRがセット(FTR=1)されており、上記閾値設定タイマが作動していると判定すると、S122へジャンプする。
【0054】
上記S117、上記S118の判定でFUS=0、上記S119の判定でFTR=1、上記S121のいずれかからS122へ進むと、ヨーレート偏差Δγと判定閾値εΔとの比較(絶対値の比較)が行なわれ、ヨーレート偏差Δγが制御領域にある場合(|Δγ|>|εΔ|)は、S123に進み、制動信号出力部19からブレーキ駆動部1に対して信号の出力が行なわれる。すなわち、上記S122で制御領域と判定した場合、前記S110から上記S117を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5rlに対し、液圧BRL=BF2rに対応する制動力を発生させ、前記S114から上記S117を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5rrに対し、液圧BRR=BF2rに対応する制動力を発生させ、前記S111から上記S118を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5frに対し、液圧BFR=BF2fに対応する制動力を発生させ、前記S115から上記S118を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5flに対し、液圧BFL=BF2fに対応する制動力を発生させる。
【0055】
一方、上記S122でヨーレート偏差Δγが非制御領域にある場合(|Δγ|≦|εΔ|)、あるいは、前記S116からはS124に進み、制動信号の出力は行なわれず、設定液圧もクリアされる。すなわち、上記S123あるいは上記S124は、制動信号出力部19で行なわれる処理となっている。
【0056】
上記S123あるいはS124の処理の後、S125に進むと、上記タイマスタートフラグFTRがセットされているか否か(閾値設定タイマが作動しているか否か)の判定が行なわれる。
【0057】
そして、上記タイマスタートフラグFTRがクリアされ、上記閾値設定タイマが作動していない場合にはプログラムを抜け、上記タイマスタートフラグFTRがセットされ、上記閾値設定タイマが作動している場合にはS126に進み、一定時間経過したか否か判定し、一定時間経過していない場合にはプログラムを抜け、一定時間経過した場合には、S127でアンダーステア状態通過フラグFUSをクリアし、S128で判定閾値εΔとして第一の閾値εΔM を設定し、S129で上記閾値設定タイマをストップし、タイマスタートフラグFTRをクリアしてプログラムを抜ける。
【0058】
上述の制御の一例を図6に示す。この図は、t10から直進していた車両が、t11で左旋回する場合を例に示すもので、図6(a)は目標ヨーレートγ' と実ヨーレートγの変化を、図6(b)はヨーレート偏差Δγの変化を、図6(c)は制御でのタイマスタートフラグFTRの設定を、図6(d)は制御でのアンダーステア状態通過フラグFUSの設定を、図6(e)は制動信号出力部19からの制動信号出力のON−OFFをそれぞれ示す。
【0059】
t11以降、次第に大きくなる目標ヨーレートγ' に追従して実ヨーレートγも大きくなるが、実ヨーレートγと目標ヨーレートγ' との差は次第に大きくなり、実ヨーレートγからの目標ヨーレートγ' の差、すなわち、ヨーレート偏差Δγは−の方向へ絶対値|Δγ|が大きくなっていく。
【0060】
ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、t12からは、略ニュートラルステアの状態のときを判別する閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より大きくなり、目標ヨーレートγ' に対しアンダーステア傾向となり、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされる。また、非制御領域の判定閾値εΔ(図6(b)の斜線の範囲)として第一の閾値εΔM が設定されており、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、この判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より大きくなるt13になるまでは、制動信号の出力は行なわれない。
【0061】
そして、t13以降、再びヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、この判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さくなるt14になるまでは、制動信号の出力が行なわれる。この制動信号の出力は、γ>ε(正の符号、左旋回)、Δγ<−εΔγ(負の符号、アンダーステア傾向)で、図3の(ケース1)の場合であり、このケース1において、左後輪4rlに制動力を加え矢印のモーメントを加えて補正し、ドリフトアウトを排除するのである。尚、この状態では、例え、上記左後輪4rlに制動をかけすぎて、この左後輪4rlがロック傾向を示し、横力を失ってしまうときでも車両はオーバーステア方向になり、本来の制御則と同じ方向(矢印方向)のヨーレートを発生できる。
【0062】
実ヨーレートγが、目標ヨーレートγ' に近付き、t14〜t15の間では、アンダーステア傾向ではあるが、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さく非制御領域となるため、制動信号の出力は行なわれない。また、t15〜t16の間では、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より小さくなり、略ニュートラルステアの状態となる。
【0063】
そして、ヨーレート偏差Δγは+の方向へ絶対値|Δγ|が大きくなり、t16を経過し、目標ヨーレートγ' に対しオーバーステア傾向となると、タイマスタートフラグFTRがセットされて閾値設定タイマが動作され、判定閾値εΔとして上記第一の閾値εΔM より絶対値の小さい第二の閾値εΔS が設定される。
【0064】
その後、t17までは、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、この判定閾値εΔの絶対値|εΔ|以下の値であるため、制動信号の出力は行なわれず、t17の後、制動信号の出力が行なわれる。この制動信号の出力は、γ>ε(正の符号、左旋回)、Δγ>εΔγ(正の符号、オーバーステア傾向)で、図3の(ケース2)の場合であり、このケース2において、右前輪4frに制動力を加え矢印のモーメントを加えて補正し、スピンを排除するのである。この状態では、例え、上記右前輪4frに制動をかけすぎて、この右前輪4frがロック傾向を示し、横力を失ってしまうときでも車両はアンダーステア方向になり、本来の制御則と同じ方向(矢印方向)のヨーレートを発生できる。
【0065】
そして、t18に達すると、上記閾値設定タイマがタイムアップしストップしてタイマスタートフラグFTRがクリアされるとともに、アンダーステア状態通過フラグFUSがクリアされ、判定閾値εΔとして上記第一の閾値εΔM が設定される。このとき、判定閾値εΔが、上記第二の閾値εΔS から上記第一の閾値εΔM へ設定され、すなわち、小さな絶対値から大きな絶対値に変化しても、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、上記第一の閾値εΔM の絶対値|εΔM |より大きな値であるので、制動信号の出力は行なわれたままである。
【0066】
実ヨーレートγが、目標ヨーレートγ' に近付き、t19〜t20の間では、オーバーステア傾向ではあるが、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さく非制御領域となるため、制動信号の出力は行なわれない。また、t20〜t21の間では、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より小さくなり、略ニュートラルステアの状態となる。
【0067】
その後、t21〜t22の間では、再びヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、t21からは、閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より大きくなり、目標ヨーレートγ' に対しアンダーステア傾向となり、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされる。
【0068】
そして、t22からは、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より小さくなり、略ニュートラルステアの状態となり、実ヨーレートγは、目標ヨーレートγ' と略同じ値となる。ここで、アンダーステア状態通過フラグFUSはセットされたままの状態となるが、一般に、車両がオーバーステア傾向となる前には、アンダーステア傾向の状態を経るため、問題とはならない。
【0069】
尚、t19以降は、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さく非制御領域となるため、制動信号の出力は行なわれない。
【0070】
このように、本発明の実施の形態1によれば、アンダーステア傾向の後にオーバーステア傾向になったときからは設定時間、判定閾値εΔとして、第一の閾値εΔM よりその絶対値の小さい第二の閾値εΔS を設定するようにしているため、アンダーステア傾向の後にオーバーステア傾向となった際の制御の開始が速くなる(図6中の2点鎖線で示すように、従来制御では、アンダーステア傾向の後にオーバステア傾向となった際の制御の開始はt17' である)。
【0071】
このため、実ヨーレートγと目標ヨーレートγ' との差が、オーバーステア傾向になってから大きくならず、また、実ヨーレートを目標ヨーレートγ' に速く収束させることができる。
【0072】
さらに、オーバーステア傾向に移行し、速く制御が開始されるため、運転者に違和感を与えることも少なく、滑らかに制御を行なうことができる。
【0073】
また、アンダーステア傾向からオーバーステア傾向に移行する際、後輪による制動力制御を行なうアンダーステア傾向では非制御領域を大きく設定し、前輪による制動力制御を行なうオーバーステア傾向では非制御領域を小さく設定することになるため、後輪による制動力制御が抑えられる。
【0074】
さらに、判定閾値εΔとして、第二の閾値εΔS から第一の閾値εΔM への復帰も、タイマにより確実に行なわれる。
【0075】
また、実ヨーレートγにより車両の旋回方向を判定し、実ヨーレートγとヨーレート偏差Δγにより走行状態が、目標ヨーレートγ' に対してアンダーステア傾向かオーバーステア傾向かを確実に判定して、4輪の中で制動させる最も適切な車輪を選定することにより、確実にドリフトアウトやスピンが防止できる。すなわち、スピン傾向であるにもかかわらず、後輪に制動力を加えてスピンを増長したり、ドリフトアウト傾向であるにもかかわらず、前輪に制動力を加えてドリフトアウトを増長したりすることが防止できる。また、カウンタステア時においても、スピンを増長する方向の車輪に制動力を与えてしまうことも防止できる。
【0076】
次に、図8および図9は本発明の実施の形態2を示し、図8は制動力制御のフローチャート、図9は制動力制御の一例のタイムチャートである。尚、本発明の実施の形態2は、前記発明の実施の形態1の構成において、非制御領域の判定閾値の、第二の閾値から第一の閾値への復帰が、オーバーステア傾向になってから、ヨーレート偏差または実ヨーレートのどちらかの値が略ゼロになったときに行なわれるようにしたものである。
【0077】
図8のフローチャートは、前記発明の実施の形態1で説明した図4のフローチャートの続きを示し、S110あるいはS114で、アンダーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なった場合はS201に進み、S111あるいはS115で、オーバーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なった場合はS202に進み、上記S116からはS203に進む。
【0078】
上記S110あるいはS114で、アンダーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なって、S201に進むと、アンダーステア状態通過フラグFUSをセット(FUS←1)して、S205に進む。このアンダーステア状態通過フラグFUSは、アンダーステア傾向の運転を行なったことを示すフラグで、判定閾値εΔとして第二の閾値εΔS が設定されている場合に、オーバーステア傾向でなくなったときにクリア(FUS←0)されるフラグである。
【0079】
また、上記S111あるいはS115で、オーバーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なって、S202に進むと、上記アンダーステア状態通過フラグFUSがセット(FUS=1)されているか否かを判定し、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされ、前にアンダーステア傾向の運転を行なったと判定した場合はS204に進み、判定閾値εΔとして第二の閾値εΔS を設定してからS205に進み、前にアンダーステア傾向の運転を行なっていないと判定した場合は、そのままS205に進む。一般に、車両がオーバーステア傾向となる前には、アンダーステア傾向の状態を経るため、アンダーステア傾向からオーバーステア傾向に移行した場合は、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされた状態となっており、上記S202により、S204に進められる。しかし、アンダーステア状態通過フラグFUSが何等かの原因によってアンダーステア傾向を経ずオーバーステア傾向となった場合は、S202からS205へジャンプする。
【0080】
上記S201、上記S202の判定でFUS=0、上記S204のいずれかからS205へ進むと、ヨーレート偏差Δγと判定閾値εΔとの比較(絶対値の比較)が行なわれ、ヨーレート偏差Δγが制御領域にある場合(|Δγ|>|εΔ|)は、S206に進み、制動信号出力部19からブレーキ駆動部1に対して信号の出力が行なわれる。すなわち、上記S206で制御領域と判定した場合、前記S110から上記S201を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5rlに対し、液圧BRL=BF2rに対応する制動力を発生させ、前記S114から上記S201を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5rrに対し、液圧BRR=BF2rに対応する制動力を発生させ、前記S111から上記S202を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5frに対し、液圧BFR=BF2fに対応する制動力を発生させ、前記S115から上記S202を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5flに対し、液圧BFL=BF2fに対応する制動力を発生させる。
【0081】
一方、上記S205でヨーレート偏差Δγが非制御領域にある場合(|Δγ|≦|εΔ|)は、S207に進む。
【0082】
また、上記S116からS203に進むと、車両が略直進状態あるいは略ニュートラルステア状態であることを示す直進・定常走行状態フラグFNSがセット(FNS←1)され、S207に進む。
【0083】
そして、上記S203あるいは上記S205から上記S207に進むと、制動信号の出力は行なわれず、設定液圧もクリアされる。すなわち、上記S206あるいは上記S207は、制動信号出力部19で行なわれる処理となっている。
【0084】
その後、S208に進み、上記直進・定常走行状態フラグFNSがセットされている(FNS=1)か否かの判定が行なわれ、クリアされている(FNS=0)場合はプログラムを抜け、セットされている場合は、S209に進む。尚、このS208で、FNS=1と判定されるのは、上記S203からの場合のみである。
【0085】
このS209では、判定閾値εΔとして第二の閾値εΔS が設定されているか否かの判定が行なわれ、判定閾値εΔとして第一の閾値εΔM が設定されている場合(アンダーステア傾向からオーバーステア傾向に移行する際のニュートラルステア状態)には、S212へ進み、直進・定常走行状態フラグFNSをクリア(FNS←0)してプログラムを抜け、判定閾値εΔとして第二の閾値εΔS が設定されている場合(オーバーステア傾向からアンダーステア傾向に移行する際のニュートラルステア状態)には、S210でアンダーステア状態通過フラグFUSをクリアし、S211で判定閾値εΔとして第一の閾値εΔM を設定し、S212へ進み、直進・定常走行状態フラグFNSをクリア(FNS←0)してプログラムを抜ける。
【0086】
すなわち、制御を開始して、アンダーステア傾向からオーバーステア傾向に移行する際、あるいは、オーバーステア傾向からアンダーステア傾向に移行する際には、ニュートラルステア状態となる。従って、S208,S209で、オーバーステア傾向からアンダーステア傾向に移行する際の、ニュートラルステア状態であることを検出し、S211で、第二の閾値εΔS を第一の閾値εΔM に戻すようにしている。
【0087】
上述の制御の一例を図9に示す。この図は、t30から直進していた車両が、t31で左旋回する場合を例に示すもので、図9(a)は目標ヨーレートγ' と実ヨーレートγの変化を、図9(b)はヨーレート偏差Δγの変化を、図9(c)は制御での直進・定常走行状態フラグFNSの設定を、図9(d)は制御でのアンダーステア状態通過フラグFUSの設定を、図9(e)は制動信号出力部19からの制動信号出力のON−OFFをそれぞれ示す。
【0088】
t31以降、次第に大きくなる目標ヨーレートγ' に追従して実ヨーレートγも大きくなるが、実ヨーレートγと目標ヨーレートγ' との差は次第に大きくなり、実ヨーレートγからの目標ヨーレートγ' の差、すなわち、ヨーレート偏差Δγは−の方向へ絶対値|Δγ|が大きくなっていく。
【0089】
ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、t32からは、略ニュートラルステアの状態のときを判別する閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より大きくなり、目標ヨーレートγ' に対しアンダーステア傾向となり、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされる。また、t32まではセットされていた直進・定常走行状態フラグFNSが、t32からはクリアされる。さらに、非制御領域の判定閾値εΔ(図9(b)の斜線の範囲)として第一の閾値εΔM が設定されており、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、この判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より大きくなるt33になるまでは、制動信号の出力は行なわれない。
【0090】
そして、t33以降、再びヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、この判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さくなるt34になるまでは、制動信号の出力が行なわれる。この制動信号の出力は、γ>ε(正の符号、左旋回)、Δγ<−εΔγ(負の符号、アンダーステア傾向)で、図3の(ケース1)の場合であり、このケース1において、左後輪4rlに制動力を加え矢印のモーメントを加えて補正し、ドリフトアウトを排除するのである。尚、この状態では、例え、上記左後輪4rlに制動をかけすぎて、この左後輪4rlがロック傾向を示し、横力を失ってしまうときでも車両はオーバーステア方向になり、本来の制御則と同じ方向(矢印方向)のヨーレートを発生できる。
【0091】
実ヨーレートγが、目標ヨーレートγ' に近付き、t34〜t35の間では、アンダーステア傾向ではあるが、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さく非制御領域となるため、制動信号の出力は行なわれない。また、t35〜t36の間では、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より小さくなり、略ニュートラルステアの状態となり、直進・定常走行状態フラグFNSがセットされる。
【0092】
そして、ヨーレート偏差Δγは+の方向へ絶対値|Δγ|が大きくなり、t36を経過し、目標ヨーレートγ' に対しオーバーステア傾向となると、直進・定常走行状態フラグFNSはクリアされ、また、判定閾値εΔとして上記第一の閾値εΔM より絶対値の小さい第二の閾値εΔS が設定される。
【0093】
その後、t37までは、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、この判定閾値εΔの絶対値|εΔ|以下の値であるため、制動信号の出力は行なわれず、t37の後、再び非制御領域に入るt38までは制動信号の出力が行なわれる。この制動信号の出力は、γ>ε(正の符号、左旋回)、Δγ>εΔγ(正の符号、オーバーステア傾向)で、図3の(ケース2)の場合であり、このケース2において、右前輪4frに制動力を加え矢印のモーメントを加えて補正し、スピンを排除するのである。この状態では、例え上記右前輪4frに制動をかけすぎて、この右前輪4frがロック傾向を示し、横力を失ってしまうときでも車両はアンダーステア方向になり、本来の制御則と同じ方向(矢印方向)のヨーレートを発生できる。
【0094】
t38〜t39では、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さく非制御領域となるため、制動信号の出力は行なわれない。
【0095】
そして、t39になると、略ニュートラルステアの状態となり、直進・定常走行状態フラグFNSがセットされ、アンダーステア状態通過フラグFUSがクリアされて、判定閾値εΔが、上記第二の閾値εΔS から上記第一の閾値εΔM へ設定される。
【0096】
その後、t40〜t41の間では、再びヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、t40からは、閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より大きくなり、直進・定常走行状態フラグFNSがクリアされ、目標ヨーレートγ' に対しアンダーステア傾向となり、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされる。
【0097】
そして、t41からは、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より小さくなり、略ニュートラルステアの状態となり(直進・定常走行状態フラグFNSもセットされ)、実ヨーレートγは、目標ヨーレートγ' と略同じ値となる。ここで、アンダーステア状態通過フラグFUSはセットされたままの状態となるが、一般に、車両がオーバーステア傾向となる前には、アンダーステア傾向の状態を経るため、問題とはならない。
【0098】
尚、t38以降は、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さく非制御領域となるため、制動信号の出力は行なわれない。
【0099】
このように、本発明の実施の形態2によれば、アンダーステア傾向の後にオーバーステア傾向になったときから、このオーバーステア傾向での制御を終了するまで、判定閾値εΔとして、第一の閾値εΔM よりその絶対値の小さい第二の閾値εΔS を設定するようにしているため、アンダーステア傾向の後にオーバーステア傾向となった際の制御の開始が速くなり、実ヨーレートγと目標ヨーレートγ' との差が、オーバーステア傾向になってから大きくならず、また、実ヨーレートを目標ヨーレートγ' に速く収束させることができ、さらに、運転者に違和感を与えることも少なく、滑らかに制御を行なうことが可能で、後輪による制動力制御も抑えることができる。また、車両の走行安定性も、前記発明の実施の形態1で説明したように、向上させることができる。尚、図9中、t37' は、従来制御でのオーバステア傾向となった際の制御の開始点である。
【0100】
次に、図10および図11は本発明の実施の形態3を示し、図10は制動力制御のフローチャート、図11は制動力制御の一例のタイムチャートである。尚、本発明の実施の形態3は、前記発明の実施の形態1の構成において、非制御領域の判定閾値の、第二の閾値から第一の閾値への復帰が、前記発明の実施の形態1で説明した閾値設定タイマに設定しておいた時間、或いは、このタイマ時間以内であってもオーバーステア傾向になってから、ヨーレート偏差または実ヨーレートのどちらかの値が略ゼロになったときに行なわれるようにしたものである。
【0101】
図10のフローチャートは、前記発明の実施の形態1で説明した図4のフローチャートの続きを示し、S110あるいはS114で、アンダーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なった場合はS301に進み、S111あるいはS115で、オーバーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なった場合はS302に進み、上記S116からはS303に進む。
【0102】
上記S110あるいはS114で、アンダーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なって、S301に進むと、アンダーステア状態通過フラグFUSをセット(FUS←1)して、S307に進む。このアンダーステア状態通過フラグFUSは、アンダーステア傾向の運転を行なったことを示すフラグで、閾値設定タイマ、或いは、オーバーステア傾向からニュートラルステア傾向になったときにクリア(FUS←0)されるフラグである。
【0103】
また、上記S111あるいはS115で、オーバーステア傾向での処理(制動輪の選択と液圧の設定)を行なって、S302に進むと、上記アンダーステア状態通過フラグFUSがセット(FUS=1)されているか否かを判定し、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされ、前にアンダーステア傾向の運転を行なったと判定した場合はS304に進み、アンダーステア状態通過フラグFUSがクリアされた状態の場合はS307へジャンプする。一般に、車両がオーバーステア傾向となる前には、アンダーステア傾向の状態を経るため、アンダーステア傾向からオーバーステア傾向に移行した場合は、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされた状態となっており、上記S302により、S304に進められる。しかし、アンダーステア状態通過フラグFUSが上記閾値設定タイマによりクリアされている場合や、何等かの原因によってアンダーステア傾向を経ずオーバーステア傾向となった場合は、S304〜S306の手順を行なわずS307へジャンプする。
【0104】
上記S302で、FUS=1と判定されS304に進むと、タイマスタートフラグFTRがクリア(FTR=0)されているか否かの判定が行なわれる。上記タイマスタートフラグFTRは、上記閾値設定タイマがスタートされた際にセット(FTR←1)され、上記閾値設定タイマがストップするとクリア(FTR←0)されるフラグである。
【0105】
上記S304で、タイマスタートフラグFTRがクリア(FTR=0)されており、上記閾値設定タイマがストップしていると判定すると、この閾値設定タイマをスタートさせるべくS305に進み、閾値設定タイマをスタートさせるとともに、タイマスタートフラグFTRをセットして、S306に進み、判定閾値εΔとして第二の閾値εΔS を設定し、S307へ進む。
【0106】
また、上記S304で、タイマスタートフラグFTRがセット(FTR=1)されており、上記閾値設定タイマが作動していると判定すると、S307へジャンプする。
【0107】
上記S301、上記S302の判定でFUS=0、上記S304の判定でFTR=1、上記S306のいずれかからS307へ進むと、ヨーレート偏差Δγと判定閾値εΔとの比較(絶対値の比較)が行なわれ、ヨーレート偏差Δγが制御領域にある場合(|Δγ|>|εΔ|)は、S308に進み、制動信号出力部19からブレーキ駆動部1に対して信号の出力が行なわれる。すなわち、上記S307で制御領域と判定した場合、前記S110から上記S301を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5rlに対し、液圧BRL=BF2rに対応する制動力を発生させ、前記S114から上記S301を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5rrに対し、液圧BRR=BF2rに対応する制動力を発生させ、前記S111から上記S302を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5frに対し、液圧BFR=BF2fに対応する制動力を発生させ、前記S115から上記S302を経た場合は、上記ブレーキ駆動部1はホイールシリンダ5flに対し、液圧BFL=BF2fに対応する制動力を発生させる。
【0108】
一方、上記S307でヨーレート偏差Δγが非制御領域にある場合(|Δγ|≦|εΔ|)は、S309に進む。
【0109】
また、上記S116からS303に進むと、車両が略直進状態あるいは略ニュートラルステア状態であることを示す直進・定常走行状態フラグFNSがセット(FNS←1)され、S309に進む。
【0110】
そして、上記S303あるいは上記S307から上記S309に進むと、制動信号の出力は行なわれず、設定液圧もクリアされる。すなわち、上記S308あるいは上記S309は、制動信号出力部19で行なわれる処理となっている。
【0111】
その後、S310に進むと、上記タイマスタートフラグFTRがセットされているか否か(閾値設定タイマが作動しているか否か)の判定が行なわれる。
【0112】
上記S310で、上記タイマスタートフラグFTRがクリアされ、上記閾値設定タイマが作動していない場合にはS316へ進み、直進・定常走行状態フラグFNSをクリアしてプログラムを抜け、上記タイマスタートフラグFTRがセットされ、上記閾値設定タイマが作動している場合にはS311に進んで、一定時間経過したか否か判定する。
【0113】
上記S311で、一定時間経過したと判定した場合、S313に進み、アンダーステア状態通過フラグFUSをクリアし、S314で判定閾値εΔとして第一の閾値εΔM を設定し、S315で上記閾値設定タイマをストップし、タイマスタートフラグFTRをクリアし、S316で直進・定常走行状態フラグFNSをクリアしてプログラムを抜ける。
【0114】
また、上記S311で、一定時間経過していないと判定した場合、S312に進み、直進・定常走行状態フラグFNSがセットされている(FNS=1)か否かの判定を行なう。
【0115】
そして、上記直進・定常走行状態フラグFNSがクリアされている(FNS=0)場合はプログラムを抜け、セットされている場合は、S313に進み、アンダーステア状態通過フラグFUSをクリアし、S314で判定閾値εΔとして第一の閾値εΔM を設定し、S315で上記閾値設定タイマをストップし、タイマスタートフラグFTRをクリアし、S316で直進・定常走行状態フラグFNSをクリアしてプログラムを抜ける。
【0116】
すなわち、閾値設定タイマがタイムアップする前であっても、直進・定常走行状態となった場合は、判定閾値εΔとして第一の閾値εΔM を設定するようになっている。
【0117】
上述の制御の一例を図11に示す。この図は、t50から直進していた車両が、t51で左旋回する場合を例に示すもので、図11(a)は目標ヨーレートγ' と実ヨーレートγの変化を、図11(b)はヨーレート偏差Δγの変化を、図11(c)は制御での直進・定常走行状態フラグFNSの設定を、図11(d)は制御でのタイマスタートフラグFTRの設定を、図11(e)は制御でのアンダーステア状態通過フラグFUSの設定を、図11(f)は制動信号出力部19からの制動信号出力のON−OFFをそれぞれ示す。
【0118】
t51以降、次第に大きくなる目標ヨーレートγ' に追従して実ヨーレートγも大きくなるが、実ヨーレートγと目標ヨーレートγ' との差は次第に大きくなり、実ヨーレートγからの目標ヨーレートγ' の差、すなわち、ヨーレート偏差Δγは−の方向へ絶対値|Δγ|が大きくなっていく。
【0119】
ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、t52からは、略ニュートラルステアの状態のときを判別する閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より大きくなり、目標ヨーレートγ' に対しアンダーステア傾向となり、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされる。また、t52まではセットされていた直進・定常走行状態フラグFNSが、t52からはクリアされる。さらに、非制御領域の判定閾値εΔ(図11(b)の斜線の範囲)として第一の閾値εΔM が設定されており、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、この判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より大きくなるt53になるまでは、制動信号の出力は行なわれない。
【0120】
そして、t53以降、再びヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、この判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さくなるt54になるまでは、制動信号の出力が行なわれる。この制動信号の出力は、γ>ε(正の符号、左旋回)、Δγ<−εΔγ(負の符号、アンダーステア傾向)で、図3の(ケース1)の場合であり、このケース1において、左後輪4rlに制動力を加え矢印のモーメントを加えて補正し、ドリフトアウトを排除するのである。尚、この状態では、例え、上記左後輪4rlに制動をかけすぎて、この左後輪4rlがロック傾向を示し、横力を失ってしまうときでも車両はオーバーステア方向になり、本来の制御則と同じ方向(矢印方向)のヨーレートを発生できる。
【0121】
実ヨーレートγが、目標ヨーレートγ' に近付き、t54〜t55の間では、アンダーステア傾向ではあるが、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さく非制御領域となるため、制動信号の出力は行なわれない。また、t55〜t56の間では、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より小さくなり、略ニュートラルステアの状態となり、直進・定常走行状態フラグFNSがセットされる。
【0122】
そして、ヨーレート偏差Δγは+の方向へ絶対値|Δγ|が大きくなり、t56を経過し、目標ヨーレートγ' に対しオーバーステア傾向となると、直進・定常走行状態フラグFNSはクリアされ、タイマスタートフラグFTRがセットされて閾値設定タイマが動作され、また、判定閾値εΔとして上記第一の閾値εΔM より絶対値の小さい第二の閾値εΔS が設定される。
【0123】
その後、t57までは、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|が、この判定閾値εΔの絶対値|εΔ|以下の値であるため、制動信号の出力は行なわれず、t57の後、制動信号の出力が行なわれる。この制動信号の出力は、γ>ε(正の符号、左旋回)、Δγ>εΔγ(正の符号、オーバーステア傾向)で、図3の(ケース2)の場合であり、このケース2において、右前輪4frに制動力を加え矢印のモーメントを加えて補正し、スピンを排除するのである。この状態では、例え上記右前輪4frに制動をかけすぎて、この右前輪4frがロック傾向を示し、横力を失ってしまうときでも車両はアンダーステア方向になり、本来の制御則と同じ方向(矢印方向)のヨーレートを発生できる。
【0124】
そして、t58から、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さく非制御領域となり、閾値設定タイマがタイムアップする前に、t59から略ニュートラルステア状態となる。
【0125】
このため、t59になると、直進・定常走行状態フラグFNSがセットされ、アンダーステア状態通過フラグFUSがクリアされ、閾値設定タイマがストップされてタイマスタートフラグFTRがクリアされる。また、判定閾値εΔとして第一の閾値εΔM が設定される。
【0126】
その後、t60〜t61の間では、再びヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、t60からは、閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より大きくなり、直進・定常走行状態フラグFNSがクリアされ、目標ヨーレートγ' に対しアンダーステア傾向となり、アンダーステア状態通過フラグFUSがセットされる。
【0127】
そして、t61からは、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、閾値εΔγの絶対値|εΔγ|より小さくなり、略ニュートラルステアの状態となり(直進・定常走行状態フラグFNSもセットされ)、実ヨーレートγは、目標ヨーレートγ' と略同じ値となる。ここで、アンダーステア状態通過フラグFUSはセットされたままの状態となるが、一般に、車両がオーバーステア傾向となる前には、アンダーステア傾向の状態を経るため、問題とはならない。
【0128】
尚、t58以降は、ヨーレート偏差Δγの絶対値|Δγ|は、判定閾値εΔの絶対値|εΔ|より小さく非制御領域となるため、制動信号の出力は行なわれない。
【0129】
このように、本発明の実施の形態3によれば、アンダーステア傾向の後にオーバーステア傾向になったときから、設定時間、或いは、設定時間経過していなくてもオーバーステア傾向での制御が終了されるときは、このオーバーステア傾向での制御が終了するときまで、判定閾値εΔとして、第一の閾値εΔM よりその絶対値の小さい第二の閾値εΔS を設定するようにしているため、アンダーステア傾向の後にオーバーステア傾向となった際の制御の開始が速くなり、実ヨーレートγと目標ヨーレートγ' との差が、オーバーステア傾向になってから大きくならず、また、実ヨーレートを目標ヨーレートγ' に速く収束させることができ、さらに、運転者に違和感を与えることも少なく、滑らかに制御を行なうことが可能で、後輪による制動力制御も抑えることができる。また、車両の走行安定性も、前記発明の実施の形態1で説明したように、向上させることができる。尚、図11中、t57' は、従来制御でのオーバステア傾向となった際の制御の開始点である。
【0130】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、アンダーステア傾向の後にオーバーステア傾向になったときから設定間隔、制御領域にあるか否かを判定するヨーレート偏差の判定閾値として、第一の閾値よりその絶対値の小さい第二の閾値を設定するようにしているため、アンダーステア傾向の後にオーバーステア傾向となった際の制御の開始が速くなり、実ヨーレートと目標ヨーレートとの差が、オーバーステア傾向になってから大きくならず、また、実ヨーレートを目標ヨーレートに速く収束させることができ、さらに、運転者に違和感を与えることも少なく、滑らかに制御を行なうことが可能で、後輪による制動力制御も抑えることができる。また、実ヨーレートにより車両の旋回方向を判定し、実ヨーレートとヨーレート偏差により走行状態が目標ヨーレートに対してアンダーステア傾向かオーバーステア傾向かを判定して、制動させる最も適切な車輪を選定することにより、スピン傾向であるにもかかわらず後輪に制動力を加えてスピンを増長したり、ドリフトアウト傾向であるにもかかわらず前輪に制動力を加えてドリフトアウトを増長したりすることが確実に防止でき、車両の走行安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による制動力制御装置の機能ブロック図
【図2】本発明の実施の形態1による制動力制御装置の概略構成を示す説明図
【図3】本発明の実施の形態1による制動力制御による車両の動作の説明図
【図4】本発明の実施の形態1による制動力制御のフローチャート
【図5】図4の続きのフローチャート
【図6】本発明の実施の形態1による制動力制御の一例のタイムチャート
【図7】本発明の実施の形態1による判定閾値の特性の説明図
【図8】本発明の実施の形態2による制動力制御のフローチャート
【図9】本発明の実施の形態2による制動力制御の一例のタイムチャート
【図10】本発明の実施の形態3による制動力制御のフローチャート
【図11】本発明の実施の形態3による制動力制御の一例のタイムチャート
【図12】従来の制動力制御の一例のタイムチャート
【符号の説明】
1 ブレーキ駆動部
4fl,4fr,4rl,4rr 車輪
5fl,5fr,5rl,5rr ホイールシリンダ
6fl,6fr,6rl,6rr 車輪速度センサ
7 ハンドル角センサ
8 ヨーレートセンサ
10 制御装置
11 車速算出部
12 操舵角算出部
13 ヨーレート定常ゲイン算出部
14 目標ヨーレート算出部
15 ヨーレート偏差算出部
16 目標制動力算出部
17 制動輪判別部
18 出力判定部
19 制動信号出力部
δf 実舵角
V 車速
Gγδf(0) ヨーレート定常ゲイン
εΔ 判定閾値
εΔM 第一の閾値
εΔS 第二の閾値
γ 実ヨーレート
γ' 目標ヨーレート
Δγ ヨーレート偏差
BF2f,BF2r 目標制動力

Claims (3)

  1. 車速を検出する車速検出手段と、操舵角を検出する操舵角検出手段と、車両の実際のヨーレートを検出する実ヨーレート検出手段と、車速と操舵角を基に目標とするヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、実ヨーレートから目標ヨーレートを減算しヨーレート偏差を算出するヨーレート偏差算出手段と、車両諸元と車速と操舵角と実際のヨーレートとヨーレート偏差とを基に目標制動力を算出する目標制動力算出手段と、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なる場合は内側後輪を制動輪として選択するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じ場合は外側前輪を制動輪として選択する制動輪判別手段と、制御領域にあるか否かを判定するヨーレート偏差の判定閾値として第一の閾値を設定するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なった後に実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じになったときから予め設定しておいた時間が経過するまでは、上記判定閾値として上記第一の閾値よりその絶対値の小さい第二の閾値を設定する一方、ヨーレート偏差と上記判定閾値とを比較し制御領域にあるか否か判定する出力判定手段と、上記出力判定手段で制御領域にあると判定した際に上記目標制動力算出手段からの目標制動力を上記制動輪判別手段で選択した制動輪に加えるようにブレーキ駆動部へ信号出力する制動信号出力手段とを備えたことを特徴とする制動力制御装置。
  2. 車速を検出する車速検出手段と、操舵角を検出する操舵角検出手段と、車両の実際のヨーレートを検出する実ヨーレート検出手段と、車速と操舵角を基に目標とするヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、実ヨーレートから目標ヨーレートを減算しヨーレート偏差を算出するヨーレート偏差算出手段と、車両諸元と車速と操舵角と実際のヨーレートとヨーレート偏差とを基に目標制動力を算出する目標制動力算出手段と、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なる場合は内側後輪を制動輪として選択するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じ場合は外側前輪を制動輪として選択する制動輪判別手段と、制御領域にあるか否かを判定するヨーレート偏差の判定閾値として第一の閾値を設定するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なった後に実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じになったときからは、上記判定閾値として上記第一の閾値よりその絶対値の小さい第二の閾値をヨーレート偏差または実ヨーレートのどちらかの値が予め設定したゼロとみなせる値になるまで設定する一方、ヨーレート偏差と上記判定閾値とを比較し制御領域にあるか否か判定する出力判定手段と、上記出力判定手段で制御領域にあると判定した際に上記目標制動力算出手段からの目標制動力を上記制動輪判別手段で選択した制動輪に加えるようにブレーキ駆動部へ信号出力する制動信号出力手段とを備えたことを特徴とする制動力制御装置。
  3. 車速を検出する車速検出手段と、操舵角を検出する操舵角検出手段と、車両の実際のヨーレートを検出する実ヨーレート検出手段と、車速と操舵角を基に目標とするヨーレートを算出する目標ヨーレート算出手段と、実ヨーレートから目標ヨーレートを減算しヨーレート偏差を算出するヨーレート偏差算出手段と、車両諸元と車速と操舵角と実際のヨーレートとヨーレート偏差とを基に目標制動力を算出する目標制動力算出手段と、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なる場合は内側後輪を制動輪として選択するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じ場合は外側前輪を制動輪として選択する制動輪判別手段と、制御領域にあるか否かを判定するヨーレート偏差の判定閾値として第一の閾値を設定するとともに、実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が異なった後に実ヨーレートとヨーレート偏差の符号が同じになったときからは、上記判定閾値として上記第一の閾値よりその絶対値の小さい第二の閾値を設定し、予め設定しておいた時間と、上記第二の閾値が上記判定閾値とされた後にヨーレート偏差または実ヨーレートのどちらかの値が予め設定したゼロとみなせる値になるまでの時間とで短い方の時間が経過するまで上記第二の閾値を上記判定閾値とする一方、ヨーレート偏差と上記判定閾値とを比較し制御領域にあるか否か判定する出力判定手段と、上記出力判定手段で制御領域にあると判定した際に上記目標制動力算出手段からの目標制動力を上記制動輪判別手段で選択した制動輪に加えるようにブレーキ駆動部へ信号出力する制動信号出力手段とを備えたことを特徴とする制動力制御装置。
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