JP3892228B2 - 電磁アクチュエータの制御方法および電磁アクチュエータの制御装置 - Google Patents

電磁アクチュエータの制御方法および電磁アクチュエータの制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車等の車両において車輪を懸架するサスペンションアームをアクチュエータで上下動させる場合等に利用される電磁アクチュエータの制御方法および電磁アクチュエータの制御装置に係り、特に、電磁アクチュエータに供給する電流に対するフィードバック制御の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平7−149130号公報に開示された電気モータ式サスペンションのように、車輪を回転可能に懸架するサスペンションアームにモータアクチュエータの出力軸をトルク伝達可能に駆動接続して、スタビライザーの反発力をモータトルクにより補助するロール剛性可変システムが知られている。
このロール剛性可変システムにおいては、例えば車両の旋回時等にローリングが起こると、車両の左右輪のストローク差がずれることによってスタビラーザーバーに捩れが発生する。すると、この捩れ方向と反対方向に、スタビライザーバーの剛性特性に応じた反発力が発生して、左右輪のストローク差のずれが低減される。このように機械的にロール抑制を行うスタビライザーに対して、電子制御により駆動されるモータアクチュエータによって、スタビラーザーバーの捻れ方向と反対方向の力を発生する逆相動作を行ってスタビライザーの捻れ角を調整することで、いわばスタビライザーバーの剛性(つまり反発力)を増大して、車両のサスペンションのローリングに対するロール剛性を向上させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したようなサスペンション制御装置においては、モータアクチュエータに、必要とされるトルク値を発生させるためのトルク指令が入力されると、このトルク指令とモータの回転数とに基づいて、モータに供給する電流を指定するための電流指令として目標電流値が算出される。そして、実際にモータに流れる電流の実電流値が検出されて、この実電流値を目標電流値に追従させるように、つまり目標電流値と実電流値との偏差がゼロとなるようにフィードバック制御が行われる。そして、このフィードバック制御としては、例えば、比例動作(P動作)と、積分動作(I動作)と、微分動作(D動作)とを組み合わせたPID制御(比例・積分・微分制御)等が知られている。
【0004】
しかしながら、PID制御において目標電流値に対する実電流値の追従性を向上させる際には比例項を増大させる必要が生じる場合があり、この比例項の増大に伴って制御システムの振動や発振等の不具合が発生し易くなって、車両の操作性や走行安定性が劣化してしまう虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、電磁アクチュエータに対して電流フィードバック制御を行う際に発振や振動等の不具合が発生することを抑制して、電磁アクチュエータに供給する電流の目標電流値に対する実電流値の追従性を向上させることが可能な電磁アクチュエータの制御方法および電磁アクチュエータの制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のサスペンション制御方法は、モータ(例えば、後述する実施の形態におけるモータ22)へ電流を供給して所望の出力を発生させる際に、前記電流に対する目標電流値を、前記モータがロック状態となった時に流れる電流値に前記モータの回転に伴って発生する逆起電力の寄与を考慮して得た電流値で除算した第1のデューティー比を算出するステップ(例えば、後述する実施の形態におけるステップS10)と、前記モータに流れる実電流値を前記目標電流値に追従させる比例・積分・微分制御において前記電流に対する第2のデューティー比を算出するステップ(例えば、後述する実施の形態におけるステップS11)と、前記第1のデューティー比と前記第2のデューティー比とを加算して得た第3のデューティー比によって前記モータへ電流を供給するステップ(例えば、後述する実施の形態におけるステップS12)とを含むことを特徴としている。
【0006】
上記のような電磁アクチュエータの制御方法によれば、モータの比例・積分・微分制御において、先ず、目標電流値に基づいて電源装置等からモータへ供給する電流に対する第1のデューティー比を算出する。そして、実際にモータに流れる電流を検出して得られる実電流値を目標電流値に追従させる比例・積分・微分(PID)制御において算出した第2のデューティー比を、第1のデューティー比に加算して得た第3のデューティー比に応じてモータに電流を供給する。
すなわち、モータに電流を供給する際に参照される第3のデューティー比を算出する際に、目標電流値に応じた第1のデューティー比を算出しておくことで、PID制御において算出する第2のデューティー比の寄与を小さくすることができる。これにより、PID制御における比例項を小さくすることができ、フィードバック制御時に振動や発振等の不具合が発生することを抑制して、目標電流値に対する実電流値の追従性を向上させることができる。
【0007】
また、請求項2に記載の本発明の電磁アクチュエータの制御装置は、電源装置(例えば、後述する実施の形態における電源装置29)からモータ(例えば、後述する実施の形態におけるモータ22)へ電流を供給して所望の出力を発生させる際に、前記電流に対する目標電流値を算出する目標電流値算出手段(例えば、後述する実施の形態における目標電流演算部26)と、前記目標電流値を、前記モータがロック状態となった時に流れる電流値に前記モータの回転に伴って発生する逆起電力の寄与を考慮して得た電流値で除算した第1のデューティー比(例えば、後述する実施の形態におけるロックデューティーLOCKDUTY)を算出する第1デューティー比算出手段(例えば、後述する実施の形態におけるステップS10)と、前記モータに流れる実電流を検出して実電流値を得る電流検出手段(例えば、後述する実施の形態における電流検出器32)と、前記実電流値を前記目標電流値に追従させる比例・積分・微分制御において前記電流に対する第2のデューティー比(例えば、後述する実施の形態におけるPIDデューティーPID_DUTY)を算出する第2デューティー比算出手段(例えば、後述する実施の形態におけるステップS11)と、前記第1のデューティー比と前記第2のデューティー比とを加算して得た第3のデューティー比(例えば、後述する実施の形態における最終デューティーDUTY)によって前記電源装置から前記モータへ電流を供給する通電制御手段(例えば、後述する実施の形態における通電制御部28)とを備えたことを特徴としている。
【0008】
上記構成の電磁アクチュエータの制御装置によれば、モータの比例・積分・微分制御において、先ず、目標電流値に基づいて電源装置からモータへ供給する電流に対する第1のデューティー比を算出する。そして、実際にモータに流れる電流を検出して得られる実電流値を目標電流値に追従させる比例・積分・微分(PID)制御において算出した第2のデューティー比を、第1のデューティー比に加算して得た第3のデューティー比に応じてモータに電流を供給する。
この場合、PID制御における比例項を小さくすることができ、フィードバック制御時に振動や発振等の不具合が発生することを抑制して、目標電流値に対する実電流値の追従性を向上させることができる。特に、例えばモータに対して所定の出力を持続させるような場合には、目標電流値から算出した第1のデューティー比をいわば基準値として、この規準値からの偏差分に対してPID制御を行うようになり、比例項定数を相対的に小さな値に設定することができるため、容易に所望の出力を持続させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る電磁アクチュエータの制御方法および電磁アクチュエータの制御装置について添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電磁アクチュエータの制御装置18を備えたサスペンション制御装置10を車両1の後方から見た透視図であり、図2は車両1に配置されたストロークセンサ23および舵角センサ24の位置を示す図であり、図3はサスペンション制御装置10に備えられたストローク式ポテンショメータ23aおよび回転式ポテンショメータ23bを示す構成図であり、図4は図1に示す電磁アクチュエータの制御装置18の構成を示す機能ブロック図である。
本実施の形態による電磁アクチュエータの制御装置18を備えたサスペンション制御装置10は、例えば車両1のリア(後輪)側に設けられており、リア側の左右輪に対してそれぞれ同等の構成を有するサスペンション10a,10aが備えられている。
【0010】
先ず以下において、例えば左後輪のサスペンション10aについて説明する。
このサスペンション10aにおいて、ホイールWLを回転可能に支持するナックル11Lは、A型のアッパーアーム12L及びロアアーム13Lを介して鉛直方向に上下動可能に支持されている。
アッパーアーム12Lは、先端に設けたジョイントを介してナックル11Lの上部に接続され、基端に設けたジョイントを介して車体Bに接続されている。
ロアアーム13Lは、先端に設けたジョイントを介してナックル11Lの下部に接続され、基端に設けたジョイントを介して車体Bに接続されている。
【0011】
ロアアーム13Lの略中央部には、例えばコイルばねをなすばね14Lの下部が接続され、車体Bにばね14Lの上部が接続され、ロアアーム13Lの基端側にリンク15Lおよび駆動アーム16Lを介してアクチュエータ17が接続されている。また、図示しないショックアブソーバが、車体Bとロアアーム13Lとの間に設けられている。
そして、右後輪には、左後輪と同等のサスペンション10aが備えられており、左後輪側のナックル11Lの前部と右後輪側のナックル11Rの前部との間にはスタビライザー(図示略)が接続されており、車体Bとナックル11Lの後部およびナックル11Rの後部とは、ラテラルリンク(図示略)により接続されている。
【0012】
アクチュエータ17は減速機構21とモータ22とを備えて構成されている。
モータ22は、例えば界磁にDCモータをなし、このモータ22の出力軸には減速機構21を介して駆動アーム16Lが接続されている。
すなわち、モータ22の出力軸の回転力は、減速機構21の所定ギヤ比で減速されて駆動アーム16Lに伝達され、例えば車両1のローリング方向と同一方向の回転力と、駆動アーム16Lの長さとの乗算により得られるトルク値をロアアーム13Lに付与することで、ばね14Lのばねレートを変更することとなる。
【0013】
例えば、左後輪のサスペンション10aにおいて、車両1の旋回時に車体Bが路面に対して上下動してローリングすることにより、ナックル11Lに接続されたロアアーム13Lおよびアッパーアーム12Lが車体Bに接続された基端を始点として上下動する。これにより、ロアアーム13Lに接続されたばね14Lおよびショックアブソーバが上下動に対応して伸縮し、路面に対する車体Bの上下動が緩衝される。
このとき、制御部18によりアクチュエータ17を駆動して、回転軸回りに、駆動アーム16Lをローリングと同一の方向に回転させると、駆動アーム16Lにリンク15Lを介して接続されたロアアーム13Lに上下動するトルク(N・m)が伝達され、コーナーリングで必要とされるロール剛性を得るためのばねレートを補完するようにしてばね14Lのばねレートが変更される。
【0014】
また、図2に示すように、後輪側の左右輪の各サスペンション10a,10aには、ストロークセンサ23,23が備えられており、ローリングによる鉛直方向での上下動の変位の大きさをストローク量として検出する。
また、ローリングによる上下動はコーナリングの方向に依存するため、運転者の操舵方向を検知するための舵角センサ24が設けられている。
ここで、ストロークセンサ23,23は、例えば図3に示すように、鉛直方向での上下動の変位を検知するストローク式ポテンショメータ23aや、駆動アーム16L(16R)の回転距離を検知する回転式ポテンショメータ23b等をなし、要するにローリングによる車体Bのロール角に関連した量を測定できるものであればいずれをも用いることができる。
【0015】
そして、左右輪のストロークセンサ23,23から出力される各ストローク量の検知信号と、舵角センサ24から出力される舵角方向を含む舵角量の検知信号とは電磁アクチュエータの制御装置18に入力されており、左右輪のストローク量の差であるストローク差と、舵角方向を含む舵角速度とに基づいて各アクチュエータ17,17が駆動制御される。
図4に示すように、電磁アクチュエータの制御装置18は、例えば、トルク指令演算部25と、目標電流演算部26と、フィードバック制御部27と、通電制御部28と、電源装置29と、電圧検出器31と、電流検出器32と、磁極位置検出器33とを備えて構成されている。
【0016】
トルク指令演算部25は、ストロークセンサ23から出力されるストローク量の検知信号と、舵角センサ24から出力される舵角方向を含む舵角量の検知信号に基づいて、必要とされるトルク値を演算して、このトルク値をモータ22を含むアクチュエータ17に発生させるためのトルク指令*Tを生成して目標電流演算部26へ出力する。
【0017】
目標電流演算部26は、トルク指令値*Tに基づいて、通電制御部28からモータ22に供給する電流を指定するための電流指令を演算しており、この電流指令は目標電流値*Iとしてフィードバック制御部27へ出力されている。
フィードバック制御部27は、比例・積分・微分(PID)動作によって電流のフィードバック制御を行うものであり、目標電流値*Iと実際にモータ22に流れる実電流値Irとの偏差がゼロとなるように制御を行う。
【0018】
このため、フィードバック制御部27には、電源装置29の電源電圧Vbを検出する電圧検出器31からの検知信号と、モータ22に流れる実電流値Irを検出する電流検出器32からの検知信号と、モータ22の磁極位置つまり回転子(図示略)の回転角θに基づいて算出される回転速度Mνの信号とが入力されている。
通電制御部28は、例えばパルス幅変調(PWM)によるDCチョッパをなすものであって、例えばバッテリや燃料電池等からなる電源装置31から供給される直流電力を、後述するように、フィードバック制御部27から出力される最終デューティーDUTYに応じて直流変換してモータ22に供給する。
【0019】
本実施の形態による電磁アクチュエータの制御装置18は上記構成を備えており、次に、この電磁アクチュエータの制御装置18の動作、特にモータ22を含むアクチュエータ17に対する電流フィードバック制御の処理について添付図面を参照しながら説明する。図5は電磁アクチュエータの制御装置18の動作、特にモータ22を含むアクチュエータ17に対する電流フィードバック制御の処理について示すフローチャートである。
【0020】
先ず、図5に示すステップS01においては、必要とされるトルク値をモータ22を含むアクチュエータ17に発生させるための目標電流値*Iを設定する。
次に、ステップS02においては、電流検出器32により実際にモータ22に流れる実電流値Irを検出する。
次に、ステップS03においては、モータ22への電力供給を行う電源装置29の電源電圧Vbを電圧検出器31により検出する。
次に、ステップS04においては、モータ22の磁極位置θを磁極位置検出器33により検出する。なお、磁極位置θは誘起電圧の位相角に相当する。
次に、ステップS05においては、モータ22の磁極位置θに基づいて、モータ22の回転子(図示略)の回転速度Mνを算出する。
【0021】
次に、ステップS06においては、下記数式(1)に示すように、例えば予め設定された所定の誘起電圧定数Kと、ステップS05にて算出された回転速度Mνとに基づいて逆起電圧Vcを算出する。
【0022】
【数1】
Figure 0003892228
【0023】
次に、ステップS07においては、下記数式(2)に示すように、電源電圧Vbから逆起電圧Vcを減算して得たモータ22への印加電圧をモータ抵抗Rmで除算して、電流値Imを算出する。
【0024】
【数2】
Figure 0003892228
【0025】
次に、ステップS08においては、ステップS07にて算出した電流値Imがゼロか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS10に進む。一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS09に進む。
ステップS09においては、電流値Im=1.0と設定する。
【0026】
次に、ステップS10においては、下記数式(3)に示すように、目標電流値*Iを電流値Imで除算してロックデューティーLOCKDUTYを算出する。
ここで、ロックデューティーLOCKDUTYは、目標電流演算部26にて算出した目標電流値*Iを、モータ22がロック状態となった時に流れる電流値(Vb/Rm)にモータ22の回転に伴って発生する逆起電圧Vcの寄与を考慮して得た電流値{(Vb−Vc)/Rm)}で除算した値である。
なお、ステップS07にて算出した電流値Imがゼロとなる場合には、ロックデューティーLOCKDUTYを上限値である100%とする。また、下記数式(3)にて算出したロックデューティーLOCKDUTYが100%を超えるような場合にも、ロックデューティーLOCKDUTYを上限値である100%とする。
【0027】
【数3】
Figure 0003892228
【0028】
次に、ステップS11においては、下記数式(4)に示すように、フィードバック制御における一連の処理において、目標電流値*Iの今回の値*I(k)と実電流値Irの今回の値Ir(k)との偏差P(k)と、目標電流値*Iと実電流値Irとの偏差に対する積分値の今回の値I(k)と、今回の偏差P(k)と前回の偏差P(k−1)との変化D(k)と、比例項定数Kpと、積分項定数Kiと、微分項定数Kdとに基づいて、PIDデューティーPID_DUTYを算出する。
【0029】
【数4】
Figure 0003892228
【0030】
次に、ステップS12においては、下記数式(5)に示すように、ロックデューティーLOCKDUTYとPIDデューティーPID_DUTYとを加算して最終デューティーDUTYを算出して、一連の処理を終了する。
【0031】
【数5】
Figure 0003892228
【0032】
以下に、ロックデューティーLOCKDUTYの算出例、例えばモータ22にIref=60Aの電流を通電したときのロックデューティーLOCKDUTYの算出例について説明する。なお、以下においては、逆起電圧Vc=0とした。
ここで、電源電圧Vb=14V、モータ抵抗Rm=0.066Ωとすると、モータ22のロック状態に流れる電流I100%=Vb/Rm=212Aとなり、上記数式(3)により、ロックデューティーLOCKDUTY=Iref/(Vb/Rm)=28.3%となり、Iref=60Aを必要とする時のロックデューティーLOCKDUTYは28.3%となる。
【0033】
上述したように、本実施の形態による電磁アクチュエータの制御方法によれば、PID制御における比例項を小さくすることができ、フィードバック制御時に振動や発振等の不具合が発生することを抑制して、目標電流値*Iに対する実電流値Irの追従性を向上させることができる。しかも、ロックデューティーLOCKDUTYを算出する際にモータ22の回転に伴って発生する逆起電圧Vcを考慮することよって、適切な最終デューティーDUTYを得ることができ、目標電流値*Iに対する実電流値Irの追従性を、より一層、向上させることができる。
【0034】
例えば図6に示す本実施形態に対する比較例としてモータ22のロック状態に流れる電流値に基づいてロックデューティーLOCKDUTYを算出した場合における目標電流値*Iに対する実電流値Iの追従変化を示すグラフ図のように、目標電流演算部26にて算出した目標電流値*Iを、単にモータ22がロック状態となった時に流れる電流値(Vb/Rm)で除算して得た値をロックデューティーLOCKDUTYとして設定した場合には、実電流値Ir(例えば、図6に示す点線)を目標電流値*I(例えば、図6に示す実線)に追従させるまでに要する時間(例えば、図6に示す時間t0)が相対的に長くなってしまう。
【0035】
これに対して、例えば図7に示す本実施形態に係る実施例としてモータ22の回転に伴って発生する逆起電圧Vcを考慮してロックデューティーLOCKDUTYを算出した場合における目標電流値*Iに対する実電流値Iの追従変化を示すグラフ図のように、逆起電圧Vcを考慮してロックデューティーLOCKDUTY(例えば、図7に示す一点破線)を算出することにより、適切な最終デューティーDUTY(例えば、図7に示す破線)を算出することができ、この最終デューティーDUTYに応じてアクチュエータ17に電流を供給することで、実電流値Ir(例えば、図7に示す点線)を目標電流値*I(例えば、図7に示す実線)に追従させるのに要する時間を短縮してフィードバック制御時の追従性を向上させることができる。
すなわち、例えば相対的に速い転舵時等の過渡入力状態でのモータ22の回転時や、車両1が上下動変位している場合や、外部からの路面入力等が存在する場合に、例えばモータ22が逆相駆動されることで逆起電圧Vcが発生した場合であっても、モータ22への印加電圧が低下してアクチュエータ17に所望の電流を供給することがきなくなって目標電流値*Iに対する実電流値Irの追従性が劣化することを防止することができる。
【0036】
しかも、例えばモータ22の駆動初期時等の過渡入力時においても、目標電流値*Iに基づいて算出されたロックデューティーLOCKDUTYに応じて適宜の電流がモータ22に流れることにより、目標電流値*Iと実電流値Irとの偏差(例えば、図6および図7に示す偏差e)を小さくすることができる。これにより、PID制御における比例項つまり比例項定数Kpを小さくすることができ、フィードバック制御時に発振や振動等の不具合が発生することを抑制することができ、アクチュエータ17に過度の負荷がかかることを防止することが可能となる。
【0037】
さらに、本実施の形態による電磁アクチュエータの制御装置18を備えたサスペンション制御装置10によれば、サスペンション10aにおけるばね14L,14Rのばねレートを、アクチュエータ17の発生するトルクによりばね14L,14Rの伸縮を制御することで補完する際に、必要とされるトルクをアクチュエータ17に発生させるためのトルク指令に応じた目標電流値*Iに対して、実際にアクチュエータ17に流れる電流の実電流値Irの追従性を向上させることができる。
これにより、車両1の運転状態の応じて適切に車体Bのロール剛性を高めることができ、ローリングによる車体Bの傾き、つまりロール角の大きさを緩和させることにより、車両1の操縦性や走行安定性を向上させることができる。
【0038】
なお、本実施形態においては、上記数式(1)によって、逆起電圧Vcを算出するとしたが、これに限定されず、例えば下記数式(6)に示すように、電源電圧Vbと、アクチュエータ17に流れる電流の実電流値Irと、モータ22の内部抵抗値Rとに基づいて逆起電圧Vcを算出しても良い。
【0039】
【数6】
Figure 0003892228
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明の電磁アクチュエータの制御方法によれば、モータに電流を供給する際に参照される第3のデューティー比を算出する際に、目標電流値に応じた第1のデューティー比を算出しておくことで、PID制御において算出する第2のデューティー比の寄与を小さくすることができる。これにより、PID制御における比例項を小さくすることができ、フィードバック制御時に振動や発振等の不具合が発生することを抑制して、目標電流値に対する実電流値の追従性を向上させることができる。
【0041】
また、請求項2に記載の本発明の電磁アクチュエータの制御装置によれば、PID制御における比例項を小さくすることができ、フィードバック制御時に振動や発振等の不具合が発生することを抑制して、目標電流値に対する実電流値の追従性を向上させることができる。特に、例えばモータに対して所定の出力を持続させるような場合には、目標電流値から算出した第1のデューティー比をいわば基準値として、この規準値からの偏差分に対してPID制御を行うようになり、比例項定数を相対的に小さな値に設定することができるため、容易に所望の出力を持続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る電磁アクチュエータの制御装置を備えたサスペンション制御装置を車両1の後方から見た透視図である。
【図2】 図1に示す車両に配置されたストロークセンサおよび舵角センサの位置を示す図である。
【図3】 図1に示すサスペンション制御装置に備えられたストローク式ポテンショメータおよび回転式ポテンショメータを示す構成図である。
【図4】 図1に示す電磁アクチュエータの制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図5】 電磁アクチュエータの制御装置の動作、特にモータを含むアクチュエータに対する電流フィードバック制御の処理について示すフローチャートである。
【図6】 本実施形態に対する比較例としてモータのロック状態に流れる電流値に基づいてロックデューティーLOCKDUTYを算出した場合における目標電流値*Iに対する実電流値Iの追従変化を示すグラフ図である。
【図7】 本実施形態に係る実施例としてモータの回転に伴って発生する逆起電圧Vcを考慮してロックデューティーLOCKDUTYを算出した場合における目標電流値*Iに対する実電流値Iの追従変化を示すグラフ図である。
【符号の説明】
10 サスペンション制御装置
17 アクチュエータ(電磁アクチュエータ)
18 電磁アクチュエータの制御装置
26 目標電流演算部(目標電流値算出手段)
28 通電制御部(通電制御手段)
29 電源装置
32 電流検出器(電流検出手段)
ステップS11 第1デューティー比算出手段
ステップS12 第2デューティー比算出手段

Claims (2)

  1. モータへ電流を供給して所望の出力を発生させる際に、前記電流に対する目標電流値を、前記モータがロック状態となった時に流れる電流値に前記モータの回転に伴って発生する逆起電力の寄与を考慮して得た電流値で除算した第1のデューティー比を算出するステップと、
    前記モータに流れる実電流値を前記目標電流値に追従させる比例・積分・微分制御において前記電流に対する第2のデューティー比を算出するステップと、
    前記第1のデューティー比と前記第2のデューティー比とを加算して得た第3のデューティー比によって前記モータへ電流を供給するステップとを含むことを特徴とする電磁アクチュエータの制御方法。
  2. 電源装置からモータへ電流を供給して所望の出力を発生させる際に、前記電流に対する目標電流値を算出する目標電流値算出手段と、
    前記目標電流値を、前記モータがロック状態となった時に流れる電流値に前記モータの回転に伴って発生する逆起電力の寄与を考慮して得た電流値で除算した第1のデューティー比を算出する第1デューティー比算出手段と、
    前記モータに流れる実電流を検出して実電流値を得る電流検出手段と、
    前記実電流値を前記目標電流値に追従させる比例・積分・微分制御において前記電流に対する第2のデューティー比を算出する第2デューティー比算出手段と、
    前記第1のデューティー比と前記第2のデューティー比とを加算して得た第3のデューティー比によって前記電源装置から前記モータへ電流を供給する通電制御手段と
    を備えたことを特徴とする電磁アクチュエータの制御装置。
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