JP3892077B2 - 油分散処理剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は油分散処理剤に関し、さらに詳しくは、容易に量産することができ、毒性が低くて取扱いに便利であり、穏やかな撹拌かつ少量の使用で、低粘度油のみならず高粘度油をも短時間で効率よく分散させることができ、特に海洋に流出した高粘度油の分散処理に好適な油分散処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンカー事故等により海洋等に流出した原油、燃料油等の流出油は、海洋を汚染し、生態系を破壊するという深刻な環境問題を引き起こす。このような流出油の回収は、一般に、オイルフェンス等でその拡散を防ぎつつ、油回収装置や油吸着材等を用いて行われる。回収しきれない流出油については、流出油処理剤を用いて分散処理される。ところが、気象的及び地理的環境によっては油回収装置等を用いることができない場合もある。このような場合は、流出油処理剤のみを用いて流出油の分散処理が行われる。いずれにせよ、流出油の処理には、流出油処理剤が用いられている。
【0003】
従来から各種の流出油処理剤が知られているが、アニオン性活性剤を主成分とする流出油処理剤が広く用いられていた。ところが、この流出油処理剤の場合、毒性が強いので、生態系破壊等の環境問題を招くおそれがあるという問題がある。そこで、近時、低毒性の非イオン系界面活性剤を主成分とする流出油処理剤が提案されている。
【0004】
しかしながら、これら提案されている流出油処理剤の場合、流出油を分散処理する際に機械的攪拌等の強制的攪拌を必要とし、少量の使用かつ短時間での処理が困難であるという問題がある。さらに、300cSt/20℃以上の高粘度流出油に対しては、処理効果が著しく低下するので大量の流出油処理剤の使用が必要になり、また、乳化力が十分でないので一旦乳化分散した流出油がすぐに再凝集してしまい、確実な分散処理を行うことができないという問題がある。
【0005】
また、特開昭61−9483号公報により、特定のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル(A)と特定のポリオキシアルキレングリセロール脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレングリセロール脂肪酸エステル及びソルビタンモノオレエートの以上3種のノニオン系界面活性剤又はそれにポリオキシエチレンソルビタントリオレエートを加えた以上4種のノニオン系界面活性剤をHLBが10〜11の範囲にあるように配合することからなるノニオン系界面活性剤20〜60重量%と、水溶性溶剤20〜65重量%及び水0〜30重量%からなるノニオン型水溶性流出油処理剤組成物が提案されている。
【0006】
しかしながら、この公報に記載の組成物は、ソルビット系の界面活性剤を有効成分とし、低粘度油に対しては乳化分散等の効果が認められるが、高粘度油に対してはその分散効果が認められないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記従来の問題を解決することを目的の一つとする。この発明は、容易に量産することができ、毒性が低くて取扱いに便利であり、穏やかな撹拌を行うことにより、少量の使用で、低粘度油のみならず高粘度油をも短時間で効率よく分散させることができ、特に海洋に流出した高粘度油の分散処理に好適な油分散処理剤を提供することを目的の一つとする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を含まず、HLBが10〜13であるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(A)と、HLBが2〜6である非イオン系界面活性剤(B)と、炭化水素系溶剤(C)とから成ることを特徴とする油分散処理剤であり、
請求項2は、非イオン系界面活性剤(B)が、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよび脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の油分散処理剤であり、
請求項3は、非イオン系界面活性剤(B)が、ソルビタン脂肪酸エステルである請求項1に記載の油分散処理剤であり、
請求項4は、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(A)が、酸化エチレンの3〜60モル付加物である請求項1から3までのいずれか一項に記載の油分散処理剤であり、
請求項5は、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(A)が、ソルビットに酸化エチレンを付加した後、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびパルミチン酸からなる群より選択される脂肪酸でエステル化してなる請求項1から4のいずれか一項に記載の油分散処理剤であり、
請求項6は、炭化水素系溶剤(C)が、パラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、スピンドル油、n−デカン、灯油および軽油からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1から5のいずれか一項に記載の油分散処理剤であり、
請求項7は、(A)と(B)との重量比((A):(B))が、60:40〜90:10である請求項1から6のいずれか一項に記載の油分散処理剤であり、
請求項8は、(A)および(B)の合計20〜60重量%と、(C)の40〜80重量%とを含有してなる請求項1から7のいずれか一項に記載の油分散処理剤である。
【0009】
【発明の実施の形態】
(高粘度油用処理剤)
この発明の油分散処理剤は、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(A)と、非イオン系界面活性剤(B)と、炭化水素系溶剤(C)とを含有してなり、後述する実施例及び比較例から明らかなようにアニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を含まない。なお、以下においてはこの発明に係る油分散処理剤の特長を印象付けるために、この発明に係る油分散処理剤を高粘度油用処理剤と略称することとする。
【0010】
−ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(A)−
この発明におけるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルは、化1に示す構造を有する。
【0011】
【化1】
【0012】
この発明におけるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルは、そのHLBが10〜13であり、特に10.5〜12が好ましい。HLBが前記範囲内にあると、特に高粘度油に対して高い乳化性能を示す。
【0013】
前記ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、たとえば、ポリオキシエチレンソルビットオレエート、ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレエート、ポリオキシエチレンソルビットヘキサステアレート、ポリオキシエチレンソルビットテトラステアレート、ポリオキシエチレンソルビットイソステアレートなどが挙げられる。この発明においては、これらのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルを一種単独で使用してもよく、あるいは二種以上を併用してもよい。
【0014】
前記ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルは、たとえば、所定の条件下で、ソルビットに酸化エチレンを付加した後、脂肪酸でエステル化することにより合成することができる。なお、前記脂肪酸としては、特に制限はないが、たとえば、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ヤシ油脂肪酸などが挙げられるが、これらの脂肪酸の中でも、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸が好ましい。前記脂肪酸を使用すると、特に高粘度油に対しての処理能力が向上する。
【0015】
この発明において、前記ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、適宜に合成したものを使用してもよいし、あるいは市販品を使用してもよい。前記市販品は、たとえば、花王(株)、三洋化成(株)、第一工業製薬(株)、日本油脂(株)、東邦化学(株)、竹本油脂(株)、中京油脂(株)、東海製油(株)、日華化学(株)、日本エマルジョン(株)、日本サーファクタント(株)、ミヨシ油脂(株)等から提供されている。
【0016】
前記ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルは、通常、酸化エチレンの3〜60モル付加物であり、好ましくは6〜50モル付加物である。前記酸化エチレンのモル数が前記範囲内にあると、特に高粘度油に対して処理能力が向上する。
【0017】
前記ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルは、一般に、前記酸化エチレンのモル数によってその親水性が異なり、また、エステル化に供される脂肪酸の種類によってその親油性が異なる。
【0018】
−非イオン系界面活性剤(B)−
この発明における非イオン系界面活性剤としては、たとえば、エーテル型非イオン系界面活性剤、エーテルエステル型非イオン系界面活性剤、エステル型非イオン系界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン系界面活性剤、含窒素型非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0019】
前記エーテル型非イオン系界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、単一鎖長ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体などが挙げられる。
【0020】
前記エーテルエステル型非イオン系界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、天然油脂およびロウ類のポリオキシエチレン誘導体などが挙げられる。
【0021】
前記エステル型非イオン系界面活性剤としては、たとえば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0022】
前記ブロックポリマー型非イオン系界面活性剤としては、たとえば、プルロニック型の非イオン系界面活性剤、テトロニック型の非イオン系界面活性剤、アルキル基を含むブロックポリマーなどが挙げられる。
【0023】
前記含窒素型非イオン系界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシアルキルアミンなどが挙げられる。
【0024】
この発明においては、これらの非イオン系界面活性剤の中でも、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸エステルなどが好ましく、特にソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。前記非イオン系界面活性剤が、これらの物質を採用すると、O/W型乳化が良好になり、特にソルビタン脂肪酸エステル又はソルビット脂肪酸エステルであると、高粘度油に対する浸透性が向上し、安定したO/W型エマルジョンを形成するのに好適である。この発明においては、これらの非イオン系界面活性剤を一種単独で使用してもよく、あるいは二種以上を併用してもよい。
【0025】
前記ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、たとえば、ポリオキシエチレンソルビットオレエート、ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレエート、ポリオキシエチレンソルビットヘキサステアレート、ポリオキシエチレンソルビットテトラステアレート、ポリオキシエチレンソルビットイソステアレートなどが挙げられる。
【0026】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、たとえば、ポリオキシエチレン(EO=20)モノヤシ油脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(EO=20)ソルビタンモノパルミレート、ポリオキシエチレン(EO=20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(EO=6)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(EO=6)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(EO=20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(EO=20)ソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(EO=20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(EO=20)ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン(EO=20)ソルビタントリステアレートなどが挙げられる。
【0027】
前記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、たとえば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0028】
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、たとえば、ステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジ(トリ)グリセリル、イソパルミチン酸ジグリセリン、イソステアリン酸ジグリセリン、トリイソステアリン酸ジグリセリン、デカオレイン酸デカグリセリンなどが挙げられる。
【0029】
前記グリセリン脂肪酸エステルとしては、たとえば、ヤシ油脂肪酸グリセリン、ミリスチン酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、イソステアリン酸グリセリン、リシノレイン酸グリセリン、リノール酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリンなどが挙げられる。
【0030】
前記プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、たとえば、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールジオレエレート、プロピレングリコールラウレート、ステアリン酸プロピレングリコール、リシノレイン酸プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0031】
前記ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは、脂肪酸に酸化エチレンを付加重合させたものであり、前記脂肪酸としては、たとえば、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、トール油などが挙げられる。
【0032】
前記脂肪酸エステルとしては、たとえば、ショ糖脂肪酸エステル、ジペンタエリスリット脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0033】
この発明における非イオン系界面活性剤は、そのHLBが2〜6であり、特に3〜5であるのが好ましい。HLBが前記範囲内にあると、高粘度油に対して浸透性が向上し、界面活性剤(A)のみを使用するよりも乳化性能が向上する。
【0034】
この発明における非イオン系界面活性剤としては、合成したものであってもよいし、あるいは市販品であってもよい。
【0035】
−炭化水素系溶剤(C)−
この発明における炭化水素系溶剤としては、特に制限はないが、たとえば、パラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、スピンドル油、n−デカン、灯油、軽油などが挙げられる。この発明においては、これらの中でも、パラフィン系溶剤が好ましい。これら炭化水素系溶剤を用いると、高粘度油の粘度低下に有効である。この発明においては、これらの炭化水素系溶剤を一種単独で使用してもよく、あるいは二種以上を併用してもよい。なお、この発明においては、前記炭化水素系溶剤として、市販品を好適に使用することができる。
【0036】
(高粘度油用処理剤の組成)
この発明の高粘度油用処理剤においては、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(A)と非イオン系界面活性剤(B)との重量比((A):(B))が、60:40〜90:10であるのが好ましく、特に70:30〜80:20であるのが好ましい。前記重量比が前記範囲内にあると、高粘度油の処理に特に有効である。
【0037】
この発明の高粘度油用処理剤は、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(A)および非イオン系界面活性剤(B)の合計を通常20〜60重量%と、炭化水素系溶剤(C)を通常40〜80重量%とを含有してなる。高粘度油用処理剤が前記組成を有すると、高粘度油に対して、安定なO/Wからエマルジョンが長時間にわたり得られる。
【0038】
(高粘度油用処理剤の製造)
この発明の高粘度油用処理剤は、たとえば、適宜に合成あるいは選択したポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(A)、非イオン系界面活性剤(B)および炭化水素系溶剤(C)の各所定量を分取し、混合等することにより製造することができる。
【0039】
(高粘度油用処理剤の用途、用法)
この発明の高粘度油用処理剤は、油の分散処理に用いることができる。前記油としては、特に制限はないが、たとえば流出油が好ましい。前記流出油としては、たとえば、海洋、河川等に浮遊する原油、A重油、B重油、C重油(燃料油)などが挙げられる。また、前記油としては、低粘度油であってもよく、300cSt/20℃以上の高粘度油であってもよい。前記油の状態としては、特に制限はないが、たとえばムース状などであってもよい。
【0040】
この発明の高粘度油用処理剤は、低粘度油のみならず、300〜100,000cSt/20℃の高粘度油、特に2,000〜100,000cSt/20℃である高粘度油の分散処理にも好適に用いることができる。
【0041】
この発明の高粘度油用処理剤によると、緩やかな撹拌条件下でも、流出油等の油を効率よく乳化し、分散処理することができる。また、少量の使用でも、確実に高粘度油の乳化・分散処理を行うことができる。
【0042】
【実施例】
以下、この発明の高粘度油用処理剤の実施例につき説明する。なお、この発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0043】
(実施例1〜4、比較例1〜3)
表1に示される組成の高粘度油用処理剤を用いた。
【0044】
【表1】
【0045】
<評価>
(乳化率の測定1、各高粘度油に対する乳化率)
C重油(500cSt/25℃、2,500cSt/25℃、10,000cSt/25℃、50,000cSt/25℃、100,000cSt/25℃)10gと上記組成の高粘度油用処理剤2g(C重油に対して20%)とを混合して試験油を調製した。
【0046】
分液ロート(100ml)の中に海水を50ml入れ、これに上記調製の試験油2gを浮遊させた。
【0047】
前記分液ロートを5分間振とう(振幅4cm、300往復/分)した後、静置して分液ロートの下部から試料液を25ml採取した。この試料液につき、油処理性能試験基準舶査第52号(昭和59年2月1日)に定める方法に従って乳化率を測定した。測定結果を表2に示した。
【0048】
なお、前記測定は、前記静置を10分間とした場合について行った。又、99%以上及び1%未満の測定値についてはそれぞれ>99及び<1と表2に記した。
【0049】
【表2】
【0050】
(乳化率の測定2、各処理剤添加量による乳化率)
C重油(10,000cSt/25℃)10gと上記組成の高粘度油用処理剤2g(C重油に対して20%)、1g(C重油に対して10%)、0.4g(C重油に対して4%)とを混合して試験油を調製した。
【0051】
分液ロート(100ml)の中に海水を50ml入れ、これに上記調製の試験油2gを浮遊させた。
【0052】
前記分液ロートを5分間振とう(振幅4cm、300往復/分)した後、静置して分液ロートの下部から試料液を25ml採取した。この試料液につき、油処理性能試験基準舶査第52号(昭和59年2月1日)に定める方法に従って乳化率を測定した。なお、前記測定は、前記静置を10分間とした場合について行った。測定結果を表3に示した。
【0053】
又、99%以上及び1%未満の測定値についてはそれぞれ>99及び<1と表2に記した。
【0054】
【表3】
【0055】
表2及び表3の結果から明らかなようにこの発明による高粘度油用処理剤は、従来の油処理剤に比べ高粘度油に対して有効であり、又油に対しての少量の使用でも高い乳化分散効果を示す。
【0056】
【発明の効果】
この発明によると、前記従来の問題を解決することができる。この発明によると、容易に量産することができる高粘度油用処理剤を提供することができる。この発明によると、毒性が低く取扱いに便利な高粘度油用処理剤を提供することができる。この発明によると、緩やかな撹拌を行うのみで、少量の使用でありながら、低粘度油のみならず高粘度油をも短時間で効率よく分散させることができる高粘度油用処理剤を提供することができる。この発明によると、高粘度油がムース状化等していても確実に分散処理可能な高粘度油用処理剤を提供することができる。この発明によると、特に海洋に流出した高粘度油の分散処理に好適な高粘度油用処理剤を提供することができる。
Claims (8)
- アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を含まず、HLBが10〜13であるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(A)と、HLBが2〜6である非イオン系界面活性剤(B)と、炭化水素系溶剤(C)とから成ることを特徴とする油分散処理剤。
- 非イオン系界面活性剤(B)が、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよび脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の油分散処理剤。
- 非イオン系界面活性剤(B)が、ソルビタン脂肪酸エステルである請求項1に記載の油分散処理剤。
- ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(A)が、酸化エチレンの3〜60モル付加物である請求項1から3までのいずれか一項に記載の油分散処理剤。
- ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(A)が、ソルビットに酸化エチレンを付加した後、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびパルミチン酸からなる群より選択される脂肪酸でエステル化してなる請求項1から4のいずれか一項に記載の油分散処理剤。
- 炭化水素系溶剤(C)が、パラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、スピンドル油、n−デカン、灯油および軽油からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1から5のいずれか一項に記載の油分散処理剤。
- (A)と(B)との重量比((A):(B))が、60:40〜90:10である請求項1から6のいずれか一項に記載の油分散処理剤。
- (A)および(B)の合計20〜60重量%と、(C)の40〜80重量%とを含有してなる請求項1から7のいずれか一項に記載の油分散処理剤。
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