JP3891953B2 - 駐車支援装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両を目標駐車位置まで自動的に導く駐車支援制御を行う駐車支援装置に係り、より詳細には、ユーザが駐車目標位置を設定する際、駐車目標位置を指定するための目標駐車枠が表示モニタ上に表示される駐車支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両を目標駐車位置まで自動的に導く駐車支援制御を行う駐車支援装置において、駐車支援制御開始前に、表示モニタ上の車両周辺の実画像上に目標駐車枠を重畳表示することが知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来の駐車支援装置では、ユーザが調整摘みを操作することにより目標駐車枠の位置を表示モニタ上で変更することで、目標駐車位置の指定が可能とされている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−208420号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ユーザが駐車目標位置を設定する際、表示モニタ上には、駐車目標位置を指定するための目標駐車枠が、所定のデフォルト位置やシステム演算による推定位置で初期表示される。しかしながら、目標駐車枠は、必ずしも常時、全てのユーザが駐車したいと思う位置(向きを含む)に初期表示されるわけではない。これは、駐車目標位置に対する駐車開始位置の関係が、個々の運転者の運転特性によって異なることに起因して、目標駐車枠の初期位置の推定精度に一定の限界があることに基づく。従って、目標駐車枠の初期位置が、ユーザの慣れた駐車目標位置に対する駐車開始位置の関係に対応していない場合、ユーザは、毎回同じように目標駐車枠の位置合わせが必要となるという不便を強いられてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、個々の運転者の運転特性に対応する位置(向きを含む)に目標駐車枠を初期表示することができる、駐車支援装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1に記載する如く、車両周辺の実画像と共に表示される目標駐車枠を移動させることによりユーザによる目標駐車位置の設定が行われ、設定された目標駐車位置まで車両を自動的に導く駐車支援装置において、
設定された目標駐車位置まで駐車開始位置の車両を導くために必要な車両の移動量及び車両の向きの変化量を、制御パラメータとして算出する制御パラメータ算出手段と、
前記算出された制御パラメータを記憶する記憶手段とを備え、
前記記憶手段から前記制御パラメータを読み出すと共に、該読み出された制御パラメータに基づいて、前記目標駐車枠を初期表示することを特徴とする、駐車支援装置によって達成される。
【0007】
本発明において、ユーザによる目標駐車位置の設定は、車両周辺の実画像と共に表示される目標駐車枠(例えば、駐車枠や車両の外形を模した図形)を、実際の駐車枠に対応する位置(向きを含む)まで移動させることにより行われる。ここで、目標駐車枠の初期位置(向きを含む)は、その後のユーザによる移動調整が可能な限り不要となるように、個々のユーザ(運転者)の運転特性に対応していることが望ましい。これに対して、本発明では、ユーザによる目標駐車位置の設定が終了した際、駐車目標位置に対する駐車開始位置の関係(即ち、設定された目標駐車位置まで駐車開始位置の車両を導くために必要な車両の移動量及び車両の向きの変化量(以下、この変化量を「偏向角」という)が、制御パラメータとして算出される。この算出された各制御パラメータは、ユーザの目標駐車位置の設定結果に基づくものであり、同ユーザの運転特性に対応していると考えられるため、次回以降の目標駐車位置の設定に際の目標駐車枠の初期表示に利用すべく記憶される。そして、次回以降の目標駐車位置の設定に際には、このようにして記憶された各制御パラメータに基づいて、目標駐車枠の初期表示を行う。従って、本発明によれば、ユーザによる過去の目標駐車位置の設定結果(即ち、過去の設定時に算出された制御パラメータ)に対応した位置(向きを含む)で目標駐車枠を初期表示することができるので、個々のユーザの運転特性に対応する位置(向きを含む)に目標駐車枠を初期表示することが可能となる。この結果、目標駐車位置の設定時間が大幅に短縮化される。
【0009】
また、請求項2に記載する如く、前記記憶手段は、前記算出された制御パラメータを、前記算出された変化量に対応付けて記憶するものであり、
駐車開始位置に至るまでの車両の走行状態に基づいて、目標駐車位置を推定すると共に、該推定された目標駐車位置まで駐車開始位置の車両を導くために必要な車両の向きの変化量を推定する推定手段を更に備え、
前記推定された変化量に応じた制御パラメータを記憶手段から読み出すと共に、該読み出された制御パラメータに基づいて、前記目標駐車枠を初期表示することとしてもよい。
【0010】
本発明において、算出された制御パラメータは、算出された偏向角(制御パラメータの1つでもある)に対応付けて記憶される。一方、本発明では、このようにして記憶された各制御パラメータに基づいて、目標駐車枠の初期表示を行う。従って、本発明によれば、ユーザによる過去の目標駐車位置の設定結果(即ち、過去の設定時に算出された制御パラメータ)に対応した位置(向きを含む)で目標駐車枠を初期表示することができるので、個々のユーザの運転特性に対応する位置(向きを含む)に目標駐車枠を初期表示することが可能となる。尚、目標駐車枠を初期表示する際に利用される制御パラメータは、駐車開始位置に至るまでの車両の走行状態に基づいて推定される偏向角に応じて、記憶手段から読み出される。ここで、駐車目標位置に対する駐車開始位置の位置関係は、そのときの偏向角によって異なる。従って、本発明によれば、目標駐車枠を初期表示する際、推定された偏向角に応じて選択される適切な過去の目標駐車位置の設定結果が利用されるので、より確実にユーザの運転特性に対応する位置(向きを含む)に目標駐車枠を初期表示することが可能となる。
【0011】
また、請求項に記載する如く、前記推定手段が、車両の走行中、所定の走行距離毎に常時車両の向きの変化を算出及び記憶し、該記憶した車両の向きの変化に基づいて、前記変化量を推定する場合には、車両がいつ駐車開始位置に停止しても偏向角の推定が可能である。即ち、偏向角の推定が常時可能となる。
【0012】
また、請求項4に記載する如く、請求項1〜3のいずれかに記載の駐車支援装置において、前記記憶手段は、前記算出された制御パラメータのうち、前記車両の移動量を、前記車両の向きの変化量に対応付けて記憶することとしてもよい。
【0013】
本発明において、前記算出された制御パラメータのうち前記車両の移動量は、偏向角の各範囲に応じて記憶することとしてもよい。この場合、記憶手段において車両の移動量と偏向角との対応付けがなされているので、算出された偏向角自体を記憶する必要はない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明による駐車支援装置の一実施例を示すシステム構成図である。図1に示す如く、駐車支援装置は、電子制御ユニット12(以下、「駐車支援ECU12」と称す)を中心に構成されている。駐車支援ECU12は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。ROMには、CPUが実行するプログラム(後述する各計算式に対応するプログラムを含む)や、車両の所定の諸元値(ホイールベース長L、オーバーオールギア比η等)が格納されている。
【0016】
駐車支援ECU12には、高速通信バス等の適切なバスを介して、ステアリングホイール(図示せず)の舵角Haを検出する舵角センサ16、及び、車両の速度Vを検出する車速センサ18が接続されている。車速センサ18は、各輪に配設され、車輪速に応じた周期でパルス信号を発生する車輪速センサであってよい。舵角センサ16及び車速センサ18の出力信号は、駐車支援ECU12に対して供給される。
【0017】
駐車支援ECU12には、リバースシフトスイッチ50及び駐車スイッチ52が接続されている。リバースシフトスイッチ50は、変速機レバーが後退位置に操作された場合にオン信号を出力し、それ以外の場合にオフ状態を維持する。また、駐車スイッチ52は、車室内に設けられ、ユーザによる操作が可能となっている。駐車スイッチ52は、常態でオフ状態に維持されており、ユーザの操作によりオン状態となる。駐車支援ECU12は、リバースシフトスイッチ50の出力信号に基づいて車両が後退する状況にあるか否かを判別すると共に、駐車スイッチ52の出力信号に基づいてユーザが駐車支援を必要としているか否かを判別する。
【0018】
駐車支援ECU12には、車両後部のバンパ中央部に配設されたバックモニタカメラ20、及び、車室内に設けられた表示モニタ22が接続されている。バックモニタカメラ20は、車両後方の所定角度領域における風景を撮影するCCDカメラであり、その撮影した画像信号を駐車支援ECU12に供給する。駐車支援ECU12は、リバースシフトスイッチ50及び駐車スイッチ52が共にオン状態にある場合に、表示モニタ22上にバックモニタカメラ20の撮像画像を表示させる。このとき、表示モニタ22上には、図2(車庫入れ駐車用の画面)に示すように、撮像画像上に目標駐車枠が重畳表示されると共に、駐車目標位置設定用のタッチスイッチが表示される。
【0019】
駐車目標位置設定用のタッチスイッチには、目標駐車枠を上下左右方向の並進移動及び回転移動させるためのタッチスイッチ、目標駐車枠を車軸中心に左右反転させる左右切替スイッチ、実行すべき駐車の種類を指定するための駐車選択スイッチ、及び、目標駐車枠の位置(向きを含む)の確定を行うための確定スイッチが含まれてよい。これらの各タッチスイッチは、その目的に応じて適切な段階で表示モニタ22上に表示される。
【0020】
目標駐車枠は、図3で破線により示すように、実際の駐車枠や車両の外形を模した図形であってよい。目標駐車枠は、また、その位置及び向きがユーザにより視認可能である形態を有し、車庫入れ駐車用の表示と縦列駐車用の表示の2種類が用意されてよい。表示モニタ22上での目標駐車枠の座標値は、目標駐車枠の位置及び向きを表わす座標系で管理されている。具体的には、表示モニタ22上での目標駐車枠の位置は、図3に示すように、車軸に相当する表示モニタ22上の軸をZ軸とし、当該Z軸に直交する軸をX軸とした表示モニタ22上での2次元座標系で表現され、例えば、目標駐車枠上の基準点Aの位置の座標(X,Z)として表現される。また、表示モニタ22上での目標駐車枠の向きは、Z軸に対する目標駐車枠の基準ラインBの傾きθにより管理されている。尚、縦列駐車の場合は傾けるべき車両の角度が既知(即ち、ゼロ)であるので、縦列駐車用の目標駐車枠の向きは、ユーザが変更できないものであってよい(即ち、θは、座標値Xの正負の符号に依存して正負の符号のみが変化する固定値)。以下、表示モニタ22上での目標駐車枠の位置及び向きを規定する(X,Z,θ)を表示パラメータと称する。
【0021】
ユーザは、駐車目標位置設定用のタッチスイッチを用いて、表示モニタ22上で目標駐車枠を移動させる(即ち、表示パラメータ(X,Z,θ)の各値を変更させる)ことで、目標駐車枠を実際の駐車枠に適合させる設定操作を表示モニタ22上で行う。即ち、ユーザは、タッチスイッチを用いて、表示モニタ22上で目標駐車枠を上下左右方向の並進移動及び回転移動させることで、目標駐車枠の位置(車庫入れ駐車用の目標駐車枠の場合、向きを含む)を実際の駐車枠の位置(向きを含む)に適合させる。このようにして位置(向きを含む)が調整された目標駐車枠は、ユーザが例えば確定スイッチを押すことにより、最終的な目標駐車枠として確定される(即ち、ユーザによる駐車目標位置の設定が完了する)。
【0022】
このようにして、最終的な目標駐車枠の位置(向きを含む)が確定される(即ち、表示パラメータ(X,Z,θ)の各値が確定される)と、駐車支援ECU12は、図4に示すように、駐車目標位置に対する駐車開始位置の関係、即ち、駐車開始位置から駐車目標位置まで移動すべき車両の移動量(X,Z)及び駐車開始位置から駐車目標位置まで傾けるべき車両の角度θを算出する(以下、(X,Z,θ)を「制御パラメータ」と称する)。この制御パラメータ(X,Z,θ)は、図4に示すように、車両の後軸中心を原点して、車幅方向をX軸、車両前後方向をZ軸とする実際の2次元座標系で定義されている。この制御パラメータの各値(X,Z,θ)は、上述の表示パラメータの各値(X,Z,θ)と一対一に対応している。従って、表示パラメータの各値(X,Z,θ)が決定されると、所定の変換式を用いて、制御パラメータの各値(X,Z,θ)の算出が可能であり、逆も同様である。尚、この変換式は、バックモニタカメラ20の搭載位置やバックモニタカメラ20の広角レンズのレンズ特性等を考慮して予め決定することができる。また、縦列駐車の場合、傾けるべき車両の角度が既知(即ち、ゼロ)であるので、制御パラメータθの算出は不要である。
【0023】
このようにして駐車目標位置に対する制御パラメータ(X,Z,θ)が決定されると、駐車支援ECU12は、当該制御パラメータ(X,Z,θ)に基づいて、現在の車両位置から駐車目標位置まで車両を導く目標軌跡を演算すると共に、目標軌跡上の各位置で転舵されるべき車輪の目標転舵角を演算する。
【0024】
更に、制御パラメータ(X,Z,θ)が決定されると、駐車支援ECU12は、制御パラメータ(X,Z,θ)を所定の書き換え可能な記憶手段12a(例えば、駐車支援ECU12のRAM)に記憶する。このとき、制御パラメータ(X,Z,θ)は、車庫入れ駐車の場合と縦列駐車の場合とで別々に記憶・管理される。
【0025】
具体的には、車庫入れ駐車の場合、図5に示すように、駐車目標位置に対して傾けるべき車両の角度θ(以下、この制御パラメータを「偏向角θ」という)に応じて、制御パラメータ(X,Z)の各値が分類されて記憶される。本実施例では、図5に示すように、偏向角θの範囲が0度から正負の方向に10度毎に設定されている。尚、図5中の偏向角θの符号は、図中左向き(即ち、車軸に対して反時計回り)に車両が偏向している場合を正としている。従って、本実施例の記憶手段12aには、偏向角θの各範囲に応じて18組の制御パラメータ(X,Z)が記憶されている(即ち、(Xc1,Zc1)〜(Xc18,Zc18))。尚、制御パラメータ(X,Z)が偏向角θの符号の相異によって別々に管理されているのは、駐車目標位置に対する駐車開始位置の関係が左右逆の車庫入れ駐車を行う場合でそれぞれ異なる傾向にあるという、一般的な運転者の運転特性を考慮したためである。
【0026】
また、縦列駐車の場合、偏向角θがゼロであるので、制御パラメータXの符号(車軸に対して左側を正とする)に応じて、制御パラメータ(X,Z)が分類されて記憶される。即ち、本実施例の記憶手段12aには、Xの符号が異なる2組の制御パラメータ(X,Z)のみが記憶されている(即ち、(Xc1,Zc1)及び(Xc2,Zc2)、但し、Xc1・Xc2<0)。ここで、制御パラメータ(X,Z)がXの符号の相異によって別々に管理されているのは、上述と同様に、駐車目標位置に対する駐車開始位置の関係が左右逆の縦列駐車を行う場合でそれぞれ異なる傾向にあるという、一般的な運転者の運転特性を考慮したためである。
【0027】
従って、駐車支援ECU12は、表示モニタ22上で目標駐車枠の位置が確定される毎(即ち、ユーザによる駐車目標位置の設定が完了する毎)に、制御パラメータ(X,Z,θ)を算出し、車庫入れ駐車の場合は、偏向角θの値に応じて制御パラメータ(X,Z)を更新・記憶すると共に、縦列駐車の場合は、Xの符号に応じて制御パラメータ(X,Z)を更新・記憶する。このようにして記憶手段12aに更新・記憶された制御パラメータ(X,Z)(又は、制御パラメータ(X,Z,θ))は、図6を参照して以下に詳説するように、次回以後に行われる駐車目標位置の設定の際、目標駐車枠の初期位置を決定するために利用される。尚、“目標駐車枠の初期位置”とは、ユーザが表示モニタ22上で駐車目標位置を設定する際に表示モニタ22上に最初に表示される“目標駐車枠の位置(向きを含む)”を指す。
【0028】
図6は、目標駐車枠の初期位置を適切に決定すべく、本実施例の駐車支援ECU12が駐車支援制御の前処理として実行する処理ルーチンのフローチャートである。本処理ルーチンは、車両が停止状態となり、リバースシフトスイッチ50及び駐車スイッチ52が共にオン状態とされた際に起動される。
【0029】
ステップ100では、先ず、車庫入れ駐車及び縦列駐車の何れかを実行すべきかをユーザに選択させるため、表示モニタ22上に駐車選択スイッチを表示する処理が実行される。車庫入れ駐車が選択された場合には、ステップ200以後の処理が実行され、縦列駐車が選択された場合には、ステップ300以後の処理が実行される。
【0030】
ステップ200では、駐車開始位置に至るまでの車両の走行状態に基づいて、駐車目標位置に対して傾けるべき車両の偏向角θを推定する処理が実行される。尚、この処理の詳細については、後述する。また、以下の説明において、走行状態に基づいて推定された偏向角について、説明上他の概念の偏向角θに対して特に区別する必要がある場合には、下付き文字を付して偏向角θestと示す。
【0031】
続くステップ210では、上記ステップ200で推定された偏向角θestに応じて、記憶手段12aから制御パラメータ(X,Z)を読み出す処理が実行される。このとき、駐車支援ECU12は、図5に示すようなマップを用いて、推定された偏向角θestの属する偏向角θの範囲を特定すると共に、当該偏向角θの範囲に応じた制御パラメータ(X,Z)を記憶手段12aから抽出する。
【0032】
続くステップ220では、上記ステップで導出された制御パラメータ(X,Z,θest)に対応する表示パラメータ(X,Z,θ)を算出すると共に、当該算出された表示パラメータ(X,Z,θ)に基づく位置及び向きで表示モニタ22上に目標駐車枠を表示する処理が実行される。即ち、本ステップ220において、車庫入れ駐車用の目標駐車枠の初期位置が決定される。また、本ステップ220では、目標駐車枠を左右反転させる機能を有する左右切替スイッチを表示する処理が更に実行されてよい。
【0033】
続くステップ230では、確定スイッチがユーザにより押されるまでに、目標駐車枠の初期位置に対するユーザの調整が実行されたか否かが判断される。目標駐車枠の初期位置に対するユーザの調整が実行された場合には、調整・確定後の表示パラメータ(X’,Z’,θ’)に対応する制御パラメータ(X’,Z’,θ’)を上述の如く新たに算出し、算出した偏向角θ’に応じて、算出した制御パラメータ(X’,Z’)を記憶手段12aに更新・記憶して、ステップ240に進む。一方、目標駐車枠の初期位置に対するユーザの調整が実行されずに確定スイッチが押された場合には、目標駐車枠の初期位置がユーザの意図に合致したものであったと判断できるため、更新・記憶処理が実行されることなく、ステップ240に進む。
【0034】
尚、本ステップ230において、代替的に、確定スイッチが押されるまでの、目標駐車枠に対するユーザの調整回数(即ち、タッチスイッチの操作回数)や目標駐車枠の移動量が所定の閾値よりも大きいか否かが判断されてもよい。この場合、例えばユーザの調整回数が4,5回程度であれば、目標駐車枠の初期位置がユーザの意図にある程度合致したものであったと判断できるため、目標駐車枠の初期位置の更新・記憶処理が実行されることなく、ステップ240に進む。
【0035】
また、本ステップ230において、上記ステップ220で表示モニタ22上に表示された左右切替スイッチが操作された場合、駐車支援ECU12は、上記ステップ200で推定された偏向角θestとは符号のみが異なる偏向角θest”に対応した制御パラメータ(X,Z)を読み出すと共に、表示モニタ22上に目標駐車枠を当該制御パラメータ(X,Z,θest”)に対応する位置及び向きで表示し直す。その後、上述の処理と同様、左右反転表示された目標駐車枠に対するユーザの調整が実行された場合には、調整・確定後の表示パラメータ(X’,Z’,θ’)に対応する制御パラメータ(X’,Z’,θ’)を上述の如く新たに算出し、算出した制御パラメータ(X’,Z’)を偏向角θ’に応じて記憶手段12aに更新・記憶して、ステップ240に進む。
【0036】
続くステップ240では、上記ステップ230で算出された制御パラメータ(X’,Z’,θ’)に基づいて、現在の車両位置(即ち、駐車開始位置)から駐車目標位置まで車両を導く目標軌跡を演算すると共に、目標軌跡上の各位置で転舵されるべき車輪の目標転舵角を演算し、駐車支援制御の前処理としての本処理ルーチンが終了される。尚、駐車支援ECU12による目標軌跡の演算は、目標駐車枠の位置(向きを含む)が確定する前、即ちユーザによる目標駐車枠の位置の変更毎に実行されてよい。この場合、駐車支援ECU12は、目標軌跡の演算が不能であると判断した際、確定スイッチの表示をキャンセルし、例えば表示モニタ22上に「ガイドできません」なるメッセージを表示してもよい。
【0037】
上記ステップ100で縦列駐車が選択された場合には、ステップ300において、縦列駐車の種類を判断する処理、即ち、ユーザが左側に縦列駐車を行おうとしているか、若しくは、右側に縦列駐車を行おうとしているかを判断する処理が実行される。この判断は、単に上述の駐車選択スイッチに縦列駐車の種類を選択できる機能を持たせることにより、実現されてもよい。或いは、前回実行した縦列駐車の種類と同一であると推定判断してもよい。
【0038】
続くステップ310では、上記ステップ300で判断された縦列駐車の種類に応じて、記憶手段12aから制御パラメータ(X,Z)を読み出す処理が実行される。例えば、左側に縦列駐車を行おうとしていると判断された場合には、Xが正の符号の制御パラメータ(X,Z)が記憶手段12aから読み出される。
【0039】
続くステップ320では、上記ステップ310で読み出された制御パラメータ(X,Z)に対応する表示パラメータ(X,Z,θ)(但し、θはXの符号に応じて正負が異なる所定の固定値)を算出すると共に、当該算出された表示パラメータ(X,Z)に基づく位置で目標駐車枠を表示モニタ22上に表示する処理が実行される。即ち、本ステップ320において、縦列駐車用の目標駐車枠の初期位置が決定される。また、本ステップ320では、目標駐車枠を左右反転させる機能を有する左右切替スイッチを表示する処理が更に実行されてよい。
【0040】
続くステップ330では、確定スイッチがユーザにより押されるまでに、目標駐車枠の初期位置に対するユーザの調整が行われたか否かを判断する処理が実行される。目標駐車枠の初期位置に対するユーザの調整が実行された場合には、調整・確定後の表示パラメータ(X’,Z’)に対応する制御パラメータ(X’,Z’)を上述の如く新たに算出し、算出した制御パラメータ(X’,Z’)をX’の符号(即ち、縦列駐車の種類)に応じて記憶手段12aに更新・記憶して、ステップ340に進む。一方、目標駐車枠の初期位置に対するユーザの調整が実行されずに確定スイッチが押された場合には、目標駐車枠の初期位置がユーザの意図に合致したものであったと判断できるため、更新・記憶処理が実行されることなく、ステップ340に進む。
【0041】
尚、本ステップ330において、代替的に、確定スイッチが押されるまでの、目標駐車枠に対するユーザの調整回数(即ち、タッチスイッチの操作回数)や目標駐車枠の移動量が所定の閾値よりも大きいか否かが判断されてもよい。
【0042】
また、本ステップ330において、上記ステップ320で表示モニタ22上に表示された左右切替スイッチが操作された場合、駐車支援ECU12は、上記ステップ310での判断とは異なる縦列駐車の種類に対応した制御パラメータ(X,Z)を読み出すと共に、表示モニタ22上に目標駐車枠を当該制御パラメータ(X,Z)に対応する位置で表示し直す。その後、上述の処理と同様、左右反転表示された目標駐車枠に対するユーザの調整が実行された場合には、調整・確定後の表示パラメータ(X’,Z’)に対する制御パラメータ(X’,Z’)を上述の如く新たに算出し、算出した制御パラメータ(X’,Z’)をX’の符号に応じて記憶手段12aに更新・記憶して、ステップ340に進む。
【0043】
続くステップ340では、上記ステップ330で算出された制御パラメータ(X’,Z’)に基づいて、現在の車両位置(即ち、駐車開始位置)から駐車目標位置まで車両を導く目標軌跡を演算すると共に、目標軌跡上の各位置で転舵されるべき車輪の目標転舵角を演算し、駐車支援制御の前処理としての本処理ルーチンが終了される。
【0044】
上述の駐車支援制御の前処理が終了すると、駐車支援ECU12による駐車支援制御が実行される。即ち、駐車支援ECU12は、車両が目標軌跡に沿って駐車目標枠内に導かれるように、自動操舵手段30、自動制動手段32及び自動駆動手段34を制御する。具体的には、運転者がブレーキペダルの踏み込み量を緩めることでクリープ力が発生し、車両の後退が開始すると、駐車支援ECU12は、駐車目標位置までの各車両位置において自動操舵手段30により車輪を自動的に目標転舵角だけ転舵させる。そして、最終的に車両が駐車目標位置に到達した際に、運転者に車両の停止を要求し(若しくは、自動制動手段32により車両を自動的に停止させ)、駐車支援制御が完了する。
【0045】
ところで、上述の目標駐車枠の初期位置は、駐車開始位置に至るまでの車両の走行状態に基づいて推定することも可能である。しかしながら、駐車目標位置に対する駐車開始位置の関係は、個々の運転者の運転特性によって異なるものである。このため、かかる推定手法では、必ずしも個々の運転者の運転特性を完全に反映することができず、目標駐車枠の初期位置が、ユーザの意図する駐車枠の位置(向きを含む)と一致しない場合もありうる。かかる場合、ユーザの意図する駐車枠に目標駐車枠を適合させるのに、ユーザが毎回同じようにタッチスイッチを操作しなければならず、位置合わせ操作が煩雑になるという不都合が生ずる。
【0046】
これに対して、本実施例によれば、上述の如く、目標駐車枠の初期位置を決定する際、過去のユーザによる目標駐車枠の設定結果が利用されている。具体的には、駐車目標位置の設定毎に、上記ステップ230及びステップ330において、ユーザによる目標駐車枠の設定結果が記憶手段12aに随時更新・記憶されるので、記憶手段12a内の制御パラメータが、ユーザ特有の駐車目標位置に対する駐車開始位置の関係に対応していくことになる。従って、本実施例によれば、ユーザ特有の駐車目標位置に対する駐車開始位置の関係に対応した制御パラメータが、上記ステップ210及びステップ310において読み出されることになり、個々のユーザの運転特性に対応した目標駐車枠の初期表示が可能となる。この結果、本実施例によれば、毎回同じように目標駐車枠の調整を行う必要をユーザに強いることがなく、駐車目標位置を設定するのに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0047】
また、本実施例では、上述の如く、車庫入れ駐車の場合には偏向角θに応じて目標駐車枠の設定結果が随時更新・記憶され、縦列駐車の場合には縦列駐車の種類(左又は右側の縦列駐車)に応じて目標駐車枠の設定結果が随時更新・記憶されている。従って、運転者の運転特性をより一層反映した目標駐車枠の初期位置の決定が可能となり、この結果、駐車目標位置を設定するのに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0048】
尚、本実施例では、車庫入れ駐車の場合において、10度毎の偏向角θで制御パラメータを記憶・管理するものであったが、より細分化することも可能であり、或いは、縦列駐車の場合と同様に、偏向角θの正負の符号に応じて制御パラメータを記憶・管理することも可能である。この後者の場合、記憶手段12aには、偏向角θの正負の符号に応じて2組の制御パラメータが記憶されることになる。
【0049】
次に、上記ステップ200において実行される偏向角θの推定方法について詳説する。ここで、偏向角θとは、上述の如く、駐車目標位置での車両(車両前後軸)の向きと駐車開始位置での同車両(車両前後軸)の向きとのなす角度として定義される。本実施例では、偏向角θは、所定の位置から駐車開始位置に至るまでの車両の向きの変化(以下、これを「首振り角α」と称する)に基づいて推定される。
【0050】
図7は、本実施例による偏向角θの推定方法の説明図である。図7に示すように、車庫入れ駐車が実施される場合、車両は、一般的に、略直進状態で駐車目標位置付近まで到達し、駐車目標位置付近から駐車目標位置から遠ざかる方向に向きを変え、駐車開始位置に至ると想定される。ここで、図7に示すように、車両が、駐車目標位置に対して垂直に直進していた場合、偏向角θは、ユーザがハンドルを切る前の位置から駐車開始位置に至るまでの車両の向きの変化(即ち、首振り角α)を用いて、(偏向角θest=90−首振り角α)として求めることができる。尚、首振り角αは、反時計回り方向を正とし、時計回り方向を負として定義される。従って、首振り角αが負の場合には、偏向角θは負の値であり、(偏向角θest=−90−首振り角α)として算出される。従って、首振り角αを推定することで、偏向角θの推定が可能となる。
【0051】
ここで、首振り角αは、一般的に、車両の微小移動距離をdsとし、γを路面曲率(車両の旋回半径Rの逆数に相当)とすると、数1の式により算出することができる。この数1の式は、βm手前の位置から現地点に至るまでの車両の向きの変化として、首振り角αを求めるものである。
【0052】
【数1】
Figure 0003891953
本実施例の駐車支援ECU12は、数1の式を変形した以下の数2の式に基づいて、所定の移動距離(本例では、0.5m)毎の微小首振り角αを算出すると共に、算出した各微小首振り角α1〜kを総和して首振り角αを算出する。
【0053】
【数2】
Figure 0003891953
この際、所定の移動距離(本例では、0.5m)は、車速センサ18の出力信号(車輪速パルス)を時間積分することによって監視される。また、路面曲率γは、舵角センサ16から得られる舵角Haに基づいて決定され、例えばγ=Ha/L・ηにより演算される(Lはホイールベース長、ηは車両のオーバーオールギア比(車輪の転舵角に対する舵角Haの比)である)。尚、微小首振り角αは、微小移動距離0.01m毎に得られる路面曲率γに当該微小移動距離0.01を乗算し、これらの乗算値を移動距離0.5m分積算することによって算出されてもよい。尚、路面曲率γと舵角Haとの関係は、予め車両毎に取得された相関データに基づいて作成されたマップとして、駐車支援ECU12のROMに格納されていてよい。
【0054】
本実施例の駐車支援ECU12は、車両が走行している間、舵角センサ16及び車速センサ18の出力信号に基づいて、微小首振り角αを常時算出すると共に、算出した微小首振り角αを記憶手段12aに記憶している。即ち、駐車支援ECU12は、車両が走行している間、車両の移動距離が0.5mに達する度に当該移動距離における微小首振り角αを算出しており、記憶手段12aには、少なくとも直近に算出された微小首振り角α14から13回前に算出された微小首振り角αまでの微小首振り角α1〜14が記憶されている。従って、記憶手段12a内のデータは、車両が移動距離0.5mだけ移動する度に、新たに算出された微小首振り角αにより更新され、記憶手段12aには、少なくとも最新の14回分の微小首振り角α1〜14(即ち、直近の7mの区間での微小首振り角α1〜14)が常時記憶されている。
【0055】
尚、記憶手段12aに記憶されている微小首振り角データは、イグニッションスイッチがオフにされた時点で全て消去される。従って、記憶手段12aには、イグニッションスイッチがオンとなり車両が走行し始めた際に、微小首振り角データが随時記憶されていき、車両が7m走行した後には、記憶手段12aは、最新の14回分の微小首振り角α1〜14が常時記憶された状態となる。
【0056】
本実施例の駐車支援ECU12は、偏向角θの推定が必要となった際(例えば、車両が駐車開始位置に停止した際)、記憶手段12aから最新の14回分の微小首振り角α1〜14を読み出すと共に、これらの微小首振り角α1〜14を足し合わせることにより、偏向角θの推定に必要な首振り角α(この場合、7m手前から略現地点まで移動した際の、車両の向きの変化)を算出する。そして、駐車支援ECU12は、推定した首振り角αの符号に応じて、選択的に(偏向角θest=90−首振り角α)及び(偏向角θest=−90−首振り角α)の何れかの式を用いて、偏向角θestを算出する。
【0057】
このように、本実施例によれば、車両の走行中から微小首振り角αの算出・記憶処理が実行されているため、偏向角θの推定が常時可能な状態を実現することができる。即ち、本実施例によれば、車両がいつ停止しても、偏向角θの推定が可能となる。また、本実施例では、上述の如く、首振り角αは、“停止位置に至る約7m手前からの車両の向きの変化”として算出されている。ここで、7mという数値は、駐車開始位置に至る際、駐車開始位置の手前約7m以内でハンドルを切り始めるという、運転者の運転特性に基づくものである。従って、本実施例によれば、偏向角θの算出の際に運転者の運転特性が反映されるので、車両の直進状態を判定することなく、高い精度で偏向角θの推定が可能となる。尚、本発明は、特にこの7mという数値に限定されるものでなく、この数値は7m±2mの範囲内で変更されてもよい。同様に、微小首振り角αに対応する0.5mという移動距離についても、0.25mや1.0mといった他の適切な数値であってもよい。
【0058】
尚、上述の実施例において、駐車支援ECU12は、偏向角θの推定が必要となった際、代替的に、記憶手段12aから読み出した最新の14回分の微小首振り角α1〜14に、現在算出中の微小首振り角αを更に足し合わせることにより、首振り角αを算出してもよい。ここで、現在算出中の微小首振り角αは、前回の微小首振り角α14の算出地点から停止位置までの移動距離(<0.5m)に、当該移動距離における路面曲率γを乗算することにより算出される。これにより、最新の微小首振り角α14の算出地点から5mに満たない地点で車両が停止した際、偏向角θの推定に必要な首振り角α(この場合、少なくとも7m手前から現地点まで移動した際の、車両の向きの変化)を精度良く算出することが可能となる。
【0059】
次に、本発明の第2実施例に係る駐車支援装置について説明する。本実施例の駐車支援装置は、駐車開始位置に至るまでの車両の走行状態に基づいて、上述と同様の推定手法により偏向角θを推定すると共に、更に、上述の制御パラメータ(X,Z)をも推定する。
【0060】
図8は、本発明による制御パラメータ(X,Z)の推定手法の説明図である。本実施例では、制御パラメータX(即ち、駐車目標位置における車両の後軸中心のX座標)は、
=(L1+ΔX+η)・cosα−(ΔZ−ζ)・sinα (式1)として算出される。また、制御パラメータZ(即ち、駐車目標位置における車両の後軸中心のZ座標)は、
=(L1+ΔX+η)・sinα+(ΔZ−ζ)・cosα (式2)として算出される。
【0061】
ここで、図8に示すように、L1は、車両の後軸中心から車両の前端部までの水平面内での距離[m]である。また、ηは、駐車目標位置に対して車両が垂直に近づく際の、車両の前後軸と駐車目標位置の前縁との横方向の間隔に相当する適合パラメータである。他言すると、ηは、駐車開始位置に至る直進状態の車両の前後軸から、駐車目標位置の同車両の前端部までの水平面内での距離[m](駐車目標位置の車両の前後軸方向での距離)に相当する。本実施例では、適合パラメータηは、運転者の運転特性を考慮して、η=1.5+車幅/2として固定値に設定される。
【0062】
また、ζは、ステアリングを切り始める際(より正確には、微小首振り角α14の算出開始地点)の車両の後軸中心位置から、駐車目標位置の車両の前後軸までの水平面内での距離[m](駐車目標位置の車両の幅方向での距離)に相当する適合パラメータである。本実施例では、適合パラメータζは、ζ=α/90×(Rmin−2.7)+2.7として、首振り角αに依存する可変値に設定される(Rminは、車両の最小旋回半径)。これは、首振り角αが大きいほど、駐車目標位置に対してより手前からステアリングを切り始めるという、運転者の運転特性に基づくものである。従って、首振り角αが大きいほど、適合パラメータζの値は大きくなる。
【0063】
また、上記式1及び式2において、ΔX及びΔZは、以下の数3の各式により算出される。
【0064】
【数3】
Figure 0003891953
なお、数3の各式において、0.5という数値は、上述の所定の移動距離0.5[m]に対応している。
【0065】
本実施例の駐車支援ECU12は、制御パラメータ(X,Z)の推定が必要となった際(例えば、車両が駐車開始位置に停止した際)、記憶手段12aから最新の14回分の微小首振り角α1〜14を読み出し、上記数3の式に基づいて、ΔX及びΔZを算出する。そして、駐車支援ECU12は、算出したΔX及びΔZ並びに上述の各適合パラメータ等を用いて、上記式1及び式2に基づいて、制御パラメータ(X,Z)を算出する。
【0066】
ここで、本実施例においても、上述の実施例と同様、車両の走行中から微小首振り角αの算出・記憶処理が常時実行されている。従って、本実施例によれば、車両がいつ停止しても、制御パラメータ(X,Z)の推定が可能となる。また、本実施例では、上述の如く、制御パラメータ(X,Z)は、運転者の運転特性に基づく適合パラメータη、ζを用いて算出されている。従って、本実施例によれば、制御パラメータ(X,Z)の推定の際に運転者の運転特性が反映されるので、高い精度で制御パラメータ(X,Z)の推定が可能となる。
【0067】
このようにして推定された制御パラメータ(X,Z)は、上述の実施例で説明したような駐車目標位置の設定に対して、車庫入れ駐車用の目標駐車枠の初期位置を決定する際に利用される。即ち、本実施例の駐車支援ECU12は、上述の如く推定した制御パラメータ(X,Z,θest)に対応する位置及び向きで、表示モニタ22上に目標駐車枠を初期表示する。この際、目標駐車枠の初期位置は、上述の如く高い精度で推定されているので、ユーザが何回もタッチスイッチを操作して目標駐車枠の調整を行なう必要がなく、駐車目標位置を設定するのに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0068】
尚、本実施例は、上述の実施例と有効に組み合わせることが可能である。例えば、上述の実施例において、過去の設定結果に基づく制御パラメータ(X,Z)が存在しない場合(即ち、初回の設定時)、本実施例により推定された制御パラメータ(X,Z)がデフォルト値に代わって利用されてもよい。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した各実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した各実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0070】
例えば、上述した実施例においては、記憶手段12aには、各偏向角θの範囲に対して一組の制御パラメータ(X,Z)が更新・記憶されているが、複数組の制御パラメータ(X,Z)が記憶されてもよい(即ち、制御パラメータ(X,Z,θ)がデータベース化されてよい)。この場合、複数組の制御パラメータ(X,Z)の平均値(Xave,Zave)が駐車支援ECU12により読み出されて、目標駐車枠の初期位置を決定する際に利用されてよい。
【0071】
また、上述した実施例においては、制御パラメータ(X,Z,θ)の算出後、偏向角θに応じて制御パラメータ(X,Z)が更新・記憶されているが、偏向角θに応じて、偏向角θを含む制御パラメータ(X,Z,θ)が更新・記憶される構成も可能である。この場合、上記ステップ210では、推定された偏向角θestに応じて制御パラメータ(X,Z,θ)が記憶手段12aから読み出されてよい(この場合、θest≠θでありうる)。そして、続く上記ステップ220において、制御パラメータ(X,Z,θ)に対応する表示パラメータ(X,Z,θ)を算出すると共に、当該算出された表示パラメータ(X,Z,θ)に基づく位置及び向きで表示モニタ22上に目標駐車枠を表示する処理が実行されてよい。即ち、かかる構成では、車両の走行状態に基づいて推定される偏向角θestは、記憶手段12aに記憶されている制御パラメータ(X,Z,θ)を読み出すためだけに用いられ、初期表示される際の目標駐車枠の向きを最終的に決定するのは、当該読み出された制御パラメータθ(即ち、前回以前の目標駐車枠の確定時に算出された偏向角θ)となる。
【0072】
また、上述した実施例においては、偏向角θに応じて、若しくは、制御パラメータXの符号に応じて、制御パラメータ(X,Z)を次回以降の目標駐車枠の初期表示のために更新・記憶するものであったが、偏向角θに応じて、若しくは、制御パラメータXの符号に応じて、表示パラメータ(X,Z,θ)を記憶手段12aに更新・記憶することも当然に可能である。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、個々の運転者の運転特性に対応する位置(向きを含む)に目標駐車枠を初期表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による駐車支援装置の一実施例を示すシステム構成図である。
【図2】表示モニタ上に表示される駐車目標位置設定用のタッチパネルの一例を示す図である。
【図3】撮像画像上に重畳表示される目標駐車枠の説明図である。
【図4】図4(A)は、縦列駐車の場合の制御パラメータの説明図であり、図4(B)は、車庫入れ駐車の場合の制御パラメータの説明図である。
【図5】偏向角θに応じて記憶・管理される制御パラメータの説明図である。
【図6】本実施例の駐車支援ECUが駐車支援制御の前処理として実行する処理ルーチンのフローチャートである。
【図7】駐車開始位置に至る車両の経路、及び、本実施例による偏向角θ(及び首振り角α)の推定方法の説明図である。
【図8】本発明による制御パラメータ(X,Z)の推定手法の説明図である。
【符号の説明】
12 駐車支援ECU
12a 記憶手段
20 バックモニタカメラ
22 表示モニタ
30 自動操舵手段
32 自動制動手段
50 リバースシフトスイッチ
52 駐車スイッチ

Claims (4)

  1. 車両周辺の実画像と共に表示される目標駐車枠を移動させることによりユーザによる目標駐車位置の設定が行われ、設定された目標駐車位置まで車両を自動的に導く駐車支援装置において、
    設定された目標駐車位置まで駐車開始位置の車両を導くために必要な車両の移動量及び車両の向きの変化量を、制御パラメータとして算出する制御パラメータ算出手段と、
    前記算出された制御パラメータを記憶する記憶手段とを備え、
    前記記憶手段から前記制御パラメータを読み出すと共に、該読み出された制御パラメータに基づいて、前記目標駐車枠を初期表示することを特徴とする、駐車支援装置。
  2. 前記記憶手段は、前記算出された制御パラメータを、前記算出された変化量に対応付けて記憶するものであり、
    駐車開始位置に至るまでの車両の走行状態に基づいて、目標駐車位置を推定すると共に、該推定された目標駐車位置まで駐車開始位置の車両を導くために必要な車両の向きの変化量を推定する推定手段を更に備え、
    前記推定された変化量に応じた制御パラメータを記憶手段から読み出すと共に、該読み出された制御パラメータに基づいて、前記目標駐車枠を初期表示することを特徴とする、請求項1記載の駐車支援装置。
  3. 前記推定手段は、車両の走行中、所定の走行距離毎に常時車両の向きの変化を算出及び記憶し、該記憶した車両の向きの変化に基づいて、前記変化量を推定する、請求項記載の駐車支援装置。
  4. 前記記憶手段は、前記算出された制御パラメータのうち、前記車両の移動量を、前記車両の向きの変化量に対応付けて記憶する、請求項1〜3のいずれかに記載の駐車支援装置。
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