JP3891452B2 - 多重露光ホログラム記録方法及び多重露光ホログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカラー液晶表示装置用のホログラムカラーフィルタ、2種類以上の波長の光を選択的に回折する必要のある多色表示に好適な多色表示ヘッドアップディスプレイのコイバイナー等の各種ホログラム光学素子、又は装飾用、偽造防止用のグラフィック多色ホログラム等に適用可能なホログラム及びその記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、異なる波長光または単一波長光を用いて同時露光し、ホログラムを多重記録することが知られている。又、2重又はそれ以上多重記録したホログラムカラーフィルタとして、本出願人はすでに特願平7ー290819号、特願平7ー290820号等で出願している。
図4はレーザの波長を変えて同時露光する例を示す図であり、基板1上に感光層2を形成した感材に対して、波長λ1の2光束(λ1(a)、λ1(b))、波長λ2の2光束(λ2(a)、λ2(b))を同時露光し、λ1(a)とλ1(b)、λ2(a)とλ2(b)をそれぞれ感光層中で干渉させ、その干渉縞を2重記録する。
【0003】
図5は同一波長で互いの角度が異なる3光束を同時露光する例を示す図であり、θ1の角度を有する波長λ(a)の2光束、θ2の角度を有する波長λ(b)の2光束、θ3の角度を有する波長λ(c)の2光束を、基板1上に感光層2を形成した感材に対して同時露光して干渉させることにより、それぞれの干渉縞を3重記録する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示した方法では、記録できる波長は、感材が吸収特性を有する波長でなければならない。この限られた吸収波長の中で2波長を選択する必要があるため、この中でレーザ出力が大きい波長は限られてしまうという問題がある。
また、図5に示した方法では、角度θ1をなす2光束、角度θ2をなす2光束、角度θ3をなす2光束同士の干渉の他、λ(a)とλ(b)或いはλ(c)、λ(b)とλ(c)の光束同士も干渉し、その干渉縞も同時に記録されてしまうという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、記録波長の限定を受けず、かつ不要な干渉縞を記録することなくホログラムを同時多重記録できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、感材面へ入射する光の電気ベクトルの振動方向が感材面と光の進行方向を含む入射面内にあるP偏光用の回折格子、及び感材面へ入射する光の電気ベクトルの振動方向が感材面と光の進行方向を含む入射面に垂直なS偏光用の回折格子が形成されたホログラム原版と感材を対向させ、P偏光、S偏光を再生光としてホログラム原版を照明し、前記各回折格子で回折された各回折光と各再生光とをそれぞれ干渉させて感材にホログラム原版の各回折格子像を同時記録することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1はP偏光同士、S偏光同士を同時露光する例を示す図である。
P偏光は、試料面へ入射する光の電気ベクトルの振動方向が入射面(試料面の法線と光の進行方向を含む面)内に含まれる直線偏光であり、S偏光は、試料面へ入射する光の電気ベクトルの振動方向が入射面に垂直な直線偏光である。P偏光とS偏光とは振動方向が直交しているため、互いに干渉しない。したがって、図1(a)に示すように、P偏光の2光束、S偏光の2光束を同時露光して感光層2内で干渉させることにより、図1(b)に示すようにP偏光(実線)、S偏光(破線)の干渉縞を記録することができる。
【0008】
図1(b)に示すホログラムは、P偏光とS偏光の干渉縞が共存しており、外光、蛍光灯のようなランダムな偏光成分を有する自然光に対して両干渉縞の回折効率はほぼ同じである。したがって、自然光を再生光として照明すると、両干渉縞の回折像が観察される。
【0009】
なお、P偏光、S偏光に限らず、光の電気ベクトルの振動方向が一方向で、互いにその振動方向が直交している直線偏光は干渉しないため、偏光方向が直交する2つの直線偏光を用い、同じ偏光方向の2光束同士を同時露光して干渉させることにより、それぞれの干渉縞を記録することができる。また、偏光面が右回転する右旋光と、偏光面が左回転する左旋光とは干渉しない性質があるので、回転方向の異なる円偏光、楕円偏光を用い、右旋光の2光束同士、左旋光の2光束同士を同時露光して干渉させることによっても多重記録することが可能である。
【0010】
図2はコンピュータ・グラフィックス・ホログラム(CGH)を用いて同時多重記録する例を示す図である。
図2(a)に示すCGH3は、P偏光用の回折格子(実線)とS偏光用の回折格子(破線)とが形成された透過型のレリーフホログラムからなる原版である。なお、P偏光、S偏光の回折格子を形成すること自体は知られている(OPTICA ACTA,1982.vol.29,No.10,1371〜1381)。この原版に対して基板1上に感光層2を形成した感材を対向させ、背面よりP偏光の再生波で照明すると、P偏光用の回折格子で回折され、この回折光と再生波の0次光とが感光層2中で干渉して、P偏光の干渉縞が記録される(図2(b)実線)。また、背面よりS偏光の再生波で照明すると、S偏光用の回折格子で回折され、この回折光と再生波の0次光とが感光層2中で干渉して、S偏光の干渉縞が記録される(図2(b)破線)。
【0011】
図2(b)に示すホログラムは、図1(b)のホログラムと同様、外光、蛍光灯のようなランダム偏光で照明すると、両干渉縞の回折像が観察される。
【0012】
次に、図2(a)のCGHの作製方法を図3により説明する。
図3(a)は、P偏光用のCGH4と、S偏光用のCGH5とをそれぞれ作製して貼り合わせたものであり、図3(b)は両面にP偏光用のCGH、S偏光用のCGHを形成したものである。P偏光用のCGH、S偏光用のCGHは、例えばリソグラフィ技術を用いて溝を形成したものであり、P偏光用のCGH4は、P偏光の光は回折するがS偏光の光に対しては透明であり、S偏光用のCGH5は、S偏光の光は回折するがP偏光の光に対しては透明である。したがって、P偏光の光、S偏光の光を再生光として照明すると、それぞれ回折像が再生されることになる。
【0013】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、特に波長を選択する必要がなく、かつ不要な干渉縞を発生することなく同時多重記録できるので、回折効率の大きい複数の干渉縞を同時記録することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のP偏光同士、S偏光同士を同時露光する例を示す図である。
【図2】 CGHを用いて同時多重記録する例を示す図である。
【図3】 P偏光、S偏光の回折格子を形成したCGHの作製方法を説明する図である。
【図4】 異なる波長光によるホログラム2重記録を説明する図である。
【図5】 同一波長によるホログラム3重記録を説明する図である。
【符号の説明】
1…基板、2…感光層、3…CGH、4…P偏光用CGH、5…S偏光用CGH。
Claims (1)
- 感材面へ入射する光の電気ベクトルの振動方向が感材面と光の進行方向を含む入射面内にあるP偏光用の回折格子、及び感材面へ入射する光の電気ベクトルの振動方向が感材面と光の進行方向を含む入射面に垂直なS偏光用の回折格子が形成されたホログラム原版と感材を対向させ、P偏光、S偏光を再生光としてホログラム原版を照明し、前記各回折格子で回折された各回折光と各再生光とをそれぞれ干渉させて感材にホログラム原版の各回折格子像を同時記録することを特徴とする多重露光ホログラム記録方法。
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JP16921196A JP3891452B2 (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 多重露光ホログラム記録方法及び多重露光ホログラム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP16921196A JP3891452B2 (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 多重露光ホログラム記録方法及び多重露光ホログラム |
Publications (2)
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JPH1020753A JPH1020753A (ja) | 1998-01-23 |
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JP16921196A Expired - Fee Related JP3891452B2 (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 多重露光ホログラム記録方法及び多重露光ホログラム |
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1996
- 1996-06-28 JP JP16921196A patent/JP3891452B2/ja not_active Expired - Fee Related
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