JP3891049B2 - 軸受の寿命予測方法及び軸受の寿命予測装置 - Google Patents

軸受の寿命予測方法及び軸受の寿命予測装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受の寿命を予測する軸受の寿命予測方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
転がり軸受の基本定格寿命L10に関してはJIS B1518:1992で規定されており、通常は次式のような計算式が用いられている。
10=(C/P) ・・・(1)
ここで、Cは転がり軸受の基本動定格荷重、Pは軸受に作用する動等価荷重である。また、pは荷重指数を表し、玉軸受の場合p=3、ころ軸受の場合p=10/3に設定される。この基本定格寿命L10は、信頼度が90%で、普通使用する材料を用いて、通常の製造品質で、且つ普通の使用条件におけるものである。
【0003】
一方、破損確率がn%のときの信頼度(100−n)%及び特殊な軸受特性並びに特定の使用条件に対する補正定格寿命Lnaは、次式のようになる。
na=a・a・a・L10 ・・・(2)
ここで、aは信頼度係数であって、下記表1で表記され、信頼度を高める程低い値となる。
【0004】
【表1】
Figure 0003891049
【0005】
また、aは軸受特性係数であって、材料改良による疲れ寿命の延長を補正する係数で、通常1.0とするが真空脱ガス軸受鋼材を使用すると1.0以上となり、高清浄度鋼になると高い値をとる。具体的には次のように決定される。
は、1.0以外の値として採用される場合、鋼の成分及び製造工程からだけで判断することは十分ではない。しかし、不純物が特に少ない鋼又は特別な成分の鋼から作った軸受では、a>1の値をとる。また、特殊な熱処理によって、硬さが低下した軸受では、aの値は小さくなる。さらに、潤滑不良が原因でaの値が1より小さい場合は、1を超えるaを適用したほうが良い。
【0006】
また、aは使用条件係数である。ここで、潤滑が正常であること、すなわち転動体と軌道との接触状態における潤滑油圧さが接触表面の合成粗さに等しいか、又はわずかに大きいことを前提として、前記基本定格荷重Cを計算している。この必要条件が満たされている場合は、使用条件によって材料の特性が変化して、この係数が小さくならない限り、a=1となる。そして、潤滑条件が良好でない場合は、a<1とするが、その値を規定するものでない。具体的には、十分な油膜厚さが期待できる場合にa≧1となるが、油接触部における潤滑油の粘度が低すぎる場合、転動体の周速が非常に遅い場合、軸受温度が高い場合及び潤滑剤の中に異物、水分が混入した場合にはa<1となる。
【0007】
このように、前記係数a,aの数値の定量化が規定されていないため、軸受寿命の予測式として、前記(1)式は十分とは言えないという課題があった。他方、NSKテクニカルジャーナル(No.655(1993)p17〜24の図9)に記載されているように、スーパークリーン(2段フィルタ使用)の場合は、実際の軸受寿命L10がJISの計算寿命の約20倍となり、マイルドコンタミネーションの場合に、JISの計算寿命程度で、更に、シビアコンタミネーションの場合は、JISの計算寿命の約1/7〜1/25となり、バラツキが非常に大きいことが報告されている。このため、実際の転がり軸受の寿命予測を行うのは非常に困難であり、正確寿命予測を行うことができない。
【0008】
また、古村、村上、阿部らの報告(ASTM STP 1195,J,JC.Hoo,Ed.,1993,p199〜210)に記載されているように、材料の清浄度の違いによって、転がり疲労限界を表す指標としてバタフライの発生限度が異なり、材料S(NSK標準材料)の発生限界が接触面圧=1850MPaに対して、清浄度の劣る材料Lのバタフライ発生限界は、1100MPaとなっている。従って、通常の軸受材料に関して、安全側に考えるとクリーンな潤滑下で、且つ理想的な状態下で使用される場合の接触面圧が1500MPa以下では、応力繰り返し数が1011サイクルに至っても剥離を生じないときの、動等価荷重を疲労限度荷重Puと考えることができる。
【0009】
さらに、日本トライボロジー会議予稿集(大阪 1997−11,p324〜326)に記載されているように、潤滑条件を表す指標として、油膜パラメータΛ〔=hmin /√(hr1 −hr2 ) hr1,hr2:接触2面の二乗平均粗さ、hmin:EHL油膜の最小厚さ〕が小さい場合(例えばΛ<3)、油膜が十分ある場合の寿命と比較して1/10程度に低下する場合と低下しない場合などがあり、この潤滑状態を表す指標として油膜パラメータΛではなく、他のパラメータとして表記する必要性がある。
【0010】
以上のような寿命現象をまとめると、軸受の寿命予測として検討する必要があるパラメータは、従来から考えられている軸受の基本定格荷重Cや軸受に負荷される動等価荷重Pの回転数Nだけでなく、潤滑状態や疲労限荷重を考慮したものでなければならないことが示される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これまでの寿命予測手法として、例えば特公昭63−34423号公報に開示されているように、転がり軸受のユニットから内外輪や転動体を分解した後、各軌道面を半径方向に電解研磨を行い、X線回折により材料の疲労度を測定することで、疲労解析により残存寿命を推定するシステムが挙げられる。
【0012】
この疲労解析では、疲労度をF=ΔB+K×ΔRAとして与えている。ここで、ΔBは半価幅減少量であり、Kは材料によって決定される係数であり、ΔRAは残留オーステナイト減少量である。このような疲労度の関係から、金属材料の転動部の転がり疲労前及び疲労後のマルテンサイト相のX線解析半価幅と、残量オーステナイト量(Vol%)とを測定し、金属部材の種類によって決まる定数をK、疲労していないときの残留オーステナイト量(Vol%)と疲労時のそれとの差分をΔRA、疲労していないときのマルテンサイト相のX線回折半価幅と疲労時のそれとの差分をΔBとして、前記疲労度の関係F=ΔB+K×ΔRAにそれらの値を代入し疲労度を求めている。
【0013】
そして、予め作成しておいた前記転動部の各部位に応じた基準から、このようにして求めることができる疲労度を評価し、当該各部位の疲労度を測定することで転がり疲れによる疲労解析をして、残存寿命を推定している。
しかし、このような残存寿命を推定するシステムでは、ユニットを一旦分解して軸受を切断するため、そのユニット自体を再利用することができなくなる。このようなことから、軸受のユニットを分解することなく、簡略化して寿命予測を実現することが望まれていた。
【0014】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みてなされたものであり、軸受のユニットを分解することなく軸受の残存寿命を予測し、しかもその予測を正確にできる軸受の寿命予測方法及び軸受の寿命予測装置の提供を目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記問題を解決するために、請求項1記載の発明に係る軸受の寿命予測方法は、軸受の使用を開始した後に当該軸受の潤滑剤の性状を測定し、測定した前記性状に基づいて軸受の寿命を算出することを特徴とする軸受の寿命予測方法で、基本動定格荷重をC、等価荷重をP、荷重指数をp、潤滑パラメータをa 、汚染度係数をa 、疲労限度荷重をPu、寿命補正係数をa NSK とし、前記潤滑パラメータa 、等価荷重Pと基本動定格荷重Cとの比P/C及び汚染度係数a が前記潤滑剤の性状により変化するものであって、前記軸受の使用開始後の前記潤滑剤の性状に応じた値になっている前記潤滑パラメータa 、比P/C及び汚染度係数a のうちの少なくとも1つの値を用い、ある信頼度係数a における軸受の寿命L を、
=a ・a NSK ・(C/P)
NSK ∝f〔a ,{(P−Pu)/C}・1/a
で算出し、前記性状を測定するまでに軸受を使用した使用時間を前記算出した軸受の寿命から引き算することで、その使用後に残されている前記軸受の残存寿命を算出することを特徴としている。
【0018】
また、請求項記載の発明に係る軸受の寿命予測装置は、軸受の使用を開始した後に測定した当該軸受の潤滑剤の性状に基づいて軸受の寿命を算出することを特徴とする寿命予測装置で、基本動定格荷重をC、等価荷重をP、荷重指数をp、潤滑パラメータをa 、汚染度係数をa 、疲労限度荷重をPu、寿命補正係数をa NSK とし、前記潤滑パラメータa 、等価荷重Pと基本動定格荷重Cと比P/C及び汚染度係数a が前記潤滑剤の性状により変化するものであって、前記軸受の使用開始後の前記潤滑剤の性状に応じた値になっている前記潤滑パラメータa 、比P/C及び汚染度係数a のうちの少なくとも1つの値を用い、ある信頼度係数a における軸受の寿命L を、
=a ・a NSK ・(C/P)
NSK ∝f〔a ,{(P−Pu)/C}・1/a
で算出し、
前記性状を測定するまでに軸受を使用した使用時間を前記算出した軸受の寿命から引き算することで、その使用後に残されている前記軸受の残存寿命を算出することを特徴としている。
【0021】
このように、請求項1及びに記載の発明では、使用開始後に軸受の潤滑剤の性状を測定し、その測定した潤滑剤の性状から軸受の寿命を算出することで、軸受のユニットを分解することなく軸受の残存寿命を予測している。すなわち、請求項1及びに記載の発明では、軸受のユニットを分解することなく取得可能な潤滑の潤滑剤の性状の情報から当該軸受の寿命に与える影響度を換算して、軸受の寿命を予測している。
【0022】
また、所定の式により残存寿命を算出しているが、それは次のような理由による。
【0023】
転がり軸受の寿命計算式の起源となっているのは、1947年に、Lundberg,GとPalmgren,Aとが「Dynamic Capacity of Rolling bearings」として、Acta Polytechnica,Mechanical Engineering of Basic Engineering,82,pp309〜320に発表されているように、下記(3)式が基本の考え方となっている。
【0024】
【数1】
Figure 0003891049
【0025】
しかしながら、この(3)式は、軸受の剥離寿命の考え方として、内部起点の考えを踏襲しているため完全ではない。このようなことから、NSKテクニカルジャーナル(No.671(2001年5月)p21〜29)に開示してある「玉軸受・ころ軸受におけるNSK新寿命計算式の開発」或いは特開平2002−148148号公報に開示している技術のように、内部起点のみではなく、潤滑剤粘度の影響や汚染度の影響を含めて表面起点型剥離の形態を考慮した式として、潤滑環境として新たに、汚染度係数aC}と潤滑パラメータaとを組込んだ下記(4)式及び(6)式を提案している。
【0026】
【数2】
Figure 0003891049
【0027】
そして、この(4)式を展開すると、軸受寿命を正確に予測できる式として、
=a・aNSK・(C/P) ・・・(5)
NSK∝f〔a,{(P−Pu)/C}・1/a〕・・・(6)
が得られる。ここで、Cは基本動定格荷重であり、Pは等価荷重であり、pは荷重指数であり、aは潤滑パラメータであり、aは汚染度係数であり、Puは疲労限度荷重であり、aNSKは寿命補正係数である。
【0028】
このように、寿命補正係数aNSKが、潤滑パラメータaと荷重パラメータ{(P−Pu)/C}・1/aの関数となることを知見した。そして、この寿命計算式が高精度で軸受寿命の予測をするものとして提案した。
なお、この寿命計算式により求める軸受の寿命は、急激な使用環境の変化に伴うユニット中の潤滑剤(油)の劣化(粘度低下など)を考慮したものではなく、ユニット中の潤滑剤が定期的に交換されることにより、潤滑剤の粘度が一定であることを前提としたものである。
【0029】
請求項及びに記載の発明では、高精度で軸受寿命の予測ができるこのような寿命計算式の変数のうちから前記潤滑剤の性状に応じて変化する変数を特定して、軸受を使用開始した後に軸受の潤滑剤の性状に応じて変化した前記特定の変数を用いて前記寿命予測式により軸受の寿命を算出している。
また、請求項及びに記載の発明では、軸受を使用開始した後の潤滑剤の性状に基づいて算出した軸受の寿命から、潤滑剤の性状を測定するまでに軸受を使用した使用時間を引き算し、その使用後に残されている軸受の残存寿命を算出している。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明が適用された軸受の残存寿命の計算は、NSKテクニカルジャーナル(No.671(2001年5月)p21〜29)に開示してある「玉軸受・ころ軸受におけるNSK新寿命計算式の開発」或いは特開平2002−148148号公報に開示してある軸受寿命の計算式が基本になっている。
【0031】
すなわち、1947年に、Lundberg,GとPalmgren,Aとが「Dynamic Capacity of Rolling bearings」として、Acta Polytechnica,Mechanical Engineering of Basic Engineering,82,pp309〜320に発表されているように、転がり軸受の寿命計算式の起源としして下記(3)式がある。
【0032】
【数3】
Figure 0003891049
【0033】
しかしながら、この(3)式は、軸受の剥離寿命の考え方として、内部起点の考えを踏襲しているため完全ではない。このようなことから、NSKテクニカルジャーナル(No.671(2001年5月)p21〜29)に開示してある「玉軸受・ころ軸受におけるNSK新寿命計算式の開発」或いは特開平2002−148148号公報に開示してあるように、内部起点のみではなく、潤滑剤粘度の影響や汚染度の影響を含めて表面起点型剥離の形態を考慮した式として、潤滑環境として新たに、汚染度係数aと潤滑パラメータaとを組込んだ下記(4)式を提案した。
【0034】
【数4】
Figure 0003891049
【0035】
そして、この(4)式を展開すると、軸受寿命を正確に予測できる式として、
=a・aNSK・(C/P) ・・・(5)
NSK∝f〔a,{(P−Pu)/C}・1/a〕・・・(6)
が得られる。ここで、Cは基本動定格荷重であり、Pは等価荷重であり、pは荷重指数であり、aは潤滑パラメータであり、aは汚染度係数であり、Puは疲労限度荷重であり、aNSKは寿命補正係数である。
【0036】
このように、寿命補正係数aNSKが、潤滑パラメータaと荷重パラメータ{(P−Pu)/C}・1/aとの関数となることを知見した。そして、前記(6)式の変数中、a,P/C,aの変数が潤滑剤の性状に応じて変化するものである。
本発明を適用した軸受の残存寿命の計算は、そのように潤滑剤の性状に応じてa,P/C,aの変数が変化することを利用するものであって、軸受を一定時間使用した後に当該軸受の潤滑剤の性状を測定し、その測定した性状に応じたa,P/C,aの値を取得し、取得した当該a,P/C,aの値を用いて前記(5)及び(6)式から軸受の残存寿命を予測するというものである。以下にその詳細について説明する。なお、以下の説明は、潤滑剤が潤滑油である場合を前提とする。
【0037】
先ず、潤滑油の性状に応じて変化する潤滑パラメータaに基づいて次のように軸受の残存寿命を予測することができる。なお、ここでは、前記(5)式及び(6)式中の他の変数については既知であり、潤滑パラメータaだけが異なっている場合を前提にする。
軸受を使用すると潤滑油の粘度は低下し、その粘度の低下により潤滑パラメータaが通常の値よりも低い値として得られるようになる。このようなことから、軸受を一定時間使用した後に軸受のユニット内から潤滑油を採取することで、潤滑油の粘度が低下していれば、それに応じた潤滑パラメータaを得ることができる。例えば、所定推定時の温度における潤滑油の粘度低下した場合のものとして潤滑パラメータaを取得する。
【0038】
ここで、粘度に応じた潤滑パラメータaの取得については、具体的には、粘度比κの関数F(κ)としての潤滑パラメータaを取得する。これについては特開平2002−148148号公報に記載されていることでもあるが、概略次のように行う。
粘度比κは下記(7)〜(10)式により表すことができる。
【0039】
κ=ν/ν’ ・・・(7)
ν’=A・ν ・・・(8)
ν=K・4500/√(N・dm) ・・・(9)
K=(1000/N)1/3 ・・・(10)
ここで、νは運転粘度であり、νは必要粘度であり、ν’は必要粘度νを補正して得た補正必要粘度である。また、Aは軸受性能係数であり、この軸受性能係数Aについては通常はA=1.0に設定するが、軸受性能(真円度、粗さなど)が良好な場合はA<1.0に設定する。また、dmはピッチ円直径であり、Nは軸受回転数である。また、Kは、軸受回転数Nが1000min−1以下である場合に前記(10)式により設定される係数であり、N>1000min−1である場合には“1”に設定される係数である。
【0040】
このような粘度比κから関数F(κ)として潤滑パラメータaを表すことができ、潤滑油の性状を考慮して潤滑パラメータaを決定することができるようになる。
ここで、例えば、このように表すことができる粘度比κが大きい値である場合には、潤滑油の状態が良好であり、このとき、潤滑パラメータaは大きい値をとり、その結果、軸受の寿命が長いと推定される関係になる。また、粘度比κが小さい値である場合には、潤滑油の状態が良好ではなく、この場合、潤滑パラメータaは小さい値をとり、その結果、軸受の寿命が短いと推定される関係になる。
【0041】
そして、このような潤滑パラメータaを用いて残存寿命を算出する。ここで、残存寿命は、軸受を使用開始した後に残されている当該軸受の寿命であり、具体的には、前述のようにして算出した軸受の寿命からそれまでの使用時間を引き算することで得ることができる。
具体例を挙げて説明すると残存寿命の算出は次のようになる。
【0042】
先ず、軸受を一定時間使用した後に、その軸受の潤滑油の性状に応じて潤滑パラメータaが0.8として得られた場合、このa=0.8を用いて前記(5)式及び(6)式により軸受の寿命を算出する。このように算出した寿命は、測定した潤滑油の性状が当該軸受の寿命に与える影響度として換算して得られたものになる。ここで、その算出結果が40hrであったとする。
【0043】
次に、そのようにして算出した寿命から前記一定時間を引き算する。すなわち、前記算出結果が40hrであり、ここで、前記一定時間が10hrであったとすれば、残存寿命を40−10=30hrとして得ることができる。
ここで比較例として、例えば軸受の使用開始前に設定した潤滑パラメータ(初期の潤滑パラメータ)がa=1.0である場合に、この値を用いて同様に残存寿命を算出した場合は次のようになる。
【0044】
先ず、軸受を一定時間使用した後に、潤滑パラメータa=1.0を用いて前記(5)式及び(6)式により軸受の寿命を算出する。そして、その算出結果が100hrであったとする。
次に、そのようにして算出した寿命から前記一定時間を引き算する。すなわち、前記算出結果が100hrであり、ここで、前記一定時間が前述した場合と同様に10hrであったとすれば、残存寿命を100−10=90hrとして得ることができる。
【0045】
このように、軸受の使用の如何に関わらず初期の潤滑パラメータaを用いて残存寿命を算出した場合と比較して、軸受の使用後の潤滑油の性状に応じた潤滑パラメータaを用いたものの方が残存寿命が小さくなる。
以上のように、軸受の使用後の潤滑油の性状に応じて変化する潤滑パラメータaに基づいて軸受の残存寿命を予測している。そして、この残存寿命の予測では、軸受の潤滑油の性状に基づいて行っていることから、軸受のユニットを分解することなく軸受の残存寿命を予測することを実現している。
【0046】
なお、軸受のユニット内のオイル交換等を行った場合、それまでの時間を考慮して、残存寿命を予測するようにする。
次に、潤滑油の性状に応じて変化する{(P−Pu)/C}・1/aの項のP/C,aの値に基づいて次のように軸受の残存寿命を予測することができる。先ず、荷重を示すP/Cの場合を説明する。
【0047】
図1は、応力繰り返し数(REV)と潤滑油の粘度との関係を、荷重P/Cをパラメータとする特性図を示す。縦軸は、具体的には、粘度低下率を示しており、軸受の使用開始時点の潤滑油の粘度と軸受の使用開始後(応力繰り返し数の計数開始後)の潤滑油の粘度との比を示す。すなわち、粘度低下率は、軸受の使用開始時点では、“1” となり、軸受の使用開始後にその値が低下する。
【0048】
この特性図は、軸受のユニット中の荷重P/Cの値が大きい場合、短時間であっても潤滑油の粘度が低下する場合があることを利用して得た特性図である。この特性図によれば、潤滑油の粘度と応力繰り返し数(REV)とが既知であれば、荷重P/Cが得られる。ここで、応力繰り返し数は、使用時間に対応する。
よって、このような特性図を予め用意し、さらに各潤滑油毎にその特性図を用意をしておくことで、軸受の使用後に潤滑油を採取し、その粘度と軸受の使用時間に対応する応力繰り返し数(REV)とを得ることで、それらの値に対応する軸受荷重P/Cを決定できる。
【0049】
そして、この軸受荷重P/Cを用いて、前述の潤滑パラメータaの場合と同様に残存寿命を算出する。すなわち、軸受を一定時間使用した場合に得た軸受荷重P/Cを用いて前記(5)式及び(6)式により軸受の寿命を算出し、その算出した寿命から前記一定時間を引き算し、残存寿命を算出する。
このように、潤滑油の性状に応じて変化する荷重P/Cの値を用いて軸受の残存寿命を予測することができる。
【0050】
次に、汚染度係数aの場合を説明する。
汚染度係数aは、採取した潤滑油中の異物量を測定して得られる。例えば、汚染度係数aは下記表2に示す関係から潤滑油の性状に対応して得られる。
【0051】
【表2】
Figure 0003891049
【0052】
そして、この汚染度係数aを用いて、前述の潤滑パラメータaの場合と同様に残存寿命を算出する。すなわち、軸受を一定時間使用した場合に得た汚染度係数aを用いて前記(5)式及び(6)式により軸受の寿命を算出し、その算出した寿命から前記一定時間を引き算し、残存寿命を算出する。
なお、汚染度係数aを得るための潤滑油中の異物量の測定については、軸受のユニットから潤滑油をできるだけ多くの量、例えば50〜500cc、好ましくは100cc以上を採取して行うようにする。また、このとき、潤滑油を十分に攪拌して潤滑油中の異物濃度を均一にしてから潤滑油を採取することが望ましい。そして、採取したサンプルの潤滑油をろ過し、異物を抽出し、異物の種類、大きさや数を計測する。例えばEPMA(電子プローブマイクロアナライザ)を用いて異物の種類、大きさや数を計測する。
【0053】
なお、簡易的な方法としては、日本ポール株式会社の商品名「高圧ラインフィルター9660シリーズ」のように、フィルター中を通過する絶対ろ過粒度MIL−F−8815を利用し、ISO洗浄度コード(NAS1638)に潤滑油の汚染度を換算することにより得ることもできる。
また、異物の大きさと数のみで潤滑油の汚染度を簡易的に求めることもできるが、異物の硬さが軸受寿命低下に大きく影響するためことも考慮し汚染度係数aを決定するようにしてもよい。すなわち例えば、異物が硬い場合には、汚染度のランクを低く見積って汚染度係数aを決定するといったようにである。
【0054】
以上のように、潤滑油の性状に応じて変化する{(P−Pu)/C}・1/aの項のP/C,aの値に基づいて軸受の残存寿命を予測することができる。また、この残存寿命の予測では、軸受の潤滑油の性状に基づいて行っていることから、軸受のユニットを分解することなくその予測が実現されたものとなる。
なお、前述の説明では、荷重P/C及び汚染度係数aそれぞれについて残存寿命を計算する場合について説明しているが、採取した潤滑油の性状から荷重P/C及び汚染度係数aの両方を同時に得て、この荷重P/C及び汚染度係数aに基づいて残存寿命を計算してもよい。
【0055】
ここで、これを具体例を挙げて説明する。すなわち、先ず、軸受を一定時間使用した後に、その軸受の潤滑油の性状に応じて荷重P/C及び汚染度係数aを得て、それら値を用いて前記(5)式及び(6)式により軸受の寿命を算出する。そして、その算出結果が500hrであったとする。次に、そのようにして算出した寿命から前記一定時間を引き算する。すなわち、前記算出結果が500hrであり、ここで、前記一定時間が100hrであったとすれば、残存寿命を500−100=400hrとして得ることができる。
【0056】
このように、潤滑油の性状に応じて変化したP/C,aの値に基づいて軸受の残存寿命を予測することができる。
一般的に、軸受に作用した荷重条件が不明な場合が多い。このようなことから、潤滑油を採取してその情報から荷重条件であるP/Cの値を取得することができるので、そのように荷重条件が不明な場合でも、正確に軸受の残存寿命を予測することができる。
【0057】
例えば、基本動定格荷重Cについては軸受名番が既知であればカタログ或いは計算式から得ることができるが、動等価荷重Pを得ることができない場合がある。このような場合でも、荷重条件であるP/C自体の値を得ることができるので、正確に軸受の残存寿命を予測することができるようになる。
なお、動等価荷重Pについては下記(11)式により得ることは可能である。
【0058】
P=f(X・Fr+Y・Fa) ・・・(11)
ここで、fは、荷重係数であり、運転条件或いは使用個所により決定される値である。例えば、衝撃のない円滑運転で、電動機、工作機械、空調機械等に使用する場合には、f=1.0である。また、Frはラジアル荷重であり、Faはアキシャル荷重であり、X及びYはそれぞれラジアル係数及びアキシャル係数であって、諸元情報として得ることができる値である。
【0059】
次に、前述の軸受の残存寿命の計算を実現するコンピュータシステムについて説明する。なお、ここでは、a,P/C,aの全ての値を用いて軸受の残存寿命の算出を行う場合について説明する。
図2は、そのコンピュータシステムの構成例を示し、図中、1はパーソナルコンピュータであって、パーソナルコンピュータ1が、コンピュータ本体2と、これに接続された液晶又はCRTで構成されるディスプレイ3、キーボード4及びマウス5と、コンピュータ本体2に接続されたプリンタ6とを備えている。
【0060】
そして、コンピュータ本体2の内部回路は、図3に示すように、中央演算処理装置11と、この中央演算処理装置11にシステムバス12を介して接続されたROM,RAM等の記憶装置13と、ディスプレイ3をシステムバス12に接続するディスプレイコントローラ14と、キーボード4をシステムバス12に接続するキーボードインタフェース15と、マウス5をシステムバス12に接続するマウスインタフェース16と、プリンタ6をシステムバス12に接続する入出力インタフェース17と、システムバス12にハードディスクコントローラ18を介して接続されたハードディスク19とを備えている。
【0061】
ここで、ハードディスク19には、オペレーティングシステムが格納されていると共に、転がり軸受の残存寿命予測を行う寿命予測アプリケーションソフト及び転がり軸受の諸元情報や特性データが格納されている。特性データとしては、前記図1に示した応力繰り返し数(REV)と潤滑油の粘度との関係を荷重P/Cをパラメータとして示すデータであって、各潤滑油毎の特性データ或いはテーブル(以下、P/C特性データという。)や、粘度と潤滑パラメータaとが対応されている特性データ或いはテーブル(潤滑パラメータ特性データという。)が挙げられる。
【0062】
このような構成からなるコンピュータシステム1は、残存寿命予測のためのデータが入力されるようになっている。図4は、ディスプレイ3に表示されるそのようなデータ入力のためのデータ入力画面を示す。
入力画面は、停止時間(運転時間)を入力する停止時間入力領域31と、潤滑油の種類を入力する潤滑油種類入力領域32と、潤滑油の粘度を入力する潤滑油粘度入力領域33と、汚染度係数aを入力する汚染度係数入力領域34とが表示される。ここで、例えば、潤滑油種類入力領域32は、いわゆるコンボボックスの形態とされており、図1に示した特性データを予め得ている複数種類の潤滑油から選択可能にしている。また、入力画面は、残存寿命計算の実行をする計算実行ボタン35と、前画面に戻るための戻るボタン36と、メニューボタン24と、終了ボタン25とが表示されている。
【0063】
図5は、このコンピュータシステムが実行する残存寿命の計算に係る処理内容を示す。
先ず、コンピュータシステムは、ステップS11において、前記図4に示す入力画面に入力されたデータを取得して、続くステップS12において、その入力データ中の停止時間データ、潤滑油の種類データ、及び粘度データから荷重P/C及び潤滑パラメータaを取得する。
【0064】
前述したようにハードディスク19に予め取得したP/C特性データが格納されており、このP/C特性データを参照して、停止時間データ、潤滑油の種類データ、及び粘度データに各データに基づいて対応する荷重P/Cを取得する。さらに、ハードディスク19に格納されている潤滑パラメータ特性データが格納されれており、この潤滑パラメータ特性データを参照して、粘度データに対応される潤滑パラメータaを取得する。
【0065】
そして、コンピュータシステムは、ステップS13において、残存寿命計算を実行して、入力データである汚染度係数a及び停止時間データ、並びに前記ステップS12にて取得した荷重P/C、潤滑パラメータaを用いて、残存寿命を算出する。すなわち、軸受を一定時間使用した後に、潤滑パラメータa、荷重P/C及び汚染度係数aの値を用いて前記(5)式及び(6)式により軸受の寿命を算出し、その算出した寿命から停止時間データである一定時間を引き算し、残存寿命を算出する。
【0066】
このような構成をなすコンピュータシステムにおいて、キーボード4やマウス5が操作されて停止時間入力領域31、潤滑油種類入力領域32、潤滑油粘度入力領域33、及び汚染度係数入力領域34それぞれにデータが入力され、計算実行ボタン35が選択されると、前記図5に示した処理内容により残存寿命計算が開始されて、その入力データに対応される残存寿命が算出される。そして、算出結果である残存寿命がディスプレイ3上に表示される。
【0067】
なお、入力画面については、前記図4に示した表示形態に限定されるものではなく、ユーザに入力要求するデータに応じた形態とされることはいうまでもない。また、処理内容についても、前記図5に示した処理内容に限定されるものではなく、例えばユーザに入力要求するデータに応じて入力画面の形態が図4と異なるものであれば、それに応じて最適に処理できる処理内容になる。
【0068】
また、このコンピュータシステムは、本発明に係る軸受の寿命予測装置を構成するものであって、その構成を中央演算処理装置11の演算処理により実現している。
次に実施例を説明する。
下記表3には、呼び番号が「6206」の玉軸受を用いた場合の、試験停止時間などの試験条件、実験結果(実測)としての寿命(以下、実寿命という。)、従来の寿命計算式(JIS B 1518)による予測寿命(以下、JIS寿命という。)、並びに新寿命計算式による予測寿命を示す。
【0069】
【表3】
Figure 0003891049
【0070】
新寿命計算式による予測寿命は、特開平2002−148148号公報に開示してあるように前記(5)式及び(6)式を用いて得た寿命である。また、軸受の試験個数Nを10個として、寿命L10を求めている。
さらに、試験を中断して、そのときの潤滑油の性状を測定し、本発明による残存寿命の予測に必要な情報を得て、残存寿命を算出した。また、同時に、軸受の疲労解析を行い、その疲労解析に基づいて残存寿命も予測した。なお、表中において、「寿命予測hr」の欄において、上段(カッコの数値)が前記新寿命計算式による予測寿命の値であり、下段が残存寿命算出前の値、すなわち前記(5)式及び(6)式に、軸受の試験後の潤滑油の性状に応じて変化したa,P/C或いはaの値を入れて得た寿命(以下、性状変化換算寿命という。)の値である。
【0071】
また、内輪回転数は、それぞれN=3000,2000,1000rpmにて行い、潤滑油として違うタービン油を用い、試験温度は90〜100℃とした。そして、第1実施例では荷重P/C=0.1とし、第2実施例では荷重P/C=0.3とし、第3実施例では荷重P/C=0.5とした。
第1実施例では、100hrで試験を中断しており、実寿命が580hrであるのに対して、JIS寿命が5556hrとなり、性状変化換算寿命が560hrとなっており、ここで、JIS寿命と実寿命との関係について言及すれば、JIS寿命が5556hrであるのに対して実寿命が580hrとなりJIS寿命の約1/10倍となっている。
【0072】
そして、残存寿命では、実寿命によるものが480hr(=580−100)であるのに対して、本発明による残存寿命が460hr(560−100)となり、実寿命による残存寿命と本発明による残存寿命とが略一致する結果となった。また、疲労解析による残存寿命では、400hr以上となり、本発明による残存寿命の寿命予測の方が精度が高いことがわかる。
【0073】
なお、試験を中断するまでの100hrは、18×10REVであり、さらにこのとき採取した潤滑油の測定からその粘度の低下を認めることができなかったことから、この場合、荷重P/Cは、前記図1の特性図を参照すれば、P/C=1.0となり初期の値とほとんど変化はなく、作用させた荷重と推定した荷重とが同値なる。すなわち、第1実施例では、荷重P/Cについては潤滑油の特性変化による影響はなく、残存寿命に対して影響しない。
【0074】
第2実施例では、1000hrで試験を中断しており、実寿命が3500hrであるのに対して、JIS寿命が1042hrとなり、性状変化換算寿命が3436hrとなっており、ここで、JIS寿命と実寿命との関係について言及すれば、JIS寿命が1042hrであるのに対して実寿命が3500hrとなりJIS寿命の約3.5倍となっている。
【0075】
そして、残存寿命では、実寿命によるものが2500hr(=3500−1000)であるのに対して、本発明による残存寿命が2436hr(3436−1000)となり、実寿命による残存寿命と本発明による残存寿命とが略一致する結果となった。また、疲労解析による残存寿命では、2000hr以上となり、本発明による残存寿命の寿命予測の方が精度が高いことがわかる。
【0076】
なお、試験を中断するまでの1000hrは、120×10REVであり、さらにこのとき採取した潤滑油の測定結果からその粘度の低下がκ=1.6から1.2に変化し、従って、この粘度低下率が0.75となり、この場合、荷重P/Cは、前記図1の特性図を参照すれば、P/C=0.3となりほとんど変化はなく、作用させた荷重と推定した荷重とが同値なる。すなわち、第2実施例についても、荷重P/Cについては潤滑油の特性変化による影響はなく、残存寿命に対して影響を及ぼさない。
【0077】
第3実施例では、20hrで試験を中断しており、実寿命が80hrであるのに対して、JIS寿命が133hrとなり、性状変化換算寿命が74hrとなっており、ここで、JIS寿命と実寿命との関係について言及すれば、JIS寿命が133hrであるのに対して実寿命が80hrとなりJIS寿命よりも短くなっている。
【0078】
そして、残存寿命では、実寿命によるものが60hr(=80−20)であるのに対して、本発明による残存寿命が54hr(74−20)となり、実寿命による残存寿命と本発明による残存寿命とが略一致する結果となった。また、疲労解析による残存寿命では、50hr以上となり、本発明による残存寿命の寿命予測の方が精度が高いことがわかる。
【0079】
なお、試験を中断するまでの20hrは、1.2×10REVであり、さらにこのとき採取した潤滑油の測定からその粘度の低下がκ=1.5から0.9であり、このときの粘度低下率が0.6となり、この場合、荷重P/Cは、前記図1の特性図を参照すれば、P/C=0.5となりほとんど変化はなく、作用させた荷重と推定した荷重とが同値なる。すなわち、第3実施例についても、荷重P/Cについては潤滑油の特性変化による影響はなく、残存寿命に対して影響を及ぼさない。
【0080】
以上のような実施例から、本発明によれば、精度よく残存寿命を予測できるのがわかる。
なお、前述の実施の形態では、軸受を使用開始した後の潤滑油の性状に応じて軸受を寿命を算出し、その算出した軸受の寿命からそれまで使用してきた使用時間を引き算して軸受の残存寿命を求めているが、軸受の寿命だけを求めるようにしてもよい。すなわち、軸受を使用開始した後の潤滑油の性状に応じて軸受を寿命を算出することに留めるようにしてもよい。このような軸受の寿命でも、ユーザに有用な情報として提供されるようになる。
【0081】
また、前述の実施の形態では、寿命計算式を具体的に挙げているが、これに限定されるものではない。すなわち、他の寿命計算式を用いてもよく、この場合、測定した潤滑剤の性状からその寿命計算式で用いる変数を取得し、取得した変数を用いて当該寿命計算式により軸受の寿命を算出する。
また、前述の実施の形態では、寿命予測対象が玉軸受である場合について説明したが、寿命予測対象が円筒ころ軸受、円すいころ軸受、ニードル軸受或いはスラスト軸受であっても、残存寿命を予測することができる。また、実施の形態では、潤滑剤が潤滑油である場合について説明したが、潤滑がグリース潤滑である場合についても残存寿命を予測することができる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、軸受のユニットを分解することなく軸受の残存寿命を予測することができ、簡略化して寿命予測をすることができる。特に、請求項3及び8に記載の発明によれば、精度よく軸受の寿命を予測できる寿命計算式用いているので、本発明による寿命予測でも高精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態で使用する特性図であって、応力繰り返し数(REV)と潤滑油の粘度との関係を、荷重P/Cをパラメータとする特性図である。
【図2】本発明の実施の形態のコンピュータシステムの構成を示す図である。
【図3】前記コンピュータシステムのコンピュータ本体の内部回路の構成を示すブロック図である。
【図4】残存寿命予測のためのデータ入力画面を示す図である。
【図5】前記このコンピュータシステムが実行する残存寿命の計算に係る処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 パーソナルコンピュータ
11 中央演算処理装置

Claims (2)

  1. 軸受の使用を開始した後に当該軸受の潤滑剤の性状を測定し、測定した前記性状に基づいて軸受の寿命を算出することを特徴とする軸受の寿命予測方法で、
    基本動定格荷重をC、等価荷重をP、荷重指数をp、潤滑パラメータをa 、汚染度係数をa 、疲労限度荷重をPu、寿命補正係数をa NSK とし、前記潤滑パラメータa 、等価荷重Pと基本動定格荷重Cとの比P/C及び汚染度係数a が前記潤滑剤の性状により変化するものであって、前記軸受の使用開始後の前記潤滑剤の性状に応じた値になっている前記潤滑パラメータa 、比P/C及び汚染度係数a のうちの少なくとも1つの値を用い、ある信頼度係数a における軸受の寿命L を、
    =a ・a NSK ・(C/P)
    NSK ∝f〔a ,{(P−Pu)/C}・1/a
    で算出し、
    前記性状を測定するまでに軸受を使用した使用時間を前記算出した軸受の寿命から引き算することで、その使用後に残されている前記軸受の残存寿命を算出することを特徴とする軸受の寿命予測方法。
  2. 軸受の使用を開始した後に測定した当該軸受の潤滑剤の性状に基づいて軸受の寿命を算出することを特徴とする軸受の寿命予測装置で、
    基本動定格荷重をC、等価荷重をP、荷重指数をp、潤滑パラメータをa 、汚染度係数をa 、疲労限度荷重をPu、寿命補正係数をa NSK とし、前記潤滑パラメータa 、等価荷重Pと基本動定格荷重Cと比P/C及び汚染度係数a が前記潤滑剤の性状により変化するものであって、前記軸受の使用開始後の前記潤滑剤の性状に応じた値になっている前記潤滑パラメータa 、比P/C及び汚染度係数a のうちの少なくとも1つの値を用い、ある信頼度係数a における軸受の寿命L を、
    =a ・a NSK ・(C/P)
    NSK ∝f〔a ,{(P−Pu)/C}・1/a
    で算出し、
    前記性状を測定するまでに軸受を使用した使用時間を前記算出した軸受の寿命から引き算することで、その使用後に残されている前記軸受の残存寿命を算出することを特徴とする軸受の寿命予測装置。
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