JP3890912B2 - 孔加工方法および孔加工工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の孔をその中心軸線に沿って同心状に備えた被加工物に対して孔加工を行う孔加工方法および孔加工工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、多気筒エンジンのクランクシャフトを回転支持するクランクケースや、カムシャフトを回転支持するシリンダヘッドのように、クランクシャフトやカムシャフトが挿通される複数の孔を備えた被加工物に対する孔加工は、これら複数の孔を軸方向に沿って同心状に加工し、かつその同心度を高める必要がある。
【0003】
このような孔加工を行う装置としては、図9に示すようなガイドブッシュ方式や、図10に示すようなガイドブッシュレス方式がある。
【0004】
ガイドブッシュ方式は、多数の孔1aを備えた被加工物1に工具3を挿入し、図9(a)のように、工具3の先端部3aをガイドブッシュ5に回転可能に支持させたり、図9(b)のように、工具3の先端部3aおよび基端部3bをガイドブッシュ5および6にそれぞれ回転可能に支持させている。この状態で工具3を回転させつつ被加工物1を図中で右方向に移動させることで、工具3の外周に設けた複数の切刃7により、複数の孔1aを同時に加工する。
【0005】
このようなガイドブッシュ方式としては、例えば特開2000−23330号公報に記載されている。この公報記載のものは、ガイドブッシュを、被加工物の端部の孔に支持させた状態で加工を行っている。
【0006】
一方、図10に示すガイドブッシュレス方式は、工具9が、その先端に一つの切刃11を備えるとともに、先端から基部側に沿う外周部にガイド部13を備え、図10(a)のように、工具9を被加工物1に対して図中で右側から挿入して切刃11により図10(b)のように孔1aを順次加工し、このとき加工後の孔1aにガイド部13が挿入されることで、工具9がガイドされることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の孔加工工具を用いた孔加工方法においては、次のような問題がある。
【0008】
図9に示すガイドブッシュ方式では、専用のガイドブッシュを装着する必要があり、被加工物の孔径、孔位置、孔全長に対する自由度を確保する上で好ましくはなく、またガイドブッシュに工具が干渉したりする虞がある上、同じ加工工程で他の加工を集約する際の制約となることがある。
【0009】
一方、ガイドブッシュレス方式では、先に加工した孔が工具をガイドするために、加工精度が加工後の孔の精度に影響されやすく、特に図10の場合には、孔加工工具を被加工物に対して相対的に前方に押しながら加工を行うことになるので、孔加工工具に大きな曲げ応力が作用し、高精度な孔加工ができないものとなっている。
【0010】
そこで、この発明は、作業性の悪化を招くことなく、高精度な孔加工を行えるようにすることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の孔をその中心軸線に沿って同心状に備えた被加工物に対して孔加工を行う孔加工方法において、前記被加工物の一方の端部における少なくとも一つの孔を加工し、前記被加工物の他方の端部から、孔加工工具の先端のガイド部を直径方向に収縮させた状態で挿入後、前記一方の端部における前記加工済みの孔の内周面に、前記ガイド部を直径方向に拡張させた状態で密接させて支持させて、前記孔加工工具を、回転させつつ前記ガイド部が前記孔加工用工具を挿入した側に接近する方向に被加工物に対して相対移動させることで、前記孔加工用工具の外周に設けた切刃により他の孔を前記被加工物に対して相対的に引きながら加工するものとしてある。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明の孔加工方法において、孔加工工具の軸部外周に、軸方向に沿って複数の切刃が設けられ、ガイド部を一方の端部の加工済みの孔に支持させつつ、前記複数の切刃に対応する被加工物の各孔を同時に加工するものとしてある。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の発明の孔加工方法において、孔加工工具の軸部外周に一つの切刃が設けられ、ガイド部を加工済みの孔に支持させつつ、孔加工工具を被加工物に対して軸方向に相対移動させ、加工済みの孔に隣接する孔を前記切刃により順次加工するものとしてある。
【0014】
請求項4の発明は、複数の孔をその中心軸線に沿って同心状に備えた被加工物に対して孔加工を行う孔加工工具において、軸部外周に、前記被加工物の一方の端部における少なくとも一つの加工済みの孔以外の他の孔を加工する切刃を備えるとともに、前記軸部先端外周にガイド部を備え、このガイド部は直径方向に拡張・収縮変位可能であり、前記ガイド部の収縮時には、前記孔加工工具が前記被加工物の他方の端部から、前記ガイド部が前記加工済みの孔に対応する位置となるまで挿入され、前記ガイド部の拡張時には、前記孔加工工具が回転しつつ前記ガイド部が前記孔加工用工具を挿入する側に接近する方向に被加工物に対して相対移動して、前記切刃により前記他の孔を前記被加工物に対して相対的に引きながら加工すべく、前記加工済みの孔の内周面に密接して摺動可能に支持される構成としてある。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4の発明の構成において、ガイド部は、軸部先端外周から直径方向に向けて進退移動可能なガイドパッドを円周方向に沿って複数備え、このガイドパッドに対応する軸部内に、ガイドパッドを直径方向外側に押圧する拡張機構を備えている構成としてある。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5の発明の構成において、拡張機構は、軸部内に形成した通路に連通する空間部を備え、この空間部に流体が供給されることで膨張する弾性変形体を備えている構成としてある。
【0017】
請求項7の発明は、請求項5の発明の構成において、拡張機構は、複数のガイドパッドに対応して円周方向に沿って複数配置されて内面にテーパ面を有するコレットと、このコレット内面のテーパ面に整合する先細のテーパ面を有するテーパコーンとをそれぞれ備え、このテーパコーンを前後に移動させることで、前記コレットを介してガイドパッドを拡張・収縮変位させる構成としてある。
【0018】
請求項8の発明は、請求項7の発明の構成において、テーパコーンは、流体圧シリンダによって前後移動する構成としてある。
【0019】
請求項9の発明は、請求項7の発明の構成において、テーパコーンは、無線式モータによって前後移動する構成としてある。
【0020】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、被加工物の一方の端部における少なくとも一つの加工済みの孔の内周面に、被加工物の他方の端部から挿入した孔加工工具の先端のガイド部を直径方向に拡張させた状態で密接させて支持させ、この孔加工工具を、ガイド部が被加工物の他方の端部に接近する方向に被加工物に対して相対移動させることで、他の孔を孔加工工具により被加工物に対して相対的に引きながら加工するようにしたため、孔加工工具を支持する専用のガイドブッシュが不要となり、ガイドブッシュを装着することによる作業性悪化および、工具先端をガイドブッシュに位置合わせする際の作業性悪化を防止することができる。また、孔加工工具を、被加工物に対して相対的に引きながら加工することになるので、孔加工工具には、被加工物に対して相対的に押しながらの加工に比べて大きな曲げ応力が作用せず、高精度な孔加工を行うことができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、孔加工工具の軸部外周に、軸方向に沿って複数の切刃が設けられ、ガイド部を一方の端部の加工済みの孔に支持させつつ、前記複数の切刃に対応する被加工物の各孔を同時に加工するようにしたため、複数の孔を短時間で高精度に加工することができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、孔加工工具の軸部外周に一つの切刃が設けられ、ガイド部を加工済みの孔に支持させつつ、孔加工工具を被加工物に対して軸方向に相対移動させて加工済みの孔に隣接する孔を前記切刃により順次加工するようにしたため、被加工物の軸方向長さとしては、孔加工工具の軸方向長さの範囲内において、自由に選択でき、汎用性が確保されるとともに、孔加工工具の被加工物に対する相対移動量が大きくなることから、孔加工工具を引きながら加工する作業が、より有効なものとなる。
【0023】
請求項4の発明によれば、軸部外周に切刃を備えるとともに、軸部先端外周にガイド部を備え、このガイド部は、直径方向に拡張・収縮変位可能であり、ガイド部の収縮時には、孔加工工具が被加工物の他方の端部から、ガイド部が加工済みの孔に対応する位置となるまで挿入され、ガイド部の拡張時には、孔加工工具が回転しつつガイド部が孔加工用工具を挿入する側に接近する方向に被加工物に対して相対移動して、切刃により他の孔を被加工物に対して相対的に引きながら加工すべく、加工済みの孔の内周面に密接して摺動可能に支持されるため、孔加工工具を支持する専用のガイドブッシュが不要となり、ガイドブッシュを装着することによる作業性悪化および、工具先端をガイドブッシュに位置合わせする際の作業性悪化を防止することができる。また、孔加工工具を、被加工物に対して相対的に引きながら加工するので、孔加工工具には、被加工物に対して相対的に押しながらの加工に比べて大きな曲げ応力が作用せず、高精度な孔加工を行うことができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、ガイド部は、軸部先端外周から直径方向に向けて進退移動可能なガイドパッドを円周方向に複数備え、このガイドパッドに対応する軸部内に、ガイドパッドを直径方向外側に押圧する拡張機構を備えているため、拡張機構によりガイドパッドを直径方向外側に押圧することで、ガイドバッドが被加工物の孔内面に密接し、孔加工工具を加工済みの孔に容易に支持させることができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、拡張機構は、軸部内に形成した通路に連通する空間部を備え、この空間部に流体が供給されることで膨張する弾性変形体を備えているため、空間部に通路を通して流体を供給することで、弾性変形体が膨張して加工済み孔内面に密接し、孔加工工具を加工済みの孔に容易に支持させることができる。
【0026】
請求項7の発明によれば、拡張機構は、複数のガイドパッドに対応して円周方向に沿って複数配置されて内面にテーパ面を有するコレットと、このコレット内面のテーパ面に整合する先細のテーパ面を有するテーパコーンとをそれぞれ備え、このテーパコーンを前後に移動させることで、前記コレットを介してガイドパッドを拡張・収縮変位させるようにしたため、テーパコーンを前方に移動させることでガイドパッドが拡張して加工済み孔内面に密接し、孔加工工具を加工済みの孔に容易に支持させることができる。
【0027】
請求項8の発明によれば、テーパコーンは、流体圧シリンダによって前後移動するようにしたため、流体圧シリンダの作動によってテーパコーンが前方に移動し、ガイドパッドが拡張して加工済み孔内面に密接し、孔加工工具を加工済みの孔に容易に支持させることができる。
【0028】
請求項9の発明によれば、テーパコーンは、無線式モータによって前後移動するようにしたため、無線式モータの作動によってテーパコーンが前方に移動し、ガイドパッドが拡張して加工済み孔内面に密接し、孔加工工具を加工済みの孔に容易に支持させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0030】
図1は、この発明の実施の一形態を示す孔加工方法の工程図であり、図2は、この孔加工方法に使用される孔加工工具15の側面図(断面)である。この孔加工工具15によって加工される被加工物17は、軸方向に沿って複数の孔17a〜17eが同心状に形成され、この複数の孔17a〜17eに対して加工を行う。被加工物17としては、例えば、多気筒エンジンのクランクシャフトを回転支持するクランクケースや、カムシャフトを回転支持するシリンダヘッドなどである。
【0031】
上記した孔加工工具15は、軸部19の外周に複数の切刃21が設けられ、この切刃21は、軸部19の外周における円周方向同一部位で、軸方向に所定間隔に設けられている。なお、この例では切刃21は等間隔に設けられているが、間隔を異ならせて設ける場合もある。軸部19の一方の端部の基部23が、図示しない4軸制御のマシニングセンタの主軸に取り付けられる。
【0032】
上記した軸部19の他方の端部には、ガイド部25が設けられている。図3は、ガイド部25における拡大されたA−A断面図で、円筒部27内に、円周方向等間隔に四つのガイドパッド29が収容されている。ガイドパッド29は、円筒部27の内周面と同心円状の円弧面を備えた円弧部29aと、円弧部29aの円周方向中央部の外面にて直径方向外側に突出するパッド部29bとを備えており、焼結合金などの超硬材料で構成してある。
【0033】
パッド部29bは、円筒部27に円周方向等間隔に形成してあるスリット孔27aに挿入されて円筒部27の外部に先端が突出しており、ガイドパッド29はこの突出方向に円筒部27に対して移動可能となている。また、円周方向に隣接する円弧部29a相互間には、隙間31が形成されている。
【0034】
図2に示すように、パッド部29bの軸方向両端はテーパ部29c,29dを備えており、テーパ部29cの軸方向左側端部およびテーパ部29dの軸方向右側端部は、円筒部27の外周面とほぼ同一面を形成している。また、図3中で上部に位置するパッド部29bと円弧部29aとの左右の両境界部には、突き当て面29eが形成され、これに対応して円筒部27のスリット孔27aの内側角部には、前記突き当て面29eに整合する面取り27cが施されている。
【0035】
なお、突き当て面29eおよび面取り27cは、他の3つのパッド部29bすべてに対して設けてもよい。
【0036】
ガイドパッド29のさらに内側には、図4に側面図で示すような拡張機構として弾性変形体33が収容されている。弾性変形体33は、ゴムなどの弾性変形可能な材料で構成され、内部に空間部35が形成されている。この空間部35は、図2に示すように、軸部19および基部23にわたりその中心を軸方向に沿って形成されるクーラント流路37に連通している。クーラント流路37に図示しないマシニングセンタより流体であるクーラントを供給することで弾性変形体33が膨張し、ガイドパッド29を押圧して直径方向外側に拡張移動させる。
【0037】
なお、クーラント流路とは別のエア流路を軸部19内に形成し、このエア流路を通してエアを空間部35に供給することで、弾性変形体33を同様に膨張させることができる。
【0038】
次に、上記した孔加工工具15を使用した被加工物17に対する孔加工方法を、図1に基づき説明する。
【0039】
まず、図1(a)に示すように、通常のボーリング加工用工具39を用い、その先端に設けた切刃41により、被加工物17の一方の端部における孔17eを加工する。このとき、孔17eに加え孔17dも加工してもよい。孔17eの加工後は、図1(b)に示すように、被加工物17の左右を反転させる。
【0040】
次に、図2に示した孔加工工具15を、図示しないマシニングセンタの主軸に、図1(a)で使用したボーリング加工用工具39に代えて装着する。この孔加工工具15を、反転させた被加工物17に対し、図1(c)に示すように他方の端部における孔17aから挿入し、先端のガイド部25を、ボーリング加工用工具39によって加工済みの孔17eに対応する位置まで、矢印Bで示す方向に移動させる。
【0041】
孔加工工具15を被加工物17内に挿入する際には、クーラント流路37にはクーラントは供給せず、したがってガイド部25における弾性変形体33は、図3のように内側に収縮した状態であり、ガイドパッド29のパッド部29bは、円筒部27内に引っ込んだ状態となっている。この状態で、切刃21が孔17a〜17dの内面に干渉しないように、孔加工工具15を、その軸心を孔17a〜17eの中心に対してずらした状態で挿入する。
【0042】
孔加工工具15の被加工物17内への挿入作業は、パッド部29bが円筒部27内に引っ込んだ状態となっており、またパッド部29bは図2に示すテーパ部29c,29dを備えているので、容易である。
【0043】
ガイド部25が孔17eに対応する図1(c)に示す位置まで達したら、クーラント流路37に、クーラントを供給し、このクーラントがガイド部25における弾性変形体33内の空間部35内に流入し、これにより膨張した弾性変形体33は、ガイドパッド29を直径方向外側に押圧してパッド部29bの先端面を孔17eの内周面に密接させる。
【0044】
このとき、図3に示してあるパッド部29bと円弧部29aとの左右の両境界部の突き当て面29eが、円筒部27のスリット孔27aの内側角部の面取り27cに整合する。この整合により、ガイドパッド29の円周方向のガタ発生が回避され、ガイドパッド29が繰り返し拡張移動しても位置精度が確保される。
【0045】
この状態で孔加工工具15を、回転させつつ図1(d)に示すように、矢印Cで示す方向に被加工物17に対して相対移動させ、四つの切刃21により、それぞれ対応する孔17d,17c,17b,17aを同時に加工する。このとき、パッド部29bは、加工済みの孔17eに対して摺動回転しつつ軸方向に摺動する。これにより、複数の孔の加工が短時間で行える。
【0046】
このように、加工済みの孔17eにガイド部25を摺動可能に支持させつつ孔17d,17c,17b,17aを切刃21により加工するようにしたため、孔加工工具15を支持する専用のガイドブッシュが不要となり、ガイドブッシュを装着することによる作業性悪化および、工具先端をガイドブッシュに位置合わせする際の作業性悪化を防止することができる。
【0047】
また、孔加工工具15を、被加工物17に対して相対的に引きながら加工するので、孔加工工具15には、被加工物17に対して相対的に押しながらの加工に比べて大きな曲げ応力が作用せず、材質が加工部(孔)によって異なっていたとしても、高精度な孔加工を行うことができる。
【0048】
図5は、孔加工工具43として、ガイド部25近傍に一つの切刃21を備えたものを利用している。図5(a)は、図1(c)に対応する作業工程を示しており、この作業工程に至るまでは、図1と同様である。
【0049】
図5(a)の状態から、図1(d)と同様に、孔加工工具43を回転させつつ図5(b)のように矢印C方向に被加工物17に対して相対移動させることで、ガイド部25が、まず加工済みの孔17eに支持されつつこれに隣接する孔17dが切刃21により加工される。続いて加工後の孔17dにガイド部25が支持されつつこれに隣接する孔17cが切刃21により加工される。このようにして、加工済みの孔にガイド部25が支持されつつ、この加工済みの孔に隣接する孔が順次加工されていく。
【0050】
この場合、図5(b)の工程で孔加工工具43を移動させる際に、ガイド部25が、隣接する加工済みの二つの孔に同時に支持されるような軸方向長さが必要である。
【0051】
上記図5の例では、一つの切刃21を用いて孔加工するので、被加工物17の軸方向長さが、図示のものより短い場合はもちろん、長い場合であっても工具長の範囲内であれば対応でき、汎用性が確保されるとともに、孔加工工具43の移動量が図1の場合に比べて大きくなることから、孔加工工具43を被加工物17に対して相対的に引きながら加工する作業が、より有効なものとなる。
【0052】
図6は、ガイドパッド29を拡張させる拡張機構として、コレット45とテーパコーン47とを使用している。図7は、この拡張機構を使用した場合の前記図3と同様な断面図で、コレット45は、円周方向等間隔に四つ設けられ、四つのコレット45で囲まれる断面ほぼ円形の内部が、孔加工後具15,43の先端側ほど小径となるようなテーパ面45aを備えている。
【0053】
この四つのコレット45内に収容されるテーパコーン47は、テーパ面45aに対応して孔加工後具15,43の先端側ほど小径となるテーパ面47aを備えている。テーパコーン47後端の軸部19内には、テーパコーン47を軸方向に沿って前後動させる流体圧シリンダである駆動シリンダ49が収容されている。駆動シリンダ49に、軸部19内のクーラント流路37を経てクーラント圧が作用することで、ピストンロッド51を介してテーパコーン47が前進し、コレット45を介してガイドパッド29を直径方向外側へ拡張させる。
【0054】
図8は、図6における駆動シリンダ49に代えて、無線式モータ53を用いた例である。無線式モータ53は、コントローラ55によって駆動制御され、駆動信号を受けると、軸部57を介してテーパコーン47を前後動させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態を示す孔加工方法の工程図である。
【図2】図1の孔加工方法に使用される孔加工工具の側面図である。
【図3】図2の拡大されたA−A断面図である。
【図4】図3の孔加工工具先端内部に収容される拡張機構の側面図である。
【図5】 孔加工工具として、ガイド部近傍に一つの切刃を備えたものを使用した孔加工方法の加工工程図である。
【図6】拡張機構としてコレットとテーパコーンとを使用した例を示す側面断面図である。
【図7】図6の拡張機構の図3に対応する断面図である。
【図8】図6のテーパコーンの駆動を無線式モータとした例を示す側面断面図である。
【図9】従来の孔加工方法としてガイドブッシュ方式の工程図である。
【図10】従来の孔加工方法としてガイドブッシュレス方式の工程図である。
【符号の説明】
15,43 孔加工工具
17 被加工物 17a,17b,17c,17d,17e 孔
19 軸部
21 切刃
25 ガイド部
29 ガイドパッド
33 弾性変形体(拡張機構)
35 空間部(拡張機構)
45 コレット(拡張機構)
45a テーパ面
47 テーパコーン(拡張機構)
47a テーパ面
49 駆動シリンダ(流体圧シリンダ)
53 無線式モータ

Claims (9)

  1. 複数の孔をその中心軸線に沿って同心状に備えた被加工物に対して孔加工を行う孔加工方法において、前記被加工物の一方の端部における少なくとも一つの孔を加工し、前記被加工物の他方の端部から、孔加工工具の先端のガイド部を直径方向に収縮させた状態で挿入後、前記一方の端部における前記加工済みの孔の内周面に、前記ガイド部を直径方向に拡張させた状態で密接させて支持させて、前記孔加工工具を、回転させつつ前記ガイド部が前記孔加工用工具を挿入した側に接近する方向に被加工物に対して相対移動させることで、前記孔加工用工具の外周に設けた切刃により他の孔を前記被加工物に対して相対的に引きながら加工することを特徴とする孔加工方法。
  2. 孔加工工具の軸部外周に、軸方向に沿って複数の切刃が設けられ、ガイド部を一方の端部の加工済みの孔に支持させつつ、前記複数の切刃に対応する被加工物の各孔を同時に加工することを特徴とする請求項1記載の孔加工方法。
  3. 孔加工工具の軸部外周に一つの切刃が設けられ、ガイド部を加工済みの孔に支持させつつ、孔加工工具を被加工物に対して軸方向に相対移動させ、加工済みの孔に隣接する孔を前記切刃により順次加工することを特徴とする請求項1記載の孔加工方法。
  4. 複数の孔をその中心軸線に沿って同心状に備えた被加工物に対して孔加工を行う孔加工工具において、軸部外周に、前記被加工物の一方の端部における少なくとも一つの加工済みの孔以外の他の孔を加工する切刃を備えるとともに、前記軸部先端外周にガイド部を備え、このガイド部は直径方向に拡張・収縮変位可能であり、前記ガイド部の収縮時には、前記孔加工工具が前記被加工物の他方の端部から、前記ガイド部が前記加工済みの孔に対応する位置となるまで挿入され、前記ガイド部の拡張時には、前記孔加工工具が回転しつつ前記ガイド部が前記孔加工用工具を挿入する側に接近する方向に被加工物に対して相対移動して、前記切刃により前記他の孔を前記被加工物に対して相対的に引きながら加工すべく、前記加工済みの孔の内周面に密接して摺動可能に支持されることを特徴とする孔加工工具。
  5. ガイド部は、軸部先端外周から直径方向に向けて進退移動可能なガイドパッドを円周方向に沿って複数備え、このガイドパッドに対応する軸部内に、ガイドパッドを直径方向外側に押圧する拡張機構を備えていることを特徴とする請求項4記載の孔加工工具。
  6. 拡張機構は、軸部内に形成した通路に連通する空間部を備え、この空間部に流体が供給されることで膨張する弾性変形体を備えていることを特徴とする請求項5記載の孔加工工具。
  7. 拡張機構は、複数のガイドパッドに対応して円周方向に沿って複数配置されて内面にテーパ面を有するコレットと、このコレット内面のテーパ面に整合する先細のテーパ面を有するテーパコーンとをそれぞれ備え、このテーパコーンを前後に移動させることで、前記コレットを介してガイドパッドを拡張・収縮変位させることを特徴とする請求項5記載の孔加工工具。
  8. テーパコーンは、流体圧シリンダによって前後移動することを特徴とする請求項7記載の孔加工工具。
  9. テーパコーンは、無線式モータによって前後移動することを特徴とする請求項7記載の孔加工工具。
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