JP3890592B2 - 電源ネットワークシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Uninterruptible Power Supply(無停電電源装置:以下、UPSという)などの電源装置と、これに従属する負荷とからなる電源ユニット群をネットワーク接続してなる電源ネットワークシステムに関し、特に遠隔管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来のUPSネットワークシステムの概略構成を示すものである。同図において、1は例えば単相100Vの商用電源、3A〜3Cは共通の商用電源1からの入力電圧の供給を受ける例えば3台のUPSであり、このUPS3A〜3Cは周知のように、商用電源1の正常時には、電源ライン2を経由して供給される入力電圧を、主回路から従属する例えばPC(パーソナルコンピュータ)やサーバなどのユーザ機器4A〜4Dに供給し、且つ内蔵するバッテリなどの充電器(図示せず)を定電流で充電する一方、商用電源1の停電または低下時には、充電器の充電電圧をインバータにより交流電圧に変換して、ユーザ機器4A〜4Dに供給するものである。そしてこの例では、UPS3Aに従属し、このUPS3Aとの間に通信ケーブル5を接続したユーザ機器4Aと、UPS3Bに従属し、このUPS3Bとの間に別の通信ケーブル5を接続したユーザ機器4Cと、UPS3C自身が、例えばローカルエリアネットワーク(以下、LANという)もしくはワイドエリアネットワーク(以下、WANという)などのネットワーク6で相互に接続される。すなわち、UPS3Aとユーザ機器4A,4Bを組み合わせた第1の電源ユニット群と、UPS3Bとユーザ機器4Cを組み合わせた第2の電源ユニット群と、UPS3Cとユーザ機器4Dを組み合わせた第3の電源ユニット群を、ネットワーク6で接続した電源すなわちUPSネットワークを構築している。
【0003】
一方、上記複数のUPS3A〜3Cを一括に監視制御するために、例えばPCであるユーザ機器4Cには、ソフトウェア上の機能構成としてUPS統合管理手段7を備えている。ユーザ機器4Cは、通信ケーブル5を介して自身が電力供給を受けるUPS3Bの状態監視と制御を行なうと同時に、ネットワーク6に接続される別のユーザ機器4AやUPS3Cを通して、UPS3AやUPS3Cの状態監視と制御を集中的に行なう。ここでいうUPS統合管理手段7の状態監視や制御とは、例えば、設定時間以上に停電が続いた場合に、ユーザ機器4A〜4Dのシャットダウンを自動的に実施する自動シャットダウン機能や、一つの例えばUPS3Aに負荷であるユーザ機器4A,4Bが複数接続されているときに、電源の投入やシャットダウンの順番を設定制御する負荷セグメント制御機能や、UPS3A〜3Cから取得される停電や復電などの各種イベント情報、および入力電圧や周波数などの計測値の履歴を記録するログ機能などである。
【0004】
こうした従来の集中管理システムでは、例えば特定のUPS3Aに何らかの異常が発生すると、通信ケーブル5,ユーザ機器4Aおよびネットワーク6を介して、異常が発生した旨の通知がUPS統合管理手段7を備えたユーザ機器4Cに伝えられるが、このユーザ機器4C若しくはシステムの管理者が不在の場合、システム内で異常が発生しても全く対処が行えない。また、ユーザ機器4A〜4DのいずれかがUPS3A〜3Cに接続される重要なサーバである場合、こうしたサーバに対する電源異常の発生に備えて、保守要員を終日待機させておくことは、膨大な労力とコストが掛かる。
【0005】
上記問題に対処するために、例えば特許文献1では、対応する電力設備(UPS3A〜3Cに相当する)に関して、監視項目に異常が発生した場合に、その監視項目にどのような異常が発生したのかなどの異常発生内容を含んだ異常情報を、パケット通信網およびルータを介して遠隔監視センタに送信し、これを受けた遠隔監視センタが、保安者データベースを参照して、当該電力設備に関わる保安者を選定し、この保安者が所持する携帯端末宛てに異常発生を報知するメッセージをパケット送信する遠隔監視装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−24973号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1において、仮に電力設備の異常情報を対応可能な管理者の保有する携帯端末宛てに通知したとしても、実際に電力設備のどの箇所で異常が発生したかの情報が含まれなければ、通知を受け取った管理者は原因の特定が瞬時に行なえず、またその異常に対する対処も遠隔地から行なうことができない。そのため、結局は異常の発生した電力設備に出向いてしかるべき対処を行わなければならず、異常の対処に時間が掛かり、電力設備の異常による被害が拡大する虞れがあり、また復旧に時間が掛かることとなる。
【0008】
また、例えばUnix(登録商標)サーバをユーザ機器4A〜4Dとして使用する場合には、正しい手順で電源オフを行なった上で電力設備を復旧させないと、オペレーティングシステム(OS)の破損を招き、再インストール等の余計な作業が必要になる。すなわち、異常情報を受け取った管理者は、遠隔地において電源装置に相当するUPS3A〜3Cのみならず、それに従属する負荷(ユーザ機器4A〜4D)の迅速な異常対処を要求される。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑み、システムに何らかの異常を来した場合に、遠隔地にいる管理者が電源装置および負荷に対する処置対応を迅速に行なうことができる電源ネットワークシステムを提供することを第1の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明における電源ネットワークは、上記目的を達成するために、電源装置とこの電源装置からの電力供給を受ける負荷とを組み合わせた電源ユニット群をネットワーク接続して構成され、前記ネットワークを用いて前記電源装置の状態監視を行なう管理手段を備えた電源ネットワークシステムにおいて、前記管理手段は、前記電源装置の状態が第1閾値の範囲外になると、当該電源装置に従属する前記負荷の状態の監視を開始し、これらの電源装置及び負荷の状態監視結果を記憶手段に管理履歴として記録し続け、前記電源装置の状態が前記第1閾値よりも広い範囲に設定した第2閾値の範囲外になると、前記管理履歴を含めた異常個所を特定する異常情報を通信手段を介して予め決められた移動体携帯端末に送信する異常監視手段と、前記移動体携帯端末から送られる指令データを受信すると、その指令データの手順に従って前記電源装置および前記負荷の動作を制御する動作制御手段とを備えて構成される。
【0011】
上記構成により、何らかの原因で電源装置に異常が発生すると、異常監視手段は異常個所を特定する異常情報を、予め決められた移動体携帯端末に向けて直ちに送信する。移動体携帯端末を所持する管理者は、受信した異常情報からシステム本体内外のどの箇所で異常が発生しており、それに対してどのような処置を施すべきかを即座に判断できる。また、管理者が移動体携帯端末を利用して必要な指令データを送信すると、動作制御手段は電源装置のみならずそれに従属する負荷に対する動作を制御することができる。したがって、管理者が遠隔地にいた場合でも、電源装置および負荷に対する処置対応を迅速に行なうことができる。
【0012】
【発明の実施形態】
以下、本発明の電源ネットワークシステムについて、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、図9に示す従来例と構成が重複するものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0013】
先ず、電源ネットワークシステムに接続する遠隔管理装置を含めた全体構成を図1に基づき説明すると、システム本体9は後述する通信手段であるIP網12を利用して外部との双方向通信が行なえるように、特定のUPS3Cに例えばIP(Internet Protocol)アダプタを備えた通信ユニット11を設けて構成される。通信ユニット11はIP網12に接続されており、このIP網12のデータセンタ13を経由して、当該IP網12に接続する他の通信機器との間でパケット通信が行なえるようになっている。一方、14はデータセンタ13との間でパケットデータをやり取りする携帯基地局で、この携帯基地局14のエリア内には幾つかの移動体携帯端末としての携帯電話15が存在する。図1は、システム本体9の管理者が保有する携帯電話15が、ある携帯基地局14のエリア内に存在する状態を示している。
【0014】
前記UPS統合管理手段7は、各UPS3A〜3Cの状態を監視した結果、何らかの異常を発見した場合には、その異常箇所を特定する異常情報を、通信ユニット11からIP網12のデータセンタ13を通じて、最寄の携帯基地局14に存在する予め決められた携帯電話15に送出する機能を備えていると共に、携帯電話15の操作部16から入力された指令データが、IP網12のデータセンタ13から通信ユニット11を通じて送られてくると、その指令データに基づき特定のUPS3A〜3Cまたはユーザ機器4A〜4Dに対する制御を実行する機能を備えている。
【0015】
なお本実施例では、IP網12や携帯電話15に関わる通信事業者独自のネットワークであるキャリア網を利用して、システム本体9と携帯電話15との間を、すべてパケットデータで通信できるようにしているが、例えば一般公衆回線網などを利用してもよい。具体的には、図1の通信ユニット11として、UPS統合管理手段7を備えたユーザ機器(PC)4Cの内蔵モデムを利用した場合、ダイヤルアップ接続先に一般公衆回線網を利用してもよい。このように、通信ユニット11はUPS3A〜3C若しくはユーザ機器4A〜4Dのいずれか一つに組み込まれてもよいし、またネットワーク6に接続したルータを利用してもよい。さらに、UPS統合管理手段7について、どのUPS3A〜3C若しくはユーザ機器4A〜4Dに組み込まれていてもよい。本実施例では、外部からの指令データに従って、システム本体9内にある全てのUPS3A〜3C若しくはユーザ機器4A〜4Dに対する動作を制御できるように、第1〜第3の電源ユニット群をネットワーク6で相互に接続すると共に、同一電源ユニット群内におけるUPS3A〜3Cとユーザ機器4A〜4D間を、それぞれシリアルケーブルなどの通信ケーブル5で接続している。
【0016】
続いて、システム本体9および携帯電話15の内部構成について説明する。まず図2は、システム本体9内の機能構成を示すもので、7は管理手段に相当する前述のUPS統合管理手段であり、これはUPS3A〜3Cの各部の状態を監視し、何れか一つのUPS3A〜3Cに異常が発生したときには、そのときのユーザ機器4A〜4Dの状況を検出すると共に、UPS3A〜3Cの動作制御や、ユーザ機器4A〜4Dの動作制御を遠隔地からでも行えるようにするものである。このUPS統合管理手段7は、UPS3A〜3Cの各部の状態(電流,電圧)を常時監視し、何らかの異常が発生した場合には、少なくともシステム本体9内の異常個所を特定する情報を含んだ異常情報を作成する異常監視手段20を備えている。ここでの異常監視手段20は、ハードディス等の記録手段に、管理履歴や各種データベースを記録および保管させる機能も備えている。また21は、この異常情報を送出するに際し、IP網12のプロトコルに適合するパケットデータに変換するためのデータ変換手段で、バイナリフォーマットをテキストフォーマットに変換するものである。22はSSL(Secure Sockets Layer)暗号化手段で、これはテキストフォーマットに変換されたパケットデータを第3者が安易に確認することができないように暗号化するもので、この暗号化された異常情報を含むデータは、前記通信ユニット11を介してIP網12に送出されるようになっている。
【0017】
一方、24は通信ユニット11からの暗号化された指令データを解読すると共に、この指令データを受けて異常状態に対する必要な処置を行なうために、所定の手順に従ってUPS3A〜3C若しくはユーザ機器4A〜4Dの動作制御を行なう動作制御手段である。本実施例における動作制御手段24は、単にUPS3A〜3Cの動作を制御するだけでなく、同じUPS総合管理手段7を介して、UPS3A〜3Cに従属する各ユーザ機器4A〜4Dの動作を制御できる点が注目される。すなわち、携帯電話15側から見れば、システム本体9にアクセスできれば、UPS3A〜3Cのみならず各ユーザ機器4A〜4Dの復旧動作を連続して行なえるという利点がある。
【0018】
また、特に図示しないが、UPS総合管理手段7を備えたユーザ機器4Cは、インターネット上で公開されるウェブサイトへの接続および閲覧(ブラウジング)機能や、電子メールの送受信機能も当然備えている。
【0019】
図3は、携帯電話15の構成を示すもので、31は携帯基地局14から送受信部37を通じて送られた暗号化データを解読し、表示部32に異常情報を表示する異常情報表示制御手段である。なお、受信した異常情報を後で閲覧できるように、この異常情報を保存する読み出し可能な記憶媒体(図示せず)を備えてもよい。また34は、操作部16からの入力に基づいて、UPS3A〜3Cやユーザ機器4A〜4Dに対する適切な動作手順を指令データとして作成する指令データ作成手段である。この指令データ作成手段34からの指令データは、データ変換手段35によりバイナリフォーマットをテキストフォーマットに変換し、さらにSSL暗号化手段36により暗号化されたパケットデータに変換されて、送受信部37より最寄の携帯基地局14に送出される。そして、上述の異常情報表示制御手段31,指令データ作成手段34,データ変換手段35,SSL暗号化手段36は、ソフトウェア上の機能として制御手段38にそれぞれ設けられる。この制御手段38はその他に、電話機能や電子メール機能を動作させるための各種プログラム(図示しない)や、各種データベースを記録および保管する機能を備えている。
【0020】
また、特に図示しないが、携帯電話15は、インターネット上で公開されるウェブサイトへの接続および閲覧(ブラウジング)機能や、電子メールの送受信機能も当然備えている。
【0021】
次に、上記構成についてその作用を図4のフローチャートに基づき説明する。なお図4のフローチャートは、UPS統合管理手段7の動作手順を示すものである。先ずステップS1において、UPS統合管理手段7の異常監視手段20は、それぞれのUPS3A〜3Cの各部の状態、具体的には商用電源1から供給される入力電圧,ユーザ機器4A〜4Dに供給する出力電圧および出力電流,充電器単独の充電電圧,充電器への供給電流などを、それぞれの電流検出器または電圧検出器からの検出出力により、一定時間毎に取得する。なお、検出出力の取り込み時間は、適宜設定変更できるようにしてもよい。このUPS3A〜3Cの各部の状態は、図示しない記憶手段によって管理履歴として記憶保存される(ステップS1)。
【0022】
また異常監視手段20は、上記ステップS1の手順で、ユーザ機器4A〜4Dの状態を監視してもよい。例えばユーザ機器4A〜4DがPCである場合、例えば起動しているアプリケーション名とその作業状態,UPS3A〜3Cから供給される電源電圧の状態などを一定時間毎に取得する。また、PC以外の機器であれば、同様にその時点での動作状況と電源電圧の状態などを取得する。なお、監視対象が多数ある場合は、UPS3A〜3Cだけの状態監視に止め、異常監視手段20の負担を軽減するのが好ましい。
【0023】
異常監視手段20は、次のステップS3において、UPS3A〜3Cの監視箇所に若干の状態の変化が生じると、具体的には、上記電流値および電圧値のいずれかが、個々に設定した第1の閾値TH1の範囲外になると、ユーザ機器4A〜4Dの状態の監視を開始して、異常の発生に備える(ステップS4)。第1の閾値TH1は、その範囲外になると各ユーザ機器4A〜4Dの動作にはさほど影響がないものの、いずれは異常が発生すると想定される値を設定する。またこの場合は、異常監視手段20は自身の負担を軽減するために、同一の電源ユニット群内のユーザ機器4A〜4Dだけを監視する。例えば、UPS3Aの出力電圧が第1の閾値TH1の範囲外になった場合は、それに従属するユーザ機器4A,4Bの状態だけを監視すればよい。
【0024】
異常監視手段20は、次のステップS5において、例えば前記UPS3Aの出力電圧が第1の閾値TH1よりも広い範囲に設定した第2の閾値TH2以内であれば、ステップS1の手順に戻って、各UPS3A〜3C並びに特定のユーザ機器4A,4Bの状態監視結果を、記憶手段に管理履歴として記録し続ける。しかし、UPS3A〜3Cの監視箇所に相当の状態の変化が生じ、上記電流値および電圧値のいずれかが、個々に設定した第2の閾値TH2の範囲外にまで変動すると、異常監視手段20は直ちにデータセンタ13に電子メールの形態で送出する異常情報を作成する。具体的には、例えばUPS3Aの出力電圧が第2の閾値TH2の範囲を超えると、異常監視手段20はその直前までの全てのUPS3A〜3C、およびUPS3Aに従属するユーザ機器4A,4Bの管理履歴を読み込むと共に、現時点における全てのUPS3A〜3C、および全てのユーザ機器4A〜4Dの状態を読み込んで、どの箇所で異常が発生したのかを特定する。この場合、UPS3Aの出力電圧と、従属するユーザ機器4A,4Bの電源電圧が同じように低下していれば、異常箇所はUPS3A内の主回路であると特定できる。また別な例として、UPS3A〜3Cの入力電圧がいずれも同じように低下している場合、異常個所はシステム本体9外の商用電源1(停電が原因)であると特定できる。なお、第2の閾値TH2は、その範囲外になると各ユーザ機器4A〜4Dの動作停止には至らないものの、相当の影響を及ぼすとされる値を設定する。
【0025】
次のステップS6で、異常監視手段20が、この異常箇所と共に、直前の管理履歴などを含めた異常情報を送出すると、データ変換手段21はこの異常情報をパケットデータに変換し、次のSSL暗号化手段22で暗号化処理が施された後、通信ユニット11を介してIP網12に送出される。異常情報はIP網12を通過するものの、データそのものに暗号化処理がなされているために、第3者の不正な書き換えを防止できる。異常情報のデータが電子メールの形態でデータセンタ13に到達すると、データセンタ13から携帯電話15に新着メールの通知が行なわれる。これを受けて、管理者がデータセンター13から携帯電話15に異常情報をダウンロードし、これを表示部32で表示することで、システム本体9のどの箇所(システム本体9外部を含む)で異常が発生し、またどのような経緯で異常に至ったのかを正確に把握できる。
【0026】
遠隔地にいる管理者は、上記異常情報の内容を受け取ると、直ちに携帯電話15を利用してしかるべき処置を実行するための指令を操作部16より入力する。携帯電話15の指令データ作成手段34は、操作部16からの操作入力に従って、どのような手順で処置を行なうのかについての一連の指令データを作成する。この指令データはデータ変換手段35によりパケットデータに変換され、次のSSL暗号化手段22で暗号化処理が施された後、送受信部37から携帯基地局14に送出される。指令データはIP網12を通過してシステム本体9に転送されるものの、データそのものに暗号化処理がなされているために、第3者の不正な書き換えを防止できる。UPS統合管理手段7の動作制御手段24は、この指令データを通信ユニット11から受け取ると、指令データにある所定の手順に従ってUPS3A〜3C若しくはユーザ機器4A〜4Dの動作制御を行なう(ステップS7)。
【0027】
前記指令データは、システム本体9の要処置箇所を特定する位置特定コマンドと、そこでどのような処理を行なうのかという処理コマンドの組み合わせで構成される。例えば、システム本体1外の商用電源1が停電した場合、その異常情報を受け取った管理者は、PCである例えばユーザ機器4A〜4Dに対し、作業中のアプリケーション処理を全て終了した後、電源をオフにする指令を操作部16より入力する。携帯電話15の指令データ作成手段34は、その指令データを作成してシステム本体9のUPS統合管理手段7に送出する。UPS統合管理手段7の動作制御手段24は、この指令データを受け取ると、直ちに各ユーザ機器4A〜4Dで作業中のアプリケーション処理を全て終了させた後、電源をオフにする。
【0028】
なお本実施例では、異常情報を送出した後も引き続き管理履歴を記録して、前述する指令データが送られる毎に、記録した管理履歴を一定時間毎にデータセンタ13に送り出している。これにより、必要な処置が行なわれたか否かの判断を、データセンタ13に送り出した管理履歴を携帯電話15側でダウンロードすることで、正しく確認することができる。
【0029】
例えば、システム本体9内における特定のUPS3Aの出力電圧だけが異常となった場合、異常情報に含まれる管理履歴から、UPS3Aの充電器に所定の充電電圧と充電電流が供給されていると判明すれば、このUPS3Aに対し、商用電源1に代わって充電器からの電力供給を行なう指令データを作成する。これを受けてUPS統合管理手段7の動作制御手段24が必要な処置を行なった後、UPS3Aの出力電圧が正常に戻ったことが、一定時間毎に送り出される管理履歴から判明した場合は、例えば商用電源1からの入力電圧で充電器を充電しつつ、充電器からの電力供給で従属するユーザ機器4A,4Bを引き続き稼動させ続ける指令データを送出する。場合によっては、ユーザ機器4A,4Bを省電力モードにする指令データも続けて送出してよい。逆に、充電器からの電力供給に切り換わっても、UPS3Aの出力電圧が異常の場合は、ユーザ機器4A,4Bで作業中のアプリケーション処理を全て終了させた後、電源をオフにする指令データを携帯電話15側から送出すればよい。
【0030】
さらに別な例として、異常情報がデータセンター13に一定時間異常ダウンロードされずに残っていた場合、データセンタが自動的に必要な処置を行なう指令データをシステム本体9に送出する構成としてもよい。こうすれば、万一管理者が異常情報をダウンロードできない状況でも、異常状態の発生したシステム本体9に対し最低限必要な処置を施すことができる。
【0031】
以上のように本実施例では、電源装置であるUPS3A〜3Cと、このUPS3A〜3Cからの電力供給を受ける負荷としてのユーザ機器4A〜4Dを組み合わせた電源ユニット群をネットワーク6で接続して構成され、このネットワーク6を用いて全ての各UPS3A〜3Cの状態監視を行なう管理手段としてのUPS統合管理手段7を備えた電源ネットワークシステムにおいて、前記UPS統合管理手段7は、UPS3A〜3Cの状態が第1の閾値TH1の範囲外になると、当該UPS3A〜3Cに従属するユーザ機器4A〜4Dの状態の監視を開始し、これらのUPS3A〜3C及びユーザ機器4A〜4Dの状態監視結果を記憶手段に管理履歴として記録し続け、UPS3A〜3Cの状態が前記第1の閾値TH1よりも広い範囲に設定した第2の閾値TH2の範囲外になると、前記管理履歴を含めたネットワーク本体9内外の異常個所を特定する異常情報を、通信手段であるIP網12を介して予め決められた移動体携帯端末である携帯電話15に送信する異常監視手段20と、携帯電話15から送られる指令データを受信すると、その指令データの手順に従ってUPS3A〜3Cおよびユーザ機器4A〜4Dの動作を制御する動作制御手段24とを備えている。
【0032】
この場合、何らかの原因でUPS3A〜3Cの何れかまたは全てに異常が発生すると、異常監視手段24は異常個所を特定する異常情報を、予め決められた携帯電話15に向けて直ちに送信する。携帯電話15を所持する管理者は、受信した異常情報からシステム本体9内外のどの箇所で異常が発生しており、それに対してどのような処置を施すべきかを即座に判断できる。また、管理者が携帯電話15を利用して必要な指令データを送信すると、動作制御手段24はUPS3A〜3Cのみならずそれに従属するユーザ機器4A〜4Dに対する動作を制御することができる。したがって、管理者が遠隔地にいた場合でも、UPS3A〜3Cおよびユーザ機器4A〜4Dに対する処置対応を迅速に行なうことができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、異常監視手段20が管理履歴として記録する内容として、例えばUPS3A〜3Cから取得される停電や復電などの各種イベント情報や、入力電圧や周波数などの計測値の履歴を含めてもよい。また、UPS3A〜3Cに対する必要な処置として、既存の自動シャットダウン機能や負荷セグメント制御機能を利用してもよい。さらにUPSのような充電器を備えたものに限らず、充電器を備えていないスイッチング電源装置などを、電源装置として利用してもよい。
【0034】
【発明の効果】
本発明の電源ネットワークシステムによれば、システムに何らかの異常を来した場合に、遠隔地にいる管理者が電源装置および負荷に対する処置対応を迅速に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例における電源ネットワークシステムの一例を示す概略構成図である。
【図2】 同上、システム本体の内部機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】 同上、携帯電話の内部機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】 同上、UPS統合管理手段の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】 従来の電源ネットワークシステムの一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
3A〜3C UPS(電源装置)
4A〜4D ユーザ機器(負荷)
6 ネットワーク
12 IP網(通信手段)
15 携帯電話(移動体携帯端末)
20 異常監視手段
24 動作制御手段

Claims (1)

  1. 電源装置とこの電源装置からの電力供給を受ける負荷とを組み合わせた電源ユニット群をネットワーク接続して構成され、前記ネットワークを用いて前記電源装置の状態監視を行なう管理手段を備えた電源ネットワークシステムにおいて、
    前記管理手段は、前記電源装置の状態が第1閾値の範囲外になると、当該電源装置に従属する前記負荷の状態の監視を開始し、これらの電源装置及び負荷の状態監視結果を記憶手段に管理履歴として記録し続け、前記電源装置の状態が前記第1閾値よりも広い範囲に設定した第2閾値の範囲外になると、前記管理履歴を含めた異常個所を特定する異常情報を通信手段を介して予め決められた移動体携帯端末に送信する異常監視手段と、前記移動体携帯端末から送られる指令データを受信すると、その指令データの手順に従って前記電源装置および前記負荷の動作を制御する動作制御手段とを備えたものであることを特徴とする電源ネットワークシステム。
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