JP3888797B2 - 木質繊維板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、比重0.4以上の木質繊維板をいわゆる乾式抄造法によって製造する方法に関し、特に、ホルムアルデヒドの放散量が少なくて耐水性等の諸物性に優れた木質繊維板を生産性及び作業性よく製造できる方法に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、MDF(中比重繊維板、比重0.4〜0.8)やそれよりも密度の高いハードボードと称される木質繊維板を製造する場合、木材片を蒸煮して柔らかくした後、リファイナー等で解繊して木材繊維とし、この木材繊維に接着剤を塗布混合し、次いで、この木材繊維をフォーミング装置によってマット状に一旦形成し、このマット状物を連続プレスやホットプレスで熱圧するというプロセスを基本とするいわゆる乾式抄造法が採用されている。
【0003】
そして、このような木質繊維板の製造のための接着剤として、従来、安価で取扱いが容易であり、強度付与効果も高いことから、尿素樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、尿素−メラミン共縮合樹脂接着剤のようなホルムアルデヒド縮合樹脂系の接着剤が使用されている。
【0004】
しかしながら、近年、上記の接着剤に含まれる遊離ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因の1つと考えられ、このようなホルムアルデヒドを建築材料から除去し又は減少させることが要望されている。
【0005】
そこで、従来、上記ホルムアルデヒドを除去ないし軽減させるための方法の1つとして、遊離ホルムアルデヒドを含まず、強度的性質の付与効果にも優れたイソシアネート系接着剤を使用することが提案されている。例えば特開平2―279303号公報に示される方法では、イソシアネート系接着剤等の接着剤をブローパイプへ供給する場合を詳細に示しており、その接着剤をブローパイプへ供給する直前に接着剤と水等の希釈剤とを混合して乳濁化し、この乳濁化された接着剤をブローパイプ内に供給するようにしている。
【0006】
また、高圧衝突混合法と呼ばれる方法では、イソシアネート類と水とを高圧下で特殊なノズルに導入して2つの流れを衝突させることで極めて短時間に乳濁させ、この乳濁化された接着剤を供給するようにしている。
【0007】
さらに、高速撹拌混合法と呼ばれる方法は、イソシアネート類と水とを高速で撹拌することによって短時間で乳濁させ、この乳濁化された接着剤を供給する方法である。
【0008】
以上はいずれもイソシアネート系樹脂接着剤を水等の希釈剤に混合させた混合液(乳濁液)として使用する場合の例であり、この他、例えば水に直接分散しても直ぐには硬化反応が生じないように変性したイソシアネート系接着剤を使用する方法も検討されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記イソシアネート類は水と接触すると反応してその直後から硬化が始まるので、ミキシング後の接着剤のライフタイム(可使時間)が非常に短くなる。しかも、接着剤の供給パイプの曲がり部やノズル部等の流速が変化する部分では、接着剤の詰まりを生じ易く、これらにより取扱いが難しいという生産作業上の問題がある。
【0010】
また、製造を一旦中断する場合等においても、接着剤の添加ラインを徹底的にクリーニングしておく必要があり、このような設備の保守作業にも大変な労力がかかるという問題もあった。
【0011】
上記最初の従来技術(特開平2―279303号公報)では、特に上記の接着剤の添加ラインにおける目詰まりの問題を解決することを目的の1つとし、接着剤と希釈剤(水)とをブローパイプライン添加の直前に混合したり、製造を一旦中断する際等に希釈剤流をフラッシングしたりすること等により、接着剤の詰まりを解消しようとしている。この方法は、日常のメンテナンスに適用することで、詰まり防止に一定の効果を発揮するが、例えば長時間(数日間)の停止時には接着剤の硬化を発生し、最終的にはパイプの詰まりを生じてしまうことになる。
【0012】
また、特にブローパイプラインにおいて接着剤を塗布する場合、木質繊維に接着剤を添加した後の接着可使時間が短くなるため、ホットプレスに入れる前に接着剤が硬化してしまい、その分、繊維同士の接着に寄与できる接着剤の割合が少なくなって木質繊維板の接着強度が低下するという問題もある。
【0013】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、イソシアネート系接着剤を添加する場合の方法を改良することにより、接着剤のラインに生じる詰まりを安定してなくして生産性や作業性の向上を図るとともに、接着剤の接着力を有効に発揮できるようにすることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、イソシアネート系接着剤をブローパイプ内の木質繊維に添加するとき、その接着剤を高圧気体と共にそれぞれノズルの異なる吐出口から別々に供給するようにした。
【0015】
具体的には、請求項1の発明では、木質材料を蒸煮した後に解繊して木質繊維とし、この木質繊維をブローパイプラインにおいて接着剤を添加してフォーミングラインに送り、上記接着剤が添加された木質繊維をフォーミングヘッドからフォーミングベルト上に堆積してフォーミングマットを形成し、このフォーミングマットを加熱圧締して木質繊維板を形成する木質繊維板の製造方法が前提である。
【0016】
そして、上記ブローパイプラインで接着剤を添加するとき、その接着剤としてイソシアネート系接着剤を高圧気体と共に各々の吐出口が互いに別になったノズルによって同時にブローパイプ内に吐出して、木質繊維にイソシアネート系接着剤を添加することを特徴としている。
【0017】
上記構成の方法においては、ブローパイプ内にイソシアネート系接着剤と高圧気体とが直接供給されるので、そのイソシアネート系接着剤は、ブローパイプ内に供給されるまで水分と接触することがない。そして、このイソシアネート系接着剤として、水分を遮断する限り例えば約6ヶ月間程度は安定的に使用できる可使時間があるものを用いれば、実際の使用上、接着剤ラインに詰まりが生じることがなく、また頻繁に洗浄等をする必要もないので、生産作業・保守作業を極めて良好に行うことができる。
【0018】
また、生産を一時中断する場合等においては、接着剤ラインに希釈剤を通してフラッシングする等の手間も特に必要としない。
【0019】
さらに、上記イソシアネート系接着剤は、ブローパイプ内に供給された後に、ブローパイプ内を流れる水分(主として水蒸気)と始めて接触して反応を開始するとともに木質繊維に付着するので、接着剤としてのライフが相対的に長くなり、接着剤の持つ接着力を有効に発揮することができて、特にボードの剥離強度が向上する。
【0020】
以上によって、遊離ホルムアルデヒドを含まないイソシアネート系接着剤を使用しかつ接着力が大きくて強度的性質の優れた木質繊維板が生産性よく安定して得られる。
【0021】
請求項2の発明では、イソシアネート系接着剤に対する離型性を発現する液体を高圧気体に混入する。すなわち、この方法は、液状の離型剤を高圧気体に添加してブローパイプラインに供給するものである。
【0022】
ブローパイプラインや熱圧成型時に接触する金属から木質繊維を速やかに離型するために、離型剤をイソシアネート系接着剤に添加することは従来から行われているが、この離型剤は一般にイソシアネート系接着剤の可使時間を短くすることがあるので、予め接着剤に離型剤を混合しておくことは好ましくない。しかし、請求項2の発明では、この点を考慮して、高圧気体中に離型剤を添加することにより、接着剤と離型剤とを別個の吐出口から吐出させてブローパイプ内に供給するので、離型剤の添加によるイソシアネート系接着剤の可使時間への影響も極力減じることができる。
【0023】
請求項3の発明では、ブローパイプ内を木質繊維が流れているときに、イソシアネート系接着剤の添加の有無に関係なく常に高圧気体を流す。こうすると、ブローパイプ内を木質繊維が流れている限り、イソシアネート系接着剤の添加の有無に拘わらず高圧気体が流れ続けるので、例えば接着剤の添加を停止した後においても、木質繊維が接着剤吐出口に流れて吐出口を詰まらせることを防止できる。また、通常、木質繊維流はかなり高い温度で送られているので、吐出口(ノズル部分)の温度も高くなることがあるが、このような部分を高圧気体で冷却することができる。そのことで、接着剤が吐出部分で固まること等を防止することができる。
【0024】
請求項4の発明では、ブローパイプ内を通過する木質繊維の流量の変動に応じて起きるブローパイプ内の圧力変動に基づいて高圧気体の圧力又は流量を変化させることにより、イソシアネート系接着剤の添加量を変化させて、ブローパイプ内の木質繊維の流量と連動させる。このことで、木質繊維の流量に応じて変化するブローパイプ内の圧力に応じて、吐出口から噴出される高圧気体の圧力又は流量が制御されるので、吐出口から吐出されるイソシアネート系接着剤の流量を、木質繊維の流量の増域に応じて高圧気体の圧力又は流量の変化により変えて、木質繊維の量に対し略一定の接着剤を添加させることができる。
【0025】
すなわち、液体及び高圧気体の各吐出口を持つ2口ノズルの特徴として、供給する高圧気体による負圧で液体が吐出口から吸い出されるという現象があり、これを利用して高圧気体の圧力又は流量を制御することによってイソシアネート系接着剤の流量を制御することができる。従って、製造中にブローパイプ内を通過する木質繊維に多少の流量変化を生じても、この流量変化に対応して一定の添加率で接着剤を供給することができ、安定した品質の木質繊維板を製造することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る木質繊維板の製造方法は、基本的に、木質材料を蒸煮した後に解繊して木質繊維とし、この木質繊維をブローパイプラインにおいて接着剤を添加してフォーミングラインに送り、上記接着剤が添加された木質繊維をフォーミングヘッドからフォーミングベルト上に堆積してフォーミングマットを形成し、このフォーミングマットを加熱圧締して木質繊維板を形成するものである。
【0027】
そして最初に、上記製造方法に用いる装置の要部について説明する。図1において、1は上記ブローパイプラインを構成するブローパイプで、図示しないが、その図で下側にある上流側は、木質材料を蒸煮した後に解繊して木質繊維とするレファイナ(解繊機)に、また同上側にある下流側は、フォーミングラインを構成しかつ上記木質繊維を乾燥するドライア(乾燥機)にそれぞれ接続されており、ブローパイプ1内を木質繊維が水蒸気と共にその蒸気圧によって図で下側から上側に向かって高速で流れるようになっている。
【0028】
上記ブローパイプ1の直管部分の途中には第1接着剤ノズル2が設けられている。この第1接着剤ノズル2にはポンプ4を配置した第1接着剤供給パイプ3の下流端が接続され、この供給パイプ3の上流端は、ホルムアルデヒド縮合樹脂系接着剤としてのアミノ系接着剤を貯留する第1接着剤タンク5に接続されており、ポンプ4の作動によって第1接着剤タンク5内のアミノ系接着剤を第1接着剤ノズル2に供給してそのノズル2からブローパイプ1内の木質繊維に添加するようにしている。
【0029】
上記第1接着剤ノズル2下流側のブローパイプ1の直管部分には第1接着剤ノズル2から所定距離離れた部位に第2接着剤ノズル8が設けられている。図2及び図3に拡大して示すように、この第2接着剤ノズル8は例えば内管8a及び外管8bを同心に配置した2重管構造のもので、その先端部の中心には例えば1つの接着剤吐出口9が開口され、また、この接着剤吐出口9の周りには複数の気体吐出口10,10,…が接着剤吐出口9に近接してそれを取り囲むように環状に開口され、これら吐出口9,10はいずれもブローパイプ1内に臨むように配置されている。
【0030】
上記第2接着剤ノズル8の接着剤吐出口9に連通する内管8a内は第2接着剤供給パイプ12の下流端に接続され、この供給パイプ12の上流端はイソシアネート系接着剤を貯留する第2接着剤タンク13に接続されている。上記第2接着剤供給パイプ12の途中にはポンプ14、流量計15、圧力計16及び三方弁からなるシャッタバルブ17がそれぞれタンク13側(上流側)からノズル8側(下流側)に向かって順に配置されている。上記ポンプ14はコントローラ18からの信号を受けて作動するVFD19(Variable Frequency Drive:周波数制御装置(インバータ))により駆動制御され、上記コントローラ18には上記流量計15の出力信号が入力されており、流量計15により検出される流量が所定流量になるようにコントローラ18によりポンプ14を作動制御し、このポンプ14の作動によって第2接着剤タンク13内のイソシアネート系接着剤を第2接着剤ノズル8に供給してそのノズル8の接着剤吐出口9からブローパイプ1内に吐出するようにしている。
【0031】
上記イソシアネート系接着剤は、例えば固形分100%又は有機溶媒によって希釈されたポリメリックタイプで、水が一切添加されていないものが用いられる。具体的には、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、デスモジュールR(=BayerA.G社の商品名)、デスモジュールRF(=BayerA.G社の商品名)等や、これらとポリオール類とを組み合わせて内部変成したものを用いることができる。
【0032】
尚、上記第2接着剤供給パイプ12にはシャッタバルブ17においてドレンパイプ20が分岐され、このドレンパイプ20は図示しないが上記第2接着剤タンク13に接続されており、シャッタバルブ17の閉弁時に、ポンプ14から圧送されたイソシアネート系接着剤をドレンパイプ20を経て第2接着剤タンク13に戻すようにしている。
【0033】
また、ブローパイプ1内において、上記第2接着剤ノズル8によりイソシアネート系接着剤が添加される位置の木質繊維の流速は20m/sec以上に設定する。つまり、この流速が20m/sec未満であると、木質繊維を送給できなくなり、ブローパイプ1内で詰まる虞れがあるからである。また、上記した如く、ブローパイプ1は、少なくともイソシアネート系接着剤が添加される部分で直管状のものとすることで、その添加するイソシアネート系接着剤を木質繊維に対し均一に混合させることができる。
【0034】
一方、上記第2接着剤ノズル8において上記気体吐出口10,10,…に連通する外管8b内(内外管8a,8bの間)は高圧気体供給パイプ22の下流端に接続され、この気体供給パイプ22の上流端は、高圧気体を供給する高圧気体供給源23に接続されている。上記高圧気体としては乾燥エア又は窒素ガスを用いる。この高圧気体の含有水分は低いほど望ましく、コンプレッサ用ドライヤによって露点−20℃以下まで乾燥したものが好ましい。水分が多いとノズル8の部分に水分が滞留する虞れがあり、その場合は接着剤の固化を生じて詰まりの原因となり得るからである。
【0035】
上記高圧気体供給パイプ22の途中にはコントロールバルブ24及び圧力計25がそれぞれ高圧気体供給源23側(上流側)からノズル8側(下流側)に向かって順に配置されている。上記コントロールバルブ24はコントローラ26からの信号を受けて作動制御されるもので、上記コントローラ26には、上記第2接着剤ノズル8近傍のブローパイプ1内の圧力を検出する圧力センサ27の出力信号が入力されており、高圧気体供給源23からの高圧気体を第2接着剤ノズル8の気体吐出口10,10,…からブローパイプ1内に噴出して供給するとともに、ブローパイプ1内を通過する木質繊維の流量の変動に応じて起きるブローパイプ1内の圧力変動を圧力センサ27にて感知し、この圧力センサ27により検出される圧力変動に基づいてコントロールバルブ24を開閉制御することで、高圧気体の圧力又は流量を変化させるようにしている。
【0036】
上記高圧気体の圧力はブローパイプライン(ブローパイプ1)の内圧よりも1〜3bar程度高く設定するのがよく、例えばブローパイプラインの内圧が2〜3barであるときには、高圧気体の圧力は4〜6barとする。この差圧によって接着剤をノズル8からブローパイプ1内に噴射するようにしている。また、高圧気体の温度が高過ぎると、接着剤のポットライフが悪くなる一方、逆に低過ぎると、接着剤の粘度が高くなってポンプ14に負担がかかるため、その高圧気体の温度は常温、好ましくは20〜30℃とするのがよい。
【0037】
次に、このような製造装置を用いて木質繊維板を製造する方法を説明する。この方法では、既述したとおり、まず、リファイナにおいて木質材料を蒸煮した後に解繊して木質繊維とし、この木質繊維をブローパイプラインにより水蒸気と共に蒸気圧により高速で流して、そのブローパイプ1の途中で木質繊維に対し第1接着剤ノズル2からホルムアルデヒド縮合樹脂系接着剤としてのアミノ系接着剤を、次いで第2接着剤ノズル8からイソシアネート系接着剤をそれぞれ添加し、しかる後に、この両接着剤が添加された木質繊維を図外のフォーミングラインにおいてフォーミングヘッドからフォーミングベルト上に堆積してフォーミングマットを形成し、このフォーミングマットを加熱圧締して木質繊維板を形成する。
【0038】
そして、上記イソシアネート系接着剤を第2接着剤ノズル8の接着剤吐出口9からブローパイプ1内に吐出して木質繊維に添加するとき、そのノズル8の接着剤吐出口9周囲の気体吐出口10,10,…から高圧気体をブローパイプ1内部に噴出状態で吐出させる。すなわち、イソシアネート系接着剤と高圧気体とを各々の吐出口9,10が互いに別になって近接配置された第2接着剤ノズル8によって同時にブローパイプ1内に吐出させて、木質繊維にイソシアネート系接着剤を添加する。
【0039】
その場合、上記ブローパイプ1内にイソシアネート系接着剤と高圧気体とが第2接着剤ノズル8から直接供給されるので、そのイソシアネート系接着剤は、ブローパイプ1内に供給されるまで水分と全く接触しない。従って、このイソシアネート系接着剤として、水分を遮断する限り例えば約6ヶ月間程度は安定的に使用できる可使時間があるものを用いれば、実用上、接着剤ラインに詰まりが生じることがなく、また頻繁に洗浄等をする必要もなくなる。よって木質繊維板の生産作業及び保守作業を極めて良好に行うことができる。また、木質繊維板の生産を一時中断する場合等においては、接着剤ラインに希釈剤を通してフラッシングする等の手間も特に必要としない。
【0040】
さらに、上記イソシアネート系接着剤は、ブローパイプ1内に供給された後に、ブローパイプ1内を流れる水分(水蒸気)と接触反応を開始して木質繊維に付着するので、接着剤としての接着寿命が長くなり、接着剤の持つ接着力を有効に発揮することができる。
【0041】
また、上記第2接着剤ノズル8は、接着剤吐出口9と高圧気体吐出口10とが異なり、ノズル先8端部の中心に接着剤吐出口9が、その周りに気体吐出口10がそれぞれ設けられた2重管構造のものであるので、気体吐出口9から噴出された高圧気体は、接着剤吐出口9から吐出されたイソシアネート系接着剤の流れを囲むように流れる。このため、吐出口9の周囲部分へ接着剤の飛沫や木質繊維のダストが滞留すること、その滞留により目詰まりすること、さらには吐出口9周囲へ大きく接着剤が飛散することをいずれも防止することができる。尚、木質繊維へイソシアネート系接着剤を均一に添加するために、噴霧するイソシアネート系接着剤の平均粒径を100μm以下とすることが望ましい。
【0042】
また、上記イソシアネート系接着剤を第2接着剤ノズル8の接着剤吐出口9からブローパイプ1内に吐出して木質繊維に添加するとき、ブローパイプ1内を通過する木質繊維の流量の変動に応じて起きるブローパイプ1内の圧力変動を圧力センサ27にて感知し、その圧力変動に基づきコントロールバルブ24を開閉制御して高圧気体の圧力又は流量を変化させることにより、ノズル8からのイソシアネート系接着剤の添加量(供給量)を変化させて、ブローパイプ1内を通過する木質繊維の流量と連動させる。このように、木質繊維の流量に応じて変化するブローパイプ1内の圧力により、吐出口10,10,…から噴出される高圧気体の流量・圧力が制御されるので、吐出口9から噴出されるイソシアネート系接着剤の流量を、木質繊維の流量の増域に応じて高圧気体の流量変化により変化させることができ、木質繊維の量に対し略一定の接着剤を添加できる。
【0043】
また、上記のようにブローパイプ1内の木質繊維に対しイソシアネート系接着剤の添加の前に第1接着剤ノズル2からホルムアルデヒド縮合樹脂系接着剤としてのアミノ系接着剤を吐出させて、イソシアネート系接着剤とホルムアルデヒド縮合樹脂系接着剤とを併用して使用するとき、例えばイソシアネート系接着剤とアミノ系接着剤との重量比を1:20〜1の範囲となるように添加し、目標品質によって適宜調整する。このようにしてホルムアルデヒド縮合系樹脂接着剤の一部をイソシアネート系接着剤に置き換えることによって、遊離ホルムアルデヒドの揮散を低減し、同時に耐水性を向上させることができる。尚、上記アミノ系接着剤に変えて、尿素樹脂接着剤や尿素−メラミン共縮合樹脂接着剤等の他の接着剤をイソシアネート系接着剤と併用することもできる。
【0044】
(他の実施形態)
尚、上記ホルムアルデヒド縮合樹脂系接着剤は、上記実施形態のようにイソシアネート系接着剤の添加前に予め添加してもよいが、逆に、イソシアネート系接着剤の添加後に添加してもよい。また、必ずしもホルムアルデヒド縮合樹脂系接着剤をイソシアネート系接着剤と併用する必要はなく、このイソシアネート系接着剤を単独で使用してもよい。その場合、イソシアネート系接着剤は気乾木質木質繊維に対し1〜20重量%の範囲で添加すればよい。
【0045】
また、図4に示すように、上記第2接着剤ノズル8の気体吐出口10は、接着剤吐出口9を囲むように配置された連続した円環状のものとしてもよい。
【0046】
さらに、上記高圧気体に、上記イソシアネート系接着剤に対する離型性を発現する液体を混入させておくこともできる。上記離型性のある液体としては、ステアリン酸系化合物、シリコン系化合物、テフロン系化合物を用いることができる。ステアリン酸系化合物には例えばステアリン酸亜鉛ステアリン酸アミド等のエマルジョンがあり、シリコン系化合物には、例えばシリコンオイル又はシリコンオイルの溶液やエマルジョンがあり、テフロン系化合物とは、例えば四フッ化樹脂(PTFE)、三フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−エチレン共重合体等の溶液や水性ディスパージョン等が挙げられる。これらの離型性のある液体を高圧気体中に加えることで、イソシアネート系接着剤への直接の添加による可使時間の短縮化を招くことなく、ブローパイプラインにおける接着剤の添加時や、連続プレス、バッチプレスでマットを熱圧成型する際に、ブローパイプラインの管壁や連続プレスの金属ベルト、バッチプレスの金属プレート等にイソシアネート系接着剤が木質繊維と共にくっつくという不具合を防止することができる。
【0047】
また、ブローパイプ1内を木質繊維が流れているときには、イソシアネート系接着剤の添加の有無に関係なく高圧気体を常時流し続けてもよい。こうしてブローパイプ1内を木質繊維が流れている限り高圧気体を流し続けることで、接着剤の添加を停止した後においても、木質繊維が接着剤吐出口9に詰まるのを防止できる。しかも、木質繊維の温度により第2接着剤ノズル8の接着剤吐出口9が加熱されても、その加熱部分を高圧気体で冷却でき、接着剤が吐出口9で固まるのを防止することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によると、木質繊維板の製造時のブローパイプラインにおいて木質繊維にイソシアネート系接着剤を添加するとき、その接着剤を高圧気体と共に、両者の各吐出口が互いに別になったノズルによって同時にブローパイプ内に吐出させるようにしたことにより、イソシアネート系接着剤をブローパイプ内に供給されるまで水分と接触させず、接着剤ラインの詰まりや頻繁な洗浄、希釈剤によるフラッシング等を不要として生産作業性・保守作業性の向上を図ることができるとともに、接着剤のライフを長くしてその接着力を有効に発揮でき、木質繊維板の強度の向上を図ることができる。
【0049】
請求項2の発明によると、イソシアネート系接着剤に対する離型性を発現する液体を高圧気体に添加することにより、離型性液体によるイソシアネート系接着剤の可使時間の短縮化を防ぎつつ、その離型性液体によりブローパイプラインや熱圧成型時に接触する金属からの木質繊維の離型を確実かつ容易に行うことができる。
【0050】
請求項3の発明によると、ブローパイプ内を木質繊維が流れている限り高圧気体を流し続けることにより、木質繊維による吐出口の詰まりや吐出口温度の昇温による接着剤の詰まりを防止することができる。
【0051】
請求項4の発明によると、木質繊維の流量の変動によるブローパイプ内の圧力変動に基づいて高圧気体の圧力又は流量を変化させることにより、製造中にブローパイプ内を通過する木質繊維に多少の流量変化を生じても一定の添加率で接着剤を供給して、安定した品質の木質繊維板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る木質繊維板の製造方法に用いる製造装置を示す概略図である。
【図2】第2接着剤ノズルを模式的に示す概略拡大断面図である。
【図3】第2接着剤ノズルの概略拡大正面図である。
【図4】第2接着剤ノズルの他の例を示す図3相当図である。
【符号の説明】
1 ブローパイプ
8 第2接着剤ノズル(ノズル)
9 接着剤吐出口
10 気体吐出口
12 第2接着剤供給パイプ
22 高圧気体供給パイプ
23 高圧気体供給源
24 コントロールバルブ
26 コントローラ
27 圧力センサ
Claims (4)
- 木質材料を蒸煮した後に解繊して木質繊維とし、
この木質繊維をブローパイプラインにおいて接着剤を添加してフォーミングラインに送り、
上記接着剤が添加された木質繊維をフォーミングヘッドからフォーミングベルト上に堆積してフォーミングマットを形成し、
このフォーミングマットを加熱圧締して木質繊維板を形成する木質繊維板の製造方法において、
上記ブローパイプラインで接着剤を添加するとき、該接着剤としてのイソシアネート系接着剤を高圧気体と共に各々の吐出口が互いに別になったノズルにより同時にブローパイプ内に吐出して、木質繊維にイソシアネート系接着剤を添加することを特徴とする木質繊維板の製造方法。 - 請求項1の木質繊維板の製造方法において、
イソシアネート系接着剤に対する離型性を発現する液体を高圧気体に混入することを特徴とする木質繊維板の製造方法。 - 請求項1又は2の木質繊維板の製造方法において、
ブローパイプ内を木質繊維が流れているときに、イソシアネート系接着剤の添加の有無に関係なく常に高圧気体を流すことを特徴とする木質繊維板の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1つの木質繊維板の製造方法において、
ブローパイプ内を通過する木質繊維の流量の変動に応じて起きるブローパイプ内の圧力変動に基づいて高圧気体の圧力又は流量を変化させることにより、イソシアネート系接着剤の添加量を変化させて、ブローパイプ内の木質繊維の流量と連動させることを特徴とする木質繊維板の製造方法。
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