JP3888034B2 - 無線タグシステムの質問器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、準マイクロ波帯の無線周波数を使う、電池を持たない無線ICタグの質問器の回路方式および構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
準マイクロ波帯域で使用され、電池を持たない無線ICタグを用いた従来のシステムが、社団法人電波産業会(ARIB)の標準規格第1号に規定される移動体識別装置標準システムのモデルAとして紹介されている。
【0003】
図11に上記従来例を示す。同図において1101は質問器、1102は応答器、1103ないし1108はアンテナである。質問器1101は質問用と書き込み用の2つの送信部と、読み取り用の受信部と、データ処理部を有している。質問器1101の2つの送信部および受信部には、それぞれアンテナ1103,1107,1105が接続され、送信および受信で別個のアンテナが使われる。
【0004】
これに対応する応答器1102では、質問器側のアンテナ1103,1107,1105に対応して、アンテナ1104,1108,1106を配し、それぞれ応答器1102の変調部、書き込み受信部に接続されている。
【0005】
質問器1101の質問用送信部からの信号は、アンテナ1103,1104を介して応答器1102の変調部に伝送され、さらにアンテナ1106、1105を介して質問器の読み取り用受信部で応答器1102からの信号として検出される。
【0006】
このとき、上記信号が応答器1102の変調部で加工を受けない場合、応答器1102は論理“0”の信号を返す処理がなされ、上記信号に応答器1102の変調部で何らかの加工が加えられ、アンテナ1105から放射される信号の一部に変化が認められた場合は、論理“1”の信号と見なすなどの処理が質問器でなされる。
【0007】
応答器1102の変調部に対しては、情報記憶部の信号に応じて加工がなされる。応答器1102の情報記憶部に対しては、質問器1101の書き込み用送信部からの信号がアンテナ1107と1108を介して応答器1102の書き込み受信部に伝送されることによって、書き換えがなされる。
【0008】
このシステムでは、応答器1102に複数のアンテナを配する必要があり、形状およびコストの点で不利となる。また、質問器1101に3個の独立したアンテナを使うことでもコスト面、形状面で有利とはいえない。また、アンテナとして、線状あるいは面状の放射型アンテナを用いることは、放射指向性と空間電波における減衰のために、長い距離の伝送では不利となる。さらに放射方向に阻止条件が発生した場合には伝搬ができなくなるなどの不利がある。
【0009】
このほかに、空間伝送を行っている例として、エーアイエムジャパンの「データキャリア技術と応用」1990.Oct.(日刊工業新聞社)では、角型マイクロストリップ・パッチアンテナを利用した例についての記述がなされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような放射型のアンテナを使った例では、信号のやりとりができる通信距離が短く、質問器が放射する電波の照射エリア内での信号のやりとりに制限され、多数の応答器との時系列的な信号のやりとりには適していなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
時系列的に多数の応答器との間で信号のやりとりをする手段として、表面波線路を使った電波照射がある。これは、表面波線路の一つであるG線(Gaubeu線路の略)を使う方法である。G線は線状導体の表面に一様な厚さの誘電体の層を形成したもので、エナメル線やウレタン被覆導線などが利用できる。
【0012】
G線では導体の周りの所定の半径の領域に進行波状の電磁波を分布させることができ、G線の入力端および出力端でホーンアンテナなどの進行波駆動器を使って励振させる。したがって接地導体を使わないので、伝送損失が少ないという特徴を備えており、長い距離での電磁波の伝送に適している。
【0013】
上記G線の特徴を利用すれば、G線の電磁波の分布領域内に多数個配置した応答器を時系列的に処理することができる。G線の周辺に応答器を多数個配置する場合、G線に供給する電力はARIBの標準規格第1号に規定されている電力を投入することになり、応答器の消費電力に応じて配置できる応答器の数が自ずと決まってしまう。そこで、できるだけ多くの応答器を配置するために、応答器の消費電力を低減することはもちろんのこと、複数の質問器の送信信号を利用するなどの手段が必要となってくる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施例を示す無線タグシステムの構成を示す。図において、101は制御信号/データ入出力端子、102は制御回路、103は信号処理回路、104は送信機、105は駆動器、106はG線、107は駆動器、108は終端器、109はタグ、110は受信機、111は駆動器、112はG線、113は駆動器、114は終端器である。
【0015】
上記制御回路102は制御信号/データ入出力端子101からの制御信号に応じて送信機104および受信機110を適宜動作させ、G線106および112とタグ109との間でのデータのやりとりを制御する。
【0016】
上記G線106または112は、それぞれ送信機104または受信機110と接続する場合、電磁ホーンなどの電磁波駆動器105あるいは駆動器111を介して電磁波が進行波として伝達されるようにする。同様にG線106または112は、それぞれ終端器108または114と接続する場合、電磁波駆動器107または113を介して接続される。受信機110は送信機104の出力信号の一部を受け取り、受信信号の検波、復調に使用する。
【0017】
図1の実施例では、送信信号が伝搬するG線106と受信信号が伝搬するG線112とタグ109が電気的に結合し、データのやりとりがなされ、併せてタグ109に駆動電力が供給される。すなわち、G線106と112はアイソレーションを保ってタグ109と電気的に結合している。G線106および112は伝送損失が少ない特徴があり、したがって長い距離にわたって直線的に敷設することが可能である。タグ109はG線上の場所によらず、一様な受信電力を得るように、G線106,112にそって配置することができる。
【0018】
図2は本発明の第2の実施例を示すシステム構成である。図において201は制御信号/データ入出力端子、202は制御回路、203は信号処理回路、204は送信機a、205は駆動器、206はG線、207は駆動器、208は終端器、209は送信機b、210は駆動器、211はG線、212は駆動器、213は終端器、214はタグ、215は受信機、216は駆動器、217はG線、218は駆動器、219は終端器である。
【0019】
本実施例は前記第1の実施例において送信系を1系統追加した構成である。これに伴い、信号処理回路における送信系の制御線が追加されている。同時に、送信機a204および送信機b209は同期がとれるように制御線で接続することも可能である。受信機215は送信機a209の送信信号の一部を受けて受信信号の検波・復調を行う。
【0020】
本実施例では、送信系を送信機a204および送信機b209で構成し、G線206および211を同時に同一周波数あるいは異なる周波数の搬送波で駆動することにより、タグ214の受け取る電力を増加させようとするものである。この結果、時系列的に処理できるタグ214の総数を増加させることができる。
【0021】
図3は本発明の第3の実施例を示すシステム構成を示す。図において301は制御信号/データ入出力端子、302は制御回路、303は信号処理回路、304は送信機、305は駆動器、306はG線、307は駆動器、308は終端器、309はタグ、310は受信機、311はG線、312は終端器である。
【0022】
本実施例が前記第1の実施例と異なる点は、送信系の駆動器と受信系の駆動器を共通にした点である。G線306とG線311の送信機304あるいは受信機310側の駆動器305と、上記G線306とG線311の終端器308,312側の駆動器307がそれである。
【0023】
駆動器305,307には電磁ホーンなどを用いるが、この電磁ホーンにおいて入力ポートを2個つけるか、あるいは後述するように電磁ホーンを平板導体で代用するなどすれば、入力ポートを2個付加することは容易である。
【0024】
図4は本発明の第4の実施例になる無線タグシステムの構成例である。図において401は制御信号/データ入出力端子、402は制御回路、403は信号処理回路、404は送信機a、405は駆動器、406はG線、407は駆動器、408は終端器、409は送信機b、410はG線、411は終端器、412はタグ、413は受信機、414は駆動器、415はG線、416は駆動器、417は終端器である。
【0025】
本実施例が図2の実施例と異なる点は、送信系の駆動器をそれぞれ共通にした点である。
【0026】
図5は本発明の第5の実施例になる無線タグシステムの構成例である。図において501は制御信号/データ入出力端子、502は制御回路、503は信号処理回路、504は送信機a、505は駆動器、506はG線、507は駆動器、508は終端器、509は送信機b、510はG線、511は終端器、512はタグ、513は受信機、514はG線、515は終端器である。
【0027】
本実施例が図2の実施例と異なる点は、送信系および受信系のG線506,510,514の駆動器が共通になっている点である。駆動器505,507を、それぞれを一つの板状導体で構成し、送信系および受信系に共通の駆動器導体板として用いる。
【0028】
図6(a)および(d)に本発明に用いるG線および駆動器の構成例を示す。
【0029】
図6(b)は図6(a)の、図6(c)は図6(d)の、それぞれ断面図である。
【0030】
図において601はG線、602、603は駆動器、604、605は円筒導体部、606は入力端子、607は出力端子である。
【0031】
G線601は両端を入力端子606,出力端子607とする線状導体に誘電体を一様な厚さで被覆したものである。駆動器602,603は入力端子606,出力端子607の同軸線路部を構成する円筒導体604,605と駆動器602あるいは603と電気的に接続されている。駆動器の形状の一例として、駆動器602は矩形状、駆動器603は円形状をなしている。
【0032】
図7(a)および(d)に本発明に用いるG線および駆動器の他の構成例を示す。図7(b)は図7(a)の、図7(c)は図7(d)の、それぞれ断面図である。図において701はG線、702、703は駆動器、704、705は誘電体板、706,707は円筒導体部、708は入力端子、709は出力端子である。第7の実施例と異なる点は、駆動器702および703を、片面銅張りの誘電体基板704、705で形成した点である。同軸線路を構成する円筒導体部706と707は、それぞれ駆動器704,705を構成する誘電体基板の導体と電気的に結合している。駆動器の形状として、駆動器702では円形状に、駆動器703では矩形状に成形されている。
【0033】
図8は2組のG線と駆動器を配置した例を示す。図8において、801,802はG線、803,804,805,806は駆動器、807,808,809,810は信号の入出力端子である。駆動器803,804,805,806の導体部分は銅張り誘電体基板の導体部分を利用して形成している。
【0034】
この実施例は、第1の実施例の送信と受信のG線および駆動器部分の構成であり、第2の実施例にも展開可能である。2組のG線801および802と駆動器を近接して配置して、タグとG線との間で信号のやりとりができるようにすることが必要である。
【0035】
図9は図8の実施例の2組のG線と駆動器のうち、片方同士の駆動器部分の導体を片面銅張りの誘電体基板の銅箔部分を電気的に共通にした実施例である。図において901,902はG線、903,904は駆動器、905,906,907,908は信号の入出力端子である。
【0036】
図10は前記第5の実施例におけるG線と駆動器の組み合わせを示したものである。図において1001,1002,1003はG線、1004,1005は駆動器、1006ないし1011は信号の入出力端子である。本実施例ではG線1001,1002,1003の片方同士の駆動器を、片面銅張りの誘電体基板の導体部分を共通に使用した駆動器で構成したものである。
【0037】
【発明の効果】
本発明の無線ICタグシステムにより次の効果が期待できる。
【0038】
(1)マイクロ波帯の少なくとも一つの信号送信器と少なくとも一つの信号受信機を持つ質問器と応答器間の信号のやりとりに表面波線路であるG線を送信機および受信機の総数だけ使うことにより、G線に近接して信号のやりとりを行う応答器であるタグをより多く配置することができる。これにより、棚状に多数整列配置した物品に付されたタグ情報の読み出し書き込みを時系列的、自動的に行うことが可能となる。
【0039】
(2)G線に対してマイクロ信号を励振する駆動器を、平板導体を用いて構成することにより、移動体識別装置のアンテナ部分をより低価格化することができる。
【0040】
(3)G線に対してマイクロ信号を励振する駆動器を複数個電気的に連結して構成することにより、移動体識別装置のアンテナ部分をより低価格化することができる。
【0041】
(4)移動体識別装置の送信機および受信機に接続されるアンテナ部分を駆動器とG線からなる伝送系で置き換えることにより、送信信号と受信信号の高周波的なアイソレーションをより高めることができ、受信信号のS/N向上に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す無線ICタグシステムのブロック図。
【図2】本発明の第2の実施例を示す無線ICタグシステムのブロック図。
【図3】本発明の第3の実施例を示す無線ICタグシステムのブロック図。
【図4】本発明の第4の実施例を示す無線ICタグシステムのブロック図。
【図5】本発明の第5の実施例を示す無線ICタグシステムのブロック図。
【図6】本発明の実施に用いるG線および駆動器の構成例を示す正面図および断面図。
【図7】本発明の実施に用いるG線および駆動器の構成例を示す正面図および断面図。
【図8】本発明の実施に用いるG線および駆動器の構成例を示す断面図。
【図9】本発明の実施に用いるG線および駆動器の構成例を示す断面図。
【図10】本発明の実施に用いるG線および駆動器の構成例を示す断面図。
【図11】従来例の無線タグシステムの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
501…制御信号/データ入出力端子、502…制御回路、503…信号処理回路、504…送信機a、505、507…駆動器、506、510、514…G線、509…送信機b、508、511、515…終端器、512…タグ、513…受信機。

Claims (6)

  1. マイクロ波帯を使う質問器と応答器(無線タグ)から成り、質問器に送信用アンテナと受信用アンテナを備える無線タグシステムの質問器において、送信用アンテナおよび受信用アンテナを矩形平板導体で構成される駆動器と上記駆動器によってマイクロ波を励振する表面波線路であるG線(Gaubeu線路の略)でそれぞれ構成したことを特徴とする無線タグシステムの質問器。
  2. マイクロ波帯を使う質問器と応答器(無線タグ)から成り、質問器に複数の送信用アンテナと一つの受信用アンテナを備える無線タグシステムの質問器において、質問器の複数の送信用アンテナおよび一つの受信用アンテナを、矩形平板導体で構成される駆動器と上記駆動器によってマイクロ波を励振する表面波線路であるG線でそれぞれ構成したことを特徴とする無線タグシステムの質問器。
  3. 請求項1において、上記駆動器のうち上記G線の同一向きにある送信用および受信用の駆動器導体を、それぞれ共通の導体としたことを特徴とする無線タグシステムの質問器。
  4. 請求項1において、上記駆動器のうち上記G線の同一向きにある送信用および受信用の駆動器導体を、それぞれ銅張り誘電体基板の銅導体を使い、共通の導体としたことを特徴とする無線タグシステムの質問器。
  5. 請求項2において、上記駆動器のうち上記G線の同一向きにある複数の送信用および一つの受信用の駆動器導体を、それぞれ銅張り誘電体基板の銅導体を使い、共通の導体としたことを特徴とする無線タグシステムの質問器。
  6. 請求項2において、上記駆動器のうち上記G線の同一向きにある複数の送信用の駆動器導体を、それぞれ銅張り誘電体基板の銅導体を使い、共通の導体としたことを特徴とする無線タグシステムの質問器。
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