JP3887838B2 - 高炉の操業方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉の操業方法に関し、とくに、炉床内での溶銑の流動不良を解消する高炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の大型高炉では、複数の出銑口を設け、交互に使用し出銑する交互出銑が普通に行われている。このような交互出銑では、一方の出銑口からはスラグが多く出たり、他の出銑口からは溶銑のみが出銑されたり、あるいは、出銑口ごとに溶銑組成、溶銑温度が大きく異なるなど、出銑口偏差が生じることがある。
【0003】
このような出銑口偏差は、たとえば、特公昭55−18764号公報に示されるように、高炉の下部炉壁に付着物が形成されたことによる場合には、原料装入サイクルにおいてコークスの数チャージ連続装入を行うことにより、周辺流を強めて炉壁付着物を溶融除去して、解消していた。炉頂全面にわたり装入原料の鉱石重量/コークス重量を下げる、すなわち、燃料比を増加するという方法を行っていた。しかしながら、この方法では、炉体の熱負荷の増大を招き、溶銑中のSi量、燃料比が増加するという問題がある。
【0004】
また、最近は、高炉の固定費削減のため、高炉1本当たりの出銑量を多くする操業が要求されている。このような高出銑比操業を達成するためには、高出銑比操業によるスラグ生成量の増加にかかわらず、炉床に溜まるスラグが羽口レベルまで達しないようにスラグレベルを低く維持する必要がある。スラグレベルが高くなると、風圧が増加することや、休風時あるいは減風時にスラグが羽口に逆流することが懸念される。
【0005】
したがって、スラグレベルを低く維持するために、従来では、一つの出銑口を用いての出銑中に他の出銑口を開口し出銑する、いわゆるラップ出銑を行ったり、あるいは一日当たりの出銑回数を増加することで対応していた。しかし、この方法では、出銑口の開口に多大の費用を要すること、開口作業と閉塞作業が重なる場合が多く、それに見合う作業人員を確保配置する必要があることなど問題を残していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した状況に鑑み、溶銑品質に影響せず、出銑口偏差をすみやかに解消でき、さらに安定した高出銑比操業が可能な高炉の操業方法を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、出銑口偏差が発生する最大の要因は、炉床内に存在する溶銑の低透過層の存在であり、この低透過層が炉床における溶銑の流動を阻害して、出銑口偏差を生じさせていると考えた。この低透過層は、たとえば、炉床コークス充填層下面で出銑口−炉底面間に存在する晶出グラファイトを中心とする溶銑・グラファイト・コークスの混合層(CAMP−ISIJ,Vol.2(1989),91)であると推定される。このような溶銑の流れを阻害する流動不良部の位置を検知し、流動不良部を消去する手段を採用すれば、出銑口偏差が無くなるとの考えから、流動不良部の位置の検知方法について鋭意検討した。
【0008】
本発明者らは、炉床全体に溶銑が流れる場合は、炉底各部の温度は同一挙動を示すが、上記したような溶銑の流動を阻害する流動不良部が存在すると、溶銑流から炉底各部への総括熱伝達係数が小さくなり、さらに、溶銑の流路が分けられ、炉底各部温度の挙動が同一でなくなると考えた。そこで本発明者らは、炉底温度を測定し、炉底各部の温度相関をとれば、溶銑流動の不良な個所の特定が可能であることに思い至った。
【0009】
まず、本発明の基礎になった実験について説明する。
二つの出銑口を有する高炉において、図2に示す炉底側壁のa〜h、ベースプレート下のx〜zの位置に温度計13を埋め込み、各個所の温度を記録した。この高炉では、シャフト部の付着物が脱落したのち、短期的な炉況の悪化を経験したあと、出銑口偏差が続いていた。この期間内に、隣接する温度計設置個所の間で炉底温度の相関を求めた。隣接する場所i,j間の温度相関は、次式の温度相関指数Rijを用いた。
【0010】
【数2】
【0011】
その結果を図2に併記する。側壁のa−b間、b−c間、c−d間、およびベースプレート下のx−y間では温度相関指数の絶対値が低い。これから、図3に示す位置に溶銑流動の不良部が存在することが推定された。
本発明は、上記した実験をもとに、構成されたものである。
すなわち、本発明は、羽口からの補助燃料吹き込み装置を有する高炉において、高炉の炉底部の複数個所に温度計を設置し、該温度計設置個所のうち隣接する温度計設置個所間の温度相関指数R ij を下記(1)式によって求め、該温度相関指数R ij から炉床内の溶銑流動状態を推定し、溶銑流動が不良な個所に対応する羽口では前記補助燃料吹き込み装置から補助燃料を、他の羽口の補助燃料吹き込み量にくらべ増加して吹き込むことを特徴とする高炉の操業方法である。
【0012】
【数3】
【0013】
また、前記補助燃料は、微粉炭、重油、もしくはタールを用いるのが好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、図1に概略断面図を示す、羽口からの補助燃料吹き込み装置を有する高炉において、好適に実施できる。高炉には、ホッパ11、センタリングチューブ10、旋回シュート9とからなる原料装入装置、炉体を構成する鉄皮8の下部には熱風12を吹き込む羽口5および出銑口6が設けてあり、羽口5には、補助燃料吹き込み装置14が設置されている。また炉内には融着帯4、炉芯3、スラグ層2、溶銑層1が形成されている。
【0015】
高炉の炉底部の複数個所に温度計13を設置し、該温度計設置個所のうち隣接する温度計設置個所間の温度相関をそれぞれ求める。
温度計は、高炉炉底部の任意の場所に設置すればよく特に限定されない。例えば炉底側壁、ベースプレート下などに設置することが考えられる。
設置した温度計により、各個所の温度履歴を測定する。この温度測定結果から、一定時間内で隣接する温度計設置個所間の温度相関を求める。温度相関は、次(1)式の温度相関指数Rijを用いて求める。
【0016】
【数4】
【0017】
上記温度相関指数Rijが、その絶対値で小さいときは、溶銑の流動が不良で、その隣接する個所間で溶銑流動の不良部が存在することになる。このように、温度相関指数Rijを温度計設置個所の隣接する個所間すべてについて求め、溶銑流動不良部を特定し、炉床内の溶銑流動状態を推定する。
特定した溶銑流動の不良部に対応する羽口では、補助燃料吹き込み装置から補助燃料を、他の羽口の補助燃料吹き込み量にくらべ増加して吹き込む。
【0018】
羽口からの補助燃料吹き込み装置を有する高炉では、補助燃料吹き込み装置からの吹き込み量を増加させると、当該羽口上部の燃料比が増加し、その範囲を滴下してくる溶銑滓の温度が上昇する。高温の溶銑滓が上部より滴下してくると、溶銑流動の不良部を構成している溶銑は溶解し、晶出グラファイトは押し流され、溶銑流動の不良部は減少し、消滅する。
【0019】
本発明では、溶銑流動の不良部の位置を特定し、その位置に対応した羽口で、補助燃料の吹き込み量を増加する。他の羽口では、補助燃料の吹き込み量は一定としても、また減少してもよい。したがって、炉全体の熱量の増加は少なく、また炉全体の熱量を一定にすることも可能であり、溶銑中のSi量、燃料比の増加を抑制することができる。
【0020】
溶銑流動の不良部の存在は、炉床の湯溜まりを実質的に狭くし、有効貯銑滓量を減少させるので、スラグレベルを上昇させ、風圧を上昇させるが、溶銑流動の不良部が減少あるいは消滅すれば、これらの問題の発生はなくなる。
【0021】
【実施例】
内容積4500m3 、羽口数40本、出銑口4本、羽口からの補助燃料吹き込み装置付き高炉で、図4中に示す位置a〜hの炉底側壁(出銑口下300mmレベル)に温度計13を設置した。この高炉で、出銑比1.5ton/m3 d、送風量6000m3 /min、燃料比540kg/t−pの条件で操業した。この通常操業では、燃料比のうち80kg/t−pは、羽口から微粉炭を、各羽口から均等に、すなわち、羽口1本あたり2kg/t−pを吹き込んだ。
【0022】
通常操業のある時期に、炉底側壁に設置した温度計により測定した温度履歴から、隣接する温度計設置個所間の温度相関指数Rijを(1)式を用い求めた。その結果を、図4中に示す。この結果から、斜線部に溶銑の流動不良部が存在することがわかった。そこで、26、27、28番の羽口の微粉炭吹き込み量を2kg/t−pから4kg/t−pに増加させた。なお、全体の微粉炭吹き込み量は80kg/t−p一定となるように他の羽口からの吹き込み量を減少した。このような微粉炭吹き込み量を変化させた操業の開始から1週間後には、炉底側壁の温度相関指数は図5中に示す値となり、いずれの個所も温度相関指数は大きくなり、溶銑の流動不良部が解消したことがわかる。
【0023】
この操業にともなう、出銑口ごとの溶銑温度、および溶銑Siの推移を図6に示す。本発明の方法を適用する前は、出銑口ごとに、溶銑温度、および溶銑Siに相違がみられ、出銑口偏差が認められた。しかし、本発明の方法を適用したのちは、溶銑温度、溶銑Siともほぼ等しい値となり、出銑口偏差が解消した。
また、この操業に伴う送風圧の推移を図7に示す。本発明の適用により、溶銑の流動不良部が消滅し、炉床の湯溜まりが広くなり、平均的なスラグレベルが低下したことで送風圧が低下した。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、炉床内の溶銑の流動不良部が容易に検知でき、溶銑品質に影響せず、出銑口偏差をすみやかに解消でき、さらに安定した高出銑比操業が可能となり、高炉操業に寄与すること大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高炉の概略断面を示す説明図である。
【図2】実験例における温度計設置個所((a)炉底側壁、(b)ベースプレート下)と隣接する温度計設置個所間の炉底温度相関指数Rijの測定結果を示す説明図である。
【図3】図2の炉底温度相関指数Rijの測定結果から求めた溶銑の流動と流動不良部を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例における、炉底部の温度計設置個所と、本発明適用前の、隣接する温度計設置個所間の炉底温度相関指数Rijの測定結果および溶銑の流動不良部の位置を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例における炉底部の温度計設置個所と、本発明適用後の、隣接する温度計設置個所間の炉底温度相関指数Rijの測定結果および溶銑の流動不良部の解消を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例における本発明適用前後の溶銑温度、溶銑Si量の推移を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例における本発明適用前後の送風圧の推移を示すグラフである。
【符号の説明】
1 溶銑層
2 スラグ層
3 炉芯
4 融着帯
5 羽口
6 出銑口
8 鉄皮
9 旋回シュート
10 センタリングチューブ
11 ホッパ
12 熱風
13 温度計
14 補助燃料吹き込み装置
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