JP3887730B2 - 乳化状燃料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水を含有する乳化状燃料の製造方法、詳しくは疎水性液体燃料と水とが共に微細なクラスターを形成して互いに乳化状に混合されている乳化状燃料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃焼炉のような外燃機関で石油や石炭を燃焼させる場合、大気汚染の防止および経済性向上のために水をその外燃機関内に吹き込んでいたが、この水の量は石油や石炭の量の10〜30容量%程度と少なく、また、界面活性剤が使用されると、火炎温度が1300℃という高温になる結果、ボイラーやバーナーチップ等の燃焼機器や燃焼部材が損傷されて、それらの寿命が著しく短縮するという問題があった。
【0003】
また、ガソリンまたは軽油等を燃焼させる内燃機関においても、燃焼シリンダー内に水を霧状に噴射させて水をガソリンまたは軽油等と共に燃焼させることが試みられてきたけれども、未だそれが一般に実用化されるほどの技術は確立されていない。
【0004】
これらの方法では、水を燃料と共に燃焼させるに当たって、両者を別々に燃焼機関に導入するか、あるいはその導入の直前にその場で混合して燃焼機関に導入するので、いずれも、そのための特別な装置や設備を必要とするという問題もあった。
【0005】
一方、石油等の疎水性の液体燃料に予め水を混合させておくやり方として、界面活性剤を使用する方法も試みられたが、この界面活性剤の作用によって両者は一時的には互いに混ざり合っても、長期間安定な混合状態を保持できる燃料を得ることはできず、また、界面活性剤を使用して水と混合させた重油等の液体燃料を燃焼させた場合には、重油だけを燃焼させる一般の場合の1000℃前後という火炎温度が1200〜1300℃に上昇する結果、前述のように、ボイラーやバーナーチップ等の燃焼機器や燃焼部材が損傷して、それらの寿命が著しく短縮されるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
それで、液体燃料および水を別々に燃焼機関内に導入するための機器や部材を必要としないで、従来の燃焼機関にそのまま適用できる、水分含有量が多く、しかも安定した乳化状の混合状態を長期間保持できる液体燃料と水との混合燃料の開発が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の状況に鑑みて種々研究を重ねた結果、
二酸化珪素鉱物、珪酸塩鉱物またはハロゲン化物鉱物、あるいはこれらの鉱物のうちのいずれか1種以上を含む岩石の粉体の粒度分布における中央値が2マイクロメーター以下、特に1マイクロメーター以下である前記粉体の成形体に熱処理が施されて生成したセラミックスを疎水性液体燃料の中に浸漬し、一方、前記粉体と炭素質材料の微粉末との混合物の粒度分布における中央値が2マイクロメーター以下、特に1マイクロメーター以下である前記混合物の成形体に熱処理が施されて生成したセラミックスを水の中に浸漬し、ついでこれらの浸漬後の疎水性液体燃料および水をそれぞれ20〜70容量部および80〜30容量部の割合で混合装置に導入して両者を混合し、そしてこの混合物を高周波発生装置に通すと、疎水性液体燃料と水とが共に5マイクロメーター以下の大きさのクラスターまで微細化されて両者が互いに親密に混ざり合う結果、均質で極めて安定な乳化状燃料が得られ、そしてこの乳化状燃料は空気の供給を少なくしても、あるいは空気の供給を遮断しても完全な燃焼を示すこと、
を見い出した。
【0008】
本発明はこのような知見に基づいて発明されたもので、
【0009】
酸化珪素鉱物、珪酸塩鉱物またはハロゲン化物鉱物、あるいはこれらの鉱物のうちのいずれか1種以上を含む岩石の粉体の粒度分布における中央値が2マイクロメーター以下である前記粉体の成形体に熱処理が施されて生成したセラミックスを疎水性液体燃料の中に浸漬し、一方、前記粉体と炭素質材料の微粉末との混合物の粒度分布における中央値が2マイクロメーター以下である前記混合物の成形体に熱処理が施されて生成したセラミックスを水の中に浸漬し、ついでこれらの浸漬後の疎水性液体燃料および水をそれぞれ20〜70容量部および80〜30容量部の割合で混合装置に導入して両者を混合し、そしてこの混合物を高周波発生装置に通すことを特徴とする、20〜70容量部の割合の疎水性液体燃料と80〜30容量部の割合の水とが共に5マイクロメーター以下の大きさのクラスターの状態で互いに混ざり合っている乳化状燃料の製造方法、
に係わるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で原料として用いられる疎水性の液体燃料としてはガソリン、灯油、軽油および重油、あるいは原油のような石油系の液体燃料ばかりでなく、例えば、コールタールから分離された液体留分や石炭の液化から得られた留分のような石炭系液体燃料および動植物に由来する油脂や様々な合成方法によって生成したアルコールのような有機物質を包含する可燃性物質であってよい。また、この液体燃料は、低温または常温においてペースト状ないしグリース状を呈するものであってもよく、そして本発明の乳化状燃料もこのような状態になっているものであってもよい。
【0011】
本発明で原料として用いられる水は、軟水および硬水等の一般に入手できるどのような水でも原則として採用できるが、勿論、格別の不純物を含まない水が好ましく、入手し易いという点から、例えば水道水が好ましく使用される。
【0012】
本発明の乳化状燃料では上記の疎水性液体燃料と水とが共に5マイクロメートル以下という極めて微細なクラスターとなって互いに混ざり合っており、このような範囲のクラスターの大きさのうち、特に安定した混合状態を長期間持続させるという観点から、3マイクロメートル以下という範囲が好ましく選択され、このクラスターが可能な限り小さくなればなるほど本発明燃料の均質な乳化状態は長期間保持される。
【0013】
また、互いに混ざり合っている疎水性液体燃料と水とのクラスターの大きさの間に大きな隔たりがなく、上記の範囲内でクラスターの大きさが互いに同程度であればあるほど、すなわちそれらの大きさの違いが小さくなればなるほど乳化状燃料の均質な乳化状態は長期間保持され、本発明では一般に前記の大きさの範囲内で両者のクラスターの大きさが揃った乳化状燃料が提供される。
【0014】
このクラスターの大きさは、例えば、従来使われている酸化還元電位計、オシロスコープまたは核磁気共鳴装置等によって測定される。
【0015】
本発明の乳化状燃料においては、疎水性液体燃料として軽油が使われる場合を例に挙げれば、軽油の種類(組成)にもよるが、一般に28〜66容量部の軽油と72〜34容量部の水、好ましくは38〜60容量部の軽油と62〜40容量部の水とが混合され、この場合、一般に軽油のクラスターは3〜1マイクロメートルであり、そして水のクラスターは3〜1マイクロメートルである。
【0016】
本発明の燃料において水の割合を30容量部未満にしても、すなわち疎水性液体燃料の割合が70容量部を超えても、両者の混合状態に変わりはないものの、水を混入させたことによる前述および後述の技術的効果並びに経済的な効果は低くなり、一方、水の割合を80容量部より多くしても、すなわち疎水性液体燃料の割合を20容量部未満にしてもその混合状態に変わりはないものの、燃焼温度(火炎温度)が低くなるところから、疎水性液体燃料および水の割合をそれぞれ20〜70容量部および80〜30容量部と定めた。好ましく選択される疎水性液体燃料および水の割合はそれぞれ35〜60容量部および65〜40容量部である。
【0017】
本発明の燃料は、添付図面の図1のブロック図に示されるように、水Wおよび疎水性液体燃料Fの中に前記セラミックスをそれぞれ浸漬し、ついでこの浸漬後の疎水性液体燃料および水を混合装置Mに導入して両者を互いに混合し、そしてこの混合物を高周波発生装置Hに通すという一連の工程を経て製造されるが、これのセラミックスは、前述の通り、二酸化珪素鉱物、珪酸塩鉱物またはハロゲン化物鉱物、あるいはこれらの鉱物のうちのいずれか1種以上を含む岩石の粉体の粒度分布における中央値が2マイクロメーター以下、特にマイクロメーター以下である前記粉体の成形体に熱処理が施されて生成したセラミックス(以下、セラミックス・ホワイトともいう。)および前記粉体と炭素質材料の微粉末との混合物の粒度分布における中央値が2マイクロメーター以下、特にマイクロメーター以下である前記混合物の成形体に熱処理が施されて生成したセラミックス(以下、セラミックス・ブラックともいう。)であって、前者のセラミックス.ホワイトは疎水性液体燃料に浸漬するために用いられ、そして後者のセラミックス.ブラックは水に浸漬するために用いられる。
【0018】
これらのセラミックスはそれぞれ疎水性液体燃料および水のクラスターを5マイクロメートル以下という極めて微細なクラスターになるまで微細化するのに特に効果的に作用し、このようなセラミックスを使用することは本発明にとって必須であって、その使用は本発明にとって重要な特徴となっている。
【0019】
前記セラミックスおよびそれの製造方法は本発明者が開発したものであって、本出願前の平成13年2月23日既に特許出願された発明であり、これについてはその特許出願明細書に詳しく述べられているが、本明細書中でこれらのセラミックスについて説明するのに必要な事項を述べると、次の通りである。
【0020】
セラミックスの原料となる鉱物または岩石としては、二酸化珪素鉱物、珪酸塩鉱物またはハロゲン化物鉱物、あるいはこれらの鉱物のうちのいずれか1種以上を含む岩石が用いられ、例えば、石英、珪砂、珪石、珪岩のような二酸化珪素鉱物;珪酸アルミニウム鉱物、含水珪酸アルミニウム鉱物、珪酸マグネシウム鉱物、蛇紋石、石綿、金属珪酸塩鉱物のような珪酸塩鉱物;蛍石のようなハロゲン化物鉱物;およびこれらのうちの二酸化珪素鉱物、珪酸塩鉱物またはハロゲン化物鉱物のうちのいずれか1種以上を含岩石が用いられる。これらのうち電子の回転速度が非常に早くてエネルギーの大きい鉱物または岩石が好ましく用いられ、例えば螢石が特に好ましく用いられる。
【0021】
したがって、本発明で用いられるセラミックスは、珪素、酸素およびフッ素のようなハロゲン元素を主成分として、原料の鉱物または岩石に由来する様々な元素、すなわち、例えばアルミニウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、水素、銅、亜鉛、炭素、錫、鉛、チタン、窒素、燐、酸素、硫黄、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルトのような比較的多く存在する元素ばかりでなく、例えばリチウム、ベリリウム、バリウム、砒素、カドミウム、水銀、銀、金、セレン、モリブデン、タングステン、パラジウムおよび種々の希土類金属のような微量元素までの多種類の元素を含み、そして原料として鉱物および/または岩石以外に炭素質材料も使用して造られたセラミックス、すなわちセラミックス・ブラックでは、かなりの量の炭素を含んでいる。
【0022】
炭素質材料が使用されるセラミックス、すなわちセラミックス・ブラックにおいては、この炭素質材料としては、例えば、カーボンブラックまたは備長炭のような木炭が好ましく使用され、特にカーボンブラックおよび備長炭が好ましく使用される。
【0023】
セラミックスの原料として用いられる鉱物および/または岩石および炭素質材料は、焼結される前に微細に粉砕される。炭素質材料を用いる場合、この炭素質材料は鉱物および/または岩石と一緒に粉砕されることによって、その炭素質材料の微粉末は鉱物および/または岩石の粉体と均一に混合される。鉱物および/または岩石の粉体並びに、場合によりこの粉体に混合される炭素質材料の微粉末と粉体との混合物は、それらの粒度分布における中央値が2マイクロメートル以下であることが必要であり、この中央値が2マイクロメートルを超えると、これらのセラミックスに特有のクラスターを微細化するという前述の作用が十分に発揮されなくなって、本発明に特有の所望の効果が得られなくなる。この中央値としては1マイクロメートル以下が好ましく選択される。このような粒度分布は、例えば図6のように表される。
【0024】
炭素質材料は鉱物または岩石の粉体に対し一般に重量比で0.1〜0.5倍の量で、好ましくは0.2〜0.3倍の量で配合される。
【0025】
鉱物または岩石の粉体、あるいはこの粉体と炭素質材料の微粉末との混合物には、シリカ、アルミナ、珪藻土または粘土のような材料を、例えば1〜8重量%添加してもよい。
【0026】
原料の鉱物または岩石、あるいは更に炭素質材料を上記のような微細な粒子からなる粉体または微粉末にするには、一般にどのような粉砕装置を用いてもよいが、高速で旋回する空気の流れ、すなわち所謂空気刃による粉砕が遂行される粉砕装置を利用するのが便利である。この空気刃による粉砕は、例えば、図2の縦断側面図に示されるような粉砕装置1によって遂行される。
【0027】
この粉砕装置1には、図示されるように、それのドラム状本体2の上部左端側には原料Gを供給するための原料供給用ホッパー3が、そして上部右側にフィルター5を備えた製品取り出し管4がそれぞれ設けられており、この本体2は支柱7を介して基板6の上に固定されている。
【0028】
本体2には、それの中心線に沿って回転軸8が本体2の左側端面2aから右側端面2bにわたって回転自在に挿入されていて、この回転軸8の左側には.図3に示されるような粉砕羽根9が、そして右側には仕切り円盤10が回転軸8の回転に伴って回転するようにそれぞれ回転軸8に取り付けられていて、本体2の内部はこれらの粉砕羽根9および仕切り円盤10によって左から右に向かって順にD域、E域およびF域に区分けされている。
【0029】
本体2の右側端面2bには仕切り円盤10の中央部に圧入空気PAを吹き付けるための空気ノズル11が、この右側端面2bから本体2の内部に向かって挿入されており、本体2の底部には、循環パイプ12が循環ポンプ13と共に備えられている。
【0030】
回転軸8の左側端部には、この回転軸8に回転力を与えるためのモーター14がジョイント15を介して取り付けられており、このモーター14はモーター台座16の上に設置されている。
【0031】
粉砕羽根9は、図3の斜視図に示されるように、中空の円錐部9aと環状の円筒部9bとが接合して一体になった形状となっており、その円錐部9aと円筒部9bには、図4(但し、図4では円筒部9bについて図示されており、9aについても同様)の拡大斜視図に示されるように、コ字状の切れ目9dで区画された部分が屈曲線9eから斜め下方(内側)に向かって押し曲げられるようにして形成された、空気流案内用の多数の舌片状粉砕刃9cが三角状の2枚の支持片9fと一体になって設けられている。
【0032】
粉砕羽根9が矢印のX方向に向かって回転すると、その回転に伴って、空気が矢印のY方向に向かって粉砕羽根9の外側から、前記切れ目9cで区画される開口を通り粉砕刃9eに沿って粉砕羽根9の内側へと勢い良く流入する。
【0033】
仕切り円盤10には、図5の平面図に示されるように、ノズル11から吹き込まれる圧入空気を受け入れるための空気流案内用の舌片状粉砕刃(図示せず)が前記粉砕刃9dと同様に設けられており、この粉砕刃は扇型コ字状の切れ目10aに区画された部分が斜め下方に押し曲げられるようにして形成されている。
【0034】
このように構成された粉砕装置1によれば、ホッパー3から本体2のD域内に投入された適度の大きさの塊状の鉱物および/または岩石、あるいは更に炭素質材料からなる原料Gは先ず、回転する粉砕羽根8に当たって粗い粉状ないし粒状に砕かれた後、粉砕羽根8の内部に吸引されてE域内に取り込まれる。このE域では、仕切り円盤10の切り欠き部10aを通過して外部から流入してくる空気と、粉砕羽根9の回転によって生ずる空気の流れによって空気圧が高まると同時に激しい乱流が起こる。この空気の乱流によって粗い粒子は互いに衝突を繰り返すことによって次第に粒度が小さくなり、その一部は前記粉体または前記混合物の粒度分布における中央値が2マイクロメートル以下、あるいは更にそれ以下の微粒子になるまで各粒子は微粉砕される。
【0035】
E域で微粉砕された粒子は、仕切り円盤10と本体2との間の0.2mm程度の隙間を通ってE域からF域に移動し、それによってF域内は煙状の微粒子によって満たされる。ノズル11から圧入される空気で高められているF域内の圧力によって煙状の微粒子が製品取り出し管4に向かって押し出され、フィルター5を通過することによって、微粒子の粒度分布における中央値が2マイクロメートル以下になるまで微粉砕された微粒子が取り出し管4から製品Qとして集められる。
【0036】
フィルター5を通過しなかった2マイクロメートルよりも大きい粒度の一部または全部の粒子、および取り出し管4に向かわないでF域内の本体2の底部に沈降した粗い粒子は、循環ポンプ13により循環パイプ12を経てD域内に戻されて、再び微粉砕処理を受ける。
【0037】
鉱物および/または岩石、あるいは更に炭素質材料が上記のような粉砕装置で一緒に処理される場合には、これらの原料は微粉砕されると同時に互いに均一に混合されるので、均質な混合物が生ずる。
【0038】
粉体は、セラミックスの用途に応じて、例えば円盤状、方形板状(煉瓦状)または棒状等の適当な形状および大きさに成形される。この成形には、従来セラミックスの成形に利用されてきたどのような成形方法でも、例えばろくろ法、鋳込法、あるいは加圧成形、テープ成形、加圧鋳込、押し出し成形または射出成形などのいずれの成形方法も採用できるが、本発明では一般に、ろくろ法のような成形方法が好ましく利用される。
【0039】
この成形に当たっては種々のバインダー、例えば珪酸ナトリウム、種々の粘土類またはCMC、のようなバインダー、あるいは溶液型、熱可塑性または熱硬化性のような高分子系の有機質バインダーのようなバインダーが使用される。
【0040】
ついで、成形体は焼結炉において窒素雰囲気または水素雰囲気のような還元雰囲気の下に1000〜1800℃、好ましくは1200〜1700℃の温度、特に1450〜1550℃の温度に10〜26時間、好ましくは16〜20時間の間曝される熱処理を受けることによって焼結される。
【0041】
このようにして製造されるセラミックスは一般にどのような形状および寸法であってもよいが、例えば、様々な大きさの団子状、円盤状または煉瓦状に造られる。
【0042】
セラミックスは、容器内に入れられた疎水性液体燃料(以下、単に液体燃料ともいう。)および水の中に、その容器の底にセラミックスが接触しないように配置するのが好都合であり、例えば、円盤状のセラミックスの場合には、その中心にステンレス鋼製の棒を通して容器内に吊るすか、あるいは団子状および煉瓦状のセラミックスの場合には、ステンレス鋼製のバスケットまたはトレイにセラミックスを入れて容器内に吊るす等の方法によって、これらのセラミックスは容器内の液体燃料および水の中に浸される。
【0043】
水に浸漬されるセラミックスは、水1リットルに付き一般に40g以上使用すれば、その効果を発揮させるのに十分であり、また液体燃料に浸漬されるセラミックスは、例えばその液体燃料が軽油である場合には、軽油1リットルに付き一般に40g以上使用すれば、そのセラミックスの効果を発揮させるのに十分である。
【0044】
上記のような割合で使われるセラミックスは、その使用量(液体燃料および水の量に対する使用割合)にもよるが、液体燃料および水の中に一般に5〜15時間浸せば十分であり、通常7〜9時間の浸漬時間が選択される。このようなセラミックスの浸漬によって、後続の混合処理および高周波発生装置による処理だけでは達成できない5マイクロメートル以下という極めて微細なクラスターを液体燃料および水において生じさせることができる。
【0045】
図1に示されるように、所定の時間セラミックスが浸漬された水および液体燃料はいずれもポンプPによって混合装置Mに送り込まれて、両者は互いに親密に混合され、この混合装置Mとしては、従来液体の混合に慣用されている液体混合装置を使用することができる。
【0046】
混合装置Mから排出された混合物はその後、高周波の、例えば電磁波、超音波、電流、電波または音波等、特に電磁波または超音波を発生する装置Hに送られて、例えば電磁波、超音波、電流、電波または音波等の、好ましくは電磁波の一般に10〜100KHz程度の照射を受ける。この高周波の照射は液体燃料および水のクラスターをそれぞれ小さくするのに役立つばかりでなく、その小さなクラスターを安定化させるのにも役立つ。照射が済んで均質になった乳化状燃料、すなわち本発明の製品Pは製品タンクTに送られて、そこに貯蔵される。
【0047】
また、必要な場合には、例えば、水が硬水であるか、あるいは液体燃料が重質であったり、粘性が高かったり、あるいは周囲温度が低かったりするような場合には、天然または合成の界面活性剤、例えば陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤または両性界面活性剤が用いられ、この場合、界面活性剤Sは、例えば図示のように、開閉コックCが備えられている導管を経て、水Wおよび液体燃料Fと共に混合装置Mに送られる。
【0048】
界面活性剤が使用される場合、界面活性剤Sは水Wおよび液体燃料Fの合計量1lに対して一般に0.1ml〜2ml(但し、通常濃厚な液状で市販されているものについての容量)添加すれば十分であり、界面活性剤が添加された場合でも、その量は極く少量のため、本発明の燃料は、燃焼時に火炎温度を不都合な程上昇させることがない。
【0049】
本発明の燃料を製造するための混合および高周波発生装置による処理という一連の工程を、最後の高周波発生装置による処理が済んだ生成物に1回以上繰り返して施してもよく、すなわち合計2回以上施してもよく、特に、原料の液体燃料が重質であるか、または粘度が高かったり、あるいは周囲温度が低かったりするような場合に、この繰り返しが一般に1回ないし数回採用され、このような繰り返しによって燃料の一層の長期安定化が達成される。
【0050】
本発明の燃料は良好な混合状態を長期間安定に保持することができ、また、容量比で半分近くか、あるいはそれ以上の水分を含んで外燃機関および内燃機関のどちらでも従来の燃料と同様に燃焼させることができるばかりでなく、この燃料を燃焼させる場合に供給される空気の量を少なくしても、あるいは空気の供給を遮断しても不完全燃焼を起こさずに実質的に完全な燃焼を示すので、本発明によれば、従来の燃料の消費量を50%近くも低減できる結果、その燃料の消費量を低下させて、ひいては燃料に含まれる不純物の燃焼に由来する硫黄酸化物や窒素酸化物の発生を低く抑えることができるばかりでなく、燃焼に関与する空気の量を著しく減らすこともできるか、あるいはその空気量を殆ど不要とすることもできるので、空気中の窒素等の成分に由来する燃焼生成物、例えば窒素酸化物の発生量を低減させることもできる。また、その燃焼時には不完全燃焼に基づく煤や一酸化炭素等の発生も抑えられるので、大気汚染の防止の面でも有利な燃料が提供される。
【0051】
本発明によれば、界面活性剤を使用しなくても、あるいは界面活性剤の使用量が少なくても、疎水性液体燃料と水とのクラスターの大きさを超微粒子状に揃えることによって、安定した乳化状態を長期間保持できる燃料が提供される。したがって、本発明によれば、種々の容器によって運ばれる流通経路を利用して、生産者から消費者に配られる便利な燃料が提供される。
【0052】
本発明の燃料は多量の水分を構成成分として含んでいるために、従来の液体燃料に比べて生態系に対する毒性が低く、そして微生物による生分解を受け易いという特徴も有する。したがって、本発明の燃料は、それ自体でも、従来の石油系燃料等と比べて環境汚染防止の上で優れているという利点も具えている。また、原料として使用される原料の液体燃料が引火点を示すものであっても、本発明の燃料は多量の水分が混入されるために引火点を示さない燃料となるので、本発明の燃料は危険物取締法でいう危険物には当たらない安全性の高い燃料になり得るという利点がある。
【0053】
本発明の燃料は多量の水分を含んでいるにも拘かわらず、液体燃料と水とが超微粒子の形で互いに密に、かつ安定した還元状態で混合されているので、本発明の燃料を使用する場合にはタンクや配管および燃焼機器に錆が生じ難いという利点を生ずる。
【0054】
また、航行中の船舶内に淡水化装置を設置しておけば、それによって造られた淡水を本発明の乳化状燃料の原料として使うことができるので、比較的少量の原料燃料によって、すなわち燃料を節約しながら航行を続けることができる。
【0055】
【実施例】
ついで、実施例を参照して本発明を説明するが、本発明は勿論このような実施例に限定されない。
【0056】
実施例1
図1に示されるような工程に従って、軽油を原料とする乳化状燃料を次のようにして製造した。
それぞれ水洗後乾燥させて水が除かれた、Si:85重量%を含有するアフリカ産の堆積岩600g、中国産のモリブデンに富む岩石200g、中国産のニッケルに富む岩石180gを前述の粉砕機にかけて、これらの岩石の粉体の粒度分布における中央値が1マイクロメートル以下である粉体940gを製造した。
【0057】
ついで、この粉体に940gの水ガラス(SiO分80重量%)を混合してペースト状にしてから、ろくろ成形によって、直径32mm、厚さ10mmの円柱状に成形した。
【0058】
上記成形体を焼結炉で窒素雰囲気の下に1100〜1500℃の温度に18時間曝す焼結処理によって円盤状のセラミックス、すなわちセラミックス・ホワイトを製造した。
【0059】
一方、それぞれ水洗後乾燥させて水が除かれた、山梨県産の石英720g、微粉末状のアルミナ80gおよび和歌山産の備長炭200gを前述の粉砕機にかけて、これらの岩石の粉体と備長炭の微粉末との混合物の粒度分布における中央値が1マイクロメートル以下である前記混合物950gを製造した。
【0060】
ついで、この粉体950gに水ガラス(SiO分;80重量%)950gを混合してペースト状にしたものをほぼ球形に成形し、その成形体を焼結炉で窒素雰囲気の下に1100〜1500℃の温度に18時間曝すことにより焼結して、それぞれが直径0.5〜1.0cmの範囲にある団子状のセラミックス、すなわちセラミックス・ブラック300個を製造した。
【0061】
上記のようにして製造されたセラミックス・ホワイト10枚の中心に太さ(直径5mmのステンレス鋼製の棒が貫いてそれぞれの円盤状セラミックスを一体に連結したものをタンク内のディーゼルエンジン用軽油40リットル中に8時間浸した。
【0062】
一方、上記の浸漬と同時に、上記のようにして製造されたセラミックス・ブラック300個をステンレス鋼製のバスケットの中に入れて、これらをタンク内の水道水40リットル中に8時間浸した。
【0063】
このように浸漬された軽油および水を装入ポンプを通してそれぞれ50容量部対50容量部の割合で液体混合装置に流入させて両者を互いに混合し、その混合物を高周波発生装置に送って、それに30KHz前後の電磁波を照射し、ついでその排出物をもう一度上記の液体混合装置と高周波発生装置に繰り返し通して乳化状燃料を生成さることによって本発明燃料1を製造した。
【0064】
また、上記の軽油対水の容量比だけをそれぞれ60容量部対40容量部の割合に替えた点だけを除いて上述の方法と同じ方法を繰り返すことによって、本発明燃料2を製造した。
これらの本発明燃料1および2の製造では界面活性剤を使用しなかった。
【0065】
更に、軽油と水からなる本発明燃料の製造において界面活性剤を使用し、そしてこれらの軽油対水対界面活性剤の混合割合を容量比で69.3:30:0.7とした点だけを変えて、上記の方法と同じ方法を繰り返すことにより、本発明燃料3を製造した。
【0066】
上記のようにして製造された本発明燃料1および2を燃焼炉において、従来どおり空気取り入れ口が全開に近い空気量で燃焼させて、その時の火炎温度を測定したところ、下記の表1に示されるようになった。また、比較のため、上記の軽油だけを燃焼させた場合の火炎温度も表1に示した。
【0067】
Figure 0003887730
【0068】
この燃焼試験においては、本発明燃料1および2を燃焼させた場合には火炎温度は低いものの、通常の燃焼加熱には何ら問題はなかった。また、本発明燃料1および2では、原料の軽油をそのまま燃焼させた場合よりも燃焼の進行は緩やかで、軽油単独の場合よりも燃料の消費速度が遅く、したがって軽油の消費量が著しく低減した。
【0069】
また、空気量を従来の1/20に絞って本発明燃料1を同じ燃焼炉で燃焼させたところ、経過時間15分後に火炎温度は1003℃を示し、そして燃焼中は煤も臭いも発生しないで、燃焼音は低く、完全燃焼していることが分かった。したがって、本発明燃料1および2を燃焼させる場合には、空気量を調節することによって火炎温度を自由に調節できることが判った。
【0070】
また、空気の供給を完全に遮断できるバーナーを具えた燃焼炉で本発明燃料1を燃焼させ、点火してから約10分後に空気の供給を完全に遮断したところ、燃焼はそのまま持続して火炎温度は1048℃を示し、煙は全く発生しなかった。
これと同様な条件で本発明燃料1を翌日再び燃焼させたところ、火炎温度は1061℃を示し、煙の発生も前回と同様に全く観察されなかった。
【0071】
上記の本発明燃料1および2はいずれも、界面活性剤が使用されていなかったにも拘かわらず、20℃前後の常温で6か月保存しても軽油と水との分離を起こさないで、十分均質な乳化状態を保持した。また、気温が35℃前後に上がる熱帯地方の炎天下に置いて3か月保存しても軽油と水との分離はなく、良好な混合状態が保持された。
【0072】
実施例2
軽油のような液体燃料を完全燃焼させるためには、従来、この燃料を完全燃焼させるのに必要な空気量よりも多い空気、すなわち、空気:燃料の比率が1:1よりも大きい空気量、つまり過剰な空気量を燃料に供給しなければならなかったために、例えば、ボイラーにおいてはブロアーのような空気供給機が、そしてエンジンにおいてはターボチャージャーのような加給機が必要とされていた。
従来は、このように過剰な空気が燃焼時に供給されるために、排気中には5%以上もの酸素が含まれる結果、燃焼過程中では過剰な酸素がNOを副生するという現象が起こっている。
【0073】
実施例1の燃焼試験で用いたのと同様な燃焼炉においてブロアーからの空気を遮断してノズル噴射圧力を150%(1.5倍)に上昇させ、そして空気:燃料の比率(空燃比)を1:1よりも小さくした条件の下で本発明燃料1、2および3について燃焼試験を実施したところ、これらの本発明燃料のいずれの場合においても、排気に煤の発生は観察されないで完全燃焼状態が得られ、この排気中に含まれる酸素量は0〜0.5%であった。
【0074】
このようなことから、本発明燃料1、2および3の燃焼においては、過剰量の空気を供給する必要がなく、そして上記のように空気の供給量を減らしても完全燃焼が達成されるということは、燃料中の水に含まれる酸素が燃焼に利用されたためと考えられ、また、本発明燃料の燃焼においては過剰量の空気を用いなくてよいことから、NOの発生量が抑制されるという効果も当然期待される。
【0075】
実施例3
ディーゼルエンジンを搭載したトラックのエンジン用燃料として前記本発明燃料2を用いる実車試験を実施したところ、通常のディーゼルエンジン用軽油を用いた場合と同様な走行性能を示すことが分かった。
【0076】
実施例4
BMW社製ディーゼルエンジンを搭載した乗用車のエンジンに前記本発明燃料1を給油してジャガーレーシングチームにより走行試験を実施した。運転者が燃料噴射タイミングを調節したところ、車は通常の走行性能を示して、運転者に不安を抱かせる状況は発生しなかった。
【0077】
実施例5
ディーゼルエンジンを搭載した車両で空気量を減らした走行試験を本発明燃料3について実施した。この車両は、排気量2800cc、走行距離26万kmのいすず自動車(株)1995年製の乗用車であった。
空気量を通常の20%に削減して実施したこの走行試験において軽油のみを使用した場合には最高速度は130km/hを越えることはできなかったが、本発明燃料3を使用した場合、最高速度は160km/hに達し、本発明燃料3によれば、最高速度において23%の向上が観察された。この走行試験で本発明燃料3を使用した場合には、著しい出力向上感が得られ、運転操作性(ドライバビリティ)も改善された。
【0078】
このように、本発明燃料3を使用する場合に、空気量を通常の20%に減らしても、また、この空気量が通常の20%まで削減された範囲内においても、車両は平常どおりの走行性能を示した。
このように、空気量が削減された走行試験では、本発明燃料1および2についても似たような結果が得られた。
【0079】
本発明燃料3を用いた場合には、走行中、排気管から黒煙は全く排出されず、登坂性能の低下も感じられなかった。また、この場合、車の動力(出力)性能に起因するストレスは全く感じられなかった。
このように、本発明燃料3を用いることによって、軽油を使用した場合よりも最高速度と出力が向上したのは、本発明におけるセラミックスが、これに接触した軽油と水に電子を供与したためである。
【0080】
実施例6
本発明燃料2をバーナー燃料として使用した場合の自己着火試験を実施した。本発明燃料2をバーナー燃料として使用した場合、バーナーノズルが冷えていた時でも本発明燃料2は圧電素子による火花で点火して平常通りの燃焼状態を示した。したがって、軽油を可燃性成分とする燃料中に容量比で40%という多量の水が混合された本発明燃料でも、この水がバーナー燃料としての自己着火性を阻害しないことが判った。
【0081】
実施例7
本発明燃料2および3を自動車燃料として使用した場合の自己着火試験を実施した。
ディーゼル車両において本発明燃料2および3を用いた場合、エンジンが冷えていた時でも、セルモーターによって容易にこのエンジンを始動させることができた。したがって、軽油を可燃性成分とする燃料中に容量比でそれぞれ40%および30%の水が混合された本発明燃料でも、この水がディーゼルエンジン燃料としての自己着火性を阻害しないことが判った。
【0082】
実施例8
前記本発明燃料1についてJIS・K・2265に準拠する(ISO準拠)ペンスキーマルテンス法によって引火点を測定したところ、次の表2に示される結果が得られた。
【0083】
Figure 0003887730
試験終了後試料の温度が28℃に下がった時点で燃料を観察すると、その乳化状態には変化が見られなかった。
【0084】
次に、同じく前記本発明燃料1についてJIS・K・2265に準拠するクリーブランド・オープン・カップ法によって引火点を測定したところ、次の表3に示される結果が得られた。
【0085】
Figure 0003887730
【0086】
以上の結果から、本発明燃料1は、それらの原料である軽油が引火性であるにも拘かわらず、本発明燃料1は引火点のない燃料として、したがって危険物取扱法で規定される燃料とは関係のない燃料として取り扱えることが判った。
【0087】
実施例9
上記の本発明燃料1ないし3を製造する場合の水としてはいずれも軟水を使用したが、この水を硬度が343ppmというような300ppmを超える硬水に替えても、本発明燃料1ないし3と同様に安定した本発明燃料が得られた。
疎水性液体燃料と水とを混合して乳化する場合に、その水が硬水であると、その乳化は、水が軟水である場合と比べて一層困難になって、たとえ乳化できてもその状態を3か月以上のような長期間維持することは一般に容易でない。
【0088】
しかし、本発明によれば、燃料を製造する場合の水が上記のような高度の硬水であっても、安定した乳化状態を長期間維持できる乳化燃料が提供される。これは、本発明で用いられるセラミックスが水に対して電子を供与するという作用が顕著であって、このセラミックスと接触した硬水が軟水に変わるためである。
このようなセラミックスの作用は、このセラミックスを上記の343ppmの硬度を有する井戸水に7時間浸した後、この硬度が221ppmに低下したことによって証明された。このような結果は、水中のイオンがセラミックスに吸着されたことによるものである。
【0089】
【発明の効果】
以上述べた説明から明らかなように、本発明によれば、良好な混合状態を長期間保持することができ、また、容量比で半分近くか、あるいはそれ以上の水分を含んで外燃機関および内燃機関のどちらでも従来の燃料と同様に燃焼させることができる安定な燃料が提供される。そして従来の燃料の消費率を50%近くも低下させることができる結果、従来の燃料の消費量を低減させて、燃焼による二酸化炭素の発生量を減らすと同時に、燃焼に必要な酸素量、すなわち空気量を減らすこともでき、その燃焼時には不完全燃焼によって生ずる煤や一酸化炭素あるいは燃焼に関与する燃料または空気に由来する窒素酸化物の量を著しく低減させ、更に燃料に由来する硫黄酸化物および窒素酸化物の発生も低く抑えて、大気汚染の防止に有利な燃料が提供される。
【0090】
また、界面活性剤を使用しなくても、あるいは界面活性剤の使用量が少なくても、疎水性液体燃料と水とのクラスターの大きさを超微粒子状に揃えることによって安定した乳化状態を長期間保持できる燃料が提供されので、種々の容器によって運ばれる流通経路を利用して、生産者から消費者に配ることができる便利な燃料が提供される。
【0091】
本発明の燃料は多量の水分を構成成分として含んでいるために、従来の液体燃料に比べて生態系に対する毒性が低く、そして微生物による生分解を受け易いという特徴も有する。したがって、本発明の燃料は、それ自体でも、従来の石油系燃料等と比べて環境汚染防止の上で優れているという利点も具えている。また、原料として使用される従来の液体燃料が引火点を示すものであっても、多量の水分が混入されるために引火点を示さないような安全な燃料となるので、本発明の燃料は危険物取締法でいう危険物には当たらない安全性に優れた燃料になり得るという利点を備えている。
【0092】
本発明の燃料は多量の水分を含んでいるにも拘かわらず、液体燃料と水とが超微粒子の形で互いに密に、かつ安定した還元状態で混合されているので、本発明の燃料を使用する場合にはタンクや配管および燃焼機器に錆が生じ難いという利点も得られる。
【0093】
本発明においては、軟水ばかりでなく、或る程度の硬度を有する天然の硬水でも、燃料中に混合される水として使用できるという利点があるので、例えば、航行中の船舶内に淡水化装置を設置しておけば、それによって造られた淡水を本発明の燃料の原料として使うことができる。したがって、このような場合は、比較的少量の原料燃料によって、すなわち燃料を節約しながら航行を続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乳化状液体燃料の製造方法を示すブロック図である。
【図2】本発明で用いられる粉砕装置の概要を示す縦断側面図である。
【図3】上記粉砕装置における粉砕羽根の斜視図である。
【図4】上記粉砕羽根における粉砕刃の拡大斜視図である。
【図5】上記粉砕装置における仕切り円盤の平面図である。
【図6】本発明で用いられる鉱物または岩石の粉体、あるいは、場合によりこの粉体と混合されて用いられる炭素質材料微粉末と粉体との混合物の粒度分布の一例を示す粒度分布図である。
【符号の説明】
1・・・・・・粉砕装置
2・・・・・・本体
3・・・・・・ホッパー
4・・・・・・製品取り出し管
5・・・・・・フィルター
8・・・・・・回転軸
9・・・・・・粉砕羽根
9a・・・・・円錐部
9b・・・・・円筒部
9c・・・・・粉砕刃
10・・・・・仕切り円盤
10a・・・・切り欠き部
11・・・・・ノズル
12・・・・・循環パイプ
13・・・・・循環ポンプ
14・・・・・モーター
W・・・・・・水
F・・・・・・疎水性液体燃料
S・・・・・・界面活性剤
P・・・・・・ポンプ
M・・・・・・混合装置
H・・・・・・高周波電磁波照射装置
T・・・・・・製品タンク
C・・・・・・コック
G・・・・・・鉱物および/または岩石、あるいはこれらと共に装入される炭素質材料
Q・・・・・・鉱物および/または岩石の粉体、またはこれに炭素質材料の微粉末が混ざり合った混合物
EF・・・・・乳化状液体燃料
PA・・・・・圧入空気

Claims (4)

  1. 二酸化珪素鉱物、珪酸塩鉱物またはハロゲン化物鉱物、あるいはこれらの鉱物のうちのいずれか1種以上を含む岩石の粉体の粒度分布における中央値が2マイクロメーター以下である前記粉体の成形体に熱処理が施されて生成したセラミックスを疎水性液体燃料の中に浸漬し、一方、前記粉体と炭素質材料の微粉末との混合物の粒度分布における中央値が2マイクロメーター以下である前記混合物の成形体に熱処理が施されて生成したセラミックスを水の中に浸漬し、ついでこれらの浸漬後の疎水性液体燃料および水をそれぞれ20〜70容量部および80〜30容量部の割合で混合装置に導入して両者を混合し、そしてこの混合物を高周波発生装置に通すことを特徴とする、20〜70容量部の割合の疎水性液体燃料と80〜30容量部の割合の水とが共に5マイクロメーター以下の大きさのクラスターの状態で互いに混ざり合っている乳化状燃料の製造方法。
  2. 前記粉体または混合物の粒度分布における中央値が1マイクロメーター以下である、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記炭素質材料がカーボンブラックまたは備長炭である、請求項2記載の製造方法。
  4. 前記高周波発生装置に通した後の前記混合物に、更に前記混合処理および高周波発生装置による処理を繰り返して、これらの処理をそれぞれ1回以上施す、請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法。
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