JP3887196B2 - 固体ラインセンサー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体ラインセンサーに係り、特に第1のラインの画素領域の水平方向端部と第2のラインの画素領域の水平方向端部とが水平走査方向にオーバーラップした千鳥配列の画素領域群を備えた固体ラインセンサーにおける感光領域の平面パターンに関するもので、例えばスキャナー、コピー機、ファクシミリなどの光学読取り部に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来の千鳥配列の画素領域群を備えた固体ラインセンサーの画素配列を示す。
【0003】
図5において、半導体基板(半導体層)1上には、水平走査方向(主走査方向)の第1のライン上にそれぞれ方形の複数の画素領域(フォトセンサー)2が一定ピッチで配列されている。また、半導体基板1上には、前記第1のラインとは垂直走査方向(副走査方向)にずれた水平走査方向の第2のライン上に、前記第1のライン上の画素領域とは水平走査方向に1/2ピッチづつずれて、それぞれ方形の複数の画素領域2が一定ピッチで配列されている。図中、第1のライン上の画素領域を奇数ライン画素列(ODD画素列)と表記し、第2のライン上の画素領域を偶数ライン画素列(EVEN画素列)と表記している。
【0004】
この場合、各画素領域2は、光電変換素子形成のためにイオン注入された領域であり、第1のライン上の画素領域2の水平方向端部と第2のライン上の画素領域2の水平方向端部とが水平走査方向にオーバーラップしており、千鳥配列の画素領域群を形成している。
【0005】
このような構成において、第1のライン上の水平走査方向開始側から各画素領域をS1 、S3 、…で表記し、第2のライン上の水平走査方向開始側から各画素領域をS2 、S4 、…で表記する。
【0006】
そして、第1のライン上の各画素領域2から読み出された信号電荷を変換した信号電圧と第2のライン上の各画素領域2から読み出された信号電荷を変換した信号電圧とを1画素分だけタイミングをずらして合成するものとする。
【0007】
これにより、例えば図6に示すようにS1 、S2 、S3 、S4 、…の順に信号電圧を得ることができ、水平走査方向の解像度を倍増することが可能になる。
【0008】
ところで、従来の固体ラインセンサーは、画素領域2の上方部以外の部分が遮光マスク(例えばアルミニウム)により覆われており、感光領域50の平面パターンは方形の画素領域2とほぼ一致している。
【0009】
この場合、2つのライン上の各感光領域50相互間の水平方向端部のオーバーラップ量が大きいので、千鳥配列の画素領域群の感度分布は図6に示したようになり、解像度(Modulation Transfer Function;MTF)が劣化する。
【0010】
ここで、MTF は、入力光の白黒のコントラストに対する出力電圧の白黒のコントラストの変調の割合を表わすものであり、画素間の解像度に影響し、画素の高密度化の要求により画素ピッチが狭くなるにつれて劣化する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように従来の固体ラインセンサーは、千鳥配列を有する画素領域群の画素ピッチが狭くなるにつれて解像度が劣化するという問題があった。
【0012】
本発明は上記の問題点を解決すべくなされたもので、千鳥配列を有する画素領域群の画素ピッチが狭くなっても、解像度の劣化を抑制し得る固体ラインセンサーを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の固体ラインセンサーは、半導体基板上で水平走査方向の第1のライン上に一定ピッチで配列され、それぞれイオン注入領域により形成された方形の複数の第1の画素領域と、前記半導体基板上で前記第1のラインとは垂直走査方向にずれた水平走査方向の第2のライン上に前記第1の画素領域とは水平走査方向に1/2ピッチづつずれて配列され、かつ前記第1の画素領域とは垂直走査方向に離間して形成され、それぞれイオン注入領域により形成された方形の複数の第2の画素領域と、前記第1および第2の画素領域の上方部に形成された遮光マスクの開口部からなり、前記複数の第1の画素領域に対応して配列された複数の第1の感光領域および前記複数の第2の画素領域に対応して配列された複数の第2の感光領域とを具備し、前記複数の第1の各画素領域の水平走査方向端部と前記複数の第2の各画素領域の水平走査方向端部とが水平走査方向にオーバーラップして前記複数の第1および第2の画素領域が千鳥配列の画素領域群を構成しており、前記各画素領域の水平走査方向中心部において前記遮光マスクの各開口部の垂直走査方向における長さは前記各画素領域の垂直走査方向における長さと等しいかもしくは短く、かつ各開口部の垂直走査方向における長さは、前記各画素領域の水平走査方向中心部が前記各画素領域の水平走査方向端部よりも長いことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1(a)は、第1の実施形態に係る固体ラインセンサーの画素配列を示す。
【0016】
この固体ラインセンサーは、従来の千鳥配列の画素領域群を備えた固体ラインセンサーと比べて、各感光領域10の平面パターンは、方形の画素領域2とは異なる(従来は感光領域の平面パターンが方形の画素領域とほぼ一致している)ように、画素領域2の上方部の一部も遮光マスク(例えばアルミニウム)3により覆われている。
【0017】
図1(a)において、半導体基板1上には、水平走査方向(主走査方向)の第1のライン上にそれぞれ方形の複数の画素領域2が一定ピッチで配列されている。また、半導体基板1上には、前記第1のラインとは垂直走査方向(副走査方向)にずれた水平走査方向の第2のライン上に、前記第1の複数の画素領域2とは水平走査方向に1/2ピッチづつずれて、それぞれ方形の複数の画素領域2が一定ピッチで配列されている。図中、第1のライン上の画素領域を奇数ライン画素列(ODD画素列)と表記し、第2のライン上の画素領域を偶数ライン画素列(EVEN画素列)と表記している。
【0018】
この場合、各画素領域2は、光電変換素子(フォトセンサー)形成のためにイオン注入された領域であり、第1のライン上の画素領域2の水平方向端部と第2のライン上の画素領域2の水平方向端部とが水平走査方向にオーバーラップしており、千鳥配列の画素領域群を形成している。
【0019】
そして、本実施形態では、半導体基板1上を選択的に覆うように形成される遮光マスク(例えばアルミニウム)3のパターンによって、各感光領域10の平面パターンが方形の画素領域2とは異なるように規定しており、画素領域1の副走査方向にその開口パターン(感光領域)を規定している。
【0020】
本実施形態の固体ラインセンサーにおける各感光領域10の平面パターンは、画素領域2の水平方向中央部で垂直方向長さが最大となり、水平方向に隣り合う画素領域2相互間で垂直方向長さが最小となる八角形であって、水平方向に隣り合う感光領域10の水平方向端部同士が連なっている。
【0021】
即ち、本実施形態の固体ラインセンサーは、半導体基板1上で水平走査方向の第1のライン上に一定ピッチで配列された方形の画素領域2に対応して配列された第1の複数の感光領域10と、半導体基板1上で、第1のラインとは垂直走査方向(副走査方向)にずれた水平走査方向の第2のライン上に、第1のライン上の画素領域2とは水平走査方向に1/2ピッチづつずれて配列された方形の画素領域2に対応して配列された第2の複数の感光領域10とを有し、各感光領域10の平面パターンは八角形である。
【0022】
なお、本実施形態の固体ラインセンサーにおいては、通常のCCDラインセンサー(電荷結合デバイス)と同様に、図示しないが、各画素領域の信号電荷は、電荷転送制御領域を介して水平転送用のCCDレジスタへ転送される。この場合、画素領域、電荷転送制御領域は、チップ面内で垂直方向に配列されている。
【0023】
さらに、CCDレジスタの電荷転送方向(延長方向)の一端側には、電荷/電圧変換用の電荷検出部が設けられている。
【0024】
このような構成において、第1のライン上の水平走査方向開始側から各画素領域2をS1 、S3 、…で表記し、第2のライン上の水平走査方向開始側から各画素領域2をS2 、S4 、…で表記する。
【0025】
そして、第1の複数の画素領域2から読み出された信号電荷を変換した信号電圧と第2の複数の画素領域2から読み出された信号電荷を変換した信号電圧とを1画素分だけタイミングをずらして合成するものとする。これにより、図2中に示すようにS1 、S2 、S3 、S4 、…の順に信号電圧を得ることができ、水平走査方向の解像度を倍増することが可能になる。
【0026】
図2中の実線は、図1に示した千鳥配列の画素領域群の感度分布の一例を示している。
【0027】
本実施形態のCCDラインセンサーにおいては、各感光領域10の平面パターンは、画素領域2の水平方向中心部が水平方向端部よりも垂直方向長さが長いので、2つのラインで隣り合う感光領域10相互間の水平方向端部のオーバーラップ量が小さくなる。
【0028】
これにより、千鳥配列の画素領域群の感度分布は図2中の実線で示したようになり、画素の高密度化の要求により画素ピッチが狭くなっても、MTF の劣化を抑制することができる。
【0029】
なお、本実施形態のCCDラインセンサーにおいては、画素領域1の副走査方向にその開口パターン(感光領域)を規定し、2つのラインで隣り合う感光領域10相互間の水平方向端部のオーバーラップ量を小さくしているので、各画素領域1の感度は従来例よりも若干低下する。
【0030】
<第2の実施形態>
図1(b)は、第2の実施形態に係る固体ラインセンサーの画素配列を示す。
【0031】
この固体ラインセンサーは、図1(a)を参照して前述した第1の実施形態に係る固体ラインセンサーと比べて、各感光領域20の平面パターンが異なり、その他は同じであるので図1(a)中と同一符号を付している。
【0032】
即ち、本実施形態の固体ラインセンサーにおける各感光領域20の平面パターンは、画素領域2の水平方向中心部で垂直方向長さが最大となり、水平方向に隣り合う画素領域相互間で垂直方向長さが最小となる六角形であって、水平方向に隣り合う感光領域20の水平方向端部同士が連なっている。
【0033】
図2中の点線は、図3に示した千鳥配列の画素領域群の感度分布の一例を示している。
【0034】
第2の実施形態の固体ラインセンサーにおいても、前述した第1の実施形態の固体ラインセンサーの動作と基本的に同様な動作が行われる。この際、各感光領域20の平面パターンは、画素領域2の水平方向中心部が水平方向端部よりも垂直方向長さが長いので、2つのラインで隣り合う感光領域20相互間の水平方向端部のオーバーラップ量が小さくなる。
【0035】
これにより、千鳥配列の画素領域群の感度分布は図2中の点線で示したようになり、画素の高密度化の要求により画素ピッチが狭くなっても、MTF の劣化を抑制することができる。
【0036】
本実施形態のCCDラインセンサーにおいては、各感光領域20の平面パターンは、画素領域2の水平方向中心部で垂直方向長さが最大となる六角形であるので、第1の実施形態の感光領域10の平面パターンより大きい分だけ各画素領域1の感度は第1の実施形態よりも若干向上する。
【0037】
<第3の実施形態>
図3(a)は、第3の実施形態に係る固体ラインセンサーの画素配列を示す。
【0038】
この固体ラインセンサーは、図1(a)を参照して前述した第1の実施形態に係る固体ラインセンサーと比べて、各感光領域30の平面パターンが異なり、その他は同じであるので図1中と同一符号を付している。
【0039】
即ち、本実施形態の固体ラインセンサーにおける各感光領域30の平面パターンは、画素領域2の水平方向中心部で垂直方向長さが最大となり、水平方向に隣り合う画素領域2相互間の中央部で垂直方向長さが最小となる菱形であって、水平方向に隣り合う感光領域30の水平方向端部相互が分離されている。
【0040】
図4中の実線は、図3(a)に示した千鳥配列の画素領域群の感度分布の一例を示している。
【0041】
第3の実施形態の固体ラインセンサーにおいても、前述した第1の実施形態の固体ラインセンサーの動作と基本的に同様な動作が行われる。この際、各感光領域30の平面パターンは、画素領域の水平方向中心部が水平方向端部よりも垂直方向長さが長いので、2つのラインで隣り合う感光領域30相互間の水平方向端部のオーバーラップ量が小さくなる。
【0042】
これにより、千鳥配列の画素領域群の感度分布は図4中の実線で示したようになり、画素の高密度化の要求により画素ピッチが狭くなっても、MTF の劣化を抑制することができる。
【0043】
本実施形態のCCDラインセンサーにおいては、各感光領域30の平面パターンは、画素領域2の水平方向中心部で垂直方向長さが最大となる菱形であって、水平方向に隣り合う感光領域30の水平方向端部相互が分離されているので、第2の実施形態の感光領域20の平面パターンより小さい分だけ第2の実施形態と比べて各画素領域1の感度は若干低下するが、画素間領域に対応する信号出力レベルが小さくなり、解像度が向上する。
【0044】
<第4の実施形態>
図3(b)は、第4の実施形態に係る固体ラインセンサーの画素配列を示す。
【0045】
この固体ラインセンサーは、図1(a)を参照して前述した第1の実施形態に係る固体ラインセンサーと比べて、各感光領域40の平面パターンが異なり、その他は同じであるので図1中と同一符号を付している。
【0046】
即ち、本実施形態の固体ラインセンサーにおける各感光領域40の平面パターンは、画素領域2の水平方向中心部で垂直方向長さが最大となり、画素領域2の水平方向端部で垂直方向長さが最小となる六角形であって、水平方向に隣り合う感光領域40の水平方向端部相互が分離されている
図4中の点線は、図3(b)に示した千鳥配列の画素領域群の感度分布の一例を示している。
【0047】
第4の実施形態の固体ラインセンサーにおいても、前述した第1の実施形態の固体ラインセンサーの動作と基本的に同様な動作が行われ、各感光領域40の平面パターンは、画素領域2の水平方向中心部が水平方向端部よりも垂直方向長さが長いので、2つのラインで隣り合う感光領域40相互間の水平方向端部のオーバーラップ量が小さくなる。
【0048】
これにより、千鳥配列の画素領域群の感度分布は図4中の点線で示したようになり、画素の高密度化の要求により画素ピッチが狭くなっても、MTF の劣化を抑制することができる。
【0049】
本実施形態のCCDラインセンサーにおいては、各感光領域40の平面パターンは、画素領域2の水平方向中心部で垂直方向長さが最大となり、画素領域2の水平方向端部で垂直方向長さが最小となる六角形であるので、第3の実施形態のと比べて、画素間領域に対応する信号出力レベルが小さくなり、解像度が若干向上する。
【0050】
【発明の効果】
上述したように本発明の固体ラインセンサーによれば、千鳥配列を有する画素領域群の画素ピッチが狭くなっても、解像度の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態および第2の実施形態に係る固体ラインセンサーの画素配列を示す平面図。
【図2】図1に示した千鳥配列の画素領域群の感度分布の一例を示す特性図。
【図3】第3の実施形態および第4の実施形態に係る固体ラインセンサーの画素配列を示す平面図。
【図4】図3に示した千鳥配列の画素領域群の感度分布の一例を示す特性図。
【図5】従来の千鳥配列の画素領域群を備えた固体ラインセンサーの画素配列を示す平面図。
【図6】図5に示した千鳥配列の画素領域群の感度分布の一例を示す特性図。
【符号の説明】
1…半導体基板、
2…画素領域、
3…遮光マスク(例えばアルミニウム)、
10、20…感光領域。
Claims (5)
- 半導体基板上で水平走査方向の第1のライン上に一定ピッチで配列され、それぞれイオン注入領域により形成された方形の複数の第1の画素領域と、
前記半導体基板上で前記第1のラインとは垂直走査方向にずれた水平走査方向の第2のライン上に前記第1の画素領域とは水平走査方向に1/2ピッチづつずれて配列され、かつ前記第1の画素領域とは垂直走査方向に離間して形成され、それぞれイオン注入領域により形成された方形の複数の第2の画素領域と、
前記第1および第2の画素領域の上方部に形成された遮光マスクの開口部からなり、前記複数の第1の画素領域に対応して配列された複数の第1の感光領域および前記複数の第2の画素領域に対応して配列された複数の第2の感光領域とを具備し、
前記複数の第1の各画素領域の水平走査方向端部と前記複数の第2の各画素領域の水平走査方向端部とが水平走査方向にオーバーラップして前記複数の第1および第2の画素領域が千鳥配列の画素領域群を構成しており、
前記各画素領域の水平走査方向中心部において前記遮光マスクの各開口部の垂直走査方向における長さは前記各画素領域の垂直走査方向における長さと等しいかもしくは短く、かつ各開口部の垂直走査方向における長さは、前記各画素領域の水平走査方向中心部が前記各画素領域の水平走査方向端部よりも長いことを特徴とする固体ラインセンサー。 - 前記遮光マスクの各開口部の垂直走査方向における長さは、前記各画素領域の水平走査方向中央部で最大となり、水平走査方向に隣り合う画素領域相互間で最小となる八角形であって、水平走査方向に隣り合う感光領域の水平走査方向端部同士が連なっていることを特徴とする請求項1記載の固体ラインセンサー。
- 前記遮光マスクの各開口部の垂直走査方向における長さは、前記各画素領域の水平走査方向中央部で最大となり、水平走査方向に隣り合う画素領域相互間で最小となる六角形であって、水平走査方向に隣り合う感光領域の水平走査方向端部同士が連なっていることを特徴とする請求項1記載の固体ラインセンサー。
- 前記遮光マスクの各開口部の垂直走査方向における長さは、前記各画素領域の水平走査方向中心部で最大となり、水平走査方向に隣り合う画素領域相互間で最小となる菱形であって、水平走査方向に隣り合う感光領域の水平走査方向端部相互が分離されていることを特徴とする請求項1記載の固体ラインセンサー。
- 前記遮光マスクの各開口部の垂直走査方向における長さは、前記各画素領域の水平走査方向中心部で最大となり、各画素領域の水平走査方向端部で最小となる六角形であって、水平走査方向に隣り合う感光領域の水平走査方向端部相互が分離されていることを特徴とする請求項1記載の固体ラインセンサー。
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