JP3886768B2 - ポットの栓構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ポットの栓構造に関し、コーヒー等の飲料抽出器の抽出口下方に設置して抽出された飲料を注ぎ入れたのち、コーヒーカップ等に注ぎ出す、いわゆるサーブ用ポットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から用いられているサーブ用ポットとして、特開平9−299254号公報に開示されたものが知られている。このサーブ用ポットは、ポットの栓構造として、外栓と、その外栓の頂部にヒンジにより取り付けられた内栓の2重構造からなり、その内栓を開放して抽出液を注ぎ入れ、抽出液を分配するときはポット本体を傾けて外栓とポットの開口部との間の通路からコーヒーカップ等に注ぎ出すようになっている。また、上記の通路を開閉するための可動内蓋が設けられ、通常の状態では、可動内蓋の自重によりその通路を閉塞するが、ポット本体を傾けると自重で移動し、該通路を開放するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の栓構造の場合は、外栓自体に開閉機能がないため、内部に飲料が入った状態で万一ポットが転倒すると、前記の通路を通じて内部液が外部に漏出する問題がある。また、内栓を開放して抽出器の抽出口の下部に設置し抽出液を注ぎ入れる場合に、抽出口の開閉栓を開放する操作が必要になるという不便がある。
【0004】
また、内栓の開閉機構として、いわゆるプッシュ・プッシュ機構を用いたものも知られているが、構造が複雑であり、コスト高となる問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、転倒時に内部液の漏出がなく、構造が簡単で低コストで製作できるポットの栓構造を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、ポット本体の開口部を開閉する外栓と、その外栓に設けた液通路を開閉する内栓の組み合わせからなるポットの栓構造において、上記外栓をポット本体の上記開口部を開閉できるよう上下動自在に嵌合し、上記内栓を外栓の上記液通路を開閉できるよう上下動自在に嵌合した構成を採用した。
【0007】
上記の構成によると、外栓と内栓とが共に閉塞状態にあるときは、密閉状態となり保温・保冷効果が高く、また、ポットの転倒時においても内部液の漏出が防止できる。また、内栓のみを開放して抽出液を注ぎ入れることができると共に、その内栓を閉塞し外栓を開放すると内部液を注ぎ出すことができる。さらに、内栓とともに外栓をポットの開口部から取り外すと、開口部が大きく開放されるので、容易に手入れができる。
【0008】
また、上記内栓の開放状態における高さを、飲料抽出器の開閉栓を押上げこれを開放できるように設定した構成を採用すると、内栓を開放したのち飲料抽出器の載置台上に載せるだけで、自動的に開閉栓が開放され抽出が開始される。
【0009】
一層具体的な構成として、上記の外栓は、外栓外周筒部とその下端閉塞部に上向きに設けた外栓内周筒部及び上記外栓外周筒部上端に設けた外栓つば部を有し、上記外栓外周筒部に液通路出口を設けると共に、前記開口部に対する螺合部とシール部を設けてなり、上記の内栓は、上記の外栓内周筒部に上下動自在に螺合される内栓筒部とその内栓筒部上端に設けた内栓つば部とからなり、該内栓筒部の内部を隔壁により上下に区画し、その隔壁上部において内栓筒部上端に液通路入口を設けるとともにその周壁に弁孔を設け、上記内栓つば部の外周に装着したシール部材を上記外栓外周筒部内面に密着せしめ、上記内栓の上下方向のストロークの上限で前記外栓内周筒部の上端と内栓つば部との間を開放して上記弁孔を開放し、該内栓のストロークの下限で前記外栓内周筒部の上端と内栓つば部とを密着させて上記弁孔を閉塞するようにした構成を採用することができる。
【0010】
上記の構成によると、内栓を回転させ、外栓との螺合部分で上下動させることによりその開閉操作が行なわれる。外栓を閉塞した状態で内栓を回転させてそのストロークの下限に下降させると、内栓の弁孔が閉塞され、外栓及び内栓が共に閉鎖された保温・保冷状態となる。また、内栓をそのストロークの上限に上昇させると、内栓開放・外栓閉鎖の抽出液の注ぎ入れ状態となる。さらに、内栓と共に外栓を開口部から外すと手入れ状態となる。
【0011】
なお、上記の内栓の構造として、その内栓筒部を外栓内周筒部に上下動自在にバヨネット嵌合せしめ、上記内栓と外栓の間に介在した弾性体により該内栓を上向きに付勢した構成を採用することができる。この構成によると、内栓の上下動はバヨネット嵌合溝との係合を外すだけで弾性体の付勢力で上昇してストロークの上限に達し、また、その付勢力に対向して押し込みバヨネット嵌合溝と係合させるだけでストロークの下限に保持させることができる。
【0012】
また、上記いずれの場合においても、内栓の上面において、その液注入口の周りにつまみ片を設けた構成を採用することができる。この構成によると、そのつまみ片を指先で把持して内栓の操作を行なうことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1から図5に示した第1実施形態のポットは、ポット本体1と、栓構造2とから成る。ポット本体1は、その肩部材3に開口部4が設けられ、その開口部4の一部に注ぎ口5が設けられる。その注ぎ口5の反対側においてハンドル6が設けられる。開口部4の内周面に内周ねじ7が設けられる。
【0014】
栓構造2は、外栓8と内栓9とから成る。外栓8は、外栓外周筒部11と、その下端に設けられた下端閉塞部12(図3参照)、下端閉塞部12の中央部の穴13から上向きに突設された外栓内周筒部14、及び前記の外栓外周筒部11の上端に設けられた外栓つば部15とからなる。
【0015】
上記の外栓外周筒部11は、その外周面に前記開口部4の内周ねじ7に螺合する外周ねじ16(図2参照)が設けられる。また、その外栓外周筒部11に液通路出口17が、空気吸引口18と上下に並んで設けられる。また、これらと反対側の下半分強の範囲に平坦面19が設けられ、その平坦面19と開口部4との間で液溜まり21(図4(b)参照)が形成される。また、外栓外周筒部11の上端部外周面にOリング22(図2(a)、図3参照)が装着され、開口部4に対するシール部を構成する。
【0016】
上記の外栓内周筒部14は、その内周面に内周ねじ23が形成される。この外栓内周筒部14の高さは、前記の平坦部19の上端の高さより若干高くなるように設定される(図3参照)。
【0017】
上記の外栓つば部15は、内周側が若干低くなるテーパが付与され、また外周縁に周壁24が設けられる。その周壁24の一部には切欠き部25が設けられ、その切欠き部25の反対側に把持片26が外方に突き出して設けられる。外栓8はその閉塞状態において、上記の切欠き部25が注ぎ口5と一致する向きに嵌合される。
【0018】
一方、前記の内栓9は、前記の外栓内周筒部14の内周ねじ23に螺合される外周ねじ27を有する内栓筒部28、その上端外周に設けられた内栓つば部29とからなる。内栓筒部28の上端は開放され、抽出液の液通路入口31となっている。また、図3に示すように、内栓筒部28の内部は隔壁32により上下に区画され、その隔壁32より下部の外周面に前記の外周ねじ27が設けられる。また、隔壁32より上部において、弁孔33とこれに対向して空気排出穴34が設けられる。また、内栓筒部28の外周面にOリング30が装着され、内周ねじ23と外周ねじ27の螺合部におけるシールを図っている。
【0019】
上記の内栓つば部29の外周面にOリング35が装着され、そのOリング35が、外栓外周筒部11の内面の上半部に摺接しシール部を形成する。また、内栓つば部29の上面3箇所に放射方向のつまみ片36が設けられる。
【0020】
上記のつまみ片36を把持して内栓9を回動させると、内栓筒部28と外栓内周筒部14の螺合部において回転し、一定ストロークをもって上下動する。そのストロークの下限において、図3に示すように、内栓つば部29が外栓内周筒部14の上端に密着し、弁孔33及び空気排出穴34を閉塞する。逆に、ストロークの上限において、図4(a)に示すように、内栓つば部29が外栓内周筒部14から離れ、弁孔33及び空気排出穴34を開放する。弁孔33が開放されると、前述の液通路入口31、弁孔33、液通路出口17に至る液通路37が形成される。
【0021】
第1実施形態のポットは以上のようなものであり、その使用に際しては、図5に示すように、コーヒーメーカー等の飲料抽出器41の載置台42上に前記のポットを載せる。このとき、予め外栓8を閉塞状態に設定するとともに、内栓9を開放状態(ストロークの上限にある状態)に設定しておく(図4(a)参照)。このように準備したのち、飲料抽出器41の開閉栓43にポット側の切欠き部25を合わせて通過させ、その開閉栓43を液通路入口31で所要量押し上げる。これを図6に基づいて説明すると、切欠き部25の部分で開閉栓43が高さaまで持ち上げられ、液通路入口31の部分で若干下がって高さbとなる。高さa及びbにおいて開閉栓43は開放状態となる。
【0022】
このようにしてポットを載置台42上に設置したのち、飲料の抽出を開始する。抽出された飲料は、弁孔44から落下して液通路入口31から液通路37を経てポット本体1内部に注ぎ込まれる。このとき、ポット本体1の内部空気は空気排出穴34から排出されるので、内圧の上昇は避けられる。
【0023】
抽出が完了してポットを載置台42から外すと、開閉栓43が高さcに下降して弁孔44を閉塞する。図6において、高さaとcの差、即ち開閉栓43のストロークをSで示している。また、載置台42から液通路入口31の上端までの高さをHで表している。この高さHをストロークSの範囲にあるように寸法関係を設定することにより、内栓9を開放状態に操作したのちポットを載置台42上に載せるだけで、飲料抽出器41の開閉栓43を自動開放し、また載置台42から外すだけで開閉栓43を自動閉鎖することができる。
【0024】
載置台42から外したポットは、内栓9を締めて閉塞状態にする。この閉塞状態においては、外栓8がOリング22の部分で開口部4をシールする。また、内栓9は、その内栓つば部29の外周のOリング35で外栓外周筒部11をシールする。また、内栓つば部29が外栓内周筒部14に密着することにより弁孔33と空気排出穴34をシールし、さらに、Oリング30が螺合部をシールする。これにより内部飲料を保温(冷茶等の冷却飲料の場合は保冷)することができる。また、ポットを転倒させることがあっても内部飲料の漏出が避けられる。
【0025】
また、内部飲料をカップ等に注ぎ出す際は、外栓8を半回転させて、図4(b)に示すように、把持片26を注ぎ口5に一致させると、前記の平坦部19が開口部4との間で液溜まり21を形成すると共に、Oリング22が開口部4から離れ、開放状態となる。従って、ポット本体1を傾けると、注ぎ口5から飲料を注ぎ出すことができる。
【0026】
次に、図7及び図8に基づいて第2実施形態を説明する。前記の場合と相違する点は、内栓9を上下動させる構造において、前記の螺合構造(外栓内周筒部14と内栓筒部28との螺合構造)に代えて、バヨネット嵌合を用いた点にある。即ち、この場合の外栓内周筒部14には、その対称位置の2箇所にL字形のバヨネット嵌合溝45が設けられ(図8(b)参照)、そのバヨネット嵌合溝45に嵌合する一つの突起46が内栓9の外周面に設けられる。
【0027】
また、外栓の下端閉塞部12と、内栓つば部29の間にコイルばね47を介在し、内栓9を上向きに付勢し、さらに、その付勢力で内栓9が上方に外れることがないように、外栓つば部15の内周縁に係合リブ48を設けている。その他の構成は第1実施形態の場合と同じである。
【0028】
第2実施形態は以上のようなものであり、内栓9のストロークの上限においては、その内栓つば部29が上記の係合リブ48に係合された状態となり弁孔33と空気排出穴34が開放される。また、ストロークの下限においては、突起46がバヨネット嵌合溝45の下端屈曲部に係合し(図8(b)点鎖線参照)、内栓つば部29が外栓内周筒部14の上端に密着し(図(a)点鎖線参照)、シールを行なう。その他の作用は、第1実施形態の場合と同様である。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、この発明はポットの栓構造を構成する外栓と内栓との組み合わせからなり、外栓によりポット本体の開口部を開閉し、内栓により外栓の液通路を開閉するようにしたので、外栓と内栓とを共に閉塞することにより保温・保冷効果を上げることができるとともに、転倒時の内部液の漏出を確実に防止することができる。ポットを飲料抽出器の載置台に載せ又は載置台から外すだけで該飲料抽出器の開閉栓を自動的に開閉できる便利さがある。また、外栓と内栓はそれぞれ簡単な操作で開閉ができる簡単な構造であるので、低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の一部分解斜視図
【図2】(a)同上の組立状態の一部断面図
(b)同上の組立状態の一部斜視図
【図3】同上の外栓、内栓閉鎖状態の断面図
【図4】(a)同上の外栓閉鎖、内栓開放状態の断面図
(b)同上の外栓開放、内栓閉鎖状態の断面図
【図5】同上の使用状態の断面図
【図6】同上の使用状態の説明図
【図7】第2実施形態の一部分解斜視図
【図8】(a)同上の組立状態の一部断面図
(b)(a)のA矢視図
【符号の説明】
1 ポット本体
2 栓構造
3 肩部材
4 開口部
5 注ぎ口
6 ハンドル
7 内周ねじ
8 外栓
9 内栓
11 外栓外周筒部
12 下端閉塞部
13 穴
14 外栓内周筒部
15 外栓つば部
16 外周ねじ
17 液通路出口
18 空気吸引口
19 平坦面
21 液溜まり
22 Oリング
23 内周ねじ
24 周壁
25 切欠き部
26 把持片
27 外周ねじ
28 内栓筒部
29 内栓つば部
30 Oリング
31 液通路入口
32 隔壁
33 弁孔
34 空気排出穴
35 Oリング
36 つまみ片
37 液通路
41 抽出器
42 載置台
43 開閉栓
44 弁孔
45 バヨネット嵌合溝
46 突起
47 コイルばね
48 係合リブ

Claims (4)

  1. ポット本体(1)の開口部(4)を開閉する外栓(8)と、その外栓(8)に設けた液通路(37)を開閉する内栓(9)の組み合わせからなるポットの栓構造において、上記外栓(8)をポット本体(1)の上記開口部(4)を開閉できるよう上下動自在に嵌合し、上記内栓(9)を上記外栓 ( ) に対しその液通路(37)を開閉できるよう一定ストロークで上下動自在に嵌合し、上記ストロークの上限で上記液通路 ( 37 ) が開放状態となり、上記内栓 ( ) の内栓筒部 ( 28 ) の上端は開放され液通路入口 ( 31 ) となり、該内栓 ( ) の開放状態における上記液通路入口 ( 31 ) の高さHを、飲料抽出器 ( 41 ) の開閉栓 ( 43 ) を押上げて開放できる高さに設定したことを特徴とするポットの栓構造。
  2. 上記の外栓(8)は、外栓外周筒部(11)とその下端閉塞部(12)に上向きに設けた外栓内周筒部(14)及び上記外栓外周筒部(11)上端に設けた外栓つば部(15)を有し、上記外栓外周筒部(11)に液通路出口(17)を設けると共に、前記開口部(4)に対する螺合部とシール部を設けてなり、上記の内栓(9)は、上記の外栓内周筒部(14)に上下動自在に螺合される内栓筒部(28)とその内栓筒部(28)上端に設けた内栓つば部(29)とからなり、該内栓筒部(28)の内部を隔壁(32)により上下に区画し、その隔壁(32)上部において内栓筒部(28)上端に上記の液通路入口(31)を設けるとともにその周壁に弁孔(33)を設け、上記内栓つば部(29)の外周に装着したシール部材を上記外栓外周筒部(11)内面に密着せしめ、上記内栓(9)の上下方向のストロークの上限で前記外栓内周筒部(14)の上端と内栓つば部(29)との間を開放して上記弁孔(33)を開放し、該内栓(9)のストロークの下限で前記外栓内周筒部(14)の上端と内栓つば部(29)とを密着させて上記弁孔(33)を閉塞するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のポットの栓構造。
  3. 上記の外栓(8)は、外栓外周筒部(11)とその下端閉塞部(12)に上向きに設けた外栓内周筒部(14)及び上記外栓外周筒部(11)上端に設けた外栓つば部(15)を有し、上記外栓外周筒部(11)に液通路出口(17)を設けると共に、前記開口部(4)に対する螺合部とシール部を設けてなり、上記の内栓(9)は、上記の外栓内周筒部(14)に上下動自在にバヨネット嵌合される内栓筒部(28)とその内栓筒部(28)上端に設けた内栓つば部(29)とから成り、該内栓筒部(28)の内部を隔壁(32)により上下に区画し、その隔壁(32)上部において内栓筒部(28)上端に上記の液通路入口(31)を設けるとともにその周壁に弁孔(33)を設け、上記内栓つば部(29)の外周に装着したシール部材を上記外栓外周筒部(11)内面に密着せしめ、上記内栓(9)と外栓(8)の間に介在した弾性体により該内栓(9)を上向きに付勢し、上記内栓(9)の上下方向のストロークの上限で前記外栓内周筒部(14)の上端と内栓つば部(29)との間を開放して上記弁孔(33)を開放し、該内栓(9)のストロークの下限で前記外栓内周筒部(14)の上端と内栓つば部(29)とを密着させて上記弁孔(33)を閉塞するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のポットの栓構造。
  4. 上記内栓(9)の上面において、上記液通路入口(31)の周りにつまみ片(36)を設けたことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のポットの栓構造。
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