JP3885241B2 - 電子写真画像現像用トナー及び画像形成方法 - Google Patents
電子写真画像現像用トナー及び画像形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3885241B2 JP3885241B2 JP12523395A JP12523395A JP3885241B2 JP 3885241 B2 JP3885241 B2 JP 3885241B2 JP 12523395 A JP12523395 A JP 12523395A JP 12523395 A JP12523395 A JP 12523395A JP 3885241 B2 JP3885241 B2 JP 3885241B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- toner
- image
- electrophotographic image
- developing
- fixing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真画像の形成に用いられるトナー及び該トナーを用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法による画像形成においては、熱ローラー定着方法によって画像支持体上にトナーを固着して恒久的な可視複写画像を得る。この場合にオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用トランスペアレンシーシート(以下「OHPシート」と記す)を画像支持体としてその上にトナー、特にカラートナーによる複写画像を形成する場合は、OHPでの投影像の良好な光透過性のために、画像表面を平滑な状態に定着して投影時における画像表面での透過光の散乱や乱反射等を防止することが要求される。
【0003】
その達成のために、従来より一般的な手法として、溶融点において従来の黒色トナーにくらべ低い粘弾性をもつ溶融状態に急速に移転し得るカラートナーを使用し、熱ローラー定着で加熱加圧することによって画像表面が容易に平滑化する様な設計が成されていた。
【0004】
しかしこの様にトナーの粘弾性特性を低くすることは同時にガラス転移温度の低下も伴うため、常温時即ち実機内での使用時におけるトナーの力学的な強度低下を生じる。従って、例えば現像器内での撹拌等の機械的なストレスが加わることにより、トナー表面の外添剤が埋没して現像性及び転写性が劣化するという問題を生じる。またキャリア粒子へトナー粒子が固着するいわゆるトナースペントが発生する。この様な問題は特に近年の高画質化のためにトナーを小粒径化する場合において顕著に発生する。これはトナーの粒径が小さくなるに従い、機械的なストレスを受け易くなることに起因するものである。
【0005】
更に、この様な溶融温度で急速に溶融する低い粘弾性特性のトナーの場合での別の問題点として、トナー中に離型剤を添加して定着時の離型性の向上を図ったとしても、溶融時でのトナーと離型剤の粘度が近接している為に実質的には離型剤が機能し得ず、従って定着時のホットオフセットの発生を防止するには定着ローラー表面にシリコンオイルを塗布する必要があった。この結果OHPシートを画像支持体として形成された複写画像では、シリコンオイルによるベタツキとその塗布ムラ等に起因するOHP投影像の透過性不良が発生するといった問題を伴った。加えて、定着ローラー表面へのシリコンオイルの濡れを良くするためには定着ローラーの表面素材にフッ素系樹脂等からなる高離型性の被覆層を設けることが実質的に不可能であり、シリコンゴムを表面素材として使用することを余儀なくされるため定着ローラーの耐久性は極めて劣るものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記のような問題を解決しようとするもので、本発明の目的は、OHPシート上に形成された複写画像において平滑な定着画像を形成して良好な透過性を確保したうえで、小粒径なトナーにおいても外添剤の埋没などを発生しない充分な強度を有するトナーを提供することである。
【0007】
また、本発明の目的は、トナーに離型剤を添加して定着時のホットオフセットの発生を防止することが可能で、定着ローラーへのシリコンオイルの塗布を実質的に必要とせず、よってシリコンオイルのベタツキやオイル塗布むらの無いOHPシート上への複写画像を得ることが可能な技術を提供することである。
【0008】
さらにまた、本発明の目的は、定着ローラーへのシリコンオイルの塗布が実質的に不要となり、定着ローラーの表材にフッ素系樹脂からなる高離型性の被覆層を設けることが可能となり、定着ローラーの耐久性を高めることが可能な技術を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は下記(1)乃至(5)である。
【0010】
(1)バインダーと着色剤、さらに離型剤を含む電子写真画像現像用トナーにおいて、該トナーの体積平均粒径Dv(μm)と、170℃における貯蔵弾性率G′170(dyne/cm2)が下記関係を充たしている電子写真画像現像用トナー。
【0011】
−(2/15)Dv+3.5≦log G′170≦−(3/15)Dv+5.5
【0012】
(2)前記離型剤が、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンまたはポリアミドワックスである前記(1)に記載の電子写真画像現像用トナー。
【0013】
(3)前記Dvの値が5μm乃至20μmである前記(1)または(2)項に記載の電子写真画像現像用トナー。
【0014】
(4)前記トナーが、有彩色着色剤を含むカラートナーである前記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の電子写真画像現像用トナー。
【0015】
(5)電子写真画像を形成する方法において、電子写真潜像を上記(1)の電子写真画像現像用トナーで現像してトナー画像を形成する過程と、該トナー画像を表面をフッ素含有樹脂層で被覆された定着ローラーで定着する過程を含む電子写真画像の形成方法。
【0016】
以下、本発明について詳述する。
【0017】
本発明ではトナーの粒径に応じて好適なトナー粘弾性を規定するものである。具体的にはトナーの粒径が小粒径な場合では、トナーの粘弾性的特性を高く設計して力学的な強度の向上を図り、外添剤の埋没やトナーのキャリアに対する固着を防止する。高い粘弾性の設計とすることで平滑定着には不利となるが、小粒径なトナーによって形成された定着前の画像では図2に模式的に示される様にその表面の凹凸が小さく平滑面に近い状態となっており、又トナー粒子自身の熱容量が小さいことからたとえ高い粘弾性であっても平滑な定着画像を形成し得る。図2中、1はOHPシート、2aはトナー粒子である。
【0018】
逆にトナーの粒径が大粒径化するに従い、図3に模式的に示される様に定着前の画像表面の凹凸は大きくなり、又トナー粒子の大粒径化に伴いその熱容量は大きくなるために、容易に平滑に定着され易い様に粘弾性を低く設計する必要がある。この場合低い粘弾性の設計とするに従い力学的な強度低下を伴うが、トナー粒径が大きくなる事により外的なストレスを受けにくくなるので、外添剤の埋没やトナースペント等の発生を充分に防止し得る。図3中、1はOHPシート、2bはトナー粒子である。
【0019】
以上の様なカラートナーにおける粒径と粘弾性の相関に関して本発明では鋭意検討の結果、トナーの体積平均粒径Dv(μm)と、170℃における貯蔵弾性率
G′170(dyne/cm2)が前記の関係式〔1〕を満たす様な、トナーの粒径に応じて好適な粘弾性特性を有するカラートナーとすることにより、画像表面の平滑な定着と力学的な強度低下の防止の両立を可能とすることを見出したものである。
【0020】
又、トナーの粘弾性特性をこのような範囲の設計とすることによって、トナー中に離型剤を添加した場合、溶融時におけるトナーの粘度が離型剤の粘度よりも高くなるために離型剤の機能が充分に発揮され、従って定着ローラー表面にシリコンオイルを塗布せずともホットオフセットの発生が防止される。よってその結果、定着ローラー表面へのシリコンオイルの濡れ性は要求されなくなる為に定着ローラーの素材にフッ素系樹脂等から成る高離型性の被覆層を設けることが可能となり、シリコンゴムを素材として使用する場合に比較して定着ローラーの耐久性を飛躍的に高めることが可能となる。
【0021】
この粒径と粘弾性の関係式が満たされない場合、即ち、
logG′170<−(2/15)Dv+3.5の場合では、トナーの力学的な強度低下が顕著になり外添剤の埋没やトナーのキャリアに対する固着の発生を回避できなくなる。と同時に、溶融時のトナーと離型剤の粘度が近くなり、トナー中に離型剤を加えてもその機能が充分に発揮されず、ホットオフセット防止効果が得られなくなる。逆に、
logG′170>−(3/15)Dv+5.5の場合では、平滑な定着画像を形成することが困難となりOHPシート上に形成された複写画像の投影像において透過色の良好な発色性が得られなくなる。
【0022】
なお、本発明でのDv及びG′170は以下に示す方法で測定することができる。
【0023】
Dv :コールターカウンター粒度分布測定器「TA−II」型を用い、100μmのアパーチャーを使用した場合での体積平均粒径をDvとして使用する。
【0024】
G′170:日本レオロジ製レオメーター「ソリキッドメーター:MR−3」型を用い、コーン/プレート法により、コーン角1.8°,コーン径32.0mm,ワイヤー径1.0mm,周波数0.1Hz,捩り角2.0°として測定温度170℃に設定して測定を開始し、30秒毎に貯蔵弾性率G′(dyne/cm2)をプロットして得られた測定時間に対するG′の曲線に於いて測定時間=0へ外挿して得られたG′の値をそのトナーの170℃での貯蔵弾性率即ちG′170(dyne/cm2)として使用する。
【0025】
以上により本発明の目的を達成し得る限り、トナーの構成材料や定着プロセスに関しては何等制約を課するものではないが、本発明の効果をより有効に発揮するための好ましい使用形態を以下に述べる。
【0026】
トナーの構成材料としてバインダー樹脂及びその他に必要とされる着色剤、離型剤、荷電制御剤、外添剤、滑剤等の素材に関しては広く一般的に使用されるものを選択して使用し得る。
【0027】
バインダー樹脂に関しては従来より公知のものを含む一般的な範囲の材料より選択することが可能である。バインダー樹脂の具体例としては、スチレン、アクリル酸及びそのエステル化合物、メタクリル酸及びそのエステル化合物、アクリロニトリル等の単独或いは共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等を挙げることができる。本発明の粘弾性特性の為にはバインダー樹脂は従来のカラートナーのような低分子量の直鎖状の構造のものではなく、若干の架橋が成されているか又は二山の分子量分布を有するような高次構造であることが好ましく、樹脂の平均分子量、分子量分布、架橋度等を調整することで本発明に必要な粘弾性特性をトナーに付与することが可能である。これらの調整はいずれもバインダー樹脂の合成過程を適宜操作する事によって成されるものであり、その手法のより具体的な一例としては、例えばポリエステル系樹脂の如く逐次重合により重合体が生成する場合では、重合反応の温度と反応時間を適宜操作する事、又、例えばスチレン−アクリル樹脂の如く連鎖重合により重合体が生成する系では、重合開始剤の濃度を適宜操作する事によってバインダー樹脂の平均分子量を調整する事が可能である。又、重合反応を二段階或いはそれ以上に亘って行う事により分子量分布を調整する事が可能である。更には、重合単量体に架橋性のものを使用しその仕込量を適宜操作する事によって架橋度を調整する事が可能である。
【0028】
本発明において、カラートナーとは有彩色の着色剤を含有する有彩色のトナーを指す。着色剤の具体例として、イエロー着色剤として、ベンジジン系イエロー顔料であるC.I.Pigment Yellow No.12,同13,同14,同15,同17,同55,同83,同174等を挙げることができる。マゼンタ着色剤として、キナクリドン系マゼンタ顔料であるC.I.Pigment Red No.122,アゾレーキ系マゼンタ顔料であるC.I.Pigment Red No.57-1等を挙げることができる。シアン着色剤として、銅フタロシアニン系顔料であるC.I.Pigment Blue No.15,同15-3,同15-4,同15-6等を挙げることができる。又、本発明を黒色トナーに適用する場合には、黒色着色剤としてカーボンブラック、ニグロシン染料等を挙げることができる。
【0029】
発明に用いられる離型剤の具体例として、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アミド系ワックス、多価アルコールエステル等を挙げることができる。離型剤の添加に関してはその添加量がトナーのバインダー樹脂に対し0.5〜15重量部の範囲であることが好ましい。添加量が0.5重量部未満である場合は充分な離型性が発揮されず、添加量が15重量部を越える場合はカラートナーの透明性が低下する為である。
【0030】
荷電制御剤としてはカラートナーの一部を構成するものであるため無色又は白色のものが好ましく、具体的にはサリチル酸又はサリチル酸誘導体の亜鉛塩等を挙げることができる。
【0031】
外添剤の具体例として、シリカ、アルミナ、チタニア等の無機微粒子及びそれらを表面処理により疎水化したもの、シリコーン樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子等の有機微粒子、高級脂肪酸の金属塩等の滑剤等を挙げることができる。
【0032】
本発明によるトナーのDvは5〜20μmの範囲であることが好ましい。Dvをこの範囲に調整、制御するには、樹脂や着色剤等のトナーを構成する成分を混合して、混練、粉砕し、文級操作で行うことにより可能である。
【0033】
本発明のトナーはキャリアと混合され、二成分現像剤として使用される。二成分現像剤を構成するキャリアとしては鉄、フェライト等の磁性材料粒子のみで構成される非被覆キャリア、或いは磁性材料粒子表面を樹脂等によって被覆した樹脂被覆キャリアの何れを使用してもよい。このキャリアの平均粒径は体積平均粒径で30〜150μmが好ましい。被覆用樹脂としてはスチレン-アクリル樹脂等の従来使用されているものを使用することができる。
【0034】
本発明のトナーをOHPシート等の画像支持体へ定着する定着器の機械的な構成としては、画像支持体上のトナー層が直接接触する側のローラー(即ち、定着ローラー)として弾性ローラーを使用した熱ローラー定着器であることが好ましい。即ち定着ローラーが弾性を有する場合は、未定着のトナー像表面の凹凸に対して定着ローラー表面自身が変形して押圧する為にトナー像の均一な加熱、加圧が可能となり、画像表面を平滑に定着するに好適である。この場合の定着ローラーの弾性としては硬度が50°以上80°以下であることが好ましい。硬度が50°未満である場合には定着ローラーの変形量が過大となり、画像支持体の通紙性に問題を生じる。硬度が80°より高い場合は定着ローラー表面の変形が不充分となる為にトナー像の均一な加熱が不可能となる。定着ローラーにこの様な適当な硬度の弾性を付与するには、シリコンゴム、フッ素ゴム等からなる弾性ゴム層を定着ローラー表面に設ければよい。なお、これらの硬度はアスカーC硬度計により測定される値を使用する。
【0035】
オフセット防止の目的で離型性を付与するために、定着ローラーの表面にフッ素系樹脂からなる被覆層を設ける。該被覆層としては、ポリフッ化ビニリデン(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体(PFA)等から成る低表面エネルギーな被覆層が好ましい。この場合の被覆層の厚さは20〜70μmが好適である。
【0036】
【実施例】
本発明の具体的な実施例を以下に述べるが、これら実施例は本発明を何等限定するものではない。又、本実施例中での「部」は「重量部」を示す。
【0037】
実施例トナー1、比較例トナー1の作成
先ずバインダー樹脂として、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド;1.4mol、ビスフェノールA・エチレンオキサイド;0.6mol、テレフタル酸;0.6mol、トリメリット酸;0.8molを200℃で4時間重縮合反応せしめて、G′170=5.2×103dyne/cm2であるポリエステル樹脂を得た。次いで当該樹脂と、着色剤としてマゼンタ顔料のC.I.Pigment Red No.122を重量比で4:6となる様に予備混合した後、加圧ニーダーで溶融混練した後に冷却固化及び粗粉砕してマスターバッチ顔料を得た。次いで、上記のポリエステル樹脂100部、上記にて得られたマスターバッチ顔料20部、離型剤として低分子量ポリプロピレンワックス3部とをヘンシェルミキサーで混合し、次いで2軸型エクストルーダーで溶融混練し、冷却固化の後に粗粉砕し、粒子衝突型粉砕機で微粉砕した後気流式分級機で分級しDv=8.5μmの着色粒子を得た。これを実施例トナー1とする。同様にしてDv=11μmの着色粒子を得た。これを比較例トナー1とする。実施例トナー1、比較例トナー1共にG′170=5.0×103dyne/cm2であった。
【0038】
実施例トナー2および3、比較例トナー2の作成
バインダー樹脂としてビスフェノールA・プロピレンオキサイド;2.0mol、テレフタル酸;0.75mol、トリメリット酸;0.75molを200℃で3時間重縮合反応せしめて得られた、G′170=1.2×103dyne/cm2であるポリエステル樹脂を使用し、着色剤としてイエロー顔料のC.I.Pigment Yellow No.17を使用した以外は実施例トナー1及び比較例トナー1と同様の製造工程を経てDv=8.5μmの着色粒子を得た。これを実施例トナー2とする。同様にしてDv=11μmの着色粒子を得た。これを実施例トナー3とする。同様にしてDv=15μmの着色粒子を得た。これを比較例トナー2とする。実施例トナー2、実施例トナー3、比較例トナー2共にG′170=1.0×103dyne/cm2であった。
【0039】
実施例トナー4及び5、比較例トナー3の作成
バインダー樹脂として、スチレン;1.5mol、メタクリル酸メチル;0.5molを、ジ-tert-ブチルパーオキサイド;0.03molを重合開始剤として溶液重合せしめて得た樹脂を、更にスチレン;3.0mol、メタクリル酸メチル;1.6molに溶解し、ベンゾイルパーオキサイド;0.05molを開始剤に用いて水中にて懸濁重合を行う事によって得られた、G′170=1.7×102dyne/cm2であるスチレン−アクリル樹脂を使用し、着色剤としてシアン顔料C.I.Pigment Blue No.15-3を使用し、そのマスターバッチ顔料の添加部数を10部とした以外は実施例トナー1及び比較例トナー1と同様の製造工程を経てDv=8.5μmの着色粒子を得た。これを比較例トナー3とする。同様にしてDv=11μmの着色粒子を得た。これを実施例トナー4とする。同様にしてDv=15μmの着色粒子を得た。これを実施例トナー5とする。比較例トナー3、実施例トナー4、実施例トナー5共にG′170=1.6×102dyne/cm2であった。
【0040】
実施例トナー6、比較例トナー4の作成
バインダー樹脂としてビスフェノールA・プロピレンオキサイド;2.0mol、フマール酸;2.0molを200℃で6時間重縮合せしめて得られた、G′170=6.5×101dyne/cm2であるポリエステル樹脂を使用した以外は実施例トナー1及び比較例トナー1と同様の製造工程を経てDv=11μmの着色粒子を得た。これを比較例トナー4とする。同様にしてDv=15μmの着色粒子を得た。これを実施例トナー6とする。比較例トナー4、実施例トナー6共にG′170=6.4×101dyne/cm2であった。
【0041】
以上の実施例トナー1〜6及び比較例トナー1〜4の体積平均粒径Dv(μm)と170℃における貯蔵弾性率G′170(dyne/cm2)との関係を図1に示す。図1中、「実施例1」等は「実施例トナー1」等を示す。直線logG′170=−(2/15)Dv+3.5と直線logG′170=−(3/15)Dv+5.5とに挟まれた範囲が本発明のトナーの体積平均粒径Dv(μm)と170℃における貯蔵弾性率G′170(dyne/cm2)との関係を満足する範囲である。
【0042】
以上の実施例トナー1〜6及び比較例トナー1〜4は何れも、これらのトナー100部に対し、外添剤として疎水性シリカ0.5部、及び疎水性チタニア1.0部を添加し、混合処理した後に、表面にスチレン-メチルメタクリレート樹脂被覆層を有し、体積平均粒径が45μmであるフェライトコアキャリアとトナー濃度が7重量%となる様に混合し、二成分現像剤として使用した。
【0043】
上記の現像剤を使用してOHPシート上にトナーの付着量が0.7mg/cm2であるベタ画像の出力を行い、得られた画像の透過性について下記の方法で評価、比較を行った。なお、画像の出力においては定着装置を下記構成に改造したコニカ製フルカラー複写機「DC9028」を使用した。
【0044】
定着装置の構成
図4に示すような、600Wのハロゲンヒーターランプ4を中央に内蔵し、直径30mmの中空アルミローラー5の表面にアスカーC硬度計によるゴム硬度が80°であるLTVゴム層6と厚さ50μmのPFAチューブ層7が形成された定着ローラー3と、直径30mmの中空アルミローラー9の表面に厚さ50μmのPFAチューブ層10が形成された圧着ローラー8とを有してなる定着装置。同図において11はクリーニングローラー、矢印はトナー画像を有するOHPシートの搬送路である。本装置において定着ローラーと圧着ローラーの圧接ニップ荷重を2.5kgf/cm2とした。
【0045】
画像の透過性の評価
定着線速を25mm/sとし定着ローラーの表面温度を190℃として定着された画像について、日立製作所製「330型自記分光光度計」によりトナーが担持されていないOHPシートをリファレンスとして画像の可視分光透過率を測定し、イエロートナーでは650nmと450nmでの分光透過率の差、マゼンタトナーでは650nmと550nmでの分光透過率の差、シアントナーでは500nmと600nmでの分光透過率の差を求め、OHP画像の透過性の尺度とした。この値が70%以上である場合、良好な透過性であると判断し得る。
【0046】
又、上記の現像剤を使用して現像剤の耐久性について下記の方法にて評価した。
【0047】
現像剤の耐久性の評価
コニカ製フルカラー複写機「DC9028」を現像器を単体で駆動できる構造に改造し、本発明の実施例及び比較例の現像剤を現像器中に投入し、20℃,60%RHの環境下で5時間の撹拌を行った場合での撹拌前及び撹拌後での現像性、即ち感光体上に現像された単位面積あたりの現像トナー量を測定し、撹拌前の現像性に対する撹拌後の現像性の比率を求め、この値をもって耐久性の尺度とした。この値が90%以上である場合、良好な耐久性であると判断し得る。又、撹拌前後での状態の変化をSEMによる観察で確認し、外添剤の埋没の発生の有無を評価した。
【0048】
これらの評価結果を表1に纏めて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1中の結果から理解されるように、本発明で規定されるDvとG′170の相関を満足する実施例1〜6はOHPの透過性と現像剤の耐久性の両特性において安定した良好な性能を示すのに対し、本発明で規定されるDvとG′170の相関を満足しない比較例1〜4はOHP透過性或いは現像剤の耐久性の何れかの性能が不良である。比較例1及び2においては、logG′170≧−(3/15)Dv+5.5である為に平滑な定着画像が形成されずにそのOHP透過性が劣る結果となり、比較例3及び4においては、logG′170≦−(2/15)Dv+3.5である為にトナーの力学的な強度が不足し、現像剤の撹拌といったストレスにより外添剤の埋没を発生すると共にその結果として現像性の低下が生じる結果となっている。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、OHPシート上に形成された複写画像において平滑な定着画像を形成して良好な透過性を確保したうえで、小粒径なトナーおいても外添剤の埋没などを発生しない充分な強度を有するトナーが提供される。
【0052】
また、トナーに離型剤を添加して定着時のホットオフセットの発生を防止することが可能で、定着ローラーへのシリコンオイルの塗布を実質的に必要とせず、よってシリコンオイルのベタツキやオイル塗布むらの無いOHPシート上への複写画像を得ることが可能な技術が提供される。
【0053】
さらにまた、定着ローラーへのシリコンオイルの塗布が実質的に不要となり、定着ローラーの表材にフッ素系樹脂からなる高離型性の被覆層を設けることが可能となり、定着ローラーの耐久性を高めることが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラートナーの体積平均粒径Dv(μm)と170℃における貯蔵弾性率G′170(dyne/cm2)との関係を示すグラフである。
【図2】小粒径のトナーで形成された定着前の画像の模式的断面図である。
【図3】大粒径のトナーで形成された定着前の画像の模式的断面図である。
【図4】本発明の画像形成方法に用いられる定着装置の一例の概略断面図である。
【符号の説明】
1 OHPシート
2a,2b トナー粒子
3 定着ローラー
8 圧着ローラー
11 クリーニングローラー
Claims (5)
- バインダーと着色剤、さらに離型剤を含む電子写真画像現像用トナーにおいて、該トナーの体積平均粒径Dv(μm)と170℃における貯蔵弾性率G′170(dyne/cm2)が下記関係を充たしている電子写真画像現像用トナー。
−(2/15)Dv+3.5≦log G′170≦−(3/15)Dv+5.5 - 前記離型剤が、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンまたはポリアミドワックスである請求項1に記載の電子写真画像現像用トナー。
- 前記Dvの値が5μm乃至20μmである請求項1または2項に記載の電子写真画像現像用トナー。
- 前記トナーが、有彩色着色剤を含むカラートナーである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子写真画像現像用トナー。
- 電子写真画像を形成する方法において、電子写真潜像を請求項1の電子写真画像現像用トナーで現像してトナー画像を形成する過程と、該トナー画像を表面をフッ素含有樹脂層で被覆された定着ローラーで定着する過程を含む電子写真画像の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12523395A JP3885241B2 (ja) | 1994-06-06 | 1995-05-24 | 電子写真画像現像用トナー及び画像形成方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12392894 | 1994-06-06 | ||
JP6-123928 | 1994-06-06 | ||
JP12523395A JP3885241B2 (ja) | 1994-06-06 | 1995-05-24 | 電子写真画像現像用トナー及び画像形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0854750A JPH0854750A (ja) | 1996-02-27 |
JP3885241B2 true JP3885241B2 (ja) | 2007-02-21 |
Family
ID=26460720
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12523395A Expired - Fee Related JP3885241B2 (ja) | 1994-06-06 | 1995-05-24 | 電子写真画像現像用トナー及び画像形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3885241B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012101875A1 (ja) | 2011-01-27 | 2012-08-02 | 株式会社リコー | 静電荷現像用トナー |
US8778588B2 (en) | 2010-03-02 | 2014-07-15 | Ricoh Company, Ltd. | Toner for electrostatic charge development |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3267509B2 (ja) * | 1995-05-31 | 2002-03-18 | キヤノン株式会社 | 画像形成方法及び加熱定着方法 |
US6300024B1 (en) | 1999-06-30 | 2001-10-09 | Canon Kabushiki Kaisha | Toner, two-component type developer, heat fixing method, image forming method and apparatus unit |
JP4387613B2 (ja) | 2000-07-10 | 2009-12-16 | キヤノン株式会社 | マゼンタトナー |
EP1172703B1 (en) | 2000-07-10 | 2015-09-09 | Canon Kabushiki Kaisha | Toner and full-color image forming method |
JP3956657B2 (ja) * | 2001-07-27 | 2007-08-08 | コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 | オイルレス定着用トナー、該トナーの製造方法およびオイルレス定着方法 |
JP3979046B2 (ja) * | 2001-07-27 | 2007-09-19 | コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 | 静電潜像現像用トナー、該トナーの製造方法および定着方法 |
EP1329774B1 (en) | 2002-01-18 | 2006-12-20 | Canon Kabushiki Kaisha | Color toner, and full-color image-forming method |
JP4290015B2 (ja) | 2003-01-10 | 2009-07-01 | キヤノン株式会社 | カラートナー及び画像形成装置 |
US7537875B2 (en) | 2004-09-22 | 2009-05-26 | Canon Kabushiki Kaisha | Toner |
WO2007077643A1 (en) | 2006-01-06 | 2007-07-12 | Canon Kabushiki Kaisha | Non-magnetic toner |
KR20100010845A (ko) | 2008-07-23 | 2010-02-02 | 삼성정밀화학 주식회사 | 온도에 따른 저장 탄성률 곡선이 복수개의 변곡점을 갖는토너 및 그의 제조방법 |
JP2013109142A (ja) | 2011-11-21 | 2013-06-06 | Ricoh Co Ltd | トナー並びにこれを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2746944B2 (ja) * | 1988-10-07 | 1998-05-06 | 日立金属株式会社 | 熱ローラー定着方法 |
JP2826739B2 (ja) * | 1989-01-13 | 1998-11-18 | コニカ株式会社 | 画像形成法 |
JP2769829B2 (ja) * | 1989-01-20 | 1998-06-25 | キヤノン株式会社 | カラー電子写真法 |
JP2704755B2 (ja) * | 1989-04-25 | 1998-01-26 | キヤノン株式会社 | カラートナー |
JPH0367269A (ja) * | 1990-04-20 | 1991-03-22 | Konica Corp | 熱ローラ定着方法 |
JP2578547B2 (ja) * | 1991-02-25 | 1997-02-05 | キヤノン株式会社 | 記録材及び画像形成方法 |
-
1995
- 1995-05-24 JP JP12523395A patent/JP3885241B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8778588B2 (en) | 2010-03-02 | 2014-07-15 | Ricoh Company, Ltd. | Toner for electrostatic charge development |
WO2012101875A1 (ja) | 2011-01-27 | 2012-08-02 | 株式会社リコー | 静電荷現像用トナー |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0854750A (ja) | 1996-02-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR0143796B1 (ko) | 정전하상 현상용 토너 및 화상 형성방법 | |
JP3885241B2 (ja) | 電子写真画像現像用トナー及び画像形成方法 | |
JP2002365834A (ja) | 静電潜像現像用トナーと画像形成方法及び画像形成装置 | |
US5547800A (en) | Toner and electrophotographic image forming method using the same | |
KR20100089336A (ko) | 전자 사진용 토너 및 그의 제조방법 | |
KR20110076192A (ko) | 전자사진용 토너 및 그의 제조방법 | |
KR101829388B1 (ko) | 전자사진용 토너 및 그의 제조방법 | |
JP2578547B2 (ja) | 記録材及び画像形成方法 | |
JP4334165B2 (ja) | 静電潜像現像用トナーと画像形成方法及び画像形成装置 | |
JP3855585B2 (ja) | 画像形成方法 | |
JP3945199B2 (ja) | 静電潜像現像用トナー、現像剤及び画像形成方法 | |
JP2004109602A (ja) | トナーおよび画像形成方法 | |
JPH07219274A (ja) | 電子写真用カラートナー及び定着方法 | |
US7033719B2 (en) | Toner having specific relation between absorption spectra, and developer, image forming method and image forming apparatus using same | |
JP3267509B2 (ja) | 画像形成方法及び加熱定着方法 | |
JP4283416B2 (ja) | 画像形成方法 | |
JPH09160293A (ja) | フルカラー現像剤とその製造方法、フルカラートナーキット及び画像形成方法 | |
JPH08314300A (ja) | 静電荷像現像用トナー、画像形成方法及びカラー画像記録物 | |
JP4075328B2 (ja) | 静電潜像現像用トナー及び画像形成方法 | |
JP2002040711A (ja) | トナーとそれを用いた画像形成方法 | |
JP2001134017A (ja) | 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 | |
JP3491224B2 (ja) | 静電潜像現像用トナーと、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置 | |
JP3445524B2 (ja) | 静電荷現像用トナー及びその製造方法 | |
JP4326119B2 (ja) | 画像形成方法と画像形成装置 | |
JP2000187352A (ja) | 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040921 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041116 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20041209 |
|
A912 | Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20051007 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061113 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101201 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111201 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121201 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131201 Year of fee payment: 7 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |