JP3884723B2 - 土質採取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スウェーデン式サウンディング試験を行う際、その試験機によって形成された調査孔を利用し、かつ試験機の部品を利用して土質採取を行う土質採取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
戸建住宅など小規模構造物の支持力特性を把握する地盤調査方法として、スウェーデン式サウンディング試験方法(JIS A 1221)が広く利用されている。この試験方法は、荷重による貫入と回転貫入を併用した原位置試験であり、土の静的貫入抵抗を測定し、その硬軟又は締まり具合を判定すると共に土層構成を把握することを目的としている。そして、この試験の特徴は、装置及び操作が容易であり迅速に測定ができ、簡易なサウンディングでありながら貫入能力が高く、深さ10m程度以浅を対象とする概略調査,補足調査に適している点である。また、この試験の際に、各土層の土質を採取して地盤調査の調査精度を高めることは極めて重要である。この場合、スウェーデン式サウンディング試験の結果形成された調査孔を利用して土質採取することは、この試験方法の簡便性という特徴を高める上で極めて有効である。このため、この調査孔を利用する土質採取装置が、特許文献1乃至3において提案されている。例えば、特許文献1では、シャフトの外周軸方向に板ばねを配設し、地中(調査孔内)にてシャフトを可動して板ばねを外方に湾曲拡開させ、かつ回転させて土を削り、シャフトと板ばねとの間隔に形成される収納間隔に土を収納する構成である。そして、板ばねの拡開を元に戻して収納間隔を閉止し、シャフトを地中から抜き取ると、収納間隔から外部へ採取土を拡散させることなく地上に取り出すことができる。
【0003】
また、特許文献2,3では、本体部材内に移動操作可能な操作バーを設け、本体部材の所定間隔に配設された開口部から試料採取部が、この操作バーの操作によって出没されるように構成されている。そして、試料採取部を本体部材内に収容した状態にて、貫入孔(調査孔)に本体部材を挿入し、操作バーの操作によって試料採取部を地中にて突き出させ、本体部材を貫入孔に沿って移動させて土を採取する。
【0004】
他方、一般的な採取手段として、貫入装置を用いて貫入孔を設けて、そこから土質を採取する採取装置が、例えば特許文献4に開示されている。特許文献4では、地中に挿入するロッドに対して、軸方向に間隔をおいて、複数の土質採取器を組み付けた装置である。ロッドと土質採取器とは特殊な凹凸係合構造によって連結される。また、土質採取器は、開口部及び採取羽根を有する外側筒体と、採取口を有する内側筒体と、駆動伝達の衝合ピン及び衝合窓とで構成される。土質採取に関しては、ロッドを介した正逆方向の回転力によって、採取口を開閉し、同時に採取羽根によって周辺土砂を取り込む動作となっている。
【0005】
【特許文献1】
特許第2968459号公報(図1,図2,図5,図8,図9,図11)
【特許文献2】
特開2003−41564号公報(図1,図2,図4)
【特許文献3】
特開2003−74046号公報(図1,図2,図5)
【特許文献4】
特開2000−282447号公報(図3,図5,図6,図7,図9,図10)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1の装置では、採取箇所が1箇所のみであり、板ばねを外方へ拡開させる動作がある。このため、その都度周辺土を外方へ押出すこととなり、採取効率を悪くするだけでなく、シャフトと板ばねとの間の収納空間が狭く、採取容量も少ないという問題がある。また、シャフトの動作機構が地中にあるため、土等の侵入対策及びその分解掃除等の維持管理も難しくなっている。他方、特許文献2,3の装置では、各土層の複数箇所から採取可能であるが、試料採取部のサンプル(採取)管容量が限られ、採取量が極めて少なく(1cc程度)、土質性状の判断が難しいだけでなく、含水比試験(JIS A 1203)の必要量(10乃至30g)も確保できないという問題がある。また、サンプル管の採取口が小さいため、数ミリ程度の粒が採取できず、未分解繊維質土又は流木等を含む土質の採取が困難となる。しかも、サンプル管突き出し機構も地中にあるために、前述特許文献1と同様に維持管理も難しい。
【0007】
そして、特許文献4の装置では、各土層の複数箇所からも採取可能であり、採取口も面積が確保されている。しかし、通常の貫入装置によって予め形成した採取孔を利用するため、大掛かりな貫入装置等を採取のため別途必要とする場合があり問題となる。また、ロッドの回転力を伝達する機構が、内側筒体を駆動側とし、衝合ピン及び衝合窓の係合によって、外側筒体へ伝達する機構であり、採取口の開閉及び採取羽根による土の取り込みも、衝合ピン等の係合に連動させて同時に行っている。このため、衝合ピン等は小寸法かつ高精度に製作される必要があるが、地中にて動作する場合に、土の細かい粉体が入って不具合の頻度が高くなるという問題がある。この粉体侵入を防止する手段を徹底すると非常に高価な装置となってしまう。更に、開口部と採取口との面積が同じため土質取り込み効率が悪いだけでなく、ロッドと採取器との凹凸係合構造が複雑であるため、内側筒体から採取土を取り出しにくいという問題もある。
【0008】
上述した各装置は、スウェーデン式サウンディング試験の結果生じた調査孔を利用して土質採取する場合でも、単に調査孔を利用するのみであり、この試験の特徴である簡便性をより積極的に利用していない。
【0009】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スウェーデン式サウンディング試験の結果生じた調査孔を単に利用するだけでなく、試験の特徴である簡便性を生かすことができ、一箇所だけでなく各土層の複数箇所にて採取可能でありながら、検査に十分な採取量が確保でき、採取効率が良く、地中において動作しても不具合とならず、維持管理も困難でない簡単な構造の土質採取装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る土質採取装置は、
相対回転可能な二重筒状の内筒体と外筒体とからなり、内,外筒体の軸方向にそれぞれ内,外採取口を設け、内,外筒体の相対回転によって内採取口の開閉及び土質取り込みを行う少なくとも一つの採取部と、複数の長尺体のロッドと、前記採取部及びロッドを連結する複数の連結部とによって構成され、予め地盤に設けた採取孔に対して、軸方向に所定の数量及び順序に連結される前記採取部,連結部及びロッドを挿入し、所定深度の土質を採取する土質採取装置において、
(イ)前記採取孔がスウェーデン式サウンディング試験機によって形成された調査孔であり、
前記ロッドが、スウェーデン式サウンディング試験機のロッドであり、
前記連結部は、一端が前記ロッドと螺合の連結を可能とする連結第1ねじ部を設け、他端が後記外管ねじ部と螺合の連結を可能とする連結第2ねじ部を有し、かつ他端の端面に円錐凹状の受支持部を設け、
前記採取部の内筒体,外筒体が二重パイプ状の内管,外管であり、
前記外管は、外径をスウェーデン式サウンディング試験機のロッド径とスクリューポイント最大径との間とし、両端が前記連結第2ねじ部と螺合可能な外管ねじ部であり、
前記外採取口は、円周面の軸方向において長方形状に開けられ、前記外採取口の一端から前記外管の一端までの間に、後記採取刃厚さ分の開口幅を有する取出スリットが設けられ、
前記内管は、両端の内周が内管めねじ部であり、
前記内採取口は、円周面の軸方向において長方形状であって、軸方向及び円周方向の開口長を前記外採取口に比べて小さく開けられ、前記内採取口の長手方向一側おいて、採取刃が外方へ突き出して形成され、
(ロ)一端面を平面状の採取室端面とし、他端を円錐凸状の突支持部とし、外周を前記内管めねじ部と螺合する雄ねじ部である円柱体の内支持体が、前記内管めねじ部にそれぞれひとつ螺合されることによって、前記内管の両端内方に前記採取室端面を両端面とする採取室が形成され、前記内管の両端外方に前記突支持部が配設されること、
(ハ)前記外管の両端に前記連結部がねじ係合されることによって、前記外管の両端内方に前記受支持部が形成され、前記受支持部に対して前記突支持部を係合させると、前記内管が前記外管内にて軸支される。
また、請求項2に係る土質採取装置は、上述請求項1に対して、
上記外採取口の幅が、全円周面の20%〜40%の範囲内であること、
上記内管が上記採取刃の突出長を変えた複数個用意されて、その複数の中から選択使用されること、前記採取刃の少なくとも一つの突出長が、先端位置を上記スクリューポイント最大径付近に形成される。
【0011】
また、請求項3に係る土質採取装置は、上述請求項1,2に対して、
上記連結部の中において、装置全体の最先端に位置する連結部が先端部であり、前記先端部は、一端が円錐凸状であり、他端が上記外管ねじ部と螺合の連結を可能とする連結第2ねじ部を有し、かつ他端の端面に円錐凹状の受支持部を設ける。
また、請求項4に係る土質採取装置は、上述請求項1,2又は3に対して、
上記採取刃の上記内管接線となす角度aが、採取する土質種類に対応させて異なる角度に選択される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、請求項1の下位概念の請求項2に対応する第1実施形態の土質採取装置について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態の土質採取装置1の主要構成の一部断面の正面図であり、採取部2,連結部3及びロッド4とで構成される。先ず、本発明の特徴部分である採取部2は、図1に示すように、内管5,外管6及び内支持体7とで構成される。内管5と外管6は二重パイプ状であり、両管の隙間は、地中であっても外管6内において内管5を円滑に軸方向摺動可能及び相対回転可能とする隙間が適宜選択されている。例えば、日本工業規格の「寸法公差及びはめあい(JIS B 0401)」を参考に適宜選択使用される。
【0013】
外管6の外径は、スウェーデン式サウンディング試験機のロッド径とスクリューポイント最大径との間とされる。この外径であれば、スウェーデン式サウンディング試験による調査孔に不要な抵抗なく挿入できる。スウェーデン式サウンディング試験機のロッド径とスクリューポイント最大径に関しては、日本工業規格のスウェーデン式サウンディング試験方法(JIS A 1221)に規定されており、ロッド径19mm及びスクリューポイント最大径33mmである。また、外管6の両端内周は、めねじ加工される外管ねじ部8であり、後述の連結部3の連結第2ねじ部19と螺合可能となる。外管6の軸方向円周面には、長方形状の外採取口9が幅を全円周面の40%として開けられる(図2ロ参照)。なお、外採取口9幅が40%とされるのは、実地試験の好結果を考慮したためであり、この40%に限定する必要はなく、幅を全円周面の20%から50%程度までの間に選択可能である。20%以下の幅であると、取り込み面積が小さくなりすぎ、50%以上の幅であると、外管6の強度不足となるためである。外採取口9の一端から外管6の一端までの間に、採取刃13厚さ分の開口幅Hを有する取出スリット10が設けられる(図2参照)。この取出スリット10から採取刃13を逃がすことで、内管5の外管6内への出し入れが可能かつ容易となる。
【0014】
内管5の両端内周は、めねじ加工の内管めねじ部11である。内管5の軸方向円周面には、図2(イ)に示すように、長方形状であり、軸方向及び円周方向の開口長さが外採取口9に比べて小さいが、土質採取が確実に可能な面積を確保している内採取口12が開けられる。また、内採取口12の長手方向一側が外方へ突き出され、図2(イ)(ロ)に示すように、突き出た突出長Lの先端位置13aをスクリューポイント最大径D1付近に位置する採取刃13が形成される。ここでのスクリューポイント最大径D1付近とは、この最大径D1のプラス50%以内程度であり、実施試験の結果が好結果であった。また、突出長Lの異なる複数の採取刃13に対応させて複数の内管5が用意され、その中から選択使用される。また、採取刃13の突出長Lを1個又は2個に固定するのでなく、複数用意する利点も大きい。本装置1は内管5のみ容易に交換できるため、採取刃13の突出長Lを長短変えた複数の内管5を用意して交換することで、採取刃13の突出長Lの異なる採取装置を極めて容易に用意でき、結果として採取土質の各状態を広くカバーできる。
【0015】
なお、請求項1に対応する他の実施形態では、この「最大径D1付近」の突出長Lの採取刃13のみ限定されることなく、採取刃13の突出長Lが、採取土質状態に応じさせるために、最大径D1に捕らわれることなく短く又は長く設定される場合も含まれる。
【0016】
内支持体7は円柱体であり、外周が内管めねじ部11と螺合するようにおねじ加工される雄ねじ部14である。内支持体7の一端面は、平面状の採取室端面15であり、他端が円錐凸状の突支持部16である。この内支持体7が内管5両端の内管めねじ部11にそれぞれひとつ螺合されることで、内管5の内方に採取室端面15を両端面とする採取室17が形成され、内管5の両端外方に突支持部16が突設される。この採取室17は、内管5内容積のほぼ全部を土質取込み容積にできるため、採取量を可及的に確保できる。
【0017】
連結部3は、一端にロッド4と螺合連結を可能とする連結第1ねじ部18を設け、他端に外管ねじ部8と螺合連結を可能とする連結第2ねじ部19を設け、かつ他端の端面において内管5の突支持部16と係合する円錐凹状の受支持部20を設けている。図中符号3aは、連結部3を回転させるためのねじ回し棒(図示省略)を挿入するための締込孔である。なお、連結第1ねじ部18は、図1ではおねじ加工され、めねじ加工のロッド4と螺合連結しているが、これに限定されることなく、図3(イ)に示すように、めねじ加工の連結第1ねじ部21を採用して、おねじ仕様のロッド4aと螺合連結することもできる。また、外管6との連結についても、図1に示すおねじ加工の連結第2ねじ部19に限定されず、図3(ロ)に示すめねじ加工の連結第2ねじ部22とおねじ加工の外管ねじ部23との組み合わせも採用できる。図中符号24は緩み止めのロックナットであり、本実施形態では省略してあるが、周知のゆるみ止め技術をねじ部分に適宜採用できる。
【0018】
上述の内管5等の使用材料は、従来の採取装置に一般的に使用される鋼材であり、特に、採取刃13を備える内管5では耐摩耗性を有する材料が有効である。
【0019】
以上説明した内管5,外管6,内支持体7及び連結部3は、図1に示す構成に極めて簡単に組み付け及び分解することができ、部品点数少なく簡単な構成のため維持管理も容易である。また、内支持体7を備えた内管5を収納している外管6の両端に対して、連結部3がねじ係合されると、外管6の両端内方に受支持部20が設けられ、同時に外管6内に可及的に大きな内容積が確保され、結果として可及的に長い内管5を配設でき、多量な採取量を確保できる。受支持部20に対して内管5の突支持部16を係合させると、内管5が外管6内にて同一中心軸を軸心として軸支される。ここで、採取刃13が外採取口9から突き出て回転制限を受けるため、内管5も回転制限を受けて、外採取口9幅が最大の揺動となる。
【0020】
使用されるロッド4は、上述したスウェーデン式サウンディング試験機のロッド(継足しロッド,スクリューポイント連結ロッド、JIS A 1221)である。このため、上述の連結部3の連結第1ねじ部18のねじ径及びピッチ等のねじ仕様は、試験機用ロッドのねじ仕様と同じにされる。
【0021】
次に、上述した第1実施形態の土質採取装置1による土質採取動作について説明する。先ず、図4に示すように、ハンドル25,ロッド4,連結部3,採取部2を組み付け、スウェーデン式サウンディング試験にて開けられた調査孔へ挿入する工程である。外管6の外径が調査孔に対して抵抗の少ない大きさのため、挿入動作は極めて容易に行える。図4では2箇所の土質採取のため2つの採取部2が設けられている。ここで、採取部2及び連結部3以外は、スウェーデン式サウンディング試験機の構成品を共用しており、スウェーデン式サウンディング試験とその簡便性を最大限利用でき、採取のため用意する部材も極めて少なく済む。
【0022】
この挿入工程では、採取孔である調査孔へ挿入前、図5(イ)に示すように、内管5を回転させて内採取口12を外管6によって閉じ、採取室17を閉室状態としてから挿入する。次に内採取口12の開口準備工程であり、所定深度に採取部2が位置した状態にて、ハンドル25を回すと、この回転力はロッド4を介して外管6を回す。図5(ロ)に示すように、このときの内管5は採取刃13が土抵抗を受けて静止状態であり、外管6の回転方向が図5(ロ)に示す矢印であれば内採取口12を開口状態にできる。そして、外採取口9の一側が採取刃13にて止まるまで外管6を回すと、採取室17の開口準備ができる。この開口動作において、外採取口9が図2に示すように内採取口12に比べて大きいため、内採取口12が開口状態となっても、更に、外管6が後回転する。このため、内採取口12が半開き状態等に絶対になることなく、完全な開口状態を確保できる。
【0023】
そして土質取込工程となり、図5(ハ)に示すように、更に外管6を同じ図中矢印方向へ回転させると、外採取口9の一側全体が採取刃13の裏側全体を均等に押圧し、内管5と同時に回転して周囲の土質を採取刃13によって採取室17へ取り込む。採取刃13が均等に押圧されるため、取り込み動作が極めて安定して行え、採取効率が良い。また、先端位置13aがスクリューポイント最大径D1付近にて回転することになるが、スウェーデン式サウンディング試験時に耕しに近い作用を受けて土質が軟らかくなっているため、この点からも採取効率が向上する。大きな収納容積の採取室17中へ採取土が必要量確保できる。最後の回収工程は、図5(ニ)に示すように、開口準備、土質取込工程とは逆方向へ外管6を回すと、内管5が静止状態のままであり、内採取口12を閉状態とし、採取室17を閉室状態にする。この内採取口12の閉動作においても、外採取口9が内採取口12に比べて大きいため、準備回転ができて勢い付いた回転によって外採取口9の一側にて土質を切り開き、外管6によって内採取口12を確実に閉鎖でき、採取効率も良くなる。この状態で調査孔から引き抜き、連結部3から採取部2を取り外し、さらに内管5を外管6から取り出せば、検査用の土質が入った採取室17を有する内管5が得られ、回収工程が終了する。
【0024】
上述の内管5と外管6との相対回転は、突支持部16と受支持部20との係合具合に左右されるが、土粒等がたとえ侵入してもこの係合の妨げになることがない。なぜなら、両支持部16,20が円錐凹凸状の係合であるため、すり鉢的作用によって細かく砕いて粉状にしてしまうためである。しかも、粉状となった土質が入っても潤滑剤のように利用して回転支持に対して不具合となることがないためである。
【0025】
請求項3に対応する第2実施形態の土質採取装置は、上述第1実施形態に対して、先端部分に採取部2を設けることを可能にする装置である。これは、最下位の採取部2の直下の連結部を先端部31とする点が異なり、その他は同じ構成であるため同じ構成の詳細な説明を省略する。先端部31は、図6に示すように、一端が円錐凸状の先端32であり、他端が外管6の外管ねじ部8と螺合の連結を可能とする連結第2ねじ部19を有し、かつ端面において内管5の突支持部16を回転可能に支持する円錐凹状の受支持部20を設ける。なお、図中符号33は、先端部31を回転させるためのねじ回し棒(図示省略)を挿入するための締込孔である。この先端部31を用いると、装置の最下端付近の土質採取が、先端部31の上に設けた採取部2によって可能となる。
【0026】
請求項4に対応する第3実施形態の土質採取装置は、上述第1,2実施形態に対して、採取部2の採取刃13の角度を変えて、性質の異なる土質の採取を可能にする装置である。従って、採取刃13の角度が異なるのみであり、その他は同じ構成であるため、これも同じ構成の詳細な説明を省略する。図7に示すように、採取刃13の内管5接線Sとなす角度aが、採取する土質種類に対応させて異なる角度に選択される装置である。例えば、硬い土質であればより鋭角的にし、軟弱であればより鈍角的にする等、適宜角度を選択する。上述第1実施形態にて説明した採取刃13の突出長Lの選択と組み合わせれば、採取土質の範囲を広げることもできる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1,2に係る土質採取装置であれば、スウェーデン式サウンディング試験の結果生じた調査孔を単に利用するだけでなく、試験の特徴である簡便性を生かすことができ、一箇所だけでなく各土層の複数箇所にて採取可能でありながら、検査に十分な採取量が確保でき、採取効率が良く、地中において動作しても不具合とならず、しかも、簡単な構造であるため維持管理も容易である。また、請求項3に係る土質採取装置であれば、先端部分の土質採取も可能となる。さらに、請求項4に係る土質採取装置であれば、各種の土質採取が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の土質採取装置主要部の一部断面であり、中間省略状態の正面図である。
【図2】イは外管と内管とが二重パイプ状の正面図であり、ロはイ図のA−A断面をしめす横断面図である。
【図3】イは連結第1ねじ部の他の実施形態の断面図であり、ロは連結第2ねじ部の他の実施形態の断面図である。
【図4】第1実施形態の土質採取装置の地盤への挿入状態を示す説明図である。
【図5】イは地盤挿入前及び挿入時の内採取口の閉状態を示す説明図であり、ロは地中における内採取口の開動作を示す説明図であり、ハは地中における採取刃の土質取り込み動作を示す説明図であり、ニは地中における内採取口の閉動作を示す説明図である。
【図6】第2実施形態の土質採取装置の先端部の断面図である。
【図7】第3実施形態の土質採取装置の内管及び採取刃の横断面図である。
【符号の説明】
1 土質採取装置 2 採取部 6 外管 8,23 外管ねじ部 9 外採取口 10 取出スリット 5 内管 11 内管めねじ部 12 内採取口 13 採取刃 7 内支持体 14 雄ねじ部 15 採取室端面 16 突支持部 17 採取室 3 連結部 18,21 連結第1ねじ部 19,22 連結第2ねじ部 20 受支持部 4 ロッド 31 先端部
Claims (4)
- 相対回転可能な二重筒状の内筒体と外筒体とからなり、内,外筒体の軸方向にそれぞれ内,外採取口を設け、内,外筒体の相対回転によって内採取口の開閉及び土質取り込みを行う少なくとも一つの採取部と、複数の長尺体のロッドと、前記採取部及びロッドを連結する複数の連結部とによって構成され、予め地盤に設けた採取孔に対して、軸方向に所定の数量及び順序に連結される前記採取部,連結部及びロッドを挿入し、所定深度の土質を採取する土質採取装置において、
(イ)前記採取孔がスウェーデン式サウンディング試験機によって形成された調査孔であり、
前記ロッドが、スウェーデン式サウンディング試験機のロッドであり、
前記連結部は、一端が前記ロッドと螺合の連結を可能とする連結第1ねじ部を設け、他端が後記外管ねじ部と螺合の連結を可能とする連結第2ねじ部を有し、かつ他端の端面に円錐凹状の受支持部を設け、
前記採取部の内筒体,外筒体が二重パイプ状の内管,外管であり、
前記外管は、外径をスウェーデン式サウンディング試験機のロッド径とスクリューポイント最大径との間とし、両端が前記連結第2ねじ部と螺合可能な外管ねじ部であり、
前記外採取口は、円周面の軸方向において長方形状に開けられ、前記外採取口の一端から前記外管の一端までの間に、後記採取刃厚さ分の開口幅を有する取出スリットが設けられ、
前記内管は、両端の内周が内管めねじ部であり、
前記内採取口は、円周面の軸方向において長方形状であって、軸方向及び円周方向の開口長を前記外採取口に比べて小さく開けられ、前記内採取口の長手方向一側おいて、採取刃が外方へ突き出して形成され、
(ロ)一端面を平面状の採取室端面とし、他端を円錐凸状の突支持部とし、外周を前記内管めねじ部と螺合する雄ねじ部である円柱体の内支持体が、前記内管めねじ部にそれぞれひとつ螺合されることによって、前記内管の両端内方に前記採取室端面を両端面とする採取室が形成され、前記内管の両端外方に前記突支持部が配設されること、
(ハ)前記外管の両端に前記連結部がねじ係合されることによって、前記外管の両端内方に前記受支持部が形成され、前記受支持部に対して前記突支持部を係合させると、前記内管が前記外管内にて軸支されること、を特徴とする土質採取装置。 - 上記外採取口の幅が、全円周面の20%〜40%の範囲内であること、
上記内管が上記採取刃の突出長を変えた複数個用意されて、その複数の中から選択使用されること、前記採取刃の少なくとも一つの突出長が、先端位置を上記スクリューポイント最大径付近に形成されること、を特徴とする請求項1に記載される土質採取装置。 - 上記連結部の中において、装置全体の最先端に位置する連結部が先端部であり、前記先端部は、一端が円錐凸状であり、他端が上記外管ねじ部と螺合の連結を可能とする連結第2ねじ部を有し、かつ他端の端面に円錐凹状の受支持部を設けること、を特徴とする請求項1又は2に記載される土質採取装置。
- 上記採取刃の上記内管接線となす角度aが、採取する土質種類に対応させて異なる角度に選択されること、を特徴とする請求項1、2又は3に記載される土質採取装置。
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